説明

構造物の球形度を計算する方法

【課題】構造物の球形度を決定する手法と提供する。
【解決手段】球形度を決定するシステム(500)は、構造物の三次元モデルについて共分散行列を計算するように構成され、また共分散行列とモデル化された構造物の長軸に関連した長軸ベクトルとを用いて構造物の球形度を計算するように構成されたコンピュータ処理装置(502)を含む。特定の実施形態では、処理装置(502)は、球形度を共分散行列の行列式と長軸方向におけるモデルの範囲の三乗との間の比として計算するように構成することができる。特定の実施形態では、構造物の画像を取得し且つ構造物の三次元モデルを求めるように構成された、超音波スキャナのようなイメージング装置(508)を含み得る。特定の実施形態では、ユーザーがモデル化された構造物の長軸を識別することができるように構成されたユーザー・インターフェース(504)を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明技術の実施形態は、一般的に云えば、構造物の球形度を決定することに関するものである。特定の実施形態は、左心室のような心臓構造物の球形度を決定することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
左心室の球形度を決定することは有用な診断手段となり得る。例えば、左心室の形状が球により近くなるような球形度の増大は、生存率の減少及び僧帽弁逆流の出現の増大に関連する。
【0003】
左心室上の被識別目印を用いて左心室の球形度をモデル化する手法が存在する。しかしながら、公知の手法は、目印の配置場所に影響され易いと云う欠点がある。言い換えると、モデル化された左心室に関連した球形度の値が、モデル化処理に用いられる目印の配置場所に基づいて大幅に変動するおそれがある。このような変動は不確実さを生じさせることあり、これは臨床状況では望ましくない。
【0004】
従って、精度を改善し及び/又は変動(バラツキ)を少なくして、構造物の球形度を決定することのできる改良システム及び方法が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Mannaerts, Herman, F.J., et al, "Early identification of left venticular remodeling after myocardinal infraction, assessed by transthoratic 3D echocardiograpyhy", European Heary Journal (2004) 25,680-687。
【発明の概要】
【0006】
本発明技術の実施形態は、構造物の球形度を決定する手法を提供する。
【0007】
特定の実施形態は、構造物の球形度を決定する方法を提供する。本方法は、コンピュータ処理装置を使用して、構造物の三次元モデルについて共分散行列を計算する工程と、処理装置を使用して、共分散行列とモデル化された構造物の長軸に関連した長軸ベクトルとを用いて構造物の球形度を計算する工程と、を有する。
【0008】
特定の実施形態では、本方法は更に、共分散行列を回転させて、回転後の共分散行列の第1の軸をモデル化された構造物の長軸と整列させるようにする工程を含む。
【0009】
特定の実施形態では、球形度は、共分散行列の行列式と長軸方向におけるモデルの範囲の三乗との間の比として計算される。
【0010】
特定の実施形態では、球形度は共分散行列の固有値分解を用いて計算され、その球形度は、共分散行列の主固有値と共分散行列の複数の非主固有値との間の比として計算される。
【0011】
特定の実施形態では、三次元モデルは三角形メッシュ表面モデルを有する。
【0012】
特定の実施形態では、本方法は更に、イメージング装置を使用して、構造物の画像を取得し且つ構造物の三次元モデルを求める工程を含む。
【0013】
特定の実施形態では、イメージング装置は超音波スキャナを有する。
【0014】
特定の実施形態では、本方法は更に、イメージング装置を使用して、モデル化された構造物の長軸を自動的に識別する工程を含む。
【0015】
特定の実施形態では、本方法は更に、ユーザー・インターフェースを使用して、モデル化された構造物の長軸を識別する工程を含む。
【0016】
特定の実施形態では、構造物は人の心臓の左心室を含む。
【0017】
特定の実施形態は、構造物の球形度を決定するためのシステムを提供する。本システムは、構造物の三次元モデルについて共分散行列を計算するように構成されたコンピュータ処理装置を有し、該処理装置は、共分散行列とモデル化された構造物の長軸に関連した長軸ベクトルとを用いて構造物の球形度を計算するように構成される。
【0018】
特定の実施形態では、処理装置は、共分散行列を回転させて、回転後の共分散行列の第1の軸をモデル化された構造物の長軸と整列させるように構成される。
【0019】
特定の実施形態では、処理装置は、共分散行列の行列式と長軸方向におけるモデルの範囲の三乗との間の比として球形度を計算するように構成される。
【0020】
特定の実施形態では、処理装置は、共分散行列の固有値分解を用いて球形度を計算するように構成され、球形度は共分散行列の主固有値と共分散行列の複数の非主固有値との間の比として計算される。
【0021】
特定の実施形態では、本システムは更に、構造物の画像を取得し且つ構造物の三次元モデルを求めるように構成されたイメージング装置を含む。
【0022】
特定の実施形態では、イメージング装置は超音波スキャナを有する。
【0023】
特定の実施形態では、イメージング装置は、モデル化された構造物の長軸を自動的に識別するように構成される。
【0024】
特定の実施形態では、本システムは更に、ユーザーがモデル化された構造物の長軸を識別することができるように構成されたユーザー・インターフェースを含む。
【0025】
特定の実施形態は、処理装置及び関連した処理論理で実行するための一組の命令で符号化された持続性のコンピュータ読取り可能な記憶媒体を提供する。その場合、一組の命令は、構造物の三次元モデルについて共分散行列を計算するように構成された第1のルーチンを含み、該第1のルーチンは、共分散行列とモデル化された構造物の長軸に関連した長軸ベクトルとを用いて構造物の球形度を計算するように構成される。
【0026】
特定の実施形態では、第1のルーチンは、共分散行列を回転させて、回転後の共分散行列の第1の軸をモデル化された構造物の長軸と整列させるように構成される。
【0027】
特定の実施形態では、第1のルーチンは、球形度を共分散行列の行列式と長軸方向におけるモデルの範囲の三乗との間の比として計算するように構成される。
【0028】
特定の実施形態では、第1のルーチンは、共分散行列の固有値分解を用いて球形度を計算するように構成され、球形度は共分散行列の主固有値と共分散行列の複数の非主固有値との間の比として計算される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、表面メッシュ手法を用いて三次元モデル化されている左心室の線図表現である。
【図2】図2は、球を規定するためにも用いられる識別された頂部及び底部目印を含む左心室の線図表現である。
【図3】図3は、識別された頂部及び底部目印と共に示された、底部目印の1つが変化した場合の同じ左心室の2つの画像の線図表現である。
【図4】図4は、識別された頂部及び底部目印、並びに本発明技術の一実施形態に従って球形度を計算することに関連して用いることのできる固有値と共に示された、左心室の線図表現である。
【図5】図5は、本発明技術の一実施形態に従って使用されるシステムのブロック図である。
【図6】図6は、三角形区分のメッシュの容積、重心及び共分散行列を計算するために本発明技術の一実施形態に従って使用することのできるプログラム・リストを示す。
【図7】図7は、共分散行列及び長軸ベクトルに基づいて球形度を計算するために本発明技術の実施形態に従って使用することのできるプログラム・リストを示す。
【図8】図8は、本発明技術の一実施形態に従って用いられる方法を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上記の「発明の概要」、並びに本発明の実施形態についての以下の詳しい説明は、添付の図面を参照すればより良く理解されよう。本発明を例示する目的で、図面に特定の実施形態を示している。しかしながら、本発明が図面に示された構成及び手段に制限されないことを理解されたい。
【0031】
本発明技術の実施形態は一般的には、構造物の球形度を決定することに関する。特定の実施形態では、左心室のような心臓構造物の球形度を決定することに関する。
【0032】
本書で説明する実施形態は、左心室のような心臓構造物の球形度を決定することに関連するものである、本発明はこの用途に制限されるものではない。換言すると、本発明は、そのような決定が望まれている任意の構造物の球形度を決定するために用いることができる。
【0033】
図1は、表面メッシュ手法を用いて三次元(3D)モデル化されている左心室102の線図表現100である。左心室102の頂部104及び底部106が描かれている。頂部104及び底部106を示す目印はユーザー入力として規定するか、又は自動的に検出することができる。左心室の表面はメッシュの線によって表される。左心室102の室容積は、表面メッシュ手法を用いて3Dモデルから計算することができる。通常用いられる3Dモデルは三角形表面メッシュであるが、他の種類の表面及び固体モデルも用いることができる。
【0034】
従来では、左心室の球形度は、室の容積と、頂部及び底部目印を用いて生成される球の容積との間の比として、計算されている。図2は、このような球204を規定するためにも用いられる識別された頂部目印206及び底部目印208を含む左心室202の線図表現200である。この形態では、球形度は次式
球形度=[容積]/[(4/3)π(|頂部値−底部値|/2)3
を用いて規定される。
【0035】
球形度が1であることは、室が球であることを表しており、他方、球形度の値がそれより小さくなることは、より球に似なくなることを表す。正常な左心室は約0.3の球形度を示すことがあり、また側部に膨らみを持つ左心室が約0.4〜0.5の球形度を示すことがあり、これは心室がより球に類似し且つ多分に健康的でないことを表している。
【0036】
従来の方法が、変えることのできる頂部及び底部目印の配置場所に影響され易いと云う欠点を持つことが判明している。例えば、頂部目印はビューの遠近短縮に起因して異なって設置されるおそれがあり、また底部目印は僧帽弁を取り扱うための仕様に基づいて異なって配置されるおそれがある。
【0037】
図3は、頂部目印304並びに底部目印306、308、310及び318と共に示された、同じ左心室の2つの画像の線図表現300である。底部目印308は底部目印318とは異なっていて、異なる形状302,312を生成し、また異なる頂部−底部間の長さ(304から308まで、また304から318までの長さ)を生成する。従来の方法を用いると、目印配置位置のこの僅かな差の結果として、球形度が0.60から0.73へ変化して、0.13の差を生じるおそれがある。
【0038】
しかしながら、球形度を計算するために本書で述べる手法を適用すると、その結果として球形度が0.62から0.63へ変化して、0.01の差しか生じない。
【0039】
図4は、頂部目印404、底部目印406、並びに本発明技術の一実施形態に従って球形度を計算することに関連して用いることのできる固有値eLAX 、eC1及びeC2と共に示された左心室402の線図表現400である。
【0040】
図4に関連して、球形度は次のように決定することができる。先ず、公知のモデル化手法を用いて左心室の3D表面モデル(又は固体モデル)を生成することができる。次いで、該モデルを固体として取り扱って、次の体積積分C=∫V (x−μ)(x−μ)T dVの解を計算することによって、該モデルの3×3共分散行列Cを計算することができる。ここで、xは空間座標ベクトルであり、μは重心であり、またTは行列又はベクトル転置を表す。
【0041】
体積積分を計算するためのアルゴリズムは表面表現の選択に依存する。本書で説明する一例では三角形表面メッシュ手法を使用する。しかしながら、本書で述べる発明が三角形表面メッシュ手法に関連して用いることに制限されないこと、並びに他の表面表現手法を本発明技術の実施形態に関連して使用できることに留意されたい。他の可能性のあるモデル表現の例としては、限定するものではないが、有限要素メッシュ、スプライン曲面、細分表面、多角形メッシュ及び四角形メッシュが挙げられる。
【0042】
次いで、モデル化された心室の長軸が定められる。特定の実施形態では、長軸はアラインメント段階に基づいて定めることができ、この場合、ユーザーが、実際の頂部点及び底部点ではなく、モデルの長軸を定める。長軸はまた、モデル上の目印に基づいて定めることができる。特定の実施形態では、例えば、長軸は頂部目印及び底部目印を通る線として定めることができる。図4では、長軸は頂部目印404及び底部目印406を通る線である。特定の実施形態では、例えば、頂部目印及び底部目印は、ユーザーにより選択し及び/又はモデル化処理の一部として自動的に選択することができる。第3の代替態様は、共分散行列の主軸に基づいて長軸を計算することである。主軸は、共分散行列の固有値分解に基づいて、最大値の固有値に関連した固有ベクトルとして定められる。
【0043】
次いで、第1の軸をモデル化された心室の長軸と整列させるように共分散行列を回転させることによって、D=RCRT を生じるように、共分散行列を直交回転行列Rで回転させる。主軸がモデルの長軸を決定するために用いられる場合、回転ベクトルは固有ベクトルで構成され、その結果のD行列は、その対角要素として固有値を持つ対角行列になる。
【0044】
【数1】

回転後の共分散行列は長軸と2つの任意の直交軸とを有する。D1,1 項目は、長軸方向におけるモデルの分散、すなわち、範囲の二乗に対応し、これは図4に固有値eLAX として例示されている。D2,2 及びD3,3 は同様に、他の2つの周方向における範囲に対応し、これは図4に固有値eC1 と及びeC2 として例示されている。行列の行列式|D|は固有値の積、すなわち、長軸(主軸)及び2つの他の直交軸に沿ったモデルの範囲に等しく、従って、モデルの大きさ(サイズ)に対応する。
【0045】
次いで、球形度は、下記の式を用いて、行列式|D|と長軸方向における範囲の三乗との比の平方根として計算することができる。
【0046】
球形度=[(|D|)/(D1,1 31/2
( ≒[(高さ×長さ×幅)/(高さ)3 ] )。
【0047】
平方根演算は、二次分散数から、各方向におけるモデルのメトリック範囲に対応する線形標準偏差数へ変換するために、遂行される。
【0048】
回転後の共分散行列に基づいて球形度を計算するために用いられる実際の公式は、長軸方向及び他の方向における範囲の間の比を計算するための上述の原理に従う限り、変えることができる。特定の実施形態では、例えば、Dの下部2×2部分行列の平方根比を計算して、それをD1,1 の三乗した値で除算することができる。これは、長さに幅を乗算し、ついで高さの二乗で除算した比を計算することに対応し、これは、球形度についての上記の公式と同様な結果を与える。また、主軸を長軸として用いるとき、回転後の共分散は対角行列になり、上記公式は、D2,2 にD3,3 を乗算し、ついでD1,1 の二乗で除算した結果の平方根に簡単化される。
【0049】
完全な球では全ての固有値が等しい大きさであり、球形度の値は1になる。また、任意の固有方向におけるモデルのスケーリングは、同じ方向における球形度の対応するスケーリングにつながる。従って、本書で述べた原理に従って計算された球形度の値は、従来の方法を用いて決定された球形度の値と同様に構造物の球形度を反映する。すなわち、本書で述べた原理を用いて計算された0.5の球形度の値は、従来の方法を用いて決定された0.5の球形度の値と同じことを意味する。しかしながら、本書での原理を適用することにより、従来の方法よりもバラツキの小さい値の球形度を提供することができる。
【0050】
前に述べたように、本発明技術の実施形態に関連して三角形メッシュ表面手法を用いることができる。このような三角形メッシュは一度に1つの三角形ずつ処理することができる。すなわち、各々の三角形が頂点v1 、v2 及びv3 を含む場合、頂点v1 、v2 及びv3 並びに原点(0,0,0)で構成される四面体についての容積(voli )、セントロイド(μi )及び共分散(Ci )は、下記の式を用いて計算することができる。ここで、記号|A|は行列Aの行列式を表す。
【0051】
【数2】

次いで、下記の式を用いて、これらの三角形当りの値を組み合わせて、メッシュの全体の容積(vol)、セントロイド(μ)及び共分散(C)を計算することができる。
【0052】
【数3】

次いで、前に述べたように、モデル化された心室の長軸を定め、第1の軸をモデル化された心室の長軸と整列させるように共分散行列を回転させることによって、共分散行列を直交回転行列で回転させ、次いで、球形度を、行列式(各主軸に沿ったモデルの範囲)と長軸方向における範囲の三乗との比として計算することができる。
【0053】
本発明技術の実施形態は、例えば臨床情報システム及び/又は超音波イメージング・システムに関連して具現化することができる。図5に示されているように、特定の実施形態はシステム500を使用して具現化される。システム500は、ユーザー・インターフェース504、記憶媒体506、イメージング装置508及び出力装置510のそれぞれと通信するように動作可能であるコンピュータ処理装置502を含む。特定の実施形態では、システム500の様々な構成要素は任意の組合せで、例えば、単一の集積装置、又は相互に通信可能である複数の独立の構成要素などで具現化することができる。
【0054】
処理装置502は、記憶媒体506及び/又は別のコンピュータ読取り可能な媒体上に符号化された命令を実行するように構成することができる。処理装置502は、ユーザー・インターフェース504、記憶媒体506、イメージング装置508、及び出力装置510の相互の間での通信を容易にするように構成することができる。処理装置502は、本書で述べた手法を用いて容積、重心、共分散行列及び/又は構造物の球形度を計算するために、ユーザー・インターフェース504、記憶媒体506、イメージング装置508、出力装置510及び/又は他のソフトウエア・アプリケーションからの情報を用いて命令を実行することができる。例えば、特定の実施形態は、MATLAB(登録商標)又は他のプログラムを用いて具現化することができる。例えば、図6は、三角形区分のメッシュの容積、重心及び共分散行列を計算するために本発明技術の実施形態に従って使用することのできるMATLAB(登録商標)プログラム・リストを示し、また図7は、共分散行列及び長軸ベクトルに基づいて球形度を計算するために本発明技術の実施形態に従って使用することのできるMATLAB(登録商標)プログラム・リストを示す。
【0055】
ユーザー・インターフェース504は、ユーザーによって指令を入力することができるように構成することができる。ユーザー・インターフェース504は、例えば、キーボード、マウス、スイッチ、ノブ、ボタン、トラックボール、タッチスクリーン、音声作動の指令を受け取るように構成されたマイクロフォン、及び/又は画面上のメニューを含むことができる。特定の実施形態では、ユーザー・インターフェース504は、ユーザーが3D表面モデル及び/又は固体モデルを選択することができるように構成することができる。特定の実施形態では、ユーザー・インターフェース504は、ユーザーが構造物についての頂部目印(1つ又は複数)及び/又は底部目印(1つ又は複数)を識別することができるように構成することができる。特定の実施形態では、ユーザー・インターフェース504は、アラインメント段階に基づいて及び/又は目印から構造物の長軸を定めることができるように構成することができる。
【0056】
記憶媒体506は、現場にあるか、遠隔にあるか、有線接続であるか、及び/又は無線接続であるかどうかに拘わらず、処理装置502によって読み取り可能である任意の有形の持続性のコンピュータ読取り可能な媒体であってよい。例えば、記憶媒体506は、コンピュータ・ハードディスク駆動装置、サーバ、CD、DVD、USBメモリ、及び/又は1つ以上のコンピュータ命令を記憶できる任意の他の種類のメモリを含むことができる。命令の集合は、処理装置502によって実行又は遂行することが可能である1つ以上のルーチンを含むことができる。
【0057】
イメージング装置508は、例えば左心室のような構造物の画像を取得するように構成することができる。イメージング装置508は、構造物の画像を取得するために、超音波、X線、コンピュータ断層撮影法及び/又は任意の他のイメージング法を使用することができる。特定の実施形態では、イメージング装置508は、3D表面モデル及び/又は固体モデルを自動的に選択するように構成することができる。特定の実施形態では、イメージング装置508は、構造物について頂部目印(1つ又は複数)及び/又は底部目印(1つ又は複数)を自動的に識別するように構成することができる。特定の実施形態では、イメージング装置508は、アラインメント段階に基づいて、目印から、及び/又は共分散行列の固有ベクトルから導き出された主軸に基づいて、構造物の長軸を自動的に定めるように構成することができる。特定の実施形態では、イメージング装置508は超音波スキャナとすることができる。
【0058】
出力装置510は、システム500から情報を出力するように構成することができ、またこの作業に適した任意の装置を有することができる。特定の実施形態では、例えば、出力装置510は、イメージング装置508によって取得された構造物の可視表示を出力することができる。特定の実施形態では、例えば、出力装置510は、モデル化された構造物、構造物上の目印、及び/又は構造物の長軸を示す可視表示を出力することができる。特定の実施形態では、例えば、出力装置510は、例えば、コンピュータ・モニタ、液晶表示画面、プリンタ、ファックス機械、電子メール・サーバ及び/又はスピーカを有することができる。
【0059】
動作について説明すると、システム500は、下記のように使用することにより、例えば左心室のような構造物の球形度を決定することができる。イメージング装置508を使用して、構造物の画像を取得することができる。例えば三角形メッシュ表面モデルのような3D表面モデル及び/又は固体モデルは、ユーザー・インターフェース504を用いてユーザーによって、或いはイメージング装置508によって自動的に選択することができる。選択されたモデルは適用することができる。
【0060】
処理装置502を使用して、モデルを固体として取り扱って、体積積分C=∫V (x−μ)(x−μ)T dVの解を計算することによって、モデルの3×3共分散行列Cを計算することができる。ここで、xは空間座標ベクトルであり、μは重心であり、またTは行列又はベクトル転置を表す。
【0061】
構造物についての長軸は、ユーザー・インターフェース504を使用してユーザーによって又はイメージング装置508によって自動的に選択することができる。例えば、ユーザー・インターフェース504は、ユーザーがアラインメント段階に基づいて及び/又は目印から構造物の長軸を定めることができるように構成することができる。例えば、イメージング装置508は、アラインメント段階に基づいて、目印から、及び/又は共分散行列の固有ベクトルから導き出された主軸に基づいて、構造物の長軸を自動的に定めるように構成することができる。
【0062】
処理装置502を使用して、第1の軸をモデル化された構造物の長軸と整列させるように共分散行列を回転させることによって、D=RCRT を生じるように、共分散行列を直交回転行列Rで回転させることができる。モデルについての長軸として主軸を用いる場合、この回転工程は、固有値分解の一部として内在的に既に遂行されており、従ってスキップすることができる。
【0063】
処理装置502を使用して、球形度は、行列式(各主軸に沿ったモデルの範囲)と長軸方向における範囲の三乗との比として計算することができる。
【0064】
図8は、本発明技術の一実施形態に従って用いられる方法を例示する。本方法は、本書で述べた手法及びシステムを用いることによって適用することができる。
【0065】
工程802で、構造物の画像を取得する。例えば、超音波スキャナを有する超音波システムのようなイメージング装置を使用して、左心室の画像を取得する。
【0066】
工程804で、三次元モデルを選択する。例えば、三角形メッシュ表面モデルのような、3D表面モデル及び/又は固体モデルは、ユーザー・インターフェースを使用してユーザーによって又は自動的にイメージング装置によって選択することができる。工程806で、イメージング装置と通信する処理装置を使用して、選択された三次元モデルを適用する。
【0067】
工程808で、モデルについて共分散行列を計算する。例えば、モデルを固体として取り扱って、体積積分C=∫V (x−μ)(x−μ)T dVの解を計算することによって、該モデルの3×3共分散行列Cを計算するために、処理論理を実行するように処理装置を使用することができる。上式で、xは空間座標ベクトルであり、μは重心であり、またTは行列又はベクトル転置を表す。
【0068】
工程810で、構造物の長軸を識別する。例えば、構造物についての長軸は、ユーザー・インターフェースを使用してユーザーによって又は自動的にイメージング装置によって選択することができる。例えば、ユーザー・インターフェースは、ユーザーがアラインメント段階に基づいて及び/又は目印から構造物の長軸を定めることができるように構成することができる。例えば、イメージング装置は、アラインメント段階に基づいて、目印から、及び/又は共分散行列の固有ベクトルから導き出された主軸に基づいて、構造物の長軸を自動的に定めるように構成することができる。
【0069】
工程812で、共分散行列を直交回転行列で回転させる。例えば、第1の軸をモデル化された構造物の長軸と整列させるように共分散行列を回転させることによって、D=RCRT を生じるように共分散行列を直交回転行列Rで回転させるために、処理論理を実行するように、処理装置を使用することができる。モデルについての長軸として主軸を用いる場合、この回転工程は、固有値分解の一部として内在的に既に遂行されており、従ってスキップすることができる。
【0070】
工程814で、球形度を計算する。例えば、球形度を行列式(各主軸に沿ったモデルの範囲)と長軸方向における範囲の三乗との比として計算するために、処理論理を実行するように、処理装置を使用することができる。
【0071】
本発明の特定の実施形態では、これらの工程の1つ以上を省略し及び/又はこれらの工程を上記した順序とは異なる順序で遂行することができる。例えば、本発明の特定の実施形態では、幾つかの工程が遂行されないことがある。更に別の例として、或る複数の特定の工程は、上記した順序とは異なる時間的順序で、例えば同時に、遂行することができる。
【0072】
方法800の工程の内の1つ以上は、例えば、ハードウエア、ファームウエア、及びソフトウエア内の一組の命令として、単独で又は組み合わせて具現化することができる。特定の実施形態は、汎用コンピュータ又は他の処理装置で実行するために、メモリ、ハードディスク、DVD又はCDのような有形の持続性コンピュータ読取り可能な媒体上に常駐する一組の命令として提供することができる。例えば、特定の実施形態は、処理装置及び関連した処理論理で実行するための一組の命令で符号化されたコンピュータ読取り可能な記憶媒体を提供し、その場合、一組の命令は、方法800に関連して述べた機能を提供するように構成されたルーチン(1つ又は複数)を含む。
【0073】
方法800を前に述べたように及び/又は本書で述べた手法及びシステムを考慮して適用すると、精度を改善し且つバラツキを低減して、構造物の球形度を決定すると云う技術的効果を得ることができる。
【0074】
本書で述べた手法に関連して取得され、分析され且つ表示される特定の画像データは、人の解剖学的構造、例えば、左心室を表す。換言すると、このようなデータに基づいて可視表示を出力することは、(物品又は材料のような)基礎となる対象物を異なる状態へ変換することを構成する。
【0075】
本発明を様々な実施態様に関して説明したが、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を為すことができ且つ等価物と置換することができることが理解されよう。更に、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるように多数の修正をなすことができる。従って、本発明は、開示した特定の実施態様に制限されず、且つ本発明は特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0076】
100 左心室の線図表現
102 左心室
104 頂部
106 底部
200 左心室の線図表現
202 左心室
204 球
206 頂部目印
208 底部目印
300 同じ左心室の2つの画像の線図表現
302 左心室
304 頂部目印
308 底部目印
310 底部目印
312 左心室
318 底部目印
400 左心室の線図表現
402 左心室
404 頂部目印
406 底部目印
500 システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の球形度を決定する方法であって、
コンピュータ処理装置(502)を使用して、構造物の三次元モデルについて共分散行列を計算する工程と、
前記処理装置(502)を使用して、前記共分散行列と前記モデル化された構造物の長軸に関連した長軸ベクトルとを用いて前記構造物の球形度を計算する工程と、
を有する方法。
【請求項2】
更に、前記共分散行列を回転させて、回転後の共分散行列の第1の軸を前記モデル化された構造物の長軸と整列させるようにする工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
球形度が前記共分散行列の行列式と長軸方向における前記モデルの範囲の三乗との間の比として計算される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
球形度は前記共分散行列の固有値分解を用いて計算され、そこで、球形度が前記共分散行列の主固有値と前記共分散行列の複数の非主固有値との間の比として計算される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
更に、イメージング装置(508)を使用して、前記構造物の画像を取得し且つ前記構造物の三次元モデルを求める工程を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項6】
更に、前記イメージング装置(508)を使用して、前記モデル化された構造物の長軸を自動的に識別する工程を含んでいる請求項5記載の方法。
【請求項7】
更に、ユーザー・インターフェース(504)を使用して、前記モデル化された構造物の長軸を識別する工程を含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項8】

構造物の球形度を決定するためのシステムであって、
構造物の三次元モデルについて共分散行列を計算するように構成され、また前記共分散行列と前記モデル化された構造物の長軸に関連した長軸ベクトルとを用いて前記構造物の球形度を計算するように構成されているコンピュータ処理装置(502)を有するシステム。
【請求項9】
更に、前記構造物の画像を取得し且つ前記構造物の三次元モデルを求めるように構成されたイメージング装置(508)を有している請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記イメージング装置(508)は超音波スキャナを含んでいる、請求項9記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−248853(P2011−248853A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−278696(P2010−278696)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】