樹脂基板配列シート、樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法
【課題】各樹脂基板がより小さい面積の場合にも種々の不都合を生じない樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法を提供すること。
【解決手段】経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;複数の樹脂基板と複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;枠部領域上であって、緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を具備する。
【解決手段】経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;複数の樹脂基板と複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;枠部領域上であって、緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の同じ製品である樹脂基板が経緯それぞれの方向に配列された樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法に係り、特に、その配列シートの縁に枠部領域を有する樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂基板は、特に小型の場合、製造途上において、製造効率を考慮して、多数の同じ製品が経緯それぞれの方向に配列されたシート状に製造され得る。樹脂基板を基本的な構成物として有する樹脂製半導体パッケージや部品実装(あるいは内蔵)樹脂モジュールでも同様である。
【0003】
シートとして製造されると、ダイシングテープ上で個片化されたシート形態を維持して流通し、応用機器を構成する回路基板の組み立てに供給され得る。この組み立て時には、シートの中から個々の樹脂基板がマウンタヘッドによりピックアップされて、マザーボードなどの大型基板上にマウントすることができる。シート状で流通、供給されることにより応用機器の生産効率化にも適している。
【0004】
このような目的で使われる樹脂基板配列シートには、その配列シートの縁の部分に枠部領域が取られることが多い。この領域は、例えば、製品のさらに効率的製造を行うため、配列シート自体をさらに大判のパネル上に複数個並べて製造するときの緩衝領域と言える領域である。この緩衝領域により、パネルから例えばルータで各配列シートを切り出すとき、ルータビットと製品である樹脂基板との間に余裕が生まれる。
【0005】
一方、一般に、各樹脂基板がより小さい面積(例えば数mm四方)の場合の樹脂基板配列シートでは、各樹脂基板が例えば部品実装樹脂モジュールに組み上げられる場合に、実装装置によっては部品実装が困難になったり、電気的特性を診るテスティングが困難になったりするという課題がある。これは、実装される部品の間隔が隣の樹脂基板の部品との配置の関係上小さくなることにより、実装装置が対応できなくなる可能性が生じたり、プロービングする領域の確保が困難でテスティングに適さなくなったりすることが要因である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−246504号公報
【特許文献2】特開平1−251693号公報
【特許文献3】特開平2−31490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、多数の同じ製品である樹脂基板が経緯それぞれの方向に配列された樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法において、各樹脂基板がより小さい面積の場合にも種々の不都合を生じない樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様(第1の態様)である樹脂基板配列シートは、経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を具備することを特徴とする。
【0009】
すなわち、このシートでは、行配置の樹脂基板と、この隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に、ダミー領域として機能する行間領域が設けられている。このダミー領域を活用して、部品実装の困難性を解消し、また、テスティングの困難性を解消することができる。さらに、樹脂基板とダミー領域とで占められる領域の全体を取り囲んで枠部領域が取られており、この枠部領域上の所定位置に位置合わせマークパターンが設けられている。
【0010】
このパターンを位置合わせの基準にすれば、樹脂基板とダミー領域とが経線方向に交互に並ぶ配置であっても、ピッチを交番することなく通常のダイシングマシンで一定のピッチをもって緯線方向のカッティングが可能である。すなわち、「一定のピッチ」を、ひとつの樹脂基板の経線方向長分に、複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分とすればよい。これにより、基準のパターンを通る緯線の位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを加えた緯線の位置を初期位置に、この「一定のピッチ」で緯線方向のカッティングを順次行った後、基準のパターンを通る緯線位置を初期位置に再度「一定のピッチ」で順次カッティングを行うことができる。
【0011】
よって、この樹脂基板配列シートによれば、ダミー領域の確保により、部品実装の困難性を解消し、また、テスティングの困難性を解消することができるとともに、枠部領域の所定位置に設けられた位置合わせマークパターンを活用して、ダミー領域を設けたことによって一定ピッチのカッティングが不可能に陥ることを解消するダイシングが可能である。
【0012】
また、本発明の別の(第2の)態様である樹脂基板配列シートは、経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を具備することを特徴とする。
【0013】
この樹脂基板配列シートによっても、ダミー領域の確保により、部品実装の困難性を解消し、また、テスティングの困難性を解消することができる。加えて、枠部領域の所定位置に設けられた位置合わせマークパターンを活用して、ダミー領域を設けたことによって一定ピッチのカッティングが不可能に陥ることを解消するダイシングが可能である。「一定のピッチ」を、ひとつの樹脂基板の経線方向長分に、複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分とすればよい点は上記第1の態様と同様である。ただし、この場合は、基準のパターンを通る緯線の位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを差し引いた緯線の位置を初期位置に、この「一定のピッチ」で緯線方向のカッティングを順次行った後、基準のパターンを通る緯線の位置を初期位置に再度「一定のピッチ」で順次カッティングを行う。
【0014】
また、本発明のさらに別の(第3の)態様である樹脂基板配列シートは、経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を具備することを特徴とする。
【0015】
この樹脂基板配列シートによっても、ダミー領域の確保により、部品実装の困難性を解消し、また、テスティングの困難性を解消することができる。加えて、所定位置に設けられた位置合わせマークパターンを活用して、ダミー領域を設けたことによって一定ピッチのカッティングが不可能に陥ることを解消するダイシングが可能である。「一定のピッチ」を、ひとつの樹脂基板の経線方向長分に、複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分とすればよい点は上記第1の態様と同様である。これにより、基準のパターンを通る緯線の位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを加えた緯線の位置を初期位置に、この「一定のピッチ」で緯線方向のカッティングを順次行った後、基準のパターンを通る緯線の位置を初期位置に再度「一定のピッチ」で順次カッティングを行うことができる。
【0016】
この第3の態様では、位置合わせマークパターンが、行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と枠部領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられているため、このパターンを経線方向のカッティングの基準マークとして兼用することが可能である。
【0017】
また、本発明のさらに別の(第4の)態様である樹脂基板配列シートは、経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を具備することを特徴とする。
【0018】
この樹脂基板配列シートによっても、ダミー領域の確保により、部品実装の困難性を解消し、また、テスティングの困難性を解消することができる。加えて、所定位置に設けられた位置合わせマークパターンを活用して、ダミー領域を設けたことによって一定ピッチのカッティングが不可能に陥ることを解消するダイシングが可能である。「一定のピッチ」を、ひとつの樹脂基板の経線方向長分に、複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分とすればよい点は上記第1の態様と同様である。これにより、基準のパターンを通る緯線の位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを差し引いた緯線の位置を初期位置に、この「一定のピッチ」で緯線方向のカッティングを順次行った後、基準のパターンを通る緯線の位置を初期位置に再度「一定のピッチ」で順次カッティングを行うことができる。
【0019】
この第4の態様では、位置合わせマークパターンが、行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と、複数の行間領域のうちの最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられているため、第3の態様と同様に、このパターンを経線方向のカッティングの基準マークとして兼用することが可能である。
【0020】
また、本発明のさらに別の(第5の)態様である樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法は、経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を有する樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法であって、前記位置合わせマークパターンどうしを結ぶ緯線から経線方向に、前記複数の樹脂基板のうちのひとつの樹脂基板の経線方向長分だけオフセットさせた緯線に倣いカッティングする第1のステップと、前記第1のステップに続いて、前記ひとつの樹脂基板の前記経線方向長分に前記複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分だけ、前回のカッティング位置から経線方向にオフセットさせた緯線に倣い、繰り返しカッティングする第2のステップと、前記第2のステップに続いて、前記位置合わせマークパターンどうしを結ぶ前記緯線に倣いカッティングする第3のステップと、前記第3のステップに続いて、前記ひとつの樹脂基板の前記経線方向長分に前記複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する前記経線方向長分を加えた分だけ、前回のカッティング位置から経線方向にオフセットさせた緯線に倣い、繰り返しカッティングする第4のステップと、前記樹脂基板配列シートを経線方向に順次カッティングする第5のステップとを具備することを特徴とする。
【0021】
この個片化方法は、第1の態様である樹脂基板配列シートから樹脂基板を個片化する方法である。この方法では、第1、第2のステップを第3、第4のステップより前に行う点に利点が生じる。すなわち、第1、第2のステップによっては位置合わせマークパターン上を通るようなカッティングがなされないため、第3のステップを実行するときには、何ら損傷のない基準マークが維持されている。これにより、第3、第4のステップでの位置合わせ精度を高く保てるのでカッティングの位置精度も高く保てる。
【0022】
第2、第3、第4の態様である樹脂基板配列シートから樹脂基板を個片化する場合においても、同様の考えに基づき、前半の緯線方向のカッティングによっては位置合わせマークパターン上を通るようなカッティングを行わないようにして、この位置合わせマークパターンを、後半の緯線方向のカッティングを実行するときの、何ら損傷がない基準マークとして維持することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、多数の同じ製品である樹脂基板が経緯それぞれの方向に配列された樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法において、各樹脂基板がより小さい面積の場合にも種々の不都合を生じない樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図。
【図2】図1に示した樹脂基板配列シートの好ましい流通態様の一例を示す平面図および断面図。
【図3】図1に示した樹脂基板配列シートの各個片の一例としての樹脂製半導体パッケージの具体的構成例を示す断面図。
【図4】図3に示したものとは異なる、図1に示した樹脂基板配列シートの各個片の一例としての樹脂製半導体パッケージの具体的構成例を示す断面図。
【図5】図1に示した樹脂基板配列シートの各個片の一例としての部品内蔵樹脂モジュールの具体的構成例を示す断面図。
【図6】図1に示した樹脂基板配列シートをダイシングする過程を示す工程図。
【図7】図3の続図であって、図1に示した樹脂基板配列シートをダイシングする過程を示す工程図。
【図8】本発明の別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図。
【図9】本発明のさらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図。
【図10】本発明のさらに別の(第4の)実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図。
【図11】本発明のさらに別の(第5の)実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図。
【図12】本発明のさらに別の(第6の)実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図。
【図13】本発明のさらに別の(第7の)実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施態様として、前記枠部領域上であって、前記最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた、前記位置合わせパターンとはパターン形状が異なる第2の位置合わせマークパターンをさらに具備する、とすることができる。このような第2の位置合わせマークパターンを設ければ、「基準のパターンを通る緯線位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを加えた緯線位置」を得るため、そのオフセットの寸法情報は必要ない。第2の位置合わせマークパターンが、そのオフセットを加えた後の緯線位置上にあらかじめ設けられていることになる。
【0026】
また、実施態様として、前記枠部領域上であって、前記最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた、前記位置合わせパターンとはパターン形状が異なる第2の位置合わせマークパターンをさらに具備する、とすることができる。このような第2の位置合わせマークパターンを設ければ、「基準のパターンを通る緯線位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを差し引いた緯線位置」を得るため、そのオフセットの寸法情報は必要ない。第2の位置合わせマークパターンが、そのオフセットを差し引いた後の緯線位置上にあらかじめ設けられていることになる。
【0027】
また、実施態様として、前記位置合わせマークパターンのそれぞれが、緯線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、経線方向の全幅をもち、かつ経線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、緯線方向の全幅をもつパターンである、とすることができる。これによれば、緯線方向のカッティングを行い、次に経線方向のカッティングを行う場合において残存する基準のマークを確認することが容易であり、また、逆の順序でカッティングを行う場合も、あとのカッティングにおいて残存する基準マークを確認することが容易である。よって、緯線方向、経線方向の順を問わず、ダイシングが可能になる。
【0028】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図である。
【0029】
この樹脂基板配列シート1は、図示するように、矩形状(緯線方向長がj、経線方向長がk)の樹脂基板10が経緯それぞれの方向に配列、配置されていて、紙面直交方向には薄板状に構成されている。この配列シート1は、特に、緯線方向に配置された一行の樹脂基板10と、この行を構成する樹脂基板10の隣の行の樹脂基板10との各間にダミー領域である行間領域が設けられている。この行間領域は、樹脂基板10の緯線方向長ごとにダミー片20(経線方向長はk2)として割り振られている。図中の破線は、ダイシングのための、予定されるカッティングのラインである(実際には描かれていなくてもよい)。
【0030】
ダミー片20は、樹脂基板10の製品としての電気的機能とは直接には関係しない、製造便宜を考慮して設けられた領域である。例えば、次のような考慮の産物である。各樹脂基板10が、シートのまま組み上げられた、例えば、小面積の部品実装樹脂モジュールである場合は、製造途上で、樹脂基板10どうしの間で見ると部品配置の間隔が狭くなりすぎたり、電気的特性を診る(プロービングする)ためのパッドの領域確保(つまりテスティング)が困難になったりすることが考えられる。
【0031】
このような場合、ダミー片20の領域があれば、樹脂基板10どうしの間に領域的な余裕が生じるため、その分、部品実装装置が対応できる可能性が高くなる。また、ダミー片20の領域をプロービングするための専用パッドを配置する領域として利用することもできる。
【0032】
また、あるいは、各樹脂基板10が、シートのまま組み上げられた、例えば、樹脂製半導体パッケージである場合は、ダミー片20は、半導体チップなどの部品を樹脂層中に埋め込むため樹脂を流動させて生じる樹脂層の厚み変動を吸収するための領域として活用することができる。すなわち、部品を埋め込むには、その分その周りの樹脂を流動させて密着構造を作ることが必要で、結果、流動による樹脂層の厚み変動を吸収できる設計が好ましい。そこで、ダミー片20の領域を適当な面積で設けると、流動が生じたあとの樹脂層の厚みを所定にコントロールすることができ、これにより各樹脂基板10を製造するための厚さ方向の加工をばらつきなく高品質に保つ利点を得られる。
【0033】
ダミー片20を設けると、製品(樹脂基板10)の取り数が減り生産効率が低下するように一見考えられるが、そもそもシートとして構成することが製品の取り数の大幅な増大になっているので、その影響は限定的である。すなわち、シートとして構成すると、個片化には半導体ウエハの場合と同様なダイシングを用いることができ、ダイシングによるその消失幅は、200μm程度と非常に狭くできる。
【0034】
一方、母材である大判のパネルに製品を複数並べて製造しこれらを母材から切り離す従来的な方法では、製品と製品との間に大きな幅が必要になる。この幅には、ルータによる加工溝である母材からの分離溝が2本必要で、この分離溝と分離溝との間には、製品を切り離したあとの残材としての母材が残る。したがってこの幅は、分離溝の幅がそれぞれ例えば1mm、残材としての母材の幅が例えば1mmとしても、計3mmになる。よって、ダイシングの消失幅より非常に大きく、特に、製品(樹脂基板10)が小面積になるほど相対的にこの要素の占める影響は非常に大きくなる。
【0035】
なお、樹脂基板配列シート1の縁の側に設けられている一行のダミー片20aについてはこれを設けないこともあり得る。これは、ダミー片を設けた目的によって決まり得る。すなわち、単に樹脂基板10どうしの間に領域的な余裕を与えるためであれば、不要と考えることができる。ダミー片の領域を、プロービングするための専用パッドを配置する領域として利用するのであれば、各樹脂基板10にそれぞれ対応するダミー片を設けるため、ダミー片20aは必要になる。また、ダミー片を樹脂層の厚み変動を吸収するための領域として設けたならば、やはり各樹脂基板10にそれぞれ対応するダミー片を設けるのが設計に適うことになる。ただし、枠部30を設けている関係上、この領域も樹脂層の厚み変動を吸収するための領域として機能するので、適宜省略することも考えられる。
【0036】
この樹脂基板配列シート1自体としては、母材であるさらに大判のパネル(不図示)上に複数個並べて製造することができる。大判のパネルからの配列シート1の切り出しは、周知の例えばルータを用いて行うことができる。このように製造すれば、さらに効率的な製造ができる。この場合のルータによる切り出しでは、樹脂基板配列シート1がある程度大きな面積を有するものとなっているので、樹脂基板配列シート1どうしの間に必要な母材の幅の影響は相対的に小さくなっている。
【0037】
樹脂基板配列シート1の縁に取られた枠部30の領域は、パネルから例えばルータで各配列シート1を切り出すため確保された、製品である樹脂基板10とルータビットとの間の緩衝領域と言える領域である。ここでは、枠部30の領域に、以下の機能をも持たせる。すなわち、枠部30を、カッティング位置指定のための位置合わせマークパターン2a、2b、3a、3bをパターン形成する領域として活用する。この配列シート1をダイシングするときには、ダイサーがこのマークパターン2a、2b、3a、3bを読み取ってダイシングブレードを位置決めし、図示の破線に従うようにダイシングできる。
【0038】
なお、詳しくは後述するが、この樹脂基板配列シート1の緯線方向のカッティングでは、カッティングラインのピッチが、kとk2とで交番するため、半導体ウエハなどをダイシングする通常のダイサーではこのような交番するカッティングに対応できない。そこで、工夫を加えて通常のダイサーを用いてもカッティングできる方法について、後述する(図6、図7を参照)。
【0039】
なお、この方法に適応するように、位置合わせマークパターン2a、2bは、枠部30の領域上であって、緯線方向に配置された行配置の樹脂基板10のうちの最端行の樹脂基板10と枠部30の領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられている。また、位置合わせマークパターン3a、3bは、枠部30の領域上であって、経線方向に配置された列配置の樹脂基板10のうちの最端列の樹脂基板10と枠部30の領域とを区分する経線の両延長上2箇所に設けられている。
【0040】
位置合わせマークパターン2a、2b、3a、3bは、例えば、次のように形成できる。ひとつは、絶縁層上に配線パターンを得るのと同様の工程により、絶縁層上の金属箔層(銅箔層)をパターニングして所定の形状のパターンとして形成する。あるいは、ベタの金属層(銅層)または金属板(銅板)上にはんだレジストの層を形成し、このはんだレジストの層を所定の形状で抜いたパターンとして形成する。マークパターン2a、2b、3a、3bの形状は、図示するような経線方向と緯線方向の十字形とすることがひとつの例である。
【0041】
樹脂基板10が配列シート1の形態で製造されると、次に、そのシート1をダイシングしたままの状態を維持して流通させ、応用機器に使用の回路基板の組み立てに供給することができる(図2を参照して説明する)。この組み立て時には、シート1の中から個々のパッケージがマウンタヘッドによりピックアップされて、マザーボードなどの基板上にマウントされ得る。シート状で流通、供給されることにより応用機器の生産効率化に適している。
【0042】
そこで、図2は、図1に示した樹脂基板配列シート1の好ましい流通態様の一例を示す平面図(図2(a))および断面図(図2(b))である。図2において、すでに説明した図中に示したものと同一のものには同一符号を付してある。
【0043】
図1に示すように構成された配列シート1は、図2に示すように、上面に粘着性を有するダイシングテープ(粘着テープ)31およびこれを枠取るダイシングフレーム32を伴った形態(ダイシング済みの配列シート1dddの形態)で流通させることができる。このようにダイシングテープ31およびダイシングフレーム32を伴った形態では、配列シート1dddを、各樹脂基板10をばらばらの状態にすることなく、応用機器に使用の回路基板の組み立て工程に供給することができる。
【0044】
図2(b)に示すように、ダイシングフレーム32の下面には、ダイシングテープ31が粘着で留められており、配列シート1dddは、ダイシングフレーム32の内側で、ダイシングテープ31の粘着面上に位置している。そして、配列シート1dddは、ダイシングテープ31の中途厚さまでの見当でダイサーによりダイシングされ、各樹脂基板10と各ダミー片20とが分離されている。ダイシングテープ31およびダイシングフレーム32は、このように本来、ダイシング前のウエハやシートをダイシングするための構成である。
【0045】
マウンタで各樹脂基板10をピックアップする場合には、ダイシングテープ31の下面の、ピックアップしようとする樹脂基板10に対応する位置に丸突起を押し当ててそのパ基板10をダイシングテープ31の粘着性から開放し、その状態で基板10の上面をマウンタのヘッドでバキューム吸着する。
【0046】
ダイシングテープ31およびダイシングフレーム32が配列シート1をダイシングするための構成である点を以下補足する。ダイシングテープ31は、当初はテープ状になっていて専用機によりロールから引き出される。このとき、その引き出されて平面になっている粘着面(下面)側が、例えばアルミニウムでできたダイシングフレーム32に対向するようにされる。そして、ダイシングフレーム32の内側の領域のダイシングテープ31に向けてダイシング前の配列シート1を、ダイシングフレーム32とともに(または配列シート1、ダイシングフレーム32の順で)押し付け、配列シート1およびダイシングフレーム32をダイシングテープ31に粘着させる。
【0047】
配列シート1およびダイシングフレーム32がダイシングテープ31に粘着されたあと、ダイシングフレーム32の外側に広がるダイシングテープ31の不要領域は切除される。この状態でダイサーに適用され、配列シート1は、ダイシングテープ31の中途厚さまでの見当でダイサーによりダイシングされ個片化された状態(しかしながらばらばらにならず配列を保った配列シート1dddの状態)になる。
【0048】
図3は、図1に示した樹脂基板配列シート1の各個片(樹脂基板10)の一例としての樹脂製半導体パッケージの具体的構成例を示す断面図である。この樹脂製半導体パッケージは、銅板(スティフナー)51、絶縁層52、絶縁層53、はんだレジスト54、半導体チップ(デバイス)55、めっきビア(縦方向導電体)56、配線パターン57、めっきビア58、配線パターン59を有する。
【0049】
構造を簡単に説明すると、以下である。スティフナーとして機能する銅板51上にフェースアップで半導体チップ55が載置、固定され、半導体チップ55は、絶縁層52により密着されて埋め込まれている。
【0050】
絶縁層52上に設けられた配線層57と半導体チップ55とは、半導体チップ55上に位置する絶縁層52を貫通して設けられためっきビア56により電気導通する。そして、配線層57を覆うように、別の絶縁層53が積層され、この絶縁層53上に別の配線層59が設けられている。この配線層59と配線層57とは、絶縁層53を貫通して設けられためっきビア58により電気導通する。さらに、絶縁層53の上面上には、はんだを設ける領域でない領域にはんだレジスト54が形成さている。
【0051】
このような構成の場合、図示上側をダイシングテープ側とし、下側をピックアップ側として、図2に示した形態として適用することができる。なお、配線層59が含むパターン上にはんだボール(不図示)を設ける構成とすることもできるが、この場合には、ダイシングテープ上への粘着に、実質的な粘着面積が減少しやや難があるように考えられる。とはいうものの不可能というわけではない。
【0052】
次に、図4は、図3に示したものとは異なる、図1に示した樹脂基板配列シートの各個片(樹脂基板10)の一例としての樹脂製半導体パッケージの具体的構成例を示す断面図である。この半導体パッケージは、絶縁層61、絶縁層62、絶縁層63、はんだレジスト64、はんだレジスト65、配線パターン66、めっきビア67、配線パターン68、めっきビア69、アンダーフィル樹脂70、半導体チップ71、めっきビア72、配線パターン73、めっきビア74、配線パターン75、表面実装型受動素子部品76、はんだ77、および可能性としてモールド樹脂78を有する。
【0053】
構造を簡単に説明すると、以下である。当初は一面の金属層である配線パターン68上にアンダーフィル樹脂70を介して半導体チップ71がフェースダウンで載置、固定される。この金属箔の裏面(図示下面)上には、半導体チップ71の端子パッドに相当する位置に目印をつけておいてもよい。この金属箔上で、半導体チップ71は、絶縁層62により密着されて埋め込まれる。
【0054】
絶縁層62上に設けられた配線パターン73と、上記の配線パターン68とは、絶縁層62を貫通して設けられためっきビア72により電気導通する。半導体チップ71と配線パターン68とは、アンダーフィル樹脂70を貫通して設けられためっきビア69により電気導通する。めっきビア69の位置を特定して形成するため、上記金属箔につけた目印を利用することができる。配線パターン68および配線パターン73は、めっきビア69、72の形成後に金属箔がパターン化され得られたものである。
【0055】
そして、配線パターン68を覆うように、別の絶縁層61が積層され、この絶縁層61上に別の配線パターン66が設けられている。この配線パターン68と配線パターン66とは、絶縁層61を貫通して設けられためっきビア67により電気導通する。さらに、絶縁層61の上面上には、はんだを設ける領域でない領域にはんだレジスト65が形成されている。
【0056】
また、配線パターン73を覆うように、さらに別の絶縁層63が積層され、この絶縁層63上にさらに別の配線パターン75が設けられている。この配線パターン75と配線パターン73とは、絶縁層63を貫通して設けられためっきビア74により電気導通する。さらに、絶縁層63の上面上には、はんだおよび表面実装型受動素子部品76を設ける領域でない領域にはんだレジスト64が形成されている。配線パターン75が含むランド上には、表面実装型受動素子部品76がはんだ77により実装されている。
【0057】
加えて、可能性として、表面実装型受動素子部品76を封止するように、絶縁層63上一面全体にわたりモールド樹脂78を有する。モールド樹脂78は、図1に示した配列シート1の段階で一面に形成しておくことができる。
【0058】
このような構成の場合、図示下側をダイシングテープ側とし、上側をピックアップ側として、図2に示した形態として適用することができる。なお、配線パターン66が含むパターン上にはんだボール(不図示)を設ける構成とすることもできる。この点については、図3での説明と同様である。
【0059】
次に、図5は、図1に示した樹脂基板配列シートの各個片の一例としての部品内蔵樹脂モジュールの具体的構成例を示す断面図である。この部品内蔵樹脂モジュールは、絶縁層211、212、213、214、215、216、217、配線層(配線パターン)221、222、223、224、225、226、227、228、層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプ)231、232、233、234、235、236、237、表面実装型受動素子部品241、はんだ251、はんだレジスト261、262を有する。
【0060】
構造を簡単に説明すると、以下である。表面実装型受動素子部品241は、表面実装用のチップ部品であり、例えばチップコンデンサ、チップ抵抗である。その平面的な大きさは例えば0.6mm×0.3mmである。両端に端子を有し、その下側が配線層222による実装用ランドに対向位置している。表面実装型受動素子部品241の端子と実装用ランドとははんだ251により電気的、機械的に接続されている。
【0061】
配線層221、228は、配線板としての両主面上の配線層であってランドを含んでいる。配線層221によるランドは、例えば外部接続端子としてのランドであり、配線層228によるランドは、その上に別のデバイスが実装され得るランドである。はんだが位置するランドの部分を除いて両主面上には、はんだ接続時に溶融したはんだをランド部分に留めかつその後は保護層として機能するはんだレジスト261、262が形成されている。ランド部分の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成しておいてもよい。
【0062】
配線層222〜227は、それぞれ、内層の配線層であり、順に、配線層221と配線層222の間に絶縁層211が、配線層222と配線層223の間に絶縁層212が、配線層223と配線層224との間に絶縁層213が、配線層224と配線層225との間に絶縁層214が、配線層225と配線層226との間に絶縁層215が、配線層226と配線層227との間に絶縁層216が、配線層227と配線層228との間に絶縁層217が、それぞれ位置しこれらの配線層221〜228を隔てている。各配線層221〜228は、例えば金属(銅)箔に対するパターン形成で得られている。
【0063】
各絶縁層211〜217は、それぞれ例えばガラスエポキシ樹脂からなるリジッドな素材である。特に絶縁層213、214、215は、内蔵された表面実装型受動素子部品241に相当する位置部分が開口部となっており、受動素子部品241を埋設するための空間を提供する。絶縁層212、216は、内蔵された受動素子部品241のための絶縁層213〜215の上記開口部を埋めるように変形進入しており内部に空隙となる空間は存在しない。
【0064】
配線層221と配線層222とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層211を貫通する層間接続体231により導通し得る。同様に、配線層222と配線層223とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層212を貫通する層間接続体232により導通し得る。配線層223と配線層224とは、絶縁層213を貫通して設けられた層間接続体233により導通し得る。配線層224と配線層225とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層214を貫通する層間接続体234により導通し得る。
【0065】
さらに同様に、配線層225と配線層226とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層215を貫通する層間接続体235により導通し得る。配線層226と配線層227とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層216を貫通する層間接続体236により導通し得る。配線層227と配線層228とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層217を貫通する層間接続体237により導通し得る。
【0066】
層間接続体231〜237は、それぞれ、導電性組成物のスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とするものであり、その製造工程に依拠して軸方向(図5の図示で上下の積層方向)に径が変化している。
【0067】
このような構成の部品内蔵樹脂モジュールの場合、図示下側、上側いずれかをダイシングテープ側とし、その反対面をピックアップ側として、図2に示した形態として適用することができる。なお、配線パターン221が含むパターン上にはんだボール(不図示)を設ける構成とすることもできる。この点については、図3での説明と同様である。
【0068】
次に、図6は、図1に示した樹脂基板配列シート1をダイシングする過程を示す工程図である。図7は、図6に続く工程図である。これらの図において、すでに説明した図中に使用した参照符号については、同一のものを指し示すため用いている。なお、ダイシングテープ31およびダイシングフレーム32の図示は省略している。
【0069】
まず、図6(a)に示すように、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n)まで行う。このためには、第1に、マークパターン2a、2bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン2a、2bを通る緯線からkだけオフセットした緯線を最初のカッティングラインとしてカッティングを行う。このようなオフセットの設定は、通常のダイサーが普通に持っている機能なので活用できる。(1)から(n)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。
【0070】
次に、図6(b)に示すように、上記のカッティングがなされた配列シート1dを用い、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n+1)まで行う。このためには、マークパターン2a、2bを通る緯線を最初のカッティングラインとすればよい。この場合も、(1)から(n+1)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。
【0071】
図6(a)の工程と図6(b)の工程とは、上記の説明とは逆に図6(b)の工程を先に行うことも原理的には可能である。ただし、上記説明の手順によれば、あとのカッティングを実行する時点において、何ら損傷のないマークパターン2a、2bが維持されている。これにより、あとのカッティングにおけるダイサーの位置合わせ精度をより高く保てるのでカッティングの位置精度も高く保てる利点がある。
【0072】
図6(a)、(b)に示す工程により、緯線方向のカッティングがすべて終了した配列シート1ddが図7(a)に示すように得られる。そこで、次に、図7(b)に示すように、この配列シート1ddを用い、経線方向のカッティングをjのピッチで、(1)から(m+1)まで順次行う。このためには、マークパターン3a、3bを通る経線を最初のカッティングラインとすればよい。このカッティングは、一定のピッチjの通常のカッティングである。
【0073】
以上により、図2に示したようなダイシング済みでシート状の形態を保った配列シート1dddを得ることができる。なお、経線方向のカッティングは、上記説明のように緯線方向のカッティングがすべて終了した後に行うほか、緯線方向のカッティングに先立って行うことや、緯線方向のカッティングの前半と後半との間で行うことも考えられる。この点は、以下で説明する各実施形態でも同様である。
【0074】
次に、図8は、別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図(図8(a))およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図(図8(b))である。図8において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0075】
この実施形態の配列シート1Aでは、図8(a)に示すように、位置合わせマークパターン2a、2bに代えて、同4a、4bを設けている。位置合わせマークパターン4a、4bは、枠部30の領域上であって、緯線方向に配置された行配置の樹脂基板10のうちの最端行の樹脂基板10と、この最端行の樹脂基板10の隣に位置する行間領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられている。このように位置合わせマークパターン4a、4bを設けても、通常のダイサーを用いてカッティングが可能である。
【0076】
すなわち、図8(b)に示すように、まず、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n+1)まで行う。このためには、第1に、マークパターン4a、4bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン4a、4bを通る緯線からkだけ逆にオフセットした緯線を最初のカッティングラインとしてカッティングを行う。この(1)から(n+1)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり通常のダイサーで対応できる。次に行うべき緯線方向のカッティングおよび経線方向のカッティングについては、図6、図7を用いて説明した点を考慮すれば理解容易なので説明を省略する。
【0077】
次に、図9は、さらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図(図9(a))およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図(図9(b))である。図9において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0078】
この実施形態の配列シート1Bでは、図9(a)に示すように、位置合わせマークパターン2a、2bに代えて、同5a、5bを設けている。また、位置合わせパターン3a、3bに代えて、5a、5cを設けている。すなわち、位置合わせパターン5aは、緯線方向のカッティングと経線方向のカッティングとで、兼用される位置合わせマークパターンである。
【0079】
位置合わせパターン5a、5bは、緯線方向に配置された行配置の樹脂基板10のうちの最端行の樹脂基板10と枠部30の領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられている。また、位置合わせマークパターン5cは、緯線方向に配置された列配置の樹脂基板10のうちの最端列の樹脂基板10と枠部30の領域とを区分する経線方向の線分の一方の端部に設けられている。位置合わせマークパターン5aはこの経線方向の線分の反対側の端部に位置することになる。以上のように位置合わせマークパターン5a、5b、5cを設けても、通常のダイサーを用いてカッティングが可能である。
【0080】
すなわち、図9(b)に示すように、まず、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n)まで行う。このためには、第1に、マークパターン5a、5bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン5a、5bを通る緯線からkだけオフセットした緯線を最初のカッティングラインとしてカッティングを行う。この(1)から(n)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり通常のダイサーで対応できる。次に行うべき緯線方向のカッティングおよび経線方向のカッティングについては、図6、図7を用いて説明した点を考慮すれば理解容易なので説明を省略する。
【0081】
この実施形態では、緯線方向のカッティングがすべて終わると、経線方向の位置合わせ用であるマークパターン5a、5cに、経線方向のカッティングによる消失部位が生じる。したがって、マークパターンは5a、5cは、緯線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、経線方向の全幅をもつパターンであることを要する。ただし経線方向の位置合わせ用のマークパターンを枠部30上にまた別に設ける場合は別である。
【0082】
また、仮に経線方向のカッティングを先に行う場合は、このカッティングの後、緯線方向の位置合わせ用であるマークパターン5a、5bに消失部位が生じる。したがって、マークパターンは5a、5bは、経線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、緯線方向の全幅をもつパターンであることを要する。ただし緯線方向の位置合わせ用のマークパターンを枠部30上にまた別に設ける場合は別である。
【0083】
次に、図10は、さらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図(図10(a))およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図(図10(b))である。図10において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0084】
この実施形態の配列シート1Cでは、図10(a)に示すように、位置合わせマークパターン2a、2bに代えて、同6a、6bを設けている。また、位置合わせパターン3a、3bに代えて、6a、5cを設けている。すなわち、位置合わせパターン6aは、緯線方向のカッティングと経線方向のカッティングとで、兼用される位置合わせマークパターンである。
【0085】
位置合わせパターン6a、6bは、緯線方向に配置された行配置の樹脂基板10のうちの最端行の樹脂基板10と、この最端行の樹脂基板10の隣に位置する行間領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられている。位置合わせマークパターン5cについては、図9での説明と同様に、緯線方向に配置された列配置の樹脂基板10のうちの最端列の樹脂基板10と枠部30の領域とを区分する経線方向の線分の端部に設けられている。以上のように位置合わせマークパターン6a、6b、5cを設けても、通常のダイサーを用いてカッティングが可能である。
【0086】
すなわち、図10(b)に示すように、まず、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n+1)まで行う。このためには、第1に、マークパターン6a、6bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン6a、6bを通る緯線からkだけ逆にオフセットした緯線を最初のカッティングラインとしてカッティングを行う。この(1)から(n+1)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり通常のダイサーで対応できる。次に行うべき緯線方向のカッティングおよび経線方向のカッティングについては、図6、図7を用いて説明した点を考慮すれば理解容易なので説明を省略する。
【0087】
この実施形態でも、図9に示した実施形態と同様に、緯線方向のカッティングがすべて終わると、経線方向の位置合わせ用であるマークパターン6a、5cに、経線方向のカッティングによる消失部位が生じる。したがって、マークパターンは6a、5cは、緯線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、経線方向の全幅をもつパターンであることを要する。ただし経線方向の位置合わせ用のマークパターンを枠部30上にまた別に設ける場合は別である。
【0088】
また、仮に経線方向のカッティングを先に行う場合も、図9に示した実施形態と同様に、このカッティングの後、緯線方向の位置合わせ用であるマークパターン6a、6bに消失部位が生じる。したがって、マークパターンは6a、6bは、経線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、緯線方向の全幅をもつパターンであることを要する。ただし緯線方向の位置合わせ用のマークパターンを枠部30上にまた別に設ける場合は別である。
【0089】
次に、図11は、さらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図(図11(a))およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図(図11(b))である。図11において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0090】
この実施形態の配列シート1Dでは、図11(a)に示すように、位置合わせマークパターン2a、2bに加えて、これらとパターン形状が異なる同7a、7bを設けている。位置合わせマークパターン7a、7bは、マークパターン4a、4b(図8を参照)と同位置に設けられたパターンである。すなわち、マークパターン7a、7bを通る緯線の特定に、マークパターン2a、2bを通る緯線からkだけオフセットさせるという必要なく、直接にこれを行うことができる。
【0091】
まず、図11(b)に示すように、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n+1)まで行う。このためには、第1に、マークパターン2a、2bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン2a、2bを通る緯線を最初のカッティングラインとして順次カッティングを行う。(1)から(n+1)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。
【0092】
次に、上記のカッティングがなされた配列シートを用い、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、n回行う。このためには、マークパターン7a、7bを通る緯線を最初のカッティングラインとすればよい。この場合も、順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。次に行うべき経線方向のカッティングについては、図7を用いて説明した点を考慮すれば理解容易なので説明を省略する。
【0093】
配列シート1Dの変形例としては、マークパターン2a、2bのほかに、これらが位置する緯線からk+k2の整数倍離れた緯線上の枠部30の領域にも、これらと同様のマークパターンを設けるようにしてもよい。同様に、マークパターン7a、7bのほかに、これらが位置する緯線からk+k2の整数倍離れた緯線上の枠部30の領域にも、これらと同様のマークパターンを設けるようにしてもよい。
【0094】
このようにマークパターンを増加させた場合、k+k2の一定のピッチのカッティングにおいて、累積的にカッティング位置の誤差が蓄積することを避けることができる。すなわち、k+k2の整数倍離れた緯線の位置が再度マークパターンによりダイサーに示されるので、これによりダイサーはカッティング位置の微調整を行うことができる。したがって、カッティング位置精度をより向上することができる。
【0095】
次に、図12は、さらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図(図12(a))およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図(図12(b))である。図12において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0096】
この実施形態の配列シート1Eでは、図9に示した配列シート1Bが有するマークパターン5a、5b、5cに加えて、これらとパターン形状が異なる同8a、8bを設けている。位置合わせマークパターン8a、8bは、マークパターン6a、6b(図10を参照)と同位置に設けられたパターンである。
【0097】
したがって、この実施形態では、図9での説明(特に、位置合わせパターン5aが、緯線方向のカッティングと経線方向のカッティングとで、兼用される位置合わせマークパターンである点)が成立する。なおかつ、図11での説明での説明(マークパターン8a、8bを通る緯線の特定に、マークパターン5a、5bを通る緯線からkだけオフセットさせるという必要なく、直接にこれを行うことができる点)が成立する。
【0098】
まず、図12(b)に示すように、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n)まで行う。このためには、第1に、マークパターン8a、8bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン8a、8bを通る緯線を最初のカッティングラインとして順次カッティングを行う。(1)から(n)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。
【0099】
次に、上記のカッティングがなされた配列シートを用い、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、n+1回行う。このためには、マークパターン5a、5bを通る緯線を最初のカッティングラインとすればよい。この場合も、順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。次に行うべき経線方向のカッティングについては、図7を用いて説明した点を考慮すれば理解容易なので説明を省略する。
【0100】
この配列シート1Eの変形例としては、図11に示した配列シート1Dと同じ考えの下、マークパターン5a、5bのほかに、これらが位置する緯線からk+k2の整数倍離れた緯線上の、マークパターン5a、5bと同じ経線方向位置にも、これらと同様のマークパターンを設けるようにしてもよい。同様に、マークパターン8a、8bのほかに、これらが位置する緯線からk+k2の整数倍離れた緯線上の、マークパターン8a、8bと同じ経線方向位置にも、これらと同様のマークパターンを設けるようにしてもよい。
【0101】
次に、図13は、さらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図である。図13において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0102】
この実施形態の配列シート1Fは、以上説明した配列シート1、1A〜1Eと同様に、緯線方向に配置された一行の樹脂基板10と、この行を構成する樹脂基板10の隣の行の樹脂基板10との各間にダミー領域である行間領域が設けられている(ダミー片20e、20f)。とともに、配列シート1、1A〜1Eとは異なり、経線方向に配置された一列の樹脂基板10と、この列を構成する樹脂基板10の隣の列の樹脂基板10との各間にもダミー領域である領域が設けられている(ダミー片20d、20f)。この列間の領域の緯線方向長はj2である。
【0103】
このように配列シート1Fは、経線方向に見ても、緯線方向に見てもダミー領域を設けているが、その設けている目的は、すでに図1を参照して説明したものと同様である。枠部30Aも、枠部30(図1を参照)と同様の理由により存在する。
【0104】
このような配列シート1Fでは、ダイシングの際、緯線方向のカッティングについては、以上説明した配列シート1、1A〜1Eと同様の方法が利用できる。とともに、経線方向のカッティングについても、緯線方向と経線方向とを入れ替えて考えることで、同様の方法の利用が可能である。位置あわせマークパターンについても、この図13での図示は、図1での図示と同様の場合を示しているが、図8に示したものと同様の考えでマークパターンを設けることができる。同様に、図9、図10、図11、図12に示したものと同様の考えでマークパターンを設けることができる。
【符号の説明】
【0105】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F…樹脂基板配列シート、1d…樹脂基板配列シート(ダイシング途上)、1dd…樹脂基板配列シート(次のダイシング途上)、1ddd…樹脂基板配列シート(ダイシング済み)、2a,2b,3a,3b,4a,4b,5a,5b,5c,6a,6b,7a,7b,8a,8b…位置合わせマークパターン、10…樹脂基板、20,20a,20d,20e,20f…ダミー片、30,30A…枠部、31…ダイシングテープ、32…ダイシングフレーム、51…銅板(スティフナー)、52…絶縁層、53…絶縁層、54…はんだレジスト、55…半導体チップ、56…めっきビア(縦方向導電体)、57…配線パターン、58…めっきビア、59…配線パターン、61…絶縁層、62…絶縁層、63…絶縁層、64…はんだレジスト、65…はんだレジスト、66…配線パターン、67…めっきビア、68…配線パターン、69…めっきビア、70…アンダーフィル樹脂、71…半導体チップ、72…めっきビア、73…配線パターン、74…めっきビア、75…配線パターン、76…表面実装型受動素子部品、77…はんだ、78…モールド樹脂、211,212,213,214,215,216,217…絶縁層、221,222,223,224,225,226,227,228…配線層(配線パターン)、231,232,233,234,235,236,237…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプ)、241…表面実装型受動素子部品、251…はんだ、261,262…はんだレジスト。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の同じ製品である樹脂基板が経緯それぞれの方向に配列された樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法に係り、特に、その配列シートの縁に枠部領域を有する樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂基板は、特に小型の場合、製造途上において、製造効率を考慮して、多数の同じ製品が経緯それぞれの方向に配列されたシート状に製造され得る。樹脂基板を基本的な構成物として有する樹脂製半導体パッケージや部品実装(あるいは内蔵)樹脂モジュールでも同様である。
【0003】
シートとして製造されると、ダイシングテープ上で個片化されたシート形態を維持して流通し、応用機器を構成する回路基板の組み立てに供給され得る。この組み立て時には、シートの中から個々の樹脂基板がマウンタヘッドによりピックアップされて、マザーボードなどの大型基板上にマウントすることができる。シート状で流通、供給されることにより応用機器の生産効率化にも適している。
【0004】
このような目的で使われる樹脂基板配列シートには、その配列シートの縁の部分に枠部領域が取られることが多い。この領域は、例えば、製品のさらに効率的製造を行うため、配列シート自体をさらに大判のパネル上に複数個並べて製造するときの緩衝領域と言える領域である。この緩衝領域により、パネルから例えばルータで各配列シートを切り出すとき、ルータビットと製品である樹脂基板との間に余裕が生まれる。
【0005】
一方、一般に、各樹脂基板がより小さい面積(例えば数mm四方)の場合の樹脂基板配列シートでは、各樹脂基板が例えば部品実装樹脂モジュールに組み上げられる場合に、実装装置によっては部品実装が困難になったり、電気的特性を診るテスティングが困難になったりするという課題がある。これは、実装される部品の間隔が隣の樹脂基板の部品との配置の関係上小さくなることにより、実装装置が対応できなくなる可能性が生じたり、プロービングする領域の確保が困難でテスティングに適さなくなったりすることが要因である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−246504号公報
【特許文献2】特開平1−251693号公報
【特許文献3】特開平2−31490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、多数の同じ製品である樹脂基板が経緯それぞれの方向に配列された樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法において、各樹脂基板がより小さい面積の場合にも種々の不都合を生じない樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様(第1の態様)である樹脂基板配列シートは、経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を具備することを特徴とする。
【0009】
すなわち、このシートでは、行配置の樹脂基板と、この隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に、ダミー領域として機能する行間領域が設けられている。このダミー領域を活用して、部品実装の困難性を解消し、また、テスティングの困難性を解消することができる。さらに、樹脂基板とダミー領域とで占められる領域の全体を取り囲んで枠部領域が取られており、この枠部領域上の所定位置に位置合わせマークパターンが設けられている。
【0010】
このパターンを位置合わせの基準にすれば、樹脂基板とダミー領域とが経線方向に交互に並ぶ配置であっても、ピッチを交番することなく通常のダイシングマシンで一定のピッチをもって緯線方向のカッティングが可能である。すなわち、「一定のピッチ」を、ひとつの樹脂基板の経線方向長分に、複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分とすればよい。これにより、基準のパターンを通る緯線の位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを加えた緯線の位置を初期位置に、この「一定のピッチ」で緯線方向のカッティングを順次行った後、基準のパターンを通る緯線位置を初期位置に再度「一定のピッチ」で順次カッティングを行うことができる。
【0011】
よって、この樹脂基板配列シートによれば、ダミー領域の確保により、部品実装の困難性を解消し、また、テスティングの困難性を解消することができるとともに、枠部領域の所定位置に設けられた位置合わせマークパターンを活用して、ダミー領域を設けたことによって一定ピッチのカッティングが不可能に陥ることを解消するダイシングが可能である。
【0012】
また、本発明の別の(第2の)態様である樹脂基板配列シートは、経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を具備することを特徴とする。
【0013】
この樹脂基板配列シートによっても、ダミー領域の確保により、部品実装の困難性を解消し、また、テスティングの困難性を解消することができる。加えて、枠部領域の所定位置に設けられた位置合わせマークパターンを活用して、ダミー領域を設けたことによって一定ピッチのカッティングが不可能に陥ることを解消するダイシングが可能である。「一定のピッチ」を、ひとつの樹脂基板の経線方向長分に、複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分とすればよい点は上記第1の態様と同様である。ただし、この場合は、基準のパターンを通る緯線の位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを差し引いた緯線の位置を初期位置に、この「一定のピッチ」で緯線方向のカッティングを順次行った後、基準のパターンを通る緯線の位置を初期位置に再度「一定のピッチ」で順次カッティングを行う。
【0014】
また、本発明のさらに別の(第3の)態様である樹脂基板配列シートは、経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を具備することを特徴とする。
【0015】
この樹脂基板配列シートによっても、ダミー領域の確保により、部品実装の困難性を解消し、また、テスティングの困難性を解消することができる。加えて、所定位置に設けられた位置合わせマークパターンを活用して、ダミー領域を設けたことによって一定ピッチのカッティングが不可能に陥ることを解消するダイシングが可能である。「一定のピッチ」を、ひとつの樹脂基板の経線方向長分に、複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分とすればよい点は上記第1の態様と同様である。これにより、基準のパターンを通る緯線の位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを加えた緯線の位置を初期位置に、この「一定のピッチ」で緯線方向のカッティングを順次行った後、基準のパターンを通る緯線の位置を初期位置に再度「一定のピッチ」で順次カッティングを行うことができる。
【0016】
この第3の態様では、位置合わせマークパターンが、行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と枠部領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられているため、このパターンを経線方向のカッティングの基準マークとして兼用することが可能である。
【0017】
また、本発明のさらに別の(第4の)態様である樹脂基板配列シートは、経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を具備することを特徴とする。
【0018】
この樹脂基板配列シートによっても、ダミー領域の確保により、部品実装の困難性を解消し、また、テスティングの困難性を解消することができる。加えて、所定位置に設けられた位置合わせマークパターンを活用して、ダミー領域を設けたことによって一定ピッチのカッティングが不可能に陥ることを解消するダイシングが可能である。「一定のピッチ」を、ひとつの樹脂基板の経線方向長分に、複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分とすればよい点は上記第1の態様と同様である。これにより、基準のパターンを通る緯線の位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを差し引いた緯線の位置を初期位置に、この「一定のピッチ」で緯線方向のカッティングを順次行った後、基準のパターンを通る緯線の位置を初期位置に再度「一定のピッチ」で順次カッティングを行うことができる。
【0019】
この第4の態様では、位置合わせマークパターンが、行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と、複数の行間領域のうちの最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられているため、第3の態様と同様に、このパターンを経線方向のカッティングの基準マークとして兼用することが可能である。
【0020】
また、本発明のさらに別の(第5の)態様である樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法は、経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を有する樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法であって、前記位置合わせマークパターンどうしを結ぶ緯線から経線方向に、前記複数の樹脂基板のうちのひとつの樹脂基板の経線方向長分だけオフセットさせた緯線に倣いカッティングする第1のステップと、前記第1のステップに続いて、前記ひとつの樹脂基板の前記経線方向長分に前記複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分だけ、前回のカッティング位置から経線方向にオフセットさせた緯線に倣い、繰り返しカッティングする第2のステップと、前記第2のステップに続いて、前記位置合わせマークパターンどうしを結ぶ前記緯線に倣いカッティングする第3のステップと、前記第3のステップに続いて、前記ひとつの樹脂基板の前記経線方向長分に前記複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する前記経線方向長分を加えた分だけ、前回のカッティング位置から経線方向にオフセットさせた緯線に倣い、繰り返しカッティングする第4のステップと、前記樹脂基板配列シートを経線方向に順次カッティングする第5のステップとを具備することを特徴とする。
【0021】
この個片化方法は、第1の態様である樹脂基板配列シートから樹脂基板を個片化する方法である。この方法では、第1、第2のステップを第3、第4のステップより前に行う点に利点が生じる。すなわち、第1、第2のステップによっては位置合わせマークパターン上を通るようなカッティングがなされないため、第3のステップを実行するときには、何ら損傷のない基準マークが維持されている。これにより、第3、第4のステップでの位置合わせ精度を高く保てるのでカッティングの位置精度も高く保てる。
【0022】
第2、第3、第4の態様である樹脂基板配列シートから樹脂基板を個片化する場合においても、同様の考えに基づき、前半の緯線方向のカッティングによっては位置合わせマークパターン上を通るようなカッティングを行わないようにして、この位置合わせマークパターンを、後半の緯線方向のカッティングを実行するときの、何ら損傷がない基準マークとして維持することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、多数の同じ製品である樹脂基板が経緯それぞれの方向に配列された樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法において、各樹脂基板がより小さい面積の場合にも種々の不都合を生じない樹脂基板配列シート、およびこの樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図。
【図2】図1に示した樹脂基板配列シートの好ましい流通態様の一例を示す平面図および断面図。
【図3】図1に示した樹脂基板配列シートの各個片の一例としての樹脂製半導体パッケージの具体的構成例を示す断面図。
【図4】図3に示したものとは異なる、図1に示した樹脂基板配列シートの各個片の一例としての樹脂製半導体パッケージの具体的構成例を示す断面図。
【図5】図1に示した樹脂基板配列シートの各個片の一例としての部品内蔵樹脂モジュールの具体的構成例を示す断面図。
【図6】図1に示した樹脂基板配列シートをダイシングする過程を示す工程図。
【図7】図3の続図であって、図1に示した樹脂基板配列シートをダイシングする過程を示す工程図。
【図8】本発明の別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図。
【図9】本発明のさらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図。
【図10】本発明のさらに別の(第4の)実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図。
【図11】本発明のさらに別の(第5の)実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図。
【図12】本発明のさらに別の(第6の)実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図。
【図13】本発明のさらに別の(第7の)実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施態様として、前記枠部領域上であって、前記最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた、前記位置合わせパターンとはパターン形状が異なる第2の位置合わせマークパターンをさらに具備する、とすることができる。このような第2の位置合わせマークパターンを設ければ、「基準のパターンを通る緯線位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを加えた緯線位置」を得るため、そのオフセットの寸法情報は必要ない。第2の位置合わせマークパターンが、そのオフセットを加えた後の緯線位置上にあらかじめ設けられていることになる。
【0026】
また、実施態様として、前記枠部領域上であって、前記最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた、前記位置合わせパターンとはパターン形状が異なる第2の位置合わせマークパターンをさらに具備する、とすることができる。このような第2の位置合わせマークパターンを設ければ、「基準のパターンを通る緯線位置から、ひとつの樹脂基板の経線方向長分のオフセットを差し引いた緯線位置」を得るため、そのオフセットの寸法情報は必要ない。第2の位置合わせマークパターンが、そのオフセットを差し引いた後の緯線位置上にあらかじめ設けられていることになる。
【0027】
また、実施態様として、前記位置合わせマークパターンのそれぞれが、緯線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、経線方向の全幅をもち、かつ経線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、緯線方向の全幅をもつパターンである、とすることができる。これによれば、緯線方向のカッティングを行い、次に経線方向のカッティングを行う場合において残存する基準のマークを確認することが容易であり、また、逆の順序でカッティングを行う場合も、あとのカッティングにおいて残存する基準マークを確認することが容易である。よって、緯線方向、経線方向の順を問わず、ダイシングが可能になる。
【0028】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図である。
【0029】
この樹脂基板配列シート1は、図示するように、矩形状(緯線方向長がj、経線方向長がk)の樹脂基板10が経緯それぞれの方向に配列、配置されていて、紙面直交方向には薄板状に構成されている。この配列シート1は、特に、緯線方向に配置された一行の樹脂基板10と、この行を構成する樹脂基板10の隣の行の樹脂基板10との各間にダミー領域である行間領域が設けられている。この行間領域は、樹脂基板10の緯線方向長ごとにダミー片20(経線方向長はk2)として割り振られている。図中の破線は、ダイシングのための、予定されるカッティングのラインである(実際には描かれていなくてもよい)。
【0030】
ダミー片20は、樹脂基板10の製品としての電気的機能とは直接には関係しない、製造便宜を考慮して設けられた領域である。例えば、次のような考慮の産物である。各樹脂基板10が、シートのまま組み上げられた、例えば、小面積の部品実装樹脂モジュールである場合は、製造途上で、樹脂基板10どうしの間で見ると部品配置の間隔が狭くなりすぎたり、電気的特性を診る(プロービングする)ためのパッドの領域確保(つまりテスティング)が困難になったりすることが考えられる。
【0031】
このような場合、ダミー片20の領域があれば、樹脂基板10どうしの間に領域的な余裕が生じるため、その分、部品実装装置が対応できる可能性が高くなる。また、ダミー片20の領域をプロービングするための専用パッドを配置する領域として利用することもできる。
【0032】
また、あるいは、各樹脂基板10が、シートのまま組み上げられた、例えば、樹脂製半導体パッケージである場合は、ダミー片20は、半導体チップなどの部品を樹脂層中に埋め込むため樹脂を流動させて生じる樹脂層の厚み変動を吸収するための領域として活用することができる。すなわち、部品を埋め込むには、その分その周りの樹脂を流動させて密着構造を作ることが必要で、結果、流動による樹脂層の厚み変動を吸収できる設計が好ましい。そこで、ダミー片20の領域を適当な面積で設けると、流動が生じたあとの樹脂層の厚みを所定にコントロールすることができ、これにより各樹脂基板10を製造するための厚さ方向の加工をばらつきなく高品質に保つ利点を得られる。
【0033】
ダミー片20を設けると、製品(樹脂基板10)の取り数が減り生産効率が低下するように一見考えられるが、そもそもシートとして構成することが製品の取り数の大幅な増大になっているので、その影響は限定的である。すなわち、シートとして構成すると、個片化には半導体ウエハの場合と同様なダイシングを用いることができ、ダイシングによるその消失幅は、200μm程度と非常に狭くできる。
【0034】
一方、母材である大判のパネルに製品を複数並べて製造しこれらを母材から切り離す従来的な方法では、製品と製品との間に大きな幅が必要になる。この幅には、ルータによる加工溝である母材からの分離溝が2本必要で、この分離溝と分離溝との間には、製品を切り離したあとの残材としての母材が残る。したがってこの幅は、分離溝の幅がそれぞれ例えば1mm、残材としての母材の幅が例えば1mmとしても、計3mmになる。よって、ダイシングの消失幅より非常に大きく、特に、製品(樹脂基板10)が小面積になるほど相対的にこの要素の占める影響は非常に大きくなる。
【0035】
なお、樹脂基板配列シート1の縁の側に設けられている一行のダミー片20aについてはこれを設けないこともあり得る。これは、ダミー片を設けた目的によって決まり得る。すなわち、単に樹脂基板10どうしの間に領域的な余裕を与えるためであれば、不要と考えることができる。ダミー片の領域を、プロービングするための専用パッドを配置する領域として利用するのであれば、各樹脂基板10にそれぞれ対応するダミー片を設けるため、ダミー片20aは必要になる。また、ダミー片を樹脂層の厚み変動を吸収するための領域として設けたならば、やはり各樹脂基板10にそれぞれ対応するダミー片を設けるのが設計に適うことになる。ただし、枠部30を設けている関係上、この領域も樹脂層の厚み変動を吸収するための領域として機能するので、適宜省略することも考えられる。
【0036】
この樹脂基板配列シート1自体としては、母材であるさらに大判のパネル(不図示)上に複数個並べて製造することができる。大判のパネルからの配列シート1の切り出しは、周知の例えばルータを用いて行うことができる。このように製造すれば、さらに効率的な製造ができる。この場合のルータによる切り出しでは、樹脂基板配列シート1がある程度大きな面積を有するものとなっているので、樹脂基板配列シート1どうしの間に必要な母材の幅の影響は相対的に小さくなっている。
【0037】
樹脂基板配列シート1の縁に取られた枠部30の領域は、パネルから例えばルータで各配列シート1を切り出すため確保された、製品である樹脂基板10とルータビットとの間の緩衝領域と言える領域である。ここでは、枠部30の領域に、以下の機能をも持たせる。すなわち、枠部30を、カッティング位置指定のための位置合わせマークパターン2a、2b、3a、3bをパターン形成する領域として活用する。この配列シート1をダイシングするときには、ダイサーがこのマークパターン2a、2b、3a、3bを読み取ってダイシングブレードを位置決めし、図示の破線に従うようにダイシングできる。
【0038】
なお、詳しくは後述するが、この樹脂基板配列シート1の緯線方向のカッティングでは、カッティングラインのピッチが、kとk2とで交番するため、半導体ウエハなどをダイシングする通常のダイサーではこのような交番するカッティングに対応できない。そこで、工夫を加えて通常のダイサーを用いてもカッティングできる方法について、後述する(図6、図7を参照)。
【0039】
なお、この方法に適応するように、位置合わせマークパターン2a、2bは、枠部30の領域上であって、緯線方向に配置された行配置の樹脂基板10のうちの最端行の樹脂基板10と枠部30の領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられている。また、位置合わせマークパターン3a、3bは、枠部30の領域上であって、経線方向に配置された列配置の樹脂基板10のうちの最端列の樹脂基板10と枠部30の領域とを区分する経線の両延長上2箇所に設けられている。
【0040】
位置合わせマークパターン2a、2b、3a、3bは、例えば、次のように形成できる。ひとつは、絶縁層上に配線パターンを得るのと同様の工程により、絶縁層上の金属箔層(銅箔層)をパターニングして所定の形状のパターンとして形成する。あるいは、ベタの金属層(銅層)または金属板(銅板)上にはんだレジストの層を形成し、このはんだレジストの層を所定の形状で抜いたパターンとして形成する。マークパターン2a、2b、3a、3bの形状は、図示するような経線方向と緯線方向の十字形とすることがひとつの例である。
【0041】
樹脂基板10が配列シート1の形態で製造されると、次に、そのシート1をダイシングしたままの状態を維持して流通させ、応用機器に使用の回路基板の組み立てに供給することができる(図2を参照して説明する)。この組み立て時には、シート1の中から個々のパッケージがマウンタヘッドによりピックアップされて、マザーボードなどの基板上にマウントされ得る。シート状で流通、供給されることにより応用機器の生産効率化に適している。
【0042】
そこで、図2は、図1に示した樹脂基板配列シート1の好ましい流通態様の一例を示す平面図(図2(a))および断面図(図2(b))である。図2において、すでに説明した図中に示したものと同一のものには同一符号を付してある。
【0043】
図1に示すように構成された配列シート1は、図2に示すように、上面に粘着性を有するダイシングテープ(粘着テープ)31およびこれを枠取るダイシングフレーム32を伴った形態(ダイシング済みの配列シート1dddの形態)で流通させることができる。このようにダイシングテープ31およびダイシングフレーム32を伴った形態では、配列シート1dddを、各樹脂基板10をばらばらの状態にすることなく、応用機器に使用の回路基板の組み立て工程に供給することができる。
【0044】
図2(b)に示すように、ダイシングフレーム32の下面には、ダイシングテープ31が粘着で留められており、配列シート1dddは、ダイシングフレーム32の内側で、ダイシングテープ31の粘着面上に位置している。そして、配列シート1dddは、ダイシングテープ31の中途厚さまでの見当でダイサーによりダイシングされ、各樹脂基板10と各ダミー片20とが分離されている。ダイシングテープ31およびダイシングフレーム32は、このように本来、ダイシング前のウエハやシートをダイシングするための構成である。
【0045】
マウンタで各樹脂基板10をピックアップする場合には、ダイシングテープ31の下面の、ピックアップしようとする樹脂基板10に対応する位置に丸突起を押し当ててそのパ基板10をダイシングテープ31の粘着性から開放し、その状態で基板10の上面をマウンタのヘッドでバキューム吸着する。
【0046】
ダイシングテープ31およびダイシングフレーム32が配列シート1をダイシングするための構成である点を以下補足する。ダイシングテープ31は、当初はテープ状になっていて専用機によりロールから引き出される。このとき、その引き出されて平面になっている粘着面(下面)側が、例えばアルミニウムでできたダイシングフレーム32に対向するようにされる。そして、ダイシングフレーム32の内側の領域のダイシングテープ31に向けてダイシング前の配列シート1を、ダイシングフレーム32とともに(または配列シート1、ダイシングフレーム32の順で)押し付け、配列シート1およびダイシングフレーム32をダイシングテープ31に粘着させる。
【0047】
配列シート1およびダイシングフレーム32がダイシングテープ31に粘着されたあと、ダイシングフレーム32の外側に広がるダイシングテープ31の不要領域は切除される。この状態でダイサーに適用され、配列シート1は、ダイシングテープ31の中途厚さまでの見当でダイサーによりダイシングされ個片化された状態(しかしながらばらばらにならず配列を保った配列シート1dddの状態)になる。
【0048】
図3は、図1に示した樹脂基板配列シート1の各個片(樹脂基板10)の一例としての樹脂製半導体パッケージの具体的構成例を示す断面図である。この樹脂製半導体パッケージは、銅板(スティフナー)51、絶縁層52、絶縁層53、はんだレジスト54、半導体チップ(デバイス)55、めっきビア(縦方向導電体)56、配線パターン57、めっきビア58、配線パターン59を有する。
【0049】
構造を簡単に説明すると、以下である。スティフナーとして機能する銅板51上にフェースアップで半導体チップ55が載置、固定され、半導体チップ55は、絶縁層52により密着されて埋め込まれている。
【0050】
絶縁層52上に設けられた配線層57と半導体チップ55とは、半導体チップ55上に位置する絶縁層52を貫通して設けられためっきビア56により電気導通する。そして、配線層57を覆うように、別の絶縁層53が積層され、この絶縁層53上に別の配線層59が設けられている。この配線層59と配線層57とは、絶縁層53を貫通して設けられためっきビア58により電気導通する。さらに、絶縁層53の上面上には、はんだを設ける領域でない領域にはんだレジスト54が形成さている。
【0051】
このような構成の場合、図示上側をダイシングテープ側とし、下側をピックアップ側として、図2に示した形態として適用することができる。なお、配線層59が含むパターン上にはんだボール(不図示)を設ける構成とすることもできるが、この場合には、ダイシングテープ上への粘着に、実質的な粘着面積が減少しやや難があるように考えられる。とはいうものの不可能というわけではない。
【0052】
次に、図4は、図3に示したものとは異なる、図1に示した樹脂基板配列シートの各個片(樹脂基板10)の一例としての樹脂製半導体パッケージの具体的構成例を示す断面図である。この半導体パッケージは、絶縁層61、絶縁層62、絶縁層63、はんだレジスト64、はんだレジスト65、配線パターン66、めっきビア67、配線パターン68、めっきビア69、アンダーフィル樹脂70、半導体チップ71、めっきビア72、配線パターン73、めっきビア74、配線パターン75、表面実装型受動素子部品76、はんだ77、および可能性としてモールド樹脂78を有する。
【0053】
構造を簡単に説明すると、以下である。当初は一面の金属層である配線パターン68上にアンダーフィル樹脂70を介して半導体チップ71がフェースダウンで載置、固定される。この金属箔の裏面(図示下面)上には、半導体チップ71の端子パッドに相当する位置に目印をつけておいてもよい。この金属箔上で、半導体チップ71は、絶縁層62により密着されて埋め込まれる。
【0054】
絶縁層62上に設けられた配線パターン73と、上記の配線パターン68とは、絶縁層62を貫通して設けられためっきビア72により電気導通する。半導体チップ71と配線パターン68とは、アンダーフィル樹脂70を貫通して設けられためっきビア69により電気導通する。めっきビア69の位置を特定して形成するため、上記金属箔につけた目印を利用することができる。配線パターン68および配線パターン73は、めっきビア69、72の形成後に金属箔がパターン化され得られたものである。
【0055】
そして、配線パターン68を覆うように、別の絶縁層61が積層され、この絶縁層61上に別の配線パターン66が設けられている。この配線パターン68と配線パターン66とは、絶縁層61を貫通して設けられためっきビア67により電気導通する。さらに、絶縁層61の上面上には、はんだを設ける領域でない領域にはんだレジスト65が形成されている。
【0056】
また、配線パターン73を覆うように、さらに別の絶縁層63が積層され、この絶縁層63上にさらに別の配線パターン75が設けられている。この配線パターン75と配線パターン73とは、絶縁層63を貫通して設けられためっきビア74により電気導通する。さらに、絶縁層63の上面上には、はんだおよび表面実装型受動素子部品76を設ける領域でない領域にはんだレジスト64が形成されている。配線パターン75が含むランド上には、表面実装型受動素子部品76がはんだ77により実装されている。
【0057】
加えて、可能性として、表面実装型受動素子部品76を封止するように、絶縁層63上一面全体にわたりモールド樹脂78を有する。モールド樹脂78は、図1に示した配列シート1の段階で一面に形成しておくことができる。
【0058】
このような構成の場合、図示下側をダイシングテープ側とし、上側をピックアップ側として、図2に示した形態として適用することができる。なお、配線パターン66が含むパターン上にはんだボール(不図示)を設ける構成とすることもできる。この点については、図3での説明と同様である。
【0059】
次に、図5は、図1に示した樹脂基板配列シートの各個片の一例としての部品内蔵樹脂モジュールの具体的構成例を示す断面図である。この部品内蔵樹脂モジュールは、絶縁層211、212、213、214、215、216、217、配線層(配線パターン)221、222、223、224、225、226、227、228、層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプ)231、232、233、234、235、236、237、表面実装型受動素子部品241、はんだ251、はんだレジスト261、262を有する。
【0060】
構造を簡単に説明すると、以下である。表面実装型受動素子部品241は、表面実装用のチップ部品であり、例えばチップコンデンサ、チップ抵抗である。その平面的な大きさは例えば0.6mm×0.3mmである。両端に端子を有し、その下側が配線層222による実装用ランドに対向位置している。表面実装型受動素子部品241の端子と実装用ランドとははんだ251により電気的、機械的に接続されている。
【0061】
配線層221、228は、配線板としての両主面上の配線層であってランドを含んでいる。配線層221によるランドは、例えば外部接続端子としてのランドであり、配線層228によるランドは、その上に別のデバイスが実装され得るランドである。はんだが位置するランドの部分を除いて両主面上には、はんだ接続時に溶融したはんだをランド部分に留めかつその後は保護層として機能するはんだレジスト261、262が形成されている。ランド部分の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成しておいてもよい。
【0062】
配線層222〜227は、それぞれ、内層の配線層であり、順に、配線層221と配線層222の間に絶縁層211が、配線層222と配線層223の間に絶縁層212が、配線層223と配線層224との間に絶縁層213が、配線層224と配線層225との間に絶縁層214が、配線層225と配線層226との間に絶縁層215が、配線層226と配線層227との間に絶縁層216が、配線層227と配線層228との間に絶縁層217が、それぞれ位置しこれらの配線層221〜228を隔てている。各配線層221〜228は、例えば金属(銅)箔に対するパターン形成で得られている。
【0063】
各絶縁層211〜217は、それぞれ例えばガラスエポキシ樹脂からなるリジッドな素材である。特に絶縁層213、214、215は、内蔵された表面実装型受動素子部品241に相当する位置部分が開口部となっており、受動素子部品241を埋設するための空間を提供する。絶縁層212、216は、内蔵された受動素子部品241のための絶縁層213〜215の上記開口部を埋めるように変形進入しており内部に空隙となる空間は存在しない。
【0064】
配線層221と配線層222とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層211を貫通する層間接続体231により導通し得る。同様に、配線層222と配線層223とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層212を貫通する層間接続体232により導通し得る。配線層223と配線層224とは、絶縁層213を貫通して設けられた層間接続体233により導通し得る。配線層224と配線層225とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層214を貫通する層間接続体234により導通し得る。
【0065】
さらに同様に、配線層225と配線層226とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層215を貫通する層間接続体235により導通し得る。配線層226と配線層227とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層216を貫通する層間接続体236により導通し得る。配線層227と配線層228とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層217を貫通する層間接続体237により導通し得る。
【0066】
層間接続体231〜237は、それぞれ、導電性組成物のスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とするものであり、その製造工程に依拠して軸方向(図5の図示で上下の積層方向)に径が変化している。
【0067】
このような構成の部品内蔵樹脂モジュールの場合、図示下側、上側いずれかをダイシングテープ側とし、その反対面をピックアップ側として、図2に示した形態として適用することができる。なお、配線パターン221が含むパターン上にはんだボール(不図示)を設ける構成とすることもできる。この点については、図3での説明と同様である。
【0068】
次に、図6は、図1に示した樹脂基板配列シート1をダイシングする過程を示す工程図である。図7は、図6に続く工程図である。これらの図において、すでに説明した図中に使用した参照符号については、同一のものを指し示すため用いている。なお、ダイシングテープ31およびダイシングフレーム32の図示は省略している。
【0069】
まず、図6(a)に示すように、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n)まで行う。このためには、第1に、マークパターン2a、2bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン2a、2bを通る緯線からkだけオフセットした緯線を最初のカッティングラインとしてカッティングを行う。このようなオフセットの設定は、通常のダイサーが普通に持っている機能なので活用できる。(1)から(n)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。
【0070】
次に、図6(b)に示すように、上記のカッティングがなされた配列シート1dを用い、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n+1)まで行う。このためには、マークパターン2a、2bを通る緯線を最初のカッティングラインとすればよい。この場合も、(1)から(n+1)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。
【0071】
図6(a)の工程と図6(b)の工程とは、上記の説明とは逆に図6(b)の工程を先に行うことも原理的には可能である。ただし、上記説明の手順によれば、あとのカッティングを実行する時点において、何ら損傷のないマークパターン2a、2bが維持されている。これにより、あとのカッティングにおけるダイサーの位置合わせ精度をより高く保てるのでカッティングの位置精度も高く保てる利点がある。
【0072】
図6(a)、(b)に示す工程により、緯線方向のカッティングがすべて終了した配列シート1ddが図7(a)に示すように得られる。そこで、次に、図7(b)に示すように、この配列シート1ddを用い、経線方向のカッティングをjのピッチで、(1)から(m+1)まで順次行う。このためには、マークパターン3a、3bを通る経線を最初のカッティングラインとすればよい。このカッティングは、一定のピッチjの通常のカッティングである。
【0073】
以上により、図2に示したようなダイシング済みでシート状の形態を保った配列シート1dddを得ることができる。なお、経線方向のカッティングは、上記説明のように緯線方向のカッティングがすべて終了した後に行うほか、緯線方向のカッティングに先立って行うことや、緯線方向のカッティングの前半と後半との間で行うことも考えられる。この点は、以下で説明する各実施形態でも同様である。
【0074】
次に、図8は、別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図(図8(a))およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図(図8(b))である。図8において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0075】
この実施形態の配列シート1Aでは、図8(a)に示すように、位置合わせマークパターン2a、2bに代えて、同4a、4bを設けている。位置合わせマークパターン4a、4bは、枠部30の領域上であって、緯線方向に配置された行配置の樹脂基板10のうちの最端行の樹脂基板10と、この最端行の樹脂基板10の隣に位置する行間領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられている。このように位置合わせマークパターン4a、4bを設けても、通常のダイサーを用いてカッティングが可能である。
【0076】
すなわち、図8(b)に示すように、まず、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n+1)まで行う。このためには、第1に、マークパターン4a、4bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン4a、4bを通る緯線からkだけ逆にオフセットした緯線を最初のカッティングラインとしてカッティングを行う。この(1)から(n+1)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり通常のダイサーで対応できる。次に行うべき緯線方向のカッティングおよび経線方向のカッティングについては、図6、図7を用いて説明した点を考慮すれば理解容易なので説明を省略する。
【0077】
次に、図9は、さらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図(図9(a))およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図(図9(b))である。図9において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0078】
この実施形態の配列シート1Bでは、図9(a)に示すように、位置合わせマークパターン2a、2bに代えて、同5a、5bを設けている。また、位置合わせパターン3a、3bに代えて、5a、5cを設けている。すなわち、位置合わせパターン5aは、緯線方向のカッティングと経線方向のカッティングとで、兼用される位置合わせマークパターンである。
【0079】
位置合わせパターン5a、5bは、緯線方向に配置された行配置の樹脂基板10のうちの最端行の樹脂基板10と枠部30の領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられている。また、位置合わせマークパターン5cは、緯線方向に配置された列配置の樹脂基板10のうちの最端列の樹脂基板10と枠部30の領域とを区分する経線方向の線分の一方の端部に設けられている。位置合わせマークパターン5aはこの経線方向の線分の反対側の端部に位置することになる。以上のように位置合わせマークパターン5a、5b、5cを設けても、通常のダイサーを用いてカッティングが可能である。
【0080】
すなわち、図9(b)に示すように、まず、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n)まで行う。このためには、第1に、マークパターン5a、5bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン5a、5bを通る緯線からkだけオフセットした緯線を最初のカッティングラインとしてカッティングを行う。この(1)から(n)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり通常のダイサーで対応できる。次に行うべき緯線方向のカッティングおよび経線方向のカッティングについては、図6、図7を用いて説明した点を考慮すれば理解容易なので説明を省略する。
【0081】
この実施形態では、緯線方向のカッティングがすべて終わると、経線方向の位置合わせ用であるマークパターン5a、5cに、経線方向のカッティングによる消失部位が生じる。したがって、マークパターンは5a、5cは、緯線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、経線方向の全幅をもつパターンであることを要する。ただし経線方向の位置合わせ用のマークパターンを枠部30上にまた別に設ける場合は別である。
【0082】
また、仮に経線方向のカッティングを先に行う場合は、このカッティングの後、緯線方向の位置合わせ用であるマークパターン5a、5bに消失部位が生じる。したがって、マークパターンは5a、5bは、経線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、緯線方向の全幅をもつパターンであることを要する。ただし緯線方向の位置合わせ用のマークパターンを枠部30上にまた別に設ける場合は別である。
【0083】
次に、図10は、さらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図(図10(a))およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図(図10(b))である。図10において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0084】
この実施形態の配列シート1Cでは、図10(a)に示すように、位置合わせマークパターン2a、2bに代えて、同6a、6bを設けている。また、位置合わせパターン3a、3bに代えて、6a、5cを設けている。すなわち、位置合わせパターン6aは、緯線方向のカッティングと経線方向のカッティングとで、兼用される位置合わせマークパターンである。
【0085】
位置合わせパターン6a、6bは、緯線方向に配置された行配置の樹脂基板10のうちの最端行の樹脂基板10と、この最端行の樹脂基板10の隣に位置する行間領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられている。位置合わせマークパターン5cについては、図9での説明と同様に、緯線方向に配置された列配置の樹脂基板10のうちの最端列の樹脂基板10と枠部30の領域とを区分する経線方向の線分の端部に設けられている。以上のように位置合わせマークパターン6a、6b、5cを設けても、通常のダイサーを用いてカッティングが可能である。
【0086】
すなわち、図10(b)に示すように、まず、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n+1)まで行う。このためには、第1に、マークパターン6a、6bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン6a、6bを通る緯線からkだけ逆にオフセットした緯線を最初のカッティングラインとしてカッティングを行う。この(1)から(n+1)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり通常のダイサーで対応できる。次に行うべき緯線方向のカッティングおよび経線方向のカッティングについては、図6、図7を用いて説明した点を考慮すれば理解容易なので説明を省略する。
【0087】
この実施形態でも、図9に示した実施形態と同様に、緯線方向のカッティングがすべて終わると、経線方向の位置合わせ用であるマークパターン6a、5cに、経線方向のカッティングによる消失部位が生じる。したがって、マークパターンは6a、5cは、緯線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、経線方向の全幅をもつパターンであることを要する。ただし経線方向の位置合わせ用のマークパターンを枠部30上にまた別に設ける場合は別である。
【0088】
また、仮に経線方向のカッティングを先に行う場合も、図9に示した実施形態と同様に、このカッティングの後、緯線方向の位置合わせ用であるマークパターン6a、6bに消失部位が生じる。したがって、マークパターンは6a、6bは、経線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、緯線方向の全幅をもつパターンであることを要する。ただし緯線方向の位置合わせ用のマークパターンを枠部30上にまた別に設ける場合は別である。
【0089】
次に、図11は、さらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図(図11(a))およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図(図11(b))である。図11において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0090】
この実施形態の配列シート1Dでは、図11(a)に示すように、位置合わせマークパターン2a、2bに加えて、これらとパターン形状が異なる同7a、7bを設けている。位置合わせマークパターン7a、7bは、マークパターン4a、4b(図8を参照)と同位置に設けられたパターンである。すなわち、マークパターン7a、7bを通る緯線の特定に、マークパターン2a、2bを通る緯線からkだけオフセットさせるという必要なく、直接にこれを行うことができる。
【0091】
まず、図11(b)に示すように、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n+1)まで行う。このためには、第1に、マークパターン2a、2bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン2a、2bを通る緯線を最初のカッティングラインとして順次カッティングを行う。(1)から(n+1)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。
【0092】
次に、上記のカッティングがなされた配列シートを用い、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、n回行う。このためには、マークパターン7a、7bを通る緯線を最初のカッティングラインとすればよい。この場合も、順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。次に行うべき経線方向のカッティングについては、図7を用いて説明した点を考慮すれば理解容易なので説明を省略する。
【0093】
配列シート1Dの変形例としては、マークパターン2a、2bのほかに、これらが位置する緯線からk+k2の整数倍離れた緯線上の枠部30の領域にも、これらと同様のマークパターンを設けるようにしてもよい。同様に、マークパターン7a、7bのほかに、これらが位置する緯線からk+k2の整数倍離れた緯線上の枠部30の領域にも、これらと同様のマークパターンを設けるようにしてもよい。
【0094】
このようにマークパターンを増加させた場合、k+k2の一定のピッチのカッティングにおいて、累積的にカッティング位置の誤差が蓄積することを避けることができる。すなわち、k+k2の整数倍離れた緯線の位置が再度マークパターンによりダイサーに示されるので、これによりダイサーはカッティング位置の微調整を行うことができる。したがって、カッティング位置精度をより向上することができる。
【0095】
次に、図12は、さらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図(図12(a))およびこれをダイシングする過程の一部を示す工程図(図12(b))である。図12において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0096】
この実施形態の配列シート1Eでは、図9に示した配列シート1Bが有するマークパターン5a、5b、5cに加えて、これらとパターン形状が異なる同8a、8bを設けている。位置合わせマークパターン8a、8bは、マークパターン6a、6b(図10を参照)と同位置に設けられたパターンである。
【0097】
したがって、この実施形態では、図9での説明(特に、位置合わせパターン5aが、緯線方向のカッティングと経線方向のカッティングとで、兼用される位置合わせマークパターンである点)が成立する。なおかつ、図11での説明での説明(マークパターン8a、8bを通る緯線の特定に、マークパターン5a、5bを通る緯線からkだけオフセットさせるという必要なく、直接にこれを行うことができる点)が成立する。
【0098】
まず、図12(b)に示すように、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、(1)から(n)まで行う。このためには、第1に、マークパターン8a、8bの位置をダイサーが読み取り緯線の方向の特定を行う。そして、第2に、マークパターン8a、8bを通る緯線を最初のカッティングラインとして順次カッティングを行う。(1)から(n)まで順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。
【0099】
次に、上記のカッティングがなされた配列シートを用い、緯線方向のカッティングをk+k2のピッチで、n+1回行う。このためには、マークパターン5a、5bを通る緯線を最初のカッティングラインとすればよい。この場合も、順次行うカッティングはk+k2の一定のピッチであり、通常のダイサーを用いて容易にできる。次に行うべき経線方向のカッティングについては、図7を用いて説明した点を考慮すれば理解容易なので説明を省略する。
【0100】
この配列シート1Eの変形例としては、図11に示した配列シート1Dと同じ考えの下、マークパターン5a、5bのほかに、これらが位置する緯線からk+k2の整数倍離れた緯線上の、マークパターン5a、5bと同じ経線方向位置にも、これらと同様のマークパターンを設けるようにしてもよい。同様に、マークパターン8a、8bのほかに、これらが位置する緯線からk+k2の整数倍離れた緯線上の、マークパターン8a、8bと同じ経線方向位置にも、これらと同様のマークパターンを設けるようにしてもよい。
【0101】
次に、図13は、さらに別の実施形態である樹脂基板配列シートの構成を示す平面図である。図13において、すでに説明した図中に示した要素と同じものには同一符号を付し、加えるべき事項がない限りその説明を省略する。
【0102】
この実施形態の配列シート1Fは、以上説明した配列シート1、1A〜1Eと同様に、緯線方向に配置された一行の樹脂基板10と、この行を構成する樹脂基板10の隣の行の樹脂基板10との各間にダミー領域である行間領域が設けられている(ダミー片20e、20f)。とともに、配列シート1、1A〜1Eとは異なり、経線方向に配置された一列の樹脂基板10と、この列を構成する樹脂基板10の隣の列の樹脂基板10との各間にもダミー領域である領域が設けられている(ダミー片20d、20f)。この列間の領域の緯線方向長はj2である。
【0103】
このように配列シート1Fは、経線方向に見ても、緯線方向に見てもダミー領域を設けているが、その設けている目的は、すでに図1を参照して説明したものと同様である。枠部30Aも、枠部30(図1を参照)と同様の理由により存在する。
【0104】
このような配列シート1Fでは、ダイシングの際、緯線方向のカッティングについては、以上説明した配列シート1、1A〜1Eと同様の方法が利用できる。とともに、経線方向のカッティングについても、緯線方向と経線方向とを入れ替えて考えることで、同様の方法の利用が可能である。位置あわせマークパターンについても、この図13での図示は、図1での図示と同様の場合を示しているが、図8に示したものと同様の考えでマークパターンを設けることができる。同様に、図9、図10、図11、図12に示したものと同様の考えでマークパターンを設けることができる。
【符号の説明】
【0105】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F…樹脂基板配列シート、1d…樹脂基板配列シート(ダイシング途上)、1dd…樹脂基板配列シート(次のダイシング途上)、1ddd…樹脂基板配列シート(ダイシング済み)、2a,2b,3a,3b,4a,4b,5a,5b,5c,6a,6b,7a,7b,8a,8b…位置合わせマークパターン、10…樹脂基板、20,20a,20d,20e,20f…ダミー片、30,30A…枠部、31…ダイシングテープ、32…ダイシングフレーム、51…銅板(スティフナー)、52…絶縁層、53…絶縁層、54…はんだレジスト、55…半導体チップ、56…めっきビア(縦方向導電体)、57…配線パターン、58…めっきビア、59…配線パターン、61…絶縁層、62…絶縁層、63…絶縁層、64…はんだレジスト、65…はんだレジスト、66…配線パターン、67…めっきビア、68…配線パターン、69…めっきビア、70…アンダーフィル樹脂、71…半導体チップ、72…めっきビア、73…配線パターン、74…めっきビア、75…配線パターン、76…表面実装型受動素子部品、77…はんだ、78…モールド樹脂、211,212,213,214,215,216,217…絶縁層、221,222,223,224,225,226,227,228…配線層(配線パターン)、231,232,233,234,235,236,237…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプ)、241…表面実装型受動素子部品、251…はんだ、261,262…はんだレジスト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と、
前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と、
前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と、
前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと
を具備することを特徴とする樹脂基板配列シート。
【請求項2】
経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と、
前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と、
前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と、
前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと
を具備することを特徴とする樹脂基板配列シート。
【請求項3】
前記枠部領域上であって、前記最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた、前記位置合わせパターンとはパターン形状が異なる第2の位置合わせマークパターンをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の樹脂基板配列シート。
【請求項4】
前記枠部領域上であって、前記最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた、前記位置合わせパターンとはパターン形状が異なる第2の位置合わせマークパターンをさらに具備することを特徴とする請求項2記載の樹脂基板配列シート。
【請求項5】
経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と、
前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と、
前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と、
前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと
を具備することを特徴とする樹脂基板配列シート。
【請求項6】
経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と、
前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と、
前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と、
前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと
を具備することを特徴とする樹脂基板配列シート。
【請求項7】
前記位置合わせマークパターンのそれぞれが、緯線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、経線方向の全幅をもち、かつ経線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、緯線方向の全幅をもつパターンであることを特徴とする請求項5または6記載の樹脂基板配列シート。
【請求項8】
経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を有する樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法であって、
前記位置合わせマークパターンどうしを結ぶ緯線から経線方向に、前記複数の樹脂基板のうちのひとつの樹脂基板の経線方向長分だけオフセットさせた緯線に倣いカッティングする第1のステップと、
前記第1のステップに続いて、前記ひとつの樹脂基板の前記経線方向長分に前記複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分だけ、前回のカッティング位置から経線方向にオフセットさせた緯線に倣い、繰り返しカッティングする第2のステップと、
前記第2のステップに続いて、前記位置合わせマークパターンどうしを結ぶ前記緯線に倣いカッティングする第3のステップと、
前記第3のステップに続いて、前記ひとつの樹脂基板の前記経線方向長分に前記複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する前記経線方向長分を加えた分だけ、前回のカッティング位置から経線方向にオフセットさせた緯線に倣い、繰り返しカッティングする第4のステップと、
前記樹脂基板配列シートを経線方向に順次カッティングする第5のステップと
を具備することを特徴とする、樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法。
【請求項1】
経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と、
前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と、
前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と、
前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと
を具備することを特徴とする樹脂基板配列シート。
【請求項2】
経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と、
前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と、
前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と、
前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと
を具備することを特徴とする樹脂基板配列シート。
【請求項3】
前記枠部領域上であって、前記最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた、前記位置合わせパターンとはパターン形状が異なる第2の位置合わせマークパターンをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の樹脂基板配列シート。
【請求項4】
前記枠部領域上であって、前記最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた、前記位置合わせパターンとはパターン形状が異なる第2の位置合わせマークパターンをさらに具備することを特徴とする請求項2記載の樹脂基板配列シート。
【請求項5】
経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と、
前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と、
前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と、
前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと
を具備することを特徴とする樹脂基板配列シート。
【請求項6】
経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と、
前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と、
前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と、
前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と、前記複数の行間領域のうちの前記最端行の樹脂基板の隣に位置する行間領域とを区分する緯線方向の線分の端部2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと
を具備することを特徴とする樹脂基板配列シート。
【請求項7】
前記位置合わせマークパターンのそれぞれが、緯線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、経線方向の全幅をもち、かつ経線方向のカッティングで発生する消失幅より大きな、緯線方向の全幅をもつパターンであることを特徴とする請求項5または6記載の樹脂基板配列シート。
【請求項8】
経緯それぞれの方向に配列された、それぞれが矩形状の複数の樹脂基板と;前記複数の樹脂基板のうちの緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板と、該それぞれの行配置の樹脂基板の隣に位置する行配置の樹脂基板との各間に設けられた、ダミー領域として機能する複数の行間領域と;前記複数の樹脂基板と前記複数の行間領域とで占められる領域の全体を取り囲んで取られた枠部領域と;前記枠部領域上であって、前記緯線方向に配置されたそれぞれの行配置の樹脂基板のうちの最端行の樹脂基板と前記枠部領域とを区分する緯線の両延長上2箇所に設けられた位置合わせマークパターンと;を有する樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法であって、
前記位置合わせマークパターンどうしを結ぶ緯線から経線方向に、前記複数の樹脂基板のうちのひとつの樹脂基板の経線方向長分だけオフセットさせた緯線に倣いカッティングする第1のステップと、
前記第1のステップに続いて、前記ひとつの樹脂基板の前記経線方向長分に前記複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する経線方向長分を加えた分だけ、前回のカッティング位置から経線方向にオフセットさせた緯線に倣い、繰り返しカッティングする第2のステップと、
前記第2のステップに続いて、前記位置合わせマークパターンどうしを結ぶ前記緯線に倣いカッティングする第3のステップと、
前記第3のステップに続いて、前記ひとつの樹脂基板の前記経線方向長分に前記複数の行間領域のそれぞれが経線方向に有する前記経線方向長分を加えた分だけ、前回のカッティング位置から経線方向にオフセットさせた緯線に倣い、繰り返しカッティングする第4のステップと、
前記樹脂基板配列シートを経線方向に順次カッティングする第5のステップと
を具備することを特徴とする、樹脂基板配列シートからの樹脂基板の個片化方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−253294(P2012−253294A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126924(P2011−126924)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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