説明

樟芝(Antrodiacamphorata)の子実体より分離した新規な化合物およびその医薬組成物

【課題】樟芝(Antrodia camphorata)の子実体より分離した新規なジテルペン類化合物、および当該化合物を含有する医薬組成物の提供。
【解決手段】下記に示す構造式を備える化合物1あるいは3β,19−ヒドロキシラブダ−8(17),11E−ジエン−16,15−オリデおよび医薬的に許容される誘導体。当該化合物を含有する、神経細胞の保護に用いられる医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樟芝(Antrodia camphorata)の子実体より分離した新規なジテルペン類化合物に係り、その分離方法、および脳神経細胞の保護関連の用途について示す。
【背景技術】
【0002】
樟芝は別名、牛樟芝あるいは牛樟▲こ▼とも呼ばれ、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科に属する多年生の蕈菌類で、学名を(Antrodia camphorata)という台湾特有の真菌であり、また台湾にのみ自生する牛樟樹に寄生するものである。台湾固有であり、かつ貴重な薬用真菌であることから、商業的価値が高く、研究対象としても高い関心が寄せられており、現在、台湾で最も高価な天然の真菌となっている。
【0003】
樟芝は、台湾の山岳地帯、海抜450-2000メートル間にのみ生育し、特に、樹齢百年以上する牛樟樹の幹内部の腐った内壁や枯死した牛樟樹の湿った表面に生育する。樟芝が生育する環境は、暗く湿ったやや低温の中海抜地域で、生長速度が緩慢なことから、子実体の形成までに相当の時間を要する。天然の樟芝は、樹齢の長い牛樟樹に生育し、空洞になった幹内部に子実体を形成する。子実体の形態は、板状、釣鐘状、馬蹄状、塔状などさまざまに変化する。形成時は鮮やかな赤色で、生長すると徐々に白色や、薄ピンク色、黄土色を呈する。
【0004】
民間においては、樟芝には解毒や抗ガン、解酒、消炎などの作用があるとされてきたが、科学的な証拠をもって実証はなされていない。(台湾行政院の)国家科学委員会および農業委員会、衛生署の保健食品計画では、これまでに樟芝を対象にして、その腫瘍やコレステロール、血糖などに対する作用について研究を行なってきた。また、最近の生物学研究においては、樟芝の子実体が免疫調整作用や抗酸化作用、肝臓保護作用を有すことが明らかになっている(Hsiao,G.ほか、J.R.J. Agric. Food Chem. 2003、51,3302-3308)。さらに、その培養した菌糸体には、抗炎症活性や血管弛緩活性、数種類の腫瘍細胞に対する細胞毒性、健常者の赤血球の酸化損傷を保護する作用、抗-B型肝炎ウイルス活性などを有することが明らかにされている(Liu,J.J.ほか、Toxicol.Appl.Pharmacol. 2004,201, 186-193、 Hseu, Y.C.ほか、Life Sci. 2002, 71, 469-482、Lee,I.H.ほか、FEMS Microbiol
Lett.2002,209,63-67)。
【0005】
樟芝の成分は複雑で、多糖類やトリテルペン類化合物、SOD(スーパー・オキシド・ディスムターゼ、アデノシン、超低分子タンパク質、ビタミン、微量元素、核酸、固体アルコール類、血圧安定物質など)などの多くの生理活性物質を含有する。樟芝の菌糸体培養に関する化学研究には、Nakamuraらのグループによる報告があるのみで、それによると、このうち5種類に細胞毒性のマレイン酸コハク酸の誘導体があることが明らかになっている(Nakamura.N.ほか、J.Nat.Prod. 2004、67、46-48)。従来なされた樟芝の子実体に関する研究において、子実体は脂肪酸やリグナン(lignans)、フェニル基誘導体、セスキテルペン類(sesquiterpenes)、ステロイド、トリテルペン類化合物など複数種類から組成されていることが報告されている。(Chen、C.H.& Yang、S.W.J.Nat.Prod.1995、58、1655-1661; Cherng,I.H.ほか、Phytochemistry1996、41,263-267、およびShen、C.C.ほか、J.Chin.Med. 2003、14,247-258を参照)。
【0006】
本発明は、まず樟芝の子実体より分離した3種類の新規なラブダン(半日アルキル化型)ジテルペン類化合物(labdane
diterpenoids1-3)に関する。つまり、19-ヒドロキシラブダ-8(17),13-ジエン-16,15-オリデ(19-hydroxylabda-8(17),13-dien-16、15-olide.)(1)、3β,19-ジヒドロキシラブダ-8(17),11E-ジエン-16,15-オリデ(3β,19-dihydroxylabda-8(17),11E-dien-16、15-olide.)(2)、および13-epi-3β,19-ジヒドロキシラブダ-8(17),11E-ジエン-16,15-オリデ(13-epi-3β,19-dihydroxylabda-8(17),11E-dien-16、15-olide.)(3)であり、さらに、4種類の既知の化合物、つまり、19-ヒドロキシラブダ-8(17)、13-ジエン-16、15-オリデ(19-hydroxylabda-8(17),13-dien-16、15-olide.)(4)、14-デオキシ-11,12-ジデヒドロアンドログラフォロイド(14-deoxy-11,12- didehydroandrographolide.) (5)、14-デオキシアンドログラフォロイド、およびアビエチン酸である。生体外分析システム評価にて、分離したこの7種類の化合物の神経細胞における作用を評価することで、本発明を完成するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的および特徴を部分的に以下に記載し、明確かつ理解容易なよう説明を行う。
【0008】
本発明の目的は、樟芝(Antrodia camphorata)の子実体より分離した新規なジテルペン類化合物、および生物活性誘導体を提供することにある。
【0009】
本発明の目的により、本発明の特徴である新規な化合物は下記の構造式で示され、
[化3]あるいは[化4]、かつ、医薬的に許容される塩基類、あるいは溶媒化合物、生物活性誘導体などを含有する。
【化3】

【化4】

【0010】
本発明の第2の目的は、一種類のあるいは複数種類の本発明の化合物、または医薬的に許容される塩基類、あるいは溶媒化合物、水和物、誘導体の医薬組成物に関する。本発明による第1の態様において、アルツハイマー病(AD、通称、老年性痴呆症としても知られる)など、神経細胞の損傷を治療および予防、改善するのに用いられる医薬組成物を提供するものである。
【0011】
本発明による第2の態様において、本発明の組成物は、一種類あるいは複数種類の本発明の化合物、または医薬的に許容される、塩基類あるいは溶媒化合物、水和物、誘導体以外の予防性や治療性の薬剤などを含む。
【0012】
本発明による第3の態様において、本発明の組成物は、本発明の化合物、または医薬的に許容される塩基類あるいは溶媒化合物、水和物、生物活性の同等物、誘導体および、医薬的に許容されるキャリヤー、希釈剤、賦形剤を含む。
【0013】
本発明の好適な一様態において、本発明の組成物は、医薬組成物、あるいは単一薬剤用量の形式をとる。本発明における医薬組成物や単一薬剤用量は、一種類あるいは複数種類の成分を含み、これらは相対的な量で、かつ医薬組成物あるいは薬剤用量形式で調整され、例えば癌などの増殖性疾病の治療や予防に用いられる。好適な医薬組成物および薬剤用量形式には、式1、2、3、4あるいは5の化合物、14-デオキシアンドログラフォロイドおよびアビエチン酸、あるいはその医薬的に許容される、塩基類あるいは溶媒化合物、水和物、誘導体を含み、一種類あるいは複数種類の一定外の活性剤と組み合わせる必要がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のその他の特徴については、下記に示す具体的な実施例において詳細に説明する。
【0015】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。これらの具体的な実施例は、発明の解釈により提供するもので、本発明を何ら制限するものではない。本発明の精神および範囲内において、これらを含むその他の変更や改変を施し得るものとする。
【実施例】
【0016】
下記の実施例において、比旋光度(specific rotations)はJASCO(日本分光株式会社)製DIP-1000旋光計で記録する。IRスペクトルはPerkin-Elmer社製983G分光計で記録する。1HとNMRスペクトルおよび13C NMRスペクトルは、Varian(バリアン)社製Unity Plus-400核磁気共鳴装置で記録する。EIMS(電子イオン化質量分析法)およびHREIMS(High resolution electron ionization mass spectrometry高分解能電子イオン化質量分析法)は、JEOL社製FinniganTSQ-46CおよびJEOL社製SX-102A質量分析計で測定する。抽出液をシリカゲル(Merck70-230mesh、230-400mesh)に入れ、クロマトグラフィー分析を行い、半調合型の正常相のHPLCカラム[250x10mm、
Licrosorb(リクロソルブ溶媒) Si 60(7μm)]上でLCD Refracto Monitor IIIで純化させる。明らかなピークは順に、δ(ppm)、化学シフト、多重性(s:シングルピーク、d:ダブルピーク、t:トリプルピーク、q:クアドラプルピーク、m:マルチプルピーク、brs:ブロードシングルピーク)で、単位はHertz(Hz)のカップリング常数(J)とプロトン数とする。
[実施例1]新規なジテルペン類化合物の分離およびその構造分析と鑑定
【0017】
樟芝(Antrodia
camphorate)No.2の子実体は、Kang Jian Biotech Corp.Ltd.(康建生物科技股ブン有限公司),Nantau,Taiwan,Republic of Chinaの提供による。真菌は、Kang Jian Biotech Corp.Ltd.の頼敏男博士の鑑定による。標本(No.2)の証明は、Kang Jian Biotech Corp.Ltd.(康建生物科技股ブン有限公司)に保管している。
[実施例1−2]
【0018】
樟芝の子実体(2キログラム)を室温下に置き、メチル・アルコール(40リットル)で5日間2回抽出を行う。溶剤の蒸発後、残滓の抽出物を水と混ぜ、総体積を1リットルにする。この相を1リットルのEtOAcで3回抽出し、組み合わせた有機相を蒸発させ、得られた黒いゲル状物(150グラム)をシリカゲルに入れ、アルキル化した酢酸エチル(EtOAc)の溶液でクロマトグラフィーを行う。成分を30-40%のEtOAcでアルキル化した溶液で溶出を行い、HPLCの使用により調合したシリカゲルカラムおよびEtOAc/アルキル化(3:7)混合物を溶出液として純化を行い、EtOAc-可溶性成分を得る。これに繰り返しクロマトグラフィー分析を行うと、化合物1(8.2mg、tR :5'25")、化合物2(19.4mg、tR:8'40")、化合物3(3.0mg、tR:8'45")の3種類の純化した新規な化合物、および19-ヒドロキシラブダ-8(17),13-ジエン-16,15-オリデ(化合物4、32.4mg、tR:5'50")、14-デオキシ-11,12-ジデヒドロアンドログラフォロイド(化合物5、5.5mg、tR:9'55")、14-デオキシアンドログラフォロイド(6.2mg, tR:9'10")、アビエチン酸(3.1mg、tR:11'25")の、4種類の既知の半日アルキル化型ジテルペン類化合物が得られる。既知の化合物の構造は、参考文献中のスペクトルデータで対比して確定する。
[実施例1−3]
【0019】
化合物1は、分離により非結晶形の粉末を呈し、その13CNMR(表1に示す)およびHREIMSデータにより、分子式がC20H32O3となることが確定される。化合物1のIRスペクトルでは、その分子中にγ-ラクトン基グループ(1772cm-1)とヒドロキシ基(3470cm-1)を含有することが確定される。その1HNMRスペクトル(表1に示す)では、2つの第1級メチル基[δH 0.62および0.95(各3H,s)]および、2つのメチレン基のプロトンが結合したγ-ラクトン基グループ[δH 4.16(td,J = 8.8,6.8Hz)と4.30(td、J = 8.8、2.8Hz)]、1対のアルケンのプロトン[δH
4.50と4.80(各1H,brs)]、2つの第1級メチル・アルコールのプロトン[δH 3.36と3.72(各1H,d,J
=11.2Hz)]を呈す。化合物1の1HNMRスペクトルと既知の化合物4(Han、B.H.ほか、J.Med. Chem. 1998、41,2626-2630を参照)とはほぼ同様であり、両者の違いはH2-15および化合物4にアルケンのプロトンがひとつ多いというのみである。13CNMRデータとDEPT(Distionless
enhancement by polarization
transfer)スペクトル分析では、CH3を2個、CH2を11個、CHを3個、Cを3個、ラクトンのカルボニル基の炭素原子を1個を含む20の電磁波が明らかとなる。HMBC(Heteronuclear multiple
bond correlaction spectroscopy)のスペクトルによると、このラクトンのカルボニル基の炭素原子はC-16になる。2つ結合したγ-ラクトン基グループのメチレン基のプロトンは、δC 39.5のC-13、δC 29.6のC-14、δC 179.1のC-16に関連する。同一の実験において、δ3.36および3.72のH2-19のメチレン基のプロトンと、δ35.4のC-3、δ39.6のC-4、δ57.1のC-5およびδ27.1のC-18間には、交互作用があることが証明される。NOESY(Nuclear Overhanser enhancement exchangespect roscopy)のスペクトル(図1に示す)により、C-20メチル基と、H2-11、H2-19はこの分子と同じ側に位置することが確定される。以上のデータにより、化合物1の化学名を19-ヒドロキシラブダ-8(17)-アルケン-16,15-オリデ、とすることが証明される。
[実施例1−4]
【0020】
化合物2は、分離により非結晶形の粉末を呈し、そのHREIMSと13CNMRデータ(表1に示す)により、その分子式はC20H30O4となることが確定される。3381cm-1および1777cm-1のIR吸収ピークに位置するのは、ヒドロキシ基とγ-ラクトン官能基が存在することを示している。その1HNMRスペクトル(表1に示す)では、2つの第1級メチル基[δH 0.72と1.22(各3H,s)]、および2つのメチレン基のプロトンが結合したγ-ラクトン基グループのプロトン[δH 4.23(td,J = 8.4,6.8Hz),4.34(td,J =
8.4,3.6Hz)]、1対の末端メチレン基のプロトン[δH 4.50と4.74(各1H、d,J =1.6Hz)]、1対のtrans-カップリングしたアルケンのプロトン[δH 5.50(dd、 J = 15.6,5.6Hz)、5.64(dd、J = 15.6、9.6Hz)]、アルコールを加えたメチレン基のプロトン1個[δH 3.45(dd, J = 11.2,4.4Hz)]、2つのアルコールを加えたメチレン基のプロトン[δH 3.30と4.17(各1H,d,J
=11.2Hz)]を呈する。1HNMRスペクトル中、その他のメチレン基のプロトンの電磁波と化合物5(Reddy、M.K.ほか、Phytochemistry 2003、62,1271-1275を参照)は相似する。化合物5はダブルボンドが1つ多いため、1HNMRスペクトル中に、化合物2に比べアルケンの電磁波が1つ多く現れる。化合物5に比べ、化合物2中のH-11とH-12の1H化学シフトは高い領域に移動し、また化合物2はそのUVスペクトル中に明らかな吸収ピークは現れない。HMBCスペクトル中、H-3(δH 3.45)の電磁波は、C-18およびC-19と関連し、このヒドロキシ基がC-3上に結合することを示している。この観察により示されたカップリング常数(J=11.2、4.4Hz)、H-3プロトンは軸状の配列になる。NOESYスペクトル中、H-20プロトンの電磁波は、H-11およびH-19と関連し、H-11、H-19とH-20はいずれもβ-側になることを示している。以上のデータにより、化合物2の化学名は、3β,19-ジヒドロキシラブダ-8(17)、11E-ジエン-16、15-オリデとなることが証明される。
[実施例1−5]
【0021】
化合物3もまた、分離により非結晶形の粉末を呈し、そのHREIMSと13CNMRデータ(表1に示す)により、その分子式をC20H30O4とすることを確定する。3391cm-1および1775cm-1のIR吸収ピークに位置するのは、ヒドロキシ基とγ-ラクトン官能基が存在することを示している。HMBCとHMQCスペクトルの結果、化合物3の総構造は化合物2と同じになる。NOESYスペクトル分析により、この分子の相対配置およびC-9に位置する側鎖が分かり、化合物2と同じであると思われる。分析により得られたデータにより、化合物3は化合物2の13-epimerismということが示されるため、この化学名は13-epi-3β,19-ジヒドロキシラブダ-8(17)、11E-ジエン-16、15-オリデになることが推論される。
【表1】

[実施例2]分離した化合物の神経細胞損傷に対する保護作用
【0022】
本実施例において、生後1日目のHarlan Sprague-Dawleyラットの幼若ラットの大脳皮質から得た、新しいラット大脳皮質神経細胞の初代培養細胞を、ターゲット細胞とする。すなわち、各々の幼若ラットに麻酔をかけた後、大脳皮質を切り取り37℃下で0.5mg/mLのカリンのプロティナーゼ中に静置し、15分間分解させる。Hibernate A培養基(B27サプリメントを含む)から組織をピペットで吸い取り、砕いて細胞を分離させる。細胞を5×104細胞/cm2の密度になるように、poly-D-lysineでコーティングした培養プレートに広げ、B27サプリメント、10単位/mLのペニシリン、10mg/mLのストレプトマイシン、0.5mg/mLのグルタチオンを含有するNeurobasal培養基(5%CO2/9%O2)を3日間培養する。その後、細胞をシトシン‐β-D‐アラビノフラノシド(5μM)に1日暴露し、非-神経細胞の増殖を抑制する。5日目に細胞を用いて実験を行う。
[実施例2−1]
【0023】
MTT(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium
bromide)方法により、実施例1中で分離して得られた純化合物のAβ25-35-処理した細胞への死滅影響を測定し、その神経細胞の保護活性を評価する。テトラゾール塩MTT(臭素3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-yl)-2,5-ジフェルニチアゾール)の還元分裂により、およそ570nmの吸光値に位置する紫色染料が産出し、ミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ活性を分析する。その結果を、対照グループの吸光値と比較しパーセンテージで示す。上述の調合により得られた皮質神経細胞と溶剤(0.1%DMSO、dimethyl sulfoxide、ジメチルスルホキシド(DMSO))、あるいは各種の異なる濃度の化合物を共に2時間培養し、その後、5μMAβまで40時間暴露する。MTT還元分析により細胞の生存率を測定する。細胞を0.5mg/mLのMTTを含有する基礎培養基で1時間培養する。培養基を除去した後に、formazan粒子をDMSO(Dimethyl sulfoxide)で溶解する。ELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)で600nmの吸光値を測定分析する。三回単独で実験した結果を、平均値±S.D.で表わし、分散分析ANOVAによりBonferroni試験のposthoc多重比較でデータ分析を行う。
[実施例2−2]
【0024】
表2に示す結果のように、化合物1-5はいずれも濃度-依存性によりAβ-が引き起こす神経細胞の毒性を低減することができる。このうち、この化合物はそれぞれ濃度が5、10、10、10および20μMのもとで、それぞれ25.3%(化合物1)、29.5%(化合物2)、36.7%(化合物3)、28.9%(化合物4)、29.5%(化合物5)の細胞の死滅が減少することから、明らかに神経細胞に対する保護によりAβの損傷を受けないことが明らかである。
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】化合物1の主なNOESY関連性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式を有し、[化1]、また医薬的に許容される塩基類、溶剤は物、水化物あるいは生物の活性の誘導体である化合物。
【化1】

【請求項2】
下記の構造式を有し、[化2]、 このうちRはHとし、また、医薬的に許容される塩基類、溶剤は物あるいは生物の活性の誘導体である化合物。
【化2】

【請求項3】
樟芝(Antrodia
camphorata)の子実体より分離した、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
19-ヒドロキシラブダ-8(17),13-ジエン-16,15-オリデであり、あるいは生物活性と同等の誘導体を有す、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
3β,19-ヒドロキシラブダ-8(17),11E-ジエン-16、15-オリデであり、あるいは生物活性と同等の誘導体を有す、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
13-epi-3β,19-ヒドロキシラブダ-8(17),11E-ジエン-16、15-オリデであり、あるいは生物活性と同等の誘導体を有す、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
19-ヒドロキシラブダ-8(17),β-ジエン-16、15-オリデであり、あるいは生物活性と同等の誘導体を有す、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
14-デオキシ-11,12-ジデヒドロアンドログラフォロイドであり、あるいは生物活性と同等の誘導体を有す、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
少なくとも請求項1または2に記載の化合物および医薬的に許容されるキャリヤー、あるいは賦形剤、希釈剤を含む、神経保護作用を有す医薬組成物。
【請求項10】
その化合物が、19-ヒドロキシラブダ-8(17),11E-ジエン-16、15-オリデであり、あるいは生物活性と同等の誘導体を有す、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
その化合物が、3β,19-ヒドロキシラブダ-8(17),11E-ジエン-16、15-オリデであり、あるいは生物活性と同等の誘導体を有す、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
その化合物が、13-epi-3β,19-ヒドロキシラブダ-8(17),11E-ジエン-16、15-オリデであり、あるいは生物活性と同等の誘導体を有す、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
それが神経細胞の保護に用いられることを特徴とする、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項14】
それが神経細胞に関わる疾病の治療あるいは予防に用いられることを特徴とする、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項15】
それがアルツハイマー病の治療あるいは予防に用いられることを特徴とする、請求項9に記載の医薬組成物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−44940(P2008−44940A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208105(P2007−208105)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(507269522)康建生物科技股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】