横型多段プレス装置の板材位置決め構造
【課題】 被処理板材の搬入不足状態を是正して加熱加圧処理を能率よく実行でき、処理済板材での板厚の不揃い等の不良品発生を防止できる横型多段プレス装置の板材位置決め構造を提供する。
【解決手段】 ホットプレス部100には、n枚の被処理板材W1に対応して設けられるn個の搬入径路Ka〜Knにおいて、各搬入径路Ka〜Knの前方側(先頭側)に配置されたストッパ170及び近接スイッチ10a〜10nと、各搬入径路Ka〜Knの後方側(末尾側)に配置されたn本の作動アーム180a〜180nとが備えられている。ストッパ170はすべての搬入径路Ka〜Knに跨って各被処理板材W1の搬入停止位置に配置され、各々の近接スイッチ10a〜10nは各被処理板材W1が停止位置まで搬入されたことを検知し、各々の作動アーム180a〜180nは搬入不足状態の被処理板材W1を対応する搬入径路Ka〜Knに沿って停止位置まで再搬入する。
【解決手段】 ホットプレス部100には、n枚の被処理板材W1に対応して設けられるn個の搬入径路Ka〜Knにおいて、各搬入径路Ka〜Knの前方側(先頭側)に配置されたストッパ170及び近接スイッチ10a〜10nと、各搬入径路Ka〜Knの後方側(末尾側)に配置されたn本の作動アーム180a〜180nとが備えられている。ストッパ170はすべての搬入径路Ka〜Knに跨って各被処理板材W1の搬入停止位置に配置され、各々の近接スイッチ10a〜10nは各被処理板材W1が停止位置まで搬入されたことを検知し、各々の作動アーム180a〜180nは搬入不足状態の被処理板材W1を対応する搬入径路Ka〜Knに沿って停止位置まで再搬入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理板材を加熱加圧する横型多段プレス装置の板材位置決め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
合板、化粧板、繊維板、パーティクルボード、ベニヤ単板等の板材(被処理板材)を加熱加圧して所定の板厚に成形する多段プレス装置(ホットプレス)において、起立状態に保持された複数の板材を複数配置された熱板の間に搬入して加熱加圧する横型方式が知られている。この横型方式(横型ホットプレス)は、水平方向に保持された板材と熱板とを上下方向に交互に積み重ねて加熱加圧する縦型方式(縦型ホットプレス)に比して、板材や熱板自身の重量の影響による成形ムラ(板厚の不揃い)が発生しにくい利点を有する。
【0003】
そして、本願出願人はこのような横型ホットプレスにおいて、複数の板材を熱板での押圧位置(シリンダのラム位置を基準とする)に搬入するときに所定の停止位置で停止させるためのストッパ(停止部材)を設けることを提案した(特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特開昭60−118526号公報
【0005】
特許文献1によれば、ストッパを熱板での押圧位置に合わせておくだけで、搬入時に複数の板材を所定の押圧位置に揃えて停止させることができるようになり、加熱加圧後の処理済板材に板厚の不揃いを生じにくい。しかし、加熱加圧前の被処理板材は、例えば含水率をとってみても、板材毎に、あるいは1枚の板材でもその部位毎に異なるため、撓み(反り)、捩れ(ひねり)等が一様ではない。このような板材を搬入径路に跨るローラコンベヤ等の搬送体で一斉搬入した場合、所定時間を経過してもストッパに達しないで途中で滞留しやすくなる。このように被処理板材に搬入不足状態(停止位置不揃い)が発生すると、装置全体を停止して人力によって滞留した板材を除去するか所定の停止位置まで移動するかしなければならず、プレス処理の能率を低下させたり、処理済板材に板厚の不揃い等を生じたりするおそれがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、被処理板材の搬入不足状態を是正して加熱加圧処理を能率よく実行でき、処理済板材での板厚の不揃い等の不良品発生を防止できる横型多段プレス装置の板材位置決め構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の横型多段プレス装置の板材位置決め構造は、
起立状態に保持された複数の被処理板材をその被加圧面に沿って形成される個々の搬入径路に跨って配置された搬送体により、複数配置された熱板の間にそれぞれ搬入し、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向としてそれらの被処理板材を前記複数の熱板により一斉に加熱加圧する横型多段プレス装置の板材位置決め構造であって、
前記各被処理板材の搬入径路の搬送方向前方側にそれぞれ配置され、その被処理板材が所定の停止位置まで搬入されたことを前記搬入径路毎に検知する複数の板材検出手段と、
その板材検出手段によりいずれの被処理板材において前記停止位置まで搬入されずに滞る搬入不足状態を生じているかが個別に検知されたとき、前記熱板による加熱加圧の実行前に作動して、搬入不足状態の被処理板材を対応する搬入径路に沿って前記停止位置までそれぞれ再搬入する補助搬送体とを備えることを特徴とする。
【0008】
このように、被処理板材の搬入径路毎に板材検出手段を配置し、その板材検出手段により搬入不足状態の発生を個別に検知したときに補助搬送体を作動させて被処理板材を所定の停止位置まで再搬入する。したがって、複数の被処理板材を所定の停止位置(押圧位置)に揃え、各被処理板材を挟む複数の熱板により一斉に加熱加圧(プレス成形)することができる。これにより、被処理板材の搬入不足状態が是正され、加熱加圧処理が能率よく実行できる。また、加熱加圧後の処理済板材に板厚の不揃い等が発生しにくくなり、製品歩留りを向上(不良品の発生を減少)させることができる。
【0009】
このような板材位置決め構造では、
(1)各搬入径路毎に板材検出手段を設け、すべての搬入径路(又は押圧方向に複数分割した搬入径路)に跨って補助搬送体を設ける方式;
(2)各搬入径路毎に板材検出手段と補助搬送体とを設ける方式;
のいずれを採用してもよい。これらの場合には板材検出手段として、静電容量式等の近接スイッチ、反射型の非接触センサ(反射型光電センサ、反射型超音波センサ等)や接触センサ(リミットスイッチ、マイクロスイッチ等)が望ましい。また、補助搬送体は、板状、柵状、枠状、棒状、管状等の断面形状や、すべての搬入径路に跨って単一の形態、搬入径路を押圧方向に複数分割された形態、搬入径路毎に設けた形態等を含む。なお、(1)の場合に、複数の搬入径路に跨る長さを有する補助搬送体を押圧方向に移動可能とすれば、単一の補助搬送体で構成することもできる。
【0010】
板材位置決め構造の補助搬送体は、搬入径路内に突入して搬入不足状態の被処理板材の搬送方向後端を押すことによりその被処理板材を停止位置まで再搬入する作動状態と、熱板よりも搬送方向後方(上方)側の搬入径路外に退避して次工程の被処理板材の通過を許容する非作動状態とに切換(変位)可能であり、
補助搬送体は、搬送体による被処理板材の搬入の際に非作動状態を保持し板材検出手段が搬入不足状態の被処理板材を検知したときに作動状態に移行(変位)し、次工程の被処理板材の搬入時までに非作動状態に復帰(変位)することが望ましい。
【0011】
このように、補助搬送体は、被処理板材を再搬入する作動状態と搬入径路外に退避する非作動状態とに切り換えられる(変位する)。したがって、搬送体により被処理板材を熱板間(搬入径路)に供給する際には、搬入の妨げにならないように補助搬送体を搬入径路外に退避させて非作動状態に切り換えておけばよい。一方、ひとたび被処理板材に搬入不足が発生した時には補助搬送体が作動状態となって、搬入不足を生じた被処理板材を所定の停止位置まで搬入し直すことができるので、被処理板材に対する加熱加圧処理を停滞させることなく高能率で実行できる。
【0012】
このような補助搬送体が、搬入不足状態の被処理板材を対応する搬入径路の停止位置までそれぞれ再搬入できるように、搬入径路毎に配置されている場合には、板材検出手段が搬入不足状態の被処理板材の存在を検知すると、直ちに補助搬送体を作動してすべての搬入不足状態の被処理板材を同時に再搬入できる。したがって、効率的に搬入不足状態の被処理板材の再搬入を完了して、次の工程(加熱加圧処理工程)に早く移行でき、サイクルタイムを短縮することができる。また、補助搬送体の(駆動源の)駆動力を比較的小さく抑えることができる。すなわち、板材検出手段で搬入不足状態が検知された数の補助搬送体のみを作動させればよいので、すべての搬入径路に跨る単一の補助搬送体を作動させて搬入不足状態の被処理板材を再搬入する場合に比べて動力のロスを抑制できる。
【0013】
なお、搬入径路毎に配置された補助搬送体を個別に駆動するには、例えば、補助搬送体を駆動する個々の油圧シリンダ毎に駆動信号を入力したり、電動モータと各補助搬送体との間に介装される個々のクラッチ毎に駆動信号を入力したりすればよい。
【0014】
そして、停止位置には、搬入径路内に突入して被処理板材の前端を受け止める受止状態と、搬入径路外に退避して熱板による加熱加圧の実行が終了した処理済板材の通過を許容する退避状態とに切換(変位)可能な停止部材が配置され、
その停止部材は、搬送体による被処理板材の搬入の際に受止状態を保持し、補助搬送体の作動時にはその受止状態を維持し、搬送体による処理済板材の搬出時までに退避状態に移行(変位)し、次工程の被処理板材の搬入時までに受止状態に復帰(変位)することが望ましい。
【0015】
このように、停止部材は、被処理板材の搬入の際の受止状態と搬入径路外に退避する退避状態とに切り換えられる(変位する)。したがって、搬送体により被処理板材を熱板間(搬入径路)に供給したり、補助搬送体により再搬入する際には、停止部材は搬入径路内に突入して被処理板材の搬送方向前端を受け止めることができるので、各被処理板材を定位置(停止位置)で停止させ、被処理板材に対する加熱加圧処理を停滞させることなく高能率で実行できる。一方、搬送体により処理済板材を搬出する時には、搬出処理に先立って停止部材を搬入径路外に退避させることができるので、搬入径路をそのまま搬出径路として利用することにより搬出処理が滞りなく行なえる。その結果、次工程の搬入処理をスムーズに開始できる。
【0016】
具体的には、停止部材は受止状態において各被処理板材の停止位置を規定して同時に受け止めできるようにすべての搬入径路に跨って配置されるとともに、複数の板材検出手段は被処理板材の搬入径路毎に位置するように停止部材にそれぞれ固定配置され、
いずれかの板材検出手段が搬入不足状態の被処理板材を検知したときに、補助搬送体はその搬入不足状態の被処理板材を搬送方向後方(上方)側から停止位置まで再搬入することができる。
【0017】
このように、各板材検出手段を単一の停止部材に固定配置することによって、搬入された各被処理板材の搬送方向前端が停止位置に達しているか否かを、停止部材が受止状態にあるときに被処理板材に接近又は接触して精度よく検出することができる。しかも、停止部材が退避状態にあるときには板材検出手段も搬入径路外に退避するので、処理済板材の通過を阻害せず円滑に搬出することができる。
【0018】
以上のような横型多段プレス装置の板材位置決め構造において、
搬送体により搬入される被処理板材の被加圧面の大きさに応じて、停止部材の配置位置を搬送方向に移動調節する調節手段と、
停止部材の近傍であって搬送方向前方側には、搬送体による処理済板材の搬出の際にその処理済板材の下端面を下側から支持するためにすべての搬入径路に跨る処理済板材支持面を有する処理済板材支持手段とを備え、
その処理済板材支持手段は、停止部材が受止状態であるか退避状態であるかにかかわらず(それとは関係なく)、処理済板材支持面が搬送体により形成される処理済板材の搬送面の延長上に位置するとともに、調節手段による停止部材の配置位置調節状態においてその停止部材とともに搬送方向に移動(変位)することもできる。
【0019】
このように、受止状態と退避状態とに切り換えられる停止部材が、位置変化を伴う(特に、退避状態で搬入径路外に退避する)ことによって被処理板材の搬出に支障を来たすことのないように、停止部材の近傍には、処理済板材を下側から支持する処理済板材支持手段が設けられる。したがって、処理済板材支持手段を備えることにより、停止部材の移動領域において、搬出される処理済板材の保持姿勢(下側からの支持状態)が不安定となって傾く(搬送方向に対して傾斜する)ことを防止している。その際、停止部材が受止状態であるか退避状態であるかにかかわらず(すなわち、停止部材が搬入径路外に退避しているか否かとは関係なく)、処理済板材支持面が搬送面の延長上に位置しすべての搬入径路に跨って配置されているので、処理済板材を常時安定して保持することができる。なお、処理済板材支持手段を例えば円筒状ローラで構成し、単独で駆動回転して処理済板材を下側から支えつつ搬送(搬出)できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施例)
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明に係る板材位置決め構造を含む横型多段プレス装置の一例を示す平面図、図2はその正面図である。図1及び図2に示す横型多段プレス装置1は、合板、化粧板等のように、複数枚のベニヤ単板を接着剤で積層し、矩形板状となした水平状態の多数の被処理板材W1を、ローダ部200(搬入部)で起立状態に保持してホットプレス部100(加熱加圧部)へ搬入する。ホットプレス部100で所定時間加熱加圧して、所定の厚みに成形された処理済板材W2を、アンローダ部300(搬出部)で再び水平状態に戻して搬出する。
【0021】
ホットプレス部100には、上下方向(起立方向)及び左右方向(搬送方向)に各々所定の間隔を隔てて配置された各一対の上下の横梁101L,101R、102L,102Rを介して、前後方向(押圧方向)に一対の固定フレーム103F,103Bが配設されている。上方の横梁101L,101Rに敷設された軌条104L,104Rには、移動ローラ105L,105R(移動部材)が取り付けられている。軌条104L,104R間には、移動ローラ105L,105Rを介して、多数段の熱板130と前後方向に一対又は単一(図1では1個)の押圧盤140が吊下げ支持されている。固定フレーム103Fには、所定の間隔を隔てて複数(例えば2個)の油圧シリンダ150L,150R(駆動シリンダ)が挿通され、そのラム151L,151Rの先端が押圧盤140に取り付けられている。なお、この例では他方の固定フレーム103Bは対向側の押圧盤を兼ねている。
【0022】
熱板130の下方には、起立状態の被処理板材W1を下側から支持して、ローダ部200からホットプレス部100へ搬入するローラコンベヤ160(搬送体)が配置されている。ローラコンベヤ160は、被処理板材W1を搬入するために、すべての搬入径路K(図4参照)に跨る前後方向の幅を有する複数(例えば4本)の爪付きローラ161を備え、下方の横梁102L,102Rに掛け渡された機枠108に配設されている。ローダ部200からローラコンベヤ160で搬入された被処理板材W1は熱板130で加熱加圧された後、処理済板材W2となって再びローラコンベヤ160でアンローダ部300へ搬出される。
【0023】
ホットプレス部100の搬入側(搬送方向の上流側(後方側))には、ローダ部200が配設されている。ローダ部200には、架台201上に所定の間隔を隔てて左右一対のチェンコンベヤ202L,202R(無端体)が配置されている。チェンコンベヤ202L,202Rにはローダ棚203が設けられている。架台201上には、ホットプレス部100のローラコンベヤ160へ起立状態の被処理板材W1を受け渡すための搬入コンベヤ210(搬入体)が配置されている。搬入コンベヤ210は、すべての被処理板材W1(搬入径路K;図4参照)に跨る前後方向の幅を有する複数(例えば4本)の爪付きローラ211を備えている。
【0024】
ホットプレス部100の搬出側(搬送方向の下流側(前方側))には、アンローダ部300が配設されている。アンローダ部300には、架台301上に所定の間隔を隔てて左右一対のチェンコンベヤ302L,302R(無端体)が配置されている。チェンコンベヤ302L,302Rにはアンローダ棚303が設けられている。架台301上には、ホットプレス部100のローラコンベヤ160から起立状態の処理済板材W2を受け取るための搬出コンベヤ310(搬出体)が配置されている。搬出コンベヤ310は、すべての処理済板材W2に跨る前後方向の幅を有する複数(例えば4本)の爪付きローラ311を備えている。
【0025】
次に、図3はプレス構造の一例を示す平面図、図4はその側面図、図5はプレス閉鎖状態を示す側面図である。図3に示すホットプレス部100(加熱加圧部;プレス構造)には、水平方向における前後位置に固定フレーム103F,103Bを固定配置し、固定フレーム103F,103B間の上部に、平行状態で上方の横梁101L,101Rを設けてある。横梁101L,101Rに設けられた軌条104L,104Rには、前後方向に移動自在な複数の移動ローラ105L,105R(移動部材)を設けている。移動ローラ105L,105Rは、周知のごとくコロの転動状態や、面接触による摺動状態で移動するものであり、要するに水平方向に直線的に移動可能な手段であればよい。
【0026】
各移動ローラ105L,105Rは、プレス閉鎖時に上下方向に起立した被処理板材W1を間に挟んで加熱するために、熱板130の上方側が連結され、これら複数の熱板130は、前後方向に並設状態で吊持されて熱板群を構成する。またプレス開放時には、被処理板材W1が熱板群における熱板130の間に介挿できるように、隣り合う熱板130は搬送方向に平行に位置して所定間隔を保つようにしている。なお、熱板130の内部に、蒸気、熱油などを給排し、その温度を被処理板材W1の種類に応じて維持している。
【0027】
また、熱板群の熱板130に連繋し、熱板130を前後方向に移動し、プレス閉鎖およびプレス開放を行うようにした前後一対の押圧盤140F,140Bを備えている。押圧盤140F,140Bは、熱板群における前後方向の両側に位置するそれぞれの熱板130に対向して配設され、押圧盤140F,140Bの上方側を移動ローラ105L,105Rに連結して前後方向に移動自在に吊持する。また、押圧盤140F,140Bは、固定フレーム103F,103Bに設けられる油圧シリンダ150L,150Rのラム151L,151Rと連結し、ラム151L,151Rによって前後方向に往復動自在となしている。なお、図3の押圧盤140F,140Bは、固定フレーム103F,103Bに対していずれも前後方向に往復動する。
【0028】
熱板群における熱板130相互間、及び両端部の熱板130と押圧盤140F,140Bとは、プレス開放時に所定の前後間隔を保持するために、それぞれ間隔規制具131で連繋されている。間隔規制具131は門型に形成され、熱板130、押圧盤140F,140Bの上方側で隣接するブラケット132相互に架け渡し、その一端をブラケット132に取り付け、他端を自由端とする。プレス開放時に、間隔規制具131の自由端がブラケット132に係止され、熱板130、押圧盤140F,140Bにおける前後の間隔が一定の幅で規制される。
【0029】
また、吊持している熱板群における熱板130の下方には、被処理板材W1を上下方向に起立させた状態で搬入し、支持し、搬出する爪付きローラ161を複数並列に設けたローラコンベア160を配置し、複数の爪付きローラ161上面を搬送面となしている。
【0030】
次に、図6は板材位置決め構造の正面図、図7はその要部拡大正面図、図8は要部拡大平面図を示す。図6に示すように、ホットプレス部100(加熱加圧部;プレス構造)には、n枚(例えば100枚)の被処理板材W1に対応して設けられるn個の搬入径路Ka〜Knにおいて、各搬入径路Ka〜Knの前方側(先頭側;右側)に配置されたストッパ170(停止部材;板材位置決め構造)と、このストッパ170に配置されたn個の近接スイッチ10a〜10n(非接触センサ;板材検出手段;板材位置決め構造)と、各搬入径路Ka〜Knの後方側(末尾側;左側)に配置されたn本の作動アーム180a〜180n(補助搬送体;板材位置決め構造)とが備えられている。
【0031】
ストッパ170はすべての搬入径路Ka〜Knに跨って各被処理板材W1の搬入停止位置に配置され、各々の近接スイッチ10a〜10nは各被処理板材W1が停止位置(ストッパ170位置)まで搬入されたことを個別に検知し、各々の作動アーム180a〜180nは搬入不足状態の各被処理板材W1を対応する搬入径路Ka〜Knに沿って停止位置(ストッパ170位置)まで再搬入する。つまり、ストッパ170が配置された被処理板材W1の搬入停止位置は、熱板130による被処理板材W1の押圧位置(加熱加圧位置)を表わしている。
【0032】
ストッパ170は、図7に示すように熱板130の下方において、受止状態P1(停止位置)と退避状態P2(退避位置)とに切換(変位)可能である。受止状態P1においてストッパ170は、搬入径路Ka〜Kn内に突入して被処理板材W1の前端(右端)を受け止める。一方、退避状態P2においてストッパ170は、搬入径路Ka〜Kn外に退避して熱板130による加熱加圧の実行が終了した処理済板材W2の通過を許容する。よって、ストッパ170は、ローラコンベヤ160による被処理板材W1の搬入の際に受止状態P1を保持し、作動アーム180a〜180nの作動時(再搬入)には受止状態P1を維持し、ローラコンベヤ160による処理済板材W2の搬出時までに退避状態P2に移行(変位)し、次工程の被処理板材W1の搬入時までに受止状態P1に復帰(変位)する。
【0033】
つまり、ストッパ170は、常時被処理板材W1の搬入停止位置前端(右端)に配置されている。上昇して受止状態P1のストッパ170は、ローラコンベヤ160の搬送面160aよりも高位に位置して、搬入された被処理板材W1の前端(右端)を受け止める。また、下降して退避状態P2のストッパ170は、ローラコンベヤ160の搬送面160aよりも低位に位置している。そしてストッパ170は、受止状態P1において各被処理板材W1の停止位置を規定して同時に受け止めできるように、すべての搬入径路Ka〜Knに跨って配置されている(図8参照)。
【0034】
ストッパ170の退避状態P2と受止状態P1との切り換えは、ストッパ昇降用シリンダ171(リニア駆動源;図9参照)により行われる。また、ストッパ170は、被処理板材W1の被加圧面の大きさに応じて、ストッパ移動用シリンダ172(リニア駆動源;調節手段;図8参照)により熱板130の下方で停止位置を左右方向(搬送方向)に移動調節可能である。
【0035】
ストッパ170の支持構造についてさらに説明する。図7及び図8に示すように、ローラコンベヤ160の下方において、前後および左右に各一対(計4本)の支柱123が設置してある。このうち、前後の支柱123間にわたって左右の下横梁102L,102Rを架け渡すとともに、右側の下横梁102Rとストッパ170との間には前後方向に所定間隔をもって複数(例えば2本)のストッパ移動用シリンダ172を架け渡している。
【0036】
具体的には、図7に示すように、ストッパ170の下方にあってストッパ170を支持する断面矩形筒状の支持枠175(支持体;図9参照)に、左右方向(搬送方向)に配置されるストッパ移動用シリンダ172のロッド172a先端を固定してある。また、図8に示すように、右側の下横梁102Rに固定され搬送方向前方側(右側)に延びる水平梁177とその下横梁102Rとの間には、支持枠175を左右方向に貫通する形態で複数(例えば4本)の移動ガイド176(案内体)が固定されている。これによって、ストッパ移動用シリンダ172は、ロッド172aの伸縮により移動ガイド176に案内されて支持枠175を左右スライド移動する。
【0037】
図9に示すように、支持枠175には、その支持枠175を上下方向に貫通する形態で配置されたストッパ昇降用シリンダ171の下端が固定され、ストッパ昇降用シリンダ171のロッド171a上端は、直角状(例えばL字状)に形成されたストッパ170の水平部170aに固定されている。また、支持枠175にはストッパ昇降用シリンダ171と平行状に貫通する形態で配置された昇降ガイド178(案内体)の下端が固定され、昇降ガイド178の上端はストッパ170の水平部170aを貫通して垂直部170bと平行状に突出している。これによって、ストッパ昇降用シリンダ171は、ロッド171aの伸縮により昇降ガイド178に案内されてストッパ170を上下スライド移動する。
【0038】
図7及び図8に示すように、各近接スイッチ10a〜10nがストッパ170に固定配置されている。これらの近接スイッチ10a〜10nは各被処理板材W1の搬入径路Ka〜Kn毎に位置するように配置されている。つまり近接スイッチ10a〜10nは、前後方向(押圧方向)において各搬入径路Ka〜Kn毎に配置され、停止位置(ストッパ170位置)まで搬入されずに滞る搬入不足状態の被処理板材W1の有無を検知する。
【0039】
図7に示すように、各作動アーム180a〜180nが各搬入径路Ka〜Knの後方側における熱板130の上方にそれぞれ配置されている。そして、近接スイッチ10a〜10nがいずれかの搬入径路Ka〜Knで搬入不足状態の被処理板材W1を検知すると、熱板130による加熱加圧の実行前に、作動アーム180a〜180nは、その搬入不足状態の被処理板材W1のみを搬送方向後方側(左側)から押して停止位置まで再搬入するように制御される。
【0040】
これらの作動アーム180a〜180nは、各々独立して作動状態Q1(作動位置)と非作動状態Q2(非作動位置)とに切換(変位)可能である。作動状態Q1において作動アーム180a〜180nは、搬入径路Ka〜Kn内に突入して搬入不足状態の被処理板材W1の搬送方向後端(左端)を押すことにより、被処理板材W1を停止位置(ストッパ170位置)まで再搬入する。一方、非作動状態Q2において作動アーム180a〜180nは、搬入径路Ka〜Kn外に退避して次工程の被処理板材W1の通過を許容する。よって、ローラコンベヤ160による被処理板材W1の搬入の際に、全作動アーム180a〜180nが非作動状態Q2を保持する。一方、近接スイッチ10a〜10nが搬入不足状態の被処理板材W1を個別に検知したときに、対応する作動アーム180a〜180nのみが作動状態Q1に移行(変位)し、次工程の被処理板材W1の搬入時までに非作動状態Q2に復帰(変位)する。
【0041】
つまり、作動アーム180a〜180nは、搬送方向後方側でプレス閉鎖およびプレス開放における熱板130の移動に支障が生じない位置に配置される。作動アーム180a〜180nは、搬入不足状態の被処理板材W1を個別に停止位置まで再搬入できるように、すべての搬入径路Ka〜Kn毎に配置されている(図8参照)。
【0042】
図6に戻り、各々の作動アーム180a〜180nの作動状態Q1(作動位置)と非作動状態Q2(非作動位置)との切換えは、熱板130の上方において上方の横梁101Lに端部が連結された作動アーム用シリンダ181a〜181n(駆動源)により行われる。
【0043】
作動アーム180a〜180nの支持構造について図6〜図8によりさらに説明する。図8において、熱板130の上方で支持軸182がすべての搬入径路Ka〜Knを跨ぐように配設されている。この支持軸182は、上方の横梁101Lからローダ部200側へ延出している一対の支持軸固定梁183、183a間に横架している。
【0044】
図6において、作動アーム180a〜180nは、それぞれが支持軸182に回転自在に装着されている。作動アーム180a〜180nはL形に形成され、被処理板材W1に当接して再搬入するための長辺部184と、作動アーム用シリンダ181a〜181nに連結する短辺部185を備えている。この短辺部185の中間には支持軸182が貫通するとともに、短辺部185の先端に作動アーム用シリンダ181a〜181nのロッド186を連結し、作動アーム用シリンダ181a〜181nの作動により搬入不足状態の被処理板材W1を個別に停止位置まで再搬入できるようにしている。
【0045】
図8に示すように、ストッパ170には搬出側補助ローラ173(処理済板材支持手段)が付設され、搬出側補助ローラ用モータ174(回転駆動源)によって独自に回転する。搬出側補助ローラ173は、ストッパ170の近傍で搬送方向前方側(右側)に配置され、ローラコンベヤ160による処理済板材W2の搬出の際に処理済板材W2の下端面を下側から支持するために、すべての搬入径路Ka〜Knに跨る処理済板材支持面173a(図7参照)を有する。
【0046】
図7に示すように、搬出側補助ローラ173は支持枠175に取り付けられているので、処理済板材支持面173aは、ストッパ170が受止状態P1であるか退避状態P2であるかとは関係なく、常時ローラコンベヤ160の搬送面160aの延長上(同じ高さ)に位置している。そして搬出側補助ローラ173は、ストッパ移動用シリンダ172のロッド172aの伸縮に伴うストッパ170の配置位置調節状態において、ストッパ170とともに左右方向(搬送方向の前方側又は後方側)に移動(変位)する。したがって、搬出側補助ローラ173は、ストッパ移動用シリンダ172によって移動(変位)するが、ストッパ昇降用シリンダ171によって昇降(変位)しない。
【0047】
図7及び図8に示すように、熱板130の下方において、搬入側補助ローラ193が配置されている。搬入側補助ローラ193は、搬入側補助ローラ用モータ194(回転駆動源)によって独自に回転する。搬入側補助ローラ193は、搬送方向後方側(左側)に配置され、ローラコンベヤ160への被処理板材W1の搬入の際に被処理板材W1の下端面を下側から支持するために、すべての搬入径路Ka〜Knに跨る被処理板材支持面193a(図7参照)を有する。
【0048】
図10は板材位置決め制御の電気的構成を概略的に示すブロック図である。ホットプレス部100の板材位置決め制御部である制御基板20は、演算装置であるCPU21(補助搬送体制御手段)と、読み取り専用記憶装置であるROM23と、読み書き可能な主記憶装置でありワークエリアとして使用されるRAM22と、入出力インターフェイス(I/O)24とを中心に構成されている。これらの装置は、バス25で相互に送受信可能に接続されている。ROM23には、板材位置決め処理を実行するための制御プログラム23aや被処理板材W1の被加圧面の大きさを初期設定するための設定テーブル23b等が予め格納・記憶されている。
【0049】
図10に示すように、ホットプレス部100の各部から次の信号が入出力インターフェース24を介して制御基板20へ入力されている。
・設定スイッチ20a:被処理板材W1の被加圧面の大きさを押しボタン等によって人為的に選択入力又はデータ入力したときのスイッチ信号;
・近接スイッチ10a〜10n:各被処理板材W1が所定の停止位置まで搬入されたか否か(搬入不足状態を発生しているか否か)の検知信号。
【0050】
同様に、次の信号が入出力インターフェース24を介して制御基板20からホットプレス部100の各部へ出力されている。
・ホットプレス用シリンダ150L,150R:ラム151L,151Rを伸縮させて熱板130を閉鎖・開放し、ホットプレスするための制御出力信号;
・ストッパ昇降用シリンダ171:ロッド171aを伸縮させ、受止状態P1と退避状態P2との間でストッパ170を昇降変位するための制御出力信号;
・ストッパ移動用シリンダ172:ロッド172aを伸縮させ、被処理板材W1の被加圧面の大きさに応じてストッパ170の配置位置(被処理板材W1の搬入先頭位置)を搬出側補助ローラ173とともに移動調節するための制御出力信号;
・作動アーム用シリンダ181a〜181n:ロッド186を伸縮させ、作動状態Q1と非作動状態Q2との間で作動アーム180a〜180nを進退変位するための制御出力信号;
【0051】
・ローラコンベヤ用モータ162:ローラコンベヤ160の回転・停止のための制御出力信号;
・搬出側補助ローラ用モータ174:搬出側補助ローラ173の回転・停止のための制御出力信号;
・搬入側補助ローラ用モータ194:搬入側補助ローラ193の回転・停止のための制御出力信号。
【0052】
次に、図11のフローチャートと図12の作動説明図とを用いて、ホットプレス部100における板材の位置決め制御について説明する。図11のフローチャートは、図10のROM23に格納された制御プログラム23aに対応している。
【0053】
まず、S1にて設定スイッチ20aにより被処理板材W1の被加圧面の大きさを手操作入力する。その入力内容に基づき、ROM23の設定テーブル23b(図10)を参照して初期設定を行う。具体的には、S2において、被処理板材W1の大きさに応じてストッパ移動用シリンダ172によりストッパ170と搬出側補助ローラ173の配置位置(搬入先頭位置)を移動調節し、作動用アームシリンダ181a〜181nにより作動アーム180a〜180nの停止位置(搬入末尾位置)を移動調節する(図7参照)。次いで、S3にてストッパ昇降用シリンダ171によりストッパ170を受止状態P1に上昇変位し、同時にS4にて作動用アームシリンダ181a〜181nにより作動アーム180a〜180nを非作動状態Q2に変位する(図12(a)参照)。
【0054】
さらに、S5にてローラコンベヤ用モータ162によりローラコンベヤ160を所定時間駆動回転し、同時に搬入側補助ローラ用モータ194により搬入側補助ローラ193を所定時間駆動回転して、被処理板材W1を搬入径路Ka〜Knに搬入する(図12(a)参照)。S7にていずれかの近接スイッチ10a〜10nが各搬入径路Ka〜Knで搬入不足状態の被処理板材W1’(図12(a)参照)を検知しているかを確認する。いずれかの近接スイッチ10a〜10nが搬入不足状態を検知していれば(S7でYES)、S8にて搬入不足が検知された搬入径路Ka〜Knに対応する作動用アームシリンダ181a〜181nを駆動し、作動アーム180a〜180nを作動状態Q1に変位させて、搬入不足状態の被処理板材W1’のみを搬入径路Ka〜Knに沿って再搬入する(図12(b)参照)。
【0055】
その後、S10にてすべての近接スイッチ10a〜10nが被処理板材W1の搬入完了を検知しているかを確認する。すべての近接スイッチ10a〜10nが搬入完了を検知していれば(S10でYES)、S11にてホットプレス用シリンダ150L,150Rにより熱板130を閉鎖し、S12にて被処理板材W1を所定時間ホットプレス(加熱加圧)し、S13にて熱板130を開放する。S14にてストッパ昇降用シリンダ171によりストッパ170を退避状態P2に下降変位する(図12(c)参照)。続いて、S15にてローラコンベヤ用モータ162によりローラコンベヤ160を所定時間駆動回転し、同時にS16にて搬出側補助ローラ用モータ174により搬出側補助ローラ173を所定時間駆動回転して、処理済板材W2を搬入径路Ka〜Knから搬出する(図12(c)参照)。その後、S3にリターンして次工程の被処理板材W1の搬入を開始する。
【0056】
なお、すべての近接スイッチ10a〜10nが搬入不足状態を検知していなければ(S7でNO)、作動アーム180a〜180nによる再搬入を行うことなくS11以降のホットプレスを実行する。また、作動アーム180a〜180nによる再搬入後もいずれかの近接スイッチ10a〜10nが搬入不足状態を検知していれば(S10でNO)、S17にて「搬入不足状態継続中」の警報を発して制御を停止する。
【0057】
以上のように、被処理板材W1の搬入径路Ka〜Knの搬送方向前方に近接スイッチ10a〜10nを配置し、その近接スイッチ10a〜10nにより搬入不足状態の発生を検知したときに、作動アーム180a〜180nを個別に作動させて被処理板材W1を所定の停止位置(ストッパ170位置)まで再搬入する。このようにして、複数の被処理板材W1を所定の停止位置(押圧位置)に揃えた後、各被処理板材W1を挟む複数の熱板130により一斉に熱プレス成形できる。したがって、被処理板材W1の搬入不足状態が速やかに是正され、熱プレス処理が能率よく実行できる。また、熱プレス後の処理済板材W2に板厚の不揃い等が発生しにくくなり、製品歩留りが向上(不良品の発生が減少)する。しかも、近接スイッチ10a〜10nを用いることによって、個別に搬入不足状態の発生を検知することができる。
【0058】
さらに、ストッパ170には被駆動式の搬出側補助ローラ173を付設したので、処理済板材W2の搬出を円滑に行なえる。なお、ローラコンベヤ160、ストッパ170、搬出側補助ローラ173、搬入側補助ローラ183はいずれもすべての搬入径路Ka〜Knに跨って配置されているので、構成を簡素化しサイクルタイムを短縮することができる。
【0059】
(変形例)
図13に作動アームの作動変更例を示す。図13では作動アーム180a〜180nはギヤボックス187を介して支持軸182に連結している。支持軸182は支持軸固定梁183、183a間に回転自在に横架されている。支持軸182には、この支持軸182を正逆回転するための支持軸回転用モータ188(回転駆動源)が連結されている。ギヤボックス187内では、支持軸182に固定される駆動ギヤ187aと、この駆動ギヤ187aと噛合する従動ギヤ187dとを備えている。従動ギヤ187dは、作動アーム180a〜180nの短辺部185に固定される従動軸187bに、クラッチ187cを介して装着されている。
【0060】
この例における作動アーム180a〜180nの作動状態Q1(作動位置)と非作動状態Q2(非作動位置)との切換えは、図13(b)に示すように、支持軸回転用モータ188により行われる。この支持軸回転用モータ188を正回転若しくは逆回転させるとともに、クラッチ187cによる支持軸182(駆動ギヤ187a)から従動軸187b(従動ギヤ187d)への動力の接続、切断を制御して、各々の近接スイッチ10a〜10nに対応した搬入径路Ka〜Knの作動アーム180a〜180nを作動させる。つまり、いずれかの近接スイッチ10a〜10nが搬入不足状態の被処理板材W1’を検知したときに、対応する作動アーム180a〜180nは搬入不足状態の被処理板材W1’を搬送方向後方側(左側)から停止位置(ストッパ170位置)まで再搬入することができる。
【0061】
このように、作動アーム180a〜180nを熱板130の搬送方向後端縁よりも後方に配置することによって、熱板130からはみ出るほど大きく搬入不足状態となった被処理板材W1’でも、作動アーム180a〜180nによって停止位置まで再搬入することができる。この例によれば、熱板130からのはみ出しによって処理済板材W2に成形不良(板厚の不揃い等)が発生することを回避して、製品歩留りをさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る板材位置決め構造を含む横型多段プレス装置の一例を示す平面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】プレス構造の一例を示す平面図。
【図4】図3の側面図。
【図5】プレス閉鎖状態を示す側面図。
【図6】板材位置決め構造の正面図。
【図7】図6の要部拡大正面図。
【図8】図6の要部拡大平面図。
【図9】ストッパの昇降用シリンダの取付構造を示す正面図、平面図、側面図及び背面図。
【図10】板材位置決め制御の電気的構成を示すブロック図。
【図11】板材位置決め処理を示すフローチャート。
【図12】作動アームとストッパの作動を示す説明図。
【図13】作動アームの変更例を示す部分平面図及び部分側面図。
【符号の説明】
【0063】
1 横型多段プレス装置
10a〜10n 近接スイッチ(非接触センサ;板材検出手段;板材位置決め構造)
20 制御基板(板材位置決め制御部)
100 ホットプレス部(加熱加圧部;プレス構造)
130 熱板
130a 下端面
150L,150R ホットプレス用シリンダ
160 ローラコンベヤ(搬送体)
160a 搬送面
162 ローラコンベヤ用モータ(回転駆動源)
170 ストッパ(停止部材;板材位置決め構造)
171 ストッパ昇降用シリンダ(リニア駆動源)
172 ストッパ移動用シリンダ(リニア駆動源;調節手段)
173 搬出側補助ローラ(処理済板材支持手段)
173a 処理済板材支持面
174 搬出側補助ローラ用モータ(回転駆動源)
180a〜180n 作動アーム(補助搬送体;板材位置決め構造)
181a〜181n 作動アーム用シリンダ(駆動源)
Ka〜Kn 搬入径路
P1 受止状態(停止位置)
P2 退避状態(退避位置)
Q1 作動状態(作動位置)
Q2 非作動状態(非作動位置)
W1 被処理板材
W2 処理済板材
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理板材を加熱加圧する横型多段プレス装置の板材位置決め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
合板、化粧板、繊維板、パーティクルボード、ベニヤ単板等の板材(被処理板材)を加熱加圧して所定の板厚に成形する多段プレス装置(ホットプレス)において、起立状態に保持された複数の板材を複数配置された熱板の間に搬入して加熱加圧する横型方式が知られている。この横型方式(横型ホットプレス)は、水平方向に保持された板材と熱板とを上下方向に交互に積み重ねて加熱加圧する縦型方式(縦型ホットプレス)に比して、板材や熱板自身の重量の影響による成形ムラ(板厚の不揃い)が発生しにくい利点を有する。
【0003】
そして、本願出願人はこのような横型ホットプレスにおいて、複数の板材を熱板での押圧位置(シリンダのラム位置を基準とする)に搬入するときに所定の停止位置で停止させるためのストッパ(停止部材)を設けることを提案した(特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特開昭60−118526号公報
【0005】
特許文献1によれば、ストッパを熱板での押圧位置に合わせておくだけで、搬入時に複数の板材を所定の押圧位置に揃えて停止させることができるようになり、加熱加圧後の処理済板材に板厚の不揃いを生じにくい。しかし、加熱加圧前の被処理板材は、例えば含水率をとってみても、板材毎に、あるいは1枚の板材でもその部位毎に異なるため、撓み(反り)、捩れ(ひねり)等が一様ではない。このような板材を搬入径路に跨るローラコンベヤ等の搬送体で一斉搬入した場合、所定時間を経過してもストッパに達しないで途中で滞留しやすくなる。このように被処理板材に搬入不足状態(停止位置不揃い)が発生すると、装置全体を停止して人力によって滞留した板材を除去するか所定の停止位置まで移動するかしなければならず、プレス処理の能率を低下させたり、処理済板材に板厚の不揃い等を生じたりするおそれがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、被処理板材の搬入不足状態を是正して加熱加圧処理を能率よく実行でき、処理済板材での板厚の不揃い等の不良品発生を防止できる横型多段プレス装置の板材位置決め構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の横型多段プレス装置の板材位置決め構造は、
起立状態に保持された複数の被処理板材をその被加圧面に沿って形成される個々の搬入径路に跨って配置された搬送体により、複数配置された熱板の間にそれぞれ搬入し、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向としてそれらの被処理板材を前記複数の熱板により一斉に加熱加圧する横型多段プレス装置の板材位置決め構造であって、
前記各被処理板材の搬入径路の搬送方向前方側にそれぞれ配置され、その被処理板材が所定の停止位置まで搬入されたことを前記搬入径路毎に検知する複数の板材検出手段と、
その板材検出手段によりいずれの被処理板材において前記停止位置まで搬入されずに滞る搬入不足状態を生じているかが個別に検知されたとき、前記熱板による加熱加圧の実行前に作動して、搬入不足状態の被処理板材を対応する搬入径路に沿って前記停止位置までそれぞれ再搬入する補助搬送体とを備えることを特徴とする。
【0008】
このように、被処理板材の搬入径路毎に板材検出手段を配置し、その板材検出手段により搬入不足状態の発生を個別に検知したときに補助搬送体を作動させて被処理板材を所定の停止位置まで再搬入する。したがって、複数の被処理板材を所定の停止位置(押圧位置)に揃え、各被処理板材を挟む複数の熱板により一斉に加熱加圧(プレス成形)することができる。これにより、被処理板材の搬入不足状態が是正され、加熱加圧処理が能率よく実行できる。また、加熱加圧後の処理済板材に板厚の不揃い等が発生しにくくなり、製品歩留りを向上(不良品の発生を減少)させることができる。
【0009】
このような板材位置決め構造では、
(1)各搬入径路毎に板材検出手段を設け、すべての搬入径路(又は押圧方向に複数分割した搬入径路)に跨って補助搬送体を設ける方式;
(2)各搬入径路毎に板材検出手段と補助搬送体とを設ける方式;
のいずれを採用してもよい。これらの場合には板材検出手段として、静電容量式等の近接スイッチ、反射型の非接触センサ(反射型光電センサ、反射型超音波センサ等)や接触センサ(リミットスイッチ、マイクロスイッチ等)が望ましい。また、補助搬送体は、板状、柵状、枠状、棒状、管状等の断面形状や、すべての搬入径路に跨って単一の形態、搬入径路を押圧方向に複数分割された形態、搬入径路毎に設けた形態等を含む。なお、(1)の場合に、複数の搬入径路に跨る長さを有する補助搬送体を押圧方向に移動可能とすれば、単一の補助搬送体で構成することもできる。
【0010】
板材位置決め構造の補助搬送体は、搬入径路内に突入して搬入不足状態の被処理板材の搬送方向後端を押すことによりその被処理板材を停止位置まで再搬入する作動状態と、熱板よりも搬送方向後方(上方)側の搬入径路外に退避して次工程の被処理板材の通過を許容する非作動状態とに切換(変位)可能であり、
補助搬送体は、搬送体による被処理板材の搬入の際に非作動状態を保持し板材検出手段が搬入不足状態の被処理板材を検知したときに作動状態に移行(変位)し、次工程の被処理板材の搬入時までに非作動状態に復帰(変位)することが望ましい。
【0011】
このように、補助搬送体は、被処理板材を再搬入する作動状態と搬入径路外に退避する非作動状態とに切り換えられる(変位する)。したがって、搬送体により被処理板材を熱板間(搬入径路)に供給する際には、搬入の妨げにならないように補助搬送体を搬入径路外に退避させて非作動状態に切り換えておけばよい。一方、ひとたび被処理板材に搬入不足が発生した時には補助搬送体が作動状態となって、搬入不足を生じた被処理板材を所定の停止位置まで搬入し直すことができるので、被処理板材に対する加熱加圧処理を停滞させることなく高能率で実行できる。
【0012】
このような補助搬送体が、搬入不足状態の被処理板材を対応する搬入径路の停止位置までそれぞれ再搬入できるように、搬入径路毎に配置されている場合には、板材検出手段が搬入不足状態の被処理板材の存在を検知すると、直ちに補助搬送体を作動してすべての搬入不足状態の被処理板材を同時に再搬入できる。したがって、効率的に搬入不足状態の被処理板材の再搬入を完了して、次の工程(加熱加圧処理工程)に早く移行でき、サイクルタイムを短縮することができる。また、補助搬送体の(駆動源の)駆動力を比較的小さく抑えることができる。すなわち、板材検出手段で搬入不足状態が検知された数の補助搬送体のみを作動させればよいので、すべての搬入径路に跨る単一の補助搬送体を作動させて搬入不足状態の被処理板材を再搬入する場合に比べて動力のロスを抑制できる。
【0013】
なお、搬入径路毎に配置された補助搬送体を個別に駆動するには、例えば、補助搬送体を駆動する個々の油圧シリンダ毎に駆動信号を入力したり、電動モータと各補助搬送体との間に介装される個々のクラッチ毎に駆動信号を入力したりすればよい。
【0014】
そして、停止位置には、搬入径路内に突入して被処理板材の前端を受け止める受止状態と、搬入径路外に退避して熱板による加熱加圧の実行が終了した処理済板材の通過を許容する退避状態とに切換(変位)可能な停止部材が配置され、
その停止部材は、搬送体による被処理板材の搬入の際に受止状態を保持し、補助搬送体の作動時にはその受止状態を維持し、搬送体による処理済板材の搬出時までに退避状態に移行(変位)し、次工程の被処理板材の搬入時までに受止状態に復帰(変位)することが望ましい。
【0015】
このように、停止部材は、被処理板材の搬入の際の受止状態と搬入径路外に退避する退避状態とに切り換えられる(変位する)。したがって、搬送体により被処理板材を熱板間(搬入径路)に供給したり、補助搬送体により再搬入する際には、停止部材は搬入径路内に突入して被処理板材の搬送方向前端を受け止めることができるので、各被処理板材を定位置(停止位置)で停止させ、被処理板材に対する加熱加圧処理を停滞させることなく高能率で実行できる。一方、搬送体により処理済板材を搬出する時には、搬出処理に先立って停止部材を搬入径路外に退避させることができるので、搬入径路をそのまま搬出径路として利用することにより搬出処理が滞りなく行なえる。その結果、次工程の搬入処理をスムーズに開始できる。
【0016】
具体的には、停止部材は受止状態において各被処理板材の停止位置を規定して同時に受け止めできるようにすべての搬入径路に跨って配置されるとともに、複数の板材検出手段は被処理板材の搬入径路毎に位置するように停止部材にそれぞれ固定配置され、
いずれかの板材検出手段が搬入不足状態の被処理板材を検知したときに、補助搬送体はその搬入不足状態の被処理板材を搬送方向後方(上方)側から停止位置まで再搬入することができる。
【0017】
このように、各板材検出手段を単一の停止部材に固定配置することによって、搬入された各被処理板材の搬送方向前端が停止位置に達しているか否かを、停止部材が受止状態にあるときに被処理板材に接近又は接触して精度よく検出することができる。しかも、停止部材が退避状態にあるときには板材検出手段も搬入径路外に退避するので、処理済板材の通過を阻害せず円滑に搬出することができる。
【0018】
以上のような横型多段プレス装置の板材位置決め構造において、
搬送体により搬入される被処理板材の被加圧面の大きさに応じて、停止部材の配置位置を搬送方向に移動調節する調節手段と、
停止部材の近傍であって搬送方向前方側には、搬送体による処理済板材の搬出の際にその処理済板材の下端面を下側から支持するためにすべての搬入径路に跨る処理済板材支持面を有する処理済板材支持手段とを備え、
その処理済板材支持手段は、停止部材が受止状態であるか退避状態であるかにかかわらず(それとは関係なく)、処理済板材支持面が搬送体により形成される処理済板材の搬送面の延長上に位置するとともに、調節手段による停止部材の配置位置調節状態においてその停止部材とともに搬送方向に移動(変位)することもできる。
【0019】
このように、受止状態と退避状態とに切り換えられる停止部材が、位置変化を伴う(特に、退避状態で搬入径路外に退避する)ことによって被処理板材の搬出に支障を来たすことのないように、停止部材の近傍には、処理済板材を下側から支持する処理済板材支持手段が設けられる。したがって、処理済板材支持手段を備えることにより、停止部材の移動領域において、搬出される処理済板材の保持姿勢(下側からの支持状態)が不安定となって傾く(搬送方向に対して傾斜する)ことを防止している。その際、停止部材が受止状態であるか退避状態であるかにかかわらず(すなわち、停止部材が搬入径路外に退避しているか否かとは関係なく)、処理済板材支持面が搬送面の延長上に位置しすべての搬入径路に跨って配置されているので、処理済板材を常時安定して保持することができる。なお、処理済板材支持手段を例えば円筒状ローラで構成し、単独で駆動回転して処理済板材を下側から支えつつ搬送(搬出)できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施例)
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明に係る板材位置決め構造を含む横型多段プレス装置の一例を示す平面図、図2はその正面図である。図1及び図2に示す横型多段プレス装置1は、合板、化粧板等のように、複数枚のベニヤ単板を接着剤で積層し、矩形板状となした水平状態の多数の被処理板材W1を、ローダ部200(搬入部)で起立状態に保持してホットプレス部100(加熱加圧部)へ搬入する。ホットプレス部100で所定時間加熱加圧して、所定の厚みに成形された処理済板材W2を、アンローダ部300(搬出部)で再び水平状態に戻して搬出する。
【0021】
ホットプレス部100には、上下方向(起立方向)及び左右方向(搬送方向)に各々所定の間隔を隔てて配置された各一対の上下の横梁101L,101R、102L,102Rを介して、前後方向(押圧方向)に一対の固定フレーム103F,103Bが配設されている。上方の横梁101L,101Rに敷設された軌条104L,104Rには、移動ローラ105L,105R(移動部材)が取り付けられている。軌条104L,104R間には、移動ローラ105L,105Rを介して、多数段の熱板130と前後方向に一対又は単一(図1では1個)の押圧盤140が吊下げ支持されている。固定フレーム103Fには、所定の間隔を隔てて複数(例えば2個)の油圧シリンダ150L,150R(駆動シリンダ)が挿通され、そのラム151L,151Rの先端が押圧盤140に取り付けられている。なお、この例では他方の固定フレーム103Bは対向側の押圧盤を兼ねている。
【0022】
熱板130の下方には、起立状態の被処理板材W1を下側から支持して、ローダ部200からホットプレス部100へ搬入するローラコンベヤ160(搬送体)が配置されている。ローラコンベヤ160は、被処理板材W1を搬入するために、すべての搬入径路K(図4参照)に跨る前後方向の幅を有する複数(例えば4本)の爪付きローラ161を備え、下方の横梁102L,102Rに掛け渡された機枠108に配設されている。ローダ部200からローラコンベヤ160で搬入された被処理板材W1は熱板130で加熱加圧された後、処理済板材W2となって再びローラコンベヤ160でアンローダ部300へ搬出される。
【0023】
ホットプレス部100の搬入側(搬送方向の上流側(後方側))には、ローダ部200が配設されている。ローダ部200には、架台201上に所定の間隔を隔てて左右一対のチェンコンベヤ202L,202R(無端体)が配置されている。チェンコンベヤ202L,202Rにはローダ棚203が設けられている。架台201上には、ホットプレス部100のローラコンベヤ160へ起立状態の被処理板材W1を受け渡すための搬入コンベヤ210(搬入体)が配置されている。搬入コンベヤ210は、すべての被処理板材W1(搬入径路K;図4参照)に跨る前後方向の幅を有する複数(例えば4本)の爪付きローラ211を備えている。
【0024】
ホットプレス部100の搬出側(搬送方向の下流側(前方側))には、アンローダ部300が配設されている。アンローダ部300には、架台301上に所定の間隔を隔てて左右一対のチェンコンベヤ302L,302R(無端体)が配置されている。チェンコンベヤ302L,302Rにはアンローダ棚303が設けられている。架台301上には、ホットプレス部100のローラコンベヤ160から起立状態の処理済板材W2を受け取るための搬出コンベヤ310(搬出体)が配置されている。搬出コンベヤ310は、すべての処理済板材W2に跨る前後方向の幅を有する複数(例えば4本)の爪付きローラ311を備えている。
【0025】
次に、図3はプレス構造の一例を示す平面図、図4はその側面図、図5はプレス閉鎖状態を示す側面図である。図3に示すホットプレス部100(加熱加圧部;プレス構造)には、水平方向における前後位置に固定フレーム103F,103Bを固定配置し、固定フレーム103F,103B間の上部に、平行状態で上方の横梁101L,101Rを設けてある。横梁101L,101Rに設けられた軌条104L,104Rには、前後方向に移動自在な複数の移動ローラ105L,105R(移動部材)を設けている。移動ローラ105L,105Rは、周知のごとくコロの転動状態や、面接触による摺動状態で移動するものであり、要するに水平方向に直線的に移動可能な手段であればよい。
【0026】
各移動ローラ105L,105Rは、プレス閉鎖時に上下方向に起立した被処理板材W1を間に挟んで加熱するために、熱板130の上方側が連結され、これら複数の熱板130は、前後方向に並設状態で吊持されて熱板群を構成する。またプレス開放時には、被処理板材W1が熱板群における熱板130の間に介挿できるように、隣り合う熱板130は搬送方向に平行に位置して所定間隔を保つようにしている。なお、熱板130の内部に、蒸気、熱油などを給排し、その温度を被処理板材W1の種類に応じて維持している。
【0027】
また、熱板群の熱板130に連繋し、熱板130を前後方向に移動し、プレス閉鎖およびプレス開放を行うようにした前後一対の押圧盤140F,140Bを備えている。押圧盤140F,140Bは、熱板群における前後方向の両側に位置するそれぞれの熱板130に対向して配設され、押圧盤140F,140Bの上方側を移動ローラ105L,105Rに連結して前後方向に移動自在に吊持する。また、押圧盤140F,140Bは、固定フレーム103F,103Bに設けられる油圧シリンダ150L,150Rのラム151L,151Rと連結し、ラム151L,151Rによって前後方向に往復動自在となしている。なお、図3の押圧盤140F,140Bは、固定フレーム103F,103Bに対していずれも前後方向に往復動する。
【0028】
熱板群における熱板130相互間、及び両端部の熱板130と押圧盤140F,140Bとは、プレス開放時に所定の前後間隔を保持するために、それぞれ間隔規制具131で連繋されている。間隔規制具131は門型に形成され、熱板130、押圧盤140F,140Bの上方側で隣接するブラケット132相互に架け渡し、その一端をブラケット132に取り付け、他端を自由端とする。プレス開放時に、間隔規制具131の自由端がブラケット132に係止され、熱板130、押圧盤140F,140Bにおける前後の間隔が一定の幅で規制される。
【0029】
また、吊持している熱板群における熱板130の下方には、被処理板材W1を上下方向に起立させた状態で搬入し、支持し、搬出する爪付きローラ161を複数並列に設けたローラコンベア160を配置し、複数の爪付きローラ161上面を搬送面となしている。
【0030】
次に、図6は板材位置決め構造の正面図、図7はその要部拡大正面図、図8は要部拡大平面図を示す。図6に示すように、ホットプレス部100(加熱加圧部;プレス構造)には、n枚(例えば100枚)の被処理板材W1に対応して設けられるn個の搬入径路Ka〜Knにおいて、各搬入径路Ka〜Knの前方側(先頭側;右側)に配置されたストッパ170(停止部材;板材位置決め構造)と、このストッパ170に配置されたn個の近接スイッチ10a〜10n(非接触センサ;板材検出手段;板材位置決め構造)と、各搬入径路Ka〜Knの後方側(末尾側;左側)に配置されたn本の作動アーム180a〜180n(補助搬送体;板材位置決め構造)とが備えられている。
【0031】
ストッパ170はすべての搬入径路Ka〜Knに跨って各被処理板材W1の搬入停止位置に配置され、各々の近接スイッチ10a〜10nは各被処理板材W1が停止位置(ストッパ170位置)まで搬入されたことを個別に検知し、各々の作動アーム180a〜180nは搬入不足状態の各被処理板材W1を対応する搬入径路Ka〜Knに沿って停止位置(ストッパ170位置)まで再搬入する。つまり、ストッパ170が配置された被処理板材W1の搬入停止位置は、熱板130による被処理板材W1の押圧位置(加熱加圧位置)を表わしている。
【0032】
ストッパ170は、図7に示すように熱板130の下方において、受止状態P1(停止位置)と退避状態P2(退避位置)とに切換(変位)可能である。受止状態P1においてストッパ170は、搬入径路Ka〜Kn内に突入して被処理板材W1の前端(右端)を受け止める。一方、退避状態P2においてストッパ170は、搬入径路Ka〜Kn外に退避して熱板130による加熱加圧の実行が終了した処理済板材W2の通過を許容する。よって、ストッパ170は、ローラコンベヤ160による被処理板材W1の搬入の際に受止状態P1を保持し、作動アーム180a〜180nの作動時(再搬入)には受止状態P1を維持し、ローラコンベヤ160による処理済板材W2の搬出時までに退避状態P2に移行(変位)し、次工程の被処理板材W1の搬入時までに受止状態P1に復帰(変位)する。
【0033】
つまり、ストッパ170は、常時被処理板材W1の搬入停止位置前端(右端)に配置されている。上昇して受止状態P1のストッパ170は、ローラコンベヤ160の搬送面160aよりも高位に位置して、搬入された被処理板材W1の前端(右端)を受け止める。また、下降して退避状態P2のストッパ170は、ローラコンベヤ160の搬送面160aよりも低位に位置している。そしてストッパ170は、受止状態P1において各被処理板材W1の停止位置を規定して同時に受け止めできるように、すべての搬入径路Ka〜Knに跨って配置されている(図8参照)。
【0034】
ストッパ170の退避状態P2と受止状態P1との切り換えは、ストッパ昇降用シリンダ171(リニア駆動源;図9参照)により行われる。また、ストッパ170は、被処理板材W1の被加圧面の大きさに応じて、ストッパ移動用シリンダ172(リニア駆動源;調節手段;図8参照)により熱板130の下方で停止位置を左右方向(搬送方向)に移動調節可能である。
【0035】
ストッパ170の支持構造についてさらに説明する。図7及び図8に示すように、ローラコンベヤ160の下方において、前後および左右に各一対(計4本)の支柱123が設置してある。このうち、前後の支柱123間にわたって左右の下横梁102L,102Rを架け渡すとともに、右側の下横梁102Rとストッパ170との間には前後方向に所定間隔をもって複数(例えば2本)のストッパ移動用シリンダ172を架け渡している。
【0036】
具体的には、図7に示すように、ストッパ170の下方にあってストッパ170を支持する断面矩形筒状の支持枠175(支持体;図9参照)に、左右方向(搬送方向)に配置されるストッパ移動用シリンダ172のロッド172a先端を固定してある。また、図8に示すように、右側の下横梁102Rに固定され搬送方向前方側(右側)に延びる水平梁177とその下横梁102Rとの間には、支持枠175を左右方向に貫通する形態で複数(例えば4本)の移動ガイド176(案内体)が固定されている。これによって、ストッパ移動用シリンダ172は、ロッド172aの伸縮により移動ガイド176に案内されて支持枠175を左右スライド移動する。
【0037】
図9に示すように、支持枠175には、その支持枠175を上下方向に貫通する形態で配置されたストッパ昇降用シリンダ171の下端が固定され、ストッパ昇降用シリンダ171のロッド171a上端は、直角状(例えばL字状)に形成されたストッパ170の水平部170aに固定されている。また、支持枠175にはストッパ昇降用シリンダ171と平行状に貫通する形態で配置された昇降ガイド178(案内体)の下端が固定され、昇降ガイド178の上端はストッパ170の水平部170aを貫通して垂直部170bと平行状に突出している。これによって、ストッパ昇降用シリンダ171は、ロッド171aの伸縮により昇降ガイド178に案内されてストッパ170を上下スライド移動する。
【0038】
図7及び図8に示すように、各近接スイッチ10a〜10nがストッパ170に固定配置されている。これらの近接スイッチ10a〜10nは各被処理板材W1の搬入径路Ka〜Kn毎に位置するように配置されている。つまり近接スイッチ10a〜10nは、前後方向(押圧方向)において各搬入径路Ka〜Kn毎に配置され、停止位置(ストッパ170位置)まで搬入されずに滞る搬入不足状態の被処理板材W1の有無を検知する。
【0039】
図7に示すように、各作動アーム180a〜180nが各搬入径路Ka〜Knの後方側における熱板130の上方にそれぞれ配置されている。そして、近接スイッチ10a〜10nがいずれかの搬入径路Ka〜Knで搬入不足状態の被処理板材W1を検知すると、熱板130による加熱加圧の実行前に、作動アーム180a〜180nは、その搬入不足状態の被処理板材W1のみを搬送方向後方側(左側)から押して停止位置まで再搬入するように制御される。
【0040】
これらの作動アーム180a〜180nは、各々独立して作動状態Q1(作動位置)と非作動状態Q2(非作動位置)とに切換(変位)可能である。作動状態Q1において作動アーム180a〜180nは、搬入径路Ka〜Kn内に突入して搬入不足状態の被処理板材W1の搬送方向後端(左端)を押すことにより、被処理板材W1を停止位置(ストッパ170位置)まで再搬入する。一方、非作動状態Q2において作動アーム180a〜180nは、搬入径路Ka〜Kn外に退避して次工程の被処理板材W1の通過を許容する。よって、ローラコンベヤ160による被処理板材W1の搬入の際に、全作動アーム180a〜180nが非作動状態Q2を保持する。一方、近接スイッチ10a〜10nが搬入不足状態の被処理板材W1を個別に検知したときに、対応する作動アーム180a〜180nのみが作動状態Q1に移行(変位)し、次工程の被処理板材W1の搬入時までに非作動状態Q2に復帰(変位)する。
【0041】
つまり、作動アーム180a〜180nは、搬送方向後方側でプレス閉鎖およびプレス開放における熱板130の移動に支障が生じない位置に配置される。作動アーム180a〜180nは、搬入不足状態の被処理板材W1を個別に停止位置まで再搬入できるように、すべての搬入径路Ka〜Kn毎に配置されている(図8参照)。
【0042】
図6に戻り、各々の作動アーム180a〜180nの作動状態Q1(作動位置)と非作動状態Q2(非作動位置)との切換えは、熱板130の上方において上方の横梁101Lに端部が連結された作動アーム用シリンダ181a〜181n(駆動源)により行われる。
【0043】
作動アーム180a〜180nの支持構造について図6〜図8によりさらに説明する。図8において、熱板130の上方で支持軸182がすべての搬入径路Ka〜Knを跨ぐように配設されている。この支持軸182は、上方の横梁101Lからローダ部200側へ延出している一対の支持軸固定梁183、183a間に横架している。
【0044】
図6において、作動アーム180a〜180nは、それぞれが支持軸182に回転自在に装着されている。作動アーム180a〜180nはL形に形成され、被処理板材W1に当接して再搬入するための長辺部184と、作動アーム用シリンダ181a〜181nに連結する短辺部185を備えている。この短辺部185の中間には支持軸182が貫通するとともに、短辺部185の先端に作動アーム用シリンダ181a〜181nのロッド186を連結し、作動アーム用シリンダ181a〜181nの作動により搬入不足状態の被処理板材W1を個別に停止位置まで再搬入できるようにしている。
【0045】
図8に示すように、ストッパ170には搬出側補助ローラ173(処理済板材支持手段)が付設され、搬出側補助ローラ用モータ174(回転駆動源)によって独自に回転する。搬出側補助ローラ173は、ストッパ170の近傍で搬送方向前方側(右側)に配置され、ローラコンベヤ160による処理済板材W2の搬出の際に処理済板材W2の下端面を下側から支持するために、すべての搬入径路Ka〜Knに跨る処理済板材支持面173a(図7参照)を有する。
【0046】
図7に示すように、搬出側補助ローラ173は支持枠175に取り付けられているので、処理済板材支持面173aは、ストッパ170が受止状態P1であるか退避状態P2であるかとは関係なく、常時ローラコンベヤ160の搬送面160aの延長上(同じ高さ)に位置している。そして搬出側補助ローラ173は、ストッパ移動用シリンダ172のロッド172aの伸縮に伴うストッパ170の配置位置調節状態において、ストッパ170とともに左右方向(搬送方向の前方側又は後方側)に移動(変位)する。したがって、搬出側補助ローラ173は、ストッパ移動用シリンダ172によって移動(変位)するが、ストッパ昇降用シリンダ171によって昇降(変位)しない。
【0047】
図7及び図8に示すように、熱板130の下方において、搬入側補助ローラ193が配置されている。搬入側補助ローラ193は、搬入側補助ローラ用モータ194(回転駆動源)によって独自に回転する。搬入側補助ローラ193は、搬送方向後方側(左側)に配置され、ローラコンベヤ160への被処理板材W1の搬入の際に被処理板材W1の下端面を下側から支持するために、すべての搬入径路Ka〜Knに跨る被処理板材支持面193a(図7参照)を有する。
【0048】
図10は板材位置決め制御の電気的構成を概略的に示すブロック図である。ホットプレス部100の板材位置決め制御部である制御基板20は、演算装置であるCPU21(補助搬送体制御手段)と、読み取り専用記憶装置であるROM23と、読み書き可能な主記憶装置でありワークエリアとして使用されるRAM22と、入出力インターフェイス(I/O)24とを中心に構成されている。これらの装置は、バス25で相互に送受信可能に接続されている。ROM23には、板材位置決め処理を実行するための制御プログラム23aや被処理板材W1の被加圧面の大きさを初期設定するための設定テーブル23b等が予め格納・記憶されている。
【0049】
図10に示すように、ホットプレス部100の各部から次の信号が入出力インターフェース24を介して制御基板20へ入力されている。
・設定スイッチ20a:被処理板材W1の被加圧面の大きさを押しボタン等によって人為的に選択入力又はデータ入力したときのスイッチ信号;
・近接スイッチ10a〜10n:各被処理板材W1が所定の停止位置まで搬入されたか否か(搬入不足状態を発生しているか否か)の検知信号。
【0050】
同様に、次の信号が入出力インターフェース24を介して制御基板20からホットプレス部100の各部へ出力されている。
・ホットプレス用シリンダ150L,150R:ラム151L,151Rを伸縮させて熱板130を閉鎖・開放し、ホットプレスするための制御出力信号;
・ストッパ昇降用シリンダ171:ロッド171aを伸縮させ、受止状態P1と退避状態P2との間でストッパ170を昇降変位するための制御出力信号;
・ストッパ移動用シリンダ172:ロッド172aを伸縮させ、被処理板材W1の被加圧面の大きさに応じてストッパ170の配置位置(被処理板材W1の搬入先頭位置)を搬出側補助ローラ173とともに移動調節するための制御出力信号;
・作動アーム用シリンダ181a〜181n:ロッド186を伸縮させ、作動状態Q1と非作動状態Q2との間で作動アーム180a〜180nを進退変位するための制御出力信号;
【0051】
・ローラコンベヤ用モータ162:ローラコンベヤ160の回転・停止のための制御出力信号;
・搬出側補助ローラ用モータ174:搬出側補助ローラ173の回転・停止のための制御出力信号;
・搬入側補助ローラ用モータ194:搬入側補助ローラ193の回転・停止のための制御出力信号。
【0052】
次に、図11のフローチャートと図12の作動説明図とを用いて、ホットプレス部100における板材の位置決め制御について説明する。図11のフローチャートは、図10のROM23に格納された制御プログラム23aに対応している。
【0053】
まず、S1にて設定スイッチ20aにより被処理板材W1の被加圧面の大きさを手操作入力する。その入力内容に基づき、ROM23の設定テーブル23b(図10)を参照して初期設定を行う。具体的には、S2において、被処理板材W1の大きさに応じてストッパ移動用シリンダ172によりストッパ170と搬出側補助ローラ173の配置位置(搬入先頭位置)を移動調節し、作動用アームシリンダ181a〜181nにより作動アーム180a〜180nの停止位置(搬入末尾位置)を移動調節する(図7参照)。次いで、S3にてストッパ昇降用シリンダ171によりストッパ170を受止状態P1に上昇変位し、同時にS4にて作動用アームシリンダ181a〜181nにより作動アーム180a〜180nを非作動状態Q2に変位する(図12(a)参照)。
【0054】
さらに、S5にてローラコンベヤ用モータ162によりローラコンベヤ160を所定時間駆動回転し、同時に搬入側補助ローラ用モータ194により搬入側補助ローラ193を所定時間駆動回転して、被処理板材W1を搬入径路Ka〜Knに搬入する(図12(a)参照)。S7にていずれかの近接スイッチ10a〜10nが各搬入径路Ka〜Knで搬入不足状態の被処理板材W1’(図12(a)参照)を検知しているかを確認する。いずれかの近接スイッチ10a〜10nが搬入不足状態を検知していれば(S7でYES)、S8にて搬入不足が検知された搬入径路Ka〜Knに対応する作動用アームシリンダ181a〜181nを駆動し、作動アーム180a〜180nを作動状態Q1に変位させて、搬入不足状態の被処理板材W1’のみを搬入径路Ka〜Knに沿って再搬入する(図12(b)参照)。
【0055】
その後、S10にてすべての近接スイッチ10a〜10nが被処理板材W1の搬入完了を検知しているかを確認する。すべての近接スイッチ10a〜10nが搬入完了を検知していれば(S10でYES)、S11にてホットプレス用シリンダ150L,150Rにより熱板130を閉鎖し、S12にて被処理板材W1を所定時間ホットプレス(加熱加圧)し、S13にて熱板130を開放する。S14にてストッパ昇降用シリンダ171によりストッパ170を退避状態P2に下降変位する(図12(c)参照)。続いて、S15にてローラコンベヤ用モータ162によりローラコンベヤ160を所定時間駆動回転し、同時にS16にて搬出側補助ローラ用モータ174により搬出側補助ローラ173を所定時間駆動回転して、処理済板材W2を搬入径路Ka〜Knから搬出する(図12(c)参照)。その後、S3にリターンして次工程の被処理板材W1の搬入を開始する。
【0056】
なお、すべての近接スイッチ10a〜10nが搬入不足状態を検知していなければ(S7でNO)、作動アーム180a〜180nによる再搬入を行うことなくS11以降のホットプレスを実行する。また、作動アーム180a〜180nによる再搬入後もいずれかの近接スイッチ10a〜10nが搬入不足状態を検知していれば(S10でNO)、S17にて「搬入不足状態継続中」の警報を発して制御を停止する。
【0057】
以上のように、被処理板材W1の搬入径路Ka〜Knの搬送方向前方に近接スイッチ10a〜10nを配置し、その近接スイッチ10a〜10nにより搬入不足状態の発生を検知したときに、作動アーム180a〜180nを個別に作動させて被処理板材W1を所定の停止位置(ストッパ170位置)まで再搬入する。このようにして、複数の被処理板材W1を所定の停止位置(押圧位置)に揃えた後、各被処理板材W1を挟む複数の熱板130により一斉に熱プレス成形できる。したがって、被処理板材W1の搬入不足状態が速やかに是正され、熱プレス処理が能率よく実行できる。また、熱プレス後の処理済板材W2に板厚の不揃い等が発生しにくくなり、製品歩留りが向上(不良品の発生が減少)する。しかも、近接スイッチ10a〜10nを用いることによって、個別に搬入不足状態の発生を検知することができる。
【0058】
さらに、ストッパ170には被駆動式の搬出側補助ローラ173を付設したので、処理済板材W2の搬出を円滑に行なえる。なお、ローラコンベヤ160、ストッパ170、搬出側補助ローラ173、搬入側補助ローラ183はいずれもすべての搬入径路Ka〜Knに跨って配置されているので、構成を簡素化しサイクルタイムを短縮することができる。
【0059】
(変形例)
図13に作動アームの作動変更例を示す。図13では作動アーム180a〜180nはギヤボックス187を介して支持軸182に連結している。支持軸182は支持軸固定梁183、183a間に回転自在に横架されている。支持軸182には、この支持軸182を正逆回転するための支持軸回転用モータ188(回転駆動源)が連結されている。ギヤボックス187内では、支持軸182に固定される駆動ギヤ187aと、この駆動ギヤ187aと噛合する従動ギヤ187dとを備えている。従動ギヤ187dは、作動アーム180a〜180nの短辺部185に固定される従動軸187bに、クラッチ187cを介して装着されている。
【0060】
この例における作動アーム180a〜180nの作動状態Q1(作動位置)と非作動状態Q2(非作動位置)との切換えは、図13(b)に示すように、支持軸回転用モータ188により行われる。この支持軸回転用モータ188を正回転若しくは逆回転させるとともに、クラッチ187cによる支持軸182(駆動ギヤ187a)から従動軸187b(従動ギヤ187d)への動力の接続、切断を制御して、各々の近接スイッチ10a〜10nに対応した搬入径路Ka〜Knの作動アーム180a〜180nを作動させる。つまり、いずれかの近接スイッチ10a〜10nが搬入不足状態の被処理板材W1’を検知したときに、対応する作動アーム180a〜180nは搬入不足状態の被処理板材W1’を搬送方向後方側(左側)から停止位置(ストッパ170位置)まで再搬入することができる。
【0061】
このように、作動アーム180a〜180nを熱板130の搬送方向後端縁よりも後方に配置することによって、熱板130からはみ出るほど大きく搬入不足状態となった被処理板材W1’でも、作動アーム180a〜180nによって停止位置まで再搬入することができる。この例によれば、熱板130からのはみ出しによって処理済板材W2に成形不良(板厚の不揃い等)が発生することを回避して、製品歩留りをさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る板材位置決め構造を含む横型多段プレス装置の一例を示す平面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】プレス構造の一例を示す平面図。
【図4】図3の側面図。
【図5】プレス閉鎖状態を示す側面図。
【図6】板材位置決め構造の正面図。
【図7】図6の要部拡大正面図。
【図8】図6の要部拡大平面図。
【図9】ストッパの昇降用シリンダの取付構造を示す正面図、平面図、側面図及び背面図。
【図10】板材位置決め制御の電気的構成を示すブロック図。
【図11】板材位置決め処理を示すフローチャート。
【図12】作動アームとストッパの作動を示す説明図。
【図13】作動アームの変更例を示す部分平面図及び部分側面図。
【符号の説明】
【0063】
1 横型多段プレス装置
10a〜10n 近接スイッチ(非接触センサ;板材検出手段;板材位置決め構造)
20 制御基板(板材位置決め制御部)
100 ホットプレス部(加熱加圧部;プレス構造)
130 熱板
130a 下端面
150L,150R ホットプレス用シリンダ
160 ローラコンベヤ(搬送体)
160a 搬送面
162 ローラコンベヤ用モータ(回転駆動源)
170 ストッパ(停止部材;板材位置決め構造)
171 ストッパ昇降用シリンダ(リニア駆動源)
172 ストッパ移動用シリンダ(リニア駆動源;調節手段)
173 搬出側補助ローラ(処理済板材支持手段)
173a 処理済板材支持面
174 搬出側補助ローラ用モータ(回転駆動源)
180a〜180n 作動アーム(補助搬送体;板材位置決め構造)
181a〜181n 作動アーム用シリンダ(駆動源)
Ka〜Kn 搬入径路
P1 受止状態(停止位置)
P2 退避状態(退避位置)
Q1 作動状態(作動位置)
Q2 非作動状態(非作動位置)
W1 被処理板材
W2 処理済板材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立状態に保持された複数の被処理板材をその被加圧面に沿って形成される個々の搬入径路に跨って配置された搬送体により、複数配置された熱板の間にそれぞれ搬入し、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向としてそれらの被処理板材を前記複数の熱板により一斉に加熱加圧する横型多段プレス装置の板材位置決め構造であって、
前記各被処理板材の搬入径路の搬送方向前方側にそれぞれ配置され、その被処理板材が所定の停止位置まで搬入されたことを前記搬入径路毎に検知する複数の板材検出手段と、
その板材検出手段によりいずれの被処理板材において前記停止位置まで搬入されずに滞る搬入不足状態を生じているかが個別に検知されたとき、前記熱板による加熱加圧の実行前に作動して、搬入不足状態の被処理板材を対応する搬入径路に沿って前記停止位置までそれぞれ再搬入する補助搬送体とを備えることを特徴とする横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【請求項2】
前記補助搬送体は、前記搬入径路内に突入して前記搬入不足状態の被処理板材の搬送方向後端を押すことによりその被処理板材を前記停止位置まで再搬入する作動状態と、前記熱板よりも搬送方向後方側の前記搬入径路外に退避して次工程の被処理板材の通過を許容する非作動状態とに切換可能であり、
前記補助搬送体は、前記搬送体による前記被処理板材の搬入の際に前記非作動状態を保持し、前記板材検出手段が前記搬入不足状態の被処理板材を検知したときに前記作動状態に移行し、次工程の被処理板材の搬入時までに前記非作動状態に復帰する請求項1に記載の横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【請求項3】
前記補助搬送体は、前記搬入不足状態の被処理板材を対応する搬入径路の停止位置までそれぞれ再搬入できるように、前記搬入径路毎に配置されている請求項1又は2に記載の横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【請求項4】
前記停止位置には、前記搬入径路内に突入して前記被処理板材の搬送方向前端を受け止める受止状態と、前記搬入径路外に退避して前記熱板による加熱加圧の実行が終了した処理済板材の通過を許容する退避状態とに切換可能な停止部材が配置され、
その停止部材は、前記搬送体による前記被処理板材の搬入の際に前記受止状態を保持し、前記補助搬送体の作動時にはその受止状態を維持し、前記搬送体による前記処理済板材の搬出時までに前記退避状態に移行し、次工程の被処理板材の搬入時までに前記受止状態に復帰する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【請求項5】
前記停止部材は前記受止状態において各被処理板材の停止位置を規定して同時に受け止めできるようにすべての搬入径路に跨って配置されるとともに、前記複数の板材検出手段は前記被処理板材の搬入径路毎に位置するように前記停止部材にそれぞれ固定配置され、
いずれかの板材検出手段が前記搬入不足状態の被処理板材を検知したときに、前記補助搬送体はその搬入不足状態の被処理板材を搬送方向後方側から前記停止位置まで再搬入する請求項4に記載の横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【請求項6】
前記搬送体により搬入される被処理板材の被加圧面の大きさに応じて、前記停止部材の配置位置を搬送方向に移動調節する調節手段と、
前記停止部材の近傍であって搬送方向前方側には、前記搬送体による前記処理済板材の搬出の際にその処理済板材の下端面を下側から支持するために、すべての搬入径路に跨る処理済板材支持面を有する処理済板材支持手段とを備え、
その処理済板材支持手段は、前記停止部材が前記受止状態であるか退避状態であるかにかかわらず、前記処理済板材支持面が前記搬送体により形成される前記処理済板材の搬送面の延長上に位置するとともに、前記調節手段による前記停止部材の配置位置調節状態においてその停止部材とともに搬送方向に移動する請求項4又は5に記載の横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【請求項1】
起立状態に保持された複数の被処理板材をその被加圧面に沿って形成される個々の搬入径路に跨って配置された搬送体により、複数配置された熱板の間にそれぞれ搬入し、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向としてそれらの被処理板材を前記複数の熱板により一斉に加熱加圧する横型多段プレス装置の板材位置決め構造であって、
前記各被処理板材の搬入径路の搬送方向前方側にそれぞれ配置され、その被処理板材が所定の停止位置まで搬入されたことを前記搬入径路毎に検知する複数の板材検出手段と、
その板材検出手段によりいずれの被処理板材において前記停止位置まで搬入されずに滞る搬入不足状態を生じているかが個別に検知されたとき、前記熱板による加熱加圧の実行前に作動して、搬入不足状態の被処理板材を対応する搬入径路に沿って前記停止位置までそれぞれ再搬入する補助搬送体とを備えることを特徴とする横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【請求項2】
前記補助搬送体は、前記搬入径路内に突入して前記搬入不足状態の被処理板材の搬送方向後端を押すことによりその被処理板材を前記停止位置まで再搬入する作動状態と、前記熱板よりも搬送方向後方側の前記搬入径路外に退避して次工程の被処理板材の通過を許容する非作動状態とに切換可能であり、
前記補助搬送体は、前記搬送体による前記被処理板材の搬入の際に前記非作動状態を保持し、前記板材検出手段が前記搬入不足状態の被処理板材を検知したときに前記作動状態に移行し、次工程の被処理板材の搬入時までに前記非作動状態に復帰する請求項1に記載の横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【請求項3】
前記補助搬送体は、前記搬入不足状態の被処理板材を対応する搬入径路の停止位置までそれぞれ再搬入できるように、前記搬入径路毎に配置されている請求項1又は2に記載の横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【請求項4】
前記停止位置には、前記搬入径路内に突入して前記被処理板材の搬送方向前端を受け止める受止状態と、前記搬入径路外に退避して前記熱板による加熱加圧の実行が終了した処理済板材の通過を許容する退避状態とに切換可能な停止部材が配置され、
その停止部材は、前記搬送体による前記被処理板材の搬入の際に前記受止状態を保持し、前記補助搬送体の作動時にはその受止状態を維持し、前記搬送体による前記処理済板材の搬出時までに前記退避状態に移行し、次工程の被処理板材の搬入時までに前記受止状態に復帰する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【請求項5】
前記停止部材は前記受止状態において各被処理板材の停止位置を規定して同時に受け止めできるようにすべての搬入径路に跨って配置されるとともに、前記複数の板材検出手段は前記被処理板材の搬入径路毎に位置するように前記停止部材にそれぞれ固定配置され、
いずれかの板材検出手段が前記搬入不足状態の被処理板材を検知したときに、前記補助搬送体はその搬入不足状態の被処理板材を搬送方向後方側から前記停止位置まで再搬入する請求項4に記載の横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【請求項6】
前記搬送体により搬入される被処理板材の被加圧面の大きさに応じて、前記停止部材の配置位置を搬送方向に移動調節する調節手段と、
前記停止部材の近傍であって搬送方向前方側には、前記搬送体による前記処理済板材の搬出の際にその処理済板材の下端面を下側から支持するために、すべての搬入径路に跨る処理済板材支持面を有する処理済板材支持手段とを備え、
その処理済板材支持手段は、前記停止部材が前記受止状態であるか退避状態であるかにかかわらず、前記処理済板材支持面が前記搬送体により形成される前記処理済板材の搬送面の延長上に位置するとともに、前記調節手段による前記停止部材の配置位置調節状態においてその停止部材とともに搬送方向に移動する請求項4又は5に記載の横型多段プレス装置の板材位置決め構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−313857(P2007−313857A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148708(P2006−148708)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000148818)株式会社太平製作所 (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000148818)株式会社太平製作所 (37)
【Fターム(参考)】
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