説明

横型遠心分離装置およびダム形成部材

【課題】横型遠心分離装置を用いて固形物を重質分と軽質分とに分離するにあたり、プール部から溢流する固形分を含む液を速やかに排出して、排出口に固形分が滞積するのを防止すること
【解決手段】対向する両端部に重質分排出口と軽質分排出口を有する回転筒状体であり、内部に供給された被処理液中の固形物を遠心力の作用により沈降物と浮遊物とに分けるためのボウルと、前記ボウルに内挿されたスクリューコンベアと、を有し、前記沈降物をスクリューコンベアで重質分排出口に移送して脱水し排出すると共に、前記浮遊物を含む被処理液を軽質分排出口から溢流させて、固形物を重質分と軽質分とに分離するための横型遠心分離装置において、前記ボウルの端側壁部を貫通する軽質分排出口内に、ボウルの回転軸側に向かって傾斜した軽質分の溢流案内傾斜面を有するダム形成部材を設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプラスチックの破砕物からなる固形物を重質分と軽質分とに分離するのに用いられる横型遠心分離装置および、横型遠心分離装置に設けられるダム形成部材に関する。
【背景技術】
【0002】
石油資源の枯渇問題や環境負荷低減の対策として廃プラスチックのリサイクル事業が推進されており、回収された廃プラスチックを再生化処理することが行われている。産業廃棄物や一般廃棄物として回収された廃プラスチックには、多種多用なものが混在しているため、再生化するのに好適な種類のプラスチックを選別する作業が必要である。例えば固形燃料として再生化されるプラスチックとしては、炭素二重結合を1つ以上持つ不飽和炭化水素であるオレフィン系を主成分とし、且つ、塩素分の少ないものが好ましく、再生資源に用いるための基準値が定められている。固形燃料として好適なポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)の比重は小さく、塩素成分を多く含む塩化ビニル(PVC)の比重が大きいことから、比重の小さい軽質分を選別して再生化資源にされている。
【0003】
しかしながら、従来から行なわれている選別方法は、液体を貯留したプールに廃プラスチックの破砕物を投入し、塩化ビニルなどの重質分が沈降するのを待ってから浮遊する軽質分をすくい上げる方式であるため分離効率が悪い。そのため、軽質分の回収率が悪く、塩素イオン(Cl)が高いという問題があった。
【0004】
ここで、デカンタは固液分離に使用される遠心分離装置であるが、廃プラスチックを重質分と軽質分に分離する装置としての適用可能性が注目されている。デカンタ1は、図6に示すように、水平軸廻りに回転可能なボウル10と、このボウル10に内挿されたスクリューコンベア11がケーシング12内に配置された構成を基本構造とする。かかる構成において、廃プラスチックの破砕物を含む被処理液がボウル10内に供給されると、供給された被処理液が貯留されるプール部13において遠心力の作用で塩化ビニル等の重質分が沈降し、ポリエチレン等の軽質分が液に浮遊した状態が形成される。そして沈降している重質分がスクリューコンベア11によってボウル10の一端側に移送され、脱水されて重質分排出口14から排出される。一方、軽質分を含む液は、ボウル10の他端側に形成されている軽質分排出口15から溢流(オーバフロー)して排出される。これにより、廃プラスチックが重質分と軽質分とに分離されることとなる。
【0005】
しかしながら前述したように、これまで固液分離に使用されてきたデカンタ1を、重質分と軽質分の分離に適用した場合、新たな問題点が顕在化する場合がある。その一つに、プール部13から溢流する際に軽質分が排出口15に滞積してしまう問題がある。
【0006】
すなわち、固液分離に使用した場合には清澄液が排出口15から溢流するが、重質分と軽質分の分離に適用した場合にはスラリー状の液が溢流するため、この固形分が排出口15の例えばエッジ部に引っ掛かって滞積してしまうことがある。排出口15は、ボウル10の回転軸を中心とした同心円上に複数配置されており、そのうちの一箇所でも滞積してしまうと、軽質分の滞積が連鎖促進されてしまい、分離精度に著しく影響が生じる。しかも一定時間稼動させると滞積するという予測可能なものではなく偶発的に発生するので、このようにいつ発生するか分からない問題に対しては計画的な清掃作業を行なっても有効な対策とはならない。
【0007】
さらに従来のデカンタにおいては、例えば図7に示すように、排出口15に堰16を設けてプール部13の液深を調節することが行なわれているが(例えば、特許文献1参照)、この場合、堰16のエッジ部に固形分が引っ掛かって益々滞積し易くなる。
【0008】
【特許文献1】特開昭61−167468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、上述の問題点を解決することが一例として挙げられる。すなわち、本発明の目的には、横型遠心分離装置を用いて固形物を重質分と軽質分とに分離するにあたり、プール部から溢流する固形分を含む液を速やかに排出して、排出口に固形分が滞積するのを防止することが一例として挙げられる。
【0010】
さらに本発明の他の目的は、既存の横型遠心分離装置を大幅に改造しなくとも、固形物を重質分と軽質分とに分離するための装置として好適に使用可能にすることにある。
【0011】
さらに本発明の他の目的は、廃プラスチックから例えば固形燃料として再生化する資源を選別するにあたり、塩素分が0.3%以下の軽質分を分離することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の横型遠心分離装置は、対向する両端部に重質分排出口と軽質分排出口を有する回転筒状体であり、内部に供給された被処理液中の固形物を遠心力の作用により沈降物と浮遊物とに分けるためのボウルと、前記ボウルに内挿されたスクリューコンベアと、を有し、前記沈降物をスクリューコンベアで重質分排出口に移送して脱水し排出すると共に、前記浮遊物を含む被処理液を軽質分排出口から溢流させて、固形物を重質分と軽質分とに分離するための横型遠心分離装置であって、前記ボウルの端側壁部を貫通する軽質分排出口内に、ボウルの回転軸側に向かって傾斜した溢流案内傾斜面を有するダム形成部材を設けたことを特徴とする。
【0013】
前記溢流案内傾斜面は、少なくとも軽質分排出口の入口端から出口端に跨るように形成することができる。また、前記溢流案内傾斜面は、前記ボウルの端側壁面より外側に延出するように形成することができる。さらに前記溢流案内傾斜面は、前記ボウルの回転軸を中心とする同心円の円弧軌跡に沿って湾曲させることができる。このダム形成部材は、固定手段によって脱着可能に設けることができる。
【0014】
前記固形物は廃プラスチックの破砕物であり、塩素分が0.3%以下の軽質分に分離することができる。
【0015】
また、本発明のダム形成部材は、対向する両端部に重質分排出口と軽質分排出口を有する回転筒状体であり、内部に供給された被処理液中の固形物を遠心力の作用により沈降物と浮遊物とに分けるためのボウルと、前記ボウルに内挿されたスクリューコンベアと、を有し、前記沈降物をスクリューコンベアで重質分排出口に移送して脱水し排出すると共に、前記浮遊物を含む被処理液を軽質分排出口から溢流させて、固形物を重質分と軽質分とに分離するための横型遠心分離装置に設けられるダム形成部材であって、前記ボウルの回転軸側に向かって傾斜した溢流案内傾斜面を有し、ボウルの端側壁部を貫通する軽質分排出口内に設けられることを特徴とする。
【0016】
前記ダム形成部材は、円柱部材を斜めに切り欠いて溢流案内傾斜面が形成された部材で構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、固形物を重質分と軽質分とに分離するのに用いられる横型遠心分離装置において、ボウルの端側壁部を貫通する円形の軽質分排出口内に、ボウルの回転軸側に向かって傾斜した溢流案内傾斜面を有するダム形成部材を設けた構成としたことにより、軽質分を含む液が溢流案内傾斜面に案内されて速やかに排出されるので、軽質分排出口に滞積してしまうのを防止することが可能となる。
【0018】
さらに本発明によれば、少なくとも軽質分排出口の入口端から出口端に跨るように溢流案内傾斜面を形成したことにより、軽質分排出口の入口端のエッジ部に軽質分が引っ掛かるのを防止することができる。そしてさらに、ボウルの端側壁面より外側に延出するように溢流案内傾斜面を形成したことにより、ボウルの端側壁面に排出液が直接触れることによる動力消費を防止することができる。
【0019】
さらに本発明によれば、脱着可能なダム形成部材として構成したことにより、例えば固液分離に用いられる既存の横型遠心分離装置を大幅に改造することなく、固形物を重質分と軽質分とに分離するための装置として適用可能にすることができる。しかも、ダム形成部材を比較的容易に脱着可能な構成であるため、例えば固形物の種類などに応じてダム形成部材を変えることができ、結果として精度の高い分離を実現することが可能となる。例えば、廃プラスチック破砕物を処理する場合、塩素分が0.3%以下の軽質分を分離することが可能である。そのため、分離した軽質分を例えば固形燃料の再生化資源として有効にリサイクルすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の好ましい実施形態による横型遠心分離装置について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。但し、以下に説明する実施形態によって本発明は何ら限定されることはない。
【0021】
本実施形態による横型遠心分離装置は、例えば図1に示すように、下方に重質分出口21と軽質分出口22を有するケーシング2の内部に、回転筒状体をなすボウル3と、スクリューコンベア4と、固形物を含む被処理液を供給するための供給ノズル5が設けられている。ボウル3及びスクリューコンベア4は軸受け部23,24によって支持され、それぞれが独立して回転可能となっている。そして駆動機構であるモータ25の動力が回転ベルト26を介してプーリー27に伝達されることによってボウル3が所定の回転速度で回転し、さらに差速発生機構であるギアボックス28,スプラインシャフト41及びブッシング42を介してスクリューコンベア4に動力が伝達されることによって、ボウル3とスクリューコンベア4が相対的な速度差をもって回転するように構成されている。なお、符号29は、分離された重質分と軽質分が混ざるのを防止するための仕切り壁である。また、図示は省略するが、ケーシング2は上下に分割された構成であり、上半分を開放することによって比較的容易にボウル3やスクリューコンベア4のメンテナンス及び、後述するダム形成部材の交換をすることが可能である。
【0022】
ボウル3の胴部は、一端側が円筒状に形成され、他端側がコニカル状に形成されている。そして一端側の開口部は、本明細書においてフロントハブ31と称する円形部材によって塞がれている。円筒状に形成されている部位32は、ボウル3内部に供給される固形物を含む被処理液が貯留されるプール(液溜り)部を形成する。一方、コニカル状に形成されている部位33は、スクリューコンベア4によってボウル3の他端側に移送される重質分が液から離脱することによって脱水されるビーチ部を形成しており、その端部に重質分排出口34が形成されている。
【0023】
フロントハブ31には、軽質分を含むスラリー状の液が溢流して排出される軽質分排出口35が形成されている。軽質分排出口35は、フロントハブ31を厚み方向に貫通する円形状の開口部であって、例えば図2に示すように、ボウル3の回転軸を中心とした同心円上に等間隔で複数形成されている。なお、図2には、6個の軽質分排出口35を設けた例を記載してあるが、これに限定されることはなく、例えば4個の軽質分排出口35を設けることができる。さらには、軽質分排出口35は必ずしも円形である必要はなく、楕円形状であってもよい。
【0024】
さらに、前記フロントハブ31に形成された軽質分排出口35内には、ボウル3の回転軸側に向かって傾斜した溢流案内傾斜面61を有するダム形成部材6が設けられている。ダム形成部材6について詳しくは、例えば図3に示すように、その外径R1(例えば354mm)が軽質分排出口35の内径と略一致する円柱部材を斜めに切り欠いて形成された溢流案内傾斜面61を有する傾斜部材が、フランジ部62と一体成形された構成である。そしてフランジ部62にはボルト挿入穴63が形成されており、固定手段としてのボルトによってフロントハブ31に外側から脱着可能に固定されている。なお、一例として、ダム形成部材6の傾斜角θは、例えば20度に設定される。また、ダム形成部材6の高さL1は、例えば液深をどのように設定するかに応じて決められるが、一例として35mmに設定される。
【0025】
前記ダム形成部材6の長さL2は例えばフロントハブ31の厚みと同じに設定されており、長さL3は溢流案内傾斜面61がフロントハブ31の端面より外側に延出する長さに設定されている。すなわち、ダム形成部材6を軽質分排出口35内に嵌合した際に、溢流案内傾斜面61が、少なくとも軽質分排出口35の入口端から出口端に跨りさらにフロントハブ31の端面より外側に延出するように設定されている。このように、延出部を設けることによって、フロントハブ31に排出液が直接触れることによる動力消費を防止することができるという利点がある。この利点をさらに確実なものとするため、延出部の端面下方を切り欠いて庇(ひさし)64を形成するのが好ましい。
【0026】
さらに、溢流案内傾斜面61は、ボウル3の回転軸を中心とする同心円の円弧軌跡(R2)に沿って湾曲している。後述するように、当該横型遠心分離装置は、ボウル3を回転させることによって発生する遠心力の作用により、ボウル3の内周面に全周に亘ってプール部内に被処理液が貯留された状態が形成される。かかる被処理液の液面は、ボウル3の回転軸を中心とした同心円上に形成されるので、溢流案内傾斜面61をボウル3の回転軸を中心とする同心円の円弧軌跡に沿って湾曲させることによって溢流液高さを同一にすることが可能になるという利点がある。
【0027】
説明を図1に戻すと、ボウル3に内挿されるスクリューコンベア4の胴部には、その外周面に沿ってスクリュー羽根43が設けられている。さらに胴部は内部に空洞(バッファ部)44を有し、このバッファ部44内まで供給ノズル5の先端が延設されている。そして供給ノズル5から吐出される固形物を含む被処理液がバッファ部44内に供給されると、胴部の中央部付近に形成されている供給口45を介して遠心力の作用によってボウル3内に供給される構成である。
【0028】
続いて、上述した横型遠心分離装置を用いて固形物を重質分と軽質分に分離する作用について説明する。例えば固形物に廃プラスチックを適用する場合、予め15mm程度に廃プラスチックを破砕し、例えば水などの被処理液(例えば循環水の混合された液である)と混合しておく。そして、ボウル3とスクリューコンベア4をそれぞれ所定の回転速度で回転させながら、廃プラスチックの破砕物を含む被処理液をボウル3内に供給する。このとき、回転するボウル3の遠心力の作用によって、ボウル3の内周面全周に亘ってプール部に被処理液が貯留された状態となり、さらには被処理液中に含まれる廃プラスチック破砕物にも遠心力の作用が働いて重質分が沈降し、軽質分が浮遊した状態が形成される。ここで、廃プラスチックにおいては、例えば塩化ビニル(PVC),ポリエチレンテレフタレート(PET),塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)などが重質分として沈降し、例えばポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),発泡ポリスチレン(EPS)などが軽質分として浮遊する。
【0029】
そして被処理液中に沈降した重質分は、ボウル3とは速度差をもって回転するスクリューコンベア4によりボウル3の他端側に向かって移送されてビーチ部に上陸することによって脱水され、重質分排出口34を介して排出される。さらに重質分排出口34から排出された重質分は、ケーシング2の重質分出口21から装置外に排出されることになる。
【0030】
一方、軽質分を含む被処理液は、ボウル3内に液が連続供給されていることから軽質分排出口35から溢流して排出される。すなわち、液を連続供給することによってボウル3の胴部中央付近から一端側に向かう液流が形成され、回転するスクリュー羽根41によって重質分がいわば堰き止められて除去されることにより、最終的に重質分がないかあるいは極めて少なくなった軽質分を含む液が軽質分排出口35から排出される。そしてこのとき、軽質分を含む液は、図4に模式的に示すように、ダム形成部材6の溢流案内傾斜面61に案内されて速やかに排出される。こうして排出された軽質分を含む液は、ケーシング2の軽質分出口22から装置外に排出され、例えば振動篩機に供給されて軽質分と液とが分離されることとなる。分離された液は、循環水として再利用することが可能である。
【0031】
上述の実施形態によれば、フロントハブ31に形成された軽質分排出口35内に、ボウル3の回転軸側に向かって傾斜した溢流案内傾斜面61を有するダム形成部材6を設けた構成としたことにより、軽質分を含む液が溢流案内傾斜面61に案内されて速やかに排出されるので、軽質分排出口35に固形分が滞積してしまうのを防止することが可能となる。これにより、いつ発生するか予測不可能な問題を未然に防止することかでき、装置の信頼性を飛躍的に向上させることができる。
【0032】
さらに上述の実施形態によれば、脱着可能なダム形成部材6としたことにより、例えば固液分離に用いられる既存の横型遠心分離装置を大幅に改造することなく、当該装置を廃プラスチックの選別装置として適用可能にすることができる。しかも、ダム形成部材6を比較的容易に脱着することが可能な構成であるため、例えば廃プラスチックの種類や、目的とする種類が軽質分であるか或いは重質分であるかによってダム形成部材6を交換することができる。その結果、精度の高い分離を実現することが可能となる。
【0033】
さらに上述の実施形態によれば、少なくとも軽質分排出口35の入口端から出口端に跨るように溢流案内傾斜面61を形成したことにより、軽質分排出口35の入口端に軽質分が引っ掛かるのを防止することができる。そしてさらに、フロントハブ31の端面より外側に延出するように溢流案内傾斜面61を形成したことにより、フロントハブ31に排出液が直接触れることによる動力消費を防止することができる。
【0034】
さらに上述の実施形態によれば、塩素分が0.3%以下、好ましくは0.1以下の軽質分を分離することが可能であることを、実際に試験を行って確認している。そのため、分離した軽質分を例えば固形燃料の再生化資源として有効にリサイクルすることが可能であった。
【0035】
ダム形成部材6の他の例として、ダム形成部材6は必ずしも延出部を有していなくともよく、例えば図5に示すような構成としてもよい。
【0036】
上述の実施形態では、PEやPPなどの軽質分の分離目的とした例について説明したが、これに限られず、PETなどの重質分を分離目的として使用してもよい。PETは、例えば繊維等のリサイクル源として使用されることとなる。
【0037】
さらには、本実施形態の横型遠心分離装置は、廃プラスチックの選別以外にも使用することが可能である。具体的には、合成樹脂,無機鉱物の選別に使用することが可能である。
【0038】
以上、本発明の具体的な実施形態に関して説明したが、本発明の範囲を逸脱しない限り様々な変形が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者にとって自明なことである。従って、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態による横型遠心分離装置の構成を示す図である。
【図2】上記横型遠心分離装置のフロントハブを示す図である。
【図3】上記横型遠心分離装置に設けられるダム形成部材を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図4】上記ダム形成部材の作用を模式的に示す図である。
【図5】上記横型遠心分離装置に設けられるダム形成部材の他の例を示す図である。
【図6】従来のデカンタを示す概略構成図である。
【図7】従来のデカンタの排出口に設けられる堰を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
2 ケーシング
3 ボウル
35 軽質分排出口
4 スクリューコンベア
5 供給ノズル
6 ダム形成部材
61 溢流案内傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する両端部に重質分排出口と軽質分排出口を有する回転筒状体であり、内部に供給された被処理液中の固形物を遠心力の作用により沈降物と浮遊物とに分けるためのボウルと、前記ボウルに内挿されたスクリューコンベアと、を有し、
前記沈降物をスクリューコンベアで重質分排出口に移送して脱水し排出すると共に、前記浮遊物を含む被処理液を軽質分排出口から溢流させて、固形物を重質分と軽質分とに分離するための横型遠心分離装置であって、
前記ボウルの端側壁部を貫通する軽質分排出口内に、ボウルの回転軸側に向かって傾斜した溢流案内傾斜面を有するダム形成部材を設けたことを特徴とする横型遠心分離装置。
【請求項2】
前記溢流案内傾斜面は、少なくとも軽質分排出口の入口端から出口端に跨るように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の横型遠心分離装置。
【請求項3】
前記溢流案内傾斜面は、前記ボウルの端側壁面より外側に延出するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の横型遠心分離装置。
【請求項4】
前記溢流案内傾斜面は、前記ボウルの回転軸を中心とする同心円の円弧軌跡に沿って湾曲していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の横型遠心分離装置。
【請求項5】
前記ダム形成部材は、固定手段によって脱着可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の横型遠心分離装置。
【請求項6】
前記固形物は廃プラスチックの破砕物であり、塩素分が0.3%以下の軽質分に分離することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の横型遠心分離装置。
【請求項7】
対向する両端部に重質分排出口と軽質分排出口を有する回転筒状体であり、内部に供給された被処理液中の固形物を遠心力の作用により沈降物と浮遊物とに分けるためのボウルと、前記ボウルに内挿されたスクリューコンベアと、を有し、
前記沈降物をスクリューコンベアで重質分排出口に移送して脱水し排出すると共に、前記浮遊物を含む被処理液を軽質分排出口から溢流させて、固形物を重質分と軽質分とに分離するための横型遠心分離装置に設けられるダム形成部材であって、
前記ボウルの回転軸側に向かって傾斜した溢流案内傾斜面を有し、ボウルの端側壁部を貫通する軽質分排出口内に設けられることを特徴とするダム形成部材。
【請求項8】
前記ダム形成部材は、円柱部材を斜めに切り欠いて溢流案内傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のダム形成部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−136790(P2009−136790A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316446(P2007−316446)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(591162022)巴工業株式会社 (32)
【Fターム(参考)】