説明

樹脂成形品

【課題】耐熱性、熱安定性および機械特性に優れたバイオマス資源を原料として使用されたポリカーボネート樹脂からなる大型樹脂成形品を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、酸化防止剤(B成分)0.001〜1重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物を射出成形することにより得られた最大投影面積が500〜50,000cmを有する樹脂成形品。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリカーボネート樹脂組成物からなる樹脂成形品に関する。更に詳しくは、特定のポリカーボネート樹脂組成物を成形することにより得られた、耐熱性、熱安定性および機械特性に優れた大型樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加の問題から、原料を石油に依存せず、また燃焼させても二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルが成り立つバイオマス資源が大きく注目を集めるようになり、ポリマーの分野においても、バイオマス資源から生産されるバイオマスプラスチックが盛んに開発されている。
【0003】
バイオマスプラスチックの代表例がポリ乳酸であり、バイオマスプラスチックの中でも比較的高い耐熱性、機械特性を有するため、食器、包装材料、雑貨などに用途展開が広がりつつあるが、更に、バイオマス資源の活用効果を高めるため、自動車の外装部品を含む大型の成形品用途としての可能性も検討されるようになってきている(特許文献1)。しかし、結晶性樹脂では精度の高い大型成形品を得るのは困難であり、成形加工性などにも未だ課題が多い。
【0004】
自動車部品を中心とした大型樹脂成形品に向けては、非晶性樹脂の代表であり、透明性、耐熱性、耐衝撃性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂の適用が盛んに検討されており、更に、金属やガラスを代替することにより、デザインの自由度のみならず、車体の軽量化にも寄与するということが、燃費の向上による石油資源の使用量抑制につながることから、環境に配慮した材料設計面でも大きな注目を集めている。よって、芳香族ポリカーボネート樹脂に匹敵する特性、成型加工性を有するバイオマスプラスチックが開発されれば、原料面からの石油資源使用抑制のみならず、製品重量軽量化による輸送時の燃料消費抑制、更には自動車部品などの車両に適用した場合には、それ自身の燃費向上による燃料消費抑制も加わり、環境保全において大きく貢献できることになる。
【0005】
バイオマス資源を原料として使用されたポリカーボネート樹脂としては、糖質から製造可能なエーテルジオール残基から得られる原料を用いたポリカーボネート樹脂が検討されている。
【0006】
例えば、下記式(a)
【化1】

に示したエーテルジオールは、たとえば糖類およびでんぷんなどから容易に作られ、3種の立体異性体が知られているが、具体的には下記式(b)
【化2】

に示す、1,4:3,6ージアンヒドローDーソルビトール(本明細書では以下「イソソルビド」と呼称する)、下記式(c)
【化3】

に示す、1,4:3,6ージアンヒドローDーマンニトール(本明細書では以下「イソマンニド」と呼称する)、下記式(d)
【化4】

に示す、1,4:3,6ージアンヒドローLーイジトール(本明細書では以下「イソイディッド」と呼称する)である。
【0007】
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドはそれぞれDーグルコース、Dーマンノース、Lーイドースから得られる。たとえばイソソルビドの場合、Dーグルコースを水添した後、酸触媒を用いて脱水することにより得ることができる。
【0008】
これまで上記のエーテルジオールの中でも、特に、モノマーとしてイソソルビドを中心に用いてポリカーボネートに組み込むことが検討されてきた。特にイソソルビドのホモポリカーボネートについては特許文献2、3、非特許文献1、2に記載されている。このうち特許文献2では、溶融エステル交換法を用いて203℃の融点を持つホモポリカーボネートを報告している。また非特許文献1では、酢酸亜鉛を触媒として用いた溶融エステル交換法において、ガラス転移温度が166℃のホモポリカーボネートを得ているが、熱分解温度(5%重量減少温度)が283℃と熱安定性は充分でない。非特許文献2においては、イソソルビドのビスクロロフォーメートを用いた界面重合を用いてホモポリカーボネートを得ているが、ガラス転移温度が144℃と耐熱性(殊に吸湿による耐熱性)が充分でない。一方、耐熱性が高い例として、特許文献3では昇温速度10℃/分での示差熱量測定によるガラス転移温度が170℃以上であるポリカーボネートを報告しているが、工業材料への展開を考えた場合、射出成形などによって成形品を得るには、ガラス転移温度が高いため成形加工温度が高くなり、ポリマーの分解が促進されるなどの課題がある。
【0009】
すなわち、バイオマス原料を用いたポリカーボネート樹脂系材料で、大型樹脂成形品の射出成形に適した耐熱安定性を有し、優れた特性を発揮する大型樹脂成形品を提供できるものは、未だ得られていなかった。
【0010】
【特許文献1】特開2003−128900号公報
【特許文献2】英国特許出願公開第1079686号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/013463号パンフレット
【非特許文献1】“Journal of Applied Polymer Science”,2002年, 第86巻, p.872〜880
【非特許文献2】“Macromolecules”,1996年,第29巻,p.8077〜8082
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の主たる目的は、耐熱性、熱安定性および機械特性に優れたバイオマス資源を原料として使用されたポリカーボネート樹脂からなる大型樹脂成形品を提供することにある。
【0012】
本発明者らはかかる目的を達成すべく鋭意研究の結果、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂に特定の酸化防止剤を配合した樹脂組成物を射出成形することにより、バイオマス資源を原料とし、耐熱性、熱安定性および機械特性に優れた大型樹脂成形品が得られることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明によれば、
1.下記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、酸化防止剤(B成分)0.001〜1重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物を射出成形することにより得られた最大投影面積が500〜50,000cmを有する樹脂成形品、
【化5】

2.前記樹脂成形品は、樹脂組成物を射出プレス成形することにより得られたものである前項1記載の樹脂成形品、
3.前記樹脂成形品は、シート形状でありその少なくとも1つの表面にハードコート処理がなされたものである前項1または2記載の樹脂成形品、および
4.ポリカーボネート樹脂(A成分)は、含窒素塩基性化合物、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物を重合触媒として使用し、下記式(a)で示されるエーテルジオールと炭酸ジエステルとを、常圧で加熱反応させ、次いで減圧下、180℃〜280℃の温度で加熱しながら溶融重縮合させて得られたものである前項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形品、
【化6】

が提供される。
【0014】
以下、本発明の樹脂組成物を射出成形して得られた樹脂成形品について、順次具体的に説明する。
【0015】
<A成分について>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、前記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂であり、全カーボネート構成単位中、前記式(1)で表わされる構成単位は60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上が特に好ましい。最も好適には、前記式(1)のカーボネート構成単位のみからなるホモポリカーボネート樹脂である。
【0016】
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、250℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート600secー1の条件下で0.2×10〜4.0×10Pa・sの範囲にあるものであり、0.4×10〜3.0×10Pa・sの範囲にあることがより好ましく、0.4×10〜2.0×10Pa・sの範囲にあることがさらに好ましい。溶融粘度がこの範囲であると、ポリマーの分解が抑制される良好な条件にて射出成形でき、各種特性に優れた成形品を得ることができる。溶融粘度が下限より小さいと射出成形可能であっても機械特性が不良であり、上限を超えると溶融流動性に劣り、成形加工温度を上げるとポリマーの分解が促進されてしまう。
【0017】
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度としては0.14〜0.5のものを好ましく用いることができる。比粘度の下限は0.20以上がより好ましく、0.22以上がさらに好ましい。また上限は0.45以下がより好ましく、0.37以下がさらに好ましく、0.34以下が特に好ましい。また比粘度が0.14より低くなると本発明に用いられるポリカーボネート樹脂組成物より得られた成形品に充分な機械強度を持たせることが困難となる。また比粘度が0.5より高くなると溶融流動性が高くなりすぎて、成形に必要な流動性を有する溶融温度が分解温度より高くなってしまう。
【0018】
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、そのガラス転移温度(Tg)の下限が145℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上であり、また上限は165℃以下が好ましい。Tgが145℃未満だと耐熱性(殊に吸湿による耐熱性)に劣り、165℃を超えると本発明に用いられるポリカーボネート樹脂を用いて成形する際の溶融流動性に劣り、ポリマー分解が少ない温度範囲で射出成形ができなくなる。TgはTA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定される。
【0019】
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、その5%重量減少温度の下限が330℃以上が好ましく、より好ましくは340℃以上であり、さらに好ましくは350℃以上であり、また上限は400℃以下が好ましく、より好ましくは390℃以下であり、さらに好ましくは380℃以下である。5%重量減少温度が上記範囲内であると、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形する際の樹脂の分解がほとんど無く好ましい。5%重量減少温度を上昇させるためには、後述の通り溶融重合触媒として好ましい化合物を選択することが有効である。5%重量減少温度はTA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定される。
【0020】
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、下記式(a)
【化7】

で表されるエーテルジオールおよび炭酸ジエステルとから溶融重合法により製造することができる。エーテルジオールとしては、具体的には下記式(b)、(c)および(d)
【化8】

【化9】

【化10】

で表されるイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドなどが挙げられる。
【0021】
これら糖質由来のエーテルジオールは、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
【0022】
特に、カーボネート構成単位がイソソルビド(1,4:3,6ージアンヒドローDーソルビトール)由来のカーボネート構成単位を含んでなるポリカーボネート樹脂が好ましい。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。
【0023】
反応温度は、エーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進める為には重合温度は180℃〜280℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは180℃〜260℃の範囲である。
【0024】
また、反応初期にはエーテルジオールと炭酸ジエステルとを常圧で加熱し、予備反応させた後、徐々に減圧にして反応後期には系を1.3×10ー3〜1.3×10ー5MPa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる方法が好ましい。反応時間は通常0.5〜4時間程度である。
【0025】
炭酸ジエステルとしては、水素原子が置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基またはアラルキル基、もしくは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、mークレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでも反応性、コスト面からジフェニルカーボネートが好ましい。
【0026】
炭酸ジエステルはエーテルジオールに対してモル比で1.02〜0.98となるように混合することが好ましく、より好ましくは1.01〜0.98であり、さらに好ましくは1.01〜0.99である。炭酸ジエステルのモル比が1.02より多くなると、炭酸ジエステル残基が末端封止として働いてしまい充分な重合度が得られなくなってしまい好ましくない。また炭酸ジエステルのモル比が0.98より少ない場合でも、充分な重合度が得られず好ましくない。
【0027】
重合触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、二価フェノールのナトリウム塩またはカリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。なかでも、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物とを併用して使用することが好ましい。これらの触媒を用いて重合したものは、5%重量減少温度が十分高く保たれるため好ましい。
【0028】
これらの重合触媒の使用量は、それぞれ炭酸ジエステル成分1モルに対し、好ましくは1×10ー9〜1×10ー3当量、より好ましくは1×10ー8〜5×10ー4当量の範囲で選ばれる。また反応系は窒素などの原料、反応混合物、反応生成物に対し不活性なガスの雰囲気に保つことが好ましい。窒素以外の不活性ガスとしては、アルゴンなどを挙げることができる。更に、必要に応じて酸化防止剤等の添加剤を加えてもよい。
【0029】
上記のごとく反応を行う事により得られるポリカーボネート樹脂(A成分)は、その末端構造はヒドロキシ基または、炭酸ジエステル残基となるが、本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、その特性を損なわない範囲で別途末端基を導入しても良い。かかる末端基は、対応するモノヒドロキシ化合物を重合時に添加することにより導入することができる。該末端基としては下記式(2)または(3)で表される末端基が好ましい。
【0030】
【化11】

【化12】

【0031】
上記式(2),(3)中、Rは炭素原子数4〜30のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数4〜30のパーフルオロアルキル基、または下記式(4)
【化13】

であり、好ましくは炭素原子数4〜20のアルキル基、炭素原子数4〜20のパーフルオロアルキル基、または上記式(4)であり、特に炭素原子数8〜20のアルキル基、または上記式(4)が好ましい。Xは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミノ結合およびアミド結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合が好ましいが、より好ましくは単結合、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合であり、なかでも単結合、エステル結合が好ましい。aは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、特に1が好ましい。
【0032】
また、上記式(4)中、R,R,R,R及びRは、夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、好ましくは夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数6〜10のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、特に夫々独立してメチル基及びフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基が好ましい。bは0〜3の整数であり、1〜3の整数が好ましく、特に2〜3の整数が好ましい。cは4〜100の整数であり、4〜50の整数が好ましく、特に8〜50の整数が好ましい。本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、上記式(a)で表される再生可能資源のエーテルジオールから得られるカーボネート構成単位を主鎖構造に持つことから、これらのモノヒドロキシ化合物もまた植物などの再生可能資源から得られる原料であることが好ましい。植物から得られるモノヒドロキシ化合物としては、植物油から得られる炭素数14以上の長鎖アルキルアルコール類(セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール)などが挙げられる。
【0033】
これらの末端基を導入することにより、該ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品の耐吸湿性または表面エネルギー性(防汚性や摩耗耐性)等を向上させる効果が得られる。これらの末端基は好ましくはポリマー主鎖構造に対して0.3〜9.0重量%含まれており、より好ましくは0.3〜7.5重量%含まれており、特に好ましくは0.5〜6.0重量%含まれている。
【0034】
<B成分について>
本発明の樹脂成形品を構成する樹脂組成物においては、さらに良好な色相かつ安定した流動性を得るため、酸化防止剤を含有する。殊に酸化防止剤としてリン系酸化防止剤及び/又はヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いる事が好ましい。
リン系酸化防止剤としては、各種ホスファイト化合物、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、およびホスホネイト化合物が挙げられる。
【0035】
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。殊にホスファイト化合物としては、下記一般式(5)に示すペンタエリスリトール型ホスファイト化合物を配合することが好ましい。
【0036】
【化14】

[式中R11、R12はそれぞれ水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示す。なお、シクロアルキル基およびアリール基は、アルキル基で置換されていてもよい。]
【0037】
前記ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、より具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトおよびビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
【0038】
さらに他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
【0039】
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
【0040】
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
【0041】
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系酸化防止剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。
【0042】
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、下記式(6)で表わされる構造を含むヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
【化15】

【0043】
上記式(6)中、R21は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基がより好ましく、特にメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tertブチル基が好ましい。
22は炭素原子数4〜10のアルキル基であり、炭素原子数4〜6のアルキル基が好ましく、特にイソブチル基、tertブチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
【0044】
23は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基および炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基および炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が好ましく、特に水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましい。nは1〜4の整数であり、1〜3の整数が好ましく、特に2が好ましい。
【0045】
上記式(6)で表わされる構造を「−X」基と表わした時、本発明で用いられるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、下記式(7)、(8)および(9)で表わされる化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましい。
【0046】
【化16】

【化17】

【化18】

【0047】
上記式(7)において、R24は炭素原子数8〜30の酸素原子を含んでも良い炭化水素基であり、炭素原子数12〜25の酸素原子を含んでも良い炭化水素基がより好ましく、特に炭素原子数15〜25の酸素原子を含んでも良い炭化水素基が好ましい。
【0048】
上記式(8)において、R25は水素原子または炭素原子数1〜25のアルキル基であり、水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基がより好ましく、特に炭素原子数1〜18のアルキル基が好ましい。mは1〜4の整数であり、1〜3の整数が好ましく、特に2が好ましい。kは1〜4の整数であり、3〜4が好ましく、特に4が好ましい。
【0049】
上記式(9)において、R26、R27、R28およびR29はそれぞれ独立して水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基であり、炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。lは1〜4の整数であり、1〜3の整数が好ましく、特に2が好ましい。
【0050】
上記式(7)の好ましい具体例として、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステル(アルキルは炭素数7〜9で側鎖を有する)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。
【0051】
上記式(8)の好ましい具体例として、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられる。
【0052】
上記式(9)の好ましい具体例として、3,9−ビス[2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが挙げられる。
【0053】
これらの中で、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが特に好ましい。
かかるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0054】
本発明で用いる酸化防止剤はポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
本発明の樹脂成形品は、上述のポリカーボネート樹脂組成物に下記の各種成分を加えた樹脂組成物からなるものであってもよい。
【0055】
<離型剤>
本発明の樹脂成形品を形成するポリカーボネート樹脂は離型剤を含むことが好ましい。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物(特にフェニル基およびメチル基などのアルキル基の双方を有するオルガノシロキサン化合物などに代表される)、フッ素オイル(ポリフルオロアルキルエーテルなどに代表される)、パラフィンワックス、並びに蜜蝋などを挙げることができる。
【0056】
中でも脂肪酸エステルおよびシリコーン化合物が好ましく、特に脂肪酸エステルが、離型性、成形品の透明性およびハードコート層との密着性などの点から好ましく使用される。脂肪酸エステルとは、アルコールと脂肪酸とのエステルであるが、その中でも一価アルコールと脂肪酸とのエステルまたは多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルが好ましい。さらに、炭素原子数1〜20の一価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸とのエステル及び炭素原子数1〜25の多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の離型剤が好ましく使用される。
【0057】
具体的に一価アルコールと飽和脂肪酸とのエステルとしては、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート等が挙げられる。
【0058】
具体的に多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等のジペンタエリスルトールの全エステルまたは部分エステル等が挙げられる。
【0059】
これらのエステルのなかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレート等の部分エステルが好ましく、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレートがより好ましく、特に、ステアリン酸モノグリセリドが好ましい。かかる離型剤は、1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0060】
これら部分エステルは、そのエステル化率は特に制限されないものの、エステル化率は20%以上が好ましく、20〜80%がより好ましく、20〜50%が更に好ましい。エステル化率が上記範囲内であると、本発明の樹脂組成物の全光線透過率が高く、かつヘイズが低く保たれる。またエステル化率が低く、水酸基価が高い脂肪酸エステルはポリカーボネート樹脂を劣化させやすく、成形品の割れが生じやすくなる。
【0061】
本発明で用いる離型剤の量はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ましく、0.01〜0.5重量部がより好ましく、0.03〜0.5重量部がさらに好ましく、0.03〜0.3重量部が特に好ましく、0.03〜0.2重量部が最も好ましい。離型剤がこの範囲内にあると、不透明化を抑制しつつ離型性の向上を達成することができる。
【0062】
<紫外線吸収剤>
本発明の樹脂成形品を窓ガラスとして用いる際には、良好な耐候性が求められる場合が多いことから、樹脂成形品を形成するポリカーボネート樹脂は更に紫外線吸収剤を含むものであることが好ましい。
【0063】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
【0064】
ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
【0065】
ベンゾオキサジン系では、例えば、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−p,p’−ジフェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。
【0066】
ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。更に2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記フェニル基が2,4−ジメチルフェニル基である化合物が例示される。
【0067】
上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。紫外線吸収剤の使用量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0005〜3重量部が好ましく、0.01〜2重量部がより好ましく、0.02〜1重量部が更に好ましく、0.05〜0.5重量部が特に好ましい。
【0068】
<蛍光増白剤>
本発明の樹脂成形品を形成するポリカーボネート樹脂において所望により蛍光増白剤が使用される。ここで蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部に放射する作用を有するものである。
【0069】
蛍光増白剤としては、スチルベン系、ベンズイミダゾール系、ベンズオキサゾール系、ナフタルイミド系、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系化合物等が挙げられる。なかでも、ベンズオキサゾール系化合物およびクマリン系化合物が好ましい。これらの蛍光増白剤は1種もしくは2種以上を併用することができる。具体的には、日本化薬(株)製カヤライトOS(CI Fluorescent Brightener 219:1、ベンズオキサゾール系化合物)、ハッコールケミカル(株)製ハッコールPSR(クマリン系化合物)、イーストマンケミカル社製EASTOBRITE OB−1、などを挙げることができる。
【0070】
蛍光増白剤の配合割合はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0001〜3重量部であり、好ましくは0.0002〜0.5重量部であり、より好ましくは0.0003〜0.1重量部であり、特に好ましくは0.0005〜0.05重量部である。
【0071】
<無機充填剤>
本発明の樹脂成形品を構成するA成分のポリカーボネート樹脂において、充填材を更に配合すると、機械特性、寸法特性などに優れた部品を得ることができるようになる。充填材としては、無機充填材及び/又は有機充填材が使用可能である。
【0072】
無機充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、ワラストナイト、カオリンクレー、マイカ、タルクおよび各種ウイスカー類(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカーなど)といった一般に知られている各種無機充填材を挙げることができる。無機充填材の形状は繊維状、フレーク状、球状、中空状を自由に選択でき、樹脂組成物の強度や耐衝撃性の向上のためには繊維状、フレーク状のものが好適である。
【0073】
中でも、無機充填材としては、好適には天然鉱物の粉砕物からなる無機充填材であり、より好適には珪酸塩の天然鉱物の粉砕物からなる無機充填材であり、さらにその形状の点からは、マイカ、タルク、およびワラストナイトが好ましい。
【0074】
一方、これらの無機充填材は、炭素繊維のような石油資源材料に比較して脱石油資源材料であることから、環境負荷のより低い原料を用いることとなり、結果として環境負荷の小さいA成分を使用する意義がより高められるという効果を奏する。さらに、前記のより好適な無機充填材は、炭素繊維などに比較して良好な難燃性が発現するとの有利な効果を奏する。
【0075】
本発明で使用できるマイカは、その平均粒子径が走査型電子顕微鏡により観察し、1μm以上のものを抽出した合計1000個の数平均にて算出される数平均粒子径で表して10〜500μmが好ましく、より好ましくは30〜400μm、さらに好ましくは30〜200μm、最も好ましくは35〜80μmである。数平均粒子径が10μm未満となると衝撃強度が低下する場合がある。また500μmを超えると、衝撃強度は向上するが外観が悪化しやすい。
【0076】
マイカの厚みとしては、電子顕微鏡観察により実測した厚みが0.01〜10μmのものを使用できる。好ましくは0.1〜5μmのものを使用できる。アスペクト比としては5〜200、好ましくは10〜100のものを使用できる。また使用するマイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴパイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、より好適な射出成形品が提供される。
【0077】
また、マイカの粉砕法としては、マイカ原石を乾式粉砕機にて粉砕する乾式粉砕法と、マイカ原石を乾式粉砕機にて粗粉砕した後、水などの粉砕助剤を加えてスラリー状態にて湿式粉砕機で本粉砕し、その後脱水、乾燥を行う湿式粉砕法がある。本発明のマイカはいずれの粉砕法において製造されたものも使用できるが、乾式粉砕法の方が低コストで一般的である。一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であるがコストがかかる。マイカは、シランカップリング剤、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよく、さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
【0078】
本発明で使用できるタルクとは、層状構造を持った鱗片状の粒子であり、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO・3MgO・2HOで表され、通常SiOを56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、HO約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFeが0.03〜1.2重量%、Alが0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、KOが0.2重量%以下、NaOが0.2重量%以下などを含有しており、比重は約2.7、モース硬度は1である。
【0079】
本発明で使用できるタルクの平均粒子径は0.5〜30μmが好ましい。該平均粒子径はJIS M8016に従って測定したアンドレアゼンピペット法により測定した粒度分布から求めた積重率50%時の粒子径である。タルクの平均粒子径は2〜30μmがより好ましく、5〜20μmがさらに好ましく、10〜20μmが最も好ましい。0.5〜30μmの範囲のタルクは射出成形品に剛性および低異方性に加えて、良好な表面外観および難燃性を付与する。
【0080】
またタルクを原石から粉砕する際の製法に関しては特に制限はなく、軸流型ミル法、アニュラー型ミル法、ロールミル法、ボールミル法、ジェットミル法、および容器回転式圧縮剪断型ミル法等を利用することができる。さらに粉砕後のタルクは、各種の分級機によって分級処理され、粒子径の分布が揃ったものが好適である。分級機としては特に制限はなく、インパクタ型慣性力分級機(バリアブルインパクターなど)、コアンダ効果利用型慣性力分級機(エルボージェットなど)、遠心場分級機(多段サイクロン、ミクロプレックス、ディスパージョンセパレーター、アキュカット、ターボクラシファイア、ターボプレックス、ミクロンセパレーター、およびスーパーセパレーターなど)などを挙げることができる。
【0081】
さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の成形品中に混入させない点で好ましい。
【0082】
また、本発明で使用できるワラストナイトは、実質的に化学式CaSiOで表され、通常SiOが約50重量%以上、CaOが約47重量%以上、その他Fe、Al等を含んでいる。ワラストナイトは、ワラストナイト原石を粉砕、分級した白色針状粉末で、モース硬度は約4.5である。使用するワラストナイトの平均繊維径は0.5〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、1〜5μmが最も好ましい。該平均繊維径は走査型電子顕微鏡により観察し、0.1μm以上のものを抽出した合計1000個の数平均にて算出されるものである。
【0083】
これら無機充填材の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部あたり、0.3〜200重量部が好ましく、1.0〜100重量部がより好ましく、3〜50重量部が最も好ましい。かかる配合量が0.3重量部以上の場合には、本発明の成形品の機械特性に対する補強効果が十分であり、また200重量部以下であれば、成形加工性や色相が良好となる。
【0084】
なお、本発明の樹脂成形品において、繊維状無機充填材やフレーク状無機充填材を用いる場合、それらの折れを抑制するための折れ抑制剤を含むことができる。折れ抑制剤はマトリックス樹脂と無機充填材との間の密着性を阻害し、溶融混練時に無機充填材に作用する応力を低減して無機充填材の折れを抑制する。折れ抑制剤の効果としては(1)剛性向上(無機充填材のアスペクト比が大きくなる)、(2)靭性向上、(3)導電性の向上(導電性無機充填材の場合)などを挙げることができる。折れ抑制剤は具体的には、(i)樹脂と親和性の低い化合物を無機充填材の表面に直接被覆した場合の該化合物、および(ii)樹脂と親和性の低い構造を有し、かつ無機充填材の表面と反応可能な官能基を有する化合物である。
【0085】
樹脂と親和性の低い化合物としては各種の滑剤を代表的に挙げることができる。滑剤としては例えば、鉱物油、合成油、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリオルガノシロキサン(シリコーンオイル、シリコーンゴムなど)、オレフィン系ワックス(パラフィンワックス、ポリオレフィンワックスなど)、ポリアルキレングリコール、フッ素化脂肪酸エステル、トリフルオロクロロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレングリコールなどのフッ素オイルなどが挙げられる。
【0086】
樹脂と親和性の低い化合物を無機充填材の表面に直接被覆する方法としては、(1)該化合物を直接、または該化合物の溶液や乳化液を無機充填材に浸漬する方法、(2)該化合物の蒸気中または粉体中に無機充填材を通過させる方法、(3)該化合物の粉体などを無機充填材に高速で照射する方法、(4)無機充填材と該化合物を擦り付けるメカノケミカル的方法などを挙げることができる。
【0087】
樹脂と親和性の低い構造を有し、かつ無機充填材の表面と反応可能な官能基を有する化合物としては、各種の官能基で修飾された前記の滑剤を挙げることができる。かかる官能基としては例えばカルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、エステル基、アミノ基、アルコキシシリル基などを挙げることができる。
【0088】
好適な折れ抑制剤の1つは、炭素数5以上のアルキル基が珪素原子に結合したアルコキシシラン化合物である。かかる珪素原子に結合したアルキル基の炭素数は好ましくは5〜60、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは6〜18、特に好ましくは8〜16である。アルキル基は1または2が好適であり、特に1が好ましい。またアルコキシ基としてはメトキシ基およびエトキシ基が好適に例示される。かかるアルコキシシラン化合物は、無機充填材表面に対する反応性が高く被覆効率に優れる点で好ましい。したがってより微細な無機充填材において好適である。
【0089】
好適な折れ抑制剤の1つは、カルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選択された少なくとも1種の官能基を有するポリオレフィンワックスである。分子量としては重量平均分子量で500〜20,000が好ましく、より好ましくは1,000〜15,000である。かかるポリオレフィンワックスにおいて、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基の量としては、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基から選択される少なくとも1種の官能基を有する滑剤1g当り0.05〜10meq/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜6meq/gであり、さらに好ましくは0.5〜4meq/gである。折れ抑制剤中の官能基の割合は、カルボキシル基以外の官能基においても前記のカルボキシル基およびカルボン酸無水物基の割合と同程度であることが好ましい。
【0090】
折れ抑制剤として特に好ましいものとしてα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体を挙げることができる。かかる共重合体は、常法に従いラジカル触媒の存在下に、溶融重合あるいはバルク重合法で製造することができる。ここでα−オレフィンとしてはその炭素数が平均値として10〜60のものを好ましく挙げることができる。α−オレフィンとしてより好ましくはその炭素数が平均値として16〜60、さらに好ましくは25〜55のものを挙げることができる。
【0091】
前記折れ抑制剤はポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部当り0.01〜2重量部が好ましく、0.05〜1.5重量部がより好ましく、0.1〜0.8重量部がさらに好ましい。
【0092】
有機充填材としてはアラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維などの合成繊維や、ケナフ、麻、竹などの天然繊維が例示される。有機充填材についても、環境負荷の観点から、天然繊維を用いることが好ましい。有機充填材の好ましい配合量は、無機充填材と同様である。
【0093】
<弾性重合体>
本発明の樹脂成形品を構成するA成分のポリカーボネート樹脂において、弾性重合体を更に配合すると、耐衝撃性が付与され、衝突に対する安全性が高まった部品を得ることができるようになる。
【0094】
弾性重合体の例としては、天然ゴムまたは、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることができる。より好適な弾性重合体は、ゴム成分のコアに前記モノマーの1種または2種以上のシェルがグラフト共重合されたコア−シェル型のグラフト共重合体である。
【0095】
またかかるゴム成分と上記モノマーのブロック共重合体も挙げられる。かかるブロック共重合体としては具体的にはスチレン・エチレンプロピレン・スチレンエラストマー(水添スチレン・イソプレン・スチレンエラストマー)、および水添スチレン・ブタジエン・スチレンエラストマーなどの熱可塑性エラストマーを挙げることができる。さらに他の熱可塑性エラストマーして知られている各種の弾性重合体、例えばポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等を使用することも可能である。
【0096】
衝撃改良剤としてより好適なのはコア−シェル型のグラフト共重合体である。コア−シェル型のグラフト共重合体において、そのコアの粒径は重量平均粒子径において0.05〜0.8μmが好ましく、0.1〜0.6μmがより好ましく、0.1〜0.5μmがさらに好ましい。0.05〜0.8μmの範囲であればより良好な耐衝撃性が達成される。弾性重合体は、ゴム成分を40%以上含有するものが好ましく、60%以上含有するものがさらに好ましい。
【0097】
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコーン複合ゴム、イソブチレン−シリコーン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−アクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げることができるが、燃焼時の有害物質の発生懸念という点から、ハロゲン原子を含まないゴム成分が環境負荷の面において好ましい。
【0098】
ゴム成分のガラス転移温度は好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下であり、ゴム成分としては特にブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコーン複合ゴムが好ましい。複合ゴムとは、2種のゴム成分を共重合したゴムまたは分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造をとるように重合したゴムをいう。
【0099】
ゴム成分に共重合するビニル化合物における芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にスチレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチルが特に好ましい。これらの中でも特にメタクリル酸メチルなどのメタアクリル酸エステルを必須成分として含有することが好ましい。より具体的には、メタアクリル酸エステルはグラフト成分100重量%中(コア−シェル型重合体の場合にはシェル100重量%中)、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上含有される。
【0100】
ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有する弾性重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。さらに重合法としては一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸濁重合法において、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法、および連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数〜数十μm径の細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法などを行ってもよい。コア−シェル型のグラフト重合体の場合、その反応はコアおよびシェル共に、1段であっても多段であってもよい。
【0101】
かかる弾性重合体は市販されており容易に入手することが可能である。例えばゴム成分として、ブタジエンゴム、アクリルゴムまたはブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とするものとしては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ(例えばB−56など)、三菱レイヨン(株)のメタブレンCシリーズ(例えばC−223Aなど)、Wシリーズ(例えばW−450Aなど)、呉羽化学工業(株)のパラロイドEXLシリーズ(例えばEXL−2602など)、HIAシリーズ(例えばHIA−15など)、BTAシリーズ(例えばBTA−IIIなど)、KCAシリーズ、ローム・アンド・ハース社のパラロイドEXLシリーズ、KMシリーズ(例えばKM−336P、KM−357Pなど)、並びに宇部サイコン(株)のUCLモディファイヤーレジンシリーズ(ユーエムジー・エービーエス(株)のUMG AXSレジンシリーズ)などが挙げられ、ゴム成分としてアクリル−シリコーン複合ゴムを主体とするものとしては三菱レイヨン(株)よりメタブレンS−2001あるいはSRK−200という商品名で市販されているものが挙げられる。
【0102】
弾性重合体の組成割合は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部あたり0.2〜50重量部が好ましく、1〜30重量部が好ましく、1.5〜20重量部がより好ましい。かかる組成範囲は、剛性の低下を抑制しつつ組成物に良好な耐衝撃性を与えることができる。
【0103】
<難燃剤>
本発明の樹脂成形品を構成するポリカーボネート樹脂組成物には、難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、および塩素化ポリエチレンなどのハロゲン系難燃剤、モノホスフェート化合物およびホスフェートオリゴマー化合物などのリン酸エステル系難燃剤、ホスフィネート化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物などのリン酸エステル系難燃剤以外の有機リン系難燃剤、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤などの有機金属塩系難燃剤、並びにシリコーン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤、トリアジン系難燃剤等が挙げられる。また別途、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)や滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)等を配合し、難燃剤と併用してもよい。
【0104】
上述の難燃剤の中でも、塩素原子および臭素原子を含有しない化合物は、焼却廃棄やサーマルリサイクルを行う際に好ましくないとされる要因が低減されることから、環境負荷の低減をも1つの特徴とする本発明の成形品における難燃剤としてより好適である。
さらにリン酸エステル系難燃剤は、良好な色相が得られること、成形加工性を高める効果も発現することから特に好ましい。
【0105】
本発明の樹脂成形品を構成するポリカーボネート樹脂組成物において、これら難燃剤を配合する場合には、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部当たり0.05〜50重量部の範囲が好ましい。0.05重量部未満では十分な難燃性が発現せず、50重量部を超えると成形品の強度や耐熱性などを損なう。
【0106】
<その他の添加剤>
本発明の樹脂成形品を構成する樹脂組成物には、本発明の効果を発揮する範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えば、他のポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、並びにフェノキシまたはエポキシ樹脂など)、光安定剤(HALSなど)、流動改質剤(ポリカプロラクトンなど)、着色剤(カーボンブラック、二酸チタン、各種の有機染料、メタリック顔料など)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコーン架橋粒子など)、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、赤外線吸収剤、並びにフォトクロミック剤紫外線吸収剤などを配合してもよい。これら各種の添加剤は、ビスフェノールAポリカーボネート等の熱可塑性樹脂に配合する際の周知の配合量で利用することができる。
【0107】
<樹脂組成物の製造方法について>
本発明の樹脂成形品を構成する樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば各成分、並びに任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機が好ましい。他に、各成分、並びに任意に他の成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も取ることもできる。溶融混練する際のシリンダー温度は220〜270℃の範囲で行うことが好ましく、230〜260℃の範囲がより好ましく、230〜250℃の範囲が更に好ましい。シリンダー温度が270℃を超えると、本発明のポリカーボネートの熱分解の進行が大きくなってくる。
【0108】
<成形品の製造方法について>
本発明の樹脂成形品は、前記で製造された樹脂組成物のペレットを射出成形することにより製造される。ここで射出成形法としては、通常の射出成形法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、および超高速射出成形など利用することができる。中でも射出プレス成形は下記の理由などから好適である。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。更にフローモールド法およびSVG法などの利用も可能である。
【0109】
本発明において射出プレス成形とは、少なくともその供給完了時において目的とする成形品容量よりも大なる容量の金型キャビティ内に溶融した熱可塑性樹脂を供給し、その供給完了後に金型キャビティ容量を目的とする成形品容量まで減少し、金型キャビティ内の成形品をその取り出しが可能な温度以下まで冷却後成形品を取り出す成形方法である。尚、金型キャビティ容量の減少開始は、樹脂の供給完了前後のいずれであってもよいが、該供給完了前の開始が好ましい。すなわちキャビティ容量を減少する工程と樹脂の充填工程がオーバーラップする態様が好ましい。
【0110】
射出プレス成形においては、高圧で樹脂の充填を行う必要が低減されるため、成形品中の歪みが低減する。かかる歪みの低減は透過光の均一性において重要である。更にかかる歪みの低減はより密着性の高いハードコート剤の適用を可能とする。
【0111】
成形品表面の歪みの低減の観点からは、断熱金型成形および急速加熱冷却金型成形(ハロゲンランプ照射、誘導加熱、熱媒体の高速切り替え、および超音波金型など)も組合わせることが好適である。
【0112】
また射出プレス成形は通常知られているように、極めて低い圧力での成形が可能であるため、射出成形機の型締め圧力のレベルを大幅に低減することが可能である。これは殊に大型の成形品であってその流動長の長い成形品において、製品の品質の向上と共に設備にかかるコストを低減できる。別の観点で論じると、射出プレス成形は成形温度の低減が可能な成形法である。しかしながら本発明の成形品は大型である故に、その熱負荷の低減には限界がある。大型である故の熱負荷とは、例えば極めて長い流路、大容量の樹脂および長い射出時間でありながら単位時間あたりの流量が大きい射出充填などが例示される。
【0113】
上記の射出プレス成形、殊に大型成形品の射出プレス成形においては、その中間型締め状態および中間型締め状態から最終型締め状態までの間の金型間の平行度の維持が重要である。射出プレス成形は上記の如く型締め力の小さな成形機にその上限に近い高重量の金型を備え付け成形を行う場合が多い。したがって金型重量により成形機の型締め機構における平行度の維持が困難となりやすい。また、樹脂充填時の圧力によって偏荷重が発生し金型の平行度の維持が困難となりやすい。平行度の狂いは金型のかじりなどを生じ製品の量産を困難にする。更に金型間の平行度の維持は、金型内の樹脂に対するより均一な圧力の負荷を達成する。これにより樹脂に負荷する圧力は全体として低い圧力を達成し、より歪みの少ない成形品の提供を可能とする。金型間の平行度が十分でない場合、樹脂成形品の箇所の違いにより負荷される圧力に差異が生じ、これは1つの歪み発生の要因となり得る。
【0114】
上記の金型間の平行度の維持方法としては、(i)金型取り付け板を複数箇所、好ましくは角部4箇所の型締め機構で金型間の平行度を調整しながら金型間の平行度を維持する方法、並びに(ii)金型取り付け板(金型取り付け面)に対し複数箇所、好ましくは角部4箇所に対して矯正力を付与することにより金型間の平行度を調整しながら金型間の平行度を維持する方法が好適に例示される。かかる(i)の方法は型締め機構による平行度の維持方法であり、(ii)の方法は別途設けられた矯正力の付与機構による平行度の維持方法である。(i)の方法を実現する成形機としては、例えばプラテンの4軸平行制御機構を備えた射出プレス成形可能な大型成形機である(株)名機製作所製MDIPシリーズを例示することができる。尚、型締め機構や矯正力の付与機構としては、通常の油圧シリンダーが好ましく用いられるが、その他圧空シリンダー、ボールネジおよびスクリューの組み合わせ、並びにラックギアおよびピニオンギアの組み合わせなどが例示される。
【0115】
更に射出プレス成形における成形条件に関し簡単に説明する。射出プレス成形の中間型
締め状態における金型容量の拡大倍率は、目的とする成形品容量の目的とする成形品容量
の1.02〜5倍の範囲が好ましい。かかる下限はより好ましくは1.03倍、更に好ま
しくは1.05倍、特に好ましくは1.1倍である。かかる上限はより好ましくは4倍、更に好ましくは3.5倍、特に好ましくは3倍である。但しかかる範囲は、下記の圧縮ストローク量が適正な範囲にあることを前提とする。かかる範囲では大型の射出成形品においても歪みの少ない射出成形品が得られる。
【0116】
更に樹脂の供給完了時における金型容量の拡大倍率は、目的とする成形品容量の1.002〜4.5倍の範囲が好ましい。かかる下限はより好ましくは1.03倍、更に好ましくは1.05倍、特に好ましくは1.1倍である。かかる上限はより好ましくは3.5倍、更に好ましくは3倍、特に好ましくは2.7倍である。
【0117】
射出プレス成形の最終型締め状態は、可動側金型と固定側金型とのパーティング面が互いに接触しない状態であることが好ましい。かかる状態とすることにより均一に樹脂に圧力を伝えることを可能とし歪みの少ない射出成形品が得られる。かかる状態の成形は、上記の金型間の平行度の維持の下で安定してなされる。したがって上記の金型間の平行度の維持は、かかる点からも射出プレス成形において重要である。尚、最終型締め状態における可動側金型と固定側金型とのパーティング面間の距離は0.05〜3mmの範囲が好ましく、1〜2mmがより好ましい。
【0118】
射出プレス成形の中間型締め状態から最終型締め状態までの金型の移動量(以下、圧縮ストロークと称する場合がある)は、1〜10mmの範囲が好ましく、1〜6mmの範囲がより好ましく、2〜5mmの範囲が更に好ましい。かかる範囲の後退量は、射出プレス成形方法の利点である低い型締め力と、良好な成形効率および成形品外観とを両立する。また成形品の厚みは特に制限されないものの0.5〜10mmの範囲が好ましく、1〜7mmの範囲がより好ましい。
【0119】
更に金型を中間型締め状態から最終型締め状態に移動する際の移動速度は、0.5mm/sec以上が好ましく、1mm/sec以上がより好ましく、10mm/sec以上が更に好ましい。L/Dの高い成形品ほど高い金型容量の拡大倍率が必要となり速い移動速度が求められる。成形品の歪みを低減するためには金型内部の溶融樹脂の熱的分布の変化が少ない間に所定の最終型締め状態までの圧縮工程を終了することが重要なためである。かかる移動速度がより速いほど大きい圧縮ストロークに対応できる。したがって移動速度は可能な限り高いことが好ましいが、現時点では事実上40mm/sec程度が装置上の限界となっている。35mm/secのレベルであれば十分に精密な速度制御が可能である。尚、かかる移動速度は中間型締め状態から最終型締め状態までの圧縮ストロークを圧縮に要した時間で除したものであり、必ずしも一定速度である必要はない。また上記の如く圧縮ストロークが大きく、金型の移動速度が大きいほど金型のかじりは生じやすくなることから、金型間の平行度の維持は重要かつ必須の条件となる。
【0120】
本発明の射出成形品は成形品側面部分の1つのゲートのみを有するものがより好ましい。かかる射出成形品は射出プレス成形の利点を特に有効に活用できるからである。尚、この場合の1つのゲートとは成形品本体に対するゲートが1つであることを意味する。よって、射出成形機の樹脂排出口から該ゲートに至るまでの流路が複数存在してもよい。例えば、ファンゲートに対して複数のホットランナー注入口のある構造であってもよい。更にかかる構造においてSVG法を利用することにより、ファンゲートのゲート口全体に渡ってほぼ同時に樹脂が成形品本体に流入するよう制御することも、より歪みの少ない成形品を得る上で好ましい手法である。
【0121】
<成形品について>
本発明の樹脂成形品は、その最大投影面積が500〜50,000cmである。かかる下限は好ましくは5,000cm、より好ましくは10.000cmである。かかる上限は好ましくは40,000cm、より好ましくは35,000cmである。本発明におけるポリカーボネート樹脂組成物の有する利点は、成形品が大型であるほど顕著となる。即ち大型であるほど成形時の熱負荷は高くなり、本発明の樹脂組成物の熱安定性は有利に発揮される。
【0122】
更に樹脂組成物の成形時の流動長は好ましくは30cm以上、より好ましくは35cm以上である。一方、流動長の上限としては200cm以下が適切であり、180cm以下がより適切である。
【0123】
更に好適な成形品形状としては、成形品の厚み(D(mm))に対するゲート部から流動末端までの距離(L(mm))の比L/Dが、75以上であることが好ましく、100以上がより好ましく、130以上が更に好ましく、150以上が特に好ましい。一方、その上限は1,000以下が適切であり、800以下が好ましく、600以下が更に好ましい。
したがって、本発明によれば、前記の樹脂組成物からなり、かかる最大投影面積を有する大型の射出成形品、殊に射出プレス成形品が提供される。
【0124】
<表面改質について>
本発明における樹脂成形品は、表面改質を施すことによりさらに他の機能を付与することが可能である。ここでいう「表面改質」とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、塗装、コーティング、および印刷等の手段で樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させることを言い、通常の樹脂成形品に用いられる表面改質方法が適用できる。更にかかる表面改質方法は、(i)本発明の成形品に直接施す方法、および(ii)かかる処理を施した樹脂フィルムを本発明の成形品に積層する方法のいずれの方法も適用可能である。
【0125】
樹脂成形品(上記(ii)の場合の樹脂フィルムを含む)の表面に金属層または金属酸化物層を積層する方法としては、例えば、物理蒸着法、化学蒸着法、溶射法およびメッキ法が挙げられる。物理蒸着法としては真空蒸着法、スパッタリングおよびイオンプレーティングが例示され、化学蒸着(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD法および光CVD法等が例示される。かかる方法によりダイヤモンドライクカーボンの如き硬質被膜を形成することが可能である。また、溶射法としては大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等が例示される。メッキ法としては、無電解メッキ(化学メッキ)法、溶融メッキおよび電気メッキ法等が挙げられ、電気メッキ法においてはレーザーメッキ法を用いることができる。
【0126】
前記方法のなかでも蒸着法およびメッキ法が本発明の成形品に金属層を形成する上で好ましく、蒸着法が金属酸化物層を形成する上で好ましい。ATO、ITO、および酸化スズなどに代表される金属酸化物による表面改質は、比較的良好な光線透過率を有し、透過光の色相が比較的良好であり、かつ熱線をカットする。かかる金属酸化物による表面改質は、成形品のいずれの面になされてもよい。
【0127】
本発明の成形品は、ハードコートを施すことにより特に屋外使用に適したものとなる。
次に本発明のハードコート層について説明する。本発明では、ハードコート処理として各種のハードコート剤が使用可能であり、本発明で使用するハードコート剤としては、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤などが例示される。かかるハードコート層の硬度は特に限定されるものではなく、ポリカーボネートの硬度より高いものであればよい。
【0128】
シリコーン樹脂系ハードコート剤は、シロキサン結合をもった硬化樹脂層を形成するものであり、例えば、3官能シロキサン単位に相当する化合物(トリアルコキシシラン化合物など)を主成分とする化合物の部分加水分解縮合物、好ましくは更に4官能シロキサン単位に相当する化合物(テトラアルコキシシラン化合物など)を含む部分加水分解縮合物、並びに更にこれらにコロイダルシリカなどの金属酸化物微粒子を充填した部分加水分解縮合物などが挙げられる。シリコーン樹脂系ハードコート剤は更に2 官能性のシロキサン単位および1 官能性のシロキサン単位を含んでよい。これらには縮合反応時に発生するアルコール(アルコキシシランの部分加水分解縮合物の場合)などが含まれるが、更に必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させてもよい。そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。なお、ハードコート層には平滑な表面状態を得るため各種界面活性剤、例えば、シロキサン系、フッ化アルキル系界面活性剤などを添加してもよい。
【0129】
有機樹脂系ハードコート剤としては、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂などが挙げられる。ここで多官能アクリル樹脂としてはポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレートなどの樹脂が挙げられる。これらの中でも特に好適に紫外線硬化型のハードコート剤が好適である。更にかかるハードコート剤は、紫外線吸収性単量体および/ または光安定性単量体が共重合した構成単位を含有することがより好ましい。より好適な有機樹脂系ハードコート剤は、かかる単量体とアルキル(メタ)アクリレート単量体とを共重合することによりハードコート層が形成されるものである。かかる紫外線硬化型のハードコート剤はその処理が簡便である点で好ましく、更に紫外線吸収性単量体および/または光安定性単量体が共重合した構成単位を容易に包含できる点において、成形品の耐光性を大きく改良できる点で好ましい。アクリル系ハードコート剤の市販品としては、例えばオリジン電気(株)製オリジアプトシリーズ、および(株)日本触媒製ユーダブルシリーズなどが例示される。これらは架橋剤成分と混合して使用することができる。
【0130】
一方、ガラス様の硬度が成形品に求められる場合には、長期間の耐候性に優れ、かつ表面硬度が比較的高いシリコーン樹脂系ハードコート剤が好ましい。特に各種の樹脂からなるプライマー層(第1層)を形成した後、その上にシリコーン樹脂系ハードコート剤から調整されたトップ層(第2層)を形成したものが好ましい。
【0131】
かかるプライマー層(第1層)を形成する樹脂としては、各種ブロックイソシアネート成分およびポリオール成分からなるウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、およびポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレート、メラミンアクリレート、アミノアクリレートなどの各種多官能アクリル樹脂を挙げることができ、これらは単独でも2 種以上を併用して使用することもできる。これらの中でも好ましくはアクリル樹脂、多官能アクリル樹脂が50重量%、より好ましくは60重量% 以上含有するものを挙げることができ、特にアクリル樹脂およびウレタンアクリレートからなるものが好ましい。これらは未反応状態のものを塗布後所定の反応をさせて硬化樹脂とすること、並びに反応後の樹脂を直接塗布し硬化樹脂層を形成することのいずれも適用可能である。後者は通常樹脂を溶媒に溶解し溶液とした後、塗布されその後溶媒が除去される。また前者の場合も溶媒を使用することが一般的である。
【0132】
更に、本発明のシリコーン樹脂系ハードコート剤のプライマー層を形成する樹脂には、公知の光安定剤や紫外線吸収剤、並びにシリコーン樹脂ハードコート剤の触媒、熱・光重合開始剤、重合禁止剤、シリコーン消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤および添加助剤を含むことができる。
【0133】
本発明のハードコート層は、紫外線吸収剤を含有することが、良好な耐久性(殊に密着性に対する耐久性) を有することから好適である。更に本発明のハードコート層のより好適な態様は次のとおりである。すなわち、本発明の成形品の表面に第1層が形成され、第1層の表面に第2層が形成された構成のハードコート層であって、
第1層は、架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)および紫外線吸収剤からなり、第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなり、該架橋したアクリル共重合体( アクリル共重合体−I)は、50モル%以上の下記式(X−1)
【0134】
【化19】

(式中R31はメチル基またはエチル基である。)
で表される繰り返し単位、5〜30モル%の下記式(X−2)
【0135】
【化20】

(式中R32は炭素数2〜5のアルキレン基である。式(X−2)で表される繰り返し単位において少なくとも一部のRは単結合であり、残りが水素原子である。Rが単結合の場合はウレタン結合を介して、他の式(X−2)で表される繰り返し単位と結合している。)
で表される繰り返し単位、および0〜30モル%の下記式(X−3)
【0136】
【化21】

(但し、式中Yは水素原子またはメチル基であり、R33は水素原子、炭素数2〜5のアルキル基、紫外線吸収残基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基である。但し、Yがメチル基であり、かつR13がメチル基またはエチル基である場合を除く。)で表される繰り返し単位からなり、ウレタン結合と式(X−1)〜(X−3)で表される繰り返し単位の合計量とのモル比が4/100〜30/100の範囲にある架橋したアクリル共重合体であり、該架橋したオルガノシロキサン重合体は、下記式(p−4)〜(p−6)
【0137】
【化22】

【化23】

【化24】

(式中、Q、Qは、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。)
で表される繰り返し単位からなり、該繰り返し単位の全量を100モル%としたとき、式(p−4):80〜100モル%、式(p−5):0〜20モル%、および式(p−6):0〜20モル%である架橋したオルガノシロキサン重合体である、ハードコート層である。
【0138】
コート方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材となる成形品の形状に応じて適宜選択することができる。中でも複雑な成形品形状に対応しやすいディップコート法、フローコート法、およびスプレーコート法が好ましい。
【発明の効果】
【0139】
本発明は、バイオマス資源を原料とし、改良された熱安定性を有するポリカーボネート樹脂組成物からの大型の射出成形品である。かかる成形品は、従来主としてシートおよびその曲げ加工品が使用されていた各種の成形品に、飛躍的な生産性の向上と、部品のモジュール化をもたらすことができる。かかる成形品としては、例えば自動車外装部品、自動車内装部品、樹脂窓ガラスなどが例示される。樹脂窓ガラスとしては、ルーフウインド(サイドウインドやバックウインドまで回り込むものを含む)、バックウインド、デタッチャブルトップ、およびウインドリフレクターなどや、建築物の採光装置におけるドームの如きものなどが例示される。
【実施例】
【0140】
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記の製造例に示す方法により、ポリカーボネート樹脂の製造を行った。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
【0141】
(1)溶融粘度
(株)東洋精機製キャピラリーレオメータ(キャピログラフ 型式1D)を用い、キャピラリー長10.0mm、キャピラリー径1.0mm、測定温度250℃にて測定速度を任意に変更し測定した結果得られたShear Rate/Viscosityカーブより600sec−1での溶融粘度を読み取った。
【0142】
(2)ガラス転移温度
TA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定した。
【0143】
(3)5%重量減少温度
TA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定した。
【0144】
<製造例1:ポリカーボネートA−1成分の製造>
イソソルビド1608重量部(11モル)とジフェニルカーボネート2356重量部(11モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを1.0重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して1×10−4モル)、および水酸化ナトリウムを1.1×10−3重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下常圧で180℃に加熱し溶融させた。
【0145】
撹拌下、反応槽内を30分かけて徐々に減圧し、生成するフェノールを留去しながら13.3×10−3MPaまで減圧した。この状態で20分反応させた後に200℃に昇温し、次いで20分かけて徐々に減圧し、フェノールを留去しながら4.00×10−3MPaで20分間反応させ、さらに、220℃に昇温し30分間、250℃に昇温し30分間反応させた。
【0146】
次いで、徐々に減圧し、2.67×10−3MPaで10分間、1.33×10−3MPaで10分間反応を続行し、さらに減圧し、4.00×10−5MPaに到達したら、徐々に昇温し、最終的に250℃、6.66×10−5MPaで40分間反応させた。その結果、ガラス転移温度156℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度が0.53×10Pa・s、5%重量減少温度360℃のポリマーが得られた。
【0147】
<製造例2:ポリカーボネートA−2成分の製造>
最終的に260℃、6.66×10−5MPaで60分間反応せしめた以外は製造例1と同様にしてポリマーを得た、このポリマーのガラス転移温度は164℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度は1.7×10Pa・s、5%重量減少温度は362℃であった。
【0148】
<製造例3:ポリカーボネートA−3成分の製造>
重合触媒として酢酸亜鉛を用い、最終的に220℃、6.66×10−5MPaで11時間反応させた以外は製造例1と同様にしてポリマーを得た、このポリマーのガラス転移温度は158℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度が0.59×10Pa・s、5%重量減少温度291℃のポリマーが得られた。
【0149】
その他、原料としては、以下のものを用いた。
B−1:ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(旭電化工業(株)製 アデカスタブ PEP−36)
B−2:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製 IRGANOX 1010)
B−3:3,9−ビス[2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(住友化学(株)製 スミライザー GA−80)
【0150】
(その他)
CEi−P:2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(竹本油脂(株)製:「CEi−P」(商品名))
H−PSR:クマリン系蛍光増白剤(ハッコールケミカル(株)製:「ハッコールPSR」(商品名))
KL−OS:蛍光増白剤(日本化薬(株)製:「カヤライトOS」(商品名))
MR:ステアリルモノグリセリド離型剤(理研ビタミン(株)製:「リケマールS−100A」(商品名))
【0151】
<樹脂組成物および成形品の評価>
(1)大型射出プレス成形品による熱安定性評価(実施例1〜6および比較例1〜2)
図1に示す肉厚5mmの自動車屋根成形品を射出プレス成形法により成形し、その外観を確認した。成形は十分なパージショット後、連続20ショットの成形を行い、成形の安定した11〜20ショット目までの計10個の成形品を使用して評価を行った。評価は上記と同様下記の基準に基づき行った。
○ : いずれの成形品もシルバーストリークは認められない
△ : 一部の成形品にわずかなシルバーストリークが認められる
× : いずれの成形品にもシルバーストリークが認められる
【0152】
(2)ハードコート密着性
上記成形品のほぼ中央部において、ハードコート層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作りニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ(登録商標)”)を圧着し、垂直に強く引き剥がして樹脂成形品にハードコート層がすべて残るか否かを観察した。10枚の樹脂成形品で実施し、樹脂成形品にハードコート層が全て残った成形品の数を求めた。
【0153】
(3)耐熱性:ISO75−1および2に従って、曲げ試験片を用いて荷重:1.80MPaの条件下にて荷重たわみ温度を測定した。
【0154】
(4)曲げ弾性率:ISO178に従って、曲げ弾性率を測定した(曲げ試験片形状:長さ80mm×幅10mm×厚み4mm)。
【0155】
[実施例1〜6および比較例1〜2]
(i)成形用材料の作成
表1記載の原料を表記載の配合割合で配合し、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合した。得られた混合物を押出機のスクリュー根元に位置する第1 供給口に供給して押出した。押出機は径30mmφのスクリューを装備したベント付き二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー))を使用した。ベント口手前に1箇所の混練ゾーンを有するスクリュー構成を採用した。押出条件は吐出量25kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出機のシリンダ温度は第1供給口部:230℃からダイス部:250℃とした。シリンダ温度のプロファイルはほぼブロックごとに均等に増加する配分とした。押出されたストランドをストランドカットしてペレットを得た。
【0156】
(ii)大型射出プレス成形品の作成
上記で得られたペレットを、プラテンの4軸平行制御機構を備えた射出プレス成形可能な大型成形機((株)名機製作所製:MDIP2100、最大型締め力33540kN)を用いて射出プレス成形し、図1に示す自動車用屋根成形品を製造した。かかる成形機は、上記と同様に120℃で5時間程度のレベルまでにペレットを乾燥可能なホッパードライヤー設備を付帯しており、かかる乾燥後のペレットが成形に使用された。乾燥は110℃ の雰囲気下で行った。
【0157】
成形はシリンダー温度250℃、ホットランナー設定温度230℃、固定側金型温度110℃、可動側金型温度100℃、射出速度16mm/秒、充填時間31秒、中間型締め位置から最終型締め位置までのストロークであるプレスストローク3.0mm、冷却時間230秒、および成形サイクル310秒であった。また可動側金型パーティング面は最終の前進位置において固定側金型パーティング面に接触しないものとした。ランナーはモールドマスターズ社製のバルブゲート型のホットランナー(ゲート直径:7mmφ)を用い、充填完了直前に型圧縮を開始し、充填完了後直ちにバルブゲートを閉じて溶融樹脂がゲートからシリンダーへ逆流しない条件とした。
【0158】
(iii)特性評価用成形品の作成
乾燥後のペレットを用い、射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)によりシリンダー温度250℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒で曲げ試験片を成形した。
【0159】
(vi)ハードコート処理
実施例1〜6の自動車屋根用成形品については、ハードコート処理を行った。
(vi−1)ハードコート剤の調整(下記説明において“部”は“重量部”を示す)
(vi−1−1)アクリル共重合体(EMA−HEMA(I))の製造
還流冷却器および撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート(以下EMAと略称する)102.7部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと略称する)13部、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略称する)0.18部および1,2−ジメトキシエタン200部を添加混合し、溶解させた。次いで、窒素気流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得られた反応液をn−ヘキサンに添加して再沈精製し、EMA/HEMAの組成比90/10(モル比)のコポリマー(EMA−HEMA(I))98部を得た。該コポリマーの水酸基価は48.7mgKOH/g、重量平均分子量はGPCの測定(カラム;Shodex GPCA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算で90,000であった。
【0160】
(vi−1−2)第1層用アクリル樹脂組成物(HC−1)の調整
上記EMA−HEMA(I)10部および紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルス(株)製:「チヌビン411L」(商品名))2.00部をメチルイソブチルケトン50部および2−ブタノール25部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液にEMA−HEMA(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1当量になるようにポリイソシアネート化合物前駆体(デグサジャパン(株)製:「VESTANATB135 8/100」(商品名))2.96部を添加し、さらにジメチルチンジネオデカノエート0.005部、シランカップリング剤(日本ユニカー(株) 製:「APZ−6633 5%エタノール溶液」(商品名))1.5部を添加し25℃で30分間攪拌し、第1層用のアクリル樹脂組成物(HC−1)を調製した。
【0161】
(vi−1−3)第2層用オルガノシロキサン樹脂組成物(HC−2)の調整
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成工業(株)製:「カタロイドSN30」(商品名)、固形分濃度30重量%)100部に35%塩酸0.1部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン136部、ジメチルジメトキシシラン20.3部を加えた。この混合液を25℃で6時間攪拌して得られた反応液に、硬化触媒およびpH調節剤として45%コリンメタノール溶液1部および酢酸4部を加えイソプロパノール200部で希釈してオルガノシロキサン樹脂組成物(HC−2)を調製した。
【0162】
(vi−2)ハードコート剤の塗布
上記で製造された車輌用屋根成形品を130℃で1時間クリーンオーブン中でアニール
処理を行った。その後上記で調整された第1層用アクリル樹脂組成物(HC−1)を液だまりができないようディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分間静置後130℃で1時間熱風循環オーブン中で熱硬化させ、4.0μmの膜厚の硬化膜を積層させた。次いで該成形品の被膜表面上に上記で調整された第2層用オルガノシロキサン樹脂組成物(HC−2)をディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で2時間熱風循環オーブン中で熱硬化させ、4.0μmの膜厚の硬化膜を積層させた。
【0163】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】実施例において成形した自動車屋根成形品の概略図を示す。図示されるとおり該自動車屋根成形品はなだらかな曲面から構成される3次元形状を有する。[1−A]は正面図(成形時のプラテン面に投影した図)を示し、[1−B]は長手方向の側面図、[1−C]は流動末端側からの側面図を示す。
【符号の説明】
【0165】
11 自動車屋根成形品本体(本体部は厚み5mm、最大投影面積は約11,000cmである)
12 ホットランナーノズル先端に対応する部分
13 成形品のゲート(該ゲートは厚み5mmの平板状である)
14 成形品ゲート側長さ(成形品の最大幅に相当し、1000mmである)
15 成形品流動末端側の長さ(900mm)
16 成形品本体の長さ(1240mm)
17 ゲート部を含む成形品全体の長さ(1350mm)
18 成形品の高さ(90mm)
19 取り付け用爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、酸化防止剤(B成分)0.001〜1重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物を射出成形することにより得られた最大投影面積が500〜50,000cmを有する樹脂成形品。
【化1】

【請求項2】
前記樹脂成形品は、樹脂組成物を射出プレス成形することにより得られたものである請求項1記載の樹脂成形品。
【請求項3】
前記樹脂成形品は、シート形状でありその少なくとも1つの表面にハードコート処理がなされたものである請求項1または2記載の樹脂成形品。
【請求項4】
ポリカーボネート樹脂(A成分)は、含窒素塩基性化合物、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物を重合触媒として使用し、下記式(a)で示されるエーテルジオールと炭酸ジエステルとを、常圧で加熱反応させ、次いで減圧下、180℃〜280℃の温度で加熱しながら溶融重縮合させて得られたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形品。
【化2】


【図1】
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【公開番号】特開2009−102537(P2009−102537A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276412(P2007−276412)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】