説明

構造材の結合構造

【課題】 部品点数が少ない簡単な構造で容易に取り付けることができ、且つ、外力に対して緩み難くて強固な締結力を得ることができるような構造材の結合構造を提供すること。
【解決手段】 一方の柱材の側面に他方の柱材を垂直に突き当てた状態で結合する構造材の結合構造において、他方の柱材の内側にあって一方の柱材の側面に設けられた溝の幅方向に移動可能に設置された一対の締結部材と、他方の柱材の内側であって一対の締結部材の間に配置されたナット機構と、他方の柱材に設けられた開口部を介して外側から操作されてナット機構に螺合されるボルトとを具備し、ボルトを回転させることによりナット機構の作用によって一対の締結部材を相互に離間させる方向に付勢・移動させ、一対の締結部材の端部に夫々設けられた係合凸部を一方の柱材の溝の幅方向両端に夫々設けられた係合凹部に係合させて結合状態を得るようにしたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を直交する方向から突き当てて、その状態で両柱材を結合するための構造材の結合構造に係り、特に、部品点数が少ない簡単な構造で容易に結合することができ、且つ、外力に対して緩み難くて強固な締結力を得ることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を直交する方向から突き当てて、その状態で両柱材を結合する場合には、次のような結合構造により行っていた。まず、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を突き当て、該突き当て部分の角部に略三角形状のブラケットを止めねじによって取付・固定する。
【0003】
又、別の結合構造として次のようなものがある。まず、一方の柱材の蟻溝内に、該蟻溝の外方に延出する端部が形成された結合体を嵌合させる。次に、上記一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を突き当てる。そして、既に述べた結合体の端部を止めねじによって他方の柱材の蟻溝内の所定位置に固定するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、最初の従来例の場合には、ブラケットを一方の柱材と他方の柱材の夫々に対して止めねじによって取り付けなければならず、その際多数の止めねじを必要としてしまうという問題があった。又、それら多数の止めねじを締結工具を使用してねじ込む作業が必要となり、多くの労力と長い時間を要してしまうという問題があった。
又、最初の従来例の場合には、一方の柱材の側面に対して他方の柱材の端面を突き当てた状態で、ブラケットをねじ止めする作業となり、その際、両柱材の安定性を欠くことになってしまい、作業性が悪いという問題があった。
又、二番目の従来例の場合にも、一方の柱材の側面に対して他方の柱材の端面を突き当てた状態で、結合体をねじ止めする作業となり、その際、両柱材の安定性を欠くことになってしまい、作業性が悪いという問題があった。
【0005】
尚、上記問題点を解決するものとして、例えば、特許文献1、特許文献2等に開示された発明がある。これらは何れも本件特許出願人によるものである。
【特許文献1】特開2002−61302号公報
【特許文献2】特開2007−154924号公報
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、部品点数が少ない簡単な構造で容易に取り付けることができ、且つ、外力に対して緩み難くて強固な締結力を得ることができるような構造材の結合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による構造材の結合構造は、一方の柱材の側面に他方の柱材を垂直に突き当てた状態で結合する構造材の結合構造において、上記他方の柱材の内側にあって上記一方の柱材の側面に設けられた溝の幅方向に移動可能に設置された一対の締結部材と、上記他方の柱材の内側であって上記一対の締結部材の間に配置されたナット機構と、上記他方の柱材に設けられた開口部を介して外側から操作されて上記ナット機構に螺合されるボルトと、を具備し、上記ボルトを回転させることにより上記ナット機構の作用によって上記一対の締結部材を相互に離間させる方向に付勢・移動させ、上記一対の締結部材の端部に夫々設けられた係合凸部を上記一方の柱材の溝の幅方向両端に夫々設けられた係合凹部に係合させて結合状態を得るようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項2による構造材の結合構造は、請求項1記載の構造材の結合構造において、上記ナット機構は、上記他方の柱材の内側であって上記一対の締結部材の間に配置され上記一対の締結部材の一対のテーパ面に対向するテーパ面を夫々備えていると共にそれとは別のテーパ面を対向させた状態で備える一対の中間付勢部材と、上記一対の中間付勢部材の間に配置され上記一対の中間付勢部材の夫々のテーパ面に対向する一対のテーパ面を備えたナットとから構成されていて、上記ボルトを上記ナットに螺合させることによりナットをボルト側に引き寄せ、ナットのテーパ面と上記一対の中間付勢部材のテーパ面との相互作用によって上記一対の中間付勢部材を相互に離間する方向に付勢・移動させ、該一対の中間付勢部材の離間方向への移動によって一対の中間付勢部材のテーパ面と上記一対の締結部材のテーパ面との相互作用によって上記一対の締結部材を相互に離間する方向に付勢・移動させるようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項3による構造材の結合構造は、請求項2記載の構造材の結合構造において、上記一対の中間付勢部材は上記他方の柱材の長手方向に沿って移動するものであり、それによって、上記一対の締結部材を上記溝の幅方向に沿って移動させるものであることを特徴とするものである。
又、請求項4による構造材の結合構造は、請求項2又は請求項3記載の構造材の結合構造において、上記一対の中間付勢部材には夫々ガイド溝が設けられていて、一方、上記ナットには上記ガイド溝に対して移動可能に係合するガイド部が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項5による構造材の結合構造は、請求項2〜請求項4の何れかに記載の構造材の結合構造において、上記一対の締結部材には夫々凹部が形成されていて上記テーパ面は該凹部内に設けられており、上記一対の中間付勢部材とナットは上記凹部内に収容されるように構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項6による構造材の結合構造は、請求項1記載の構造材の結合構造において、上記ナット機構は上記他方の柱材の内側であって上記一対の締結部材の間に配置され夫々が備えているテーパ面を対向させた状態で設置された一対のナットから構成されていて、上記ボルトを回転させることにより上記一対のナットのテーパ面の相互作用により該一対のナットを外側に移動させ、それによって、外側に配置されている上記一対の締結部材を相互に離間させる方向に付勢・移動させるようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項7による構造材の結合構造は、請求項6記載の構造材の結合構造において、上記一対のナットは上記ボルトの軸方向に沿って夫々のテーパ面を密着させた状態で積層・配置されていて、ボルトを螺合させていくことによりボルトから離間した側に配置されたナットがボルト側に引き寄せられ、それによって、一対のナットが外側に移動すると共にその外側に配置されている上記一対の締結部材が相互に離間する方向に移動するものであることを特徴とするものである。
又、請求項8による構造材の結合構造は、請求項6又は請求項7記載の構造材の結合構造において、上記一対の締結部材には上記一対のナットが嵌合する嵌合凹部が夫々形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように本願発明の請求項1による構造材の結合構造は、一方の柱材の側面に他方の柱材を垂直に突き当てた状態で結合する構造材の結合構造において、上記他方の柱材の内側にあって上記一方の柱材の側面に設けられた溝の幅方向に移動可能に設置された一対の締結部材と、上記他方の柱材の内側であって上記一対の締結部材の間に配置されたナット機構と、上記他方の柱材に設けられた開口部を介して外側から操作されて上記ナット機構に螺合されるボルトと、を具備し、上記ボルトを回転させることにより上記ナット機構の作用によって上記一対の締結部材を相互に離間させる方向に付勢・移動させ、上記一対の締結部材の端部に夫々設けられた係合凸部を上記一方の柱材の溝の幅方向両端に夫々設けられた係合凹部に係合させて結合状態を得るように構成されているので、まず、少ない部品点数で所望の結合状態を得ることができる。具体的には一対の締結部材、ナット機構、ボルトによって所望の結合状態が得られるものである。よって、部品管理も容易であると共にコスト的にも好ましいものである。
又、ナットにボルトを螺合させると共に一対の締結部材を溝に設置した状態で他方の柱材によって覆い隠すようにし、後は他方の柱材の開口部を介してボルトを回転させるだけで所望の結合状態をえられるので、結合作業を容易化して作業に要する労力の軽減と時間の短縮化を図ることができる。
又、ナットにボルトを螺合させると共に一対の締結部材を溝に設置した状態で他方の柱材によって覆い隠すようにしているので、結合作業時の安定性も十分に確保されるものである。
又、ナット機構の作用と一対の締結部材の係合凸部と溝の係合凹部の係合構造によって、強固な結合状態を得ることができる。
又、請求項2による構造材の結合構造は、請求項1記載の構造材の結合構造において、上記ナット機構は、上記他方の柱材の内側であって上記一対の締結部材の間に配置され上記一対の締結部材の一対のテーパ面に対向するテーパ面を夫々備えていると共にそれとは別のテーパ面を対向させた状態で備える一対の中間付勢部材と、上記一対の中間付勢部材の間に配置され上記一対の中間付勢部材の夫々のテーパ面に対向する一対のテーパ面を備えたナットとから構成されていて、上記ボルトを上記ナットに螺合させることによりナットをボルト側に引き寄せ、ナットのテーパ面と上記一対の中間付勢部材のテーパ面との相互作用によって上記一対の中間付勢部材を相互に離間する方向に付勢・移動させ、該一対の中間付勢部材の離間方向への移動によって一対の中間付勢部材のテーパ面と上記一対の締結部材のテーパ面との相互作用によって上記一対の締結部材を相互に離間する方向に付勢・移動させるように構成しているので、上記した効果を確実に得ることができるものである。
又、請求項3による構造材の結合構造は、請求項2記載の構造材の結合構造において、上記一対の中間付勢部材は上記他方の柱材の長手方向に沿って移動するものであり、それによって、上記一対の締結部材を上記溝の幅方向に沿って移動させるように構成されているので、上記効果をより確実に得ることができる。
又、請求項4による構造材の結合構造は、請求項2又は請求項3記載の構造材の結合構造において、上記一対の中間付勢部材には夫々ガイド溝が設けられていて、一方、上記ナットには上記ガイド溝に対して移動可能に係合するガイド部が設けられているので、一対の中間付勢部材とナットの位置ずれを防止することができ、それによって、締結作業の容易化を図ることができる。
又、請求項5による構造材の結合構造は、請求項2〜請求項4の何れかに記載の構造材の結合構造において、上記一対の締結部材には夫々凹部が形成されていてテーパ面は該凹部内に設けられており、上記一対の中間付勢部材とナットは上記凹部内に収容されるように構成されているので、位置ずれ防止と締結作業の容易化を図ることができる。
又、請求項6による構造材の結合構造は、請求項1記載の構造材の結合構造において、上記ナット機構は上記他方の柱材の内側であって上記一対の締結部材の間に配置され夫々が備えているテーパ面を対向させた状態で設置された一対のナットから構成されていて、上記ボルトを回転させることにより上記一対のナットのテーパ面の相互作用により該一対のナットを外側に移動させ、それによって、外側に配置されている上記一対の締結部材を相互に離間させる方向に付勢・移動させるように構成したので、請求項1による効果を確実に得ることができると共に、部品点数をさらに減少させることができる。
又、請求項7による構造材の結合構造は、請求項6記載の構造材の結合構造において、上記一対のナットは上記ボルトの軸方向に沿って夫々のテーパ面を密着させた状態で積層・配置されていて、ボルトを螺合させていくことによりボルトから離間した側に配置されたナットがボルト側に引き寄せられ、それによって、一対のナットが外側に移動すると共にその外側に配置されている上記一対の締結部材が相互に離間する方向に移動するものとして構成されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項8による構造材の結合構造は、請求項6又は請求項7記載の構造材の結合構造において、上記一対の締結部材には上記一対のナットが嵌合する嵌合凹部が夫々形成されているので、位置ずれ防止と締結作業の容易化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1乃至図6を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。まず、一方の柱材1があり、この柱材1はその横断面形状が略正方形をなしていて、且つ、中空形状をなしている。すなわち、柱材1の中央部には中空部3が形成されている。この中空部3は柱材1の長手方向に沿って延長・形成されている。又、柱材1の横断面形状における四隅には別の中空部5が形成されている。これら4個の中空部5も柱材1の長手方向に沿って延長・形成されている。
【0010】
又、柱材1の4個の側面7には溝9が形成されている。この溝9の幅方向両端には係合凹部11、11が形成されている。
【0011】
上記一方の柱材1の任意の側面7には他方の柱材1´が直交する方向から突き当てられて結合される。上記他方の柱材1´も上記一方の柱材1と同じ形状をなしている。図中同一部分には同一符号に´を付して示す。又、他方の柱材1´の特定の溝9´には開口部21が形成されている。この開口部21を介して後述するボルトを操作するものである。
【0012】
上記一方の柱材1の任意の溝7には一対の中間付勢部材31、31が図3中上下に対向した状態で設置されている。これら一対の中間付勢部材31、31の内一方の中間付勢部材31にはガイド溝33、33が設けられている。同様に、他方の中間付勢部材31にもガイド溝33、33が設けられている。上記ガイド溝33、33の間にはテーパ面35が形成されている。又、上記テーパ面35にはその横断面形状が半円形の凹部37が形成されている。又、上記一対の中間付勢部材31、31の内一方の中間付勢部材31にはその外側に別のテーパ面39、39が形成されている。同様に、他方の中間付勢部材31にもその外側にテーパ面39、39が形成されている。
【0013】
上記一対の中間付勢部材31、31の間にはナット41が設置されている。上記ナット41には上記一対の中間付勢部材31、31の夫々に設けられたガイド溝33、33に対して移動可能な状態で係合するガイド部43、43、43、43が夫々形成されている。又、上記ナット41の図中上下位置の面は夫々テーパ面45、45となっている。これらテーパ面45、45は既に説明した一対の中間付勢部材31、31側のテーパ面35、35に対向するように配置されている。又、上記ナット41には雌ねじ部47が設けられている。
【0014】
又、上記一対の中間付勢部材31、31を図3中左右方向から挟み込むように一対の締結部材51、51が設置されている。これら一対の締結部材51、51には、図6に示すように、凹部53、53が夫々形成されている。上記凹部53にはテーパ面55、55が形成されている。これらテーパ面55、55は既に説明した一対の中間付勢部材31、31の夫々のテーパ面39 、39に対向するように配置されている。
【0015】
上記一対の締結部材51、51の内、図6中左側に配置されている締結部材51には貫通孔57が形成されており、この貫通孔57の外側にはより大径の凹部59が形成されている。又、上記一対の締結部材51、51の内、図6中右側に配置されている締結部材51には貫通孔61が形成されており、その貫通孔61のさらに外側にはより大径の凹部63が形成されている。又、上記一対の締結部材51、51の図6中外側下端部には係合凸部65、65が形成されている。
【0016】
又、ボルト71が設置されていて、このボルト71は上記一対の締結部材51、51の内図6中左側に配置されている締結部材51の凹部59、貫通孔57、一対の中間付勢部材31、31の凹部37、37を介して挿通されて上記ナット41の雌ねじ部47に螺合される。上記ボルト71のナット41への螺合によってナット41がボルト71側に引き寄せられる。それによって、ナット41の一対のテーパ面45、45と一対の中間付勢部材31、31のテーパ面35、35の相互作用によって一対の中間付勢部材31、31が相互に離間する方向(図3、図6中上下方向)に付勢・移動される。上記一対の中間付勢部材31、31の移動によって、中間付勢部材31、31の夫々のテーパ面39、39、一対の締結部材51、51の夫々のテーパ面55、55の相互作用によって、上記一対の締結部材51、51が相互に離間する方向(溝9の幅方向)に付勢・移動されるように構成されている。
【0017】
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、図4及び図5に示すように、一対の中間付勢部材31、31とナット41を組み付ける。すなわち、一対の中間付勢部材31、31に夫々形成されているガイド溝33、33に対して、ナット41に設けられたガイド部43、43を係合させる。それによって、図4及び図5に示すアッセンブリーを得る。
【0018】
次に、図3に示すように、上記アッセンブリーを一方の柱材1の溝9上に設置すると共に、一対の締結部材51、51を上記溝9上に設置する。その状態で他方の柱材1´を設置する。この他方の柱材1´の設置によって、上記アッセンブリーと一対の締結部材51、51は他方の柱材1´内に隠されることになる。
【0019】
次に、ボルト71を他方の柱材1´の貫通孔21を介して差し込み、上記一対の締結部材51、51の内図6中左側に配置されている締結部材51の凹部59、貫通孔57、一対の中間付勢部材31、31の凹部37、37を介して挿通されて上記ナット41の雌ねじ部47に螺合させる。上記ボルト71のナット41への螺合によってナット41がボルト71側に引き寄せられる。それによって、ナット41の一対のテーパ面45、45と一対の中間付勢部材31、31のテーパ面35、35の相互作用によって一対の中間付勢部材31、31が相互に離間する方向(図3、図6中上下方向)に付勢・移動される。上記一対の中間付勢部材31、31の移動によって、中間付勢部材31、31の夫々のテーパ面39、39、一対の締結部材51、51の夫々のテーパ面55、55の相互作用によって、上記一対の締結部材51、51が相互に離間する方向(溝9の幅方向)に付勢・移動されるように構成されている。
【0020】
そして、上記一対の締結部材51、51の結合凸部65、65は溝9の係合凹部11、11に係合することになり、それによって、強固な締結状態を得ることができるものである。
【0021】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、少ない部品点数で所望の結合状態を得ることができる。具体的には一対の中間付勢部材31、31、ナット41、一対の締結部材51、51、ボルト71によって所望の結合状態が得られるものである。よって、部品管理も容易であると共にコスト的にも好ましいものである。
又、一対の中間付勢部材31、31、ナット41、一対の締結部材51、51を溝9に設置した状態で他方の柱材1´によって覆い隠すようにし、後は他方の柱材1´の開口部21を介してボルト71を螺合させるだけで所望の結合状態をえられるので、結合作業を容易化して作業に要する労力の軽減と時間の短縮化を図ることができる。
又、一対の中間付勢部材31、31、ナット41、一対の締結部材51、51を溝9に設置した状態で他方の柱材1´によって覆い隠すようにしているので、結合作業時の安定性も十分に確保されるものである。
又、一対の締結部材51、51の係合凸部65、65と溝9の係合凹部11、11の係合構造によって、強固な結合状態を得ることができる。
又、上記一対の中間付勢部材31、31とナット41はガイド溝33、33とガイド部43、43の係合構造によって組み付けられる構成になっているので、両者の位置ずれ等を防止することができ、それによっても結合作業時の安定性も十分に確保されるものである。
又、一対の締結部材51、51は、図6において、上下二箇所において付勢されるように構成されているので、一対の締結部材51、51が傾いたり撓んだりすることを効果的に防止することができる。
【0022】
次に、図7乃至図12を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。まず、一方の柱材101があり、この柱材101はその横断面形状が略正方形をなしていて、且つ、中空形状をなしている。すなわち、柱材101の中央部には中空部103が形成されている。この中空部103は柱材101の長手方向に沿って延長・形成されている。又、柱材101の横断面形状における四隅には別の中空部105が形成されている。これら4個の中空部105も柱材101の長手方向に沿って延長・形成されている。
【0023】
又、柱材101の4個の側面107には溝109が形成されている。この溝109の幅方向両端には係合凹部111、111が形成されている。
【0024】
上記一方の柱材101の任意の側面107には他方の柱材101´が直交する方向から突き当てられて結合される。上記他方の柱材101´も上記一方の柱材1と同じ形状をなしている。図中同一部分には同一符号に´を付して示す。又、他方の柱材101´の特定の溝109´には開口部121が形成されている。この開口部121を介して後述するボルトを操作するものである。
【0025】
又、図9、図10、図12に示すように、他方の柱材101´内には一対の締結部材123、123が対向する状態で位置されている。これら一対の締結部材123、123は、一方の柱材101の任意の側面107の溝109において溝109の幅方向に移動可能な状態で設置されている。すなわち、上記一対の締結部材123、123の図9、図10、図12中底面にはガイド面125、125が夫々設けられている。これらガイド面125、125が溝109の底面に対して摺動・接触することになる。又、上記締結部材123、123の図9、図10、図12中下端部であって外側端には係合凸部127、127が形成されている。これら係合凸部127、127が既に説明した溝109の係合凹部111、111に係合することになる。
【0026】
又、上記一対の締結部材123、123の外形は、他方の柱材101´の中空部103´の内面形状に合致するような形状になっている。
【0027】
又、図9、図10、図12に示すように、上記一対の締結部材123、123の間には一対のナット131、131が設置されている。上記一対のナット131、131には夫々テーパ面133、133が形成されている。上記テーパ面133の傾斜角α°は20°に設定されている。
但し、それはあくまで一例でありそれに限定されるものではない。
又、既に説明した一対の締結部材123、123には、上記ナット131、131が夫々嵌合する嵌合凹部135、135が形成されている。又、上記一対のナット131、131には雌ねじ部137、137が夫々形成されている。
【0028】
又、上記一対のナット131、131の雌ねじ部137、137にはボルト139が螺合される構成になっている。上記ボルト139を一対のナット131、131の雌ねじ部137、137に螺合させることにより、ボルト139から離間した側に配置されているナット131をボルト139側に引き寄せる。それによって、夫々のナット131、131のテーパ面133、133の相互作用によって一対のナット131、131が外側に付勢・移動されることになる。
【0029】
上記一対のナット131、131の外側への付勢・移動によって、さらにその外側に配置されている一対の締結部材123、123が外側に付勢・移動される。そして、一対の締結部材123、123が外側に付勢・移動されることにより一対の締結部材123、123の係合凸部127、127が溝109の係合凹部111、111に係合することになる。それによって、強固な結合状態を得るものである。
【0030】
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、図10、図11に示すように、一対のナット131、131に対してボルト139をある程度螺合させて一体化させる。次に、図10に示すように、一対の締結部材123、123と、上記一体化された一対のナット131、131、ボルト139を一方の柱材101の側面107の溝109上に設置する。そして、設置された一対の締結部材123、123と、上記一体化された一対のナット131、131、ボルト139を覆い隠すように他方の柱材101´を設置する。
【0031】
上記作業によって図7に示すような外観状態となる。次に、他方の柱材101´に形成された開口部121を介して図示しない冶具を使用してボルト139を一対のナット131、131に対してさらに螺合させる。それによって、図11に示すように、ボルト139から離間した側に配置されているナット131がボルト139側に引き寄せられることになる。その際、一対のナット131、131の夫々のテーパ面133、133の相互作用によって一対のナット131、131が外側に付勢・移動せられることになる。
【0032】
上記一対のナット131、131の外側への付勢・移動によって、その外側に配置されている一対の締結部材123、123が外側に付勢・移動せられることになる。一対の締結部材123、123はそのガイド面125、125を溝109の底面に対して摺動・接触させながら外側に付勢・移動されていく。そして、一対の締結部材123、123の係合凸部127、127が溝109の係合凹部111、111に係合することになり、それによって、強固な結合状態を得ることができる。
【0033】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、少ない部品点数で所望の結合状態を得ることができる。具体的には一対の締結部材123、123、一対のナット131、131、ボルト139によって所望の結合状態が得られるものである。よって、部品管理も容易であると共にコスト的にも好ましいものである。
又、一対のナット131、131にボルト139を螺合させ、それと一対の締結部材123、123を溝109に設置した状態で他方の柱材101´によって覆い隠すようにし、後は他方の柱材101´の開口部121を介してボルト139を螺合させるだけで所望の結合状態をえられるので、結合作業を容易化して作業に要する労力の軽減と時間の短縮化を図ることができる。
又、一対のナット131、131にボルト139を螺合させ、それと一対の締結部材123、123を溝109に設置した状態で他方の柱材101´によって覆い隠すようにしているので、結合作業時の安定性も十分に確保されるものである。
又、一対のナット131、131のテーパ面133、133の作用、一対の締結部材123、123の係合凸部127、127と溝109の係合凹部111、111の係合構造によって、強固な結合状態を得ることができる。
又、上記一対の締結部材123、123には上記一対のナット131、131が嵌合する嵌合凹部135、135が形成されているので、一対の締結部材123、123と一対のナット131、131の位置がずれるようなことはなく、所望の効果をより確実に得ることができる。
【0034】
尚、本発明は前記第1、第2の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、一対の締結部材やナットの形状に関しては図示したものに限定されるものではない。
その他、各部の構成については様々なものが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、例えば、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を直交する方向から突き当て、その状態で両柱材を結合するための構造材の結合構造に係り、特に、部品点数が少ない簡単な構造で容易に取り付けることができ、且つ、外力に対して緩み難くて強固な締結力を得ることができるように工夫したものに関し、例えば、アルミ製の柱材の側面に別のアルミ製の柱材を直交する方向から突き当てて接合して、例えば、工作機械の架台を構築するような場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を突き当てて結合した状態を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を突き当てて結合した状態を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を突き当てて結合した状態を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、一対の中間付勢部材とナットを組み付けた状態を示す正面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、一対の中間付勢部材とナットを組み付けた状態を示す側面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を突き当てて結合した状態を示すと共に作用を説明するための正断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す図で、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を突き当てて結合した状態を示す正面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す図で、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を突き当てて結合した状態を示す側面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示す図で、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を突き当てて結合した状態を示す分解斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態を示す図で、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を突き当てて結合した状態を示す分解正面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態を示す図で、一対のナットの構成を示す正面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態を示す図で、一方の柱材の側面に他方の柱材の端面を突き当てて結合した状態を示すと共に作用を説明するための正断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 一方の柱材
7 側面
9 溝
11 係合凹部
1´ 一方の柱材
7´ 側面
9´ 溝
11´ 係合凹部
21 開口部
31 中間付勢部材
33 ガイド溝
35 テーパ面
39 テーパ面
41 ナット
43 ガイド部
45 テーパ面
47 雌ねじ部
51 締結部材
53 凹部
55 テーパ面
65 係合凸部
71 ボルト
101 一方の柱材
107 側面
109 溝
111 係合凹部
101´ 一方の柱材
107´ 側面
109´ 溝
111´ 係合凹部
123 締結部材
127 係合凸部
131 ナット
133 テーパ面
139 ボルト



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の柱材の側面に他方の柱材を垂直に突き当てた状態で結合する構造材の結合構造において、
上記他方の柱材の内側にあって上記一方の柱材の側面に設けられた溝の幅方向に移動可能に設置された一対の締結部材と、
上記他方の柱材の内側であって上記一対の締結部材の間に配置されたナット機構と、
上記他方の柱材に設けられた開口部を介して外側から操作されて上記ナット機構に螺合されるボルトと、を具備し、
上記ボルトを回転させることにより上記ナット機構の作用によって上記一対の締結部材を相互に離間させる方向に付勢・移動させ、上記一対の締結部材の端部に夫々設けられた係合凸部を上記一方の柱材の溝の幅方向両端に夫々設けられた係合凹部に係合させて結合状態を得るようにしたことを特徴とする構造材の結合構造。
【請求項2】
請求項1記載の構造材の結合構造において、
上記ナット機構は、上記他方の柱材の内側であって上記一対の締結部材の間に配置され上記一対の締結部材の一対のテーパ面に対向するテーパ面を夫々備えていると共にそれとは別のテーパ面を対向させた状態で備える一対の中間付勢部材と、上記一対の中間付勢部材の間に配置され上記一対の中間付勢部材の夫々のテーパ面に対向する一対のテーパ面を備えたナットとから構成されていて、
上記ボルトを上記ナットに螺合させることによりナットをボルト側に引き寄せ、ナットのテーパ面と上記一対の中間付勢部材のテーパ面との相互作用によって上記一対の中間付勢部材を相互に離間する方向に付勢・移動させ、該一対の中間付勢部材の離間方向への移動によって一対の中間付勢部材のテーパ面と上記一対の締結部材のテーパ面との相互作用によって上記一対の締結部材を相互に離間する方向に付勢・移動させるようにしたことを特徴とする構造材の結合構造。
【請求項3】
請求項2記載の構造材の結合構造において、
上記一対の中間付勢部材は上記他方の柱材の長手方向に沿って移動するものであり、それによって、上記一対の締結部材を上記溝の幅方向に沿って移動させるものであることを特徴とする構造材の結合構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の構造材の結合構造において、
上記一対の中間付勢部材には夫々ガイド溝が設けられていて、一方、上記ナットには上記ガイド溝に対して移動可能に係合するガイド部が設けられていることを特徴とする構造材の結合構造。
【請求項5】
請求項2〜請求項4の何れかに記載の構造材の結合構造において、
上記一対の締結部材には夫々凹部が形成されていて上記テーパ面は該凹部内に設けられており、上記一対の中間付勢部材とナットは上記凹部内に収容されるように構成されていることを特徴とする構造材の結合構造。
【請求項6】
請求項1記載の構造材の結合構造において、
上記ナット機構は上記他方の柱材の内側であって上記一対の締結部材の間に配置され夫々が備えているテーパ面を対向させた状態で設置された一対のナットから構成されていて、
上記ボルトを回転させることにより上記一対のナットのテーパ面の相互作用により該一対のナットを外側に移動させ、それによって、外側に配置されている上記一対の締結部材を相互に離間させる方向に付勢・移動させるようにしたことを特徴とする構造材の結合構造。
【請求項7】
請求項6記載の構造材の結合構造において、
上記一対のナットは上記ボルトの軸方向に沿って夫々のテーパ面を密着させた状態で積層・配置されていて、ボルトを螺合させていくことによりボルトから離間した側に配置されたナットがボルト側に引き寄せられ、それによって、一対のナットが外側に移動すると共にその外側に配置されている上記一対の締結部材が相互に離間する方向に移動するものであることを特徴とする構造材の結合構造。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の構造材の結合構造において、
上記一対の締結部材には上記一対のナットが嵌合する嵌合凹部が夫々形成されていることを特徴とする構造材の結合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−114645(P2009−114645A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285882(P2007−285882)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(595034204)SUS株式会社 (40)
【Fターム(参考)】