説明

樹脂カウンターおよび樹脂カウンターの製造方法

【課題】外力の印加した場合にも、意匠性が維持される樹脂カウンターを提供する。
【解決手段】本発明では、少なくとも使用面側の一部に被覆部が形成された樹脂カウンターであって、該被覆部は、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種、(B)ふっ素樹脂粒子を含有してなることを特徴とし、前記ふっ素樹脂粒子の被覆部中の含有量が1重量%以上かつ20重量%未満であることを特徴とする樹脂カウンターを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外力を印加した場合にも、意匠性が維持される樹脂カウンターに関する。
【背景技術】
【0002】
洗面所、トイレ、浴室、キッチン等で使用される樹脂カウンターは、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチック材料を注型、プレス等の方法で成形して作製されている。これら樹脂カウンターは生活用品として利用されるため、外観美が求められており、着色したもの、透明なもの、無機充填材を添加したもの、表面に透明層を形成して意匠性を高めたもの、大理石調意匠のものなどが用いられている。
【0003】
しかしながら、樹脂カウンター表面には、長期間の使用により、手垢、水垢、石鹸かすなどの汚れが付着し、外観を損ねるという問題があった。
これら汚れを除去するために、スポンジやたわしで洗浄することで、汚れは除去されるが、同時に樹脂カウンター表面にスポンジやたわしで擦ったことによる傷が発生し、結果として外観美を損なうという問題があった。
特にクレンザー等を用いて洗浄した場合には、顕著に傷が発生し、著しく外観美を損なうという問題があった。
【0004】
このような課題を解決するために、表面に親水性塗膜を形成した樹脂製人工大理石(例えば、特許文献1参照。)やコロイダルシリカを含む保護皮膜を形成した樹脂製人工大理石(例えば、特許文献2参照。)などが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−299971
【特許文献2】特開2005−132673
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の親水性塗膜を形成した樹脂製人工大理石では、親水性塗膜によって汚れの付着が低減され、除去性にも優れるが、スポンジなどで擦った場合には容易に傷が発生し、耐傷性は十分ではなかった。
【0007】
また、特許文献2記載のコロイダルシリカを含む保護皮膜を形成した樹脂製人工大理石は、鉛筆硬度が向上し、耐傷性がある程度向上していたが、やはりクレンザー等を用いて洗浄した場合には容易に傷が発生し、耐傷性は十分ではなかった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、外力を印加した場合にも、意匠性が維持される樹脂カウンターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明では、少なくとも外表面に被覆部が形成された樹脂カウンターであって、該被覆部は、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種、(B)ふっ素樹脂粒子を含有してなることを特徴とし、前記ふっ素樹脂粒子の被覆部中の含有量が1重量%以上かつ20重量%未満であることを特徴とする樹脂カウンターを提供する。
【0010】
本発明の好ましい態様においては、前記被覆部の表面には、前記ふっ素樹脂粒子の自形に対応した凸部を有する凹凸構造が形成されているようにする。
【0011】
本発明の好ましい態様においては、前記ふっ素樹脂粒子の平均粒径が、前記被覆部の膜厚よりも大きいようにする。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、前記被覆部の膜厚が0.3〜20μmとする。
本発明のさらに好ましい態様においては、前記被覆部の膜厚が0.3〜8μmとする。
【0013】
本発明の好ましい態様においては、前記ふっ素樹脂粒子の平均粒径が0.1〜20μmであるようにする。
本発明のさらに好ましい態様においては、前記ふっ素樹脂粒子の平均粒径が0.1〜8μmであるようにする。
【0014】
本発明の好ましい態様においては、前記被覆部が略透明であるようにする。
【0015】
本発明では、樹脂カウンターへ、ふっ素樹脂粒子と(C)次の構造式で表される化合物[―(SiR1R2)―(NR3)―](式中、R1 、R2 、R3 は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、アルコキシ基、又はこれらの基以外で主鎖のケイ素及び窒素に直結する基が炭素である基、nは整数である)を含有し、前記ふっ素樹脂粒子の含有量が1重量%以上かつ20重量%未満であることを特徴とするコーティング液を塗布した後、前記コーティング液を加熱することで硬化させ、前記樹脂カウンターの外表面上に、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種、(B)ふっ素樹脂粒子を含有する被覆部を形成することを特徴とする樹脂カウンターの製造方法を提供する。
【0016】
本発明では、樹脂カウンターへ、ふっ素樹脂粒子と(D)(D−1)下記一般式(1)で表される化合物、Ra Si(OR4 )4-a ・・・・・(1)(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、R4は1価の有機基、aは1〜2の整数を示す。)(D−2)下記一般式(2)で表される化合物およびSi(OR5 )4 ・・・・・(2)(式中、R5 は1価の有機基を示す。)(D−3)下記一般式(3)で表される化合物 R6b(R7O)3-bSi−(R10)d−Si(OR8)3-cR9c ・・・・・(3)〔式中、R6 〜R9 はそれぞれ1価の有機基、b〜cは0〜2の整数、R10 は酸素原子、フェニレン基または−(CH2−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)、dは0または1を示す。〕の群から選ばれた少なくとも1種の化合物、またはその加水分解物を含有し、前記ふっ素樹脂粒子の含有量が1重量%以上かつ20重量%未満であることを特徴とするコーティング液を塗布した後、前記コーティング液を加熱することで硬化させ、前記樹脂カウンターの使用面側に、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種、(B)ふっ素樹脂粒子を含有する被覆部を形成することを特徴とする樹脂カウンターの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外力を印加した場合にも、意匠性が維持される樹脂カウンターを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の最良の形態について説明する。
本発明の一形態は、少なくとも使用面側の一部に被覆部が形成された樹脂カウンターであって、該被覆部は、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種、(B)ふっ素樹脂粒子を含有してなることを特徴とし、前記ふっ素樹脂粒子の被覆部中の含有量が1重量%以上かつ20重量%未満であることを特徴とする。そうすることで外力を印加した場合にも、意匠性が維持される樹脂カウンターの提供を可能とした。
【0019】
ここで、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種は、基材上にシロキサンネットワークを構築するものであり、一部シロキサンネットワークを形成しない未反応残基が存在していてもよい。
また、シリカには微量の金属、窒素、水素が含まれていてもよく、所謂水ガラス等も含む。
【0020】
また、前記被覆部はシロキサンネットワーク中にふっ素樹脂粒子が分散した形態であってもよく、被覆部の表面にふっ素樹脂粒子の自形に対応した凸部を有する凹凸構造が形成されていてもよい。
【0021】
ここで、ふっ素樹脂粒子は滑り性が良好であり、表面エネルギーも小さいため、外力を印加した場合にも、樹脂カウンターの意匠性が維持される作用が良好に発揮される。
また、ふっ素樹脂粒子は可塑性を有するため、被覆部にある程度の柔軟性を付与するため外力を印加した場合にも樹脂カウンター表面への追従性が向上し、樹脂カウンターの意匠性が維持される作用が良好に発揮される。
被覆部の表面にふっ素樹脂粒子の自形に対応した凸部を有する凹凸構造が形成されていると、外力を印加した場合に、被覆部との接触面積が低下するため、より樹脂カウンターの意匠性が維持される作用が良好に発揮されるため望ましい。
【0022】
本発明では、前記ふっ素樹脂粒子の平均粒径が、前記被覆部の膜厚より大きいようにすることが好ましい。
そうすることで、被覆部の表面に確実にふっ素樹脂粒子の自形に対応した凸部を有する凹凸構造が形成される。
【0023】
ふっ素樹脂粒子の含有量が1%未満であると、外力を印加した場合に、樹脂カウンターの意匠性が維持される作用が十分発揮されないし、20%以上では、被覆部中のシロキサンネットワークが粗となるため、やはり外力を印加した場合に、樹脂カウンターの意匠性が維持される作用が十分発揮されない。
【0024】
ここで、被覆部中のふっ素樹脂粒子の含有量とは、被覆部の総重量に対するふっ素樹脂粒子の重量比であり、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の重量はSiO換算重量である。
【0025】
本発明では、前記被覆部の膜厚が0.3〜20μmであるようにするのが好ましい。
ここで、本発明において膜厚とは、シロキサンネットワークの膜厚であり、ふっ素樹脂粒子が一部露出している場合、露出部を含まない部分の厚みを意味し、走査型電子顕微鏡等による断面観察によって測定することができる。
0.3μmより膜厚が小さいと、外力を印加した場合に、樹脂カウンターの意匠性が維持される作用が十分発揮されないし、20μm以上になると被覆部にクラックが入るなどするため、やはり外力を印加した場合に、樹脂カウンターの意匠性が維持される作用が十分発揮されない。
【0026】
本発明では、前記被覆部の膜厚が0.3〜8μmであるようにするのがより好ましい。
膜厚が8μm以下であると、種々の塗布方法を用いて容易に被覆部を形成することができるとともに、被覆部の外観も向上する。
【0027】
本発明では、前記ふっ素樹脂粒子の平均粒径が0.1〜20μmであるようにする。
平均粒径が0.1μmより小さいと、外力を印加にした場合に、基材の意匠性を維持する作用が低下し、20μmより大きくなると、基材の意匠性を損なうこととなる。
【0028】
本発明では、前記ふっ素樹脂粒子の平均粒径が0.1〜8μmであるようにする。
平均粒径が8μm以下であると、種々の塗布方法を用いて容易に被覆部を形成することができるとともに、被覆部の外観も向上する。
【0029】
本発明の好ましい態様においては、前記被覆部の膜厚が0.3〜8μmかつ、ふっ素樹脂粒子の平均粒径が0.5〜20μmかつ、前記ふっ素樹脂粒子の平均粒径が被覆部の膜厚よりも大きいようにする。
そうすることで、確実に被覆部にふっ素樹脂粒子の自形に対応した凸部を有する凹凸構造が形成され、基材の意匠性が維持される作用が良好に発揮される被覆部が、外観良く形成される。
【0030】
本発明の複合材の好ましい製造方法としては、樹脂カウンターへ、ふっ素樹脂粒子と(C)次の構造式で表される化合物[―(SiR1R2)―(NR3)―](式中、R1 、R2 、R3 は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、アルコキシ基、又はこれらの基以外で主鎖のケイ素及び窒素に直結する基が炭素である基、nは整数である)を含有し、前記ふっ素樹脂粒子の含有量が1重量%以上かつ20重量%未満であることを特徴とするコーティング液を塗布した後、前記コーティング液を加熱することで硬化させ、前記樹脂カウンターの使用面側に、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種、(B)ふっ素樹脂粒子を含有する被覆部を形成する方法が挙げられる。
【0031】
ここで、(C)次の構造式で表される化合物[―(SiR1R2)―(NR3)―](式中、R1 、R2 、R3 は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、アルコキシ基、又はこれらの基以外で主鎖のケイ素及び窒素に直結する基が炭素である基、nは整数である)は加熱によりシリカへの転化が生じ、基材上にシロキサンネットワークを形成する。
シリカ転化を生じさせるためには100℃以上で加熱することが望ましく、150℃以上で加熱すると、より転化反応が促進され望ましい。
【0032】
また、加熱温度が高くなると、樹脂カウンターが溶融、あるいは熱分解してしまうため、形状が変形したり、樹脂自体がぼろぼろになってしまうことがある。樹脂カウンターの耐熱性の観点からは250℃以下が望ましい。
また、ふっ素樹脂粒子の耐熱性から350℃以下であることがより好ましい。
【0033】
本発明の複合材の好ましい製造方法としては、樹脂カウンターへ、ふっ素樹脂粒子と(D)(D−1)下記一般式(1)で表される化合物、Ra Si(OR4 )4-a ・・・・・(1)(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、R4は1価の有機基、aは1〜2の整数を示す。)(D−2)下記一般式(2)で表される化合物およびSi(OR5 )4 ・・・・・(2)(式中、R5 は1価の有機基を示す。)(D−3)下記一般式(3)で表される化合物R6b(R7O)3-bSi−(R10)d−Si(OR8)3-cR9c ・・・・・(3)〔式中、R6 〜R9 はそれぞれ1価の有機基、b〜cは0〜2の整数、R10 は酸素原子、フェニレン基または−(CH2−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)、dは0または1を示す。〕の群から選ばれた少なくとも1種の化合物、またはその加水分解物とを含有し、前記ふっ素樹脂粒子の含有量が1重量%以上かつ20重量%未満であることを特徴とするコーティング液を塗布した後、前記コーティング液を硬化させ、樹脂カウンター上に、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種、(B)ふっ素樹脂粒子を含有する被覆部を形成する方法があげられる。
【0034】
樹脂カウンターへ、本発明のふっ素樹脂粒子と(C)次の構造式で表される化合物[―(SiR1R2)―(NR3)―](式中、R1 、R2 、R3 は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、アルコキシ基、又はこれらの基以外で主鎖のケイ素及び窒素に直結する基が炭素である基、nは整数である)とを含有し、ふっ素樹脂粒子の含有量が1重量%以上かつ20重量%未満であることを特徴とするコーティング液を塗布した後、前記コーティング液を加熱することで硬化させ、被覆部を形成する方法によれば、Si−NのSi−Oへの転化によりシロキサンネットワークを形成するため収縮が小さく、より緻密な被覆部が形成されるため、より外力を印加にした場合に、樹脂カウンターの意匠性を維持する作用が良好に発揮される。
【0035】
以下、本発明の樹脂カウンターと、樹脂カウンターの製造方法について具体的に説明する。
本発明において、樹脂カウンターとしては、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチック材料を注型、プレス等の方法で成形して作製され、着色したもの、透明なもの、無機充填材を添加したもの、表面に透明層を形成して意匠性を高めたもの、大理石調意匠のものなどが用いられる。
【0036】
また本発明において、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種は、樹脂カウンター表面にシロキサンネットワークを形成し、ふっ素樹脂粒子を含有する被覆部を形成するものである。
【0037】
本発明において、ふっ素樹脂粒子とは、ふっ素樹脂の粒状物を意味し、球形のものが好ましい。
【0038】
次に、ふっ素樹脂粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、パーフルオロシクロポリマー、ビニルエーテル−フルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレフィンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレンウレタン架橋体、テトラフルオロエチレンエポキシ架橋体、テトラフルオロエチレンアクリル架橋体、テトラフルオロエチレンメラミン架橋体等フルオロ基を含有するポリマーが挙げられる。
【0039】
本発明において、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種、(B)ふっ素樹脂粒子を含有してなる被覆部とは、シロキサンネットワーク中に、ふっ素樹脂粒子が分散した形態であってもよく、被覆部の表面にふっ素樹脂粒子の自形に対応した凸部を有する凹凸構造が形成されていてもよい。
【0040】
本発明において、外力を印加した場合にも、基材の意匠性が維持されるとは、例えば固形物との接触による傷発生による意匠性の低下を抑制する作用を意味し、より具体的には、例えば、付着した汚れを洗浄するために、スポンジやたわしで擦った場合に、傷が発生して意匠性が低下することを抑制する作用を意味する。
【0041】
本発明において、略透明とは、樹脂カウンターの質感が損なわれない程度の透明性を有し、外観上、基材の意匠性を確認できる程度の透明性を意味する。
例えば着色、絵柄の存在するカウンターの場合は、それらが確認できる程度の透明性を意味する。
【0042】
本発明において、(C)次の構造式で表される化合物[―(SiR1R2)―(NR3)―](式中、R1 、R2 、R3 は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、アルコキシ基、又はこれらの基以外で主鎖のケイ素及び窒素に直結する基が炭素である基、nは整数である)において、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブレニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブチニル、オクテニル、デセニル等が挙げられる。アリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等が挙げられる。
【0043】
本発明において、(D)(D−1)下記一般式(1)で表される化合物、Ra Si(OR4 )4-a ・・・・・(1)(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、R4は1価の有機基、aは1〜2の整数を示す。)(D−2)下記一般式(2)で表される化合物およびSi(OR5 )4 ・・・・・(2)(式中、R5 は1価の有機基を示す。)(D−3)下記一般式(3)で表される化合物R6b(R7O)3-bSi−(R10)d−Si(OR8)3-cR9c ・・・・・(3)〔式中、R6 〜R9 はそれぞれ1価の有機基、b〜cは0〜2の整数、R10 は酸素原子、フェニレン基または−(CH2−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)、dは0または1を示す。〕の群から選ばれた少なくとも1種の化合物、またはその加水分解物を含んでなる塗布液において、一般式(1)で表される化合物の具体例としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、トリ−tert−ブトキシシラン、トリフェノキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、フルオロトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリ−iso−プロポキシシラン、フルオロトリ−n−ブトキシシラン、フルオロトリ−sec−ブトキシシラン、フルオロトリ−tert−ブトキシシラン、フルオロトリフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−iso−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、ジフェニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−n−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジビニルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
【0044】
本発明において、一般式(2)で表される化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなどが挙げられる。
【0045】
本発明において、一般式(3)で表される化合物の具体例としては、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサフェノキシジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−i−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−t−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−i−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−i−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−t−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−i−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−t−ブトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−i−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−t−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−i−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−t−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−i−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ-t- ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−i−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−i−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)ベンゼンなどを挙げることができる。
【0046】
本発明において、コーティング液の塗布方法としては、例えばディッピング法、スピンコート法、スプレー法、印刷法、フローコート法、ロールコート法ならびにこれらの併用等、既知の塗布手段を適宜採用することができる。膜厚は、ディッピング法における引き上げ速度やスピンコート法における基板回転速度などを変化させることと、コーティング液の濃度や粘度を変えることにより制御することができる。
【実施例】
【0047】
以下に実施例をあげて、本発明をより具体的に説明する。
【0048】
図1、図2、図3は、本発明の様々なパターンの樹脂カウンター表面の断面図である。
【0049】
樹脂カウンター1の表面には被覆部2が設けられており、該被覆部2は、シロキサンネットワーク3とふっ素樹脂粒子4からなり、該被覆部2は外力を印加した場合にも、基材の意匠性を維持する作用を発揮する。
【0050】
このような樹脂カウンターは、例えば、汚れを洗浄するために、スポンジやたわしで擦るような外力の印加があった場合でも樹脂カウンターの意匠性を維持することができる。
ここで、ふっ素樹脂粒子は滑り性が良好であり、表面エネルギーも小さいため、外力を印加した場合にも、樹脂カウンターの意匠性が維持される作用が良好に発揮される。
また、ふっ素樹脂粒子は可塑性を有するため、被覆部にある程度の柔軟性を付与するため外力を印加した場合にも樹脂カウンター表面への追従性が向上し、樹脂カウンターの意匠性が維持される作用が良好に発揮される。
【0051】
被覆部2に含有されるふっ素樹脂粒子4は、図1のようにシロキサンネットワーク3中に分散した状態であっても良いし、図2のようにふっ素樹脂粒子4の一部が露出していても良く、図3のようにふっ素樹脂粒子4より形成される凸部をシロキサンネットワーク3が覆った状態であっても良い。
被覆部の表面にふっ素樹脂粒子の自形に対応した凸部を有する凹凸構造が形成されていると、外力を印加した場合に、被覆部との接触面積が低下するため、より樹脂カウンターの意匠性が維持される作用が良好に発揮されるため望ましい。
【0052】
次いで、樹脂カウンターの好ましい製造方法について、実験結果をもとに説明する。
【0053】
本発明の樹脂カウンターの被覆部の観察には、日立製作所(株)製の走査型電子顕微鏡S4100を用いた。
被覆部の膜厚は、断面観察により調べられる。また、被覆部の膜厚とは、シロキサンネットワーク3の厚み(図中Δtで示す)であり、ふっ素樹脂粒子による凸部の厚みは含まない。
【0054】
(実施例1)
注型成形された透明なエポキシ樹脂カウンターを100×100mmに切り出したものを基材として用いた。
表1の配合のコーティング液をスプレーコートにて基材に塗布した後、150℃で60分加熱して、ふっ素樹脂粒子が分散した被覆部を形成した。
用いたふっ素樹脂粒子の平均粒径は5μmであった。
コーティング液中の不揮発分中(ポリシラザン液の不揮発分はSiO換算濃度)のふっ素樹脂粒子の含有量は5.0重量%であった。
被覆部の膜厚は0.5μmであった。
【0055】
【表1】

【0056】
(実施例2)
基材は、実施例1同様のものを用いた。
表2の配合のコーティング液をスプレーコートにて基材に塗布した後、150℃で60分加熱して、ふっ素樹脂粒子が分散した被覆部を形成した。
用いたふっ素樹脂粒子の平均粒径は10μmであった。
コーティング液中の不揮発分中(ポリシラザン液の不揮発分はSiO換算濃度)のふっ素樹脂粒子の含有量は5.0重量%であった。
被覆部の膜厚は2.0μmであった。
【0057】
【表2】

【0058】
(実施例3)
基材は、実施例1同様のものを用いた。
表3の配合のコーティング液をスプレーコートにて基材に塗布した後、150℃で60分加熱して、ふっ素樹脂粒子が分散した被覆部を形成した。
用いたふっ素樹脂粒子の平均粒径は5μmであった。
コーティング液中の不揮発分中(ポリシラザン液の不揮発分はSiO換算濃度)のふっ素樹脂粒子の含有量は15.0重量%であった。
被覆部の膜厚は0.5μmであった。
【0059】
【表3】

【0060】
(実施例4)
基材は、実施例1同様のものを用いた。
表4の配合のコーティング液をスプレーコートにて基材に塗布した後、150℃で60分加熱して、ふっ素樹脂粒子が分散した被覆部を形成した。
用いたふっ素樹脂粒子の平均粒径は0.3μmであった。
コーティング液中の不揮発分中(ポリシラザン液の不揮発分はSiO換算濃度)のふっ素樹脂粒子の含有量は5.0重量%であった。
被覆部の膜厚は2.0μmであった。
【0061】
【表4】

【0062】
(実施例5)
基材は、実施例1同様のものを用いた。
表5の配合のコーティング液をスプレーコートにて基材に塗布した後、150℃で60分加熱して、ふっ素樹脂粒子が分散した被覆部を形成した。
用いたふっ素樹脂粒子の平均粒径は5μmであった。
コーティング液中の不揮発分中(ポリシロキサンオリゴマー液の不揮発分はSiO換算濃度)のふっ素樹脂粒子の含有量は5.0重量%であった。
被覆部の膜厚は2.0μmであった。
【0063】
【表5】

【0064】
(実施例6)
基材は、実施例1同様のものを用いた。
表6の配合のコーティング液をスプレーコートにて基材に塗布した後、150℃で60分加熱して、ふっ素樹脂粒子が分散した被覆部を形成した。
用いたふっ素樹脂粒子の平均粒径は22μmであった。
コーティング液中の不揮発分中(ポリシラザン液の不揮発分はSiO換算濃度)のふっ素樹脂粒子の含有量は10.0重量%であった。
被覆部の膜厚は2.0μmであった。
【0065】
【表6】

【0066】
(比較例1)
注型成形された透明なエポキシ樹脂カウンターを100×100mmに切り出したものを比較例として用いた。
【0067】
(比較例2)
実施例1のコーティング液から、ふっ素樹脂粒子を除いた以外は、実施例1と同様にして、被覆部を形成した。
被覆部の膜厚は0.5μmであった。
【0068】
(比較例3)
基材は実施例1同様のものを用いた。
表7の配合のコーティング液をスプレーコートにて基材に塗布した後、150℃で60分加熱して、ふっ素樹脂粒子が分散した被覆部を形成した。
用いたふっ素樹脂粒子の平均粒径は0.3μmであった。
コーティング液中の不揮発分中(ポリシラザン液の不揮発分はSiO換算濃度)のふっ素樹脂粒子の含有量は0.1重量%であった。
被覆部の膜厚は0.5μmであった。
【0069】
【表7】

【0070】
(比較例4)
基材は実施例1同様のものを用いた。
表8の配合のコーティング液をスプレーコートにて基材に塗布した後、150℃で60分加熱して、ふっ素樹脂粒子が分散した被覆部を形成した。
用いたふっ素樹脂粒子の平均粒径は5μmであった。
コーティング液中の不揮発分中(ポリシロキサンオリゴマー液の不揮発分はSiO換算濃度)のふっ素樹脂粒子の含有量は25.0重量%であった。
被覆部の膜厚は2.0μmであった。
【0071】
【表8】

【0072】
(評価方法)
(1)外観
目視にて外観を評価した。
判定基準 ○:基材の意匠性を完全に維持している △:基材の意匠性がやや低下しているが、基材の意匠は確認できる ×:基材の意匠性を著しく損なっており、基材の意匠が確認できない
(2)外力を印加したときの意匠性の維持性の評価
スポンジを20×20mmに切り出したものを摺動子として用いた。スポンジにクリームクレンザーを含ませ、さらに荷重を加えた状態で、基材表面で往復摺動させた後、基材の意匠変化を目視にて判定した。
荷重は50gと200gの場合それぞれについて評価し、摺動回数は100回とした。荷重50gでは女性が通常の洗浄を行ったときのスポンジへの荷重を想定し、荷重200gでは女性が、頑固な汚れを除去するために、力をこめて洗浄を行ったときのスポンジへの荷重を想定して設定した。
判定基準 ◎:傷の発生なく、意匠性変化なし ○:微小な傷が発生するものの、意匠性は維持 △:傷発生し、意匠性がやや低下 ×:顕著に傷が発生し、著しく意匠性を損なう
【0073】
(評価結果)
評価結果を表9に示す。
【0074】
【表9】

【0075】
本発明の実施例1〜5は、被覆部を形成した後でも基材の意匠性が完全に維持されていた。実施例6では実施例1〜5に比べるとやや透明性が劣るものの、基材の意匠性は確認できた。
実施例1〜6では、通常の洗浄を行ったときの荷重を想定した外力を印加したときにも、基材の意匠性が維持されている。
実施例2、4の複合材は、頑固な汚れを除去するために、力をこめて洗浄を行ったときの荷重を想定した外力を印加したときにも、基材の意匠性が維持されていた。
【0076】
表9から明らかなように、比較例1では通常の洗浄を行ったときの荷重を想定した外力を印加したときに顕著に傷が発生し、著しく基材の意匠性が損なわれる結果であった。
ふっ素樹脂粒子を含有しない被覆部を形成した比較例2〜4では、比較例1に比べるとわずかに外力を印加した場合の意匠維持性が発揮されているが、頑固な汚れを除去するために、力をこめて洗浄を行ったときの荷重を想定した外力を印加したときには、顕著に傷が発生し、著しく基材の意匠性が損なわれる結果であった。
【0077】
図4は、本発明の樹脂カウンターの概略図である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の樹脂カウンターは、洗面所、トイレ、浴室、キッチン等で使用されるカウンター等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の樹脂カウンターの断面図である。
【図2】本発明の樹脂カウンターの断面図である。
【図3】本発明の樹脂カウンターの断面図である。
【図4】本発明の樹脂カウンターの概略図である。
【符号の説明】
【0080】
1 :樹脂カウンター
2 :被覆部
3 :シロキサンネットワーク
4 :ふっ素樹脂粒子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも使用面側の一部に被覆部が形成された樹脂カウンターであって、該被覆部は、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種、(B)ふっ素樹脂粒子を含有してなることを特徴とし、前記ふっ素樹脂粒子の被覆部中の含有量が1重量%以上かつ20重量%未満であることを特徴とする樹脂カウンター。
【請求項2】
前記被覆部の表面には、前記ふっ素樹脂粒子の自形に対応した凸部を有する凹凸構造が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂カウンター。
【請求項3】
前記ふっ素樹脂粒子の平均粒径が、前記被覆部の膜厚よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の樹脂カウンター。
【請求項4】
前記被覆部の膜厚が0.3〜20μmであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の樹脂カウンター。
【請求項5】
前記被覆部の膜厚が0.3〜8μmであることを特徴とする請求項4に記載の樹脂カウンター。
【請求項6】
前記ふっ素樹脂粒子の平均粒径が0.1〜20μmであることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の樹脂カウンター。
【請求項7】
前記ふっ素樹脂粒子の平均粒径が0.1〜8μmであることを特徴とする請求項6に記載の樹脂カウンター。
【請求項8】
前記被覆部が略透明であることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項に記載の樹脂カウンター。
【請求項9】
樹脂カウンターへ、ふっ素樹脂粒子と(C)次の構造式で表される化合物[―(SiR1R2)―(NR3)―](式中、R1 、R2 、R3 は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、アルコキシ基、又はこれらの基以外で主鎖のケイ素及び窒素に直結する基が炭素である基、nは整数である)を含有し、前記ふっ素樹脂粒子の含有量が1重量%以上かつ20重量%未満であることを特徴とするコーティング液を塗布した後、前記コーティング液を加熱することで硬化させ、前記樹脂カウンターの使用面側に、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種、(B)ふっ素樹脂粒子を含有する被覆部を形成することを特徴とする樹脂カウンターの製造方法。
【請求項10】
樹脂カウンターへ、ふっ素樹脂粒子と(D)(D−1)下記一般式(1)で表される化合物、Ra Si(OR4 )4-a ・・・・・(1)(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、R4は1価の有機基、aは1〜2の整数を示す。)(D−2)下記一般式(2)で表される化合物およびSi(OR5 )4 ・・・・・(2)(式中、R5 は1価の有機基を示す。)(D−3)下記一般式(3)で表される化合物 R6b(R7O)3-bSi−(R10)d−Si(OR8)3-cR9c ・・・・・(3)〔式中、R6 〜R9 はそれぞれ1価の有機基、b〜cは0〜2の整数、R10 は酸素原子、フェニレン基または−(CH2−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)、dは0または1を示す。〕の群から選ばれた少なくとも1種の化合物、またはその加水分解物を含有し、前記ふっ素樹脂粒子の含有量が1重量%以上かつ20重量%未満であることを特徴とするコーティング液を塗布した後、前記コーティング液を加熱することで硬化させ、前記樹脂カウンターの使用面側に、(A)シリカ、または平均組成式RSiO(4−p)/2(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、pは、0<p<4を満足する数である)の群から選ばれる少なくとも1種、(B)ふっ素樹脂粒子を含有する被覆部を形成することを特徴とする樹脂カウンターの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−346048(P2006−346048A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174371(P2005−174371)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】