横方向電界を持つ光ファイバ
コア軸をもつ長尺のコア(11)と、少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持ち、前記コアの少なくとも一部を覆う物質(13)とを有するフィラメント又はファイバ(10)である。更にコア軸に実質的に平行な方向又はコア軸のまわりで実質的に円周上に延びる方向に延在する電界を生成する電気刺激手段(12)であって、この電界は、前記材料の光学特性の変化を電気的に誘起し、これによって、フィラメント又はファイバの視覚的外観を変化させる、電気刺激手段を有するフィラメント又はファイバである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバ又はフィラメントに関し、特に内部に光学的に検出可能な効果を生成する目的で布又は衣服に含ませるのに適したものに関する。
【背景技術】
【0002】
色を変化させる又は発光するファイバを製造する様々な方法が知られている。
【0003】
ある既知の方法は、光がファイバの一端に供給された場合に、孔を経て光を「漏洩させる」ような穿孔された光ファイバを使用する。
【0004】
他の既知の方法は、電界の影響下で光を放出するような電気発光団(electroluminophor)材料の使用に基づくものである。このような方法は、英国特許出願GB2,273,606及び国際特許出願W097/15939に記載されている。このような方法において使用される電界は、少なくとも2つの電極層をファイバに組み込むことにより生成される。
【0005】
これらの既存の方法に伴う問題は、色の変化又は他の光学的に検出可能な効果を達成するために、ファイバに高電圧を印加する必要があるということである。
【0006】
既存のファイバの既知の構成が、図1に示されている。ファイバ1は、順次の外側の層3ないし5により囲まれた円柱状導電性コア2からなっている。このコアは、典型的には金属線(例えば銅線)からなり、内側電極又は加熱エレメントとして機能する。電気光学物質3は、コア2の周りに層を形成し、該コア2と外側電極層4との間に挟まれている。図1aに示されたように、該ファイバはオプションとして外側被覆(シース)5を含むことができ、該被覆は少なくとも部分的に光に対して透明である。
【0007】
既知のファイバの構成の問題は、外側電極層4が典型的には薄層堆積プロセスにより形成され、このプロセスが複雑で厄介になり得るということである。更に、斯かる堆積プロセスの成功は、支持する電気光学物質3の機械的特性に大きく依存し、したがって、可能な物質の組み合わせの数を制限する。例えば、液状タイプ又はゲルタイプの電気光学物質層を覆う外側電極層4の堆積は、実際に作製することがきわめて困難である。
【0008】
電気光学物質の光学特性は、通常、熱、電流又は電界のような外部刺激により変化される。既存のファイバ電極の層化の結果として、ファイバ内の電界6は、放射状のトポロジを有する。すなわち、電気力線は、電極層2、4の間をファイバ1のコア2に対し垂直に通過する。これが図1bに示されており、ここで、電気力線6は電気光学物質層3をコア2に対して放射方向に通過していると見ることができる。
【0009】
既知のファイバの他の間題は、ファイバ内での放射状の電界トポロジが、当該電気光学物質において可能である電気光学的スイッチング原理の数に制限を課す点である。これは、特定のファイバ内で達成可能な光学的効果の変化を支配することになる。従って、既存のファイバは、可能なスイッチング原理の数を増加させるために、ますます複雑な電極層を使用しなければならない。
【0010】
本発明は、特にウェアラブル(装着可能な)エレクトロニクスの分野に関する。この分野は、センシング(感知)、アクチュエーティング(作動)、発光及び色の変化のような特定の機能を衣服に組み込むことを目的とする。衣服、装備品等を形成するために、色が変化する特性を織物に組み込むことができることが特に望ましい。このようなテクノロジは、ウェアラブルディスプレイ、ウェアラブルインジケータを作製するために、及び美的な理由で色又はパターンの変化を織物に対して単に生じさせるためにも、使用することができる。
【0011】
導電性のファイバと電気光学物質を含むファイバとを織り合わせることにより、ウェアラブルディスプレイを製造することが知られている。このようなディスプレイの問題は、発光効果が単一のファイバに組み込まれているわけではないということである。これは、上記効果が、斯かるファイバから形成された衣服又は他の作品にわたって一様ではないということを意味する。更に、導電性エレメントを含む織り合わされた2組のファイバ、又は織られた構造上に堆積された追加の導電層の何れかを使用することが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、光学的に変化する機能が単一のファイバ又はフィラメントに組み込まれ、且つ、ファイバ又はフィラメントの外観の変化を能動的に制御することができるようなファイバ又はフィラメントを提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、ファイバ又はフィラメントの外観の変化を単一の電極層により能動的に制御することができるようなファイバ又はフィラメントを提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、ファイバ又はフィラメント内に非放射状の電界トポロジを持つようなファイバ又はフィラメントを提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、本発明によるファイバ又はフィラメントから、例えば衣服又は家具を形成するために使用することができるような布を作製することにある。
【0016】
これらの目的のいくつか又はすべては、本明細書に記載の本発明の実施例により達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様によると、
コア軸を有する長尺のコアと、
少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持ち、コアの少なくとも一部を覆う物質と、
コア軸に対して実質的に平行な方向又はコア軸のまわりで実質的に円周に沿って延びる方向に延在する電界を生成する電気的刺激手段であって、第1電界が物質の光学特性の変化を電気的に生じさせ、それによりフィラメント又はファイバの視覚的外観を変化させる電気的刺激手段と
を有する、フィラメント又はファイバが設けられる。
【0018】
本発明の更なる態様にしたがって、
コア軸を持つ長尺のコアと、
少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持ち、コアの少なくとも一部を覆う物質と、
コア軸に実質的に平行な方向に又はコア軸に対して実質的に横切って延びる方向に延在する電界を生成する、第1及び第2電極対を有する電気的刺激手段であって、第1及び第2電極は同じ軸外の面に配置され、電界は物質の光学特性の変化を電気的に生じさせ、それによりフィラメント又はファイバの視覚的外観を変化させる、電気的刺激手段とを有するファイバ又はフィラメントが設けられる。
【0019】
他の好ましい及び有利な特徴は、従属請求項2乃至16、18乃至36及び39から明らかになるだろう。
【0020】
本発明は上述の請求項の何れか一項にしたがう複数のファイバ又はフィラメントから形成された衣服又は織物にも関する。
【0021】
本発明の実施例は、例によって及び添付の図を参照して説明されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
まず図2を参照すると、本発明に従うファイバは、全体として符号10により示される。ファイバ10は、長尺のコア11を有し、このコアは、好ましくは電気的絶縁材料から形成され、コア軸を持つ。好ましい実施例では、コア11は、実質的に円柱形をしており、非導電性の可撓性ポリマーファイバから形成され得る。適当なポリマーファイバの例は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、ポリプロピレン、ビニルベースのポリマー、羊毛、絹、亜麻、麻、リネン、ジュート、レーヨンベースのファイバ、セルロースアセテートベースのファイバ及び綿を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0023】
いくつかの好ましい実施例では、コア11は、後のファイバ製造方法のステップにおいて、コア11の材料を保護するために、バリア層(示されていない)で直接コーティングされ得る。特に、バリア層は、好ましくはケミカルエッチング液に抵抗力があるように選択され得る。以下、「コア」に対する参照は、バリア層によりコーティングされたもの又はバリア層なしのものを含むようにみなされるべきである。
【0024】
更なる一実施例では、コア11は、導電性材料、例えば金、銀又は銅から形成され得て、これらは直接絶縁層でコーティングされる。
【0025】
ポリマーファイバを使用することの利点は、これらポリマーファイバが容易に利用可能であり、例えば強さ及び柔軟性という点での特殊なファイバの要件に合うように適応され得る機械的特性を持つということである。これは、制限された範囲のみの機械的特性を持つ導電性金属線とは対照的である。以前は適しているとみなされていなかったいくつかの電気光学物質及びその組み合わせがファイバ10に使用されることを可能にするので、広い範囲の可能な機械的特性を持つコア材料を有することは有利である。
【0026】
ファイバ10は更に、刺激手段12及び電気光学物質13を有する。刺激手段12は、光学的に検出可能な効果を誘発するために、物質13へ外部刺激を及ぼす。刺激手段12は、性質が電気的であり、電界を電気光学物質13に供給する。該電気光学物質は少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持つように選択される。
【0027】
好ましい実施例では、刺激手段12は、前記コア軸に実質的に平行な方向に延在する1以上の長尺の刺激層を有し、これら刺激層はコア11と実質的に同軸であり、該コア軸から様々な半径で離隔される。好ましくは、刺激手段12は、更に1以上の物質層を有し、各々が電気光学物質13を含んでいる。各物質層は、コア軸に対して実質的に平行な方向に延在し、この物質層はコア11と実質的に同軸であり、各々が少なくとも1つの刺激層に関連付けられる。
【0028】
好ましい実施例では、刺激層及び物質層は、コア11の少なくとも一部を囲む。最も好ましくは、刺激層は、コア11と物質層13との間に挟まれている。
【0029】
別の好ましい実施例では、物質層は、少なくとも部分的に光に対して透明である刺激層12とコア11との間に挟まれ得る。
【0030】
好ましい実施例は、実質的に円柱の形状をもつファイバ10に傾注されているが、これは限定することを意図されているわけではなく、本発明のファイバ10が他の幾何学的断面及び構成を含み得るということは、認識されるべきである。特に本発明のファイバ10は、平らな又はリボンタイプのファイバの形状でもあり得る。
【0031】
したがって、ここにおける「ファイバ」、「フィラメント」、「層」又は「コア」に対する参照は、円柱(円筒)状幾何学構造に限定されるとみなされるべきではない。更に、平らな又はリボンタイプのファイバの「コア」は、ベース層を含むとみなされ得る。
【0032】
好ましい実施例では、電気光学物質13は、主として従来の低分子量液晶材料並びに低分子量液晶及びポリマーの組み合わせからなり得る。これらのポリマーは、可撓性ポリマー、側鎖液晶ポリマー、主鎖液晶ポリマー、等方性又は異方性の網状組織、分散されたポリマー粒子及びこれらの組み合わせで構成され得る。
【0033】
代わりに電気光学物質13は、主にオプションとして着色された球体又は円柱形状の粒子で構成され得る。これらの粒子は、オプションとして電荷を担持し、液体のような担体内に懸濁され得る。さらに各粒子は、オプションとして第2担体内に懸濁された着色されたポリマーマイクロカプセルのような付加的な亜粒子(sub-particles)を有し得る。別の例では、水溶液中で分散され、外部の刺激に応答して可逆的な体積相転移において色の変化を示すような着色された粒子、例えば着色剤又は顔料が使用され得る(例えば,‘Polymer gel light-modulation materials imitating pigment cells’, Akashi, R. et al., Adv. Mater., 14 (24), 2002, pg 1808を参照されたい)。
【0034】
他の代替として、電気光学物質13は、いかなる既知の無機若しくは有機のエレクトロルミネッセンス材料又はエレクトロルミネッセンス材料を含む非エレクトロルミネッセンス担体材料でもあり得る。このような材料の非限定的な例は、燐光物質及び燐光物質を含む層を含んでいる。特に、燐光物質の例は、II−VI族化合物のようなバンドギャップの大きい半導体、希土類酸化物及び酸硫化物並びに絶縁体である。好ましくは、II−VI族材料(限定されるわけではないが例えばMn,Cu,Eu又はCeによりドーピングされたZnS、SrS及びこれらの各誘導体)を使用することができる。他の代替物は、有機(例えば小分子有機発光ダイオード材料又はオリゴマー若しくはポリマーの有機発光ダイオード材料)又は無機の発光ダイオード材料の使用である。
【0035】
他の好ましい実施例では、ファイバ10は、電気光学物質13を保護し、更なる安定性及びファイバ10への支持を提供するために、更に外側被覆15を有することができる。好ましくは、外側被覆15は、非導電性材料から形成され、少なくとも部分的に光に対して透明である。好都合には、外側被覆15は、可撓性ポリマーから形成される。
【0036】
再び図2を参照すると、好ましくは、ファイバ10は、更に既定の形状にファイバ10を維持するスペーサ手段14を有する。電気光学物質13の性質に依存して、ファイバ又はフィラメント10にスペーサ14を含めることは、特にもし物質13が液体又はゲルのような形態をもち、それゆえ、自身で維持する形状を持たないならば、有利になり得る。
【0037】
スペーサ手段14は、好ましくは非導電性材料、例えばガラス又はポリスチレンから形成され、例えば長尺のワイヤ、実質的に円周に沿うワイヤリング又は実質的に球状のビーズの形態であり得る。
【0038】
図3a及び3bを参照すると、各刺激層は、好ましくは複数の電極対を有する電極16、17のアレイを有している。電極は、図3c及び図3dにそれぞれに示されたように、好ましくはコア11の軸に実質的に平行な方向又はコア軸の周りで実質的に円周に沿って延びる方向の何れかに横方向電界18を発生させるように構成される。いくつかの構成では、1以上の電極のアレイが、コア軸の方向に実質的に沿って、且つ、コア軸の周りで実質的に円周に沿って延在する電界を生成するように構成され得る。これは、現行のファイバ(図1b参照)において使用された従来の放射状の又は垂直な電界と対照を成している。横方向電界18は、実質的に電極平面すなわち表面電界に限定され、これは、円柱形幾何学構造の場合には円柱表面に限定されるだろう。局部の実効的な電界の強さは、印加された電圧、ファイバに使用される物質13の微小構造及びタイプに依存し、電極16、17からの距離に依存する。典型的に巨視的な電界の強さは、0〜50Vmm−1のレンジにあることが必要とされるが、低分子量液晶を含む物質層の場合、典型的に0.5〜5Vmm−1である。巨視的な電界の強さは、液晶ポリマーのような高分子量液晶の含有量が増加すると強くなる。エレクトロルミネッセンス材料の場合では、巨視的電界の強さは、0〜500Vmm−1の範囲で著しく高くなり得るが、典型的には10〜250Vmm−1である。
【0039】
ここにおける「横方向電界」又は「表面電界」に対する参照は、電界の強さ又は電界におけるいかなる勾配にも関わりなく、ファイバコア11の軸に実質的に平行な方向を持つ又はコア軸の周りで実質的に円周に沿う方向を持ついかなる電界も含むとみなされるべきである。
【0040】
更に、平らな又はリボンタイプのファイバ幾何学形状の場合(示されていない)、電極のアレイにおける複数の電極対は、コア11の軸に実質的に平行な方向又はコア軸を実質的に横切る方向に横方向電界を発生させるように構成され、ここで電極対は、同じ軸外の面に配置される。横切る電界は、それゆえ、実質的に軸外の面に拘束され、コア軸を通過する放射状の電界コンポーネントを持たない。したがってここにおける「横方向電界」及び「表面電界」に対する参照は、平ら又はリボンタイプのファイバ幾何学構造における横断表面電界を含むとみなされるべきものでもある。
【0041】
ファイバ10における横方向電界18は、これまでに不適当と考えられていたいくつかの電気光学物質13及びこれら物質の組み合わせが、ファイバ10において使用されることを可能にしたので、有利である。本発明のファイバ10における電界の方向は、ファイバ10における電気光学物質13が電気的に(コアに対して)非放射状の向きで刺激されることを可能にする。これは、特にいくつかの液晶材料及びそのスイッチング原理並びに電気発光団に対して有利であり得る。特にいわゆる面内スイッチング原理を使用する液晶スイッチング原理は、この設計から利益を得ている(例えば‘Principles and characteristics of electro-optical behaviour with in-plane switching mode’, Oh-e, M. et al Proc. of the 15th International Display Research, Japan, 1995, pg 577 及び‘Singe-substrate liquid-crystal displays by photo-enforced stratification’, Penterman et al., Nature, 417, 2002, pg 55を参照されたい)。
【0042】
電気光学物質の層により覆われた電極のアレイに対して、電界は、該アレイの面に拘束され、局部の実効的な電界の強さは、印加された電圧、ファイバに使用される物質13の微細構造及びタイプに依存し、電極16、17からの距離にも依存するだろう。通常、例えば面内スイッチング型液晶ディスプレイ(ここでは、層の厚さが0〜30mmの液晶層がスイッチングされる)において成功裏に示されているように、実質的に全体積の物質をスイッチングすることができる(例えば‘Principles and characteristics of electro-optical behaviour with in-plane switching mode’, Oh-e, M. et al Proc. of the 15th International Display Research, Japan, 1995, pg 577, 及び‘18.0-in.-Diagonal super-TFTs with fast response speed of 25 msec’, Ohta, M. et al., Digest of Technical Papers, SID International Symposium, San Jose (USA), 1999, XXX, pg 86を参照されたい)。
【0043】
さらに、横方向電界18はまた、これまで不適当だったスイッチング原理がファイバ10の電気光学物質13に使用されることを可能にし、したがって、ファイバ10の視覚的外観における潜在的に新たな美的及び創造的効果につながる。
【0044】
更に、従来のスイッチング原理では、電極の距離又はセルのギャップの正確な規定が特に重要である。なぜなら、このセルのギャップは、時には、光の最適な変調のために、0.1mmなる精度で調整される必要があるからである。ファイバ10において横方向電界18を用いることによって、電極16,17は、単一のかなり薄い層(すなわち刺激層)内に設けられる必要があるのみで、もはやファイバにおいて外側の電極層及び内側の(コア)電極を隔てられた関係で保持させる必要がない。これは、外側電極層が必要とされず、それゆえ複雑な堆積の層形成が避けられるということを意味する。
【0045】
刺激手段12は、電気光学物質13の光学特性が単一刺激層のみを介して制御されることを可能にし、光学的に変化させる機能が、従来のスイッチング原理に通常要求されるよりも電極間の距離に対する緩やかな仕様で、ファイバ10に完全に組み込まれることを可能にする。
【0046】
再び図3a及び図3bを参照すると、本発明のファイバ10に使用する電極のアレイ16,17の2つの好ましい構成が示されている。図3aでは、電極のアレイ16は、係合して交互に隣接するシーケンスで配置された2セットの導電性電極指部(黒及び白としてそれぞれ示される)を有する。アレイ16は、ファイバ10のコア11の周りに円周に沿って及び長手向に設けられる。図3bにおける代わりの構成では、2セットの電極指部は(電気的にお互いから絶縁されているが)巻き付けられおり、コア軸の向きに沿ってらせん状に配置されている。
【0047】
図4a及び4bでは、電極のアレイ16a、16bの2つの好ましい構成が示される。明確にするため、これらは、二次元で「平らな」概念図として示されており、必要に応じて円柱状又は他の幾何学形状の表面の周りに巻き付けられ得ることは、認識されるべきである。図4aにおける好ましい構成では、電極16a1、16a2の2セットの電極指部は、典型的に5〜20mmの横方向寸法を有し、典型的に5〜50mmにより等しく隔てられ、典型的には20mm〜数mmであるファイバの直径に典型的にほとんど等しいような等しい長さのものであり、電極の中心の「背骨」は、少なくとも指部の長さによりお互いから隔てられる。図4bの代わりの構成では、図3aに示された電極のアレイ16に対応して、電極16a1及び16b1の背骨が好ましくは背中合わせになるように構成される。主として、いかなる電極の最小寸法もプロセス方法(例えばリソグラフィー)のみによって決定され、このようにして横方向寸法が例えば50nmの電極を製造することも実現可能になるが、実際には上記の寸法の電極は、プロセスが大幅に容易で、より費用効果的であるので好まれる。
【0048】
示された例の電極のアレイ16a,16bは、限定するものではなく、横方向電界を発生させる他の適当な構成も本発明のファイバに使用され得ることは理解されるべきである。
【0049】
好ましくは、電極16,17は、視野角を改善させるためにいくつかの平らな2次元液晶ディスプレイに使用されることで知られているインターデジタル(歯合された)電極として知られた形状のものである(例えば‘Principles and characteristics of electro-optical behaviour with in-plane switching mode’, Oh-e, M. et al Proc. of the 15th International Display Research, Japan, 1995, pg 577を参照されたい)。
【0050】
好ましい実施例では、電極16,17のアレイは、コア11の外側表面に接触し、コア11がアレイ16,17に対する基板としての役割を果たす。電極は、コア11の外側表面の実質的にすべてを、又は表面の一部のみを覆うことができ、刺激層は、典型的に20〜200nmの厚さである。再び図3c及び3dを参照すると、横方向電界18は、実質的に刺激層に限定され、好ましい実施例では、このことは、実質的にコア11の外側表面を覆う表面電界に対応するだろう。表面電界は、本質的に垂直な電界コンポーネントを持たない。
【0051】
電極は、薄層堆積技術、リソグラフィック法、X線リソグラフィ、粒子ビーム及び他の非リソグラフィック技術を用いることによって、いくつかの態様で作製され得る。
【0052】
代わりに、物質層は、物質13がコア11及び刺激層12の間に挟まれる実施例では、電極16,17のアレイに対して基板としての役割を果たし得る。この実施例では、刺激層は、少なくとも部分的に光に対して透明である必要があるだろう。
【0053】
電極材料は、無機又は有機であり得、限定するわけではないが、インジウム錫酸化物、金、銀、銅、白金及びこれらの誘導体、並びに導電性又は半導体性オリゴマー又はポリマー、例えばポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)、即ちPEDT又はPEDOTのようなポリアニリン及びチオフェン誘導体を含む。オプションとして、これらのオリゴマー又はポリマーは、電気的及び熱的伝導性を最適化し、寿命を向上させるために付加物を含み得る。
【0054】
好ましい実施例では、電極16、17のアレイは、オプションとして上に重なるコーティングによって覆われ得る(示されていない)。該コーティングの主な機能は、電極が本来非常に微細で繊細であるので、好ましくはこの電極を保護することである。しかしながら、コーティングは、限定するわけではないが、スペーサ層、接着層、バリア層、シール又はカバー層、UV遮蔽層、偏光層、明るさ強化又は知覚改善層、着色層、導電性又は半導電性層、チャネリング層、付加電極層、誘電体層又はこれらの組み合わせを含む2次的な機能も実施し得る。
【0055】
電極16,17のアレイにより発生された横方向電界18は、これら電極に関連付けられた電気光学物質13の部分に電気的影響を及ぼす。該物質の部分は、物質13の外側表面のスイッチング可能なエリアに対応する電気光学物質13のスイッチング可能な体積を決定する。したがって、異なるサイズのアレイ16、17を選択することにより、ファイバ10の部分又はすべてを、ファイバの外観における検出可能な光学的効果を生成するために、スイッチングすることができる。
【0056】
パターン化されたスイッチング効果は、図5a、5b及び5cで示された電極のアレイ16c,16d及び16eの好ましい構成により、ファイバ10において生成され得る。図5aでは、電極指部は、アレイ16cに沿って長さを変化される。好ましくは、長さの変化は、不規則に分散され得る、又はアレイ16cを通じて周期的に繰り返される。電極指部の長さを変化させることにより、アレイ16cにおける横方向電界18の変化を生成することができ、これは、電極の近傍における物質の部分において、可変スイッチング効果を生成する。
【0057】
より複雑なパターン化されたスイッチング効果は、電極指部のシーケンス及びこれらの間隔を変化させることにより達成され得る。図5bでは、1以上の電極指部が、指部のインターデジタル・シーケンスから省略されたような、好ましい構成が示される。電極指部を省略することにより、横方向電界18における不連続性がアレイ16dに沿って生成され、これら不連続性は、電気光学物質13の対応する部分を、不連続な位置においてスイッチング不可能にさせる。したがって、電極作製時にどの電極指部を省略するかを選択することにより、ファイバ10の視覚的外観に可変の光学効果を生成することができる。
【0058】
もし隣接した電極指部間の間隔が図5cに示されたように変化されるならば、強度勾配スイッチング効果は、アレイ16eに沿って生成され得る。このように電気光学物質13において、コア軸に平行又はコア軸の周りの円周上の方向に沿って、又はその両方で、グレースケール及び光学階調効果を生成することが可能である。強度の勾配を表す性能を持つファイバ10は、繊維産業、特に電気光学ファイバを衣服のデザインに組み込もうとするファッションデザイナーの興味をひく。
【0059】
更に好ましい電極の構成では、図6に示されたように、所与の電極セットの電極指部がグループ16f1...16f4に区分される。この構成の利点は、グループ16f1...16f4が個々にアドレス指定され、スイッチングされ得て、これによりファイバ10におけるパターン化されたスイッチングの制御を大いに可能にするということである。電極グループ16f1...16f4の個々のアドレス指定は、更に興味深く美的に魅力ある光学的効果をつくる機会を与える。しかしながら、例は4つの電極指部の4つのグループ16f1...16f4各々を説明しているが、これは限定するものではなく、他の区分された電極の構成もありえることを理解されるべきであると、留意されたい。
【0060】
図7aを参照すると、本発明による別の好ましい実施例が説明されている。この例では、電気的刺激手段12は、複数の分離した電極のアレイを有しており、各アレイは、コア11の外側表面のそれぞれの部分を覆っている。それぞれの部分は、実質的に面積が等しくなり得、又はサイズが様々である。好ましくは、コア11の外側表面のある部分又は実質的にすべては、複数の電極のアレイによって覆われ得る。
【0061】
代わりに、複数の分離した電極のアレイは、電極物質13の上部にあり得、物質13は、実質的にファイバ10のコア11を覆っている。
【0062】
複数の電極のアレイは、互いに電気的に絶縁され、各々が好ましくは電気光学物質13の対応する部分をスイッチングすることができる。好ましくは複数の電極のアレイは、独立して又は1以上の他のものと一緒にスイッチングされ得る。
【0063】
好ましくは複数の電極のアレイは、インターデジタル型の電極のアレイである。
【0064】
図7aに示された実施例では、ファイバは更に、電気光学物質13を保護し、ファイバ10における支持及び更なる安定性を与えるために外側被覆15を有し得る。好ましくは、外側被覆15は、非導電性材料から形成され、少なくとも部分的に光に対して透明である。好都合なことに、外側被覆15は、可撓性ポリマーから形成される。
【0065】
再び図7aを参照すると、ファイバは、更にスペーサワイヤ14の形態のスペーサを有し得る。スペーサワイヤ14は、電気光学物質13の層に対してよく規定された厚さの存在を保証する。これは、物質13が液体又はゲルのような特性を持ち、それゆえ固定された形状を持たないので、必要になり得る。スペーサワイヤは、好ましくはコア11の周りに(複数の電極のアレイの上に重なって)巻きつけられ、約20〜200μmのワイヤ直径をもつ。代わりにスペーサワイヤは、不規則に又は既定された間隔でコアの長さに沿って配置された、分離した実質的に円周上のワイヤリングの形状になり得る。スペーサワイヤ14は、電極のアレイの短絡を防ぐために非導電性であるべきである。
【0066】
代わりにスペーサ14は、実質的に球体のスペーサビーズの形状で、電気光学物質13に置かれる。ビーズ14の各直径は、物質13の所望の厚さと実質的に等しく、この例では5〜50μmである。間隔空けビーズ14は、電極のアレイの短絡を防ぐために非導電性であるべきである。ビーズは、物質13に組み込まれるか、又は複数の電極のアレイに沿ってコア11の外側表面上に直接堆積され得る。
【0067】
図7bを参照すると、本発明による更なる好ましい実施例が図示されている。この例では、ファイバ10は、2つの物質層131,132及び2つの刺激層121,122をファイバ10における異なる深さに有する。これらすべては、非導電性コア11の上に重なる。
【0068】
好ましくは1以上の電極のアレイは、コア11の外側表面と接触し、これらのアレイは、第1電気光学物質に重ねられる。コア11と接触する電極のアレイは、好ましくは第1物質層131における物質のスイッチングを制御する。ファイバ10は更に、ファイバ10における安定性及び構造的な支持を与えるために中心の被覆151を含む。中心の被覆151は、好ましくは非導電性材料から形成され、少なくとも部分的には光に対して透明である。好都合なことに中心の被覆151は、可撓性ポリマーから形成される。
【0069】
中心の被覆151の外側表面は、好ましくは第2電気光学物質に重なる1以上の更なる電極のアレイに対する基板としての役割を果たす。中心の被覆151と接触する電極のアレイは、好ましくは第2物質層132における物質のスイッチングを制御する。ファイバ10は更に、ファイバ10における安定性及び更なる構造的な支持を提供するために、外側被覆152を含む。外側被覆は、好ましくは非導電性材料から形成され、少なくとも部分的に光に対して透明である。好都合なことに外側被覆152は、可撓性ポリマーから形成される。
【0070】
好ましくは、第1及び第2物質層131、132は、同じ電気光学物質又は異なる電気光学物質を含み得る。しかしながら、各々は、少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持つように選択される。層131,132における物質は、同時にスイッチングされ得、又は独立してスイッチングされ得る。
【0071】
ファイバ10における様々な深さに、2以上の物質層131,132を持つ利点は、興味深い及び美的な魅力ある光学的効果(例えば色彩を変化させる効果)をファイバ10の外観においてつくることができるということである。特に層状のコンフィギュレーションにおいて、1以上の物質をスイッチングすることは、ファイバ10に対して3次元的のような「感じ」を与えうる。
【0072】
代わりに中心の被覆151は省略され得て、1以上の更なる電極のアレイは第1物質層131の外側表面に設けることができる。この構成では、第1物質層131における物質はその外側表面における電極若しくはコア11上の電極により又はその両方によりスイッチングされ得る。外側電極のアレイは、好ましくは少なくとも部分的に光に対して透明である。
【0073】
図7bに示された実施例では、ファイバ10において発生された横方向電界18は、実質的にそれぞれの刺激層すなわち表面電界に限定され、ファイバ10の異なる層間を放射状に通過しないということを認識することが重要である。
【0074】
再び図7bを参照すると、ファイバ10は、第1及び/又は第2物質層131,132において、更にスペーサワイヤ形状のスペーサ14を有し得る。スペーサワイヤは、好ましくは物質層131,132の上位層の周りに巻きつかれ、約20〜200μmのワイヤ直径をもつ。代わりにスペーサワイヤは、不規則に又は既定の間隔で、上位層の長さに沿って置かれた、分離した実質的に円周上のワイヤリングの形態をしている。スペーサワイヤは、電極のアレイの短絡を避けるために非導電性であるべきである。
【0075】
代わりにスペーサ14は、実質的に球体のスペーサビーズの形態であり得、電気光学物質131,132に組み込まれる又は電気光学物質131,132それぞれに先行して層の外側表面に直接堆積される。ビーズ14の各直径は、物質層131,132の所望の厚さと実質的に等しく、この例では5〜50μmである。スペーサのビーズは電極のアレイの短絡を防ぐために非導電性であるべきである。
【0076】
他のファイバの組み合わせ、例えばファイバ10において様々な層のコンフィギュレーションに構成された複数の物質層及び複数の刺激層もあり得るということは、理解されるべきである。
【0077】
他の実施例は、添付請求項の範囲内であることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1a】図1aは、先行技術において知られたファイバの全体の断面図である。
【図1b】図1bは、先行技術において知られたファイバの全体の断面図である。
【図2】図2は、本発明によるファイバの第1実施例の概念断面図である。
【図3a】図3aは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを図示するファイバの全体の断面図である。
【図3b】図3bは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを図示するファイバの全体の断面図である。
【図3c】図3cは、本発明の好ましい実施例による、電界トポロジを図示するファイバの全体の断面図である。
【図3d】図3dは、本発明の好ましい実施例による、電界トポロジを図示するファイバの全体の断面図である。
【図4a】図4aは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを描写した概念図である。
【図4b】図4bは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを描写した概念図である。
【図5a】図5aは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを図示した概念図である。
【図5b】図5bは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを図示した概念図である。
【図5c】図5cは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを図示した概念図である。
【図6】図6は、本発明の好ましい実施例による、更なる電極レイアウトの概念図である。
【図7a】図7aは、本発明によるファイバの第2実施例の断面概念図である。
【図7b】図7bは、本発明によるファイバの第3実施例の断面概念図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバ又はフィラメントに関し、特に内部に光学的に検出可能な効果を生成する目的で布又は衣服に含ませるのに適したものに関する。
【背景技術】
【0002】
色を変化させる又は発光するファイバを製造する様々な方法が知られている。
【0003】
ある既知の方法は、光がファイバの一端に供給された場合に、孔を経て光を「漏洩させる」ような穿孔された光ファイバを使用する。
【0004】
他の既知の方法は、電界の影響下で光を放出するような電気発光団(electroluminophor)材料の使用に基づくものである。このような方法は、英国特許出願GB2,273,606及び国際特許出願W097/15939に記載されている。このような方法において使用される電界は、少なくとも2つの電極層をファイバに組み込むことにより生成される。
【0005】
これらの既存の方法に伴う問題は、色の変化又は他の光学的に検出可能な効果を達成するために、ファイバに高電圧を印加する必要があるということである。
【0006】
既存のファイバの既知の構成が、図1に示されている。ファイバ1は、順次の外側の層3ないし5により囲まれた円柱状導電性コア2からなっている。このコアは、典型的には金属線(例えば銅線)からなり、内側電極又は加熱エレメントとして機能する。電気光学物質3は、コア2の周りに層を形成し、該コア2と外側電極層4との間に挟まれている。図1aに示されたように、該ファイバはオプションとして外側被覆(シース)5を含むことができ、該被覆は少なくとも部分的に光に対して透明である。
【0007】
既知のファイバの構成の問題は、外側電極層4が典型的には薄層堆積プロセスにより形成され、このプロセスが複雑で厄介になり得るということである。更に、斯かる堆積プロセスの成功は、支持する電気光学物質3の機械的特性に大きく依存し、したがって、可能な物質の組み合わせの数を制限する。例えば、液状タイプ又はゲルタイプの電気光学物質層を覆う外側電極層4の堆積は、実際に作製することがきわめて困難である。
【0008】
電気光学物質の光学特性は、通常、熱、電流又は電界のような外部刺激により変化される。既存のファイバ電極の層化の結果として、ファイバ内の電界6は、放射状のトポロジを有する。すなわち、電気力線は、電極層2、4の間をファイバ1のコア2に対し垂直に通過する。これが図1bに示されており、ここで、電気力線6は電気光学物質層3をコア2に対して放射方向に通過していると見ることができる。
【0009】
既知のファイバの他の間題は、ファイバ内での放射状の電界トポロジが、当該電気光学物質において可能である電気光学的スイッチング原理の数に制限を課す点である。これは、特定のファイバ内で達成可能な光学的効果の変化を支配することになる。従って、既存のファイバは、可能なスイッチング原理の数を増加させるために、ますます複雑な電極層を使用しなければならない。
【0010】
本発明は、特にウェアラブル(装着可能な)エレクトロニクスの分野に関する。この分野は、センシング(感知)、アクチュエーティング(作動)、発光及び色の変化のような特定の機能を衣服に組み込むことを目的とする。衣服、装備品等を形成するために、色が変化する特性を織物に組み込むことができることが特に望ましい。このようなテクノロジは、ウェアラブルディスプレイ、ウェアラブルインジケータを作製するために、及び美的な理由で色又はパターンの変化を織物に対して単に生じさせるためにも、使用することができる。
【0011】
導電性のファイバと電気光学物質を含むファイバとを織り合わせることにより、ウェアラブルディスプレイを製造することが知られている。このようなディスプレイの問題は、発光効果が単一のファイバに組み込まれているわけではないということである。これは、上記効果が、斯かるファイバから形成された衣服又は他の作品にわたって一様ではないということを意味する。更に、導電性エレメントを含む織り合わされた2組のファイバ、又は織られた構造上に堆積された追加の導電層の何れかを使用することが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、光学的に変化する機能が単一のファイバ又はフィラメントに組み込まれ、且つ、ファイバ又はフィラメントの外観の変化を能動的に制御することができるようなファイバ又はフィラメントを提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、ファイバ又はフィラメントの外観の変化を単一の電極層により能動的に制御することができるようなファイバ又はフィラメントを提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、ファイバ又はフィラメント内に非放射状の電界トポロジを持つようなファイバ又はフィラメントを提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、本発明によるファイバ又はフィラメントから、例えば衣服又は家具を形成するために使用することができるような布を作製することにある。
【0016】
これらの目的のいくつか又はすべては、本明細書に記載の本発明の実施例により達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様によると、
コア軸を有する長尺のコアと、
少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持ち、コアの少なくとも一部を覆う物質と、
コア軸に対して実質的に平行な方向又はコア軸のまわりで実質的に円周に沿って延びる方向に延在する電界を生成する電気的刺激手段であって、第1電界が物質の光学特性の変化を電気的に生じさせ、それによりフィラメント又はファイバの視覚的外観を変化させる電気的刺激手段と
を有する、フィラメント又はファイバが設けられる。
【0018】
本発明の更なる態様にしたがって、
コア軸を持つ長尺のコアと、
少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持ち、コアの少なくとも一部を覆う物質と、
コア軸に実質的に平行な方向に又はコア軸に対して実質的に横切って延びる方向に延在する電界を生成する、第1及び第2電極対を有する電気的刺激手段であって、第1及び第2電極は同じ軸外の面に配置され、電界は物質の光学特性の変化を電気的に生じさせ、それによりフィラメント又はファイバの視覚的外観を変化させる、電気的刺激手段とを有するファイバ又はフィラメントが設けられる。
【0019】
他の好ましい及び有利な特徴は、従属請求項2乃至16、18乃至36及び39から明らかになるだろう。
【0020】
本発明は上述の請求項の何れか一項にしたがう複数のファイバ又はフィラメントから形成された衣服又は織物にも関する。
【0021】
本発明の実施例は、例によって及び添付の図を参照して説明されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
まず図2を参照すると、本発明に従うファイバは、全体として符号10により示される。ファイバ10は、長尺のコア11を有し、このコアは、好ましくは電気的絶縁材料から形成され、コア軸を持つ。好ましい実施例では、コア11は、実質的に円柱形をしており、非導電性の可撓性ポリマーファイバから形成され得る。適当なポリマーファイバの例は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、ポリプロピレン、ビニルベースのポリマー、羊毛、絹、亜麻、麻、リネン、ジュート、レーヨンベースのファイバ、セルロースアセテートベースのファイバ及び綿を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0023】
いくつかの好ましい実施例では、コア11は、後のファイバ製造方法のステップにおいて、コア11の材料を保護するために、バリア層(示されていない)で直接コーティングされ得る。特に、バリア層は、好ましくはケミカルエッチング液に抵抗力があるように選択され得る。以下、「コア」に対する参照は、バリア層によりコーティングされたもの又はバリア層なしのものを含むようにみなされるべきである。
【0024】
更なる一実施例では、コア11は、導電性材料、例えば金、銀又は銅から形成され得て、これらは直接絶縁層でコーティングされる。
【0025】
ポリマーファイバを使用することの利点は、これらポリマーファイバが容易に利用可能であり、例えば強さ及び柔軟性という点での特殊なファイバの要件に合うように適応され得る機械的特性を持つということである。これは、制限された範囲のみの機械的特性を持つ導電性金属線とは対照的である。以前は適しているとみなされていなかったいくつかの電気光学物質及びその組み合わせがファイバ10に使用されることを可能にするので、広い範囲の可能な機械的特性を持つコア材料を有することは有利である。
【0026】
ファイバ10は更に、刺激手段12及び電気光学物質13を有する。刺激手段12は、光学的に検出可能な効果を誘発するために、物質13へ外部刺激を及ぼす。刺激手段12は、性質が電気的であり、電界を電気光学物質13に供給する。該電気光学物質は少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持つように選択される。
【0027】
好ましい実施例では、刺激手段12は、前記コア軸に実質的に平行な方向に延在する1以上の長尺の刺激層を有し、これら刺激層はコア11と実質的に同軸であり、該コア軸から様々な半径で離隔される。好ましくは、刺激手段12は、更に1以上の物質層を有し、各々が電気光学物質13を含んでいる。各物質層は、コア軸に対して実質的に平行な方向に延在し、この物質層はコア11と実質的に同軸であり、各々が少なくとも1つの刺激層に関連付けられる。
【0028】
好ましい実施例では、刺激層及び物質層は、コア11の少なくとも一部を囲む。最も好ましくは、刺激層は、コア11と物質層13との間に挟まれている。
【0029】
別の好ましい実施例では、物質層は、少なくとも部分的に光に対して透明である刺激層12とコア11との間に挟まれ得る。
【0030】
好ましい実施例は、実質的に円柱の形状をもつファイバ10に傾注されているが、これは限定することを意図されているわけではなく、本発明のファイバ10が他の幾何学的断面及び構成を含み得るということは、認識されるべきである。特に本発明のファイバ10は、平らな又はリボンタイプのファイバの形状でもあり得る。
【0031】
したがって、ここにおける「ファイバ」、「フィラメント」、「層」又は「コア」に対する参照は、円柱(円筒)状幾何学構造に限定されるとみなされるべきではない。更に、平らな又はリボンタイプのファイバの「コア」は、ベース層を含むとみなされ得る。
【0032】
好ましい実施例では、電気光学物質13は、主として従来の低分子量液晶材料並びに低分子量液晶及びポリマーの組み合わせからなり得る。これらのポリマーは、可撓性ポリマー、側鎖液晶ポリマー、主鎖液晶ポリマー、等方性又は異方性の網状組織、分散されたポリマー粒子及びこれらの組み合わせで構成され得る。
【0033】
代わりに電気光学物質13は、主にオプションとして着色された球体又は円柱形状の粒子で構成され得る。これらの粒子は、オプションとして電荷を担持し、液体のような担体内に懸濁され得る。さらに各粒子は、オプションとして第2担体内に懸濁された着色されたポリマーマイクロカプセルのような付加的な亜粒子(sub-particles)を有し得る。別の例では、水溶液中で分散され、外部の刺激に応答して可逆的な体積相転移において色の変化を示すような着色された粒子、例えば着色剤又は顔料が使用され得る(例えば,‘Polymer gel light-modulation materials imitating pigment cells’, Akashi, R. et al., Adv. Mater., 14 (24), 2002, pg 1808を参照されたい)。
【0034】
他の代替として、電気光学物質13は、いかなる既知の無機若しくは有機のエレクトロルミネッセンス材料又はエレクトロルミネッセンス材料を含む非エレクトロルミネッセンス担体材料でもあり得る。このような材料の非限定的な例は、燐光物質及び燐光物質を含む層を含んでいる。特に、燐光物質の例は、II−VI族化合物のようなバンドギャップの大きい半導体、希土類酸化物及び酸硫化物並びに絶縁体である。好ましくは、II−VI族材料(限定されるわけではないが例えばMn,Cu,Eu又はCeによりドーピングされたZnS、SrS及びこれらの各誘導体)を使用することができる。他の代替物は、有機(例えば小分子有機発光ダイオード材料又はオリゴマー若しくはポリマーの有機発光ダイオード材料)又は無機の発光ダイオード材料の使用である。
【0035】
他の好ましい実施例では、ファイバ10は、電気光学物質13を保護し、更なる安定性及びファイバ10への支持を提供するために、更に外側被覆15を有することができる。好ましくは、外側被覆15は、非導電性材料から形成され、少なくとも部分的に光に対して透明である。好都合には、外側被覆15は、可撓性ポリマーから形成される。
【0036】
再び図2を参照すると、好ましくは、ファイバ10は、更に既定の形状にファイバ10を維持するスペーサ手段14を有する。電気光学物質13の性質に依存して、ファイバ又はフィラメント10にスペーサ14を含めることは、特にもし物質13が液体又はゲルのような形態をもち、それゆえ、自身で維持する形状を持たないならば、有利になり得る。
【0037】
スペーサ手段14は、好ましくは非導電性材料、例えばガラス又はポリスチレンから形成され、例えば長尺のワイヤ、実質的に円周に沿うワイヤリング又は実質的に球状のビーズの形態であり得る。
【0038】
図3a及び3bを参照すると、各刺激層は、好ましくは複数の電極対を有する電極16、17のアレイを有している。電極は、図3c及び図3dにそれぞれに示されたように、好ましくはコア11の軸に実質的に平行な方向又はコア軸の周りで実質的に円周に沿って延びる方向の何れかに横方向電界18を発生させるように構成される。いくつかの構成では、1以上の電極のアレイが、コア軸の方向に実質的に沿って、且つ、コア軸の周りで実質的に円周に沿って延在する電界を生成するように構成され得る。これは、現行のファイバ(図1b参照)において使用された従来の放射状の又は垂直な電界と対照を成している。横方向電界18は、実質的に電極平面すなわち表面電界に限定され、これは、円柱形幾何学構造の場合には円柱表面に限定されるだろう。局部の実効的な電界の強さは、印加された電圧、ファイバに使用される物質13の微小構造及びタイプに依存し、電極16、17からの距離に依存する。典型的に巨視的な電界の強さは、0〜50Vmm−1のレンジにあることが必要とされるが、低分子量液晶を含む物質層の場合、典型的に0.5〜5Vmm−1である。巨視的な電界の強さは、液晶ポリマーのような高分子量液晶の含有量が増加すると強くなる。エレクトロルミネッセンス材料の場合では、巨視的電界の強さは、0〜500Vmm−1の範囲で著しく高くなり得るが、典型的には10〜250Vmm−1である。
【0039】
ここにおける「横方向電界」又は「表面電界」に対する参照は、電界の強さ又は電界におけるいかなる勾配にも関わりなく、ファイバコア11の軸に実質的に平行な方向を持つ又はコア軸の周りで実質的に円周に沿う方向を持ついかなる電界も含むとみなされるべきである。
【0040】
更に、平らな又はリボンタイプのファイバ幾何学形状の場合(示されていない)、電極のアレイにおける複数の電極対は、コア11の軸に実質的に平行な方向又はコア軸を実質的に横切る方向に横方向電界を発生させるように構成され、ここで電極対は、同じ軸外の面に配置される。横切る電界は、それゆえ、実質的に軸外の面に拘束され、コア軸を通過する放射状の電界コンポーネントを持たない。したがってここにおける「横方向電界」及び「表面電界」に対する参照は、平ら又はリボンタイプのファイバ幾何学構造における横断表面電界を含むとみなされるべきものでもある。
【0041】
ファイバ10における横方向電界18は、これまでに不適当と考えられていたいくつかの電気光学物質13及びこれら物質の組み合わせが、ファイバ10において使用されることを可能にしたので、有利である。本発明のファイバ10における電界の方向は、ファイバ10における電気光学物質13が電気的に(コアに対して)非放射状の向きで刺激されることを可能にする。これは、特にいくつかの液晶材料及びそのスイッチング原理並びに電気発光団に対して有利であり得る。特にいわゆる面内スイッチング原理を使用する液晶スイッチング原理は、この設計から利益を得ている(例えば‘Principles and characteristics of electro-optical behaviour with in-plane switching mode’, Oh-e, M. et al Proc. of the 15th International Display Research, Japan, 1995, pg 577 及び‘Singe-substrate liquid-crystal displays by photo-enforced stratification’, Penterman et al., Nature, 417, 2002, pg 55を参照されたい)。
【0042】
電気光学物質の層により覆われた電極のアレイに対して、電界は、該アレイの面に拘束され、局部の実効的な電界の強さは、印加された電圧、ファイバに使用される物質13の微細構造及びタイプに依存し、電極16、17からの距離にも依存するだろう。通常、例えば面内スイッチング型液晶ディスプレイ(ここでは、層の厚さが0〜30mmの液晶層がスイッチングされる)において成功裏に示されているように、実質的に全体積の物質をスイッチングすることができる(例えば‘Principles and characteristics of electro-optical behaviour with in-plane switching mode’, Oh-e, M. et al Proc. of the 15th International Display Research, Japan, 1995, pg 577, 及び‘18.0-in.-Diagonal super-TFTs with fast response speed of 25 msec’, Ohta, M. et al., Digest of Technical Papers, SID International Symposium, San Jose (USA), 1999, XXX, pg 86を参照されたい)。
【0043】
さらに、横方向電界18はまた、これまで不適当だったスイッチング原理がファイバ10の電気光学物質13に使用されることを可能にし、したがって、ファイバ10の視覚的外観における潜在的に新たな美的及び創造的効果につながる。
【0044】
更に、従来のスイッチング原理では、電極の距離又はセルのギャップの正確な規定が特に重要である。なぜなら、このセルのギャップは、時には、光の最適な変調のために、0.1mmなる精度で調整される必要があるからである。ファイバ10において横方向電界18を用いることによって、電極16,17は、単一のかなり薄い層(すなわち刺激層)内に設けられる必要があるのみで、もはやファイバにおいて外側の電極層及び内側の(コア)電極を隔てられた関係で保持させる必要がない。これは、外側電極層が必要とされず、それゆえ複雑な堆積の層形成が避けられるということを意味する。
【0045】
刺激手段12は、電気光学物質13の光学特性が単一刺激層のみを介して制御されることを可能にし、光学的に変化させる機能が、従来のスイッチング原理に通常要求されるよりも電極間の距離に対する緩やかな仕様で、ファイバ10に完全に組み込まれることを可能にする。
【0046】
再び図3a及び図3bを参照すると、本発明のファイバ10に使用する電極のアレイ16,17の2つの好ましい構成が示されている。図3aでは、電極のアレイ16は、係合して交互に隣接するシーケンスで配置された2セットの導電性電極指部(黒及び白としてそれぞれ示される)を有する。アレイ16は、ファイバ10のコア11の周りに円周に沿って及び長手向に設けられる。図3bにおける代わりの構成では、2セットの電極指部は(電気的にお互いから絶縁されているが)巻き付けられおり、コア軸の向きに沿ってらせん状に配置されている。
【0047】
図4a及び4bでは、電極のアレイ16a、16bの2つの好ましい構成が示される。明確にするため、これらは、二次元で「平らな」概念図として示されており、必要に応じて円柱状又は他の幾何学形状の表面の周りに巻き付けられ得ることは、認識されるべきである。図4aにおける好ましい構成では、電極16a1、16a2の2セットの電極指部は、典型的に5〜20mmの横方向寸法を有し、典型的に5〜50mmにより等しく隔てられ、典型的には20mm〜数mmであるファイバの直径に典型的にほとんど等しいような等しい長さのものであり、電極の中心の「背骨」は、少なくとも指部の長さによりお互いから隔てられる。図4bの代わりの構成では、図3aに示された電極のアレイ16に対応して、電極16a1及び16b1の背骨が好ましくは背中合わせになるように構成される。主として、いかなる電極の最小寸法もプロセス方法(例えばリソグラフィー)のみによって決定され、このようにして横方向寸法が例えば50nmの電極を製造することも実現可能になるが、実際には上記の寸法の電極は、プロセスが大幅に容易で、より費用効果的であるので好まれる。
【0048】
示された例の電極のアレイ16a,16bは、限定するものではなく、横方向電界を発生させる他の適当な構成も本発明のファイバに使用され得ることは理解されるべきである。
【0049】
好ましくは、電極16,17は、視野角を改善させるためにいくつかの平らな2次元液晶ディスプレイに使用されることで知られているインターデジタル(歯合された)電極として知られた形状のものである(例えば‘Principles and characteristics of electro-optical behaviour with in-plane switching mode’, Oh-e, M. et al Proc. of the 15th International Display Research, Japan, 1995, pg 577を参照されたい)。
【0050】
好ましい実施例では、電極16,17のアレイは、コア11の外側表面に接触し、コア11がアレイ16,17に対する基板としての役割を果たす。電極は、コア11の外側表面の実質的にすべてを、又は表面の一部のみを覆うことができ、刺激層は、典型的に20〜200nmの厚さである。再び図3c及び3dを参照すると、横方向電界18は、実質的に刺激層に限定され、好ましい実施例では、このことは、実質的にコア11の外側表面を覆う表面電界に対応するだろう。表面電界は、本質的に垂直な電界コンポーネントを持たない。
【0051】
電極は、薄層堆積技術、リソグラフィック法、X線リソグラフィ、粒子ビーム及び他の非リソグラフィック技術を用いることによって、いくつかの態様で作製され得る。
【0052】
代わりに、物質層は、物質13がコア11及び刺激層12の間に挟まれる実施例では、電極16,17のアレイに対して基板としての役割を果たし得る。この実施例では、刺激層は、少なくとも部分的に光に対して透明である必要があるだろう。
【0053】
電極材料は、無機又は有機であり得、限定するわけではないが、インジウム錫酸化物、金、銀、銅、白金及びこれらの誘導体、並びに導電性又は半導体性オリゴマー又はポリマー、例えばポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)、即ちPEDT又はPEDOTのようなポリアニリン及びチオフェン誘導体を含む。オプションとして、これらのオリゴマー又はポリマーは、電気的及び熱的伝導性を最適化し、寿命を向上させるために付加物を含み得る。
【0054】
好ましい実施例では、電極16、17のアレイは、オプションとして上に重なるコーティングによって覆われ得る(示されていない)。該コーティングの主な機能は、電極が本来非常に微細で繊細であるので、好ましくはこの電極を保護することである。しかしながら、コーティングは、限定するわけではないが、スペーサ層、接着層、バリア層、シール又はカバー層、UV遮蔽層、偏光層、明るさ強化又は知覚改善層、着色層、導電性又は半導電性層、チャネリング層、付加電極層、誘電体層又はこれらの組み合わせを含む2次的な機能も実施し得る。
【0055】
電極16,17のアレイにより発生された横方向電界18は、これら電極に関連付けられた電気光学物質13の部分に電気的影響を及ぼす。該物質の部分は、物質13の外側表面のスイッチング可能なエリアに対応する電気光学物質13のスイッチング可能な体積を決定する。したがって、異なるサイズのアレイ16、17を選択することにより、ファイバ10の部分又はすべてを、ファイバの外観における検出可能な光学的効果を生成するために、スイッチングすることができる。
【0056】
パターン化されたスイッチング効果は、図5a、5b及び5cで示された電極のアレイ16c,16d及び16eの好ましい構成により、ファイバ10において生成され得る。図5aでは、電極指部は、アレイ16cに沿って長さを変化される。好ましくは、長さの変化は、不規則に分散され得る、又はアレイ16cを通じて周期的に繰り返される。電極指部の長さを変化させることにより、アレイ16cにおける横方向電界18の変化を生成することができ、これは、電極の近傍における物質の部分において、可変スイッチング効果を生成する。
【0057】
より複雑なパターン化されたスイッチング効果は、電極指部のシーケンス及びこれらの間隔を変化させることにより達成され得る。図5bでは、1以上の電極指部が、指部のインターデジタル・シーケンスから省略されたような、好ましい構成が示される。電極指部を省略することにより、横方向電界18における不連続性がアレイ16dに沿って生成され、これら不連続性は、電気光学物質13の対応する部分を、不連続な位置においてスイッチング不可能にさせる。したがって、電極作製時にどの電極指部を省略するかを選択することにより、ファイバ10の視覚的外観に可変の光学効果を生成することができる。
【0058】
もし隣接した電極指部間の間隔が図5cに示されたように変化されるならば、強度勾配スイッチング効果は、アレイ16eに沿って生成され得る。このように電気光学物質13において、コア軸に平行又はコア軸の周りの円周上の方向に沿って、又はその両方で、グレースケール及び光学階調効果を生成することが可能である。強度の勾配を表す性能を持つファイバ10は、繊維産業、特に電気光学ファイバを衣服のデザインに組み込もうとするファッションデザイナーの興味をひく。
【0059】
更に好ましい電極の構成では、図6に示されたように、所与の電極セットの電極指部がグループ16f1...16f4に区分される。この構成の利点は、グループ16f1...16f4が個々にアドレス指定され、スイッチングされ得て、これによりファイバ10におけるパターン化されたスイッチングの制御を大いに可能にするということである。電極グループ16f1...16f4の個々のアドレス指定は、更に興味深く美的に魅力ある光学的効果をつくる機会を与える。しかしながら、例は4つの電極指部の4つのグループ16f1...16f4各々を説明しているが、これは限定するものではなく、他の区分された電極の構成もありえることを理解されるべきであると、留意されたい。
【0060】
図7aを参照すると、本発明による別の好ましい実施例が説明されている。この例では、電気的刺激手段12は、複数の分離した電極のアレイを有しており、各アレイは、コア11の外側表面のそれぞれの部分を覆っている。それぞれの部分は、実質的に面積が等しくなり得、又はサイズが様々である。好ましくは、コア11の外側表面のある部分又は実質的にすべては、複数の電極のアレイによって覆われ得る。
【0061】
代わりに、複数の分離した電極のアレイは、電極物質13の上部にあり得、物質13は、実質的にファイバ10のコア11を覆っている。
【0062】
複数の電極のアレイは、互いに電気的に絶縁され、各々が好ましくは電気光学物質13の対応する部分をスイッチングすることができる。好ましくは複数の電極のアレイは、独立して又は1以上の他のものと一緒にスイッチングされ得る。
【0063】
好ましくは複数の電極のアレイは、インターデジタル型の電極のアレイである。
【0064】
図7aに示された実施例では、ファイバは更に、電気光学物質13を保護し、ファイバ10における支持及び更なる安定性を与えるために外側被覆15を有し得る。好ましくは、外側被覆15は、非導電性材料から形成され、少なくとも部分的に光に対して透明である。好都合なことに、外側被覆15は、可撓性ポリマーから形成される。
【0065】
再び図7aを参照すると、ファイバは、更にスペーサワイヤ14の形態のスペーサを有し得る。スペーサワイヤ14は、電気光学物質13の層に対してよく規定された厚さの存在を保証する。これは、物質13が液体又はゲルのような特性を持ち、それゆえ固定された形状を持たないので、必要になり得る。スペーサワイヤは、好ましくはコア11の周りに(複数の電極のアレイの上に重なって)巻きつけられ、約20〜200μmのワイヤ直径をもつ。代わりにスペーサワイヤは、不規則に又は既定された間隔でコアの長さに沿って配置された、分離した実質的に円周上のワイヤリングの形状になり得る。スペーサワイヤ14は、電極のアレイの短絡を防ぐために非導電性であるべきである。
【0066】
代わりにスペーサ14は、実質的に球体のスペーサビーズの形状で、電気光学物質13に置かれる。ビーズ14の各直径は、物質13の所望の厚さと実質的に等しく、この例では5〜50μmである。間隔空けビーズ14は、電極のアレイの短絡を防ぐために非導電性であるべきである。ビーズは、物質13に組み込まれるか、又は複数の電極のアレイに沿ってコア11の外側表面上に直接堆積され得る。
【0067】
図7bを参照すると、本発明による更なる好ましい実施例が図示されている。この例では、ファイバ10は、2つの物質層131,132及び2つの刺激層121,122をファイバ10における異なる深さに有する。これらすべては、非導電性コア11の上に重なる。
【0068】
好ましくは1以上の電極のアレイは、コア11の外側表面と接触し、これらのアレイは、第1電気光学物質に重ねられる。コア11と接触する電極のアレイは、好ましくは第1物質層131における物質のスイッチングを制御する。ファイバ10は更に、ファイバ10における安定性及び構造的な支持を与えるために中心の被覆151を含む。中心の被覆151は、好ましくは非導電性材料から形成され、少なくとも部分的には光に対して透明である。好都合なことに中心の被覆151は、可撓性ポリマーから形成される。
【0069】
中心の被覆151の外側表面は、好ましくは第2電気光学物質に重なる1以上の更なる電極のアレイに対する基板としての役割を果たす。中心の被覆151と接触する電極のアレイは、好ましくは第2物質層132における物質のスイッチングを制御する。ファイバ10は更に、ファイバ10における安定性及び更なる構造的な支持を提供するために、外側被覆152を含む。外側被覆は、好ましくは非導電性材料から形成され、少なくとも部分的に光に対して透明である。好都合なことに外側被覆152は、可撓性ポリマーから形成される。
【0070】
好ましくは、第1及び第2物質層131、132は、同じ電気光学物質又は異なる電気光学物質を含み得る。しかしながら、各々は、少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持つように選択される。層131,132における物質は、同時にスイッチングされ得、又は独立してスイッチングされ得る。
【0071】
ファイバ10における様々な深さに、2以上の物質層131,132を持つ利点は、興味深い及び美的な魅力ある光学的効果(例えば色彩を変化させる効果)をファイバ10の外観においてつくることができるということである。特に層状のコンフィギュレーションにおいて、1以上の物質をスイッチングすることは、ファイバ10に対して3次元的のような「感じ」を与えうる。
【0072】
代わりに中心の被覆151は省略され得て、1以上の更なる電極のアレイは第1物質層131の外側表面に設けることができる。この構成では、第1物質層131における物質はその外側表面における電極若しくはコア11上の電極により又はその両方によりスイッチングされ得る。外側電極のアレイは、好ましくは少なくとも部分的に光に対して透明である。
【0073】
図7bに示された実施例では、ファイバ10において発生された横方向電界18は、実質的にそれぞれの刺激層すなわち表面電界に限定され、ファイバ10の異なる層間を放射状に通過しないということを認識することが重要である。
【0074】
再び図7bを参照すると、ファイバ10は、第1及び/又は第2物質層131,132において、更にスペーサワイヤ形状のスペーサ14を有し得る。スペーサワイヤは、好ましくは物質層131,132の上位層の周りに巻きつかれ、約20〜200μmのワイヤ直径をもつ。代わりにスペーサワイヤは、不規則に又は既定の間隔で、上位層の長さに沿って置かれた、分離した実質的に円周上のワイヤリングの形態をしている。スペーサワイヤは、電極のアレイの短絡を避けるために非導電性であるべきである。
【0075】
代わりにスペーサ14は、実質的に球体のスペーサビーズの形態であり得、電気光学物質131,132に組み込まれる又は電気光学物質131,132それぞれに先行して層の外側表面に直接堆積される。ビーズ14の各直径は、物質層131,132の所望の厚さと実質的に等しく、この例では5〜50μmである。スペーサのビーズは電極のアレイの短絡を防ぐために非導電性であるべきである。
【0076】
他のファイバの組み合わせ、例えばファイバ10において様々な層のコンフィギュレーションに構成された複数の物質層及び複数の刺激層もあり得るということは、理解されるべきである。
【0077】
他の実施例は、添付請求項の範囲内であることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1a】図1aは、先行技術において知られたファイバの全体の断面図である。
【図1b】図1bは、先行技術において知られたファイバの全体の断面図である。
【図2】図2は、本発明によるファイバの第1実施例の概念断面図である。
【図3a】図3aは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを図示するファイバの全体の断面図である。
【図3b】図3bは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを図示するファイバの全体の断面図である。
【図3c】図3cは、本発明の好ましい実施例による、電界トポロジを図示するファイバの全体の断面図である。
【図3d】図3dは、本発明の好ましい実施例による、電界トポロジを図示するファイバの全体の断面図である。
【図4a】図4aは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを描写した概念図である。
【図4b】図4bは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを描写した概念図である。
【図5a】図5aは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを図示した概念図である。
【図5b】図5bは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを図示した概念図である。
【図5c】図5cは、本発明の好ましい実施例による、1つの異なる電極レイアウトを図示した概念図である。
【図6】図6は、本発明の好ましい実施例による、更なる電極レイアウトの概念図である。
【図7a】図7aは、本発明によるファイバの第2実施例の断面概念図である。
【図7b】図7bは、本発明によるファイバの第3実施例の断面概念図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメント又はファイバであって、
コア軸を持つ長尺のコアと、
少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持ち、前記コアの少なくとも一部を覆う物質と、
前記コア軸に実質的に平行な方向又は前記コア軸のまわりで実質的に円周に沿って延びる方向に延在する電界を生成する電気刺激手段であって、該電界が、前記物質の光学特性の変化を電気的に誘起させ、これによって前記フィラメント又はファイバの視覚的外観を変化させる電気刺激手段と
を有するフィラメント又はファイバ。
【請求項2】
前記長尺のコアが電気的絶縁材料から形成される、請求項1に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項3】
前記長尺のコアが実質的に円柱形である、請求項1又は請求項2に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項4】
前記刺激手段が、前記コア軸に対して実質的に平行な方向に延在する長尺の刺激層を有し、該刺激層が前記コアと実質的に同軸である刺激層を有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のファイバ又はフィラメント。
【請求項5】
複数の長尺の刺激層であって、各々が前記コア軸に対して実質的に平行な方向に延在しており、各々が前記コアと実質的に同軸であり、各層が、少なくともいくつかの他の層の分離する半径とは異なる分離する半径によって前記コア軸から隔てられている、請求項1乃至4の何れか一項に記載のファイバ又はフィラメント。
【請求項6】
前記刺激手段が更に、1以上の物質層であって、各々が前記コア軸に実質的に平行な方向に延在し、これら物質層が前記コアと実質的に同軸であり、各々が少なくとも1つの刺激層に関連付けられる物質層を有する、請求項4又は請求項5に記載のファイバ又はフィラメント。
【請求項7】
前記物質層が実質的に前記コアの全長に沿って延在する、請求項6に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項8】
各刺激層が少なくとも1つの電極のアレイを含む、請求項4乃至7の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項9】
各刺激層が複数の電極のアレイを含む、請求項4乃至8の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項10】
各電極のアレイが実質的に刺激層において電界を発生し、該電界が前記コア軸に実質的に平行な方向に沿って又は前記コア軸のまわりで実質的に円周に沿って延びる方向に延在する、請求項8又は請求項9に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項11】
各電極のアレイが前記物質の少なくとも一部に関連付けられる、請求項8乃至10の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項12】
前記電界が前記物質の前記一部における光学特性の変化を電気的に誘起する、請求項11に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項13】
前記コアが刺激層に接触する、請求項8乃至12の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項14】
前記刺激層が前記コアと少なくとも1つの物質層との間に挟まれた、請求項13に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項15】
各電極のアレイが、前記コアの外側表面の少なくとも一部に沿って、円周に沿う方向に且つ軸方向に延在する、請求項13又は請求項14に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項16】
各電極のアレイが、前記コア軸に実質的に平行な方向又は前記コア軸のまわりで実質的に円周に沿う方向に、実質的に前記コアの外側表面の前記一部に沿って延在する電界を生成する、請求項15に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項17】
フィラメント又はファイバであって、
コア軸を持つ長尺のコアと、
少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持ち、前記コアの少なくとも一部を覆う物質と、
前記コア軸に実質的に平行な方向又は前記コア軸に対して実質的に横切る方向に延在する電界を生成する第1及び第2電極対であって、該第1及び第2電極は同じ軸外の面におかれ、前記電界は、前記物質の前記光学特性の変化を電気的に誘起し、これによって前記フィラメント又はファイバの視覚的外観を変化させる、第1及び第2電極対を有する電気的刺激手段と、
を有するフィラメント又はファイバ。
【請求項18】
前記電気的刺激手段が更に、電極のアレイの形態である複数の電極対を有し、該電極のアレイは同じ軸外の面に配置される、請求項17に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項19】
前記電気的刺激手段が更に複数の同一平面上の電極のアレイを有する、請求項18に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項20】
各電極のアレイが電気的に独立である、請求項8乃至16の何れか一項又は請求項19に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項21】
各電極のアレイが区分された電極を含む、請求項8乃至16の何れか一項又は請求項19又は請求項20に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項22】
少なくとも1つの電極が個々にアドレス指定される、請求項21に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項23】
アレイにおける電極が異なる既定の間隔及び/又は異なる既定の長さを有し、フィラメント又はファイバにおける電界の多様性を生成する、請求項8乃至16又は請求項18乃至22の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項24】
前記電極がインターデジタル型電極である請求項8乃至16又は請求項18乃至23の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項25】
前記コアと実質的に同軸である1以上の被覆を更に有する、請求項1乃至24の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項26】
前記1以上の被覆が少なくとも部分的に透明である、請求項25に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項27】
前記1以上の被覆が非導電性可撓性ポリマーから形成される、請求項25又は請求項26に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項28】
更にスペーサ手段を有する、請求項1乃至27の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項29】
前記スペーサ手段が、前記コア軸と実質的に平行な方向に延在する1以上のスペーサワイヤを有する、請求項28に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項30】
前記スペーサ手段が、複数の実質的に球体のビーズを有する、請求項28に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項31】
前記実質的に球体のビーズが前記物質に含まれる、請求項30に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項32】
前記スペーサ手段が電気的絶縁材料から形成される、請求項28乃至31の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項33】
前記電気的に変調可能な物質は、無機又は有機のエレクトロルミネッセンス材料又は液晶材料である、請求項1乃至32の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項34】
前記コアが可撓性ポリマーファイバからつくられる、請求項1乃至33の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項35】
前記ポリマーファイバが、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリプロピレン、ビニルベースのポリマー、羊毛、絹、亜麻、麻、リネン、ジュート、レーヨン、セルロースアセテート及び綿の何れかひとつから選択することができる、請求項31に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項36】
前記物質の前記光学特性が色である、請求項1乃至35の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項37】
請求項1乃至36の何れか一項による複数のフィラメント又はファイバから形成される衣服。
【請求項38】
請求項1乃至37の何れか一項による複数のフィラメント又はファイバから形成される織物。
【請求項1】
フィラメント又はファイバであって、
コア軸を持つ長尺のコアと、
少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持ち、前記コアの少なくとも一部を覆う物質と、
前記コア軸に実質的に平行な方向又は前記コア軸のまわりで実質的に円周に沿って延びる方向に延在する電界を生成する電気刺激手段であって、該電界が、前記物質の光学特性の変化を電気的に誘起させ、これによって前記フィラメント又はファイバの視覚的外観を変化させる電気刺激手段と
を有するフィラメント又はファイバ。
【請求項2】
前記長尺のコアが電気的絶縁材料から形成される、請求項1に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項3】
前記長尺のコアが実質的に円柱形である、請求項1又は請求項2に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項4】
前記刺激手段が、前記コア軸に対して実質的に平行な方向に延在する長尺の刺激層を有し、該刺激層が前記コアと実質的に同軸である刺激層を有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のファイバ又はフィラメント。
【請求項5】
複数の長尺の刺激層であって、各々が前記コア軸に対して実質的に平行な方向に延在しており、各々が前記コアと実質的に同軸であり、各層が、少なくともいくつかの他の層の分離する半径とは異なる分離する半径によって前記コア軸から隔てられている、請求項1乃至4の何れか一項に記載のファイバ又はフィラメント。
【請求項6】
前記刺激手段が更に、1以上の物質層であって、各々が前記コア軸に実質的に平行な方向に延在し、これら物質層が前記コアと実質的に同軸であり、各々が少なくとも1つの刺激層に関連付けられる物質層を有する、請求項4又は請求項5に記載のファイバ又はフィラメント。
【請求項7】
前記物質層が実質的に前記コアの全長に沿って延在する、請求項6に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項8】
各刺激層が少なくとも1つの電極のアレイを含む、請求項4乃至7の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項9】
各刺激層が複数の電極のアレイを含む、請求項4乃至8の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項10】
各電極のアレイが実質的に刺激層において電界を発生し、該電界が前記コア軸に実質的に平行な方向に沿って又は前記コア軸のまわりで実質的に円周に沿って延びる方向に延在する、請求項8又は請求項9に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項11】
各電極のアレイが前記物質の少なくとも一部に関連付けられる、請求項8乃至10の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項12】
前記電界が前記物質の前記一部における光学特性の変化を電気的に誘起する、請求項11に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項13】
前記コアが刺激層に接触する、請求項8乃至12の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項14】
前記刺激層が前記コアと少なくとも1つの物質層との間に挟まれた、請求項13に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項15】
各電極のアレイが、前記コアの外側表面の少なくとも一部に沿って、円周に沿う方向に且つ軸方向に延在する、請求項13又は請求項14に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項16】
各電極のアレイが、前記コア軸に実質的に平行な方向又は前記コア軸のまわりで実質的に円周に沿う方向に、実質的に前記コアの外側表面の前記一部に沿って延在する電界を生成する、請求項15に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項17】
フィラメント又はファイバであって、
コア軸を持つ長尺のコアと、
少なくとも1つの電気的に変調可能な光学特性を持ち、前記コアの少なくとも一部を覆う物質と、
前記コア軸に実質的に平行な方向又は前記コア軸に対して実質的に横切る方向に延在する電界を生成する第1及び第2電極対であって、該第1及び第2電極は同じ軸外の面におかれ、前記電界は、前記物質の前記光学特性の変化を電気的に誘起し、これによって前記フィラメント又はファイバの視覚的外観を変化させる、第1及び第2電極対を有する電気的刺激手段と、
を有するフィラメント又はファイバ。
【請求項18】
前記電気的刺激手段が更に、電極のアレイの形態である複数の電極対を有し、該電極のアレイは同じ軸外の面に配置される、請求項17に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項19】
前記電気的刺激手段が更に複数の同一平面上の電極のアレイを有する、請求項18に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項20】
各電極のアレイが電気的に独立である、請求項8乃至16の何れか一項又は請求項19に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項21】
各電極のアレイが区分された電極を含む、請求項8乃至16の何れか一項又は請求項19又は請求項20に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項22】
少なくとも1つの電極が個々にアドレス指定される、請求項21に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項23】
アレイにおける電極が異なる既定の間隔及び/又は異なる既定の長さを有し、フィラメント又はファイバにおける電界の多様性を生成する、請求項8乃至16又は請求項18乃至22の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項24】
前記電極がインターデジタル型電極である請求項8乃至16又は請求項18乃至23の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項25】
前記コアと実質的に同軸である1以上の被覆を更に有する、請求項1乃至24の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項26】
前記1以上の被覆が少なくとも部分的に透明である、請求項25に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項27】
前記1以上の被覆が非導電性可撓性ポリマーから形成される、請求項25又は請求項26に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項28】
更にスペーサ手段を有する、請求項1乃至27の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項29】
前記スペーサ手段が、前記コア軸と実質的に平行な方向に延在する1以上のスペーサワイヤを有する、請求項28に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項30】
前記スペーサ手段が、複数の実質的に球体のビーズを有する、請求項28に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項31】
前記実質的に球体のビーズが前記物質に含まれる、請求項30に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項32】
前記スペーサ手段が電気的絶縁材料から形成される、請求項28乃至31の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項33】
前記電気的に変調可能な物質は、無機又は有機のエレクトロルミネッセンス材料又は液晶材料である、請求項1乃至32の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項34】
前記コアが可撓性ポリマーファイバからつくられる、請求項1乃至33の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項35】
前記ポリマーファイバが、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリプロピレン、ビニルベースのポリマー、羊毛、絹、亜麻、麻、リネン、ジュート、レーヨン、セルロースアセテート及び綿の何れかひとつから選択することができる、請求項31に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項36】
前記物質の前記光学特性が色である、請求項1乃至35の何れか一項に記載のフィラメント又はファイバ。
【請求項37】
請求項1乃至36の何れか一項による複数のフィラメント又はファイバから形成される衣服。
【請求項38】
請求項1乃至37の何れか一項による複数のフィラメント又はファイバから形成される織物。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【公表番号】特表2007−531040(P2007−531040A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505703(P2007−505703)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051012
【国際公開番号】WO2005/096075
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051012
【国際公開番号】WO2005/096075
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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