説明

樹脂封止コンデンサ

【課題】簡単な構成でありながらも、ケース内への樹脂充填を円滑に行え、樹脂のケース外への漏れを防止できるとともに、気泡の残留を抑え、確実な樹脂充填を行うことができる樹脂封止コンデンサを提供する。
【解決手段】コンデンサ素子2に第1、2の電極板4、5を接続しケース3に収納するとともに樹脂6を充填した樹脂封止コンデンサであって、第1、第2の電極板4、5は、ケース側壁3bに沿って延在する側壁側電極板4a、5aと、この側壁側電極板4a、5aと一体的に、かつケース開口部3c側でコンデンサ素子2を覆うように形成される開口部側電極板4b、5bとを有し、ケース底面3aからケース開口部3c側へ向かう方向において、第1、第2の電極板4、5の開口部側電極板4b、5bの自由端4c、5cの位置を互いに異ならせ、自由端4c、5c間に隙間7を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンデンサ素子を電極板で接続しケースに収納し樹脂で封止した樹脂封止コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のコンデンサ素子をケースに収納し樹脂を充填したコンデンサでは、安定した接続が可能で、且つ低抵抗化や低インダクタンス化を図ることができるといった理由等から、コンデンサ素子を電極板(例えば銅バー)で接続する場合が多い(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−245170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図6に示すように、ケース12に収納されたコンデンサ素子11の上面を覆うようにして、一対の電極板13、14を配置したコンデンサ10では、ケース12内に充填材(エポキシ樹脂等)を充填する際、樹脂の粘度や表面張力等によって、樹脂が電極板13、14上に留まり、ケース開口部12aから溢れ出す虞がある。特に、更なる低抵抗化や低インダクタンス化を図るために、電極板13、14の面積を大きくした場合、一対の電極板13、14によって、コンデンサ素子11上面の略全体が覆われることとなるため、電極板13、14が障害となって、樹脂がコンデンサ素子11側(ケース底面12b側)へ流れ込み難くなり、そのため、樹脂の注入位置を変えたり、時間をかけて樹脂を充填する等の対策が必要となっていた。
【0005】
また、電極板13、14のケース開口部12a側に位置する部位13a、14aが略水平とされているため、この部位13a、14aの下面に気泡が溜まり易くなっていた。
【0006】
さらに、電極板13、14がコンデンサ素子11を覆うような形状(逆L字状)であるため、電極板13、14のケース側壁12c側に位置する部位13b、14b(略垂直とされた部位)と、ケース開口部12a側に位置する部位13a、14a(略水平とされた部位)とで囲まれた部分、すなわち電極板13、14の折曲部13c、14cの内側に気泡が溜まり易くなっていた。
【0007】
そこで、この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、簡単な構成でありながらも、ケース内への樹脂充填を円滑に行え、樹脂のケース外への漏れを防止できるとともに、気泡の残留を抑え、確実な樹脂充填を行うことができる樹脂封止コンデンサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の樹脂封止コンデンサは、端面に電極2a、2aを有するコンデンサ素子2の一方端面に第1の電極板4を接続し他方端面に第2の電極板5を接続しケース3に収納するとともに樹脂6を充填しケース3外方に外部接続端子4d、5dを引き出した樹脂封止コンデンサであって、上記第1、第2の電極板4、5は、ケース側壁3bに沿って延在する側壁側電極板4a、5aと、この側壁側電極板4a、5aと一体的に、かつケース開口部3c側でコンデンサ素子2を覆うように形成される開口部側電極板4b、5bとを有し、ケース底面3aからケース開口部3c側へ向かう方向において、第1、第2の電極板4、5の開口部側電極板4b、5bの自由端4c、5cの位置を互いに異ならせ、自由端4c、5c間に、ケース底面3aからケース開口部3cに向かう方向に開口する隙間7を設けたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明の他の樹脂封止コンデンサは、端面に電極2a、2aを有するコンデンサ素子2の一方端面に第1の電極板4を接続し他方端面に第2の電極板5を接続しケース3に収納するとともに樹脂6を充填しケース3外方に外部接続端子4d、5dを引き出した樹脂封止コンデンサであって、上記第1、第2の電極板4、5は、ケース側壁3bに沿って延在する側壁側電極板4a、5aと、この側壁側電極板4a、5aと一体的に、かつケース開口部3c側でコンデンサ素子2を覆うように形成される開口部側電極板4b、5bとを有し、少なくともいずれか一方の電極板4、5の開口部側電極板4b、5bを、ケース開口部3c側に向けて傾斜させたことを特徴としている。
【0010】
また、第1、第2の電極板4、5は、側壁側電極板4a、5aと開口部側電極板4b、5bとの間に設けられた折曲部4f、5fを有し、ケース底面3aからケース開口部3c側へ向かう方向において、第1、第2の電極板4、5の折曲部4f、5fの位置を互いに異ならせている。
【0011】
さらにまた、本発明のさらに他の樹脂封止コンデンサは、端面に電極2a、2aを有するコンデンサ素子2の一方端面に第1の電極板4を接続し他方端面に第2の電極板5を接続しケース3に収納するとともに樹脂6を充填しケース3外方に外部接続端子4d、5dを引き出した樹脂封止コンデンサであって、上記第1、第2の電極板4、5は、ケース側壁3bに沿って延在する側壁側電極板4a、5aと、この側壁側電極板4a、5aと一体的に、かつケース開口部3c側でコンデンサ素子2を覆うように形成される開口部側電極板4b、5bと、側壁側電極板4a、5aと開口部側電極板4b、5bとの間に設けられた折曲部4f、5fと、この折曲部4f、5fに設けられた貫通孔4g、5gとを具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
この発明の樹脂封止コンデンサによれば、ケース底面からケース開口部側へ向かう方向において、第1、第2の電極板の開口部側電極板の自由端の位置を互いに異ならせた、すなわち、開口部側電極板同士を同一面上に位置させず、段違いとなるようにし、自由端間に、ケース底面からケース開口部側に向かう方向に開口する隙間を設けたため、この隙間から樹脂をコンデンサ素子側に浸入させることができる。そのため、ケース内への樹脂の流れ込みが円滑となり、樹脂を充填する位置を変えなくても樹脂のケース外への溢れを防止することができるとともに、短時間のうちに樹脂の充填を完了することが可能となる。
【0013】
また、この発明の他の樹脂封止コンデンサによれば、少なくともいずれか一方の電極板の開口部側電極板を、ケース開口部側に向かって傾斜させているため、傾斜させた開口部側電極板の下面(コンデンサ素子側の面)の気泡を無理なく外部に放出させることができ、気泡の残留を抑えた、確実な樹脂充填を行うことができる。
【0014】
また、この発明のさらに他の樹脂封止コンデンサによれば、電極板の折曲部に貫通孔を設けているため、この貫通孔を介して、折曲部内側の気泡を外部に放出させることができ、折曲部内側での気泡の残留を抑えた、確実な樹脂充填を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る樹脂封止コンデンサを示す斜視図である。
【図2】同じくその分解斜視図である。
【図3】同じくその断面図である。
【図4】本発明の異なる実施形態の樹脂封止コンデンサを示す断面図である。
【図5】本発明のさらに異なる実施形態の樹脂封止コンデンサを示す断面図である。
【図6】従来の樹脂封止コンデンサを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の樹脂封止コンデンサ1の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の樹脂封止コンデンサ1は、図1乃至図3に示すように、複数(例えば3個)のコンデンサ素子2・・と、第1、第2の電極板4、5とを接続した状態でケース3内に収納し、ケース3内に樹脂6を充填することで構成されている。
【0017】
コンデンサ素子2は、例えば絶縁性のフィルム上に金属が蒸着された金属化フィルムを巻回することでなるフィルムコンデンサであって、図2乃至図3に示すように、軸方向両端部に金属を溶射してなるメタリコン電極部(電極)2a、2aが形成されている。また、コンデンサ素子2は扁平状とされており、側面両側に平坦部を有している。なお、コンデンサ素子2としては、フィルムコンデンサに限らず、公知の種々のコンデンサ素子が使用可能である。また、その形状も扁平円筒状に限らず、立方体状等でも良い。
【0018】
ケース3は、図2乃至図3に示すように、平面視長方形のケース底面部3aと、ケース底面部3aの4辺から上方に向かって延設されたケース側壁3b・・とからなり、内部に複数のコンデンサ素子2・・及び第1、第2の電極板4、5を収納可能な空間を備えた中空立方体とされている。また、ケース3には、ケース底面部3aと対向する面、すなわち、ケース上端面に開口部3cが設けられている。
【0019】
第1の電極板4は、図2乃至図3に示すように、垂直方向に延設され、ケース3に収納された際、ケース側壁3bに沿って延在する側壁側電極板4aと、この側壁側電極板4aの上端部から水平方向に向かって延設され、ケース3に収納された際、ケース開口部3c側に位置される開口部側電極板4bと、この開口部側電極板4bの側壁側電極板4aが連結されている側とは反対側の端部、すなわち、開口部側電極板4bの自由端4c側から上方に向かって延設され、ケース3に収納された際、ケース開口部3cからケース3外方へ突出し、外部の電気機器との接続を可能とする外部接続端子4dと、側壁側電極板4aの下端部から下方に向かって延設され、コンデンサ素子2のメタリコン電極部2aとの接続に用いられる接続片4eとから構成されている。なお、第1の電極板4は、例えば、銅等の金属板をプレス成形することで一体的に形成することが好ましいが、それぞれの部位を別体で形成し、半田等で一体としても良い。
【0020】
側壁側電極板4aは、図2乃至図3に示すように、垂直方向の幅がコンデンサ素子2のメタリコン電極部2aを略半分覆うことができる幅とされている。また、開口部側電極板4bは、コンデンサ素子2の側面(図において上面側)を半分以上(例えば3/4程度)覆うことができる幅とされている。また、外部接続端子4dは、開口部側電極板4bの自由端4cの3箇所から略等間隔に延設されており、また、接続片4eにおいては、1個のコンデンサ素子2に対して2個ずつ、計6個延出されている。なお、外部接続端子4dや接続片4eの数は、上記に限らず、コンデンサ素子2の数や電流量に合わせて適宜変更可能である。
【0021】
また、第1の電極板4には、図2乃至図3に示すように、側壁側電極板4aと開口部側電極板4bとの境界部、すなわち折曲部4fに貫通孔4gが形成されている。具体的には、側壁側電極板4aと開口部側電極板4bとに跨るようにして、折曲部4fの外側と内側とを連通する貫通孔4gが形成されている。なお、この貫通孔4gは、図2に示すように、第1の電極板4と複数のコンデンサ素子2・・とを接続した場合に、コンデンサ素子2、2間の隙間に位置されるように設けることが好ましい。ただ、これに限らず、折曲部4fであれば、いずれの位置に設けても良いし、また、その数もコンデンサ素子2の数等に合わせて適宜変更可能である。
【0022】
第2の電極板5は、図2乃至図3に示すように、垂直方向に延設され、ケース3に収納された際、ケース側壁3bに沿って延在する側壁側電極板5aと、この側壁側電極板5aの上端部から水平方向に向かって延設され、ケース3に収納された際、ケース開口部3c側に位置される開口部側電極板5bと、この開口部側電極板5bの側壁側電極板5aが連結されている側とは反対側の端部、すなわち、開口部側電極板5bの自由端5c側から上方に向かって延設され、ケース3に収納された際、ケース3外方へ突出し、外部の電気機器との接続を可能とする外部接続端子5dと、側壁側電極板5aの下端部から下方に向かって延設され、コンデンサ素子2のメタリコン電極部2aとの接続に用いられる接続片5eとから構成されている。すなわち、第2の電極板5は、第1の電極板4と略同形状とされている。
【0023】
但し、第2の電極板5の側壁側電極板5aは、第1の電極板4の側壁側電極板4aよりも垂直方向に長く形成されており、コンデンサ素子2への接続位置(高さ)を揃えた場合、第1の電極板4の折曲部4fや開口部側電極板4bより、第2の電極板5の折曲部5fや開口部側電極板5bのほうが上方に位置されるようになっている。また、第2の電極板5の開口部側電極板5bの幅は、第1の電極板4の開口部側電極板4bと合わせて、コンデンサ素子2の側面(図において上面側)の略全体を覆うことができる幅(例えば1/4程度)とされている。さらに、第2の電極板5の外部接続端子5dは、コンデンサ素子2へ接続した際に、第1の電極板4の外部接続端子4dと高さが略同一となるように、第1の電極板4の外部接続端子4dより短く形成されている。また、第2の電極板5の外部接続端子5dは、第1の電極板4の外部接続端子4dと接触しないように、第1の電極板4の外部接続端子4dとは異なる位置から延設されている。なお、第2の電極板5は、第1の電極板4と同様に、例えば、銅等の金属板をプレス成形することで一体的に形成することが好ましいが、それぞれの部位を別体で形成し、半田等で一体としても良い。
【0024】
また、第2の電極板5においても、図2乃至図3に示すように、側壁側電極板5aと開口部側電極板5bとの境界部、すなわち折曲部5fに貫通孔5gが形成されている。具体的には、側壁側電極板5aと開口部側電極板5bとに跨るようにして、折曲部5fの外側と内側とを連通する貫通孔5gが形成されている。この貫通孔5gは、図2に示すように、第2の電極板5と複数のコンデンサ素子2・・とを接続した場合に、コンデンサ素子2、2間の隙間に位置されるように設けることが好ましい。ただ、これに限らず、折曲部5fであれば、いずれの位置に設けても良い。
【0025】
次に、樹脂封止コンデンサ1の組立について詳細に説明する。まず、3個のコンデンサ素子2・・を、軸方向が互いに平行となるように並設するとともに、一方のメタリコン電極部2aと、第1の電極板4の接続片4eとを半田等で接続し、さらに、他方のメタリコン電極部2aと、第2の電極板5の接続片5eとを半田等で接続して、コンデンサ素子2・・と第1、第2の電極板4、5とを一体化する。この際、図3に示すように、第1の電極板4の開口部側電極板4bと、第2の電極板5の開口部側電極板5bとが、互いに近接する方向に向くように、且つ第1、第2の電極板4、5の開口部側電極板4b、5bがコンデンサ素子2・・を覆うように、さらに、第2の電極板5の折曲部5f及び開口部側電極板5bが、第1の電極板4の折曲部4f及び開口部側電極板4bより上方に位置するようにして、第1、第2の電極板4、5をコンデンサ素子2のメタリコン電極部2a、2aにそれぞれ接続する。なお、この状態において、第1の電極板4の外部接続端子4dと、第2の電極板5の外部接続端子5dとは、図3に示すように、同一面上に位置される。
【0026】
そして、一体となったコンデンサ素子2・・と第1、第2の電極板4、5とを、コンデンサ素子2・・のメタリコン電極部2aや第1、第2の電極板4、5の側壁側電極板4a、5aが、ケース側壁3bに対向するように、また、第1、第2の電極板4、5の開口部側電極板4b、5bがケース開口部3c側に位置するように、さらに、第1、第2の電極板4、5の外部接続端子4d、5dが、ケース開口部3cからケース3外方へ突出するようにしてケース3内に収納し、その後、ケース3内に例えばエポキシ樹脂等の樹脂6を充填する。
【0027】
樹脂6は、開口部側電極板4b、5bの上方から充填される。そのため、樹脂6はそれ自身の粘度や表面張力等によって、開口部側電極板4b、5bの上面に留まろうとするが、第1の電極板4の開口部側電極板4bの自由端4cと、第2の電極板5の開口部側電極板5bの自由端5cとの間に、上下方向(ケース底面3aからケース開口部3cに向かう方向)に開口する隙間7が形成されているため、図3の一点鎖線矢印で示すように、この隙間7からコンデンサ素子2側へ樹脂6が流れ込む。そのため、樹脂充填に必要な時間が、第1の電極板4の開口部側電極板4bと第2の電極板5の開口部側電極板5bとを略同一平面上に位置させたもの(例えば図6)に比べて、大幅に短縮されるとともに、樹脂6のケース開口部3cからの溢れを防止することができる。また、折曲部4f、5fに貫通孔4g、5gが形成されているため、開口部側電極板4b、5bのコンデンサ素子2側の面と、側壁側電極板4a、5aのコンデンサ素子2側の面とで囲まれた部分、すなわち、折曲部4f、5fの内側に溜まった気泡が、図3の実線矢印で示すように、貫通孔4g、5gを通じて外部に放出され易くなり、気泡の残留を抑えた、確実な樹脂充填を行うことができる。
【0028】
次に、本発明の異なる実施形態の樹脂封止コンデンサ1について、図4に基づいて詳細に説明する。
【0029】
この本発明の異なる実施形態の樹脂封止コンデンサ1では、第1の電極板4と第2の電極板5の双方において、側壁側電極板4a、5aと開口側電極板4b、5bとが成す角が鈍角とされ、開口部側電極板4b、5bがケース開口部3c側に向かって傾斜している、すなわち、開口部側電極板4b、5bが側壁側電極板4a、5aから離れるに従って上方(ケース開口部3c側)に位置するように傾斜している点で、上記実施形態の樹脂封止コンデンサ1とは異なっている。
【0030】
この実施例においては、開口部側電極板4b、5bがケース開口面に対して角度を有しているため、樹脂6が開口部側電極板4b、5b上に留まらず、ケース3と側壁側電極板4a、5aとの間の隙間に流れ込み、ケース開口部3cからの樹脂6の溢れを防止することができる。また、図3に示す実施例においては、コンデンサ素子2の上面側に位置する開口部側電極板4b、5bが略水平とされているため、開口部側電極板4b、5bのコンデンサ素子2側(下面側)に気泡が溜まり易くなっていたが、この実施例においては、開口部側電極板4b、5bが傾斜していることで、図4の実線矢印で示すように、気泡が開口部側電極板4b、5bの下面から外部に放出され易くなり、気泡の残留を抑えた、確実な樹脂充填を行うことができるといった作用効果を奏する。
【0031】
なお、他の部分においては、上記実施形態と略同形状とされ、また、同様の作用効果を奏することから同符号を付し、説明を省略している。また、図4においては、第1の電極板4の開口部側電極板4bの自由端4cと、第2の電極板5の開口部側電極板5bの自由端5cとが、略同位置(高さ)とされているが、いずれか一方が他方より上方に位置するようにしても良い。この場合、開口部側電極板4b、5b間に上下方向に開口する隙間7が生じるため、そこから樹脂6をコンデンサ素子2側に浸入させることができ、樹脂6の充填時間を大幅に短縮することができるとともに、樹脂6のケース開口部3cからの溢れを防止することができるといった上記実施例と同様の作用効果を奏することができる。
【0032】
以上に、この発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施例においては、第2の電極板5の折曲部5fが、第1の電極板4の折曲部4fより上方に位置するように構成されていたが、図5(a)(b)に示すように、折曲部4f、5fの高さを略同一としても良い。また、図5(a)に示すように、開口部側電極板4b、5bを第1、第2の電極板4、5双方とも傾斜させず、いずれか一方(図においては第2の電極板5の開口部側電極板5b)のみを傾斜させるようにしても良い。この場合においても、開口部側電極板4b、5b間に隙間7が形成されるため、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、隙間7としては、1mm以上とすることが好ましい。
【0033】
また、上記実施例においては、第2の電極板5の側壁側電極板5aを、第1の電極板4の側壁側電極板4aより長く形成していたが、第2の電極板5の側壁側電極板5aのコンデンサ素子2への接続位置を、第1の電極板4の側壁側電極板4aよりも上方で行って、結果として、第2の電極板5の折曲部5fが、第1の電極板4の折曲部4fより上となるようにしても良い。また、第2の電極板5の折曲部5fを、第1の電極板4の折曲部4fより上となるように形成するとしていたが、第1の電極板4の折曲部4fが、第2の電極板5の折曲部5fより上となるように形成しても良い。
【0034】
さらに、上記実施例においては、開口部側電極板4b、5bと側壁側電極板4a、5aとに跨って貫通孔4g、5gが形成されていたが、いずれか一方にのみ貫通孔4g、5gを設けても良い。また、第1、第2の電極板4、5の折曲部4f、5fにそれぞれ貫通孔4g、5gを設けているが、いずれか一方の電極板4、5にのみ設けても良く、さらに貫通孔4g、5g自体を設けなくても良い。また、折曲部4f、5fに形成された貫通孔4g、5gの形状は、上記実施例に限定されること無く、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0035】
2・・コンデンサ素子、2a・・メタリコン電極部(電極)、3・・ケース、3a・・ケース底面、3b・・ケース側壁、3c・・ケース開口部、4・・第1の電極板、4a、5a・・側壁側電極板、4b、5b・・開口部側電極板、4c、5c・・自由端、4d、5d・・外部接続端子、4f、5f・・折曲部、4g、5g・・貫通孔、5・・第2の電極板、6・・樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面に電極(2a)(2a)を有するコンデンサ素子(2)の一方端面に第1の電極板(4)を接続し他方端面に第2の電極板(5)を接続しケース(3)に収納するとともに樹脂(6)を充填しケース(3)外方に外部接続端子(4d)(5d)を引き出した樹脂封止コンデンサであって、上記第1、第2の電極板(4)(5)は、ケース側壁(3b)に沿って延在する側壁側電極板(4a)(5a)と、この側壁側電極板(4a)(5a)と一体的に、かつケース開口部(3c)側でコンデンサ素子(2)を覆うように形成される開口部側電極板(4b)(5b)とを有し、ケース底面(3a)からケース開口部(3c)側へ向かう方向において、第1、第2の電極板(4)(5)の開口部側電極板(4b)(5b)の自由端(4c)(5c)の位置を互いに異ならせ、自由端(4c)(5c)間に、ケース底面(3a)からケース開口部(3c)に向かう方向に開口する隙間(7)を設けたことを特徴とする樹脂封止コンデンサ。
【請求項2】
端面に電極(2a)(2a)を有するコンデンサ素子(2)の一方端面に第1の電極板(4)を接続し他方端面に第2の電極板(5)を接続しケース(3)に収納するとともに樹脂(6)を充填しケース(3)外方に外部接続端子(4d)(5d)を引き出した樹脂封止コンデンサであって、上記第1、第2の電極板(4)(5)は、ケース側壁(3b)に沿って延在する側壁側電極板(4a)(5a)と、この側壁側電極板(4a)(5a)と一体的に、かつケース開口部(3c)側でコンデンサ素子(2)を覆うように形成される開口部側電極板(4b)(5b)とを有し、少なくともいずれか一方の電極板(4)(5)の開口部側電極板(4b)(5b)を、ケース開口部(3c)側に向けて傾斜させたことを特徴とする樹脂封止コンデンサ。
【請求項3】
第1、第2の電極板(4)(5)は、側壁側電極板(4a)(5a)と開口部側電極板(4b)(5b)との間に設けられた折曲部(4f)(5f)を有し、ケース底面(3a)からケース開口部(3c)側へ向かう方向において、第1、第2の電極板(4)(5)の折曲部(4f)(5f)の位置を互いに異ならせたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂封止コンデンサ。
【請求項4】
端面に電極(2a)(2a)を有するコンデンサ素子(2)の一方端面に第1の電極板(4)を接続し他方端面に第2の電極板(5)を接続しケース(3)に収納するとともに樹脂(6)を充填しケース(3)外方に外部接続端子(4d)(5d)を引き出した樹脂封止コンデンサであって、上記第1、第2の電極板(4)(5)は、ケース側壁(3b)に沿って延在する側壁側電極板(4a)(5a)と、この側壁側電極板(4a)(5a)と一体的に、かつケース開口部(3c)側でコンデンサ素子(2)を覆うように形成される開口部側電極板(4b)(5b)と、側壁側電極板(4a)(5a)と開口部側電極板(4b)(5b)との間に設けられた折曲部(4f)(5f)と、この折曲部(4f)(5f)に設けられた貫通孔(4g)(5g)とを具備することを特徴とする樹脂封止コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−33845(P2013−33845A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169033(P2011−169033)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(390022460)株式会社指月電機製作所 (99)
【Fターム(参考)】