説明

模様面の形成方法

【課題】建築物等において、美観性の高いランダムなぼかし模様を形成することができる簡便な塗装方法を提供する。
【解決手段】基材に対し、(1)少なくとも1種以上の着色粒状物が分散媒中に分散した下塗材を塗付して、下塗面を形成する工程、(2)当該下塗面に対し、 前記着色粒状物よりも透明性が高い透明着色粒状物が、少なくとも1種以上分散媒中に分散した上塗材を塗付する工程、を行う。工程(1)では、着色顔料濃度が5重量%を超える着色塗料より得られる着色粒状物が、少なくとも1種以上分散媒中に分散した下塗材が使用できる。また、工程(2)では、着色顔料濃度が5重量%以下である透明着色塗料より得られる透明着色粒状物が、少なくとも1種以上分散媒中に分散した上塗材が使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な模様面の形成方法に関するものである。本発明は、主に建築物や土木構造物等に対して適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の内外装等における壁材の一つとして、大理石等の天然石材が使用されている。このような天然石材は、多彩な色柄模様を有しており、美観性に優れたものである。但し、天然石材を加工して得られる壁材は、一般に重く、厚いため、基材への負荷が大きくなりやすい。また、このような壁材は、価格が高いという短所もある。
そこで、大理石等の天然石材に類似した模様を形成させる方法が、種々提案されている。具体的には、塗装方法の工夫により、ランダムなぼかし模様を形成して、天然石材調の模様を表現しようとする方法等が知られている。
【0003】
例えば、特開平10−183030号公報(特許文献1)には、複数の顔料成分を含む塗料組成物を塗装した後、溶剤を含む混合液体を吹き付けることによって、大理石調の模様を形成することが記載されている。
特開平10−216626号公報(特許文献2)には、下層塗料を塗装後、下層塗料が乾燥する前に、上層塗料を水滴状に散布する方法が記載されている。
しかしながら、このような方法では、いずれも、塗装に供する材料や装置について、工場内で諸条件を管理しつつ塗装する必要がある。すなわち、実際の建築物等に対して適用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−183030号公報
【特許文献2】特開平10−216626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、建築物等において、美観性の高いランダムなぼかし模様を形成することができる簡便な塗装方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、着色粒状物を含む下塗材を塗付した後、当該下塗材における着色粒状物よりも透明性が高い透明着色粒状物を含む上塗材を塗付する方法に想到し、本発明を完成させるに到った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0008】
1.基材に対し、
(1)少なくとも1種以上の着色粒状物が分散媒中に分散した下塗材を塗付して、
下塗面を形成する工程、
(2)当該下塗面に対し、
前記着色粒状物よりも透明性が高い透明着色粒状物が、少なくとも1種以上分散媒中に分散した上塗材
を塗付する工程、
を行うことを特徴とする模様面の形成方法。
2.基材に対し、
(1)着色顔料濃度が5重量%を超える着色塗料より得られる着色粒状物が、少なくとも1種以上分散媒中に分散した下塗材を塗付して、下塗面を形成する工程、
(2)当該下塗面に対し、
着色顔料濃度が5重量%以下である透明着色塗料より得られる透明着色粒状物が、少なくとも1種以上分散媒中に分散した上塗材を塗付する工程、
を行うことを特徴とする模様面の形成方法。
3.前記上塗材は、
少なくとも2種以上の透明着色粒状物を含むものであり、
当該透明着色粒状物として、
着色顔料濃度が異なる2種以上の同色の透明着色粒状物
を含む1.または2.記載の模様面の形成方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ランダムなぼかし模様を、簡便な方法によって形成することができる。この方法によって、天然石材に類似した模様等を得ることが可能となる。本発明は、建築物、土木構造物の壁面等に対し、美観性を付与する塗装方法として、好ましく適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
本発明は、基材に対し、
(1)少なくとも1種以上の着色粒状物が分散媒中に分散した下塗材を塗付して、
下塗面を形成する工程(以下「工程(1)」ともいう)、
(2)当該下塗面に対し、
前記着色粒状物よりも透明性が高い透明着色粒状物が、少なくとも1種以上分散媒中に分散した上塗材を塗付する工程(以下「工程(2)」ともいう)、
を行うものである。
【0012】
本発明では、このような方法を用いることにより、美観性の高いランダムなぼかし模様を形成することができ、自然感の高い仕上りを得ることが可能となる。
このような効果は、上塗材における着色粒状物が透明性を有するため、その散在状態、重なり状態等によって、下層の色柄模様の見え方に変化が生じることに起因するものである。
なお、本発明における「透明」とは、可視光透過性を有し、下層が視認できる性質のことである。
【0013】
本発明は、主に、建築物、土木構造物等に適用することができる。このような部位を構成する基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、プラスチック板、金属板、木工板、ガラス、煉瓦、陶磁器タイル等の各種基材が挙げられる。
これら基材は、何らかの表面処理(フィラー処理、サーフェーサー処理、シーラー処理等)が施されたものや、予め着色塗料等で着色されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたものであってもよい。
【0014】
本発明の工程(1)では、上記基材に対し、下塗材を塗付して、下塗面を形成する。この工程(1)における下塗材としては、少なくとも1種以上の着色粒状物が分散媒中に分散した形態の塗料を用いる。分散媒は、着色粒状物の色調を著しく阻害しないものであればよい。
この工程(1)により、基材の上に、着色粒状物が散在した模様面を得ることができる。
【0015】
この工程(1)における下塗材としては、少なくとも1種以上の着色粒状物が含まれるものであればよいが、2種以上の異色の着色粒状物が含まれるもの、すなわち2色以上(より好ましくは3〜8色)の着色粒状物が含まれるものが好適である。このような下塗材を用いることにより、一層豊かな美観性を有する模様面を形成することができる。
着色粒状物の色調は、最終的に形成される模様に応じて適宜設定すればよい。
【0016】
下塗材における着色粒状物の粒径は、通常0.1〜10mm(好ましくは0.5〜5mm)程度である。本発明では、粒子径が異なる着色粒状物を種々組み合せることによって、意匠性の幅を広げることもできる。
【0017】
下塗材における着色粒状物の比率は、通常20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。
【0018】
下塗材における着色粒状物としては、着色塗料より得られるもの、すなわち着色塗料が粒状化されたものが好適である。着色粒状物が着色塗料に由来するものであれば、色の調製が容易となり、所望の色調が得られやすくなる。また、平坦な面が形成されやすくなる。さらに、下塗材を吹き付けた場合、着色粒状物の跳ね返りが抑制され、塗着効率が向上するという利点もある。
このような着色粒状物は、液状の着色塗料が内包された形態、着色塗料がゲル化した状態、のいずれであってもよい。
【0019】
このような下塗材としては、一般に多彩模様塗料として知られている形態のものが使用できる。多彩模様塗料は、JIS K5667(2002)「多彩模様塗料」に規定されており、塗料を構成する分散媒と着色粒子の組み合わせによって、水中油型(O/W型)、油中水型(W/O型)、油中油型(O/O型)及び水中水型(W/W型)の4種類に分類される。本発明における上塗材としては、特に、水中油型(O/W型)または水中水型(W/W型)の塗料が好適である。
【0020】
下塗材において、着色粒状物を生成する着色塗料としては、結合材、及び顔料を含むものが使用できる。
【0021】
着色塗料における結合材としては、各種の樹脂成分が使用できる。樹脂成分としては、例えば、溶剤可溶型樹脂、非水分散型樹脂、無溶剤型樹脂、水分散型樹脂、水溶性樹脂等が挙げられる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等、あるいはこれらの複合物等が挙げられる。このような樹脂成分は、塗膜形成後に架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。
【0022】
顔料としては、着色顔料が使用できる。具体的に、着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、カーボンブラック、酸化第二鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、酸化鉄、群青、コバルトグリーン等の無機着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機着色顔料、パール顔料、アルミニウム顔料、蛍光顔料等が挙げられる。このような着色顔料の1種または2種以上を組み合わせることにより、着色塗料を所望の色調に調製することができる。
着色塗料においては、このような着色顔料に加え、体質顔料を使用することもできる。体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、カオリン、陶土、タルク、珪石粉、珪藻土等が挙げられる。
【0023】
この着色塗料における着色顔料の濃度は、5重量%を超える範囲内(好ましくは5重量%を超え40重量部以下、より好ましくは6重量%以上30重量%以下)で設定する。着色粒状物中の着色顔料濃度をこのような範囲内に設定すれば、着色粒状物の隠ぺい性を高めることができ、上塗材中の透明着色粒状物よりも、相対的に透明性の低い着色粒状物を得ることができる。
【0024】
下塗材の塗装方法については、本発明の効果が奏される限り、種々の方法を採用することができるが、本発明では吹き付け塗装が好適である。
下塗材の塗付け量は、最終的な模様の種類によって異なるが、通常0.1〜1kg/m程度である。下塗材の乾燥は、通常、常温(0〜40℃程度)で行えばよい。本発明では、下塗材が乾燥した後に、工程(2)を行えばよい。
【0025】
本発明の工程(2)では、上記下塗面に対し、下塗材中の着色粒状物よりも透明性が高い透明着色粒状物が、少なくとも1種以上分散媒中に分散した上塗材を塗付する。本発明では、このような上塗材を用いることにより、下層の色柄模様に視覚的変化を生じさせ、ランダムなぼかし模様を得ることができる。
透明着色粒状物の粒径は、通常0.1〜10mm(好ましくは0.5〜5mm)程度である。本発明では、粒子径が異なる粒状物を種々組み合せることによって、意匠性の幅を広げることもできる。
【0026】
上塗材における透明着色粒状物としては、透明着色塗料より得られるもの、すなわち透明着色塗料が粒状化されたものが好適である。透明着色粒状物が透明着色塗料に由来するものであれば、色の調製が容易となり、所望の色調が得られやすくなる。また、平坦な面が形成されやすくなる。さらに、上塗材を吹き付けた場合、透明着色粒状物の跳ね返りが抑制され、塗着効率が向上するという利点もある。
このような透明着色粒状物は、液状の透明着色塗料が内包された形態、透明着色塗料がゲル化した状態、のいずれであってもよい。
【0027】
このような上塗材は、分散媒中に、透明着色塗料の粒状物が分散したものである。分散媒は、透明着色粒状物の色調を著しく阻害しないものであればよい。
このような上塗材は、前記下塗材と同様に、一般に多彩模様塗料として知られている塗料の技術に基づき、製造することができる。本発明における上塗材としては、特に、水中油型(O/W型)または水中水型(W/W型)の塗料が好適である。
【0028】
上塗材における透明着色塗料としては、結合材、及び顔料を含むものが使用できる。透明着色塗料の色調は、所望の仕上げ外観に応じて、適宜設定すればよい。
透明着色塗料における結合材、顔料としては、工程(1)で説明したものと同様のものが使用できる。
透明着色塗料における着色顔料の濃度は、下塗材における着色粒状物よりも透明性が高くなる範囲内で適宜設定すればよいが、通常は5重量%以下(好ましくは0.001重量%以上3重量%以下、より好ましくは0.01重量%以上2重量%以下)である。透明着色塗料の色調は、最終的に形成される模様に応じて適宜設定すればよい。
【0029】
上塗材における透明着色粒状物は、1種であってもよい。すなわち、本発明では、透明着色粒子が1種(1色)のみである上塗材が使用できる。本発明における上塗材は、透明着色粒子の散在状態、重なり状態等の差異によって、視覚的効果を奏するものである。そのため、多種多色の着色粒子が含まれる一般的な多彩模様塗料とは異なり、1種の着色粒子のみでも構成できるのである。
【0030】
本発明の上塗材は、2種以上の透明着色粒子が含まれるものであってもよい。この場合、上塗材としては、着色顔料濃度が異なる2種以上の同色の透明着色粒状物を含むものが好適である。このように、同色であるが、着色顔料濃度が異なる2種以上の透明着色粒子が含まれることにより、全体的な仕上り外観における視覚的変化が豊かとなり、美観性を高めることができる。
【0031】
なお、本発明における「同色」とは、視覚的に略同じ色として認識できることを意味する。具体的には、相互の色差が、通常5以下(好ましくは4以下、より好ましくは3以下)であればよい。この色差(△E)は、白紙を背景として用い、対象物の色データ(L、a、b)を測定することにより、算出することができる。色差は、色差計を用いて測定することができる。測定時の対象物の膜厚は、50μm程度とすればよい。
【0032】
上塗材における透明着色粒状物の比率は、通常20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。
【0033】
上塗材の塗装方法については、本発明の効果が奏される限り、種々の方法を採用することができるが、本発明では吹き付け塗装が好適である。
上塗材の塗付け量は、最終的な模様の種類によって異なるが、通常0.1〜1kg/m程度である。上塗材の乾燥は、通常、常温で行えばよい。
【0034】
本発明では、上塗材の塗膜が乾燥した後、必要に応じクリヤー塗料を塗付することもできる。特に耐候性が要求される構造物外部の部位に施工する際には、保護の目的でクリヤー塗料を塗付するのが好ましい。
また、本発明では、目地棒や目地型枠等の目地材の使用によって、格子状、幾何学模様状等の目地部を形成することもできる。この場合は、目地色となる色調で塗装を施した基材に、目地材を貼り付けた後、必要に応じ中塗材等を塗付した後、上記工程を行い、その後に目地材を除去すればよい。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0036】
(下塗材)
下塗材としては、以下に示すものを用意した。
【0037】
・下塗材1
白色粒子(アクリル樹脂、二酸化チタン、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする着色塗料の粒状物、着色顔料濃度14重量%、粒子径約4mm)と、淡黄色粒子(アクリル樹脂、黄色酸化鉄、二酸化チタン、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする着色塗料の粒状物、着色顔料濃度13重量%、粒子径約2mm)と、淡灰色粒子(アクリル樹脂、二酸化チタン、黒色酸化鉄、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする着色塗料の粒状物、着色顔料濃度14重量%、粒子径約1mm)が水性媒体中に分散した水中油型の多彩模様塗料。白色粒子:淡黄色粒子:淡灰色粒子=40:30:30(重量比率)。
【0038】
・下塗材2
黒色粒子(アクリル樹脂、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、弁柄、酸化チタン、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする着色塗料の粒状物、着色顔料濃度16重量%、粒子径約3mm)と、灰色粒子(アクリル樹脂、黒色酸化鉄、二酸化チタン、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする着色塗料の粒状物、着色顔料濃度13重量%、粒子径約1mm)と、灰紫色粒子(アクリル樹脂、弁柄、フタロシアニンブルー、二酸化チタン、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする着色塗料の粒状物、着色顔料濃度17重量%、粒子径約2mm)が水性媒体中に分散した水中油型の多彩模様塗料。黒色粒子:灰色粒子:灰紫色粒子=30:35:35(重量比率)。
【0039】
(上塗材)
上塗材としては、以下に示すものを用意した。
【0040】
・上塗材1
容器内に水500重量部を仕込み、攪拌を行いながらポリビニルアルコール10重量部と、消泡剤1重量部とを均一に混合することにより、分散媒Aを製造した。
次に、別の容器内にアクリル樹脂液(固形分50重量%)200重量部を仕込み、攪拌を行いながら白色顔料液(酸化チタン60重量%分散液)5重量部と、体質顔料130重量部と、粘性調整剤4重量部と、溶剤156重量部と、消泡剤5重量部とを均一に混合することにより透明着色塗料A(着色顔料濃度0.6重量%)を製造した。
上述の分散媒Aに対し、チタン系架橋剤を3重量部加えて均一に混合した後、さらに攪拌を継続しながら透明着色塗料Aを徐々に添加・分散することにより、約1mmの透明白色粒子が分散した分散液Aを得た。
上塗材1としては、この分散液Aをそのまま使用した。
【0041】
・上塗材2
透明着色塗料Aに代えて、下記透明着色塗料Bを使用した以外は、分散液Aと同様の製造方法で分散液Bを得た。この分散液Bは、約2mmの透明白色粒子が分散したものであった。
透明着色塗料B:アクリル樹脂液200重量部、白色顔料液(酸化チタン60重量%分散液)10重量部、体質顔料130重量部、粘性調整剤5重量部、溶剤150重量部、消泡剤5重量部からなる塗料(着色顔料濃度1.2重量%)。
【0042】
以上の方法で得られた分散液Aと分散液Bを、60:40の重量比率で混合することにより、上塗材2を製造した。
【0043】
・上塗材3
透明着色塗料Aに代えて、下記透明着色塗料Cを使用した以外は、分散液Aと同様の製造方法で分散液Cを得た。この分散液Cは、約1mmの透明黒色粒子が分散したものであった。
透明着色塗料C:アクリル樹脂液200重量部、黒色顔料液(黒色酸化鉄10重量%分散液)1重量部、体質顔料130重量部、粘性調整剤4重量部、溶剤160重量部、消泡剤5重量部からなる塗料(着色顔料濃度0.02重量%)。
上塗材3としては、この分散液Cをそのまま使用した。
【0044】
(実施例1)
予めシーラー(白色)が塗装されたスレート板に対し、下塗材1を塗付け量0.5kg/mにて吹き付け塗装し、4時間乾燥した。
次に、この下塗面の上に、上塗材1を塗付け量0.5kg/mにて吹き付け塗装し、24時間乾燥した。なお、塗装及び乾燥は、すべて標準状態(気温23℃、相対湿度50%)にて行った。
以上の方法により得られた模様面は、ランダムなぼかし模様の仕上りとなり、大理石調の美観性を有するものであった。
【0045】
(実施例2)
予めシーラー(白色)が塗装されたスレート板に対し、下塗材1を塗付け量0.5kg/mにて吹き付け塗装し、4時間乾燥した。
次に、この下塗面の上に、上塗材2を塗付け量0.5kg/mにて吹き付け塗装し、24時間乾燥した。なお、塗装及び乾燥は、すべて標準状態にて行った。上塗材2の着色粒子を構成する透明着色塗料Aと、透明着色塗料Bとの色差は0.8であった。
以上の方法により得られた模様面は、ランダムなぼかし模様の仕上りとなり、大理石調の美観性を有するものであった。全体的な仕上り性は、実施例1よりも一層良好であった。
【0046】
(実施例3)
予めシーラー(白色)が塗装されたスレート板に対し、下塗材2を塗付け量0.5kg/mにて吹き付け塗装し、4時間乾燥した。
次に、この下塗面の上に、上塗材3を塗付け量0.5kg/mにて吹き付け塗装し、24時間乾燥した。なお、塗装及び乾燥は、すべて標準状態にて行った。
以上の方法により得られた模様面は、ランダムなぼかし模様の仕上りとなり、大理石調の美観性を有するものであった。
【0047】
(比較例1)
予めシーラー(白色)が塗装されたスレート板に対し、下塗材1を塗付け量0.5kg/mにて吹き付け塗装し、24時間乾燥した。
以上の方法により得られた模様面は、個々の着色粒子が明瞭に視認されるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に対し、
(1)少なくとも1種以上の着色粒状物が分散媒中に分散した下塗材を塗付して、
下塗面を形成する工程、
(2)当該下塗面に対し、
前記着色粒状物よりも透明性が高い透明着色粒状物が、少なくとも1種以上分散媒中に分散した上塗材
を塗付する工程、
を行うことを特徴とする模様面の形成方法。
【請求項2】
基材に対し、
(1)着色顔料濃度が5重量%を超える着色塗料より得られる着色粒状物が、少なくとも1種以上分散媒中に分散した下塗材を塗付して、下塗面を形成する工程、
(2)当該下塗面に対し、
着色顔料濃度が5重量%以下である透明着色塗料より得られる透明着色粒状物が、少なくとも1種以上分散媒中に分散した上塗材を塗付する工程、
を行うことを特徴とする模様面の形成方法。
【請求項3】
前記上塗材は、
少なくとも2種以上の透明着色粒状物を含むものであり、
当該透明着色粒状物として、
着色顔料濃度が異なる2種以上の同色の透明着色粒状物
を含む請求項1または2記載の模様面の形成方法。

【公開番号】特開2011−25173(P2011−25173A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174477(P2009−174477)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(599071496)ベック株式会社 (98)
【Fターム(参考)】