説明

横型製袋充填機のエンドシール装置

【課題】横型製袋充填機のエンドシール装置において、夫々のシール体を夫々任意の位置に自動停止し、夫々のシール体のシール面の清掃や夫々のシール体の交換等のメンテナンスを容易にする。
【解決手段】筒状フィルム24に対しエンドシールを施すエンドシール装置1において、一つのサーボモータによって各回転軸3,5を駆動するように構成し互いに反対向きX3,X5へ回転する上下両回転軸3,5には、夫々、噛合い位置Pで相対向するシール面間に筒状フィルム24を挟んでエンドシールを施すシール体2,4を配設している。所定の信号入力に基づき、少なくとも一方の回転軸にクラッチブレーキを配設することやあるいは差動機構等の採用によって、個々の回転軸3,5を予め設定した任意の位置で停止する駆動制御する制御手段39を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状に成形されたフィルム内に所定間隔毎に供給された物品間でその筒状フィルムにおける移送方向に対し交差する方向へエンドシールを施す横型製袋充填機のエンドシール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の横型製袋充填機のエンドシール装置においては、互いに反対向きへ回転する上下一対のシール体が上下対称的に動くように配設され、この両シール体のシール面が相対向して噛み合う際に筒状フィルムに対しエンドシールを施す。筒状フィルム内に送り込まれた物品は、エンドシール装置のシールタイミングに合わせて、筒状フィルム内で所定間隔毎に載置されている必要がある。供給機構による筒状フィルム内への物品の送り込み時や、筒状フィルム内に供給された物品がエンドシール装置に搬送されるまでにシールタイミングに対応した正規の位置からずれてしまう場合や、筒状フィルム内で物品が欠損部として分離した場合に、そのような物品または欠損部が噛合い位置でシール体に噛み込んだ際に筒状フィルム外に露出した物品の破砕片や、その際に生じたフィルムの溶融ガス等がシール体のシール面に付着し、シール不良が起こる。そのため、エンドシール装置のシール体を清掃しければならない事態が発生する。
【0003】
前述した如く上下のシール体は上下対称的に回転するようになっていることから、例えば、下側シール体のシール面を清掃する場合にそのシール面を上方に向けると、上側シール体のシール面が下方を向いて上下両シール体間の距離が狭くなり、上側シール体のシール面を清掃する場合にそのシール面を上方に向けると、下側シール体のシール面が下方を向くため、それらのシール面をワイヤーブラシ等の清掃具により一度に清掃することが困難であった。そこで、従来は、上側シール体のシール面に対する清掃と下側シール体のシール面に対する清掃とに分けて、夫々のシール体の回転位置を清掃し易い位置まで回転して順次清掃していた。また、エンドシール装置より前記フィルム移送方向下流側には包装された物品を搬出する排出コンベヤが設けられているため、下側シール体のシール面が向きによってはその排出コンベヤが邪魔になってそのシール面の清掃が非常に行い難い。従って、両シール体を清掃の行い易い位置に何度も移動させなければならない。また、このような清掃以外に、例えば、上下両シール体の交換やヒータの交換等の部品交換作業においてもシール体の位置を前述した清掃作業同様に何度も移動させなければならないといった問題があった。
【0004】
なお特許文献1として、シール面を自動的に清掃し得る技術が提案されている。しかし、シール面に付着したフィルムの溶融カスを自動的に除去することが不充分な場合、作業者はワイヤーブラシ等により清掃してシール面の汚れを除去する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3784663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにシール体のメンテナンス作業は、煩わしいばかりでなく、多くの作業時間を費やし、作業終了後に再稼働するまでの復旧時間を要して生産性に支障を来していた。
この発明は、横型製袋充填機のエンドシール装置において、夫々のシール体を夫々任意の位置に自動停止して、夫々のシール体のシール面の清掃や夫々のシール体の交換等のメンテナンスを容易にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明の横型製袋充填機のエンドシール装置では、一つのモータを備えた駆動部7,10により互いに反対向きへ回転する一対の回転軸3,5に夫々配設されたシール体2,4が、噛合い位置で相対向する一対のシール体2,4の各シール面13,15間に筒状フィルム24を挟んで筒状フィルム24の移送方向Yに対し交差する方向Xへエンドシールを施す横型製袋充填機において、シ−ル体2,4のシール面13,15の清掃若しくはシ−ル体2,4に関する部品の交換を目的としたシ−ル体2,4のメンテナンス作業にあたり、シ−ル体2,4が停止した運転停止状態若しくはシ−ル体2,4が回転している運転状態において、所定の操作によって得られる出力信号に基づき前記一対のシール体2,4の一方の回転軸に配設されたシール体と他方の回転軸に配設されたシール体とを、シール面13,15の清掃若しくはシ−ル体2,4に関する部品の交換が容易な予め設定した夫々異なる向きの停止位置Q2,Q4で停止するように、前記駆動部7,10を駆動制御する制御手段39を備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、請求項1に記載の横型製袋充填機のエンドシール装置において、前記制御手段39は、前記一対のシール体2,4の夫々のシール体2,4を順次前記停止位置Q2,Q4で停止させることを要旨とする。
【0009】
請求項3に係る発明では請求項1に記載の横型製袋充填機のエンドシール装置において、前記制御手段39は、前記所定の信号入力に基づき、前記各回転軸3,5の相互の回転速度または回転量あるいは回転方向を変化させて一方のシール体に対する他方のシール体の回転位置が異なる関係となるようそれら各シール体2,4のシール面13,15が予め設定した停止位置Q2,Q4に停止するように、前記駆動部7,10を駆動制御することを要旨とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、請求項2に記載の横型製袋充填機のエンドシール装置において、前記一対の回転軸3,5の少なくとも一方の回転軸にクラッチブレーキを配設し、前記駆動部7,10は、前記一つのモータによって前記一対の各回転軸3,5を駆動するように構成し、前記クラッチブレーキにより個々の回転軸3,5を前記予め設定した停止位置Q2,Q4で停止させることを要旨とする。
【0011】
請求項5に係る発明では、請求項2に記載の横型製袋充填機のエンドシール装置において、前記一対の回転軸3,5に相互を差動させる差動機構を配設し、前記駆動部7,10は、前記一つのモータによって前記一対の各回転軸3,5を駆動するように構成し、前記差動機構により個々の回転軸3,5を前記予め設定した停止位置Q2,Q4で停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、横型製袋充填機のエンドシール装置において、夫々のシール体を夫々任意の位置に自動停止して、夫々のシール体のシール面の清掃や夫々のシール体の交換等のメンテナンスを容易にすることができる。
【0013】
請求項1に係る発明では、シ−ル体のシール面の清掃若しくはシ−ル体に関する部品の交換を目的としたシ−ル体のメンテナンス作業にあたり、シ−ル体が停止した運転停止状態若しくはシ−ル体が回転している運転状態において、所定の操作をするだけで、制御手段により自動的に一対のシール体の一方の回転軸に配設されたシール体と他方の回転軸に配設されたシール体とを、シール面の清掃若しくはシ−ル体に関する部品の交換が容易な予め設定した夫々異なる向きの停止位置で停止することができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、制御手段により一対のシール体の夫々のシール体を順次停止位置で停止させることができる。
請求項3に係る発明では、制御手段により、所定の操作で、各回転軸の相互の回転速度または回転量あるいは回転方向を変化させて一方のシール体に対する他方のシール体の回転位置が異なる関係となるようそれら各シール体のシール面が予め設定した停止位置に停止させることができる。
【0015】
請求項4に係る発明では、一対の回転軸の少なくとも一方の回転軸にクラッチブレーキを配設しているため、駆動部は、一つのモータによってクラッチブレーキにより個々の回転軸を前記予め設定した停止位置で停止させることができる。
【0016】
請求項5に係る発明では、一対の回転軸に相互を差動させる差動機構を配設しているため、駆動部は、一つのモータによって差動機構により個々の回転軸を前記予め設定した停止位置で停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態にかかる横型製袋充填機及びそのエンドシール装置において機械的構成及び電気的構成を概略的に示すシステム図である。
【図2】(a)は上記エンドシール装置において通常回転時での上下両シール体を正面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(b)は上記エンドシール装置においてこの上下両シール体を駆動させる駆動部を背面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(c)はこの上下両シール体を概略的に示す部分側面図であり、(d)は上記エンドシール装置においてメンテナンスモ−ドにより停止した上下両シール体を正面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(e)は上記シール体に対する清掃実施状態を示す部分斜視図である。
【図3】停止中からのメンテナンスモ−ドの動作を示すフローチャートである。
【図4】運転中からのメンテナンスモ−ドの動作を示すフローチャートである。
【図5】運転中噛込み時のメンテナンスモ−ドの動作を示すフローチャートである。
【図6】メンテナンスモ−ドにおける停止後の再起動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態にかかる横型製袋充填機のエンドシール装置について図面を参照して説明する。
図1に示す横型製袋充填機のエンドシール装置1においては、図2(a)(b)に示すように、上側シール体2を備えた上側回転軸3と下側シール体4を備えた下側回転軸5とが水平に支持され、上側回転軸3が第1エンコ−ダ6に接続されたサーボモータからなる第1駆動モータ7(駆動部)によりベルト伝動機構8を介して回転向きX3へ回転するとともに、下側回転軸5が第2エンコ−ダ9に接続されたサーボモータからなる第2駆動モータ10(駆動部)によりベルト伝動機構11を介して回転向きX5へ回転する。この上側回転軸3と下側回転軸5とは互いに独立回転し、それらの回転向きX3,X5が互いに反対になっている。図2(c)に示すように、それらのシール体2,4は上側回転軸3及び下側回転軸5に対し取付けねじ12により着脱可能に取り付けられている。上側シール体2においては、図示しないカートリッジヒーターにより加熱されるシール面13が上側回転軸3の軸線方向3aに沿って延び、そのシール面13に沿ってカッターの切刃14が取着されている。下側シール体4においては、図示しないカートリッジヒーターにより加熱されるシール面15が下側回転軸5の軸線方向5aに沿って延び、そのシール面15に沿ってカッターの受刃16が取着されている。
【0019】
この横型製袋充填機のフィルム送り機構17においては、第3エンコ−ダ18に接続されたサーボモータからなる第3駆動モータ19(駆動部)により回転する繰出しローラ20がフィルム原反ロール21から帯状フィルム22を引き出し、引き出された帯状フィルム22は複数の案内ローラ20aを経て製袋手段23により筒状フィルム24として成形され、第4エンコ−ダ25に接続されたサーボモータからなる第4駆動モータ26(駆動部)により回転する送りローラ27がこの筒状フィルム24の移送方向Yに沿う重合端縁部を挟持して移送方向Yの下流側に向けて移送する。また、フィルム送り機構17の送りローラ27に対する移送方向Yの下流側には第5エンコ−ダ28に接続されたサーボモータからなる第5駆動モータ29により回転するシールローラ31を備えた縦シール機構30が設けられ、このシールローラ31により筒状フィルム24の重合端縁部を挟持して連続的に縦シールを施す。この横型製袋充填機の物品供給機構32においては、第6エンコ−ダ33に接続された速度制御モータからなる第6駆動モータ34により回転する供給コンベヤ35が物品36を前記筒状フィルム24内に所定間隔毎に供給する。縦シールされた筒状フィルム24はこの供給された物品36とともに移送方向Yの下流側に移送される。前記エンドシール装置1はこの縦シール機構30に対する移送方向Yの下流側に設けられている。
【0020】
このエンドシール装置1においては、上側回転軸3と一体的に回転する上側シール体2のシール面13と、下側回転軸5と一体的に回転する下側シール体4のシール面15とが、その回転につれて夫々筒状フィルム24内に供給された各物品36間でこの筒状フィルム24を所定の圧力で挟持してエンドシ−ルが施される。また、図1に示すように夫々のシール体2,4が噛合い位置Pで相対向する位置において、カッターの切刃14と受刃16とが筒状フィルム24を介して当接されることにより切断され、それによって得られた包装体37が排出コンベヤ38で搬出される。
【0021】
前記第1エンコ−ダ6と第2エンコ−ダ9と第3エンコ−ダ18と第4エンコ−ダ25と第5エンコ−ダ28と第6エンコ−ダ33とは、夫々、制御手段39に接続されている。この制御手段39は、基準パルス発生手段としての第6エンコ−ダ33から発せられる基準パルス信号と、第1エンコ−ダ6と第2エンコ−ダ9と第3エンコ−ダ18と第4エンコ−ダ25と第5エンコ−ダ28とから発せられるパルス信号とを入力し、第6駆動モータ34により駆動される供給コンベヤ35の現在位置に対して、エンドシール装置1の第1駆動モータ7及び第2駆動モータ10並びにフィルム送り機構17の第3駆動モータ19及び第4駆動モータ26並びに縦シール機構30の第5駆動モータ29とを従属して同期駆動制御するようになっている。
【0022】
この横型製袋充填機には、各種作動データの入力設定を行なう設定手段と、表示を行なう表示手段とを兼ねたタッチパネルディスプレイ40が設けられて制御手段39に接続されている。このタッチパネルディスプレイ40によって包装長さと包装能力等のデータ入力を行なう。制御手段39は、このタッチパネルディスプレイ40により入力設定された値に基づき、起動スイッチ41のオン作動操作によって、横型製袋充填機の運転を開始し、前記エンドシール装置1やフィルム送り機構17や縦シール機構30や物品供給機構32などの各作動機構を前述したように同期駆動制御する。それにより、横型製袋充填機は連続運転され、フィルム送り機構17が筒状フィルム24を一定速度で連続移送し、物品供給機構32の供給コンベヤ35が筒状フィルム24内に物品36を所定間隔毎に供給し、縦シール機構30が筒状フィルム24の移送方向Yに沿う重合端縁部に連続シールを施し、筒状フィルム24内に供給された物品36の前後両位置でエンドシール装置1の各シール体2,4が筒状フィルム24にエンドシールを施す。
【0023】
供給コンベヤ35から筒状フィルム24への物品36の送り込み時、または、筒状フィルム24内に供給された物品36がエンドシール装置1に移送されるまでにシールタイミングに対応した正規の位置からずれてしまう場合や、筒状フィルム24内で物品36から分離した欠損部が生じた場合に、そのような物品36または欠損部が噛合い位置Pでシール体2,4に噛み込んでしまう場合がある。そのため、エンドシール装置1のシール体2,4に物品36の噛込みが発生した際にそれを検出して報知する噛込み検出システムを採用し、シール体2,4への噛込みを検出するための噛込み検知手段42からの検知信号が制御手段39に入力される。この噛込み検知手段42としては近接センサや光電センサや圧力センサ等その他の各種センサを採用する。これらのセンサにより、シール体2,4間の変位または圧力の変化あるいはシール体2,4の負荷変動を検出してシール体2,4への物品36の噛込みを検出する。
【0024】
さて、図3に示すように、横型製袋充填機の停止中において、シール体2,4をメンテナンス性を考慮して予め設定された位置に自動で移動させるには、ステップS1でメンテナンスモードをタッチパネルディスプレイ40にて設定した後、ステップS2で横型製袋充填機の起動スイッチ41を押すことによるスイッチング操作を行うと、制御手段39は動作開始信号を出力する。この「メンテナンスモード」とは、シール体2,4の清掃やカートリッジヒーター等の部品交換時において、回転軸3,5に取り付けたシール体2,4を着脱する等のメンテナンスをするのに容易な位置に停止するモードである。この「容易な位置」とは、清掃時に上下両シール体2,4同士が互いに邪魔にならず、図2(e)に示すようにワイヤーブラシをシール体2,4のシール面13,15に当て易く清掃し易い位置であり、また、部品交換時に例えばシール体2,4の交換やカートリッジヒーターの交換時にシール体2,4を取り外し易い位置である。
【0025】
制御手段39は、前記動作開始信号と第1エンコ−ダ6及び第2エンコ−ダ9からの信号とに基づき、第1駆動モータ7及び第2駆動モータ10を駆動制御して上側シール体2及び下側シール体4を下記のように作動して停止させる。まず、ステップS3では第1駆動モータ7が作動されて上側シール体2を通常の運転速度より低速で予め設定された停止位置Q2まで移動させ、ステップS4で上側シール体2がその停止位置Q2に至ったことを第1エンコ−ダ6からの入力信号によって判断して第1駆動モータ7の作動停止信号を出力した後に、ステップS5で第1エンコ−ダ6からの信号入力によって上側シール体2が停止したことを判断する。次に、ステップS6では第2駆動モータ10が作動されて下側シール体4を通常の運転速度より低速で予め設定された停止位置Q4まで移動させ、ステップS7で下側シール体4がその停止位置Q4に至ったことを第2エンコ−ダ9からの入力信号によって判断して第2駆動モータ10の作動停止信号を出力した後に、ステップS8で第2エンコ−ダ9からの信号入力によって下側シール体4が停止したことを判断して終了する。
【0026】
また、図4に示すように、横型製袋充填機の運転中からシール体2,4を前記した任意の位置で停止させる際には、ステップS11で、例えば、タッチパネルディスプレイ40上のメンテナンスモードのONボタンを押した後、確定を促す表示がされるとともに「Yes」と「No」の選択ボタンを表示するように設定され、ここで「Yes」を選択すると、ステップS12で、確定操作となって制御手段39から停止信号が出力される。
【0027】
制御手段39は、前記停止信号と第1エンコ−ダ6及び第2エンコ−ダ9からの信号とに基づき、第1駆動モータ7及び第2駆動モータ10を駆動制御して上側シール体2及び下側シール体4を下記のように作動して停止させる。まず、ステップS13で上側シール体2が予め設定された減速位置に至ったことを第1エンコ−ダ6からの入力信号によって判断した後に、ステップS14で第1駆動モータ7が駆動制御されて上側シール体2を所定の速度で減速移動させ、ステップS15で上側シール体2が図2(d)に示すように予め設定された停止位置Q2に至ったことを第1エンコ−ダ6からの入力信号によって判断して第1駆動モータ7の作動停止信号を出力した後に、ステップS16で第1エンコ−ダ6からの信号入力によって上側シール体2が停止したことを判断する。次に、ステップS17でそれまで通常運転時の回転速度で回転を継続していた下側シール体4が予め設定された減速位置に至ったことを第2エンコ−ダ9からの入力信号によって判断した後に、ステップS18で第2駆動モータ10が駆動制御されて下側シール体4を所定の速度で減速移動させ、ステップS19で下側シール体4が図2(d)に示すように予め設定された停止位置Q4に至ったことを第2エンコ−ダ9からの入力信号によって判断して第2駆動モータ10の作動停止信号を出力した後に、ステップS20で下側シール体4が停止したことを第2エンコ−ダ10からの信号入力によって判断して終了する。
【0028】
なお、シール体2,4の停止に際し前記排出コンベヤ38の作動も停止される。
前述したように夫々のシール体2,4の停止位置Q2,Q4を予め設定する際には、回転角度等の適宜数値データをタッチパネルディスプレイ40等の設定手段によって数値入力するか、あるいは、予め設定された複数の停止位置Q2,Q4からいずれかを選択することにより行うようにすればよい。夫々のシール体2,4の停止位置Q2,Q4は任意に別個に設定することができる。上側シール体2のシール面13は、噛合い位置Pから回転向きX3へ90度より大きく180度より小さい回転停止範囲θ2で回転して停止位置Q2で停止し、排出コンベヤ38よりも上側で排出コンベヤ38側で斜め上方に向いていることが好ましい。また、下側シール体4のシール面15は、噛合い位置Pから回転向きX5へ0度より大きく90度より小さい回転停止範囲θ4、望ましくは噛合い位置Pから回転向きX5へ0度より大きく60度より小さい回転停止範囲θ4で回転して停止位置Q4で停止し、排出コンベヤ38よりも上側に臨んだ位置で排出コンベヤ38側で斜め上方に向いていることが好ましい。夫々のシール体2,4共、略45度斜め上方を向いていることがシール面13,15の清掃時における作業性の面から最も好ましい。
【0029】
前述した横型製袋充填機の運転中からのシール体2,4の停止に際し、制御手段39は、前記夫々のシール体2,4の停止とともにフィルム送り機構17を所定の停止タイミングで停止させるように、第3駆動モータ19及び第4駆動モータ26を駆動制御している。そのため、夫々のシール体2,4の清掃に際して移送停止した筒状フィルム24を移送路外に移動させることができ、メンテナンス作業に邪魔にならず、また移送されてきた筒状フィルム24がシールバーによる熱で溶けて付着しメンテナンス作業が阻害されることもない。加えて、制御手段39は、物品供給機構32を所定の停止タイミングで停止させるように、第6駆動モータ34を駆動制御することが好ましい。それにより、物品供給機構32から物品36が停止状態の筒状フィルム24内に供給されず、物品36の詰まりを防止することができる。
【0030】
前述した横型製袋充填機の運転中からの停止に際して、夫々のシール体2,4を減速して停止させるように設定している。その際には噛合い位置Pで夫々のシール体2,4が噛合い位置ずれを生ずることなくシール面13,15間の回転周速差が発生しないように設定することが必要である。そのため、前述したように夫々のシール体2,4を斜め上方を向いて停止させる際、上下両シール体2,4は噛合い位置Pを越えた後に減速開始するよう設定され、本例では上側シール体2が噛合い位置Pを経た後に所定位置から減速を開始して停止するまでの間に、下側シール体4が噛合い位置Pを経た後も通常速度で回転を継続して所定位置まで到達した時点で減速を開始して停止するように設定している。このように夫々のシール体2,4のうち一方を停止させた後に他方を停止させるように設定すると、夫々のシール体2,4が噛合う時、その夫々のシール体2,4の速度と筒状フィルム24の移送速度との間に速度差が生じない。夫々のシール体2,4の減速開始位置が噛合い位置Pを過ぎた直後であると、夫々のシール体2,4の回転位置によっては夫々のシール体2,4が障壁となって夫々のシール体2,4に対し筒状フィルム24内の物品36が衝突してしまうおそれがあるため、夫々のシール体2,4が筒状フィルム24に触れない停止位置Q2,Q4であることが好ましい。
【0031】
本例の如く噛込み検知システムが採用される場合においては、図5に示すように、例えば、タッチパネルディスプレイ40等の設定手段で噛込み検知設定ボタンを押して噛込み検知モードを設定した後、ステップS21で前述したようにタッチパネルディスプレイ40のメンテナンスモードボタンを押すと、噛込み検知制御の設定が行われ、制御手段39は、ステップS22でシール体2,4への物品36の噛込みを検知し、ステップS23でシール体2,4への物品36の噛込みが発生したと判断した場合に、ステップS24でメンテナンスモードにあることを判断する。その後は、シール体2,4への物品36の噛込み検知に連動して、前述したステップS13〜20と同様に、夫々のシール体2,4が清掃可能な停止位置Q2,Q4で自動停止するとともに、フィルム送り機構17が所定の停止タイミングで停止する。また、物品供給機構32も所定の停止タイミングで停止することが好ましい。
【0032】
メンテナンスモードによる停止状態から横型製袋充填機の運転を再開する際には、作業者はタッチパネルディスプレイ40のメンテナンスモードOFF操作により設定解除を行って横型製袋充填機の起動スイッチ41をON操作することで、物品供給機構32の第6駆動モータ34の作動を開始する。図6に示すように、制御手段39は、ステップS31でメンテナンスモードの設定解除を判断した後、ステップS32で横型製袋充填機の起動スイッチ41のオン信号の有無を判断し、第1駆動モータ7及び第2駆動モータ10を駆動制御して夫々のシール体2,4を下記のように動作させる。また、制御手段39は、フィルム送り機構17の第3駆動モータ19及び第4駆動モータ26と縦シール機構30の第5駆動モータ29とを駆動制御してこれらの各機構17,30を下記のように動作させる。夫々のシール体2,4は、通常の運転速度とは異なる予め設定された低速度にて停止位置Q2,Q4から順次回転を開始する。すなわち、物品供給機構32の駆動開始に伴いフィルム送り機構17と縦シール機構30とが同期状態で駆動開始されるとともに、それらの同期の基準となる物品供給機構32のエンコーダ33から発せられる基準パルスに対して、上側シール体2を回転させる第1駆動モータ7に付設されたエンコーダ6と、下側シール体4を回転させる第2駆動モータ10に付設されたエンコーダ9とのうち、いずれか一方のエンコーダからの発信パルスに基づくシール体2,4の現在位置との位相が同期状態になると、ステップS33で、上下両シール体2,4のうち一方のシール体から回転を開始するよう、前記第1駆動モータ7または第2駆動モータ10のうち何れかが駆動制御される。その後、ステップS34で、他方のエンコーダからの発信パルスに基づくシール体2,4の現在位置との位相が同期状態になると、上下両シール体2,4の他方のシール体が回転を開始する。従って、夫々のシール体2,4の回転再開時において同期位置合わせ運転のためのセット運転が必要ではなく、前述した起動操作によって包装機の通常運転に移行できるので、操作に不慣れな作業者でも容易に包装作業が再開できる。
【0033】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 排出コンベヤ38がない場合など、夫々のシール体2,4の清掃や、シール体2,4自体またはシール体2,4に装着された部品の交換等のメンテナンス作業に支障が発生する障害物がない場合においては、夫々のシール体2,4を前記停止位置Q2,Q4以外の停止位置で停止させるように設定してもよい。
【0034】
・ 各回転軸3,5が垂直に配置されている場合、作業者が操作する側である包装機の正面に対して手前側に夫々のシール面13,15が向いていると、清掃や部品交換が容易である。
【0035】
・ エンドシールの作動回数については、夫々のシール体2,4が一回転する毎にカウンタによりカウントされ、カウント値に達した際にメンテナンス及び清掃を促す表示及び警報を行うように制御してもよい。また、それに加えて、その信号の入力によってシール体2,4を任意の位置に停止させるようにしてもよい。
【0036】
・ 前述した夫々のシール体2,4は加熱シールバーであるが、溶断シールバー、あるいは、各回転軸3,5の回転によって筒状フィルム24にエンドシールを施すことが可能に配設されたその他の各種シール体であればよい。
【0037】
・ 数値入力については、例えば、タッチパネルディスプレイ40により設定するが、キーボード入力等数値設定可能なその他の数値設定可能手段であればよい。
・ 物品供給機構32を同期の基準として他の各機構17,30,32やエンドシール装置1を従属制御する同期駆動制御方式を採用しているが、これに限らずフィルム送り機構17またはエンドシール装置1をマスターにした制御を行なう方式、あるいは、制御手段39の中央演算処理装置で発生させたクロックパルス等を利用した同期基準パルス発生手段を用いる制御方式を適宜採用し得る。
【0038】
・ 一つのサーボモータによって各回転軸3,5を駆動するように構成し、少なくとも一方の回転軸にクラッチブレーキを配設することやあるいは差動機構等の採用によって、個々の回転軸3,5を予め設定した任意の位置で停止することも可能である。
【0039】
・ 夫々のシール体2,4の停止位置Q2,Q4をタッチパネルディスプレイ40で入力するが、セレクトスイッチやその他停止位置を設定できる機器であればよい。
・ メンテナンスモードの設定は、タッチパネルディスプレイ40で行なうようにしたが、キーボードのほか、ロータリー式のセレクトスイッチや押しボタンスイッチその他のスイッチング手段であってもよい。
【0040】
・ 縦シール機構30はサーボモータである第5駆動モータ29にて回転駆動されるシールローラ31を備えているが、それに限らず、筒状フィルム24の搬送方向に沿う端縁部をシールし得る各種方式のシール方式を採用できる。例えば、筒状フィルム24が移送される際に筒状フィルム24と非接触でシール可能な方式等であれば、運転時に縦シール機構30をフィルム送り機構17とともに駆動制御する必要はなく、従って、その際には同期制御を考慮するまでもない。
【0041】
・ 繰出しローラ20をサーボモータである第3駆動モータ19にて駆動させるとともに送りローラ27をサーボモータである第4駆動モータ26にて駆動させているが、それらを共に一つのサーボモータで駆動させてもよい。また、繰出しローラ20と送りローラ27とシールローラ31とを共に一つのサーボモータで駆動させてもよい。また、フィルム原反ロール21を第3駆動モータ19で直接回転駆動するようにしてもよい。
【0042】
・ 上下両シール体2,4が停止する際には、夫々の減速開始位置から停止位置Q2,Q4までに至る減速度を同一に設定しているが、その減速度の値を互いに異なる値に設定するようにしてもよい。ただし、その場合においても、停止位置Q2,Q4に至る間に相互のシール体2,4が噛合い位置Pを同時に通過する場合には、少なくとも噛合い位置Pでの夫々のシール体2,4の周速度を同一に設定し、その後に夫々のシール体2,4に速度差を与えるようにするか、あるいは、前述のように夫々のシール体2,4のシール面13,15が別々に噛合い位置Pを通過するように設定されていればよい。加えて、夫々のシール体2,4は停止位置Q2,Q4まで所定の回転向きX3,X5を維持した状態で回転して停止するが、停止信号(夫々のシール体2,4を停止させるための入力信号)の受け取り時点に対する夫々のシール体2,4の回転現在位置との関係で、夫々のシール体2,4またはいずれか一方のシール体を回転向きX3,X5に対する逆向きに回転させて停止させるように設定されていてもよい。
【0043】
・ 前述したメンテナンスモード等の設定は必ずしも必要ではなく、その場合にはスイッチ操作等によりメンテナンスモード等と同様な動作が行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…エンドシール装置、2…上側シール体、3…上側回転軸、4…下側シール体、5…下側回転軸、6,9…エンドシール装置のエンコーダ、7,10…エンドシール装置の駆動部としての駆動モータ、13…上側シール体のシール面、15…下側シール体のシール面、17…フィルム送り機構、24…筒状フィルム、33…基準パルス発生手段としてのエンコーダ、36…物品、39…制御手段、40…設定手段としてのタッチパネルディスプレイ、42…噛込み検出手段、P…上下両シール体のシール面の噛合い位置、X3…上側シール体の回転向き、X5…下側シール体の回転向き、Q2…上側シール体の停止位置,Q4…下側シール体の停止位置、θ2…上側シール体の回転停止範囲、θ4…下側シール体の回転停止範囲、Y…筒状フィルムの移送方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのモータを備えた駆動部により互いに反対向きへ回転する一対の回転軸に夫々配設されたシール体が、噛合い位置で相対向する一対のシール体の各シール面間に筒状フィルムを挟んで筒状フィルムの移送方向に対し交差する方向へエンドシールを施す横型製袋充填機において、
シ−ル体のシール面の清掃若しくはシ−ル体に関する部品の交換を目的としたシ−ル体のメンテナンス作業にあたり、
シ−ル体が停止した運転停止状態若しくはシ−ル体が回転している運転状態において、
所定の操作によって得られる出力信号に基づき前記一対のシール体の一方の回転軸に配設されたシール体と他方の回転軸に配設されたシール体とを、シール面の清掃若しくはシ−ル体に関する部品の交換が容易な予め設定した夫々異なる向きの停止位置で停止するように、前記駆動部を駆動制御する制御手段を備えた
ことを特徴とする横型製袋充填機のエンドシール装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記一対のシール体の夫々のシール体を順次前記停止位置で停止させることを特徴とする請求項1に記載の横型製袋充填機のエンドシール装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記所定の信号入力に基づき、前記各回転軸の相互の回転速度または回転量あるいは回転方向を変化させて一方のシール体に対する他方のシール体の回転位置が異なる関係となるようそれら各シール体のシール面が予め設定した停止位置に停止するように、前記駆動部を駆動制御することを特徴とする請求項1に記載の横型製袋充填機のエンドシール装置。
【請求項4】
前記一対の回転軸の少なくとも一方の回転軸にクラッチブレーキを配設し、
前記駆動部は、前記一つのモータによって前記一対の各回転軸を駆動するように構成し、前記クラッチブレーキにより個々の回転軸を前記予め設定した停止位置で停止させることを特徴とする請求項2に記載の横型製袋充填機のエンドシール装置。
【請求項5】
前記一対の回転軸に相互を差動させる差動機構を配設し、
前記駆動部は、前記一つのモータによって前記一対の各回転軸を駆動するように構成し、前記差動機構により個々の回転軸を前記予め設定した停止位置で停止させることを特徴とする請求項2に記載の横型製袋充填機のエンドシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−105394(P2011−105394A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54140(P2011−54140)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【分割の表示】特願2007−66307(P2007−66307)の分割
【原出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】