説明

樹脂材料供給装置及び記録メディアカートリッジ

【課題】 成形装置へ供給する前に、少なくともペレット状の再生樹脂材料に対して異物混入の有無を検出できるようにし、結果的に製造コストの低減が図れるようにした樹脂材料供給装置と、それによって供給された樹脂材料で成形された成形部品を備えた記録メディアカートリッジの提供を課題とする。
【解決手段】 ペレット状の再生樹脂材料42とバージン樹脂材料44が投入されるホッパー46を有し、ホッパー46から再生樹脂材料42とバージン樹脂材料44が混在した混在樹脂材料を成形装置50に供給する樹脂材料供給装置40において、成形装置50へ供給する前に、混在樹脂材料の品質を検査する品質検査装置48を備える。そして、その樹脂材料供給装置40により供給された混在樹脂材料によって成形された成形部品を記録メディアカートリッジ10に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレット状の再生樹脂材料とバージン樹脂材料が投入されるホッパーを有し、そのホッパーから再生樹脂材料とバージン樹脂材料が混在した混在樹脂材料を射出成形機等の成形装置に供給する樹脂材料供給装置と、その混在樹脂材料によって成形された成形部品を備えた記録メディアカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンピューター等のデータ記録再生媒体として使用されている磁気テープ等の記録テープを単一のリールに巻装し、そのリールをプラスチック製(合成樹脂製)のケース内に収容してなる記録テープカートリッジ(記録メディアカートリッジ)が知られている。このような記録テープカートリッジは、記録テープ等に寿命が来て廃棄されると、主に製造販売業者に回収され、樹脂製部品や金属製部品等に分別され、更に再利用可能なものと廃棄するものとに分別される。
【0003】
特に近年では、廃棄(焼却)した際に発生する有害物質等の環境問題の観点及び製造コスト低減の観点から、プラスチックの再利用が謳われており、回収した記録テープカートリッジの樹脂製部品を再生原料として、即ちペレット状の再生樹脂材料として使用する傾向にある。
【0004】
しかしながら、このような再生樹脂材料には、六価クロム等の有害物質となる異物が混入している場合がある。したがって、従来では、そのような再生樹脂材料を使用する場合には、それによるサンプル製品(樹脂製部品)を製造し、その製品単位で品質検査を行って、異物(有害物質)が混入しているか否かの品質保証をしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、このように製品単位で品質保証をすると、射出成形機等の成形装置により、サンプル製品を別途製造しなければならないため、製造コストが掛かるし、異物(有害物質)が発見された場合にも、その異物(有害物質)が混入した箇所の特定が困難になるという問題があった。
【特許文献1】特開平6−818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、成形装置へ供給する前に、少なくともペレット状の再生樹脂材料に対して異物混入の有無を検出できるようにし、結果的に製造コストの低減が図れるようにした樹脂材料供給装置と、それによって供給された樹脂材料で成形された成形部品を備えた記録メディアカートリッジを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の樹脂材料供給装置は、ペレット状の再生樹脂材料とバージン樹脂材料が投入されるホッパーを有し、該ホッパーから前記再生樹脂材料と前記バージン樹脂材料が混在した混在樹脂材料を成形装置に供給する樹脂材料供給装置であって、前記成形装置へ供給される前に、前記混在樹脂材料の品質を検査する品質検査装置を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、成形装置へ供給される前に、ペレット状の混在樹脂材料(再生樹脂材料及びバージン樹脂材料)の品質が検査される。したがって、異物が混入されていれば、速やかに該当する再生樹脂材料又はバージン樹脂材料を除去することができる。よって、製造された製品に異物が混入することはなく、結果的に製造コストの低減が図れる。
【0009】
また、本発明に係る請求項2に記載の樹脂材料供給装置は、ペレット状の再生樹脂材料とバージン樹脂材料が投入されるホッパーを有し、該ホッパーから前記再生樹脂材料と前記バージン樹脂材料が混在した混在樹脂材料を成形装置に供給する樹脂材料供給装置であって、前記ホッパーに投入される前に、少なくとも前記再生樹脂材料の品質を検査する品質検査装置を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、少なくともホッパーに投入される前の再生樹脂材料の品質が検査される。したがって、異物が混入されていれば、速やかに該当する再生樹脂材料を除去することができる。よって、製造された製品に異物が混入することはなく、結果的に製造コストの低減が図れる。
【0011】
また、本発明に係る請求項3に記載の記録メディアカートリッジは、請求項1又は請求項2に記載の樹脂材料供給装置により供給された混在樹脂材料によって成形された成形部品を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、製造コストが低減された記録メディアカートリッジを得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、成形装置へ供給する前に、少なくともペレット状の再生樹脂材料に対して異物混入の有無を検出でき、結果的に製造コストの低減が図れる樹脂材料供給装置と、それによって供給された樹脂材料で成形された成形部品を備えた記録メディアカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の最良な実施の形態を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。なお、説明の便宜上、本発明に係る樹脂材料供給装置40によって供給する再生樹脂材料42は、記録テープカートリッジ10を回収したことによって得られたものとする。つまり、記録メディアカートリッジの一例として記録テープカートリッジ10を採用し、その記録テープカートリッジ10に使用されている樹脂材を再利用する場合について説明する。
【0015】
まず、記録テープカートリッジ10の概略について説明する。図1、図2で示すように、この記録テープカートリッジ10は、略矩形箱状のケース12を有している。このケース12は、ポリカーボネート(PC)等の合成樹脂製の上ケース14と下ケース16とが、それぞれ天板14Aの周縁に立設された周壁14Bと、底板16Aの周縁に立設された周壁16Bとを互いに当接させた状態で、超音波溶着やネジ止め等によって接合されて構成されている。
【0016】
ケース12の内部には、リール20が1つだけ回転可能に収容される。このリール20のリールハブ22の外周面に、情報記録再生媒体としての磁気テープ等の記録テープTが巻回され、上フランジ24及び下フランジ26によって、その巻回された記録テープTの幅方向の端部が保持されている。
【0017】
また、周壁14B、16Bの一部には、リール20に巻装された記録テープTを引き出すための開口18が形成されており、この開口18から引き出される記録テープTの自由端部には、ドライブ装置の引出部材(図示省略)によって係止(係合)されつつ引き出し操作されるリーダーピン30が固着されている。
【0018】
また、その開口18は、ドア32によって開閉される。このドア32は、開口18を閉塞可能な大きさの略矩形板状に形成され、周壁14B、16Bに沿って移動できるように、開口18内側の天板14A及び底板16Aには、ドア32の上下端部を摺動可能に嵌入させる溝部28が形成されている。
【0019】
ドア32の前端部には、開閉操作用の凸部34が外方に向かって突設されており、ドア32の後端部に突設されたシャフト36には、コイルバネ38が挿嵌されている。したがって、凸部34が、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填に伴い、そのドライブ装置側の開閉部材(図示省略)と係合して後方へ押されることにより、コイルバネ38の付勢力に抗してドア32が開放される。
【0020】
このような構成の記録テープカートリッジ10は、記録テープT、リーダーピン30、バネ類、ネジ等を除いて樹脂材で成形されている。つまり、記録テープカートリッジ10を構成する殆どの部品が樹脂材で成形されており、記録テープTの寿命等で回収された記録テープカートリッジ10は、その樹脂製部品がペレット状の再生樹脂材料42として再利用される。以下、その再生樹脂材料42を成形装置50へ供給する樹脂材料供給装置40について詳述する。
【0021】
[第1実施例]
まず、第1実施例について説明する。図3で示すように、ペレット状とされた再生樹脂材料42とバージン樹脂材料44はホッパー46に投入される。そして、そのペレット状の混在樹脂材料(再生樹脂材料42及びバージン樹脂材料44)は、ホッパー46から射出成形機等の成形装置50へ、ベルトコンベア等の搬送手段(図示省略:以下「ベルトコンベア」とする)を介して供給される。
【0022】
成形装置50へ供給された混在樹脂材料は、この成形装置50によって新たな成形部品52として再生されるが、その混在樹脂材料は、成形装置50へ供給される前に、即ちベルトコンベアで搬送している間に、その品質(有害物質等の異物が混入されているか否か)が品質検査装置48によって検査される。
【0023】
品質検査装置48は、ベルトコンベア上を流れるペレット状の混在樹脂材料に紫外線を照射し、オンラインで異物(有害物質)の混入の有無を検出できる一般的な紫外線照射装置であり、例えばSPECTRO エネルギー分散型蛍光X線分析装置 XEPOS(理学電機工業(株)製)が使用可能である。このような品質検査装置48によって、再生樹脂材料42とバージン樹脂材料44とが混在したペレット状の混在樹脂材料の品質検査ができる。
【0024】
ここで更に、図4で示すフローチャートに基づいて、その検査工程について説明する。まず、ステップS1にて、ホッパー46にペレット状の再生樹脂材料42とバージン樹脂材料44が投入されると、ステップS2にて、そのホッパー46から成形装置50へ供給される混在樹脂材料(再生樹脂材料42及びバージン樹脂材料44)の品質が品質検査装置48によって検査される。
【0025】
すなわち、ホッパー46から成形装置50へ搬送されるベルトコンベア上の混在樹脂材料に対して紫外線が照射され、その品質が検査される(異物混入の有無が検出される)。そして、ステップS3にて、その混在樹脂材料に異物があると判断された場合には、ベルトコンベアが一時停止し、ステップS4にて、その異物が混入されている再生樹脂材料42又はバージン樹脂材料44が、図示しない除去手段により除去される。
【0026】
一方、ステップS3にて、混在樹脂材料に異物が無いと判断された場合には、そのまま混在樹脂材料がベルトコンベアによって搬送され、ステップS5にて、成形装置50へ、その混在樹脂材料が供給される。したがって、その成形装置50によって製造された成形部品52には異物等は混入しておらず、その品質が保証される。
【0027】
[第2実施例]
次に、第2実施例について説明する。図5で示すように、ペレット状とされた再生樹脂材料42とバージン樹脂材料44は、ホッパー46に投入される前に、即ちホッパー46へ投入するベルトコンベア上において、それぞれ品質検査装置48により、その品質が検査される。そして、品質が保証された(異物の混入が無い)樹脂材料だけがホッパー46に投入され、上記と同様に成形装置50により新たな成形部品52として再生される。
【0028】
ここで更に、図6で示すフローチャートに基づいて、その検査工程について説明する。まず、ステップS1にて、ベルトコンベア上を流れてホッパー46へ投入されるペレット状の再生樹脂材料42の品質が品質検査装置48によって検査される。そして、ステップS2にて、再生樹脂材料42に異物があると判断された場合には、そのベルトコンベアが一時停止し、ステップS3にて、その異物が混入されている再生樹脂材料42が、図示しない除去手段により除去される。
【0029】
一方、ステップS4にて、ベルトコンベア上を流れてホッパー46へ投入されるペレット状のバージン樹脂材料44の品質が品質検査装置48によって検査される。そして、ステップS5にて、バージン樹脂材料44に異物があると判断された場合には、そのベルトコンベアが一時停止し、ステップS6にて、その異物が混入されているバージン樹脂材料44が、図示しない除去手段により除去される。なお、バージン樹脂材料44に異物が混入されていないことが明らかである場合には、バージン樹脂材料44に対する品質検査を省略してもよい。
【0030】
そして、ステップS2及びステップS5にて、再生樹脂材料42及びバージン樹脂材料44に異物が無いと判断された場合には、ステップS7にて、再生樹脂材料42及びバージン樹脂材料44がホッパー46へ投入され、更にステップS8にて、成形装置50へ、その混在樹脂材料が供給される。したがって、その成形装置50によって製造された成形部品52には異物等は混入しておらず、その品質が保証される。
【0031】
以上、説明したように、ペレット状の再生樹脂材料42を使用して製品を製造する場合に、少なくともそのペレット状の再生樹脂材料42を成形装置50へ供給する前に、その中に混入しているおそれのある異物(有害物質)を検出可能としたので、確実かつ速やかに、その異物の混入している再生樹脂材料42を除去することができる。よって、サンプル製品を製造して製品単位で品質の検査をする場合よりも、結果的に製造コストの低減が図れる。
【0032】
また、このように品質が保証された成形部品52を使用するので、製品としても問題がなく、製造コストが低減された記録テープカートリッジ10を得ることができる。なお、本実施の形態では、記録テープカートリッジ10に使用されている樹脂材を再生樹脂材料42として再利用する場合を例に採って説明したが、回収する製品は記録テープカートリッジ10に限定されるものではなく、例えばディスクをケース内に収容してなるディスクカートリッジ(図示省略)等も該当するものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】記録テープカートリッジの概略斜視図
【図2】記録テープカートリッジの概略分解斜視図
【図3】本発明に係る樹脂材料供給装置の第1実施例の構成を示すブロック図
【図4】本発明に係る樹脂材料供給装置の第1実施例の検査工程を示すフローチャート
【図5】本発明に係る樹脂材料供給装置の第2実施例の構成を示すブロック図
【図6】本発明に係る樹脂材料供給装置の第2実施例の検査工程を示すフローチャート
【符号の説明】
【0034】
10 記録テープカートリッジ(記録メディアカートリッジ)
12 ケース
20 リール
30 リーダーピン
32 ドア
40 樹脂材料供給装置
42 再生樹脂材料
44 バージン樹脂材料
46 ホッパー
48 品質検査装置
50 成形装置
52 成形部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット状の再生樹脂材料とバージン樹脂材料が投入されるホッパーを有し、該ホッパーから前記再生樹脂材料と前記バージン樹脂材料が混在した混在樹脂材料を成形装置に供給する樹脂材料供給装置であって、
前記成形装置へ供給される前に、前記混在樹脂材料の品質を検査する品質検査装置を備えたことを特徴とする樹脂材料供給装置。
【請求項2】
ペレット状の再生樹脂材料とバージン樹脂材料が投入されるホッパーを有し、該ホッパーから前記再生樹脂材料と前記バージン樹脂材料が混在した混在樹脂材料を成形装置に供給する樹脂材料供給装置であって、
前記ホッパーに投入される前に、少なくとも前記再生樹脂材料の品質を検査する品質検査装置を備えたことを特徴とする樹脂材料供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の樹脂材料供給装置により供給された混在樹脂材料によって成形された成形部品を備えたことを特徴とする記録メディアカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−69464(P2007−69464A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259237(P2005−259237)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】