樹脂混練物およびシート
【課題】混練物中における気孔の気孔径および気孔数を低減でき、各種産業製品において好適に使用できる樹脂混練物を提供すること。
【解決手段】表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数を30個以下となるように、樹脂混練物を調製する。
【解決手段】表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数を30個以下となるように、樹脂混練物を調製する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂混練物およびシート、詳しくは、各種産業製品に用いられる樹脂混練物、および、その樹脂混練物から形成されるシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種産業製品、具体的には、電子部品の封止などに樹脂混練物が広く利用されている。このような樹脂混練物は、例えば、原料が混練機により混練されて調製される。
【0003】
このような混練機としては、例えば、被処理物(原料)を投入する投入口と、排出する排出口とが設けられた筒状ケーシングと、筒状ケーシング内に配置され、投入口側から排出口側に向けて、順次フィードスクリュウ、パドル、リバーススクリュウが設けられた混練軸とを備える連続二軸混練機が知られている。
【0004】
そして、樹脂混練物としては、例えば、上記の連続二軸混練機において、被処理物(例えば、熱硬化性樹脂)が投入口から筒状ケーシング内に投入され、混練軸に設けられたパドルにより被処理物を混練された後、その被処理物の混練物を排出口から、リバーススクリュウにより筒状ケーシングの外部に押し出される製品(混練物)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−267483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の製品(混練物)中には、気孔径100μm以上の気孔(ボイド)が、多数発生する場合がある。このような混練物中の気孔は、混練物が使用される各種産業製品において不具合となる場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、混練物中における気孔の気孔径および気孔数を低減でき、各種産業製品において好適に使用できる樹脂混練物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂混練物は、表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数が30個以下であることを特徴としている。
【0009】
また、本発明では、水分量が、0〜800ppmであることが好適である。
【0010】
また、本発明のシートは、上記した樹脂混練物から形成されることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の樹脂混練物は、混練機の混練により得られる樹脂混練物であって、前記混練機は、バレルと、前記バレル内に挿通される混練軸とを備え、前記バレルには、一端側に、混練対象物を前記バレルの内部に導入するための導入部と、他端側に、前記混練対象物が混練された混練物を前記バレルの外部に吐出するための吐出部とが形成され、前記混練軸は、前記混練軸の軸線方向における前記導入部と前記吐出部との間に、前記混練対象物を混練する混練部分と、前記混練部分よりも前記吐出部側に配置され、前記混練軸の軸線方向に沿って、凹凸がないように延びる平滑面を有する低せん断部分とを備え、前記混練機の前記導入部から、前記バレルの内部に導入され、前記前記吐出部から吐出されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂混練物は、表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数が30個以下である。つまり、樹脂混練物中における、気孔(ボイド)の気孔径および気孔数が低減されている。
【0013】
そのため、各種産業製品、具体的には、電子部品の封止などにおいて、好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の樹脂混練物の調製に用いられる混練機の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す混練機の吐出口側の平断面図である。
【図3】本発明の樹脂混練物の調製に用いられる混練機の他の実施形態(吐出口がバレルの他端部に形成される態様)を示す概略構成図である。
【図4】図3に示す混練機の吐出口側の平断面図である。
【図5】樹脂混練物の切断面を顕微鏡観察するために調製される試料片の写真である。
【図6】実施例1の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図7】実施例2の樹脂混練物の断面(第1観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図8】実施例2の樹脂混練物の断面(第2観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図9】実施例2の樹脂混練物の断面(第3観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図10】比較例1の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図11】比較例2の樹脂混練物の断面(第1観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図12】比較例2の樹脂混練物の断面(第2観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図13】比較例2の樹脂混練物の断面(第3観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図14】実施例3の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図15】実施例2の樹脂混練物(水分量が200ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【図16】実施例2の樹脂混練物(水分量が500ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【図17】実施例2の樹脂混練物(水分量が800ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の樹脂混練物は、その表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数が30個以下、好ましくは、25個以下、さらに好ましくは、15個以下である。
【0016】
また、樹脂混練物の表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径30μm以上の気孔数が30個以下、好ましくは、15個以下、気孔径10μm以上の気孔数が50個以下、好ましくは、25個以下である。
【0017】
また、樹脂混練物の表面積4.00mm2当たりにおける、全気孔の平均気孔径が、5〜120μm、好ましくは、10〜110μmである。
【0018】
また、樹脂混練物の表面積4.00mm2当たりにおける、全気孔数が、1〜40個、好ましくは、3〜30個である。
【0019】
このような樹脂混練物の表面積当たりにおける、気孔の気孔径および気孔数は、例えば、樹脂混練物を切断して、その切断面を顕微鏡観察することにより測定される。
【0020】
樹脂混練物の表面積当たりにおける、気孔の気孔径および気孔数を測定するには、まず、樹脂混練物の大きさを調整する。
【0021】
詳しくは、樹脂混練物を、軸線方向長さが、例えば、5〜40mm、好ましくは、15〜30mm、直径が、例えば、5〜30mm、好ましくは、10〜13mmの略円柱形状に調整する。
【0022】
次いで、大きさが調整された樹脂混練物を、加熱して硬化させた後、必要により冷却する。
【0023】
硬化条件としては、温度が、例えば、100〜300℃、好ましくは、150〜200℃であり、時間が、例えば、0.1〜10時間、好ましくは、0.5〜5時間である。
【0024】
次いで、硬化させた樹脂混練物を包埋用樹脂に包埋して、サンプル樹脂を調製する。
【0025】
サンプル樹脂を調製するには、例えば、樹脂混練物を所定容器に収容し、その容器に包埋用樹脂を流し込む。そして、所定温度において、静置することにより包埋用樹脂を硬化させる。
【0026】
包埋用樹脂は、熱硬化性樹脂と硬化剤との2液混合型の樹脂組成物であって、熱硬化性樹脂と硬化剤とを配合することにより調製される。
【0027】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0028】
硬化剤としては、例えば、有機リン化合物、酸無水物、アミン化合物などが挙げられる。
【0029】
熱硬化性樹脂と硬化剤との配合割合は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、1〜30質量部、好ましくは、5〜20質量部である。
【0030】
包埋用樹脂の硬化条件としては、温度が、例えば、10〜40℃、好ましくは、20〜30℃であり、静置時間が、例えば、1〜20時間、好ましくは、5〜10時間である。
【0031】
これによって、内部に樹脂混練物が包埋されるサンプル樹脂が調製される。
【0032】
次いで、サンプル樹脂を、例えば、精密切断機により樹脂混練物が切断面の中央部分に位置するように切断して、厚みが、例えば、1〜10mmの試料片を調製する(図5参照)。
【0033】
次いで、試料片の切断面を研磨機により研磨する。
【0034】
具体的には、切断面を3段階の研磨条件により研磨する。
【0035】
初期研磨(1段階目研磨)の条件としては、研磨紙番手が、例えば、240番、研磨紙台座回転数が、例えば、10〜100rpm(1/60s−1)、試料加圧力が、例えば、5〜8、研磨時間が、例えば、3〜5分間である。
【0036】
また、2段階目研磨の条件としては、研磨紙番手が、例えば、600番、研磨紙台座回転数が、例えば、10〜100rpm(1/60s−1)、試料加圧力が、例えば、8〜10、研磨時間が、例えば、3〜5分間である。
【0037】
また、3段階目研磨の条件としては、研磨紙番手が、例えば、800番、研磨紙台座回転数が、例えば、10〜100rpm(1/60s−1)、試料加圧力が、例えば、10〜15、研磨時間が、例えば、5〜10分間である。
【0038】
また、3段階目研磨においては、研磨紙に代えて、研磨粉を用いることもできる。
【0039】
次いで、研磨された切断面が、例えば、デジタルマイクロスコープなどの顕微鏡により観察される。
【0040】
以上によって、樹脂混練物の表面積当たりにおける、気孔の気孔径および気孔数が、顕微鏡観察により測定される。
【0041】
また、樹脂混練物の水分量は、例えば、0〜800ppm、好ましくは、500ppm以下、さらに好ましくは、400ppm以下である。樹脂混練物の水分量は、カールフィッシャー滴定法(具体的には、カールフィッシャー水分量測定装置)により、測定することができる。
【0042】
樹脂混練物の水分量を上記範囲内に調整することにより、樹脂混練物の単位表面積当たりにおける、全気孔の平均気孔径を低減することができる。
【0043】
なお、樹脂混練物の水分量は、必要により、樹脂混練物や原料となる混練対象物(後述)を、公知の方法(例えば、乾燥機)で乾燥させることで、上記範囲内に調整することができる。
【0044】
また、樹脂混練物の樹脂密度は、例えば、98〜100%、好ましくは、98.5〜100%である。なお、樹脂密度は、樹脂混練物の表面積4.00mm2に対する、その表面積4.00mm2内における全気孔の総断面積(全気孔の断面積の総和)の比を、1から減じた値の百分率である。
【0045】
また、90〜120℃における樹脂混練物の粘度は、例えば、50〜5000Pa・s、好ましくは、50〜3000Pa・s、さらに好ましくは、50〜1000Pa・sである。なお、粘度は、ARES粘度測定器(Rheometric Scientific社製)により、測定することができる。
【0046】
このような樹脂混練物は、例えば、原料となる混練対象物を、混練機により混練されることにより調製される。
【0047】
混練対象物としては、例えば、樹脂や、樹脂と添加剤との混合物などが挙げられる。
【0048】
樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂などの熱硬化性樹脂、例えば、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0049】
このような樹脂のなかでは、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0050】
また、このような樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0051】
添加剤としては、例えば、アミン系化合物、酸無水物系化合物、フェノール樹脂などの硬化剤、例えば、イミダゾール系化合物などの硬化促進剤、例えば、シリカ、アルミナ、金属水酸化物などの充填剤、例えば、アクリル系共重合体、ポリスチレン−ポリイソブチレン共重合体、スチレンアクリレート共重合体などの可撓性付与剤、例えば、カーボンブラックなどの着色剤などが挙げられる。
【0052】
硬化剤のなかでは、好ましくは、フェノール樹脂が挙げられる。
【0053】
また、このような硬化剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0054】
充填剤のなかでは、好ましくは、シランカップリング剤などにより表面処理がなされたシリカが挙げられる。
【0055】
また、このような充填剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0056】
可撓性付与剤のなかでは、好ましくは、ポリスチレン−ポリイソブチレン共重合体が挙げられる。
【0057】
また、このような可撓性付与剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0058】
なお、このような添加剤は、上記した樹脂の種類により適宜変更される。
【0059】
混練対象物が、樹脂と添加剤との混合物である場合、添加剤の合計混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、80〜99質量部、好ましくは、85〜98質量部である。
【0060】
具体的には、硬化剤の混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、1〜20質量部、好ましくは、2〜10質量部である。
【0061】
また、硬化促進剤の混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、0.05〜5質量部、好ましくは、0.1〜1質量部である。
【0062】
また、充填剤の混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、60〜95質量部、好ましくは、75〜90質量部である。
【0063】
また、シランカップリング剤により、充填剤を表面処理する場合、シランカップリング剤の使用割合は、充填剤100質量部に対して、例えば、0.1〜1.0質量部、好ましくは、0.1〜0.5質量部である。
【0064】
また、可撓性付与剤の混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、3〜30質量部、好ましくは、3〜20質量部である。
【0065】
また、着色剤の混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、0.01〜1質量部、好ましくは、0.05〜0.5質量部である。
【0066】
混練機としては、例えば、図1および図2に示す混練機1や、図3および図4に示す混練機40が挙げられる。
【0067】
図1は、本発明の樹脂混練物の調製に用いられる混練機の一実施形態を示す概略構成図であり、図2は、図1に示す混練機の吐出口側の平断面図である。
【0068】
混練機1は、図2に示すように、連続二軸混練機であり、バレル2と、2つの混練軸3とを備えている。
【0069】
バレル2は、図1に示すように、略楕円筒状に形成され、その一端側には、混練対象物(以下、混練対象物Aとする)をバレル2の内部に導入するための導入部の一例としての導入口4が設けられている。また、他端側には、混練対象物Aが混練された樹脂混練物をバレル2の外部に吐出するための吐出部の一例としての吐出口5が設けられている。
【0070】
導入口4は、バレル2の一端側において、混練軸3(後述)の径方向一方外側に、バレル2の側壁を貫通するように形成されている。
【0071】
また、吐出口5は、バレル2の他端側において、混練軸3(後述)の径方向他方外側に、バレル2の側壁を貫通するように形成されている。
【0072】
吐出口5の断面形状としては、例えば、矩形状、楕円形状、円形状などが挙げられ、好ましくは、楕円形状および円形状が挙げられる。
【0073】
また、吐出口5の断面積は、バレル2の断面積に対して、例えば、7〜50%、好ましくは、7〜20%である。
【0074】
また、バレル2における導入口4と吐出口5との間には、混練対象物Aを溶融混練する溶融混練部6が形成されている。
【0075】
溶融混練部6は、その軸線方向途中部において、溶融混練部6内の気体を排出するための複数(2つ)のベント部7を備えている。
【0076】
各ベント部7は、混練軸3(後述)の径方向一方外側に、バレル2の側壁を貫通するように、それぞれ形成されている。つまり、各ベント部7と導入口4とは、混練軸3(後述)の径方向において、互いに並列するように形成されている。
【0077】
また、各ベント部7は、常時閉鎖されており、必要により適宜開放することができる。
【0078】
複数のベント部7は、より具体的には、バレル2の一端側から他端側に向かう方向において、導入口4の他端側近傍に設けられる導入口側のベント部7と、吐出口5の一端側近傍に設けられる吐出口側のベント部7とを備えている。
【0079】
また、吐出口5側のベント部7は、ポンプ(図示せず)と連結されており、ポンプ(図示せず)の駆動による吸引力により、溶融混練部6内の気体が吸引される。
【0080】
また、溶融混練部6には、ヒータ(図示せず)が設けられており、溶融混練部6が、バレル2の一端側から他端側に向かう方向において、ブロック単位で適宜温度調整される。
【0081】
混練軸3は、バレル2の内部に配置され、混練対象物Aを混合せん断する回転軸であって、駆動軸8と、フィードスクリュー部9と、リバーススクリュー部10と、混練部分の一例としてのパドル部11と、低せん断部分の一例としてパイプ部12とが一体的に形成されている。
【0082】
詳しくは、混練軸3は、1つの駆動軸8と、複数(4つ)のフィードスクリュー部9と、複数(3つ)のリバーススクリュー部10と、複数(3つ)のパドル部11と、1つのパイプ部12とを備えている。
【0083】
なお、フィードスクリュー部9、リバーススクリュー部10、パドル部11、およびパイプ部12は、必要により適宜、軸線方向長さや設置数を変更することができる。
【0084】
複数(4つ)のフィードスクリュー部9は、混練対象物Aを吐出口5に向けて搬送する部分であって、具体的には、第1フィード部23、第2フィード部24、第3フィード部25、第4フィード部26から形成され、それらは、駆動軸8の軸線方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0085】
第1フィード部23は、混練軸3の一端部に配置され、導入口4および導入口4側のベント部7を駆動軸8の径方向に投影したときに、それらの投影面と重なるように配置されている。また、第1フィード部23は、駆動軸8の軸線方向長さが、他のフィード部と比較して最も長く形成されている。
【0086】
第4フィード部26は、4つのフィード部のうち、最も吐出口5側に配置され、吐出口5側のベント部7を駆動軸8の径方向に投影したときに、その投影面と重なるように配置されている。また、第4フィード部26は、駆動軸8の軸線方向長さが、第1フィード部23の略1/2に形成されている。
【0087】
また、第2フィード部24および第3フィード部25は、第1フィード部23と第4フィード部26との間に配置され、駆動軸8の軸線方向長さが、第1フィード部23の略1/10に形成されている。
【0088】
また、フィードスクリュー部9は、図2に示すように、駆動軸8の外周面から突出するらせん状のスクリュー条20を備えている。
【0089】
詳しくは、フィードスクリュー部9のスクリュー条20は、駆動軸8の回転方向(後述)と同じ方向にらせん状に形成されている。つまり、フィードスクリュー部9は、右らせんのスクリュー条20を備えている。
【0090】
フィードスクリュー部9におけるスクリュー条20のピッチ間隔は、例えば、0.6〜2.0cm、好ましくは、1.5〜2.0cmである。
【0091】
複数(3つ)のリバーススクリュー部10は、図1に示すように、第1リバース部30、第2リバース部31、第3リバース部32から形成され、それらは、混練軸3の軸線方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0092】
第3リバース部32は、混練軸3の他端部に配置され、駆動軸8の軸線方向長さが、他のリバース部と比較して最も長く形成されている。その駆動軸8の軸線方向長さは、第1フィード部23の略1/4である。
【0093】
第1リバース部30は、第1フィード部23と第2フィード部24との間であって、第2フィード部24と隣接配置されている。
【0094】
また、第2リバース部31は、第2フィード部24と第3フィード部25との間であって、第3フィード部25と隣接配置されている。
【0095】
また、第1リバース部30および第2リバース部31は、駆動軸8の軸線方向長さが、第3リバース部32の略1/5に形成されている。
【0096】
また、リバーススクリュー部10も、フィードスクリュー部9と同様に、図2に示すように、駆動軸8の外周面から突出するらせん状のスクリュー条20を備えている。
【0097】
一方、リバーススクリュー部10のスクリュー条20は、フィードスクリュー部9のスクリュー条20と逆方向のらせん状に形成されている。つまり、リバーススクリュー部10は、左らせんのスクリュー条20を備えている。
【0098】
リバーススクリュー部10におけるスクリュー条20のピッチ間隔は、例えば、0.6〜1.5cm、好ましくは、1.0〜1.5cmである。
【0099】
複数(3つ)のパドル部11は、混練対象物Aを混練する部分であって、具体的には、第1パドル部27、第2パドル部28、第3パドル部29から形成され、それらは、混練軸3の軸線方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0100】
第1パドル部27は、第1フィード部23と第1リバース部30との間に配置されている。
【0101】
第2パドル部28は、第2フィード部24と第2リバース部31との間に配置されている。
【0102】
第3パドル部29は、第3フィード部25と第4フィード部26との間に配置されている。
【0103】
また、第1パドル部27、第2パドル部28および第3パドル部29は、駆動軸8の軸線方向長さが、それぞれ略同じ長さであって、第1フィード部23の略1/3に形成されている。
【0104】
また、パドル部11は、図2に示すように、略楕円板状のパドル羽21を、駆動軸8の軸線方向に沿って並列するように複数備えている。
【0105】
より具体的には、複数のパドル羽21は、駆動軸8の軸線方向に、それぞれ隣接するパドル羽21の長径が、互いに約90°変位するように並列配置されている。
【0106】
パイプ部12は、駆動軸8の軸線方向に沿って略円筒形状に形成され、全周面にわたって凹凸がないように形成されている。
【0107】
また、パイプ部12は、第4フィード部26と第3リバース部32との間に配置され、吐出口5を駆動軸8の径方向に投影したときに、その投影面と重なるように配置されている。また、パイプ部12は、駆動軸8の軸線方向長さが、第1フィード部23の略1/2に形成されている。
【0108】
すなわち、混練軸3では、図1に示すように、駆動軸8の一端側から他端側に向けて、順次、第1フィード部23、第1パドル部27、第1リバース部30、第2フィード部24、第2パドル部28、第2リバース部31、第3フィード部25、第3パドル部29、第4フィード部26、パイプ部12、および、第3リバース部32が配置されている。
【0109】
つまり、混練軸3は、駆動軸8の一端側から他端側に向けて、フィード部、パドル部およびリバース部からなるユニットが繰り返して配置されており、他端側のユニットでは、パドル部とリバース部との間に、さらにフィード部およびパイプ部が配置されている。
【0110】
そして、2つの混練軸3は、図2に示すように、バレル2の内部において、その軸線方向に沿って配置され、かつ、その径方向に沿って、互いに並列配置されている。
【0111】
また、2つの混練軸3は、それぞれの部分(フィードスクリュー部9、リバーススクリュー部10、パドル部11)において、互いの回転駆動を妨げないように配置されている。
【0112】
また、混練軸3の駆動軸8の両端部は、バレル2の軸線方向外方に突出している。その突出する両端部のうち、一端側は、駆動源(図示せず)に相対回転不能に連結され、他端側は、支持壁(図示せず)に相対回転可能に支持されている。つまり、混練軸3は、駆動軸8に駆動源(図示せず)から駆動力が伝達されることにより、駆動軸8の軸線周りにおいて、回転駆動する。具体的には、混練軸3は、駆動軸8の軸線方向において、導入口4側から吐出口5側に見て右回転する。
【0113】
また、図1に示すように、バレル2の内周面と、混練軸3のフィードスクリュー部9、リバーススクリュー部10、およびパドル部11とは、混練軸3の径方向において僅かな間隔を隔てて対向するように配置されている。また、バレル2の内周面と、パイプ部12とは、混練軸3の径方向において、他の部分と比較して大きな間隔を隔てて配置されている。
【0114】
混練機1において、樹脂混練物を調製するには、まず、混練機1の導入口4から、混練対象物Aをバレル2の内部に導入する。
【0115】
そして、駆動軸8に駆動源(図示せず)からの駆動力が伝達されると、混練軸3が回転駆動し、混練対象物Aが第1フィード部23により攪拌されながら、第1パドル部27に向けて搬送される。
【0116】
このとき、第1フィード部23の外方に位置するバレル2(溶融混練部6)は、ヒータ(図示せず)により、例えば、20〜25℃に調整されている。また、混練対象物Aの導入とともに、バレル2の内部に侵入した空気などは、導入口4側のベント部7を開放することにより、バレル2の外部に放出される。
【0117】
次いで、搬送された混練対象物Aは、第1パドル部27において混練される。
【0118】
このとき、第1パドル部27の外方に位置する溶融混練部6は、ヒータ(図示せず)により、例えば、40〜80℃に調整されている。
【0119】
そして、混練された混練対象物Aは、第1フィード部23の回転駆動により搬送される混練対象物Aの押し出し力により、第1リバース部30に向けて押し出される。
【0120】
第1リバース部30に向けて押し出された混練対象物Aのうち、大部分は第1リバース部30を通過し、第2フィード部24に到達する。一方、押し出された混練対象物Aのうち、一部は第1リバース部30の回転駆動により、第1パドル部27に戻され、再度混練される。
【0121】
これによって、混練対象物Aの混練の促進を図るとともに、混練対象物Aの搬送速度が調整される。
【0122】
次いで、第1リバース部30を通過した混練対象物Aは、第2フィード部24により、第2パドル部28および第2リバース部31に向けて搬送される。
【0123】
これによって、混練対象物Aは、第1パドル部27および第1リバース部30と同様に、第2パドル部28および第2リバース部31を、混練されながら通過する。
【0124】
このとき、第2パドル部28の外方に位置する溶融混練部6は、ヒータ(図示せず)により、例えば、60〜120℃に調整されている。
【0125】
次いで、第2リバース部31を通過した混練対象物Aは、続く第3フィード部25により、第3パドル部29に搬送されて、第3パドル部29おいてさらに混練される。これにより、混練対象物Aは、樹脂混練物(以下、樹脂混練物Bとする。)として調製される。
【0126】
このとき、第3パドル部29の外方に位置する溶融混練部6は、ヒータ(図示せず)により、例えば、80〜140℃に調整されている。
【0127】
そして、樹脂混練物Bは、混練軸3の回転駆動により押し出されて、第4フィード部26に到達する。
【0128】
このとき、吐出口5側のベント部7に連結されたポンプ(図示せず)を駆動させることにより、樹脂混練物B中の水分や揮発成分などが溶融混練部6の外部に排出される。
【0129】
これによって、樹脂混練物B中における気孔の低減を図ることができる。
【0130】
次いで、樹脂混練物Bは、第4フィード部26によりパイプ部12に搬送される。
【0131】
パイプ部12では、上記したように、全周面にわたって凹凸がないように形成されている。そのため、パイプ部12において、樹脂混練物Bは、混練軸3の軸線方向と交差する方向のせん断が抑制され、パイプ部12の軸線方向に沿って円滑に移動される。
【0132】
そして、樹脂混練物Bの大部分は、吐出口5から樹脂混練物Bが吐出される。
【0133】
一方、吐出されることなく吐出口5を通過して、第3リバース部32に至った樹脂混練物Bも、第3リバース部32により押し戻され、吐出口5から樹脂混練物Bが吐出される。
【0134】
以上によって、樹脂混練物Bが調製される。
【0135】
このような樹脂混練物Bは、パドル部11により混練された後、混練軸3の軸線方向と交差する方向のせん断が抑制されたパイプ部12を通過し、吐出口5から吐出されるため、気孔の発生、すなわち、気孔の気孔径および気孔数を低減することができる。
【0136】
図3は、本発明の樹脂混練物の調製に用いられる混練機の他の実施形態(吐出口がバレルの他端部に形成される態様)を示す概略構成図であり、図4は、図3に示す混練機の吐出口側の平断面図である。
【0137】
混練機40は、バレル2の他端部が吐出口5として形成されている点以外、混練機1と同様の構成を備えている。
【0138】
そのため、図3および図4において、図1および図2に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0139】
混練機40では、バレル2の他端部が吐出口5として形成されているので、吐出されることなく吐出口5を通過した混練物Bを、吐出口5に押し戻すための第3リバース部32を設ける必要がなく、パイプ部12は、その遊端部が吐出口5(バレル2の他端部)から突出するように延設されている。
【0140】
このような混練機40により樹脂混練物を調製すると、混練機40には第3リバース部32が設けられていないので、樹脂混練物Bが第3リバース部32により押し戻されることなく、吐出口5から樹脂混練物Bが吐出される。
【0141】
そのため、樹脂混練物B中への気体の混入が防止され、樹脂混練物B中の気孔の発生を抑制することができる。
【0142】
なお、混練機40では、バレル2の他端部が吐出口5として形成されているので、駆動軸8の他端部は支持されておらず、駆動軸8の一端部のみが、駆動源(図示せず)に相対回転不能に連結されることにより、支持されている。これによっても、混練軸3は、バレル2に対して相対回転可能に支持されている。
【0143】
また、混練機40の吐出口5の断面形状としては、例えば、矩形状、楕円形状、円形状などが挙げられ、好ましくは、楕円形状および円形状が挙げられる。
【0144】
また、混練機40の吐出口5の断面積は、バレル2の断面積に対して、例えば、15〜50%、好ましくは、20〜45%である。
【0145】
また、混練機40の吐出口5には、必要により、公知のダイを取り付けることもできるが、上記した樹脂混練物Bは、吐出口5から吐出された時点での樹脂混練物を示す。
【0146】
そして、上記のように調製された樹脂混練物Bは、必要により、例えば、ミキシングロール、カレンダーロール、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、シートとして成形される。
【0147】
このような成形方法のなかでは、好ましくは、押出成形が挙げられる。
【0148】
また、このように成形されるシートは、詳しくは、樹脂シートであって、その厚みは、例えば、100〜1500μm、好ましくは、300〜1000μmである。
【0149】
また、このようなシートは、樹脂混練物Bのみから単層として形成することもでき、また、例えば、ガラスクロスなどの基材に積層された複数層として形成することもできる。
【0150】
本発明の樹脂混練物は、表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数が30個以下である。
【0151】
そのため、各種産業製品、具体的には、実装基板上の半導体素子、コンデンサ、抵抗素子などの電子部品の封止などにおいて、好適に使用することができる。
【0152】
また、本発明のシートは、上記の樹脂混練物から形成されるために、上記した電子部品の封止などに好適に使用することができ、かつ、シート状であるために取扱性の向上を図ることができる。
【実施例】
【0153】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、何らこれらに限定されるものではない。
【0154】
実施例1および2
表1に示す処方(単位:質量部)において各成分(混練対象物)を、図1に示す混練機1の導入口4からそれぞれ導入し、樹脂混練物を得た。なお、処方例1により調製された樹脂混練物を実施例1とし、処方例2により調製された樹脂混練物を実施例2とした。
【0155】
また、実施例2における樹脂混練物は、樹脂密度が98.9%、水分量が188ppmであった。
【0156】
実施例3
表1に示す処方2(単位:質量部)において各成分(混練対象物)を、図3に示す混練機40の導入口4からそれぞれ導入し、樹脂混練物(実施例3)を得た。
【0157】
また、実施例3における樹脂混練物は、樹脂密度が99.7%、水分量が232ppmであった。
【0158】
比較例1および2
図1に示す混練機1のパイプ部12を、フィードスクリュー部9に変更した混練機を用意した。
【0159】
その混練機の導入口4から、表1に示す処方において各成分(混練対象物)をそれぞれ導入し、樹脂混練物を得た。なお、処方例1により調製された樹脂混練物を比較例1とし、処方例2により調製された樹脂混練物を比較例2とした。
【0160】
また、比較例2における樹脂混練物は、樹脂密度が95.8%、水分量が180ppmであった。
【0161】
【表1】
【0162】
なお、表1の略号などを以下に示す。
YSLV−80XY:エポキシ樹脂(新日鐵化学社製)
MEH7851SS:フェノール樹脂(明和化成社製)
2PHZ−PW:イミダゾール(四国化成工業社製)
SIBSTAR:エラストマー(ポリスチレン−ポリイソブチレン共重合体)(カネカ社製)
充填剤:無機充填剤(溶融シリカ)(FB−9454、電気化学工業社製)100質量部に対して、シランカップリング剤(KBM403、信越化学工業社製)0.1質量部を添加して、表面処理したもの。
#20:カーボンブラック(三菱化学社製)
(評価)
(1)気孔数測定
各実施例および各比較例において得られた樹脂混練物について、樹脂混練物中の気孔数を次のように測定した。その結果を表2に示す。
【0163】
各実施例および各比較例において得られた樹脂混練物を、軸線方向長さ15mm〜30mm、直径10mm〜13mmの略円柱形状に調整した。
【0164】
そして、大きさを調整した各樹脂混練物を、それぞれ175℃に設定された乾燥機に1時間投入して硬化させた。その後、各樹脂混練物を乾燥機から取り出し、それぞれ所定容器に入れて冷却した。
【0165】
一方、各樹脂混練物を包埋する包埋用樹脂を用意した。具体的には、エポフィックス冷間埋込樹脂(エポキシ樹脂と硬化剤との2液混合タイプ)を、エポキシ樹脂25質量部に対して、硬化剤3質量部を配合し、必要量の包埋用樹脂を作製した。
【0166】
次いで、各樹脂混練物がそれぞれ収容されている容器に、包埋用樹脂を、各樹脂混練物が完全に浸かるように流入した。そして、包埋用樹脂が完全に硬化するまで、静置した(室温、約25℃において、7〜8時間)。これによって、内部に各樹脂混練物が包埋されているサンプル樹脂が作製された。
【0167】
次いで、サンプル樹脂を容器から取り出し、精密切断機(BUEHLER社製 Isomet1000)を使用して、樹脂混練物が切断面の中央部分に位置するように切断して、各試料片(厚さ5mm〜7mm程度)を得た(図5参照)。
【0168】
得られた各試験片の切断面を下記の装置および条件により、研磨した。
【0169】
研磨装置および研磨条件
研磨機:BUEHLER社製 AUTOMET3000
1)初期研磨条件
研磨紙番手:240番、研磨紙台座回転数:50rpm(1/60s−1)、試料加圧力:5〜8、研磨時間:3〜5min
2)2段階目研磨条件
研磨紙番手:600番、研磨紙台座回転数:50rpm(1/60s−1)、試料加圧力:8〜10、研磨時間3〜5min
3)3段階目研磨条件
研磨紙に代えて、適量の水を混合した研磨粉(MICROPOLISH 0.3)を使用した。
【0170】
研磨台座回転数:60rpm(1/60s−1)、試料加圧力:10〜15、研磨時間5〜10min
研磨した各試験片における混練物の2mm×2mmの範囲について、デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製:VHX−500、観察倍率:100倍)により、気孔数および気孔径を観察した。図6に実施例1の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。また、図7〜図9に実施例2の樹脂混練物の断面(第1観察箇所〜第3観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【0171】
また、図10に比較例1の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。また、図11〜図13に比較例2の樹脂混練物の断面(第1観察箇所〜第3観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真を示す。図14に実施例3の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【0172】
実施例1および比較例1においては、2mm×2mmの範囲を5か所観察した。
【0173】
実施例2においては、2mm×2mmの範囲を4か所観察した。
【0174】
比較例2においては、2mm×2mmの範囲を3か所観察した。
【0175】
実施例3においては、2mm×2mmの範囲を1か所観察した。
【0176】
【表2】
【0177】
(2)各樹脂水分量における気孔数測定
実施例2において得られた樹脂混練物について、水分量を調整し、各水分量(200ppm、500ppm、800ppm)における樹脂混練物中の気孔数を次のように測定した。その結果を表3に示す。
【0178】
実施例2において得られた樹脂混練物から、軸線方向長さ10mm、直径10mmの略円柱形状であって、重量1.5〜2gのサンプルを3つ調製した。
【0179】
そして、3つのサンプルを、温度が60〜85℃、湿度が60〜85%に設定された高温高湿槽に、それぞれ投入した。
【0180】
次いで、高温高湿槽に投入された3つのサンプルについて、随時、カールフィッシャー測定器(三菱化学社製:商品名KF−07)により、水分量を確認し、所定の水分量(水分量:200ppm、500ppm、800ppm)となった時点で、サンプルを高温高湿槽から取り出した。
【0181】
これにより、各水分量(水分量:200ppm、500ppm、800ppm)に対応するサンプルを1つずつ調製した。
【0182】
次いで、各水分量に対応するように調製された3つのサンプルを、175℃、1時間の条件下において硬化させた。その後、硬化させた3つのサンプルを、それぞれ1つずつ所定容器に入れて冷却した。
【0183】
次いで、上記の方法と同様の方法により、3つのサンプルうち1つずつが、包埋用樹脂に包埋された3つのサンプル樹脂を作製した後、3つのサンプル樹脂をそれぞれ切断して、3つの試料片を得た。
【0184】
次いで、上記の方法と同様の方法により、得られた各試験片の切断面を研磨し、研磨した各試験片における混練物の2mm×2mmの範囲について、デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製:VHX−500、観察倍率:100倍)により、気孔数および気孔径を観察した。
【0185】
図15に実施例2の樹脂混練物(水分量が200ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。図16に実施例2の樹脂混練物(水分量が500ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。図17に実施例2の樹脂混練物(水分量が800ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【0186】
【表3】
【符号の説明】
【0187】
1 混練機
2 バレル
3 混練軸
4 導入口
5 吐出口
11 パドル部
12 パイプ部
A 混練対象物
B 混練物
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂混練物およびシート、詳しくは、各種産業製品に用いられる樹脂混練物、および、その樹脂混練物から形成されるシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種産業製品、具体的には、電子部品の封止などに樹脂混練物が広く利用されている。このような樹脂混練物は、例えば、原料が混練機により混練されて調製される。
【0003】
このような混練機としては、例えば、被処理物(原料)を投入する投入口と、排出する排出口とが設けられた筒状ケーシングと、筒状ケーシング内に配置され、投入口側から排出口側に向けて、順次フィードスクリュウ、パドル、リバーススクリュウが設けられた混練軸とを備える連続二軸混練機が知られている。
【0004】
そして、樹脂混練物としては、例えば、上記の連続二軸混練機において、被処理物(例えば、熱硬化性樹脂)が投入口から筒状ケーシング内に投入され、混練軸に設けられたパドルにより被処理物を混練された後、その被処理物の混練物を排出口から、リバーススクリュウにより筒状ケーシングの外部に押し出される製品(混練物)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−267483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の製品(混練物)中には、気孔径100μm以上の気孔(ボイド)が、多数発生する場合がある。このような混練物中の気孔は、混練物が使用される各種産業製品において不具合となる場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、混練物中における気孔の気孔径および気孔数を低減でき、各種産業製品において好適に使用できる樹脂混練物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂混練物は、表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数が30個以下であることを特徴としている。
【0009】
また、本発明では、水分量が、0〜800ppmであることが好適である。
【0010】
また、本発明のシートは、上記した樹脂混練物から形成されることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の樹脂混練物は、混練機の混練により得られる樹脂混練物であって、前記混練機は、バレルと、前記バレル内に挿通される混練軸とを備え、前記バレルには、一端側に、混練対象物を前記バレルの内部に導入するための導入部と、他端側に、前記混練対象物が混練された混練物を前記バレルの外部に吐出するための吐出部とが形成され、前記混練軸は、前記混練軸の軸線方向における前記導入部と前記吐出部との間に、前記混練対象物を混練する混練部分と、前記混練部分よりも前記吐出部側に配置され、前記混練軸の軸線方向に沿って、凹凸がないように延びる平滑面を有する低せん断部分とを備え、前記混練機の前記導入部から、前記バレルの内部に導入され、前記前記吐出部から吐出されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂混練物は、表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数が30個以下である。つまり、樹脂混練物中における、気孔(ボイド)の気孔径および気孔数が低減されている。
【0013】
そのため、各種産業製品、具体的には、電子部品の封止などにおいて、好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の樹脂混練物の調製に用いられる混練機の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す混練機の吐出口側の平断面図である。
【図3】本発明の樹脂混練物の調製に用いられる混練機の他の実施形態(吐出口がバレルの他端部に形成される態様)を示す概略構成図である。
【図4】図3に示す混練機の吐出口側の平断面図である。
【図5】樹脂混練物の切断面を顕微鏡観察するために調製される試料片の写真である。
【図6】実施例1の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図7】実施例2の樹脂混練物の断面(第1観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図8】実施例2の樹脂混練物の断面(第2観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図9】実施例2の樹脂混練物の断面(第3観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図10】比較例1の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図11】比較例2の樹脂混練物の断面(第1観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図12】比較例2の樹脂混練物の断面(第2観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図13】比較例2の樹脂混練物の断面(第3観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図14】実施例3の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真である。
【図15】実施例2の樹脂混練物(水分量が200ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【図16】実施例2の樹脂混練物(水分量が500ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【図17】実施例2の樹脂混練物(水分量が800ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の樹脂混練物は、その表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数が30個以下、好ましくは、25個以下、さらに好ましくは、15個以下である。
【0016】
また、樹脂混練物の表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径30μm以上の気孔数が30個以下、好ましくは、15個以下、気孔径10μm以上の気孔数が50個以下、好ましくは、25個以下である。
【0017】
また、樹脂混練物の表面積4.00mm2当たりにおける、全気孔の平均気孔径が、5〜120μm、好ましくは、10〜110μmである。
【0018】
また、樹脂混練物の表面積4.00mm2当たりにおける、全気孔数が、1〜40個、好ましくは、3〜30個である。
【0019】
このような樹脂混練物の表面積当たりにおける、気孔の気孔径および気孔数は、例えば、樹脂混練物を切断して、その切断面を顕微鏡観察することにより測定される。
【0020】
樹脂混練物の表面積当たりにおける、気孔の気孔径および気孔数を測定するには、まず、樹脂混練物の大きさを調整する。
【0021】
詳しくは、樹脂混練物を、軸線方向長さが、例えば、5〜40mm、好ましくは、15〜30mm、直径が、例えば、5〜30mm、好ましくは、10〜13mmの略円柱形状に調整する。
【0022】
次いで、大きさが調整された樹脂混練物を、加熱して硬化させた後、必要により冷却する。
【0023】
硬化条件としては、温度が、例えば、100〜300℃、好ましくは、150〜200℃であり、時間が、例えば、0.1〜10時間、好ましくは、0.5〜5時間である。
【0024】
次いで、硬化させた樹脂混練物を包埋用樹脂に包埋して、サンプル樹脂を調製する。
【0025】
サンプル樹脂を調製するには、例えば、樹脂混練物を所定容器に収容し、その容器に包埋用樹脂を流し込む。そして、所定温度において、静置することにより包埋用樹脂を硬化させる。
【0026】
包埋用樹脂は、熱硬化性樹脂と硬化剤との2液混合型の樹脂組成物であって、熱硬化性樹脂と硬化剤とを配合することにより調製される。
【0027】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0028】
硬化剤としては、例えば、有機リン化合物、酸無水物、アミン化合物などが挙げられる。
【0029】
熱硬化性樹脂と硬化剤との配合割合は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、1〜30質量部、好ましくは、5〜20質量部である。
【0030】
包埋用樹脂の硬化条件としては、温度が、例えば、10〜40℃、好ましくは、20〜30℃であり、静置時間が、例えば、1〜20時間、好ましくは、5〜10時間である。
【0031】
これによって、内部に樹脂混練物が包埋されるサンプル樹脂が調製される。
【0032】
次いで、サンプル樹脂を、例えば、精密切断機により樹脂混練物が切断面の中央部分に位置するように切断して、厚みが、例えば、1〜10mmの試料片を調製する(図5参照)。
【0033】
次いで、試料片の切断面を研磨機により研磨する。
【0034】
具体的には、切断面を3段階の研磨条件により研磨する。
【0035】
初期研磨(1段階目研磨)の条件としては、研磨紙番手が、例えば、240番、研磨紙台座回転数が、例えば、10〜100rpm(1/60s−1)、試料加圧力が、例えば、5〜8、研磨時間が、例えば、3〜5分間である。
【0036】
また、2段階目研磨の条件としては、研磨紙番手が、例えば、600番、研磨紙台座回転数が、例えば、10〜100rpm(1/60s−1)、試料加圧力が、例えば、8〜10、研磨時間が、例えば、3〜5分間である。
【0037】
また、3段階目研磨の条件としては、研磨紙番手が、例えば、800番、研磨紙台座回転数が、例えば、10〜100rpm(1/60s−1)、試料加圧力が、例えば、10〜15、研磨時間が、例えば、5〜10分間である。
【0038】
また、3段階目研磨においては、研磨紙に代えて、研磨粉を用いることもできる。
【0039】
次いで、研磨された切断面が、例えば、デジタルマイクロスコープなどの顕微鏡により観察される。
【0040】
以上によって、樹脂混練物の表面積当たりにおける、気孔の気孔径および気孔数が、顕微鏡観察により測定される。
【0041】
また、樹脂混練物の水分量は、例えば、0〜800ppm、好ましくは、500ppm以下、さらに好ましくは、400ppm以下である。樹脂混練物の水分量は、カールフィッシャー滴定法(具体的には、カールフィッシャー水分量測定装置)により、測定することができる。
【0042】
樹脂混練物の水分量を上記範囲内に調整することにより、樹脂混練物の単位表面積当たりにおける、全気孔の平均気孔径を低減することができる。
【0043】
なお、樹脂混練物の水分量は、必要により、樹脂混練物や原料となる混練対象物(後述)を、公知の方法(例えば、乾燥機)で乾燥させることで、上記範囲内に調整することができる。
【0044】
また、樹脂混練物の樹脂密度は、例えば、98〜100%、好ましくは、98.5〜100%である。なお、樹脂密度は、樹脂混練物の表面積4.00mm2に対する、その表面積4.00mm2内における全気孔の総断面積(全気孔の断面積の総和)の比を、1から減じた値の百分率である。
【0045】
また、90〜120℃における樹脂混練物の粘度は、例えば、50〜5000Pa・s、好ましくは、50〜3000Pa・s、さらに好ましくは、50〜1000Pa・sである。なお、粘度は、ARES粘度測定器(Rheometric Scientific社製)により、測定することができる。
【0046】
このような樹脂混練物は、例えば、原料となる混練対象物を、混練機により混練されることにより調製される。
【0047】
混練対象物としては、例えば、樹脂や、樹脂と添加剤との混合物などが挙げられる。
【0048】
樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂などの熱硬化性樹脂、例えば、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0049】
このような樹脂のなかでは、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0050】
また、このような樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0051】
添加剤としては、例えば、アミン系化合物、酸無水物系化合物、フェノール樹脂などの硬化剤、例えば、イミダゾール系化合物などの硬化促進剤、例えば、シリカ、アルミナ、金属水酸化物などの充填剤、例えば、アクリル系共重合体、ポリスチレン−ポリイソブチレン共重合体、スチレンアクリレート共重合体などの可撓性付与剤、例えば、カーボンブラックなどの着色剤などが挙げられる。
【0052】
硬化剤のなかでは、好ましくは、フェノール樹脂が挙げられる。
【0053】
また、このような硬化剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0054】
充填剤のなかでは、好ましくは、シランカップリング剤などにより表面処理がなされたシリカが挙げられる。
【0055】
また、このような充填剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0056】
可撓性付与剤のなかでは、好ましくは、ポリスチレン−ポリイソブチレン共重合体が挙げられる。
【0057】
また、このような可撓性付与剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0058】
なお、このような添加剤は、上記した樹脂の種類により適宜変更される。
【0059】
混練対象物が、樹脂と添加剤との混合物である場合、添加剤の合計混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、80〜99質量部、好ましくは、85〜98質量部である。
【0060】
具体的には、硬化剤の混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、1〜20質量部、好ましくは、2〜10質量部である。
【0061】
また、硬化促進剤の混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、0.05〜5質量部、好ましくは、0.1〜1質量部である。
【0062】
また、充填剤の混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、60〜95質量部、好ましくは、75〜90質量部である。
【0063】
また、シランカップリング剤により、充填剤を表面処理する場合、シランカップリング剤の使用割合は、充填剤100質量部に対して、例えば、0.1〜1.0質量部、好ましくは、0.1〜0.5質量部である。
【0064】
また、可撓性付与剤の混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、3〜30質量部、好ましくは、3〜20質量部である。
【0065】
また、着色剤の混合割合は、混合物100質量部に対して、例えば、0.01〜1質量部、好ましくは、0.05〜0.5質量部である。
【0066】
混練機としては、例えば、図1および図2に示す混練機1や、図3および図4に示す混練機40が挙げられる。
【0067】
図1は、本発明の樹脂混練物の調製に用いられる混練機の一実施形態を示す概略構成図であり、図2は、図1に示す混練機の吐出口側の平断面図である。
【0068】
混練機1は、図2に示すように、連続二軸混練機であり、バレル2と、2つの混練軸3とを備えている。
【0069】
バレル2は、図1に示すように、略楕円筒状に形成され、その一端側には、混練対象物(以下、混練対象物Aとする)をバレル2の内部に導入するための導入部の一例としての導入口4が設けられている。また、他端側には、混練対象物Aが混練された樹脂混練物をバレル2の外部に吐出するための吐出部の一例としての吐出口5が設けられている。
【0070】
導入口4は、バレル2の一端側において、混練軸3(後述)の径方向一方外側に、バレル2の側壁を貫通するように形成されている。
【0071】
また、吐出口5は、バレル2の他端側において、混練軸3(後述)の径方向他方外側に、バレル2の側壁を貫通するように形成されている。
【0072】
吐出口5の断面形状としては、例えば、矩形状、楕円形状、円形状などが挙げられ、好ましくは、楕円形状および円形状が挙げられる。
【0073】
また、吐出口5の断面積は、バレル2の断面積に対して、例えば、7〜50%、好ましくは、7〜20%である。
【0074】
また、バレル2における導入口4と吐出口5との間には、混練対象物Aを溶融混練する溶融混練部6が形成されている。
【0075】
溶融混練部6は、その軸線方向途中部において、溶融混練部6内の気体を排出するための複数(2つ)のベント部7を備えている。
【0076】
各ベント部7は、混練軸3(後述)の径方向一方外側に、バレル2の側壁を貫通するように、それぞれ形成されている。つまり、各ベント部7と導入口4とは、混練軸3(後述)の径方向において、互いに並列するように形成されている。
【0077】
また、各ベント部7は、常時閉鎖されており、必要により適宜開放することができる。
【0078】
複数のベント部7は、より具体的には、バレル2の一端側から他端側に向かう方向において、導入口4の他端側近傍に設けられる導入口側のベント部7と、吐出口5の一端側近傍に設けられる吐出口側のベント部7とを備えている。
【0079】
また、吐出口5側のベント部7は、ポンプ(図示せず)と連結されており、ポンプ(図示せず)の駆動による吸引力により、溶融混練部6内の気体が吸引される。
【0080】
また、溶融混練部6には、ヒータ(図示せず)が設けられており、溶融混練部6が、バレル2の一端側から他端側に向かう方向において、ブロック単位で適宜温度調整される。
【0081】
混練軸3は、バレル2の内部に配置され、混練対象物Aを混合せん断する回転軸であって、駆動軸8と、フィードスクリュー部9と、リバーススクリュー部10と、混練部分の一例としてのパドル部11と、低せん断部分の一例としてパイプ部12とが一体的に形成されている。
【0082】
詳しくは、混練軸3は、1つの駆動軸8と、複数(4つ)のフィードスクリュー部9と、複数(3つ)のリバーススクリュー部10と、複数(3つ)のパドル部11と、1つのパイプ部12とを備えている。
【0083】
なお、フィードスクリュー部9、リバーススクリュー部10、パドル部11、およびパイプ部12は、必要により適宜、軸線方向長さや設置数を変更することができる。
【0084】
複数(4つ)のフィードスクリュー部9は、混練対象物Aを吐出口5に向けて搬送する部分であって、具体的には、第1フィード部23、第2フィード部24、第3フィード部25、第4フィード部26から形成され、それらは、駆動軸8の軸線方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0085】
第1フィード部23は、混練軸3の一端部に配置され、導入口4および導入口4側のベント部7を駆動軸8の径方向に投影したときに、それらの投影面と重なるように配置されている。また、第1フィード部23は、駆動軸8の軸線方向長さが、他のフィード部と比較して最も長く形成されている。
【0086】
第4フィード部26は、4つのフィード部のうち、最も吐出口5側に配置され、吐出口5側のベント部7を駆動軸8の径方向に投影したときに、その投影面と重なるように配置されている。また、第4フィード部26は、駆動軸8の軸線方向長さが、第1フィード部23の略1/2に形成されている。
【0087】
また、第2フィード部24および第3フィード部25は、第1フィード部23と第4フィード部26との間に配置され、駆動軸8の軸線方向長さが、第1フィード部23の略1/10に形成されている。
【0088】
また、フィードスクリュー部9は、図2に示すように、駆動軸8の外周面から突出するらせん状のスクリュー条20を備えている。
【0089】
詳しくは、フィードスクリュー部9のスクリュー条20は、駆動軸8の回転方向(後述)と同じ方向にらせん状に形成されている。つまり、フィードスクリュー部9は、右らせんのスクリュー条20を備えている。
【0090】
フィードスクリュー部9におけるスクリュー条20のピッチ間隔は、例えば、0.6〜2.0cm、好ましくは、1.5〜2.0cmである。
【0091】
複数(3つ)のリバーススクリュー部10は、図1に示すように、第1リバース部30、第2リバース部31、第3リバース部32から形成され、それらは、混練軸3の軸線方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0092】
第3リバース部32は、混練軸3の他端部に配置され、駆動軸8の軸線方向長さが、他のリバース部と比較して最も長く形成されている。その駆動軸8の軸線方向長さは、第1フィード部23の略1/4である。
【0093】
第1リバース部30は、第1フィード部23と第2フィード部24との間であって、第2フィード部24と隣接配置されている。
【0094】
また、第2リバース部31は、第2フィード部24と第3フィード部25との間であって、第3フィード部25と隣接配置されている。
【0095】
また、第1リバース部30および第2リバース部31は、駆動軸8の軸線方向長さが、第3リバース部32の略1/5に形成されている。
【0096】
また、リバーススクリュー部10も、フィードスクリュー部9と同様に、図2に示すように、駆動軸8の外周面から突出するらせん状のスクリュー条20を備えている。
【0097】
一方、リバーススクリュー部10のスクリュー条20は、フィードスクリュー部9のスクリュー条20と逆方向のらせん状に形成されている。つまり、リバーススクリュー部10は、左らせんのスクリュー条20を備えている。
【0098】
リバーススクリュー部10におけるスクリュー条20のピッチ間隔は、例えば、0.6〜1.5cm、好ましくは、1.0〜1.5cmである。
【0099】
複数(3つ)のパドル部11は、混練対象物Aを混練する部分であって、具体的には、第1パドル部27、第2パドル部28、第3パドル部29から形成され、それらは、混練軸3の軸線方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0100】
第1パドル部27は、第1フィード部23と第1リバース部30との間に配置されている。
【0101】
第2パドル部28は、第2フィード部24と第2リバース部31との間に配置されている。
【0102】
第3パドル部29は、第3フィード部25と第4フィード部26との間に配置されている。
【0103】
また、第1パドル部27、第2パドル部28および第3パドル部29は、駆動軸8の軸線方向長さが、それぞれ略同じ長さであって、第1フィード部23の略1/3に形成されている。
【0104】
また、パドル部11は、図2に示すように、略楕円板状のパドル羽21を、駆動軸8の軸線方向に沿って並列するように複数備えている。
【0105】
より具体的には、複数のパドル羽21は、駆動軸8の軸線方向に、それぞれ隣接するパドル羽21の長径が、互いに約90°変位するように並列配置されている。
【0106】
パイプ部12は、駆動軸8の軸線方向に沿って略円筒形状に形成され、全周面にわたって凹凸がないように形成されている。
【0107】
また、パイプ部12は、第4フィード部26と第3リバース部32との間に配置され、吐出口5を駆動軸8の径方向に投影したときに、その投影面と重なるように配置されている。また、パイプ部12は、駆動軸8の軸線方向長さが、第1フィード部23の略1/2に形成されている。
【0108】
すなわち、混練軸3では、図1に示すように、駆動軸8の一端側から他端側に向けて、順次、第1フィード部23、第1パドル部27、第1リバース部30、第2フィード部24、第2パドル部28、第2リバース部31、第3フィード部25、第3パドル部29、第4フィード部26、パイプ部12、および、第3リバース部32が配置されている。
【0109】
つまり、混練軸3は、駆動軸8の一端側から他端側に向けて、フィード部、パドル部およびリバース部からなるユニットが繰り返して配置されており、他端側のユニットでは、パドル部とリバース部との間に、さらにフィード部およびパイプ部が配置されている。
【0110】
そして、2つの混練軸3は、図2に示すように、バレル2の内部において、その軸線方向に沿って配置され、かつ、その径方向に沿って、互いに並列配置されている。
【0111】
また、2つの混練軸3は、それぞれの部分(フィードスクリュー部9、リバーススクリュー部10、パドル部11)において、互いの回転駆動を妨げないように配置されている。
【0112】
また、混練軸3の駆動軸8の両端部は、バレル2の軸線方向外方に突出している。その突出する両端部のうち、一端側は、駆動源(図示せず)に相対回転不能に連結され、他端側は、支持壁(図示せず)に相対回転可能に支持されている。つまり、混練軸3は、駆動軸8に駆動源(図示せず)から駆動力が伝達されることにより、駆動軸8の軸線周りにおいて、回転駆動する。具体的には、混練軸3は、駆動軸8の軸線方向において、導入口4側から吐出口5側に見て右回転する。
【0113】
また、図1に示すように、バレル2の内周面と、混練軸3のフィードスクリュー部9、リバーススクリュー部10、およびパドル部11とは、混練軸3の径方向において僅かな間隔を隔てて対向するように配置されている。また、バレル2の内周面と、パイプ部12とは、混練軸3の径方向において、他の部分と比較して大きな間隔を隔てて配置されている。
【0114】
混練機1において、樹脂混練物を調製するには、まず、混練機1の導入口4から、混練対象物Aをバレル2の内部に導入する。
【0115】
そして、駆動軸8に駆動源(図示せず)からの駆動力が伝達されると、混練軸3が回転駆動し、混練対象物Aが第1フィード部23により攪拌されながら、第1パドル部27に向けて搬送される。
【0116】
このとき、第1フィード部23の外方に位置するバレル2(溶融混練部6)は、ヒータ(図示せず)により、例えば、20〜25℃に調整されている。また、混練対象物Aの導入とともに、バレル2の内部に侵入した空気などは、導入口4側のベント部7を開放することにより、バレル2の外部に放出される。
【0117】
次いで、搬送された混練対象物Aは、第1パドル部27において混練される。
【0118】
このとき、第1パドル部27の外方に位置する溶融混練部6は、ヒータ(図示せず)により、例えば、40〜80℃に調整されている。
【0119】
そして、混練された混練対象物Aは、第1フィード部23の回転駆動により搬送される混練対象物Aの押し出し力により、第1リバース部30に向けて押し出される。
【0120】
第1リバース部30に向けて押し出された混練対象物Aのうち、大部分は第1リバース部30を通過し、第2フィード部24に到達する。一方、押し出された混練対象物Aのうち、一部は第1リバース部30の回転駆動により、第1パドル部27に戻され、再度混練される。
【0121】
これによって、混練対象物Aの混練の促進を図るとともに、混練対象物Aの搬送速度が調整される。
【0122】
次いで、第1リバース部30を通過した混練対象物Aは、第2フィード部24により、第2パドル部28および第2リバース部31に向けて搬送される。
【0123】
これによって、混練対象物Aは、第1パドル部27および第1リバース部30と同様に、第2パドル部28および第2リバース部31を、混練されながら通過する。
【0124】
このとき、第2パドル部28の外方に位置する溶融混練部6は、ヒータ(図示せず)により、例えば、60〜120℃に調整されている。
【0125】
次いで、第2リバース部31を通過した混練対象物Aは、続く第3フィード部25により、第3パドル部29に搬送されて、第3パドル部29おいてさらに混練される。これにより、混練対象物Aは、樹脂混練物(以下、樹脂混練物Bとする。)として調製される。
【0126】
このとき、第3パドル部29の外方に位置する溶融混練部6は、ヒータ(図示せず)により、例えば、80〜140℃に調整されている。
【0127】
そして、樹脂混練物Bは、混練軸3の回転駆動により押し出されて、第4フィード部26に到達する。
【0128】
このとき、吐出口5側のベント部7に連結されたポンプ(図示せず)を駆動させることにより、樹脂混練物B中の水分や揮発成分などが溶融混練部6の外部に排出される。
【0129】
これによって、樹脂混練物B中における気孔の低減を図ることができる。
【0130】
次いで、樹脂混練物Bは、第4フィード部26によりパイプ部12に搬送される。
【0131】
パイプ部12では、上記したように、全周面にわたって凹凸がないように形成されている。そのため、パイプ部12において、樹脂混練物Bは、混練軸3の軸線方向と交差する方向のせん断が抑制され、パイプ部12の軸線方向に沿って円滑に移動される。
【0132】
そして、樹脂混練物Bの大部分は、吐出口5から樹脂混練物Bが吐出される。
【0133】
一方、吐出されることなく吐出口5を通過して、第3リバース部32に至った樹脂混練物Bも、第3リバース部32により押し戻され、吐出口5から樹脂混練物Bが吐出される。
【0134】
以上によって、樹脂混練物Bが調製される。
【0135】
このような樹脂混練物Bは、パドル部11により混練された後、混練軸3の軸線方向と交差する方向のせん断が抑制されたパイプ部12を通過し、吐出口5から吐出されるため、気孔の発生、すなわち、気孔の気孔径および気孔数を低減することができる。
【0136】
図3は、本発明の樹脂混練物の調製に用いられる混練機の他の実施形態(吐出口がバレルの他端部に形成される態様)を示す概略構成図であり、図4は、図3に示す混練機の吐出口側の平断面図である。
【0137】
混練機40は、バレル2の他端部が吐出口5として形成されている点以外、混練機1と同様の構成を備えている。
【0138】
そのため、図3および図4において、図1および図2に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0139】
混練機40では、バレル2の他端部が吐出口5として形成されているので、吐出されることなく吐出口5を通過した混練物Bを、吐出口5に押し戻すための第3リバース部32を設ける必要がなく、パイプ部12は、その遊端部が吐出口5(バレル2の他端部)から突出するように延設されている。
【0140】
このような混練機40により樹脂混練物を調製すると、混練機40には第3リバース部32が設けられていないので、樹脂混練物Bが第3リバース部32により押し戻されることなく、吐出口5から樹脂混練物Bが吐出される。
【0141】
そのため、樹脂混練物B中への気体の混入が防止され、樹脂混練物B中の気孔の発生を抑制することができる。
【0142】
なお、混練機40では、バレル2の他端部が吐出口5として形成されているので、駆動軸8の他端部は支持されておらず、駆動軸8の一端部のみが、駆動源(図示せず)に相対回転不能に連結されることにより、支持されている。これによっても、混練軸3は、バレル2に対して相対回転可能に支持されている。
【0143】
また、混練機40の吐出口5の断面形状としては、例えば、矩形状、楕円形状、円形状などが挙げられ、好ましくは、楕円形状および円形状が挙げられる。
【0144】
また、混練機40の吐出口5の断面積は、バレル2の断面積に対して、例えば、15〜50%、好ましくは、20〜45%である。
【0145】
また、混練機40の吐出口5には、必要により、公知のダイを取り付けることもできるが、上記した樹脂混練物Bは、吐出口5から吐出された時点での樹脂混練物を示す。
【0146】
そして、上記のように調製された樹脂混練物Bは、必要により、例えば、ミキシングロール、カレンダーロール、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、シートとして成形される。
【0147】
このような成形方法のなかでは、好ましくは、押出成形が挙げられる。
【0148】
また、このように成形されるシートは、詳しくは、樹脂シートであって、その厚みは、例えば、100〜1500μm、好ましくは、300〜1000μmである。
【0149】
また、このようなシートは、樹脂混練物Bのみから単層として形成することもでき、また、例えば、ガラスクロスなどの基材に積層された複数層として形成することもできる。
【0150】
本発明の樹脂混練物は、表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数が30個以下である。
【0151】
そのため、各種産業製品、具体的には、実装基板上の半導体素子、コンデンサ、抵抗素子などの電子部品の封止などにおいて、好適に使用することができる。
【0152】
また、本発明のシートは、上記の樹脂混練物から形成されるために、上記した電子部品の封止などに好適に使用することができ、かつ、シート状であるために取扱性の向上を図ることができる。
【実施例】
【0153】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、何らこれらに限定されるものではない。
【0154】
実施例1および2
表1に示す処方(単位:質量部)において各成分(混練対象物)を、図1に示す混練機1の導入口4からそれぞれ導入し、樹脂混練物を得た。なお、処方例1により調製された樹脂混練物を実施例1とし、処方例2により調製された樹脂混練物を実施例2とした。
【0155】
また、実施例2における樹脂混練物は、樹脂密度が98.9%、水分量が188ppmであった。
【0156】
実施例3
表1に示す処方2(単位:質量部)において各成分(混練対象物)を、図3に示す混練機40の導入口4からそれぞれ導入し、樹脂混練物(実施例3)を得た。
【0157】
また、実施例3における樹脂混練物は、樹脂密度が99.7%、水分量が232ppmであった。
【0158】
比較例1および2
図1に示す混練機1のパイプ部12を、フィードスクリュー部9に変更した混練機を用意した。
【0159】
その混練機の導入口4から、表1に示す処方において各成分(混練対象物)をそれぞれ導入し、樹脂混練物を得た。なお、処方例1により調製された樹脂混練物を比較例1とし、処方例2により調製された樹脂混練物を比較例2とした。
【0160】
また、比較例2における樹脂混練物は、樹脂密度が95.8%、水分量が180ppmであった。
【0161】
【表1】
【0162】
なお、表1の略号などを以下に示す。
YSLV−80XY:エポキシ樹脂(新日鐵化学社製)
MEH7851SS:フェノール樹脂(明和化成社製)
2PHZ−PW:イミダゾール(四国化成工業社製)
SIBSTAR:エラストマー(ポリスチレン−ポリイソブチレン共重合体)(カネカ社製)
充填剤:無機充填剤(溶融シリカ)(FB−9454、電気化学工業社製)100質量部に対して、シランカップリング剤(KBM403、信越化学工業社製)0.1質量部を添加して、表面処理したもの。
#20:カーボンブラック(三菱化学社製)
(評価)
(1)気孔数測定
各実施例および各比較例において得られた樹脂混練物について、樹脂混練物中の気孔数を次のように測定した。その結果を表2に示す。
【0163】
各実施例および各比較例において得られた樹脂混練物を、軸線方向長さ15mm〜30mm、直径10mm〜13mmの略円柱形状に調整した。
【0164】
そして、大きさを調整した各樹脂混練物を、それぞれ175℃に設定された乾燥機に1時間投入して硬化させた。その後、各樹脂混練物を乾燥機から取り出し、それぞれ所定容器に入れて冷却した。
【0165】
一方、各樹脂混練物を包埋する包埋用樹脂を用意した。具体的には、エポフィックス冷間埋込樹脂(エポキシ樹脂と硬化剤との2液混合タイプ)を、エポキシ樹脂25質量部に対して、硬化剤3質量部を配合し、必要量の包埋用樹脂を作製した。
【0166】
次いで、各樹脂混練物がそれぞれ収容されている容器に、包埋用樹脂を、各樹脂混練物が完全に浸かるように流入した。そして、包埋用樹脂が完全に硬化するまで、静置した(室温、約25℃において、7〜8時間)。これによって、内部に各樹脂混練物が包埋されているサンプル樹脂が作製された。
【0167】
次いで、サンプル樹脂を容器から取り出し、精密切断機(BUEHLER社製 Isomet1000)を使用して、樹脂混練物が切断面の中央部分に位置するように切断して、各試料片(厚さ5mm〜7mm程度)を得た(図5参照)。
【0168】
得られた各試験片の切断面を下記の装置および条件により、研磨した。
【0169】
研磨装置および研磨条件
研磨機:BUEHLER社製 AUTOMET3000
1)初期研磨条件
研磨紙番手:240番、研磨紙台座回転数:50rpm(1/60s−1)、試料加圧力:5〜8、研磨時間:3〜5min
2)2段階目研磨条件
研磨紙番手:600番、研磨紙台座回転数:50rpm(1/60s−1)、試料加圧力:8〜10、研磨時間3〜5min
3)3段階目研磨条件
研磨紙に代えて、適量の水を混合した研磨粉(MICROPOLISH 0.3)を使用した。
【0170】
研磨台座回転数:60rpm(1/60s−1)、試料加圧力:10〜15、研磨時間5〜10min
研磨した各試験片における混練物の2mm×2mmの範囲について、デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製:VHX−500、観察倍率:100倍)により、気孔数および気孔径を観察した。図6に実施例1の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。また、図7〜図9に実施例2の樹脂混練物の断面(第1観察箇所〜第3観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【0171】
また、図10に比較例1の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。また、図11〜図13に比較例2の樹脂混練物の断面(第1観察箇所〜第3観察箇所)のデジタルマイクロスコープ写真を示す。図14に実施例3の樹脂混練物の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【0172】
実施例1および比較例1においては、2mm×2mmの範囲を5か所観察した。
【0173】
実施例2においては、2mm×2mmの範囲を4か所観察した。
【0174】
比較例2においては、2mm×2mmの範囲を3か所観察した。
【0175】
実施例3においては、2mm×2mmの範囲を1か所観察した。
【0176】
【表2】
【0177】
(2)各樹脂水分量における気孔数測定
実施例2において得られた樹脂混練物について、水分量を調整し、各水分量(200ppm、500ppm、800ppm)における樹脂混練物中の気孔数を次のように測定した。その結果を表3に示す。
【0178】
実施例2において得られた樹脂混練物から、軸線方向長さ10mm、直径10mmの略円柱形状であって、重量1.5〜2gのサンプルを3つ調製した。
【0179】
そして、3つのサンプルを、温度が60〜85℃、湿度が60〜85%に設定された高温高湿槽に、それぞれ投入した。
【0180】
次いで、高温高湿槽に投入された3つのサンプルについて、随時、カールフィッシャー測定器(三菱化学社製:商品名KF−07)により、水分量を確認し、所定の水分量(水分量:200ppm、500ppm、800ppm)となった時点で、サンプルを高温高湿槽から取り出した。
【0181】
これにより、各水分量(水分量:200ppm、500ppm、800ppm)に対応するサンプルを1つずつ調製した。
【0182】
次いで、各水分量に対応するように調製された3つのサンプルを、175℃、1時間の条件下において硬化させた。その後、硬化させた3つのサンプルを、それぞれ1つずつ所定容器に入れて冷却した。
【0183】
次いで、上記の方法と同様の方法により、3つのサンプルうち1つずつが、包埋用樹脂に包埋された3つのサンプル樹脂を作製した後、3つのサンプル樹脂をそれぞれ切断して、3つの試料片を得た。
【0184】
次いで、上記の方法と同様の方法により、得られた各試験片の切断面を研磨し、研磨した各試験片における混練物の2mm×2mmの範囲について、デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製:VHX−500、観察倍率:100倍)により、気孔数および気孔径を観察した。
【0185】
図15に実施例2の樹脂混練物(水分量が200ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。図16に実施例2の樹脂混練物(水分量が500ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。図17に実施例2の樹脂混練物(水分量が800ppm)の断面のデジタルマイクロスコープ写真を示す。
【0186】
【表3】
【符号の説明】
【0187】
1 混練機
2 バレル
3 混練軸
4 導入口
5 吐出口
11 パドル部
12 パイプ部
A 混練対象物
B 混練物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数が30個以下であることを特徴とする、樹脂混練物。
【請求項2】
水分量が、0〜800ppmであることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂混練物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の樹脂混練物から形成されることを特徴とする、シート。
【請求項4】
混練機の混練により得られる樹脂混練物であって、
前記混練機は、
バレルと、前記バレル内に挿通される混練軸とを備え、
前記バレルには、一端側に、混練対象物を前記バレルの内部に導入するための導入部と、他端側に、前記混練対象物が混練された混練物を前記バレルの外部に吐出するための吐出部とが形成され、
前記混練軸は、前記混練軸の軸線方向における前記導入部と前記吐出部との間に、前記混練対象物を混練する混練部分と、前記混練部分よりも前記吐出部側に配置され、前記混練軸の軸線方向に沿って、凹凸がないように延びる平滑面を有する低せん断部分とを備え、
前記混練機の前記導入部から、前記バレルの内部に導入され、前記吐出部から吐出されることを特徴とする、樹脂混練物。
【請求項1】
表面積4.00mm2当たりにおける、気孔径20μm以上の気孔数が30個以下であることを特徴とする、樹脂混練物。
【請求項2】
水分量が、0〜800ppmであることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂混練物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の樹脂混練物から形成されることを特徴とする、シート。
【請求項4】
混練機の混練により得られる樹脂混練物であって、
前記混練機は、
バレルと、前記バレル内に挿通される混練軸とを備え、
前記バレルには、一端側に、混練対象物を前記バレルの内部に導入するための導入部と、他端側に、前記混練対象物が混練された混練物を前記バレルの外部に吐出するための吐出部とが形成され、
前記混練軸は、前記混練軸の軸線方向における前記導入部と前記吐出部との間に、前記混練対象物を混練する混練部分と、前記混練部分よりも前記吐出部側に配置され、前記混練軸の軸線方向に沿って、凹凸がないように延びる平滑面を有する低せん断部分とを備え、
前記混練機の前記導入部から、前記バレルの内部に導入され、前記吐出部から吐出されることを特徴とする、樹脂混練物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−6406(P2013−6406A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266757(P2011−266757)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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