説明

構造接着剤における又はそれらに関する改良

特に自動車工業で金属を結合するのに特に有益な改良された低温衝撃強さを有する構造接着剤を提供する、i)エポキシ樹脂とエラストマーの付加物、ii)フェノキシ樹脂、iii)コアー/シェルポリマー、iv)硬化剤を含む接着剤配合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は活性化可能な構造接着剤、特に自動車工業及びエアークラフト工業において構成部品を結合するのに使用される構造接着剤における、又はそれらに関する改良に関するが、接着剤はその他の工業で用途を有する。
本発明は改良された活性化可能な材料、及びそれを含む物品の提供に関する。活性化可能な材料は構造のキャビティ内、もしくはその表面上に、又は特に溶接フランジ内の製造の物品(例えば、自動車又はエアークラフト)の一つ以上の構造部材(例えば、ボディパネル又は構造部材)に構造強化特性、接着性、シーリング特性、音の減衰特性又はこれらの組み合わせを含む種々の性質を与えることを助ける。本明細書に使用される、活性化可能な材料という表現は周囲の条件又は別の条件により硬化(例えば、熱硬化)、及び任意の溶融、流動、膨張、発泡又はこれらの組み合わせのために活性化し得るあらゆる材料を含む。その材料は熱、圧力、薬品暴露、これらの組み合わせ等の如き条件への暴露後に硬化し、加えて膨張、発泡、流動、溶融、これらの組み合わせ等をしてもよい。
【背景技術】
【0002】
活性化可能な構造接着剤は自動車における溶接シーム及び溶接フランジに使用され、またヘムフランジに使用される。或る場合には、構造接着剤の連続バンドがスポット溶接された部分の強度を補うために用意される。溶接は時間浪費かつ高価な方法であり、典型的な自動車組立ラインでは、数百のスポット溶接が必要とされるかもしれない。更に、異種材料、例えば、鋼及びアルミニウムを溶接することはしばしば可能ではなく、また或る種のポリマー及びポリマー複合材料を溶接することは可能ではない。それ故、溶接されたセグメントの強度を増大するだけでなく、特別な位置で必要とされる溶接の数を減少しようとする動機がある。
構造接着剤はまた自動車の剛性を改良し、こうして車両ロールオーバーの可能性を減少し、車両乗り心地特性を改良し、かつ車両耐久性及び疲労寿命を増大するのに使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の活性化可能な材料は構造保全性を物品の部分もしくは部材に加えるため、又は物品のシーリングのために種々の製造の物品に適用し得る。このような製造の物品の例として、家庭用又は工業用の器具、家具、貯蔵容器、ビルディング、構造等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施態様において、活性化可能な材料は自動車又はエアークラフトの部分、例えば、自動車のボディ又はフレーム部材(例えば、車両フレームレール)に適用される。
一実施態様において、本発明の材料は膨張可能な材料であってもよいが、膨張し得ない材料が一層普通である。材料が膨張可能である場合、本発明は活性化可能な材料を膨張されない状態又は部分的に膨張された状態で構造の表面に適用し、その材料を膨張されない状態のその容積よりも大きい容積(例えば、少なくとも5%大きく、少なくとも50%大きく、少なくとも200%大きい)に膨張(例えば、発泡)するためにそれを活性化することを含む。膨張された容積が初期の膨張されない容積に対し400%未満、更に典型的には300%未満、更に典型的には200%未満そしておそらく100%未満であるような容積膨張が少なくとも強化適用について典型的に好ましい。また、その材料の容積が活性化可能な材料の発泡又は未発泡別型について活性化後に硬化(例えば、架橋)のために一層小さくてもよいことが意図されている。
構造接着剤は耐衝撃性であり、かつ自動車クラッシュの如きアクシデントで経験し得る条件下で破損しないことが必要とされる。それらはまたそれらが暴露し得る広い温度範囲、典型的には-40℃〜90℃にわたって機能することが必要とされるが、一層高い温度が経験されるかもしれない。現在の構造接着剤は低温、特に0℃以下の温度でそれらの接着性の望ましくない低下を問題としている。加えて、現在の構造接着剤は一層高い温度、特に70℃より高い温度でしばしば強度を失い始める。
【0004】
構造接着剤の必要とされる性能は良好な重ねせん断、高いT剥離並びに温度及び環境条件の範囲にわたるくさび衝撃試験における良好な性能である。その他の望ましい性質として、経時の物理的性質の維持とともに高い湿度、塩水並びに高温及び低温の如き種々の型の暴露条件下の良好な接着耐久性が挙げられる。或る適用において、高い弾性モジュラス、高いTg、破損までの高い歪及びその他の物理的性質が所望されるかもしれない。
本発明はこれらの要件を満足し、かつ現在の構造接着剤の問題を解決する接着剤配合物を提供する。
それ故、本発明は
i)エポキシ樹脂とエラストマーの付加物、
ii)フェノキシ樹脂、
iii)コアー/シェルポリマー、
iv)硬化剤
を含む接着剤配合物を提供する。
接着剤配合物はその配合物が用いられる用途に従ってその他の成分を含んでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0005】
付加物
エポキシエラストマー付加物は活性化可能な接着剤への可撓性及び塑性変形を開始する能力を付与する。種々のエポキシ/エラストマー付加物が本発明に使用されてもよい。エポキシ/エラストマーハイブリッド又は付加物が活性化可能な材料の約50質量%までの量で含まれてもよい。エポキシエラストマー付加物は活性化可能な材料の少なくとも約5質量%、更に典型的には少なくとも7質量%、更に一層典型的には少なくとも10質量%であり、活性化可能な材料を基準として約5質量%〜20質量%の付加物が更に好ましい。エラストマーを含む付加物は2種以上の特別な付加物の組み合わせであってもよく、付加物は23℃の温度で固体付加物、液体付加物又は半固体であってもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。一つの好ましい実施態様において、付加物が実質的に全部(即ち、少なくとも70%、80%、90%又はそれ以上)の一種以上の付加物(これらは23℃の温度で固体である)を含む。本発明者らは付加物がコアー/シェルポリマー及びフェノキシ樹脂と一緒に使用される場合に望ましい接着性能が比較的少量の付加物を使用して広範囲の温度にわたって得られることを予期せずにわかった。5質量%〜15質量%の如き付加物のこの少量は高温安定性を構造接着剤に付与する。何とならば、配合物のTgの望ましくない低下が殆どないからである。
【0006】
付加物それ自体は一般にエポキシ対エラストマー約1:5〜5:1部、更に好ましくはエポキシ対エラストマー約1:3〜3:1部を含む。更に典型的には、付加物は少なくとも約10%、更に典型的には少なくとも約20%、更に典型的には少なくとも約40%のエラストマーを含み、また典型的には約60%以下を含むが、それよりも高い又は低い%が可能である。付加物に適したエラストマー化合物は熱硬化性エラストマーであってもよいが、必要とされなくてもよい。例示のエラストマーとして、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、イソプレン-ブタジエンコポリマー、ネオプレン、ニトリルゴム(例えば、ブチルニトリル、例えば、カルボキシ末端ブチルニトリル)、ブチルゴム、ポリスルフィドエラストマー、アクリルエラストマー、アクリロニトリルエラストマー、シリコーンゴム、ポリシロキサン、ポリエステルゴム、ジイソシアネート結合縮合エラストマー、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ化炭化水素等が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、リサイクルされたタイヤゴムが使用される。本発明における使用に適した付加的なもしくは別のエポキシ/エラストマー又はその他の付加物が米国特許公開第2004/0204551号に開示されている。
エラストマーを含む付加物は活性化可能な材料の構造特性、例えば、強度、靭性、剛性、曲げモジュラス等を改質するために含まれる。更に、エラストマーを含む付加物は活性化可能な材料を被覆物、例えば、水性塗料もしくはプライマー系又はその他の通常の被覆物と一層相溶性にするように選ばれてもよい。
フェノキシ樹脂
フェノキシ樹脂はビスフェノールAとエピクロロヒドリンの高分子量熱可塑性縮合生成物及びそれらの誘導体である。典型的には、使用されるフェノキシ樹脂は下記の基本式のものである。
【0007】
【化1】

【0008】
式中、nは典型的には30から100まで、好ましくは50から90までである。変性フェノキシ樹脂がまた使用されてもよい。使用し得るフェノキシ樹脂の例はインケム社により市販されている製品である。好適な材料の例はPKHB、PKHC、PKHH、PKHJ、PKHPペレット及び粉末である。別に、フェノキシ/ポリエステルハイブリッド及びエポキシ/フェノキシハイブリッドが使用されてもよい。活性化可能な材料の製造を増進するために、フェノキシ樹脂が溶液としてその他の成分に供給されることが好ましい。あらゆる溶媒が使用されてもよいが、液体エポキシ樹脂を溶媒として使用することが特に好ましい。何とならば、これがまた活性化後に接着性に寄与し得るからである。構造接着剤がペーストとして適用される場合、20質量%以下のフェノキシ樹脂を使用することが好ましい。何とならば、一層多い量があまりにも高い粘度をもたらし得るからである。しかしながら、一層高い%が活性化の前に固体である材料に有効である。
【0009】
コアー/シェルポリマー
本明細書に使用される、コアー/シェルポリマーという用語はその実質的な部分(例えば、30質量%、50質量%、70質量%又はそれ以上より大きい)が第二のポリマー材料(即ち、第二の、又はシェル材料)により実質的に完全にカプセル化されている第一のポリマー材料(即ち、第一の、又はコアー材料)を含むポリマー材料を表す。本明細書に使用される、第一のポリマー材料及び第二のポリマー材料は1種、2種、3種又はそれ以上のポリマー(これらは一緒に合わされ、かつ/又は反応させられ(例えば、逐次重合され)、又は別の、もしくは同じコアー/シェル系の部分であってもよい)を含み得る。コアー/シェルポリマーは配合物と相溶性であるべきであり、好ましくは延性コアーと硬質シェル(これは構造接着剤配合物のその他の成分と相溶性である)とを有することが好ましい。
コアー/シェルポリマーの第一のポリマー材料及び第二のポリマー材料はエラストマー、ポリマー、熱可塑性樹脂、コポリマー、その他の成分、これらの組み合わせ等を含み得る。好ましい実施態様において、第一のポリマー材料、第二のポリマー材料又はこれらの両方が一種以上の熱可塑性樹脂を含み、又は実質的に全て(例えば、少なくとも70質量%、80質量%、90質量%又はそれ以上)のこれらを含む。例示の熱可塑性樹脂として、スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、アクリレート樹脂、アセテート樹脂、ポリアミド、ポリエチレン等が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましいコアー/シェルポリマーは乳化重合、続いて凝集又は噴霧乾燥により生成される。また、コアー/シェルポリマーがコアー-シェルグラフトコポリマーから生成され、又は少なくともそれを含むことが好ましい。グラフトコポリマーの第一の、又はコアーポリマー材料は第二の、又はシェルポリマー材料のガラス転移温度より実質的に(少なくとも10℃、20℃、40℃又はそれ以上)下のガラス転移温度を有することが好ましい。更に、第一の、又はコアーポリマー材料のガラス転移温度が23℃より下であり、一方、第二の、又はシェルポリマー材料のガラス転移温度が23℃より上であることが望ましいかもしれないが、必要とされない。
【0010】
有益なコアー-シェルグラフトコポリマーの例はスチレン、アクリロニトリル又はメチルメタクリレートの如き硬質の含有化合物がブタジエン又はブチルアクリレートの如き軟質又は弾性化合物のポリマーからつくられたコアーにグラフトされているものである。米国特許第3,985,703号が有益なコアー-シェルポリマーを記載しており、これらのコアーがブチルアクリレートからつくられているが、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートもしくはその他のアルキルアクリレート又はこれらの混合物をベースとし得る。コアーポリマーはまたその他の共重合性含有化合物、例えば、スチレン、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、ブタジエン、イソプレン等を含んでもよい。コアーポリマー材料はまたほぼ等しい反応性の二つ以上の非共役二重結合を有する架橋モノマー、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート等を含んでもよい。コアーポリマー材料はまた等しくない反応性の二つ以上の非共役二重結合を有するグラフト結合モノマー、例えば、ジアリルマレエート及びアリルメタクリレートを含んでもよい。
シェル部分はメチルアクリレート、例えば、メチルメタクリレートそして必要によりその他のアルキルアクリレート及びメタクリレート、例えば、エチル、ブチル、又はこれらの混合物のアクリレート又はメタクリレートから重合されることが好ましい。何とならば、これらの材料が配合物中に使用されるフェノキシ樹脂及びエポキシ樹脂と相溶性であるからである。シェルモノマーの40質量%以上までがスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等であってもよい。本発明の実施態様に有益な付加的なコアー-シェルグラフトコポリマーが米国特許第3,984,497号、同第4,096,202号、同第4,034,013号、同第3,944,631号、同第4,306,040号、同第4,495,324号、同第4,304,709号、及び同第4,536,436号に記載されている。コアー-シェルグラフトコポリマーの例として、“MBS”(メタクリレート-ブタジエン-スチレン)ポリマー(これらはメチルメタクリレートをポリブタジエン又はポリブタジエンコポリマーゴムの存在下で重合することによりつくられる)が挙げられるが、これらに限定されない。MBSグラフトコポリマー樹脂は一般にスチレンブタジエンゴムコアー及びアクリルポリマー又はコポリマーのシェルを有する。その他の有益なコアー-シェルグラフトコポリマー樹脂の例として、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、MABS(メタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、ASA(アクリレート-スチレン-アクリロニトリル)、全アクリル樹脂、SA EPDM(エチレン-プロピレンジエンモノマーの弾性主鎖にグラフトされたスチレン-アクリロニトリル)、MAS(メタクリル-アクリルゴムスチレン)等及びこれらの混合物が挙げられる。
【0011】
有益なコアー/シェルポリマーの例として、ローム・アンド・ハース社から市販されている商品名パラロイドとして販売されるものが挙げられるが、これらに限定されない。パラロイド衝撃改質剤の一つの特に好ましい銘柄はポリメチルメタクリレートシェル及びMBSコアー改質剤を有し、名称EXL-2650として販売されている。アケマにより販売される製品E-950がまた同等の有効性で使用されてもよい。特に接着剤がペーストとして適用される場合、5%〜30%のコアーシェルポリマーを使用することが好ましい。何とならば、多量が望ましくない程高い粘度をもたらし得るからである。
【0012】
硬化剤
一種以上の硬化剤が本発明の活性化可能な材料中に含まれる。必要により、硬化剤促進剤がまた含まれてもよい。使用される硬化剤及び硬化剤促進剤の量は所望される構造の型、活性化可能な材料の所望の構造特性等、またその材料が膨張可能である実施態様では、活性化可能な材料の膨張の所望の量及び膨張の所望の率に応じて広く変化し得る。活性化可能な材料中に存在する硬化剤又は硬化剤促進剤についての例示の範囲は約0.001質量%から約7質量%までの範囲である。
硬化剤はポリマー、フェノキシエポキシ樹脂又はその両方及び存在し得るエポキシ樹脂の架橋により硬化する際に活性化可能な材料を助けることが好ましい。また、硬化剤が活性化可能な材料を熱硬化する際に助けることが好ましい。硬化剤の有益なクラスは脂肪族もしくは芳香族アミン又はそれらの夫々の付加物、アミドアミン、ポリアミド、脂環式アミン、酸無水物、ポリカルボン酸ポリエステル、イソシアネート、フェノール系樹脂(例えば、フェノール樹脂又はクレゾールノボラック樹脂、フェノールテルペンのコポリマーの如きコポリマー、ポリビニルフェノール、又はビスフェノール-Aホルムアルデヒドコポリマー、ビスヒドロキシフェニルアルカン等)、又はこれらの混合物から選ばれた材料である。特に好ましい硬化剤として、変性及び未変性のポリアミン又はポリアミド、例えば、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、シアノグアニジン、ジシアンジアミド等が挙げられる。硬化剤の促進剤が使用される場合、材料の例として、変性又は未変性尿素、例えば、メチレンジフェニルビス尿素、イミダゾール又はこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の組成物はその他の成分、例えば、下記の成分の一種以上を含んでもよい。
i)エポキシ樹脂、
ii)ポリマー、
iii)発泡剤、
iv)充填剤、
v)流動調節材料及び
vi)ナノ粒子。
【0013】
エポキシ樹脂
本発明の好ましい配合物はフェノキシ樹脂の溶媒として、そしてまた配合物の成分としての両方でエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂は通常の二量体、オリゴマー又はポリマーのエポキシ材料(少なくとも一つのエポキシ官能基を含む)のいずれかを意味するために本明細書に使用される。重要な現在のエポキシ含量は40%より大きい。更に、エポキシ樹脂という用語は一種のエポキシ樹脂又は多種のエポキシ樹脂の組み合わせを表すのに使用し得る。ポリマーをベースとする材料は開環反応により重合可能な一つ以上のオキシラン環を有するエポキシ含有材料であってもよい。好ましい実施態様において、活性化可能な材料は約2質量%〜75質量%のエポキシ樹脂、更に好ましくは約4質量%〜60質量%のエポキシ樹脂、更に一層好ましくは約25質量%〜50質量%のエポキシ樹脂を含む。勿論、エポキシ樹脂の量は活性化可能な材料の意図される適用に応じて一層多くてもよく、又は一層少なくてもよい。
エポキシは脂肪族、脂環式、芳香族等であってもよい。エポキシは固体(例えば、ペレット、チャンク、片等)又は液体(例えば、エポキシ樹脂)として供給されてもよいが、液体樹脂が接着剤配合物の加工性を高めるのに好ましい。本明細書に使用される、樹脂は、特にことわらない限り、それが23℃の温度で固体である場合に固体樹脂であり、またそれが23℃で液体である場合に液体樹脂である。エポキシはエチレンコポリマー又はターポリマーを含んでもよい。コポリマー又はターポリマーとして、そのポリマーは2種又は3種の異なるモノマー、即ち、同様の分子と結合し得る高い化学反応性を有する小分子を含む。
エポキシ樹脂は活性化可能な材料の接着性、流動性又はその両方を増大するためにその樹脂に添加されてもよい。一つの例示のエポキシ樹脂はフェノール樹脂であり、これはノボラック型又はその他の型の樹脂であってもよい。その他の好ましいエポキシ含有材料はビスフェノール-Aエピクロロヒドリンエーテルポリマー又はビスフェノール-Aエポキシ樹脂(これはブタジエン又は別のポリマー添加剤で変性されていてもよい)或いはビスフェノール-F型エポキシ樹脂を含んでもよい。更に、幾つかの異なるエポキシ樹脂の種々の混合物が同様に使用されてもよい。好適なエポキシ樹脂の例がフンツマンにより供給される商品名アラルダイトGY282、GY281及びGY285として販売されている。
【0014】
ポリマー又はコポリマー
活性化可能な材料が用いられる用途に応じて、それは一種以上の付加的なポリマー又はコポリマーを含んでもよく、これらは種々の異なるポリマー、例えば、熱可塑性樹脂、エラストマー、プラストマー及びこれらの組み合わせ等を含み得る。例えば、構造接着剤に適当に混入し得るポリマーとして、ハロゲン化ポリマー、ポリカーボネート、ポリケトン、ウレタン、ポリエステル、シラン、スルホン、アリル化合物、オレフィン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、エポキシ、シリコーン、フェノール樹脂、ゴム、ポリフェニレンオキサイド、テレフタレート、アセテート(例えば、EVA)、アクリレート、メタクリレート(例えば、エチレンメチルアクリレートポリマー)又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。その他の潜在的なポリマー材料はポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(エチレンイミン)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリホスファジン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソプレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリレートであってもよく、又はこれらを含んでもよいが、これらに限定されない。
使用される場合、これらのポリマーはその材料の小部分又はかなりの部分を構成し得る。使用される場合、一種以上の付加的なポリマーは好ましくは活性化可能な材料の約0.1質量%〜約50質量%、更に好ましくは約1質量%〜約20質量%、更に好ましくは約2質量%〜約10質量%を構成する。
【0015】
或る実施態様において、一種以上の熱可塑性ポリエーテル及び/又は熱可塑性エポキシ樹脂を活性化可能な材料中に含むことが望ましいかもしれない。含まれる場合、一種以上の熱可塑性ポリエーテルは好ましくは活性化可能な材料の約1質量%〜約90質量%、更に好ましくは活性化可能な材料の約3質量%〜約60質量%、更に一層好ましくは活性化可能な材料の約4質量%〜約25質量%を構成する。しかしながら、その他の材料について、それより多いか、少ない熱可塑性ポリエーテルが活性化可能な材料の意図される使用に応じて使用されてもよい。
熱可塑性ポリエーテルは典型的にはペンダントヒドロキシル部分を含む。熱可塑性ポリエーテルはまたそれらの主鎖中に芳香族エーテル/アミン反復単位を含んでもよい。本発明の熱可塑性ポリエーテルは約190℃の温度で2.16Kgの重量のサンプルについて10分間当り好ましくは約5g〜約100g、更に好ましくは約25g〜約75g、更に一層好ましくは約40g〜約60gのメルトインデックスを有する。勿論、熱可塑性ポリエーテルはそれらの意図される適用に応じてそれより高いか、低いメルトインデックスを有してもよい。好ましい熱可塑性ポリエーテルとして、ポリエーテルアミン、ポリ(アミノエーテル)、モノエタノールアミンとジグリシジルエーテルのコポリマー、これらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。
熱可塑性ポリエーテルは2以下の平均官能価を有するアミン(例えば、二官能性アミン)をグリシジルエーテル(例えば、ジグリシジルエーテル)と反応させることにより生成されることが好ましい。本明細書に使用される、二官能性アミンという用語は平均二つの反応性基(例えば、反応性水素)を有するアミンを表す。
【0016】
一実施態様によれば、熱可塑性ポリエーテルが一級アミン、ビス(二級)ジアミン、環状ジアミン、これらの組み合わせ等(例えば、モノエタノールアミン)をジグリシジルエーテルと反応させることにより、又はアミンをエポキシ官能化ポリ(アルキレンオキサイド)と反応させてポリ(アミノエーテル)を生成することにより生成される。別の実施態様によれば、熱可塑性ポリエーテルが二官能性アミンをそのアミノ部分をエポキシ部分と反応させてアミン結合、エーテル結合及びペンダントヒドロキシル部分を有するポリマー主鎖を形成するのに充分な条件下でジグリシジルエーテル又はジエポキシ官能化ポリ(アルキレンオキサイド)と反応させることにより調製される。必要により、そのポリマーが一官能性求核性試薬(これは一級又は二級アミンであってもよく、またそうではなくてもよい)で処理されてもよい。
更に、一つの反応性基(例えば、一つの反応性水素)を有するアミン(例えば、環状アミン)が熱可塑性ポリエーテルを生成するのに使用されてもよいことが意図されている。有利には、このようなアミンが生成される熱可塑性エーテルの分子量を調節することを助けてもよい。
好ましい熱可塑性ポリエーテル及びそれらの生成方法の例が米国特許第5,275,853号、同第5,464,924号及び同第5,962,093号に開示されている。有利には、熱可塑性ポリエーテルが活性化可能な材料に種々の望ましい特性、例えば、本明細書に更に記載されるような多種の適用について望ましい物理的性質及び化学的性質を与え得る。
必要とされないが、配合物は一種以上のエチレンポリマー又はコポリマー、例えば、エチレンアクリレート、エチレンアセテート等を含んでもよい。エチレンメタクリレート及びエチレン酢酸ビニルが2種の好ましいエチレンコポリマーである。
一種以上の反応性基、例えば、グリシジルメタクリレート又は無水マレイン酸で変性されている反応性ポリエチレン樹脂を含むことがまた望ましいかもしれない。このようなポリエチレン樹脂の例が商品名ロタダー(登録商標)として販売されており(例えば、ロタダーAX8900)、アルケマグループから市販されている。
【0017】
発泡剤
本発明は非膨張性接着剤及び膨張性接着剤の両方をもくろんでいるが、非膨張性材料が一層典型的である。活性化可能な材料が膨張性である場合、一種以上の発泡剤が、所望されるように、活性化可能な材料内に連続気泡構造及び/又は独立気泡構造を形成する不活性ガスを生成するために活性化可能な材料に添加されてもよい。この様式では、その材料から加工される物品の密度を低下することが可能であるかもしれない。加えて、材料膨張がシーリング能力、音の減衰及び結合支持体への接着を改良することを助け得る。
発泡剤は一種以上の窒素含有グループ、例えば、アミド、アミン等を含んでもよい。好適な発泡剤の例として、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4-オキシ-ビス-(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トリヒドラジノトリアジン及びN,N-ジメチル-N,N-ジニトロソテレフタルアミドが挙げられる。発泡剤の促進剤がまた活性化可能な材料中に用意されてもよい。種々の促進剤が、発泡剤が不活性ガスを生成する速度を増すのに使用されてもよい。一つの好ましい発泡剤促進剤は金属塩であり、又は酸化物、例えば、酸化亜鉛の如き金属酸化物である。その他の好ましい促進剤として、変性及び未変性チアゾル又はイミダゾールが挙げられる。
発泡剤及び発泡剤促進剤の量は所望される気泡構造の型、活性化可能な材料の膨張の所望の量、膨張の所望の比率等に応じて活性化可能な材料内で広く変化し得る。活性化可能な材料中の発泡剤及び発泡剤促進剤の量についての例示の範囲は約0.001質量%から約5質量%までの範囲であり、好ましくは活性化可能な材料中でこれらの質量%の何分の一かである。
【0018】
充填剤
活性化可能な材料はまた粒状材料(例えば、粉末)、ビーズ、微小球、例えば、ジーラン・インダストリイズから入手し得るゼオスフェアー等を含むが、これらに限定されない、一種以上の充填剤を含んでもよい。充填剤は一般に活性化可能な材料中に存在するその他の成分と非反応性である材料を含むことが好ましい。充填剤は一般に比較的低い質量で空間を占めるために活性化可能な材料内に存在してもよいが、充填剤はまた活性化可能な材料に強度及び耐衝撃性の如き性質を付与し得ることが意図されている。
充填剤の例として、シリカ、ケイソウ土、ガラス、クレー(例えば、ナノクレーを含む)、タルク、顔料、着色剤、ガラスビーズ又は気泡、ガラス、カーボン又はセラミック繊維、ナイロン又はポリアミド繊維(例えば、ケブラー)、酸化防止剤等が挙げられる。このような充填剤、特にクレーは、活性化可能な材料の流動中にそれ自体を平滑にする際にその材料を助け得る。充填剤として使用し得るクレーとして、カオリナイト、イライト、クロリテム、スメクタイト又はセピオライトのグループからのクレーが挙げられ、これらは焼成されてもよい。好適な充填剤の例として、タルク、バーミキュライト、ピロフィライト、サウコナイト、サポナイト、ノントロナイト、モンモリロナイト又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。クレーはまた少量のその他の成分、例えば、炭酸塩、フェルドスパー、マイカ及び石英を含んでもよい。充填剤はまた塩化アンモニウム、例えば、塩化ジメチルアンモニウム及び塩化ジメチルベンジルアンモニウムを含んでもよい。二酸化チタンがまた使用されてもよい。
一つの好ましい実施態様において、一種以上の鉱物型又は石型の充填剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等が充填剤として使用されてもよい。別の好ましい実施態様において、ケイ酸塩鉱物、例えば、マイカが充填剤として使用されてもよい。
使用される場合、活性化可能な材料中の充填剤は活性化可能な材料の10質量%以下から90質量%以上までの範囲であり得るが、更に典型的には活性化可能な材料の約20質量%から55質量%までの範囲であり得る。或る実施態様によれば、活性化可能な材料が約0質量%から約3質量%まで、更に好ましくは1質量%よりわずかに少ないクレー又は同様の充填剤を含んでもよい。粉末(例えば、約0.01ミクロン〜約50ミクロン、更に好ましくは約1ミクロン〜25ミクロンの平均粒径)鉱物型充填剤が約5質量%〜70質量%、更に好ましくは約10質量%〜約50質量%を構成し得る。
【0019】
その他の成分及び添加剤
ほぼ殆どのあらゆる付加的な薬品、材料又はその他が活性化可能な材料に適しており、また活性化可能な材料の選ばれた適用に適していると推定して、それらが活性化可能な材料に添加されてもよいことが意図されている。
その他の添加剤、薬剤又は性能改質剤がまた所望により活性化可能な材料中に含まれてもよく、これらとして、酸化防止剤、耐UV剤、難燃剤、衝撃改質剤、熱安定剤、着色剤、加工助剤、潤滑剤、強化材(チョップトガラスもしくは連続ガラス、セラミック、アラミド、又は炭素繊維、粒状物等)が挙げられるが、これらに限定されない。液体ポリスルフィドが接着剤の環境暴露、例えば、湿度及び塩水への暴露を改良するのに使用されてもよい。
活性化可能な材料に適した成分を決める場合、その材料が適切な時間又は温度でのみ活性化する(例えば、流動、発泡、又はそれ以外の状態の変化)ようにその材料を生成することが重要であるかもしれない。例えば、或る適用において、その材料が製造環境で室温又はそれ以外に周囲温度で反応性であることは望ましくない。更に典型的には、活性化可能な材料が一層高い加工温度で活性化されて流動するようになる。例として、特に活性化可能な材料が、例えば、塗料調合工程中に、高温又は一層高い適用エネルギーレベルでその他の成分とともに加工される場合に、自動車組立プラントで見られるような温度が適当であるかもしれない。多くの被覆作業(例えば、塗料及び/又はe-コート硬化オーブン中)で見られる温度は、例えば、約250℃まで、又はそれ以上の範囲である。
使用すべき材料の相対比率は活性化可能な材料について考えられる使用に依存するであろう。しかしながら、殆どの適用について、その組成物が3質量%から25質量%までのエポキシ/エラストマー付加物、3質量%から20質量%までのフェノキシ樹脂及び5質量%から30質量%までのコアー/シェルポリマー、1質量%〜10質量%の硬化剤を含むことが好ましい。その他の任意の成分の好ましい量は以下のとおりである;5%〜75%の一種以上のエポキシ樹脂、好ましくは液体エポキシ樹脂、0.2%〜3%の硬化促進剤、0.1%〜50%の鉱物充填剤、0.1%〜3.0%のクレー及び/又はシリカ。
【0020】
活性化可能な材料の生成及び適用
活性化可能な材料の生成は種々の新しい技術又は既知技術に従って遂行し得る。しかしながら、種々のブレンド技術が活性化可能な材料の或る位置における或る成分の濃度を増加又は減少するのに使用されてもよいことが意図されている。
一実施態様によれば、活性化可能な材料がエポキシエラストマー付加物及びコアー/シェルポリマーをペレット、チャンク等の如き固体形態で供給し、好ましくは液体エポキシ樹脂中のフェノキシ樹脂の溶液とブレンドすることにより生成される。また、フェノキシ樹脂及びコアー/シェルポリマーのマスターバッチが液体エポキシ樹脂の如き溶媒中で調製されてもよく、次いで充填剤が必要により付加的な液体エポキシ樹脂とともに添加されてもよく、最後に硬化剤及び必要により硬化剤促進剤が好ましくは閉じ込められた空気を除去するための真空下で添加され、混合される。成分が典型的には一つ以上のブレンダー、例えば、大きいビン又はその他の容器中で合わされる。容器は容器を回転し、又はそれ以外に移動することにより成分をまぜ合わせるのに使用し得ることが好ましい。その後に、熱、圧力又はこれらの組み合わせが適用されて固体成分を軟化又は液化してもよく、その結果、成分が撹拌又はそれ以外により単一の均一な組成物にまぜ合わせられる。
別の実施態様によれば、活性化可能な材料が一種以上の成分(これらは一般に軟化又は液化するのに一層容易である)、例えば、ポリマーをベースとする材料を加熱してこれらの成分を混合可能な状態に誘導することにより生成されてもよい。その後に、残りの成分が軟化された成分とまぜ合わされてもよい。
【0021】
硬化剤が一旦添加されると、成分の温度が硬化温度より下に留まることを確実にすることが重要である。更に、活性化可能な材料が発泡剤を含む場合、活性化可能な材料の温度を活性化可能な材料の生成中又は活性化可能な材料が表面に適用される前に発泡剤を活性化する温度より下に維持することが典型的には望ましい。活性化可能な材料を一層低い温度に維持することが望ましい状況では、活性化可能な材料の成分をまぜ合わせるために圧力又は圧力と熱の組み合わせを使用して成分を半固体又は粘弾性状態に維持することが望ましいかもしれない。種々の機械が熱、圧力又はその両方を材料に適用するように設計されていた。
使用中、本発明の活性化可能な材料は典型的には表面又は支持体に適用され、活性化されて接着剤を硬化し、その活性化は典型的には140℃〜200℃の範囲の高温で起こる。必要とされる時間は使用される温度に依存し、30分が典型的である。材料の活性化はまた活性化可能な材料が発泡剤を含む状況では少なくとも或る程度の発泡又は泡立ちを含んでもよい。このような発泡又は泡立ちは支持体を湿潤させ、支持体との緊密な結合を形成する際に活性化可能な材料を助け得る。しかしながら、また、活性化可能な材料が活性化されて発泡又は泡立ちなしに流動してもよく、依然として支持体を実質的に湿潤させて緊密な結合を形成し得ることが認められるべきである。緊密な結合の形成は活性化可能な材料の硬化後に典型的に起こるが、必ずしもそうでなくてもよい。
意図される適用に応じて、活性化可能な材料は異なる方法で異なる時点で適用され、活性化されてもよい。その材料はストリップに成形され、それが使用されるどんな場所でも手又は機械により適用されてもよい。また、その材料は液体又はペーストとして適用でき、ドラムからポンプ輸送されてもよい。その材料はそれが使用される位置に押し出されてもよい。こうして、活性化可能な材料の例示の使用が活性化可能な材料の適用及び活性化の好ましい方法を示すために以下に説明される。特に、活性化可能な材料は、とりわけ、強化、シーリング及び接着等のために使用されてもよい。
【0022】
強化
活性化可能な材料は製造の物品の構造部材を強化するのに使用されてもよい。強化のために使用される場合、活性化可能な材料がそれ自体で使用されてもよく、それがその他の材料(例えば、裏材料)と連係して使用されてもよく、キャリヤー部材等に適用されてもよい。活性化可能な材料は溶接フランジの如き金属溶接物に追加された強度を与えるのに特に有益であり、金属の片(これらは続いて一緒に溶接される)の間に適用されてもよい。或る場合には、その材料が溶接の必要を置換するのに使用されてもよい。
一実施態様によれば、本発明の活性化可能な材料がキャリヤー部材に適用されて強化部材を形成し、その強化部材が自動車の構造部材により形成されたキャビティ内に挿入される。自動車の構造部材はその車両のほぼあらゆる部材(フレーム部材、ボディ部材、ピラー構造、クロージャパネル、屋根組立体、バンパー、これらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)であってもよい。
キャリヤー部材は種々の通常の形態及び新規な形態から選ばれてもよい。こうして、本発明の活性化可能な材料がキャリヤー部材、例えば、成形部材、押出部材又は型押部材(例えば、金属又はプラスチック(発泡又は未発泡))に適用されてもよく、これらの例示の材料として、アルミニウム、マグネシウム、チタン、鋼、成形コンパウンド(例えば、シート成形コンパウンド又はバルク成形コンパウンド)、ポリアミド(例えば、ナイロン6又はナイロン6,6)、ポリスルホン、熱可塑性イミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン又はこれらの混合物が挙げられる。
本発明の活性化可能な材料は特にくさび衝撃試験で拡大された温度範囲にわたって望ましい性能を有する有効な構造接着剤であることがわかった。これらの材料は時間の延長された期間にわたってそれらの接着性を維持し、湿度又は塩噴霧環境中で有効であるとわかった。それらは自動車、エアークラフト、航空、鉄道車両、トラック、バス、スポーツ商品、構造及び家具工業の如き種々の適用において構造結合に有益である。それらは溶接領域を強化するのに特に有益であり、或る場合には従来溶接されていた領域における溶接の必要を回避することがわかった。
本発明が下記の材料が最初に調節された下記の実施例を参照して説明される。
【実施例】
【0023】
40%のインケム社からのフェノキシ樹脂PKHJを180℃に保たれた60%のCVCスペシャリティ・ケミカルズからのビスフェノールF液体エポキシ樹脂エパロイ8220に溶解した。その混合物を高速ミキサー中で約30分間撹拌した。次いで50質量%のこの生成物を50%のローム・アンド・ハースからの市販の材料パラロイドEXL2650と混合してパラロイドを適当に分散する目的でマスターバッチを生成した。
60%のビスフェノールAをベースとするエポキシ樹脂アラルダイト6071を夫々20%の2種の液体エラストマーハイカー1300x8及びハイカー1300x13(エメラルドから入手し得る)と反応させることによりエポキシエラストマー付加物を調製した。
重ねせん断試験はASTM D-1002の改良であり、2種の溶接亜鉛メッキ鋼クーポンを採用し、接着剤を金属クーポンの間に分配し、その材料を硬化することを伴なう。結合ラインはその材料の厚さである。この場合の金属の二つの片のオーバーラップ領域は12.5mmx25mmである。金属クーポンを機械試験機中に把握し、引き離す。ピーク負荷をオーバーラップ面積で割ることにより最大応力を測定する。
T-剥離試験はASTM D-1876(この場合、二つの溶接亜鉛メッキ鋼クーポンがL字形に曲げられる)の改良である。未硬化接着剤をクーポンの長い部分に分配する。二つの金属クーポンを一緒に押し付けてT字形をつくる。金属クーポンを硬化してT字形試験標本をつくる。結合ラインは硬化された材料の厚さである。接着剤とのオーバーラップ面積は25mmx100mmである。T字形の二つの脚を機械試験機中の試験グリップに入れて、引き離す。材料幅当りの平均の力をこの試験から計算する。
【実施例1】
【0024】
下記の配合物を調製した。
成分 グラム数
マスターバッチ 105
エポキシエラストマー付加物 30
エパロイ8220 140
カネカMX136
(75%のビスフェノールFエポキシ樹脂に
溶解された25%のコアー/シェルポリマー) 12
ジシジアンアミド(アミキュアーCG1200) 20
オミキュアー52 2
カルシブライトOG炭酸カルシウム 75
ナノポックス510
(60%のビスフェノールFエポキシ樹脂中の
40%のナノ粒子サイズのシリカ) 20
【0025】
マスターバッチ及び付加物をシグマブレードミキサー/押出機に入れ、次いでナノポックス及びカネカを添加し、続いて炭酸カルシウム及びエポキシ樹脂を添加する。最後に、ジシジアンアミド及びオミキュアーを添加し、これらの材料を約15分間混合し、真空を適用して閉じ込められた空気を除去する。
室温における平均T-剥離強さ、室温における重ねせん断及び-40℃〜90℃の温度範囲にわたってのくさび衝撃強さを測定することにより配合物の接着特性を試験した。厚さ1.8mmの溶接亜鉛メッキ鋼クーポンを支持体として使用して重ねせん断を測定した。硬化された接着剤のガラス転移温度は131.4℃であった。
試験の結果は以下のとおりであった。
T-剥離 9.35 N/mm
重ねせん断 35.4 MPa
くさび衝撃
90℃ 36.9 N/mm
23℃ 33.0 N/mm
-30℃ 22.3 N/mm
-40℃ 21.6 N/mm
結果は90℃から-40℃まででくさび衝撃の比較的低い低下;現在の自動車クラッシュ耐久性接着剤(これらの場合、高温値が低温値の少なくとも3倍であり得る)よりかなり小さい低下を示す。典型的な-40℃値は20N/mmより下である。高いTgと対にされたこの低温性能は有意な利益を有する。
【実施例2】
【0026】
付加的なカネカMX136溶液5gがマスターバッチ5gを置換した以外は、実施例1の配合物と同様の配合物を調製した。
接着剤特性の高温劣化の程度を測定するために、10mmのオーバーラップとともに幅45mm、厚さ0.8mmを使用して重ねせん断強さ(単位MPa)を-30℃〜90℃の温度範囲にわたって測定した。結果は以下のとおりであった。
温度、℃ 重ねせん断強さ
-30 25.8
0 23.6
30 21.9
60 21.5
90 20.2
結果はせん断強さが高温で殆ど保持されることを示し、広い温度範囲にわたって格別に一貫した性能を示す。
実施例1と2の間の値の差は試験支持体の厚さの差に起因しているかもしれない。
【実施例3】
【0027】
下記の配合物を実施例1と同様の様式で調製した。
オミキュアー52-5g
ジシジアンアミド(アミキュアーCG1200)-20g
40%のフェノキシ/60%のビスフェノールエポキシ樹脂溶液-80g
アラルダイトGY282-90g
パラロイドEXL2650-50g
エポキシ樹脂エラストマー付加物(70%)、ハイカー1300x31(30%)-80g
接着剤は下記の性質を有していた。
重ねせん断:36.8MPa
T-剥離:11.33N/mm
くさび衝撃-30℃:27.24N/mm
くさび衝撃-40℃:25.5N/mm
【実施例4】
【0028】
下記の配合物を実施例1と同様の様式で調製した。
オミキュアー52-5g
ジシジアンアミド(アミキュアーCG1200)-20g
40%のフェノキシ/60%のビスフェノールエポキシ樹脂溶液-75g
エパロイ8220-110g
パラロイドEXL2650-75g
エポキシエラストマー付加物(2-型の固体エポキシ、4-型の固体エポキシ等混合物(70%)、ハイカー1300x31(30%)
ゼオスフェアーズ1200:30g
接着剤は下記の性質を有していた。
重ねせん断:34.06MPa
T-剥離:8.75N/mm
くさび衝撃-30℃:44.93N/mm
くさび衝撃-40℃:38.36N/mm
【実施例5】
【0029】
下記の配合物を実施例1と同様の様式で調製した。
オミキュアー52-5g
ジシジアンアミド(アミキュアーCG1200)-20g
40%のフェノキシ/60%のビスフェノールエポキシ樹脂溶液-52.5g
エパロイ8220-120g
パラロイドEXL2650-52.5g
エポキシエラストマー付加物(60%)、ハイカー1300x13(20%)、ハイカー1300x8(20%)-30g
カリブライトOG-75g
チオプラストEPS15(ポリスルフィド)-20g
カネカ135-10g
ナノポックス510-20g
接着剤は下記の性質を有していた。
重ねせん断:34.84MPa
T-剥離:10.42N/mm
くさび衝撃-30℃:22.9N/mm
くさび衝撃-40℃:21.28N/mm
【0030】
実施例3〜5における重ねせん断試験は下記の条件を使用した:
金属−溶接亜鉛メッキ鋼
クーポンサイズ:25mmx100mmx1.8mm
オーバーラップ:12.5mm
結合ライン厚さ:0.3mm
オイル:クアカーN6130
実施例3〜5におけるT-剥離試験は下記の条件を使用した:
金属−溶接亜鉛メッキ鋼
クーポンサイズ:100mmx25mmx0.7mm
結合ライン厚さ:0.3mm
オイル:なし
くさび衝撃試験は下記の条件を使用した:
金属−電気溶接亜鉛メッキ鋼
厚さ:0.2mm

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)エポキシ樹脂とエラストマーの付加物、
ii)フェノキシ樹脂、
iii)コアー/シェルポリマー、
iv)硬化剤
を含むことを特徴とする接着剤配合物。
【請求項2】
活性化可能な材料を基準として5質量%〜20質量%の付加物を含む、請求項1記載の接着剤配合物。
【請求項3】
付加物がエポキシ対エラストマー約1:5〜5:1部を含む、請求項1又は請求項2記載の接着剤配合物。
【請求項4】
付加物中のエラストマーが天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、イソプレン-ブタジエンコポリマー、ネオプレン、ニトリルゴム(例えば、ブチルニトリル、例えば、カルボキシ末端ブチルニトリル)、ブチルゴム、ポリスルフィドエラストマー、アクリルエラストマー、アクリロニトリルエラストマー、シリコーンゴム、ポリシロキサン、ポリエステルゴム、ジイソシアネート結合縮合エラストマー、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ化炭化水素等から選ばれる、請求項1から3のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項5】
エラストマー/エポキシ付加物がブタジエンアクリロニトリルゴムから誘導される、請求項5記載の接着剤配合物。
【請求項6】
フェノキシ樹脂が式
【化1】

(式中、nは30から100までである)
のものである、請求項1から5のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項7】
フェノキシ樹脂が溶液として供給される、請求項1から6のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項8】
溶媒が液体エポキシ樹脂である、請求項7記載の接着剤配合物。
【請求項9】
20質量%以下のフェノキシ樹脂を含む、請求項1から8のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項10】
コアー/シェルポリマーが延性コアー及び配合物のその他の成分と相溶性である硬質シェルを有する、請求項1から9のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項11】
コアー/シェルポリマーの第一のポリマー材料及び第二のポリマー材料がエラストマー、ポリマー、熱可塑性樹脂、コポリマー、その他の成分、これらの組み合わせ等を含む、請求項1から10のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項12】
第一のポリマー材料、第二のポリマー材料又はこれらの両方が一種以上の熱可塑性樹脂を含み、又は実質的に全て(例えば、少なくとも70質量%、80質量%、90質量%又はそれ以上)を含む、請求項11記載の接着剤配合物。
【請求項13】
ポリマー材料がスチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、アクリレート樹脂、アセテート樹脂、ポリアミド、ポリエチレン等から選ばれる、請求項12記載の接着剤配合物。
【請求項14】
コアー/シェルポリマーがグラフトコポリマー(この場合、スチレン、アクリロニトリル又はメチルメタクリレートが、ブタジエン又はブチルアクリレートの如き軟質又は弾性化合物のポリマーからつくられたコアーにグラフトされている)である、請求項1から13のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項15】
コアーポリマーがスチレン、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、ブタジエン及びイソプレンから選ばれた、その他の共重合性含有化合物を含む、請求項14記載の接着剤。
【請求項16】
コアーポリマー材料が二つ以上の非共役二重結合を有する架橋モノマーを含む、請求項14又は請求項15記載の接着剤。
【請求項17】
シェル部分がアルキルアクリレート及び/又はメタクリレートから重合される、請求項14から16のいずれかに記載の接着剤。
【請求項18】
5%から30%までのコアーシェルポリマーを含む、請求項1から17のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項19】
0.001質量%から10質量%までの硬化剤を含む、請求項1から18のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項20】
硬化剤が脂肪族もしくは芳香族アミン又はそれらの夫々の付加物、アミドアミン、ポリアミド、脂環式アミン、酸無水物、ポリカルボン酸ポリエステル、イソシアネート、フェノール系樹脂(例えば、フェノール樹脂又はクレゾールノボラック樹脂、フェノールテルペンのコポリマーの如きコポリマー、ポリビニルフェノール、又はビスフェノール-Aホルムアルデヒドコポリマー、ビスヒドロキシフェニルアルカン等)、又はこれらの混合物から選ばれる、請求項1から19のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項21】
硬化剤が変性及び未変性のポリアミン又はポリアミド、例えば、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、シアノグアニジン及びジシアンジアミドから選ばれる、請求項20記載の接着剤配合物。
【請求項22】
硬化剤の促進剤を含む、請求項1から21のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項23】
エポキシ樹脂を含む、請求項1から22のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項24】
2質量%〜15質量%のエポキシ樹脂を含む、請求項23記載の接着剤配合物。
【請求項25】
エポキシ樹脂が液体樹脂である、請求項24記載の接着剤配合物。
【請求項26】
発泡剤を含む、請求項1から25のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項27】
充填剤を含む、請求項1から26のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項28】
充填剤が粒状材料(粉末)、ビーズ、微小球から選ばれる、請求項27記載の接着剤配合物。
【請求項29】
充填剤がシリカ、ケイソウ土、ガラス、クレー(ナノクレーを含む)、タルク、顔料、着色剤、ガラスビーズ又は気泡、ガラス、カーボン又はセラミック繊維、ナイロン又はパラ-アラミド繊維から選ばれる、請求項27又は請求項28記載の接着剤配合物。
【請求項30】
充填剤の量が10質量%から90質量%までの範囲である、請求項27から29のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項31】
一種以上の液体ポリスルフィドを含む、請求項1から30のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項32】
3質量%から25質量%までのエポキシ/エラストマー付加物、3質量%から20質量%までのフェノキシ樹脂、5質量%から30質量%までのコアー/シェルポリマー、及び1質量%から10質量%までの硬化剤を含む、請求項1から31のいずれかに記載の接着剤配合物。
【請求項33】
5%〜75%の一種以上のエポキシ樹脂、0.2%〜3%の硬化促進剤、0.1%〜50%の鉱物充填剤、0.1%〜3.0%のクレー及び/又はシリカを含む、請求項32記載の接着剤配合物。
【請求項34】
エポキシ樹脂が液体エポキシ樹脂である、請求項33記載の接着剤配合物。
【請求項35】
エポキシエラストマー付加物及びコアー/シェルポリマーを固体形態で供給し、フェノキシ樹脂の溶液とブレンドすることを特徴とする、請求項1から34のいずれかに記載の接着剤配合物の調製方法。
【請求項36】
エポキシ樹脂が液体エポキシ樹脂である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
硬化された場合にくさび衝撃試験で-40℃で20N/mmより大きい強さを有する接着剤。
【請求項38】
請求項1から34のいずれかに記載の接着剤を結合すべき材料に適用し、その組立体を120℃〜200℃の範囲の温度で硬化することを特徴とする結合方法。
【請求項39】
材料が金属シートを含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
金属が溶接フランジを含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
材料がポリマー又はポリマー複合材料を含む、請求項38記載の方法。
【請求項42】
接着剤を液体として適用する、請求項38から41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
接着剤をペーストとして適用する、請求項38から41のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
接着剤を固体として適用する、請求項38から41のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
自動車又はエアークラフト組立体中の請求項1から34のいずれか記載の接着剤の使用。

【公表番号】特表2011−516675(P2011−516675A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503370(P2011−503370)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002546
【国際公開番号】WO2009/124709
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(508036075)ゼフィロス インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】