説明

構造部材の空洞を強化するための強化システム

構造部材(21)の空洞(16)を強化するための強化システム(1、21)において、支持部材(2)が強化目的のために構造部材中の構造部材に結合されている。この支持部材は通路を有し、接着剤が支持部材と構造部材との間の空洞に配置され、かつ、接着剤は、その通路によって支持部材と構造部材との間の空洞中に導入されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最初の請求項の序文に従う、構造部材の空洞(キャビティ、cavity)を強化するための強化システムに基づく。同様に、本発明は、方法に係る独立請求項の序文に従う構造部材の空洞を強化する方法に基づく。
【背景技術】
【0002】
構造部材は、特に、軽量建築を可能にするためにしばしば空洞(キャビティ)を有する。これらの空洞は、広範な様々な問題を引き起こす。この空洞の性質に応じて、空洞は
、その構造部材の腐食を導きうる水分及び汚れの浸透を防止するために封止されなくてはならない。しばしば、その空洞に、それゆえその構造部材に、実質的な強化をもたらす一方で、軽量を保つことも望ましい。しばしば、騒音(これは空洞に沿って、あるいは空洞を通って伝えられる)を低減するために、空洞を、したがってその構造部材を、安定化することも必要である。これらの空洞の多くは、不規則な形状または狭い寸法を有し、それによって空洞に、正確な封止(シーリング)、強化、及び制振性をもたらすことをさらに困難にしている。
【0003】
特に、以下で車体ともいう車両構造の機械特性、例えば、破壊時性能、剛性、改良された振動減衰性などを強化するために、その車両に局所的な強化構造を組み込むことが知られている。これらの局所的な強化構造は、例えば、金属、例えば、アルミニウムまたはスチール、プラスチック、構造発泡体、又はこれらの材料の組み合わせからなる。これらの強化構造は、車両中に配置され、車両と結合される。金属の強化構造は、車両構造に、例えば、溶接によって結合することができるが、これは常に可能というわけではなく、常に効果的な強化を可能にするわけでもない。構造発泡体を用いた結合も、常に所望の結果を生み出すわけではない。これに対する第一の理由は、構造発泡体の層がかなり厚いことであり、第二の理由は、これらの構造発泡体の機械特性が、特に剪断強度及び接着に関してあまり強くないことであり、且つ高温における充分でない挙動である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,266,133号明細書
【特許文献2】米国特許第5,373,027号明細書
【特許文献3】米国特許第6,387,470号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、初めに特定したタイプの強化システムにおける従来技術の欠点を避け、且つ改良された強化システムを提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、これは第一の請求項の特徴によって達成される。
【0007】
したがって、本発明の中心は、支持部材が通路(チャネル)を有し、接着剤がその支持部材と構造部材との間の空洞(キャビティ)に配置され、その接着剤がその通路によって支持部材と構造部材との間の空洞中に導入されうることである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の利点は、そのほかにもある中でも、後で注入される接着剤が、構造部材を製造する工程において所望の条件に適宜適合させうるという事実にみられる。したがって、この種の強化システムは、発泡性材料を用いた従来のシステムよりもさらに良い特性を有する。したがって、例えば、所望の機械特性を具体的に選択でき、それは発泡性材料の場合には限定された可能性があるに過ぎない。加えて、高温での特性は、後で注入される接着剤を用いてさらに有効に設定することができる。さらに、老化の問題がなく、輸送、貯蔵、又は取り付けの過程で特性が失われない。さらに、ここで示すシステムは、修理の課題解決法(これはさらに加えて最初に取り付けた部品と同じ特性を有する)にきわめて適している。さらに、既に存在する輸送部材に後で接着剤を導入することをも可能にし、このことは、適正に保持されていないおそれがある部品を新たに固定できることを意味する。
【0009】
本発明のさらに有利な態様は従属請求項から明らかである。
【0010】
[図面の簡単な説明]
本発明の実施例は、図面を参照して以下で詳細にされる。様々な図における等しい又は等価な部材(要素)は、同じ参照記号が付されている。媒体が流れる方向は矢印によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は従来技術の強化用部材の断面を示す。
【図2A】図2Aは、本発明の強化用部材の断面を示す。
【図2B】図2Bは、さらなる本発明の強化用部材の断面を示す。
【図2C】図2Cは、さらなる本発明の強化用部材の断面を示す。
【図3A】図3Aは、本発明の強化用部材の平面図を示す。
【図3B】図3Bは、内部の通路を描いた、図3Aの本発明の強化用部材の平面図を示す。
【図4】図4は、さらなる本発明の強化用部材の平面図を示す。
【図5】図5は接着剤充填操作の図式的描写を示す。
【0012】
図には、本発明を迅速に理解するために必要な部材のみを示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、公知の強化用部材20を示す。それは車両の車体21(この場合には車体の支柱)の空洞に配置されている。この種の強化用部材が車体の任意の空洞に配置されうることは自明である。強化用部材20は、担体部材22と発泡性材料を含む部材23とを含む。この種の発泡性材料は、熱の影響下で発泡することが好ましい。好ましい熱発泡性材料は、例えば、商品名SikaBaffle(登録商標)240又は250又は255として販売されており、且つ米国特許第5,266,133号明細書及び同5,373,027号明細書に記載されており、これら公報の開示は本願に援用する。あるいは、熱膨張性材料も強化特性を有することができる。この種の材料は、例えば、商品名SikaReinforcer(登録商標)941として販売されており、且つ米国特許第6,387,470号明細書に開示されており、この公報の開示を本願に援用する。外部熱源又は内部熱源、例えば、発熱反応などによって活性化可能なその他の発泡性材料を用いることももちろん可能である。強化用部材20は、典型的には固定部材によって車体の空洞に固定されているが、その他の方法によって固定されていてもよい。担体部材22は典型的にはポリアミドからなるが、金属も含めたその他の材料又は材料部品から作られていることもできる。
【0014】
未発泡状態では、発泡性材料は厚さ24と車体からの距離25を有する。この距離25は、車体が沈着浴中でコーティングされることを可能にし、且つ強化用部材20を取り付けるために充分な許容性を有するようにするためである。発泡が起こった後、発泡した材料が空洞全体を満たし、この時点で厚さ26を有し、この厚さ26は、未発泡材料の厚さ24+車体からの距離25に対応する。厚さ26は通常約6〜10mmである。この比較的大きな厚さ25と構造発泡体は、今日用いられているシステムの欠点を生じさせている。
【0015】
図2A、2B、及び2Cは、本発明の強化用部材1を示している。各強化用部材1は、担体部材2を含む。担体部材2と車体21との間の距離3は、図1による距離26と比較して、ここではずっと短い。距離3は、この場合、車体が沈着浴中でコーティングされることを可能にし、且つ強化用部材1を取り付けるために必要な許容性を有するために必要な距離まで短くできる。典型的には、これは約3〜5mmである。担体部材に、沈着浴中でコーティングするための通路を配置することができるので、距離3は実際に、取り付けに必要とされる許容度(これは結合材料のための必要に応じて1〜2mm大きくされる)にまでさらに短くすることができ、したがって、全体の距離が約2〜4mmにまでに短くされることを可能にする。
次に、担体部材2は、接着剤4を用いて車体に結合される。この接着剤4は、担体部材2が取り付けられた後で続いて注入され、この目的のために担体部材は特別の内部通路5、例えば、チューブ状のもの、あるいは外部通路6、あるいは示してはいないが内部及び外部通路の組み合わせを有することができる。続いて注入された接着剤は所望の条件に適合されることができ、したがって、これまでにあった発泡性材料よりもさらに良好な特性を有する。したがって、例えば、所望の機械特性を特に選択でき、それは発泡性材料の場合には限定された可能性でしかないものである。加えて、高温での特性は、続いて注入される接着剤を用いて非常に効果的に設定されうる。さらに、老化の問題がなく、輸送、貯蔵、又は取り付けの過程で特性が失われることがない。さらに、ここに示すシステムは、加えて、最初に取り付けた部品と同じ特性を有する修理法に極めて適している。既に存在する担体部材の場合には、さらに、接着剤を続いて導入することも可能であり、それによって正確に保持されないおそれがある部品を新たに固定することができる。
【0016】
担体部材は、任意の所望の材料、例えば、ポリウレタンフォームなどのプラスチック(これはポリアミドなどの繊維又はビーズで強化されていてもよい)、金属、例えば、アルミニウム、発泡されたアルミニウム、スチールなど、あるいはこれらの材料の組み合わせ、で作られていることができる。
【0017】
この反応性接着剤に用いることができる非常に広い範囲のシステムが存在する。しかし、本発明の本質的な点は、反応性接着剤は、工程中で続いて生じる温度に従って、充分に迅速な硬化が起こって所望の機械特性が得られるように選択することができることである。例えば、部品が165〜180℃の標準の塗料乾燥オーブンを約30分の間通過する場合、典型的な構造一液(1K[one-component])エポキシ系構造接着剤を用いることができる。より低い硬化温度の場合は、2成分形システム(two-component system)を用いることが好ましい。本発明を通して、それぞれの場合に、製造者が所望する条件に正確に対応する接着剤を選択することができる。例えば、製造者が強化用部材を室温で取り付けることを望む場合には、これは問題なく可能である。本接着剤の性質を、担体部材を変えることなく、改変した現場生産条件に直ちに適合させることも可能である。例えば、強化用部材が、生産作業を簡単にするために高温で取り付けられるべき場合は、対応する温度で硬化する接着剤が簡単に用いられる。
【0018】
表1は、従来用いられている発泡体の典型的データを、本発明によって用いるための接着剤のデータと比較している。これらのデータは好ましい範囲のみを示しており、その他の特性を有する接着剤を用いることももちろん可能である。本発明に従って用いられる接着剤は、例えば、繊維などの強化材料を充填されることももちろん可能である。硬化時の収縮及び応力を防止するために、本発明の接着剤は、0〜10%、より特に0〜5%の体積膨張率を有することが好ましい。
【0019】
【表1】

【0020】
以下に、本発明に用いることができる反応性接着剤を示す。その他の接着剤が必要特性を有する場合には、それらを用いることももちろん可能である。
【0021】
〔反応性接着剤の例:一成分形システム(one-component system)〕
【0022】
本発明に用いることができる一成分形反応性接着剤は、重合反応に加わる少なくとも1種の樹脂A、少なくとも1種の硬化剤B(より特にはブロック硬化剤)、少なくとも1種の添加剤D、さらにまた、場合によりさらなる成分を含むことを特徴とし、好ましくは成分A又はBのうち少なくとも1つがブロック形態で存在する、貯蔵安定性ポリマー組成物である。
【0023】
第一の態様では、この一成分形反応性接着剤はポリウレタン組成物である。それは、組成物が、重合反応中に参加する樹脂Aとしてフリー又はブロックイソシアネート基を含むポリウレタンポリマーを含有することを特徴とする。「ポリマー」の用語は、本明細書中では、一方では、化学的には均一であるが、重合度、モル質量、及び鎖長に関して異なり、且つ重合反応(付加重合、重付加、又は重縮合)によって調製される高分子の集合をいう。一方で、本明細書における「ポリマー」の用語は、重合反応によるそのような高分子の集合の誘導体、言い換えれば、存在する高分子上の官能基の反応、例えば、付加又は置換などによって得られる化合物も包含し、かつこれは化学的に均一又は化学的に不均一であってよい。
「ポリマー組成物」の用語は、本明細書において、1種以上のポリマーからなる、あるいは実質的な程度にまでポリマーを含む物質の均一又は不均一な混合物をいう。
「ポリウレタン」の用語は、本明細書において、ジイソシアネートの重付加法によって調製される全てのポリマーを包含する。これにはまた、イソシアネート基を実質的に又は全く含まないポリマー類、例えば、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレート、ポリカルボジイミドなども含まれる。
物質の名称、例えば「ポリオール」、「ポリイソシアネート」、又は「ポリアミン」の中の「ポリ」の接頭語は、本明細書において、問題とする物質が式の上でその名称中にある官能基を1分子当たり1つより多く含むという事実をいう。
【0024】
イソシアネート基を含むポリウレタンポリマーは、少なくとも1種のポリオールを少なくとも1種のポリイソシアネートと反応させることによって調製される。この反応は、ポリオールとポリイソシアネートとを典型的な方法、例えば50℃〜100℃の温度で、適切な場合には適した触媒の使用を伴って反応させることによって行うことができ、このポリイソシアネートは、そのイソシアネート基がポリオールの水酸基に対して化学量論過剰量で存在するように計量される。ポリイソシアネートの過剰量は、得られるポリウレタンポリマー中に、ポリオールの全ての水酸基の反応後に、例えば、全体のポリウレタンポリマーを基準にして0.1質量%〜15質量%、好ましくは0.5質量%〜5質量%のフリーイソシアネート基含量が残るように選択される。適切な場合には、このポリウレタンポリマーは、可塑剤を併用して調製することができ、この場合には、用いた可塑剤はイソシアネート反応性基を含まない。
【0025】
イソシアネート基を含むこの種のポリウレタンポリマーを調製するためのポリオールとしては、例えば、以下の市販のポリオール類又はそれらの任意の所望する混合物を用いることができる。
【0026】
− ポリオキシアルキレンポリオール類、ポリエーテルポリオールともよばれ、これは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-又は2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物の重合生成物であって、これは場合によって2つ以上の活性水素原子を有する出発分子(例えば、水、アンモニア、あるいは2つ以上のOH又はNH基を有する化合物、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオールの異性体類、ペンタンジオールの異性体類、ヘキサンジオールの異性体類、ヘプタンジオールの異性体類、オクタンジオールの異性体類、ノナンジオールの異性体類、デカンジオールの異性体類、ウンデカンジオールの異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、及び前記の化合物の混合物)を用いて重合される。例えば、ダブル金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)として公知のものを用いて調製された、低不飽和度(ASTM D−2849−69に準拠して測定され、ポリオール1g当たりの不飽和のミリ当量で表される(meq/g))を有するポリオキシアルキレンポリオールのみならず、例えば、NaOH、KOH、又はアルカリ金属アルコキシドを用いて調製された高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオールも用いられる。
ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、特に、ポリオキシプロピレンジオール又はポリオキシプロピレントリオールが特に適している。特に好ましいものは、0.02meq/g未満の不飽和度を有し且つ1000〜30000g/モルの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、及びまた、400〜8000g/モルの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオールである。「分子量」又は「モル質量」は、本明細書において、常に平均分子量Mを意味する。
同様に、特に好適なものは、「EO末端キャップ(EO-endcapped)」(エチレンオキシド末端キャップ)ポリオキシプロピレンジオール又はトリオールといわれるものである。これは、例えば、ポリプロポキシル化の終わった後で、純粋なポリオキシプロピレンポリオールをエチレンオキシドでアルコキシル化することによって得られ、その結果として一級水酸基を含む、特別なポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオールである。
【0027】
− スチレン-アクリロニトリル-グラフト化ポリエーテルポリオール。例えば、Bayer社によってLupranolの名称で供給されている種類のもの。
【0028】
− ポリエステルポリオール。例えば、2価〜3価アルコール(例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、又は前記アルコールの混合物)と、有機ジカルボン酸又はそれらの無水物もしくはエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸、又は前記酸の混合物)とから調製されるもの。及びまた、ラクトン(例えば、ε-カプロラクトンなど)からのポリエステルポリオール。
【0029】
− ポリカーボネートポリオール。例えば、上述したアルコール(ポリエステルポリオールを構成するために用いられるもの)と、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はホスゲンとの反応によって得られる種類のもの。
【0030】
− ポリアクリレートポリオール及びポリメタクリレートポリオール。
【0031】
− ポリヒドロキシ末端ポリブタジエンポリオール。例えば、1,3-ブタジエンとアリルアルコールを重合することによって得られるもの。
【0032】
− ポリヒドロキシ末端アクリロニトリル/ポリブタジエンコポリマー。例えば、エポキシド類又はアミノアルコール類とカルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Hycar(登録商標)CTBNの名称でHansa Chemie社から市販されている)とから調製される種類のもの。これらの記載したポリオールは、250〜30000g/モル、より特に1000〜30000g/モルの平均分子量と、1.6〜3の範囲の平均OH官能基を有する。
【0033】
これらの記載したポリオールにさらに、低分子量の2価又は多価アルコール類(例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオールの異性体類、ペンタンジオールの異性体類、ヘキサンジオールの異性体類、ヘプタンジオールの異性体類、オクタンジオールの異性体類、ノナンジオールの異性体類、デカンジオールの異性体類、ウンデカンジオールの異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ダイマー脂肪アルコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール、及びその他の多官能アルコール類、前記の2価及び多価アルコールの低分子量アルコキシル化生成物、及びまた、前記アルコール類の混合物)を、ポリウレタンポリマーを調製する場合に、併用することができる。
【0034】
イソシアネート基を有するこの種のポリウレタンポリマーを調製するために用いられるポリイソシアネートは、市販のポリイソシアネートである。その例には、ポリウレタン化学で周知の以下のポリイソシアネートが含まれる。
2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)及びその異性体の任意の混合物、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネートの位置異性体類、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート並びにそれらの異性体の任意の所望の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートあるいはIPDI)、パーヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,3-及び1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、及びまた、前記のイソシアネート類のオリゴマー及びポリマー、及びまた、前記のイソシアネート類の任意の所望の混合物。特に好ましいものは、MDI、TDI、HDI、及びIPDI、及びまた、それらの混合物である。最も好ましいものは、MDI及びTDI及びそれらの混合物である。
【0035】
一つの好ましい態様では、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーはブロックされている。このブロック化は、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーとブロック化剤との反応によって達成される。この反応は、ブロック化剤を、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーに、イソシアネート基含有量に基づいて化学量論比で添加し、もはやフリーイソシアネート基が実質的に検出されなくなるまで20〜120℃の温度でこの系を反応させることによって行うことが好ましい。所望する場合は、触媒(例えば、スズ化合物又はビスマス化合物など)を用いることも可能である。好適なブロック化剤の例は、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、p-エチルフェノール、o-イソプロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-tert-オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、チモール、p-ナフトール、p-ニトロフェノール、p-クロロフェノール、2-ピリジノール);フェノール基を有する炭化水素樹脂(例えば、クマロン-インデン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂);アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル(メチルセロソルブ(登録商標))、エチレングリコールブチルエーテル(ブチルセロソルブ(登録商標))、エチレングリコールフェニルエーテル(フェニルセロソルブ(登録商標))、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール(登録商標))、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール(登録商標))、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、シクロヘキサノール);1,3-カルボニル化合物(例えば、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジエチルメチルマロネート、エチルアセトアセテート、2,4-ペンタンジオン);メルカプタン類(例えば、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオフェノール、2-メルカプトピリジン);カルボキサミド類(例えば、アセトアミド、アセトアニリド、アセトアニシド、ベンズアミド);カルボキシイミド類(例えば、コハク酸イミド、マレイミド);アミン類(例えば、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-tert-ブチル-N-ベンジルアミン、2,6-ジメチルピペリジン、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、9H-カルバゾール);窒素含有複素環(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール);尿素類(例えば、尿素、チオ尿素、イミダゾリジン-2-オン);アルドキシム類(例えば、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム);ケトキシム類(例えば、メチルエチルケトキシム、メチルイソプロピルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、メチルアミルケトキシム、ジイソプロピルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム);ラクタム類(例えば、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム);イミン類(例えば、エチレンイミン);N-ヒドロキシコハク酸イミド;2-ベンゾオキサゾロン;1,3-ベンゾアジン-2,4-ジオン;重亜硫酸塩(例えば、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム);及び以下の2つの総説、D.A.Wicks及びZ.W.Wicks,Jr., “Blocked Isocyanates”, Progress in Organic Coatings 36 (1999), 148-172、及びProgress in Organic Coatings 41 (2001), 1-83に示されたさらなるブロック化剤、である。
好ましいブロック化剤は、フェノール類、炭化水素樹脂、アルコール類、オキシム類、窒素含有複素環、1,3-ジカルボニル化合物、アミン類、及びラクタム類である。特に好ましいものは、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-tert-ブチル-N-ベンジルアミン、及びε-カプロラクタムである。
【0036】
本ポリウレタン組成物は、硬化剤Bとして、イソシアネート反応性基を含み且つブロック化された形態で存在する硬化剤を含有し、このブロック化は化学的性質または物理的性質のものであってよい。好適な化学的ブロック硬化剤の例は、錯体結合を介して金属と結合したポリアミンであり、より特に、メチレンジアニリン(MDA)と塩化ナトリウムとの錯化合物である。この種の錯化合物は、通常、実験式(MDA)・NaClによって表される。一つの好適なタイプは、ジエチルヘキシルフタレート中の懸濁液として、Crompton Chemical社からCaytur(登録商標)21の商品名で入手可能である。この錯化合物は、80〜160℃に加熱したときに分解し、その速度は温度が上昇するほど大きくなり、活性な硬化剤としてメチレンジアニリンを放出する。物理的ブロック硬化剤の例は、マイクロカプセル化された硬化剤である。マイクロカプセル化された形態で硬化剤として使用するのに特に適しているものは、2価又は多価アルコール(例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体類及びトリプロピレングリコール異性体類、ブタンジオールの異性体類、ペンタンジオールの異性体類、ヘキサンジオールの異性体類、ヘプタンジオールの異性体類、オクタンジオールの異性体類、ノナンジオールの異性体類、デカンジオールの異性体類、ウンデカンジオールの異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ダイマー脂肪アルコール類、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール類、前記の2価及び多価アルコール類の低分子量アルコキシル化生成物;短鎖ポリエステルポリオール、例えば、ビスグリコールテレフタレート;脂肪族、脂環式、及び芳香族アミノアルコール類(例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン);ジカルボン酸のヒドラジド;脂肪族ポリアミン類(例えば、エチレンジアミン、1,2-及び1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-及び1,4-ブタンジアミン、1,3-及び1,5-ペンタジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン及びそれらの混合物、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-ジアミノペンタン(DAMP)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、ダイマー脂肪酸ジアミン類;脂環式ポリアミン(例えば、1,2-、1,3-、及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノ-シクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミンあるいはIPDA)、2-及び4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン及びそれらの混合物、1,3-及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-シクロヘキシルアミノ-3-アミノプロパン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA、三井化学製)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-及び1,4-キシリレンジアミン);エーテル基を有する脂肪族ポリアミン(例えば、ビス(2-アミノエチル)エーテル、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、及びそれらの高級オリゴマー、例えばJeffamine(登録商標)(Huntsman Chemicals社製)の名称で入手できる2又は3のアミノ基を理論的に有するポリオキシアルキレンポリアミン;芳香族ポリアミン(例えば、メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルエーテル、
ジアミノジフェニルスルホン、フェニレンジアミン異性体類、アミノジフェニルアミン)である。記載した脂肪族、脂環式、及び芳香族ポリアミンが好ましい。
これらの硬化剤のマイクロカプセル化は、通常の方法の一つにしたがって、それは例えば、スプレー乾燥、界面重合、コアセルベート化、液浸法、又は遠心法、流動床法、真空カプセル化、又は静電的マイクロカプセル化によって実施することができる。そのようにして得られたマイクロカプセルは、0.1〜100マイクロメートル、好ましくは0.3〜50マイクロメートルの粒径を有する。マイクロカプセルの大きさは、一方ではそれらが加熱時に効果的に開き、他方では硬化後の接着が最適な均質性及びそれゆえ結合強度を有するように作られる。さらに、それらは、接着剤の接着特性にいかなる悪影響も及ぼしてはならない。カプセルの殻(シェル)に適切な材料には、マイクロカプセル化される硬化剤に不溶であり且つ40〜200℃の融点を有するポリマーが含まれる。適切なポリマーの例は、炭化水素ワックス、ポリエチレンワックス、ワックスエステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はそのようなポリマーの2種以上の混合物である。
【0037】
一つの好ましい態様では、イソシアネート基含有ポリウレタンポリマーのみならず、硬化剤もまた、ポリウレタン組成物中においてブロック化された形態で存在する。
【0038】
第二の態様では、この一成分形反応性接着剤は、ポリオールとその中に分散されたブロックイソシアネート硬化剤とを含むポリウレタン組成物である。この組成物は、重合反応に加わる樹脂Aと、ポリオールもしくはポリオール混合物とを含み、さらにイソシアネート基を含む硬化剤Bとして、カプセル化されたイソシアネートを含むことを特徴とする。
【0039】
第三の態様では、この一成分形反応性接着剤はアクリレート組成物である。この組成物は、重合反応に加わる樹脂Aとしてアクリル又はメタクリル基を有する2官能又は多官能モノマーの少なくとも1種と、さらにはアクリル又はメタクリル基を有する1官能モノマーの少なくとも1種とを含むことを特徴とする。アクリル又はメタクリル基を有する好適な2官能又は多官能モノマーの例は、脂肪族ポリエーテルポリウレタン及びポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ノボラック類、二価及び多価の脂肪族,脂環式及び芳香族のアルコール、グリコール類、及びフェノール類の、アクリレート及びメタクリレートである。アクリル又はメタクリル基を有する一官能モノマーの例は、メチルアクリレート及びメタクリレート、エチルアクリレート及びメタクリレート、ヘキシルアクリレート及びメタクリレート、ドデシルアクリレート及びメタクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート及びメタクリレート、及びまた、ヒドロキシル含有アクリレート及びメタクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート及びメタクリレート、並びに2-ヒドロキシプロピルアクリレート及びメタクリレート)である。
【0040】
硬化剤Bとして、このアクリレート組成物は、ブロック形態で存在し且つ上記アクリレート又はメタクリレートモノマー類の重合を開始する熱開始剤を含有する。好適な熱開始剤の例は、ジアシルパーオキシド類(例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、及びデカノイルパーオキシド);パーオキシジカーボネート類(例えば、ジプロピルパーオキシジカーボネート);パーオキシオキサレート類(例えば、ジ-tert-ブチルパーオキシオキサレート);及び次亜硝酸塩及び亜硝酸エステル類(例えば、ジ-tert-ブチルハイポニトリル)である。ベンゾイルパーオキシドが好ましい。ブロック化された熱開始剤、より特にベンゾイルパーオキシドは、マイクロカプセル化された形態であることが好ましい。マイクロカプセル化された有機パーオキシドの調製は、例えば、EP0730493B1に記載されている。
【0041】
第四の態様では、一成分形反応性接着剤はエポキシ組成物である。この組成物は、重合反応に加わる樹脂Aとして、少なくとも1種のポリエポキシドを含むことを特徴とする。好適なポリエポキシドの例は、多価の脂肪族、脂環式、又は芳香族アルコール類、ポリアルキレングリコール類、フェノール類(例えば、ビスフェノールA)のジグリシジルエーテル又はポリグリシジルエーテル類、あるいは酸性条件下で得られるフェノールとホルムアルデヒドとの縮合生成物(例えば、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック)のジグリシジルエーテル又はポリグリシジルエーテル類;多塩基カルボン酸のポリグリシジルエステル類;及びまた、アミン、アミド、及びヘテロ環式窒素塩基のN−グリシジル誘導体である。グリシジル化された、ノボラック、ヒダントイン類、アミノフェノール類、ビスフェノール類、又は芳香族ジアミン類、が好ましい。液状エポキシ樹脂と反応性液状ゴムとの付加体もある。
【0042】
硬化剤Bとして、このエポキシ組成物は、エポキシと反応性の基を有し、且つブロック化された形態で、もしくはエポキシド中の低溶解性の化合物として結晶形態で存在する硬化剤を含む。好適な硬化剤の例は、アミン類、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、もしくは芳香脂肪族(araliphatic)の、好ましくは一級もしくは二級のアミン類及びポリアミン類;ポリアミン類の付加体及びポリアルコキシル化生成物;アミン末端のポリアルキレングリコール類;モノフェノール類又はポリフェノール類とポリアミド類との付加体;ポリアミド類、特に、脂肪族ポリアミン類と二量化もしくは三量化した脂肪酸とから誘導されるもの;ポリスルフィド類;アニリン-ホルムアルデヒド類;多価フェノール類;多塩基カルボン酸及びその無水物、である。好ましい硬化剤は、いわゆる潜在硬化剤、例えば、イソシアネート類をアミン類、ジウロン類、イミダゾール類、及びジシアンジアミド類とともにこれらの化合物の組み合わせでブロックすることによって調製される、ジシアンジアミド類、ウロン類である。
【0043】
一成分形反応性接着剤は、少なくとも1種の添加剤Dをさらに含む。好適な添加剤には、例えば、以下の助剤及び補助剤が含まれる。
可塑剤。例は、有機カルボン酸又はそれらの無水物のエステル類であり、フタル酸エステル類(例えば、ジオクチルフタレート又はジイソデシルフタレート)、アジピン酸エステル(例えば、ジオクチルアジペート、セバシン酸エステル類、有機リン酸及びスルホン酸エステル類)、ポリブテン類、及びイソシアネートと非反応性のその他の化合物;反応性希釈剤及び架橋剤、例は、多価アルコール類、ポリアミン類、ポリアルジミン類、ポリケチミン類、又は脂肪族イソシアネート類(例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート及びこれらの異性体の任意の所望の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートあるいはIPDI)、パーヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-及び1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、これらのイソシアネート類のイソシアヌレート類、これらのイソシアネート類のオリゴマー及びポリマー、及びまた、それらとポリオールとの付加体;有機及び無機フィラー、例えば、粉砕又は沈降性炭酸カルシウム(これらは任意選択でステアレートで被覆されていてもよい)、特に微細化されコーティングされた炭酸カルシウム、カーボンブラック、カオリン、アルミナ、シリカ、及びPVC粉末又は中空ビーズ;繊維(例えばポリエチレンの繊維);顔料;イソシアネート基の反応のための触媒、例は有機スズ化合物(例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジカルボキシレート、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジアセチルアセトネート、アルキルスズチオエステル類)、有機ビスマス化合物又はビスマス錯体、三級アミン類(例えば、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルなど);ポリアルジミン類、ポリケチミン類、又はポリオキサゾリジン類;アルジミン、ケチミン、及びオキサゾリジン基の加水分解のための触媒、例は、有機カルボン酸(例えば、安息香酸又はサリチル酸)、有機カルボン酸無水物(例えば、無水フタル酸又は無水ヘキサヒドロフタル酸)、有機カルボン酸のケイ酸エステル、有機スルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸又は4-ドデシルベンゼンスルホン酸)、又はその他の有機もしくは無機酸、あるいは前記の酸類の混合物;エポキシ基の反応のための触媒、例えば、サリチル酸、ジシアンジアミド、三級アミンもしくは四級アンモニウム化合物、マンニッヒ塩基、イミダゾール類、及びまた、三フッ化ホウ素もしくはそれと有機化合物、例えば、エーテル類及びアミン類との錯体、適切な場合にはブロック形態のもの;アクリレート重合を促進するための触媒、例は、三級アミン(例えば、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、及びN-アルキルモルホリン)、チオウレア類(例えば、1,3-ジエチルチオウレア)、又はニッケル、コバルト、及び銅の錯体又は塩、及びまた、これらの触媒の組み合わせ;レオロジー調整剤、例えば、増粘剤又はチキソ性付与剤、例は、尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイト、又はヒュームドシリカである;接着促進剤、より特にはシラン類、例えば、アルキルシラン、エポキシアルキルシラン、ビニルシラン、アルジミノアルキルシラン、メタクリロイルオキシアルキルシラン、イソシアナトアルキルシラン、及びまたこれらのシラン類のオリゴマー形態;ワックス類;乾燥剤、例は、p-トシルイソシアネート及びその他の反応性イソシアネート、オルトギ酸エステル、酸化カルシウム、又はモレキュラーシーブスである;熱、光、及び紫外線(UV)照射に対する安定剤;難燃剤;界面活性物質、例は、湿潤剤、流動性調節剤、脱気剤又は脱泡剤である;防かび剤あるいは真菌成長抑制物質;及びまた、反応性接着剤に通常用いられるさらなる物質、である。どの助剤及び補助剤が、本反応性接着剤の具体的態様に適しているかは、当業者には明らかである。
【0044】
この種の一成分形接着剤は容易に使用される。樹脂及び/又は硬化剤のブロック化によって、一成分形接着剤は貯蔵時に極めて安定である。好ましい態様では、樹脂A及び/又は硬化剤Bのブロック化を前提として、それらは水分に対して敏感ではない。それらは良好な機械特性を有し、これらの特性は広範囲で調節できる。
【0045】
〔反応性接着剤の例:二成分形システム〕
【0046】
二成分形システムの場合には、1つの成分をその他から分離して貯蔵し、適用時に目標とした方法で解除されることが必要である。この反応性接着剤は、この場合には、樹脂と硬化剤とから構成される。
【0047】
組成物の完全な混合のためには、7000mPa・s未満の粘度が必要である。粘度は温度の上昇によって調節できる。温度の上昇は、例えば、マイクロ波導入の結果として、あるいは誘導(induction)によって起こりうる。エネルギーの吸収は、接着剤中の吸収性粒子(例えば、電気伝導性粒子又はナノスケールもしくはマイクロスケールのフェライト)を用いることによって向上させることができ、これは一成分形システムの例で上述した通りである。
【0048】
分離した成分として存在する貯蔵安定な反応性接着剤は、例えば、以下のシステムに基づくことができる:
【0049】
1)エポキシ樹脂及び硬化剤
【0050】
エポキシ樹脂として、ここでは、任意の所望のエポキシ樹脂を用いることができる。このエポキシ樹脂はその分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有することが好ましい。好適なエポキシ樹脂は、より特に、ヘテロ原子、例えば硫黄、しかし好ましくは酸素又は窒素に結合した、エポキシ基、β-メチルグリシジル基、又は2,3-エポキシシクロペンチル基)を1つより多く有するものであり、より特に、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、多価脂肪族もしくは芳香族アルコール類(例えば、ブタン-1,4-ジオール又はポリアルキレングリコール、例えば、ポリプロピレングリコール)のジグリシジルエーテルもしくはポリグリシジルエーテル;脂環式ポリオール(例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)のジグリシジルエーテル又はポリグリシジルエーテル;多価フェノール類(例えば、レゾルシノール、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジブロモフェニル)プロパン、及び1,1,2,2-テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタン)のジグリシジルエーテル又はポリグリシジルエーテル、あるいは酸性条件下で得られるフェノールとホルムアルデヒドとの縮合生成物(例えば、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック)のジグリシジルエーテル又はポリグリシジルエーテル;及びまた、上述した多価アルコール類又は多価フェノール類のジ(β-メチルグリシジル)エーテル類又はポリ(β-メチルグリシジル)エーテル類である。加えて好適なのは、多塩基カルボン酸(例えば、フタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸)のポリグリシジルエステル類;アミン、アミド、及びヘテロ環式窒素塩基のN−グリシジル誘導体(例えば、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジルトルイジン、N,N,O-トリグリシジル-p-アミノフェノール、N,N,N’,N’-テトラグリシジルビス(p-アミノフェニル)メタン);及び、トリグリシジルイソシアヌレートである。
【0051】
グリシジル化されたノボラック類、ヒダントイン類、アミノフェノール類、ビスフェノール類又は芳香族ジアミン類は、エポキシ樹脂の1つの好ましいグループである。好ましい組成物はまた、樹脂として、グリシジル化されたクレゾールノボラック、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、又はビスフェノールAジグリシジルエーテルを含み、これは例えば、ビスフェノールA、ダイマー脂肪酸、又はそれらの混合物、及びまたそれらの混合物と、脂肪族ジグリシジルエーテルとを用いて進められる。
【0052】
可能なエポキシ硬化剤は、酸性又は塩基性の化合物である。好適な硬化剤の例は、アミン類〔例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、又は芳香脂肪族(araliphatic)の、好ましくは一級又は二級のアミン類、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、N,N-ジメチルプロピレン-1,3-ジアミン、N,N-ジエチルプロピレン-1,3-ジアミン、2,2-ビス(4’-アミノ-シクロヘキシル)プロパン、3,5,5-トリメチル-3-(アミノメチル)シクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、ビス(4-アミノフェニル)メタン、ビス(4-アミノフェニル)スルホン、及びm-キシリレンジアミン〕;ポリアルキレンポリアミン類(例えば、ジエチレントリアミン又はトリエチレンテトラミン)とアクリロニトリル又はモノエポキシド類(例えば、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド)との付加体;例えば、JEFFAMINE(登録商標)(Huntsman社)の名称で入手可能なアミン末端ポリアルキレングリコール類;ポリアミン類(例えば、ジエチレントリアミン又はトリエチレンテトラミン)とポリエポキシド(例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)との、これらのポリアミンを過剰に用いて調製された付加体;モノフェノール類又はポリフェノール類とポリアミド類との付加体;ポリアミド類、特に、脂肪族ポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン又はトリエチレンテトラミン)と、二量化又は三量化した脂肪酸とから誘導されるもの(例えば、二量化したリノール酸のVersamide(登録商標));ポリスルフィド類、例えば、THIOKOL(登録商標)の名称で入手できるもの;アニリン-ホルムアルデヒド類;多価フェノール類、例は、レゾルシノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、又はフェノール-ホルムアルデヒド樹脂(ノボラック)である;多塩基カルボン酸とその酸無水物、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、4-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、3,6-endo-メチレンテトラヒドロフタル酸無水物、4-メチル-3,6-endo-メチレン-4-テトラヒドロフタル酸無水物(メチルナジク酸無水物)、無水コハク酸、アジピン酸無水物、トリメチルアジピン酸無水物、セバシン酸無水物、無水マレイン酸、ドデシルコハク酸無水物、ピロメリット酸二無水物、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、又は酸無水物の混合物、である。アミン類及びポリアミノアミド類が好ましい硬化剤である。
【0053】
この組成物は促進剤又は硬化触媒を含むこともできる。例は以下のとおりである:三級アミン又は四級アンモニウム化合物、マンニッヒ塩基、例えば、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、2-エチル-4-メチルイミダゾール、モノフェノール類又はポリフェノール類(例えば、フェノール及びビスフェノールA)、サリチル酸、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素及びそれと有機化合物(例えばエーテル及びアミン類)との錯体(例はBF-モノエチルアミン及びBF-アセトアセトアニリド)、リン酸、及びトリフェニルホスフィン。三級アミン、マンニッヒ塩基、及びイミダゾール類が好ましい。
【0054】
樹脂は、強化剤、例えば、カルボキシル末端ポリブタジエン、例えば、カルボキシル末端ポリブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、反応性液状ゴム(ポリエーテルジオールイソシアネートをジフェノール類又はヒドロキシエポキシ化合物と反応させることによって得られる)、又はコアシェル粒子、及びまた、チキソ性付与剤、例えば、非拡散性担体物質中の尿素誘導体に基づくもの、をさらに含んでいてもよい。このチキソ性付与剤は、担体物質としてブロック化ポリウレタンプレポリマーを含むことが有利である。そのような尿素誘導体と担体物質の調製は、EP1152019A1に詳細に記載されている。
【0055】
(2)ポリイソシアネートと、ポリオール又はポリアミン硬化剤
【0056】
好適なシステムは例えば以下のとおりである:
− ポリオキシアルキレンポリオール類。ポリエーテルポリオールともよばれ、これは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-又は2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物の重合生成物であって、これは場合によって2つ以上の活性水素原子を有する出発分子(例えば、水、あるいは2つ又は3つのOH基を有する化合物)を用いて重合されたものである。例えば、ダブル金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)として公知のものを用いて調製された、低不飽和度(ASTM D−2849−69に準拠して測定され、ポリオール1g当たりの不飽和のミリ当量で表される(meq/g))を有するポリオキシアルキレンポリオールのみならず、例えば、NaOH、KOH、又はアルカリ金属アルコキシドなどのアニオン触媒を用いて調製された高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオールを用いることもできる。
特に好適なものは、0.02meq/g未満の不飽和度を有し且つ1000〜30000g/モルの範囲の分子量を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオール、400〜8000g/モルの範囲の分子量を有する、ポリオキシブチレンジオール及びトリオール、ポリオキシプロピレンジオール及びトリオール、ならびに、「EOキャップ」(エチレンオキシド末端キャップ)ポリオキシプロピレンジオール又はトリオールとよばれるものである。後者は、例えば、純粋なポリオキシプロピレンポリオールをポリプロポキシル化の終わった後にエチレンオキシドでアルコキシル化することによって得られ、その結果として一級水酸基を含む、特別なポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオールである。
【0057】
− ポリヒドロキシ末端ポリブタジエンポリオール。例えば、1,3-ブタジエンとアリルアルコールとを重合させることによって調製されるもの;
【0058】
− スチレン-アクリロニトリルグラフト化ポリエーテルポリオール類。例えば、Bayer社によってLupranolの名称で供給されている種類のもの;
【0059】
− ポリヒドロキシ末端アクリロニトリル/ポリブタジエンコポリマー。例えば、カルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Hycar(登録商標)CTBNの名称でHansa Chemie社から市販されている)と、エポキシド類とから、又はアミノアルコール類とから調製される種類のもの;
【0060】
− ポリエステルポリオール。例えば、2価〜3価アルコール(例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、又は前記アルコールの混合物)と、有機ジカルボン酸又はそれらの無水物もしくはエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸、又は前記酸の混合物)とから調製されるもの。及びまた、ラクトン類(例えば、ε-カプロラクトンなど)からのポリエステルポリオール;
【0061】
− ポリカーボネートポリオール。例えば、上述したアルコール(ポリエステルポリオールを作るために用いられるもの)と、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はホスゲンとの反応によって得られる種類のもの。
【0062】
600〜6000g/OH当量、より特に600〜4000g/OH当量、好ましくは700〜2200g/OH当量の当量質量を有する2官能又はより多官能のポリオールのイソシアネート反応性ポリマーが有利である。加えて、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ポリブチレングリコール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン-co-アクリロニトリル、ヒドロキシ末端合成ゴム、及びこれらの記載したポリオール類の混合物からなる群から選択されるポリオールが有利である。
【0063】
イソシアネート反応性ポリマーとして、さらには、2官能又はより多官能のアミン末端のポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル、ポリブチレンエーテル、ポリブタジエン、ポリブタジエン/アクリロニトリル(例えば、Hansa Chemie社のHycar(登録商標) CTBN)、及びさらにはアミン末端合成ゴム又は記載した成分の混合物を用いることもできる。
【0064】
ポリアミン、ポリオールと、ポリイソシアネートとの反応で、より特にはジアミン、ジオール、及びジイソシアネートから、公知の方法で当業者によって調製可能な種類のイソシアネート反応性ポリマーはまた、鎖延長されていることもできる。
【0065】
好ましいイソシアネート反応性ポリマーは600〜6000g/モルの分子量を有するポリオールであり、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ポリブチレングリコール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0066】
特に好ましいイソシアネート反応性ポリマーは、C〜Cアルキレン基を有するか、又は混合されたC〜Cアルキレン基を有するα,ω-ポリアルキレングリコールであって、アミノ基、チオール基、又は好ましくはヒドロキシル基を末端に有する。特に好ましいものは、ポリプロピレングリコール及びポリブチレングリコールである。
【0067】
好適なポリイソシアネートは、ジイソシアネート、トリイソシアネート、又はテトライソシアネート、特にジイソシアネート又はトリイソシアネートである。ジイソシアネートが好ましい。好適なジイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香族、又は芳香脂肪族のジイソシアネート、特に市販製品(例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、2,5-又は2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジシクロヘキシルメチルジイソシアネート(H12MDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、及びそれらの二量体である。HDI、IPDI、TMDI、MDI、及びTDIが好ましい。
【0068】
好適なトリイソシアネートは、より特に、脂肪族、脂環式、芳香族、又は芳香脂肪族のジイソシアネートの三量体又はビウレット、特に、上の段落に記載したジイソシアネートのイソシアヌレート及びビウレットである。
【0069】
さらには、R. Blum及びH. Schupp, Progress in Organic Coatings (1990), pp. 275-288に記載されている種類の、固体ポリイソシアネートの表面不活性化粒子が好適である。
【0070】
(3)アクリレート及びメタクリレート及びマイクロカプセル化されたフリーラジカル開始剤
【0071】
好適なシステムは、例えば、国際公開WO02/070620A1及びまたそこで特定されている文献に記載されている。それらは、メタクリル酸エステル、例えば、メチルメタクリレート及びテトラヒドロフルフリルメタクリレート、及びまた脂肪族ポリウレタンアクリレート、アクリル酸と反応したエラストマー、例えば、ポリブタジエン-アクリロニトリルコポリマー(商品名Hycar(登録商標) VTBNX))又はコア-シェルポリマーからなる。さらに好適なシステム(実質的にメタクリレートとエラストマーとの混合物から構成される)は、例えば、US3,890,407、US4,106,971、及びUS4,263,419に記載されている。特に好適な開始剤は、有機パーオキシド、特に、触媒(例えば、三級アミン及び/又は遷移金属の錯体もしくは塩)と組み合わされたベンゾイルパーオキシドである。三級アミンの例は、N,N-ジメチルベンジルアミン及びN-アルキルモルホリンである。遷移金属の錯体又は塩の例は、ニッケル、コバルト、及び銅の錯体又は塩である。
【0072】
マイクロカプセル化されたフリーラジカル開始剤(例えば、パーオキシド)の調製は、例えばEP0730493B1に記載されている。
【0073】
図3A及び3B中、本発明の担体部材2は、車両車体の支柱21内に配置される。この担体部材は、充填用開口部7を介して接着剤4で充填されうる通路5を有する。通路5は、担体部材の表面で開口部8を介して車体に外向きに開いており、それにより、これらの領域において、接着剤4は担体部材2から出てくる。これらの領域において、接着剤は、担体部材と車体との間の空洞(キャビティ)16を満たし、それによって担体部材を車体に結合させる。図において、接着剤は、開口部8からの出現の最初の段階のみを示している。より多くの接着剤が導入された場合は、接着剤は一緒になって均一な領域を形成する。担体部材2の末端領域には、シール部材10を配置することができる。このシール部材は担体部材自身であってよく、車体からの距離が実質的にないように、この部材はこの領域に特異的に形作られている。それはシーリング(封止)のために通常用いられる種類のプラスチック、例えば、弾性材料、発泡性材料の細長い片(ストリップ)などのシール部材であることができる。このことは、低い粘度を有する接着剤を、担体部材を車体に結合させるために用いることもできることを意味している。用いることができる発泡性材料は、図1と関連して記載されているものである。
【0074】
図4は、さらなる本発明の担体部材2を示している。この態様では、担体部材は通路6を有し、通路6は担体部材の表面領域上又は表面領域中に配置されている。これらの通路は、車体から様々な距離を有していてもよい。充填用開口部9(これはこの場合、担体部材2の通路の領域の車体部に配置されている)を介して、接着剤4を、車体と担体部材との間の空洞16に充填することができる。この接着剤は、通路6の領域と、車体から離れた領域中に分配されることになる。この担体部材2の末端領域には、ここでもまた、シール部材11を配置することができる。このシール部材は担体部材自身であってよく、車体からの距離が実質的にないように、この部材はこの領域中に特異的に形作られている。それはシーリング(封止)のために通常用いられる種類のプラスチック、例えば、弾性材料、発泡性材料の細長い片(ストリップ)、パテ状材料などのシール部材であることができる。
【0075】
用いられるパテ状材料は、反応性接着剤について上述した材料であってもよいが、硬化しないものであってもよい。このパテ状材料は、ポリウレタン、エポキシ、エポキシ-ポリウレタン複合材、合成ゴム、PVCなどをもとにして作られることが好ましく、パテがプラスチックの表面と、金属の表面、特にスチール表面及びアルミニウム表面(さらにこれらは表面処理されていてもよい)とに良く接着するように配合される。このパテ状材料は、油が塗られたスチールに良く接着することが好ましく、それはスチールとシール部材との間の領域での腐食を防止するためである。しかし、好ましくは、用いられるパテ状材料は、反応性接着剤について上に記載した接着剤である。さらに、この材料は、そのヒモ状物の正確な押出及びシーリングを確実にするために、例えば、10〜100%、好ましくは10〜50%の低膨張性を有していてもよい。上述した発泡性材料とパテ状材料の組み合わせを用いることもできる。
この材料は、連続したヒモ(ストランド)として手作業で、あるいはロボットを使用して自動化された形態で適用してもよい。このストランドは、車体が組み立てられる時、上記空洞が閉じられて部品が溶接される少し前に、担体部材に適用されることが好ましい。あるいは、上記パテ状材料が、車体、すなわち、例えばスチール板に適用され、担体部材がその次にのみ挿入される。車体部品が結合される場合、上記ストランドは担体部材と車体との間で押され、そのようにしてシール部材が作られる。次にパテ状材料は、以下で説明する続く作業工程で硬化しうる。しかし、シール部材はパテ状材料の硬化なしでも得られ、それによって接着剤を、車体が塗装される前であっても車体と担体部材との間の空洞中に導入でき、この接着剤は塗装の焼き付け工程中に硬化させられる。パテ状材料は40〜60℃の温度で100〜1500Pasの低〜中程度の粘度を有することが好ましく、これは加工を容易にし、且つ車体と担体部材が組み立てられるときに正確な押出しを確実にするためである。10〜30℃の範囲の室温では、粘度は好ましくは中程度〜高く、500〜5000Pasの範囲内にあるべきである。これは、正確なシーリングが得られ、かつ、注入された接着剤がシール部材から出ないこと、あるいは車体が塗装されているときに接着剤が浸出しないことを確実にするためである。車体の塗装のための焼き付け工程において、パテ状材料はその特性を保持するべきである。
【0076】
用いることができる発泡性材料を、図4と関連して説明する。この図中には、シール部材11として発泡性材料が示してある。車体の塗装の後の焼き付け工程で、この材料は発泡体を形成し、通路6によって規定される、担体部材と車体との間のすき間を密封する。結果として、低粘度の接着剤も、車体内に担体部材を結合させるために用いることができる。車体に、出口用開口部12を配置することができる。これは、簡単なやり方で、いつ充分な接着剤がすき間に導入されたかを、接着剤がその開口部12から出てきた時を観察することによって決定することを助ける。この開口部12は、したがって、接着剤で最後に充填されることになる最も離れた領域に配置される。
担体部材2に、配置された空洞13すなわち通路などがあることもできる。これらの領域は、シール部材11によって同様に密封され、それによって如何なる接着剤もこれらの領域に出てくることはできない。担体部材の特定領域がシール部材を用いて提供され、それによってこれらの領域内にはいかなる接着剤も存在しないようにすることも同様に可能である。このようにして、担体部材と車体との間にいかなる結合もなく、その結果、いかなる強化もそこにはない領域を作ることができる。
【0077】
図5は、接着剤充填の工程を、図形式で示した。接着剤は、ポンプ15と充填用開口部9によって接着剤容器14から担体部材と車体との間のすき間16中に導入される。
【0078】
強化用部材を取り付ける方法は、典型的には以下のように進行する。担体部材を、車体の製造場所に供給する。この担体部材を、強化されるべき空洞に挿入又は配置し、この挿入又は配置は手作業又はロボットを使用して行う。担体部材を空洞内に固定する。これは、任意に、例えば担体部材上の取り付け部材、車体上の取り付け部材、接着剤などを用いて行うことができる。必要に応じて空洞をシールし、車体を溶接又は接着又はその両方をする。車体を沈着浴に入れてコーティングをする。これらのコーティングのための焼き付け工程がこれに続き、必要であれば、担体部材に配置した発泡性シール部材がこの操作段階で発泡する。その後、上述したように、接着剤を、車体と担体部材との間の空洞に導入する。これは、例えば、車体の開口部9を介して、開口部7を介して直接、必要であれば車体中に配置し且つ開口部7に連結したホースを介して行う。接着剤での正確な充填は、出口用開口部12、及び/又は充填圧力、及び/又は充填体積によって監視する。特定の充填体積の接着剤が導入された場合、通路に残っている接着剤を担体部材と車体との間のすき間に押し出すために、別の材料、例えば空気、あるいは接着剤よりも安価な材料を充填システム中に導入することができる。これは、一方では接着剤を節約し、他方では続いての充填を可能にするために、通路に接着剤がないことを意味する。担体部材及び/又は通路の設計に応じて、接着剤の流れを調節し、それによって、部分的に、より多くの接着剤、したがってより良好な強化を、これが必要な場所に応じて行うことができる。
【0079】
あるいは、接着剤は、車体をコーティングする前に導入することができる。これは、担体部材と車体との間の接着を向上させることを可能にし、なぜなら、この場合は、接着はコーティングに対してではなく、その代わりに車体に直接行なうからである。その場合には、しかし、担体部材は、コーティング材料がコーティング工程中に担体部材を通って流れ出ることを可能にするために、流出用流路を追加して有することが必要である。これらの流出用通路は、接着剤を導入するための通路とは独立していることができる。
【0080】
本発明は記載し且つ示した実施例に限定されないことが理解されよう。全ての空洞構造(キャビティストラクチャ)、すなわち、空洞をもつ全ての構造部材は、上述したシステムを用いて強化することができる。支持部材上の通路は任意に交換可能であり、すなわち、支持部材内の通路が支持部材上の通路と混ざり合っていることもできる。
【符号の説明】
【0081】
1・・・強化用部材、2・・・担体部材、3・・・距離、4・・・接着剤、5・・・通路、6・・・通路、7・・・充填用開口部、8・・・出口用開口部、9・・・充填用開口部、10・・・シール部材、11・・・シール部材、12・・・出口用開口部、13・・・空洞(キャビティ)/通路、14・・・接着剤容器、15・・・ポンプ、16・・・空洞(キャビティ)/すき間、20・・・強化用部材、21・・・車両構造/車体、22・・・担体部材、23・・・発泡性材料、24・・・未発泡厚さ、25・・・車体からの距離、26・・・発泡した厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部材(21)の空洞(16)を強化するための強化用システム(1、21)であって、担体部材(2)が、強化目的のために、前記構造部材内で前記構造部材に結合されており、
支持部材(1)が通路(5、6)を有し、接着剤が前記担体部材(2)と前記構造部材(21)との間に配置されており、前記接着剤が、前記通路(5、6)によって前記支持部材と前記構造部材との間の空洞(16)中に導入されることができることを特徴とする強化用システム。
【請求項2】
前記通路(5、6)が、前記支持部材内及び/又は前記支持部材上に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の強化用システム。
【請求項3】
少なくとも1つのシール部材(10、11)が前記支持部材上に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の強化用システム。
【請求項4】
前記構造部材上に開口部(9)が配置され、それによって接着剤が導入できることを特徴とする、請求項1、2、又は3に記載の強化用システム。
【請求項5】
前記構造部材上に開口部(12)が配置され、それによって接着剤の充填量を読み取ることができることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の強化用システム。
【請求項6】
硬化時に前記接着剤が0〜5%の膨張しか示さないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の強化用システム。
【請求項7】
前記接着剤が、一成分形反応性接着剤、より特に、ポリウレタン組成物、ポリオールとそのなかに分散されたブロックイソシアネート硬化剤とを含むポリウレタン組成物、アクリレート組成物、又はエポキシ組成物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の強化用システム。
【請求項8】
前記接着剤が、二成分形反応性接着剤、より特に、エポキシ樹脂及び硬化剤、ポリイソシアネート及びポリオールもしくはポリアミン硬化剤、又はアクリレートとメタクリレートとマイクロカプセル化されたフリーラジカル開始剤、であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の強化用システム。
【請求項9】
前記構造部材が車両構造物であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の強化用システム。
【請求項10】
構造部材の空洞(21)を強化する方法であって、担体部材(2)が、強化目的のために、前記構造部材内で前記構造部材に結合されており、
支持部材(1)が前記構造部材内に配置されており、前記支持部材(1)が通路(5、6)を有しており、接着剤が、前記通路(5、6)によって前記支持部材と前記構造部材との間の空洞(16)中に導入されることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記接着剤が、前記構造部材のコーティングの前又は後に導入されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記支持部材と前記構造部材との間の空洞の接着剤での充填量が、特別の開口部によって、及び/又は前記接着剤の充填圧力によって、及び/又は前記接着剤の充填体積によって監視されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記通路に少なくとも部分的に配置された接着剤が、空気によって又はその他の材料によって押されることを特徴とする、請求項10、11、又は12に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−513129(P2010−513129A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542099(P2009−542099)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064464
【国際公開番号】WO2008/077944
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】