説明

樹脂成形品取出し機及び樹脂成形品処理方法

【課題】樹脂成形機から取出された樹脂成形品を樹脂成形機外に開放するまでの途中で所要の処理を実行することにより樹脂成形品の取出し時間が長くなるのを防止する。また、樹脂成形品に対して所要の処理を実行する際に、樹脂成形品の振動を短時間に収束させて樹脂成形品の処理時間を短縮する。
【解決手段】金型及び開放位置に至るチャックユニット(19)の経路途中に処理手段(35)を配置し、チャックユニット(19)が処理手段(35)の位置に停止した際に、静止手段(37・39)によりチャックユニット(19)の振動を収束して静止する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形機から樹脂成形品を自動的に取出す樹脂成形品取出し機、詳しくは金型から取出された樹脂成形品を、樹脂成形機の操作側又は反操作側に設定される成形品開放位置に至るまでの間にチャックに保持された樹脂成形品に対して所要の処理を行う樹脂成形品取出し機及び樹脂成形品処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すように樹脂成形機から取出された樹脂成形品を撮像する撮像手段及び照明手段を筺体内に収容した検査装置を樹脂成形機の横に配置し、多関節ロボットに把持された樹脂成形品を検査装置の保持部により保持した後に撮像手段により撮像し、その撮像データを判定基準値に基づいて判定することにより樹脂成形品の外観を検査処理する検査装置が知られている。
【0003】
しかし、上記検査装置にあっては、金型から取出されて樹脂成形機の横へ移動された樹脂成形品を、検査装置の保持に保持させた後に撮像して検査処理するため、多関節ロボットに把持された樹脂成形品を検査装置の保持部へ受け渡すのに時間がかかる結果、多関節ロボット自体、次に樹脂成形品取出し動作へ戻れない、従って樹脂成形品の取出しサイクルが長くなる問題を有している。
【0004】
また、多関節ロボットに把持された樹脂成形品を検査装置の保持部へ受け渡す際には、受け渡し位置へ移動停止された多関節ロボット自体、その移動停止時に振動しているため、振動が受け渡し可能な状態へ収束するのに時間がかかり、直ちに受け渡し動作へ移行できない問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−110899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、樹脂成形機から取出された樹脂成形品を樹脂成形機の横に配置された処理装置の保持部に受け渡して処理するため、樹脂成形品の取出し時間が長くなる点にある。また、樹脂成形品を処理装置の保持部に受け渡すには、取出し動作の移動停止時に樹脂成形品自体が振動しているため、この振動が収束するまでに時間がかかり、樹脂成形品の処理時間が長くなる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、樹脂成形品を保持するチャックユニットを樹脂成形機の金型と該樹脂成形機外の開放位置の間で移動制御して樹脂成形品を取出す樹脂成形品取出し機において、上記金型及び開放位置に至るチャックユニットの経路途中に配置され、該チャックユニットに保持された樹脂成形品に対して所望の処理を実行する処理手段と、上記処理手段と共に設けられ、上記チャックユニットが処理手段に相対して移動停止された際に、該チャックユニットの振動を収束して静止する静止手段とを備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、樹脂成形機から取出された樹脂成形品を樹脂成形機外に開放するまでの途中で所要の処理を実行することにより樹脂成形品の取出し時間が長くなるのを防止することができる。また、樹脂成形品に対して所要の処理を実行する際に、樹脂成形品の振動を短時間に収束させて樹脂成形品の処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】樹脂成形品取出し機の概略を示す全体斜視図である。
【図2】樹脂成形品処理個所を拡大して示す部分斜視図である。
【図3】静止手段における可動側アタッチメント及び固定側アタッチメントの中央縦断面図である。
【図4】処理動作を実行するための制御概略を示す電気的ブロック図である。
【図5】チャックユニットを処理位置に停止させた状態を示す説明図である。
【図6】固定側アタッチメントに対する可動側アタッチメントの係合状態を示す説明図である。
【図7】固定側アタッチメントから可動側アタッチメントを突出す状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、金型及び開放位置に至るチャックユニットの経路途中に処理手段を配置し、チャックユニットが処理手段の位置に停止した際に、静止手段によりチャックユニットの振動を収束して静止することを最良の実施形態とする。
【実施例1】
【0011】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至図3に示すように、樹脂成形品取出し機1は、樹脂成形機(図示せず)の固定側プラテン5の上面に固定され、該樹脂成形機の中心軸線と直交する左右方向へ延出し、一方端部が後述する金型の上方及び他方端部が樹脂成形機の操作側又は反操作側に至る長さの本体フレーム7と、該本体フレーム7上を上記左右方向へ移動するように支持される左右走行体9と、該左右走行体9に上記中心軸線と一致する前後方向へ延出して固定された前後フレーム11上を前後方向へ移動するように支持される前後走行体13と、該前後走行体13に対して上記中心軸線と直交する上下方向へ昇降するように設けられる上下アーム15と、該上下アーム15の下部に設けられ、樹脂成形品17を保持するチャックユニット19から構成される。
【0012】
上記チャックユニット19のチャック板19a上部には、吸着パッド等の多数個の保持部材19bが取付けられる。また、該チャックユニット19は、上記上下アーム15の下端部に対して180度、回動する姿勢回動部材19cを介して取付けられ、樹脂成形品17の保持面を可動側の金型又は固定側の金型に対して選択的に相対するように姿勢制御される。更に、上記チャック板19の下部には、後述する可動側アタッチメント39が取付けられる。
【0013】
なお、上記左右走行体9、前後走行体13及び上下アーム15には、数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ(図示せず)がそれぞれ駆動連結され、これら電動モータの駆動に伴ってそれぞれの方向へ移動される。また、上記樹脂成形機は、上記固定側プラテン5と可動側プラテン(図示せず)の間にて上記中心軸線と一致する方向に軸線を有して横架されたタイバー(図示せず)に可動盤(図示せず)が摺動するように支持され、固定側プラテン5及び可動盤には、相対する金型(図示せず)が取り付けられた公知の構造である。
【0014】
上記本体フレーム7における他方端部側の処理位置には、処理手段としてのカメラ35及び静止手段の一部を構成する固定側アタッチメント37が樹脂成形品17の開放位置に至る経路途中に取付けられる。また、上記チャックユニット19におけるチャック板19aの上部には、静止手段の一部を構成する可動側アタッチメント39が固定側アタッチメント37に対して相対可能に取付けられる。
【0015】
上記カメラ35及び固定側アタッチメント37は、基端部が本体フレーム7に固定されて上記前後方向へ所定の長さで延出する固定アーム40の先端側にそれぞれ固定され、カメラ35は、保持面が固定側の金型に相対するように姿勢制御されたチャックユニット19の保持部材19bに保持された樹脂成形品17に対して所要の間隔をおいて相対するように取付けられる。また、固定側アタッチメント37は、保持面が固定側の金型に相対するように姿勢制御されたチャックユニット19における可動側アタッチメント39が相対するように取付けられる。
【0016】
上記可動側アタッチメント39の固定盤41に中央部には、後述するシリンダ部材43のシリンダ室を構成する横断面が円状の中空部41aが形成される。また、中空部41a周縁の固定盤41には、円筒状のボール支持部材45の基端部がねじ等により固着される。上記ボール支持部材45には、円筒の軸線と直交する方向に軸線を有した6個のボール支持孔45aが周方向へ等間隔に形成される。
【0017】
各ボール支持孔45aは、ボール支持部材45の内周面側が後述するロック用ボール47及び解除用ボール49の外径より若干大径で、かつボール支持部材45の外周面側がロック用ボール47及びロック解除用ボール49の外径より若干小径に形成され、ロック用ボール47及びロック解除用ボール49の一部が外周面から突出可能で、かつ抜け止め可能に支持される。
【0018】
そして1個おきに位置する3個のボール支持孔45a内には、ロック用ボール47が放射方向へ移動可能に支持される。また、同様にロック用ボール47が装着された3個のボール支持孔45a間に位置する各ボール支持孔45a内には、ロック解除用ボール49が放射方向へ移動可能に支持される。
【0019】
上記固定盤41の中空部41a内には、シリンダ部材43のピストン43aがボール支持部材45の軸線方向で、ロック解除位置とロック位置との間で摺動可能に支持される。上記ピストン43aの下部には、カム部材51が固着される。
【0020】
なお、上記ピストン43aは、中空部41a内に装着された圧縮ばね等の弾性部材53により、常にロック位置に位置するように付勢される。また、中空部41aの一方端部及び他方端部に位置する固定盤41には、エアー通路(図示せず)がそれぞれ形成され、各エアー通路を介して中空部41a内に圧縮空気を給気したり、排気したりする。更に、図は、ピストン43aとカム部材51を一体形成した例を示す。
【0021】
上記したカム部材51は、円柱形状で、ピストン9aがロック解除位置に移動された際に、その先端部が各ボール支持孔45a内に支持されたロック用ボール47及びロック解除用ボール49のほぼ中心に位置する軸線長さからなる。そしてカム部材51の外周面には、テーパ状のロック用傾斜溝51aが、ロック用ボール47が装着されたボール支持孔45aに相対して形成される。また、カム部材51の外周面には、テーパ状の突出し用傾斜溝51bが、ロック解除用ボール49が装着されたボール支持孔45aに相対して形成される。
【0022】
ロック用傾斜溝51aは、カム部材51の先端側が、ボール支持孔45a内に支持されたロック用ボール47の一部がボール支持部材45の外周面から非突出になるように収容する深さで、ピストン側に向かって深さが徐々に浅くなるように傾斜したテーパ状に形成される。
【0023】
反対に、突出し用傾斜テーパ面51bは、カム部材51の基端側が、対応するボール支持孔45a内に支持されたロック解除用ボール49の一部を、ボール支持部材45の外周面から非突出になるように収容する深さで、軸線方向先端に向かって深さが徐々に浅くなるように傾斜したテーパ状に形成される。
【0024】
なお、上記ボール支持部材45の両側に位置する固定盤41には、シリンダ部材43の作動方向に軸線を有し、先端部が先端に向かって徐々に小径になるテーパ状に形成された一対のパイロット軸(図示せず)の基端部が固着される。
【0025】
一方、固定側アタッチメント37における固定盤57の中心部には、後述するボール受け部材59が挿嵌される大きさの開口部57aが形成される。該固定盤57の開口部57aには、ボール支持部材45が挿嵌可能な大きさの中空部を有したボール受け部材59が挿嵌されてねじ等(図示せず)により固着される。
【0026】
該ボール受け部材59の内周面には、テーパ状の係合用傾斜溝59aが、ボール支持孔45a内に支持されたロック用ボール47に一致して形成される。また、係合用傾斜溝59a間に位置するボール受け部材59の内周面には、テーパ状の離脱用傾斜溝59bが、ボール支持孔45a内に支持されたロック解除用ボール49に一致して形成される。
【0027】
上記係合用傾斜溝59aは、可動側アタッチメント39の反対面側が、ロック位置に移動したカム部材51のロック用傾斜溝51aにより押圧されてボール支持部材45の外周面から突出したロック用ボール47の一部を収容する深さで、可動側アタッチメント39の相対面側に向かって深さが徐々に浅くなるように傾斜したテーパ状に形成される。
【0028】
反対に、離脱用傾斜溝59bは、可動側アタッチメント39の相対面側が、ロック解除位置に移動したカム部材51の突出し用傾斜溝51bにより押圧されてボール支持部材45の外周面から突出したロック解除用ボール49の一部を収容する深さで、可動側アタッチメント39の反対面側に向かって深さが徐々に浅くなるように傾斜したテーパ状に形成される。
【0029】
なお、ボール受け部材59の両側に位置する固定盤57には、パイロット軸の軸線と一致する方向に軸支孔を有した一対の軸支部材(いずれも図示せず)が、パイロット軸に一致して取付けられる。一対の軸支部材は、軸支孔内に挿嵌されるパイロット軸との協働により可動側アタッチメント39及び固定側アタッチメント37を位置決めする。
【0030】
樹脂成形品取出し機1の制御装置65は、上記チャックユニット19を左右方向、前後方向及び上下方向の三次元方向へ移動制御して樹脂成形機から樹脂成形品17を取出して操作側又は反操作側の開放位置にて開放して取出し動作を実行すると共にチャックユニット19に保持されて移動される樹脂成形品17を撮像するカメラ35からの撮像データに基づいて取出される樹脂成形品17の良品を判定する検査処理機能を備えている。
【0031】
図4に示すように上記制御装置65は、CPU66、上記検査処理機能を実行するプログラムデータが記憶されるプログラムデータ記憶領域67、処理位置データを記憶する処理位置データ記憶領域69、カメラ35からの撮像データを記憶する撮像データ記憶領域71、良品の樹脂成形品17に付いての画像データを記憶する基準画像データ記憶領域73及び比較処理部75により構成される。なお、上記比較処理部73には、比較処理を実行する際に撮像データ記憶領域71及び基準画像データ記憶領域73から読み込まれたそれぞれのデータを記憶するバッファ記憶領域を備えている。また、制御装置65に関しては、樹脂成形品17の取出し動作を実行する際の制御の詳細については、省略する。
【0032】
次に、上記樹脂成形品取出し機1による処理作用を説明する。
樹脂成形機〜樹脂成形の終了により型開信号が制御装置65へ出力されると、制御装置65は、それぞれの電動モータを選択的に駆動制御して固定側の金型上方の待機位置に待機していたチャックユニット19を下方向へ移動制御して型開した金型間に進入させた後、可動側の金型に近接して相対するように前進移動させる。
【0033】
この状態で樹脂成形機の突出し機構が作動されると、可動側の金型内に保持された樹脂成形品17をチャックユニット19に向かって突き出して保持部材19bに保持させた後、チャックユニット19を後退移動して樹脂成形品17を該金型内から取出した後、上方へ移動して待機位置へ戻し、次に開放位置に向かって移動させる。
【0034】
上記移動に伴ってチャックユニット19が処理位置へ移動されると、姿勢回動部材19cを作動してチャック板19aを180度、回動して保持部材19bに保持された樹脂成形品17をカメラ35に、また可動側アタッチメント39を固定側アタッチメント37にそれぞれ相対させる。このとき、上下アーム15及びチャックユニット19は、その停止動作及び回動動作により振動している。(図5参照)
【0035】
上記動作後、チャックユニット19を固定側プラテン5側へ移動して固定側アタッチメント37におけるボール受け部材59内に対して可動側アタッチメントにおけるボール支持部材45を挿嵌させる。次に、上記挿嵌状態にてシリンダ部材43を作動してカム部材51をロック解除位置から固定側アタッチメント37側のロック位置側へ移動させると、ボール支持孔45a内のロック用ボール47は、カム部材51の移動に伴ってロック用傾斜溝51aを摺接して放射方向外側へ移動してボール受け部材59の係合用傾斜溝59aに係合し、可動側アタッチメント39を固定側アタッチメント37に固定させる。(図6参照)
【0036】
上記作用により固定側アタッチメント37に対して可動側アタッチメント39を固定させることにより上下アーム15及びチャックユニット19の振動を静止させる。
【0037】
なお、他のボール支持孔45a内の解除用ボール49は、カム部材51の移動に伴ってボール受け部材59の離脱用傾斜溝59bを摺接して突出し用傾斜溝51b内に位置される。
【0038】
上記動作後、カメラ35によりチャックユニット19の保持部材19bに保持された樹脂成形品17を撮像し、その撮像データが撮像データ記憶領域71に記憶されると、制御装置65の比較処理部75は、撮像データ記憶領域71から読み出されてバッファ領域に記憶された撮像データと基準画像データ記憶領域73に記憶された画像データを比較処理し、両データが基準範囲内で一致している場合には、樹脂成形品17が良品と判定して良品信号を、反対に不一致の場合には、不良品と判定して不良品信号を出力する。
【0039】
カメラ35による樹脂成形品17の撮像後においては、固定側アタッチメント37に対する可動側アタッチメント39の係合を解除してチャックユニット19を前進移動させて戻した後、開放位置に向かって移動させる。
【0040】
固定側アタッチメント37から可動側アタッチメント39の係合を解除して離脱させるには、シリンダ部材43を復動してカム部材51をロック位置から可動側アタッチメント39側のロック解除位置側へ移動させると、ボール受け部材59の係合用傾斜溝59aに係合したロック用ボール47は、カム部材51の移動に伴って係合用傾斜溝59aを摺接して放射方向内側へ移動してロック用傾斜溝51a内に位置して係合状態を解除させると共に解除用ボール49は、カム部材51の移動に伴って突出し用傾斜溝51bを摺接して放射方向外側へ移動して離脱用傾斜溝59bに圧接することにより固定側アタッチメント37から可動側アタッチメント39を突出させる。(図7参照)
【0041】
そして制御装置65は、上記比較処理部75からの処理信号が不良品信号の場合には、チャックユニット19を開放位置の手前で移動停止させた後、保持部材19bによる樹脂成形品17の保持を解除して不良品ストックエリアへ落下させる。反対に、上記比較処理部75からの処理信号が不良品信号の場合には、制御装置65は、チャックユニット19を開放位置で移動停止させた後、保持部材19bによる樹脂成形品17の保持を解除し、該開放位置に配置された製品搬出手段(搬送コンベヤー)や製品収容手段へ受け渡して取出し動作を終了する。
【0042】
本実施例は、樹脂成形品17を保持したチャックユニット19が金型から開放位置に至る途中において保持した樹脂成形品17をカメラ35により撮像して良品を判別するため、樹脂成形品17の取出し時間が長くなるのを回避して取出し作業を効率化、高速化することができる。
【0043】
また、チャックユニット19が処理位置に停止した際には、上下アーム15及びチャックユニット19が振動しており、振動が収束するまで、処理動作を実行できないが、本実施例においては、固定側アタッチメント37に対して可動側アタッチメント39を係合して固定させることにより上記振動を瞬時に収束させることができ、樹脂成形品17の取出し時間が長くなるのを回避して取出し作業を効率化、高速化することができる。
【0044】
上記説明は、処理手段としてカメラ35を配置し、該カメラからの樹脂成形品17の撮像データにより良品を判定処理する構成としたが、処理手段としては、樹脂成形品の製品をゲートで切断するゲート切断装置であってもよい。該ゲート切断装置は、例えばエアーシリンダや電磁ソレノイドにより開閉作動するニッパ刃を備えた多数の切断部材を、チャックユニットに保持された樹脂成形品の各製品に相対して配置した構造からなる。
【0045】
処理手段をゲート切断装置とした場合においても、静止手段を設けることにより該ゲート切断装置で樹脂成形品をゲート切断する際に、上下アーム及びチャックユニットの振動を瞬時に停止させて処理時間を短縮することができる。
【0046】
上記説明は、静止手段を固定側アタッチメント37及び可動側アタッチメント39により構成したが、上記静止手段としては、チャック板及び本体フレームのいずれか一方に先端部が先細テーパ状に形成された位置決め軸部材を、また他方に該位置決め軸部材の少なくとも先端部が挿嵌される位置決め軸受部材が形成された位置決め部材をそれぞれ取り付け、チャックユニットが処理位置へ移動された際に、位置決め軸受部材に対して位置決め軸部材の全体または先端部を挿嵌して固定することにより上下アーム15及びチャックユニット19の振動を瞬時に収束させることができる。
【0047】
上記説明は、チャック板19aの下部に可動側アタッチメント39を、また可動側アタッチメント39に相対する固定アーム40に固定側アタッチメント37を取付けてチャックユニット19の振動を静止する構成としたが、水平方向へ長尺状の樹脂成形品にあっては、水平方向へ長い幅を有したチャックユニットを使用して樹脂成形品を取出す必要がある。
【0048】
このような場合、1セットの静止手段では、チャックユニットの振動を瞬時に静止することが困難になる。このような場合にあっては、チャックユニットの水平方向両端部及び各端部に相対する樹脂成形品取出し機の本体フレームに左右2セットの静止手段を設けることによりチャックユニットの振動を瞬時に静止させることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 樹脂成形品取出し機
5 固定側プラテン
7 本体フレーム
9 左右走行体
11 前後フレーム
13 前後走行体
15 上下アーム
17 樹脂成形品
19 チャックユニット
19a チャック板
19b 保持部材
19c 姿勢回動部材
35 処理手段としてのカメラ
37 静止手段の一部を構成する固定側アタッチメント
39 静止手段の一部を構成する可動側アタッチメント
40 固定アーム
41 固定盤
41a 中空部
43 シリンダ部材
43a ピストン
45 ボール支持部材
45a ボール支持孔
47 ロック用ボール
49 ロック解除用ボール
51 カム部材
51a ロック用傾斜溝
51b 突出し用傾斜溝
53 弾性部材
57 固定盤
57a 開口部
59 ボール受け部材
59a 係合用傾斜溝
59b 離脱用傾斜溝
65 制御装置
66 CPU
67 プログラムデータ記憶領域
69 処理位置データ記憶領域
71 撮像データ記憶領域
73 基準画像データ記憶領域
75 比較処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品を保持するチャックユニットを樹脂成形機の金型と該樹脂成形機外の開放位置の間で移動制御して樹脂成形品を取出す樹脂成形品取出し機において、
上記金型及び開放位置に至るチャックユニットの経路途中に配置され、該チャックユニットに保持された樹脂成形品に対して所望の処理を実行する処理手段と、
上記処理手段と共に設けられ、上記チャックユニットが処理手段に相対して移動停止された際に、該チャックユニットの振動を収束して静止する静止手段と、
を備えた樹脂成形品取出し機。
【請求項2】
請求項1において、処理手段は、撮像部材とし、該撮像部材により撮像された樹脂成形品の撮像データに基づいて良品を判定可能にした樹脂成形品取出し機。
【請求項3】
請求項1において、処理手段は、ゲート切断部材とし、該ゲート切断部材により樹脂成形品のランナ−スプルをゲートにて切断して製品を分離する樹脂成形品取出し機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、静止手段は、チャックユニットに設けられる可動側アタッチメントと、樹脂成形品に設けられ、上記可動側アタッチメントが挿嵌されて固定される固定側アタッチメントからなり、
上記可動側アタッチメントは、可動側固定盤に設けられた往復作動部材の作動軸に固定され、該往復作動部材によりロック位置とロック解除位置の間で移動され、外周面に軸線方向へ延出するロック用傾斜溝が形成されたカム部材と、該カム部材が移動可能に挿入される開口部を有して可動側固定盤に取付けられ、上記ロック用傾斜溝に対応する個所に上記軸線と直交する放射方向へ延出するボール支持孔が形成されたボール支持部材と、該ボール支持孔内に放射方向へ移動可能に支持されるロック用ボールとからなると共に、
上記固定側アタッチメントは、上記ボール支持部材が挿嵌される空間部を有し、上記ボール支持孔に相対する内周面に係合用傾斜溝が形成されたボール受け部材からなる樹脂成形品取出し機。
【請求項5】
請求項4において、上記カム部材の外周面には、軸線方向へ延出するロック解除用傾斜溝が形成されると共にボール支持部材には、該ロック解除用傾斜溝に一致し、上記軸線と直交する放射方向へ延出するボール支持孔が形成され、該ボール支持孔にロック解除用ボールが放射方向へ移動可能に支持され、
上記ボール受け部材の内周面には、ロック解除用ボールが支持されたボール支持孔に相対して離脱用傾斜溝が形成された樹脂成形品取出し機。
【請求項6】
請求項1、2,3、5のいずれかにおいて、静止手段は、チャックユニット及び樹脂成形品取出し機のいずれか一方に設けられる位置決め軸部材と、他方に設けられ、該位置決め軸部材が挿嵌される位置決め軸受部材とからなる樹脂成形品取出し機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−96417(P2012−96417A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244898(P2010−244898)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000132231)株式会社スター精機 (47)
【Fターム(参考)】