横断歩道用防滑ライナー
【課題】 敷設するだけでそのまま横断歩道の標示となるとともに、滑り止め防止材となり、路面材との全面的な置き換えなく容易に施工できて、工期の短縮及び工費の低減が図れ、不陸が発生しにくい上に、除雪車の除雪ブレードに対して損傷防止効果もある横断歩道用防滑ライナーを提供する。
【解決手段】 色の異なる第1及び第2の防滑ライナー1・2とからなる。これらは、金属製のベースプレート10上にクッション材によるクッション層11、その上にゴム製表層12を積層し、該表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成した複数枚のライナープレート8を折曲自在な連結部9で連結したものである。これら第1及び第2の防滑ライナーを路面に交互に敷設して横断歩道として標示する。ベースプレート10の少なくとも一つの端縁部は、ライナープレート同士の連結部9になっていないところで、クッション層11及び表層12の端縁に沿って上側に折り曲げられている。
【解決手段】 色の異なる第1及び第2の防滑ライナー1・2とからなる。これらは、金属製のベースプレート10上にクッション材によるクッション層11、その上にゴム製表層12を積層し、該表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成した複数枚のライナープレート8を折曲自在な連結部9で連結したものである。これら第1及び第2の防滑ライナーを路面に交互に敷設して横断歩道として標示する。ベースプレート10の少なくとも一つの端縁部は、ライナープレート同士の連結部9になっていないところで、クッション層11及び表層12の端縁に沿って上側に折り曲げられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面に敷設して横断歩道として標示させるとともに、歩行者のための滑り止めにもなる横断歩道用防滑ライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
積雪寒冷地では、路面凍結により横断歩道歩行中における滑り転倒事故が起こりやすく、融雪剤や防滑砂などを散布しているが、昼夜を徹してその管理を行わなければならず、その費用と労力が問題となっている。
【0003】
本発明者は、特許文献1(特許第2676586号公報)に開示されているような滑り止め用の舗装ブロックを既に提案している。
この舗装ブロックは、補強素材入りのゴム製耐圧固定部と補強素材が入っていないゴム製路面形成部との間に、ゴムとは異質のナイロン帆布による引剥しシートを介在させ、路面形成部が摩耗したとき、引剥しシートと共に路面形成部を耐圧固定部から引き剥がすことができるようにしたもので、舗装ブロック同士の連結用の凹部と凸部を互いに嵌合させて路盤面に並べて敷設するようになっている。
【0004】
しかし、これは、車道や歩道の路面材全部と置き換えて1個ずつ敷設するため、工費が割高になるとともに、施工所要時間が長くなり、それだけ通行障害の長時間化が避けられなかった。また、舗装ブロック同士の連結用の凹部と凸部を互いに嵌合させて敷設するものの、舗装ブロック間で不陸が発生し、除雪車の障害となるばかりか、除雪車の除雪ブレードにより剥がされてしまう等の問題があった。
【特許文献1】特許第2676586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、敷設するだけでそのまま横断歩道の標示となるとともに、横断歩道での滑り止め防止材となり、しかも路面材との全面的な置き換えなく容易に施工できて、工期の短縮及び工費の低減が図れ、しかも不陸が発生しにくい上に、除雪車の除雪ブレードに対して損傷防止効果もある横断歩道用防滑ライナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による横断歩道用防滑ライナーは、金属製のベースプレート上にクッション材によるクッション層、その上にゴム製表層を積層し、該表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成するとともに、2色のうちの第1の色とした複数枚の第1のライナープレートを折曲自在な連結部で連結した第1の防滑ライナーと、同じく金属製のベースプレート上にクッション材によるクッション層、その上にゴム製の表層を積層し、該表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成するとともに、2色のうちの第2の色とした複数枚の第2のライナープレートを折曲自在な連結部で連結した第2の防滑ライナーとからなり、これらを路面に交互に敷設して横断歩道として標示できるようにしたことを特徴とする。
【0007】
第1及び第2の防滑ライナーのそれぞれにおいて、ライナープレート同士の連結部が溝となっており、互いのクッション層に埋設された連結基布にて折曲自在に連結されていることが好ましい。
【0008】
また、ベースプレートの少なくとも一つの端縁部が、ライナープレート同士の連結部以外のところで、クッション層及び表層の端縁に沿って上側に折り曲げられていると良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明の横断歩道用防滑ライナーによれば次のような効果がある。
(1)2色の防滑ライナーよりなり、そのそれぞれは、複数枚のライナープレートを折曲自在な連結部で連結したもので、これらを交互に路面に敷設するだけで、短時間に簡単に横断歩道を標示でき、横断歩道施工の工期及び工費を低減できる。また、2色の色分けを鮮明に標示できるに加え、塗料による標示のように、塗膜が摩滅することがないので、長期にわたり鮮明な標示を持続でき、保守費用の節減にもなる。
【0010】
(2)各ライナープレートは、金属製のベースプレート上にクッション材によるクッション層、その上にゴム製表層を積層した3層構造で、表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成したものであるので、金属製のベースプレートによる強靱性と路盤への固着性を確保しながら、凹凸面を形成したゴム製表層により滑り止め効果があるとともに、ゴム本来の弾性により雪氷の固着を防止でき、さらに中層であるクッション層のクッション効果により、歩行者の安全性確保に加えて表層からの雪氷の剥離を助長できる。
【0011】
(3)2色の防滑ライナーのそれぞれは、上記のようなライナープレート同士を折曲自在な連結部で連結したものであるので、車両の繰り返し通行でも不陸が生じない。
【0012】
請求項2に係る発明のように、ライナープレート同士の連結部が溝となっており、互いのクッション層に埋設された連結基布にて折曲自在に連結されていれば、アスファルト路盤の熱変形や応力たわみ等に対する追随性が良い。また、溝による滑り止め効果もあるとともに、排水効果もある。
【0013】
請求項3に係る発明のように、ベースプレートの端縁部が、ライナープレート同士の連結部になっていないところで、クッション層及び表層の端縁に沿って上側に折り曲げられていると、除雪車の除雪ブレード等がゴム製表層に食い込むのを、ベースプレートの折り曲げられた端縁部で防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
この横断歩道用防滑ライナーは、色が異なる第1の防滑ライナーと第2の防滑ライナーとを組み合わせて使用するもので、図1及び図2に示すように、車道3を横断する横断歩道4を白黒の2色で標示しようとする場合、白色表面とした第1の防滑ライナー1と、黒色表面とした第2の防滑ライナー2とを、横断歩道4とする歩行者の歩行方向に交互に配置して路盤上に敷設する。
【0016】
その場合、図3に示すように、車道3のアスファルト路盤5の表層を横断歩道4となる領域だけ溝状に切除し、その溝6内に防滑ライナー1・2を交互に配置して溝底面に直接接着し、溝6を補填する。図4(A)は、溝6を歩道7側から見た状態、図4(B)は溝6を防滑ライナー1・2で補填した状態を示す。
【0017】
第1・第2の防滑ライナー1・2は、表層の色が異なるだけで、実質的に同じ構造で、図5に示すように、複数枚の四角形のライナープレート8を折曲自在な連結部9で一連(一体)に連続させたもので、同図に示すように連結部9で屈曲可能となっている。各ライナープレート8は、鋼板であるベースプレート10上にクッション材によるクッション層11、その上にゴム製表層12を積層した3層構造となっている。そして、ライナープレート8同士では、互いのベースプレート10とベースプレート10とは分離しているが、互いのクッション層11は、クッション層11自体に埋設された帆布による連結基布14にて連結され、また互いのゴム製表層12は、一枚の帯状ゴム板に折曲自在とする連結溝15を形成することにより、一体に連続している。
【0018】
表層12の素材のゴムは、耐候性及び耐摩耗性の高い硬質のゴムが好ましいが、クッション層11の素材(クッション材)としては、柔軟なゴムでよい。表層12の上面は、図8及び図9に示すように、自動車タイヤのトレッドのような滑り止めのための凹凸面となっている。
【0019】
白黒の防滑ライナー1・2のうちの少なくとも一方、本例の場合、黒色の第2の防滑ライナー2については、図6に示すように、ライナープレート8同士の連結部9になっていないところで、各ライナープレート8のベースプレート10の一方の端縁部10aが、クッション層11及び表層12の端縁に沿って上側に折り曲げられ、その折曲端が表層12の上面まで延びている。このように上側に折り曲げられた端縁部10aの両端の角部は、図10に示すように斜めに角取りされている。
【0020】
白黒の防滑ライナー1・2は、図7に示すように、鋼板であるベースプレート10の下面を、アスファルト路盤5を切除した溝6の底面に接着剤(例えば、無溶剤系接着剤)にて直接接着して、図2に示すように、車道3を横断するように交互に配置にして敷設するため、上側に折り曲げられたベースプレート10の端縁部10aは、横断歩道4の歩行方向から見ると、それが無い白色の防滑ライナー1を除いて一つおきの配置となり、車両進行方向には、黒色の防滑ライナー2同士の端縁部10aが平行となって延びる。
【0021】
このような白黒の防滑ライナー1・2による横断歩道4全体を見ると、白色の防滑ライナー1により白色帯、黒色の防滑ライナー2により黒色帯が交互に標示され、各防滑ライナー1・2のライナープレート8は、車両の進行方向及び横断歩道4の歩行方向に敷き並べた舗装ブロックのような碁盤目状配置で、それぞれの上面は、自動車タイヤのトレッドのような滑り止めのための凹凸面となるが、各防滑ライナー1・2では、それを構成するライナープレート8同士が、連結溝15を有する折曲可能な連結部9で車両の進行方向に一連に連続し、また横断歩道4の歩行方向には、鋼板であるベースプレート10の折り曲げた端縁部10aが、一つおきの平行配置となる。
【0022】
従って、ライナープレート8同士が舗装ブロックのように碁盤目状配置になっていること、各ライナープレート8の表層12の素材がゴムであること、その上面が自動車タイヤのトレッドのような凹凸面となっていること、各ライナープレート8の中層がクッション層11となっていること、の相乗効果により滑り止め効果が高いとともに、雪氷の固着防止効果も高い。
【0023】
また、車道3を進行する車両から見た場合、図11に示すように、防滑ライナー1・2のライナープレート8が、タイヤ16の転がりにつれて中層のクッション層11により順次たわんで緩衝作用を行うとともに、防滑ライナー1・2を構成するライナープレート8同士は、連結溝15を有する折曲可能な連結部9で車両の進行方向に一連に連続しているので、車両の長期にわたる繰り返し通行でも、不陸が発生しない。また、アスファルト路盤5の熱変形や応力たわみ等に対する追随性が良い。
【0024】
さらに、除雪車の除雪ブレードに対しては、鋼板であるベースプレート10の折り曲げた端縁部10aが、車両の進行方向に延びる一つおきの平行配置となっているので、横断歩道4の歩行方向のクッション性も充分に確保しながら、除雪ブレードの食い込みを防止できる。
【0025】
寸法について例示すると、防滑ライナー1・2の長さLは、横断歩道4の歩道幅、つまり白色帯又は黒色帯とする長さに応じて任意に決めるが、防滑ライナー1・2の幅Wは、白色帯及び黒色帯の標示幅が300〜500mmの範囲内に規定されていることから、この範囲の幅とする。この幅Wは各ライナープレート8の歩行方向の長さでもある。一方、各ライナープレート8の車両進行方向の長さは300〜400mmとする。
【0026】
厚さについては、ベースプレート10の厚さが4.5〜6mm、クッション層11の厚さが3〜6mm、表層12の厚さが8.5mm以下で、その凹凸面の高さは約5.5mmとする。ベースプレート10の上側に折り曲げた端縁部10aの高さは15〜20mmとする。
【0027】
以上の実施例では、白黒2色の防滑ライナー1・2としたが、色は白黒に限定されるものではない。また、ベースプレート10の上側に折り曲げた端縁部10aを黒色の防滑ライナー2に設けたが、白色の防滑ライナー1に設けてもよく、両方に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例の使用例を示す簡略平面図である。
【図2】同上の少し詳細にした平面図である。
【図3】車道のアスファルト路盤を部分的に切除して本実施例の防滑ライナーを敷設するための溝を形成した断面図である。
【図4】(A)はその溝を歩道側から見た簡略断面図、(B)はその溝を防滑ライナーで補填した状態の簡略断面図である。
【図5】防滑ライナーがライナープレート同士の連結部で屈曲することを示す断面図である。
【図6】白色の防滑ライナーと黒色の防滑ライナーの交互の敷設状態を車両進行方向より見た断面図である。
【図7】アスファルト路盤も含めた同様の断面図である。
【図8】一枚のライナープレートの平面図である。
【図9】その部分拡大断面図である。
【図10】ベースプレートの上側に折り曲げた端縁部を示す図である。
【図11】自動車タイヤの転がりにより防滑ライナーのライナープレートが順次たわむことを示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 第1の防滑ライナー
2 第2の防滑ライナー
3 車道
4 横断歩道
5 アスファルト路盤
6 溝
7 歩道
8 ライナープレート
9 連結部
10 ベースプレート
10a 端縁部
11 クッション層
12 表層
14 連結基布
15 連結溝
16 タイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面に敷設して横断歩道として標示させるとともに、歩行者のための滑り止めにもなる横断歩道用防滑ライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
積雪寒冷地では、路面凍結により横断歩道歩行中における滑り転倒事故が起こりやすく、融雪剤や防滑砂などを散布しているが、昼夜を徹してその管理を行わなければならず、その費用と労力が問題となっている。
【0003】
本発明者は、特許文献1(特許第2676586号公報)に開示されているような滑り止め用の舗装ブロックを既に提案している。
この舗装ブロックは、補強素材入りのゴム製耐圧固定部と補強素材が入っていないゴム製路面形成部との間に、ゴムとは異質のナイロン帆布による引剥しシートを介在させ、路面形成部が摩耗したとき、引剥しシートと共に路面形成部を耐圧固定部から引き剥がすことができるようにしたもので、舗装ブロック同士の連結用の凹部と凸部を互いに嵌合させて路盤面に並べて敷設するようになっている。
【0004】
しかし、これは、車道や歩道の路面材全部と置き換えて1個ずつ敷設するため、工費が割高になるとともに、施工所要時間が長くなり、それだけ通行障害の長時間化が避けられなかった。また、舗装ブロック同士の連結用の凹部と凸部を互いに嵌合させて敷設するものの、舗装ブロック間で不陸が発生し、除雪車の障害となるばかりか、除雪車の除雪ブレードにより剥がされてしまう等の問題があった。
【特許文献1】特許第2676586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、敷設するだけでそのまま横断歩道の標示となるとともに、横断歩道での滑り止め防止材となり、しかも路面材との全面的な置き換えなく容易に施工できて、工期の短縮及び工費の低減が図れ、しかも不陸が発生しにくい上に、除雪車の除雪ブレードに対して損傷防止効果もある横断歩道用防滑ライナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による横断歩道用防滑ライナーは、金属製のベースプレート上にクッション材によるクッション層、その上にゴム製表層を積層し、該表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成するとともに、2色のうちの第1の色とした複数枚の第1のライナープレートを折曲自在な連結部で連結した第1の防滑ライナーと、同じく金属製のベースプレート上にクッション材によるクッション層、その上にゴム製の表層を積層し、該表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成するとともに、2色のうちの第2の色とした複数枚の第2のライナープレートを折曲自在な連結部で連結した第2の防滑ライナーとからなり、これらを路面に交互に敷設して横断歩道として標示できるようにしたことを特徴とする。
【0007】
第1及び第2の防滑ライナーのそれぞれにおいて、ライナープレート同士の連結部が溝となっており、互いのクッション層に埋設された連結基布にて折曲自在に連結されていることが好ましい。
【0008】
また、ベースプレートの少なくとも一つの端縁部が、ライナープレート同士の連結部以外のところで、クッション層及び表層の端縁に沿って上側に折り曲げられていると良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明の横断歩道用防滑ライナーによれば次のような効果がある。
(1)2色の防滑ライナーよりなり、そのそれぞれは、複数枚のライナープレートを折曲自在な連結部で連結したもので、これらを交互に路面に敷設するだけで、短時間に簡単に横断歩道を標示でき、横断歩道施工の工期及び工費を低減できる。また、2色の色分けを鮮明に標示できるに加え、塗料による標示のように、塗膜が摩滅することがないので、長期にわたり鮮明な標示を持続でき、保守費用の節減にもなる。
【0010】
(2)各ライナープレートは、金属製のベースプレート上にクッション材によるクッション層、その上にゴム製表層を積層した3層構造で、表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成したものであるので、金属製のベースプレートによる強靱性と路盤への固着性を確保しながら、凹凸面を形成したゴム製表層により滑り止め効果があるとともに、ゴム本来の弾性により雪氷の固着を防止でき、さらに中層であるクッション層のクッション効果により、歩行者の安全性確保に加えて表層からの雪氷の剥離を助長できる。
【0011】
(3)2色の防滑ライナーのそれぞれは、上記のようなライナープレート同士を折曲自在な連結部で連結したものであるので、車両の繰り返し通行でも不陸が生じない。
【0012】
請求項2に係る発明のように、ライナープレート同士の連結部が溝となっており、互いのクッション層に埋設された連結基布にて折曲自在に連結されていれば、アスファルト路盤の熱変形や応力たわみ等に対する追随性が良い。また、溝による滑り止め効果もあるとともに、排水効果もある。
【0013】
請求項3に係る発明のように、ベースプレートの端縁部が、ライナープレート同士の連結部になっていないところで、クッション層及び表層の端縁に沿って上側に折り曲げられていると、除雪車の除雪ブレード等がゴム製表層に食い込むのを、ベースプレートの折り曲げられた端縁部で防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
この横断歩道用防滑ライナーは、色が異なる第1の防滑ライナーと第2の防滑ライナーとを組み合わせて使用するもので、図1及び図2に示すように、車道3を横断する横断歩道4を白黒の2色で標示しようとする場合、白色表面とした第1の防滑ライナー1と、黒色表面とした第2の防滑ライナー2とを、横断歩道4とする歩行者の歩行方向に交互に配置して路盤上に敷設する。
【0016】
その場合、図3に示すように、車道3のアスファルト路盤5の表層を横断歩道4となる領域だけ溝状に切除し、その溝6内に防滑ライナー1・2を交互に配置して溝底面に直接接着し、溝6を補填する。図4(A)は、溝6を歩道7側から見た状態、図4(B)は溝6を防滑ライナー1・2で補填した状態を示す。
【0017】
第1・第2の防滑ライナー1・2は、表層の色が異なるだけで、実質的に同じ構造で、図5に示すように、複数枚の四角形のライナープレート8を折曲自在な連結部9で一連(一体)に連続させたもので、同図に示すように連結部9で屈曲可能となっている。各ライナープレート8は、鋼板であるベースプレート10上にクッション材によるクッション層11、その上にゴム製表層12を積層した3層構造となっている。そして、ライナープレート8同士では、互いのベースプレート10とベースプレート10とは分離しているが、互いのクッション層11は、クッション層11自体に埋設された帆布による連結基布14にて連結され、また互いのゴム製表層12は、一枚の帯状ゴム板に折曲自在とする連結溝15を形成することにより、一体に連続している。
【0018】
表層12の素材のゴムは、耐候性及び耐摩耗性の高い硬質のゴムが好ましいが、クッション層11の素材(クッション材)としては、柔軟なゴムでよい。表層12の上面は、図8及び図9に示すように、自動車タイヤのトレッドのような滑り止めのための凹凸面となっている。
【0019】
白黒の防滑ライナー1・2のうちの少なくとも一方、本例の場合、黒色の第2の防滑ライナー2については、図6に示すように、ライナープレート8同士の連結部9になっていないところで、各ライナープレート8のベースプレート10の一方の端縁部10aが、クッション層11及び表層12の端縁に沿って上側に折り曲げられ、その折曲端が表層12の上面まで延びている。このように上側に折り曲げられた端縁部10aの両端の角部は、図10に示すように斜めに角取りされている。
【0020】
白黒の防滑ライナー1・2は、図7に示すように、鋼板であるベースプレート10の下面を、アスファルト路盤5を切除した溝6の底面に接着剤(例えば、無溶剤系接着剤)にて直接接着して、図2に示すように、車道3を横断するように交互に配置にして敷設するため、上側に折り曲げられたベースプレート10の端縁部10aは、横断歩道4の歩行方向から見ると、それが無い白色の防滑ライナー1を除いて一つおきの配置となり、車両進行方向には、黒色の防滑ライナー2同士の端縁部10aが平行となって延びる。
【0021】
このような白黒の防滑ライナー1・2による横断歩道4全体を見ると、白色の防滑ライナー1により白色帯、黒色の防滑ライナー2により黒色帯が交互に標示され、各防滑ライナー1・2のライナープレート8は、車両の進行方向及び横断歩道4の歩行方向に敷き並べた舗装ブロックのような碁盤目状配置で、それぞれの上面は、自動車タイヤのトレッドのような滑り止めのための凹凸面となるが、各防滑ライナー1・2では、それを構成するライナープレート8同士が、連結溝15を有する折曲可能な連結部9で車両の進行方向に一連に連続し、また横断歩道4の歩行方向には、鋼板であるベースプレート10の折り曲げた端縁部10aが、一つおきの平行配置となる。
【0022】
従って、ライナープレート8同士が舗装ブロックのように碁盤目状配置になっていること、各ライナープレート8の表層12の素材がゴムであること、その上面が自動車タイヤのトレッドのような凹凸面となっていること、各ライナープレート8の中層がクッション層11となっていること、の相乗効果により滑り止め効果が高いとともに、雪氷の固着防止効果も高い。
【0023】
また、車道3を進行する車両から見た場合、図11に示すように、防滑ライナー1・2のライナープレート8が、タイヤ16の転がりにつれて中層のクッション層11により順次たわんで緩衝作用を行うとともに、防滑ライナー1・2を構成するライナープレート8同士は、連結溝15を有する折曲可能な連結部9で車両の進行方向に一連に連続しているので、車両の長期にわたる繰り返し通行でも、不陸が発生しない。また、アスファルト路盤5の熱変形や応力たわみ等に対する追随性が良い。
【0024】
さらに、除雪車の除雪ブレードに対しては、鋼板であるベースプレート10の折り曲げた端縁部10aが、車両の進行方向に延びる一つおきの平行配置となっているので、横断歩道4の歩行方向のクッション性も充分に確保しながら、除雪ブレードの食い込みを防止できる。
【0025】
寸法について例示すると、防滑ライナー1・2の長さLは、横断歩道4の歩道幅、つまり白色帯又は黒色帯とする長さに応じて任意に決めるが、防滑ライナー1・2の幅Wは、白色帯及び黒色帯の標示幅が300〜500mmの範囲内に規定されていることから、この範囲の幅とする。この幅Wは各ライナープレート8の歩行方向の長さでもある。一方、各ライナープレート8の車両進行方向の長さは300〜400mmとする。
【0026】
厚さについては、ベースプレート10の厚さが4.5〜6mm、クッション層11の厚さが3〜6mm、表層12の厚さが8.5mm以下で、その凹凸面の高さは約5.5mmとする。ベースプレート10の上側に折り曲げた端縁部10aの高さは15〜20mmとする。
【0027】
以上の実施例では、白黒2色の防滑ライナー1・2としたが、色は白黒に限定されるものではない。また、ベースプレート10の上側に折り曲げた端縁部10aを黒色の防滑ライナー2に設けたが、白色の防滑ライナー1に設けてもよく、両方に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例の使用例を示す簡略平面図である。
【図2】同上の少し詳細にした平面図である。
【図3】車道のアスファルト路盤を部分的に切除して本実施例の防滑ライナーを敷設するための溝を形成した断面図である。
【図4】(A)はその溝を歩道側から見た簡略断面図、(B)はその溝を防滑ライナーで補填した状態の簡略断面図である。
【図5】防滑ライナーがライナープレート同士の連結部で屈曲することを示す断面図である。
【図6】白色の防滑ライナーと黒色の防滑ライナーの交互の敷設状態を車両進行方向より見た断面図である。
【図7】アスファルト路盤も含めた同様の断面図である。
【図8】一枚のライナープレートの平面図である。
【図9】その部分拡大断面図である。
【図10】ベースプレートの上側に折り曲げた端縁部を示す図である。
【図11】自動車タイヤの転がりにより防滑ライナーのライナープレートが順次たわむことを示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 第1の防滑ライナー
2 第2の防滑ライナー
3 車道
4 横断歩道
5 アスファルト路盤
6 溝
7 歩道
8 ライナープレート
9 連結部
10 ベースプレート
10a 端縁部
11 クッション層
12 表層
14 連結基布
15 連結溝
16 タイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のベースプレート上にクッション材によるクッション層、その上にゴム製表層を積層し、該表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成するとともに、2色のうちの第1の色とした複数枚の第1のライナープレートを折曲自在な連結部で連結した第1の防滑ライナーと、同じく金属製のベースプレート上にクッション材によるクッション層、その上にゴム製の表層を積層し、該表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成するとともに、2色のうちの第2の色とした複数枚の第2のライナープレートを折曲自在な連結部で連結した第2の防滑ライナーとからなり、これらを路面に交互に敷設して横断歩道として標示できるようにしたことを特徴とする横断歩道用防滑ライナー。
【請求項2】
第1及び第2の防滑ライナーのそれぞれにおいて、ライナープレート同士の連結部が溝となっており、互いのクッション層に埋設された連結基布にて折曲自在に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の横断歩道用防滑ライナー。
【請求項3】
ベースプレートの少なくとも一つの端縁部が、ライナープレート同士の連結部になっていないところで、クッション層及び表層の端縁に沿って上側に折り曲げられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の横断歩道用防滑ライナー。
【請求項1】
金属製のベースプレート上にクッション材によるクッション層、その上にゴム製表層を積層し、該表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成するとともに、2色のうちの第1の色とした複数枚の第1のライナープレートを折曲自在な連結部で連結した第1の防滑ライナーと、同じく金属製のベースプレート上にクッション材によるクッション層、その上にゴム製の表層を積層し、該表層の上面に滑り止めのための凹凸面を形成するとともに、2色のうちの第2の色とした複数枚の第2のライナープレートを折曲自在な連結部で連結した第2の防滑ライナーとからなり、これらを路面に交互に敷設して横断歩道として標示できるようにしたことを特徴とする横断歩道用防滑ライナー。
【請求項2】
第1及び第2の防滑ライナーのそれぞれにおいて、ライナープレート同士の連結部が溝となっており、互いのクッション層に埋設された連結基布にて折曲自在に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の横断歩道用防滑ライナー。
【請求項3】
ベースプレートの少なくとも一つの端縁部が、ライナープレート同士の連結部になっていないところで、クッション層及び表層の端縁に沿って上側に折り曲げられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の横断歩道用防滑ライナー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−39944(P2007−39944A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224182(P2005−224182)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(391030907)株式会社北海道ゴム工業所 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(391030907)株式会社北海道ゴム工業所 (6)
【Fターム(参考)】
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