説明

樹脂粒子の製造方法、樹脂粒子、画像形成剤、画像形成剤入り容器、画像形成方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】 樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法、樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子、及び樹脂粒子を含む画像形成剤、画像形成剤が容器に収容されている画像形成剤入り容器、画像形成剤を用いて画像を形成する画像形成方法及び画像形成装置などを提供する。
【解決手段】 少なくとも樹脂を含む材料からなる樹脂粒子を製造する樹脂粒子の製造方法は、樹脂を含む材料を、第一の超臨界流体及び第一の亜臨界流体の少なくとも一つを含む第一の流体に溶解又は分散させる工程、並びに樹脂を含む材料が溶解した第一の流体を、第二の超臨界流体、第二の亜臨界流体、及び液体の少なくとも一つを含む第二の流体中に噴出させる工程を有し、前記第二の流体中に噴出させる工程は、樹脂粒子を析出させる工程と共に、第二の流体に不溶な外添剤を、樹脂粒子の表面に付着させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂粒子の製造方法、樹脂粒子、画像形成剤、画像形成剤入り容器、画像形成方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置などの画像形成装置においては、感光性材料を含む感光体を帯電及び露光することによって、感光体に静電荷潜像を形成する工程、トナーを含む現像剤によってその静電荷潜像を現像して可視画像を形成する工程、現像剤によって構成される可視画像を紙などの記録材に転写する工程、転写された可視画像を加熱や加圧などの手段によって記録材に定着させる工程、並びに感光体の表面に残留した現像剤を除去する工程を通じて、記録体に画像が形成される。また、トナージェット(トナー飛翔記録)を用いる画像形成装置においては、トナーを帯電させる工程、開口電極に印加する電場を制御することによって、帯電したトナーをその開口電極の開口を通じて紙などの記録材へ向かって飛翔させて、記録材にトナー像を形成する工程、記録材に付着したトナーを加熱や加圧などの手段によって定着させる工程を通じて、記録体に画像が形成される。
【0003】
このような画像形成装置においては、トナー及びトナーを含む現像剤は、画像形成剤として用いられている。なお、トナーを含む現像剤は、トナーを含む一成分現像剤並びにトナー及びキャリアを含む二成分現像剤を含む。また、トナーは、結着樹脂、着色剤、及び必要に応じて離型剤、帯電制御剤、流動性付与剤、無機微粒子、樹脂微粒子などを含む樹脂粒子である。代表的なトナーの製造方法としては、溶融混練粉砕法、及び(懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法などを含む)液体溶媒中での重合法が主流である。
【0004】
さらに、近年では、省エネルギーを向上させると共に環境に対する影響が少ないトナーの製造方法が要求されている。このようなトナーの製造方法に対して、RESS(Rapid Expansion of Supercritical Solution:超臨界流体の急速膨張)法を用いる粒子の製造方法が注目されている。RESS法では、超臨界流体に可溶な物質を超臨界流体に溶解させ、その物質が溶解した超臨界流体を急速膨張させて、超臨界流体におけるその物質の溶解度を低下させ、その物質からなる微粒子を生成させることができる。
【0005】
例えば、トナー中の着色剤の含有量を増加させつつ、その分散性を維持し、少量のトナーで所望の画像品位を達成できると共に、省エネルギー化も達成できるトナーの製造方法として、結着樹脂成分を、超臨界流体中あるいは亜臨界流体中にて溶解して、着色剤成分と混合し、上記超臨界流体中あるいは亜臨界流体中における結着樹脂成分の溶解度を低下せしめて、上記結着樹脂成分を、結着樹脂成分の内部に着色剤成分を分散させながら粒子状に析出させるトナーの製造方法が開示されている(特許文献1参照)。また、特許文献1には、結着樹脂成分と、着色剤成分とを有する母核トナー粒子のための表面改質材成分を、超臨界流体中あるいは亜臨界流体中にて溶解して、上記母核トナー粒子と混合し、上記超臨界流体中あるいは亜臨界流体中における表面改質材成分の溶解度を低下せしめて、上記表面改質材成分を、上記母核トナー粒子の表面に析出させるトナーの製造方法も開示されている。特許文献1に開示される上記のトナーの製造方法においては、超臨界流体中あるいは亜臨界流体中における結着樹脂成分の溶解度の低下は、急速膨張、貧溶媒導入、界面活性剤導入の何れかの方法による。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるように、超臨界流体中あるいは亜臨界流体中における結着樹脂成分の溶解度を、急速膨張、貧溶媒導入、及び界面活性剤導入の何れかの方法によって低下させると、析出するトナー粒子の間における相互の凝集及び合着が容易に起こるため、トナー粒子の粒子形状、粒子径、及び粒径分布を制御することが困難であり、不均一な形状のトナー粒子、大粒径であるトナー粒子の凝集体、粒径分布の広いトナーが形成されてしまうという問題がある。
【0007】
一方、環境に悪影響を及ぼさずに、高分子固体原料、特に粉体塗料原料を、安定的に微粒子化する方法として、高分子固体原料を、二酸化炭素及び極性有機溶媒を用いて超臨界相に溶解させ、急速膨張させる高分子微粒子の製造方法が開示されている(特許文献2参照)
特許文献2に開示される先行技術によれば、極性有機溶媒が、微粒子化した高分子を溶解することがないため、高分子微粒子の凝集及び合着を抑制することができる可能性があるが、高分子微粒子の表面に極性有機溶媒が残留してしまう。このため、得られる高分子微粒子を乾燥させて、極性有機溶媒を高分子微粒子から除去する必要がある。
【特許文献1】特開2001−312098号公報
【特許文献2】特開平8−113652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法、該樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子、及び該樹脂粒子を含む画像形成剤、該画像形成剤が容器に収容されている画像形成剤入り容器、該画像形成剤を用いて画像を形成する画像形成方法、該画像形成剤を用いる現像手段を有するプロセスカートリッジ、及び該画像形成剤を用いて画像を形成する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、少なくとも樹脂を含む材料からなる樹脂粒子を製造する樹脂粒子の製造方法であって、前記樹脂を含む材料を、第一の超臨界流体及び第一の亜臨界流体の少なくとも一つを含む第一の流体に溶解又は分散させる工程、並びに前記樹脂を含む材料が溶解した前記第一の流体を、第二の超臨界流体、第二の亜臨界流体、及び液体の少なくとも一つを含む第二の流体中に噴出させる工程を有し、前記第二の流体中に噴出させる工程は、前記樹脂粒子を析出させる工程と共に、前記第二の流体に不溶な外添剤を、前記樹脂粒子の表面に付着させる工程を含むことを特徴とする樹脂粒子の製造方法。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、前記樹脂を含む材料を、第一の超臨界流体及び第一の亜臨界流体の少なくとも一つを含む第一の流体に溶解又は分散させる工程、並びに前記樹脂を含む材料が溶解した前記第一の流体を、第二の超臨界流体、第二の亜臨界流体、及び液体の少なくとも一つを含む第二の流体中に噴出させる工程を有し、前記第二の流体中に噴出させる工程は、前記樹脂粒子を析出させる工程と共に、前記第二の流体に不溶な外添剤を、前記樹脂粒子の表面に付着させる工程を含むので、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法を提供することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記第二の流体は、前記外添剤を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、前記第二の流体は、前記外添剤を含むので、樹脂粒子の表面に外添剤を付着させる操作をより簡便に行うことができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記外添剤は、無機材料、樹脂材料、脂肪酸の金属塩、金属酸化物、及び金属化合物からなる群より選択される一種以上の材料からなる微粒子を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、前記外添剤は、無機材料、樹脂材料、脂肪酸の金属塩、金属酸化物、及び金属化合物からなる群より選択される一種以上の材料からなる微粒子を含むので、得られる樹脂粒子の特性を調整することができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記外添剤は、一次粒子の体積平均粒径が1μm以下である粒子であることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、前記外添剤は、一次粒子の体積平均粒径が1μm以下である粒子であるので、樹脂粒子の表面に付着する外添剤の量を増加させることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記外添剤は、表面処理された粒子であることを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、前記外添剤は、表面処理された粒子であるので、得られる樹脂粒子の特性をさらに調整することができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記樹脂を含む材料は、着色剤をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、前記樹脂を含む材料は、着色剤をさらに含むので、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な、着色剤を含む樹脂粒子の製造方法を提供することができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記樹脂を含む材料は、離型剤をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、前記樹脂を含む材料は、離型剤をさらに含むので、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な、離型剤を含む樹脂粒子の製造方法を提供することができる。
【0023】
請求項8記載の発明は、樹脂粒子において、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法によって製造されることを特徴とする。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法によって製造されるので、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を提供することができる。
【0025】
請求項9記載の発明は、請求項8に記載の樹脂粒子において、表面が前記外添剤で実質的に被覆されていることを特徴とする。
【0026】
請求項9記載の発明によれば、表面が前記外添剤で実質的に被覆されているので、樹脂粒子の凝集又は合着がより低減された樹脂粒子を提供することができる。
【0027】
請求項10記載の発明は、画像形成剤において、請求項8又は9に記載の樹脂粒子を含むことを特徴とする。
【0028】
請求項10記載の発明によれば、請求項8又は9に記載の樹脂粒子を含むので、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を提供することができる。
【0029】
請求項11記載の発明は、画像形成剤入り容器において、請求項10に記載の画像形成剤が容器に収容されていることを特徴とする。
【0030】
請求項11記載の発明によれば、請求項10に記載の画像形成剤が容器に収容されているので、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤が容器に収容されている画像形成剤入り容器を提供することができる。
【0031】
請求項12記載の発明は、画像形成方法において、請求項10に記載の画像形成剤を用いて画像を形成することを特徴とする。
【0032】
請求項12記載の発明によれば、請求項10に記載の画像形成剤を用いて画像を形成するので、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を用いて画像を形成する画像形成方法を提供することができる。
【0033】
請求項13記載の発明は、請求項12に記載の画像形成方法において、前記画像形成剤を用いて静電荷像担持体に形成された静電荷像を現像して可視画像を形成する段階、及び前記可視画像を転写材に転写する段階を含むことを特徴とする。
【0034】
請求項13記載の発明によれば、前記画像形成剤を用いて静電荷像担持体に形成された静電荷像を現像して可視画像を形成する段階、及び前記可視画像を転写材に転写する段階を含むので、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成方法を提供することができる。
【0035】
請求項14記載の発明は、請求項13に記載の画像形成方法において、前記可視画像を形成する段階は、前記画像形成剤を担持する画像形成剤担持体及び前記静電荷像担持体の間に交互電界を印加すると共に、前記画像形成剤を用いて前記静電荷像を現像することを含むことを特徴とする。
【0036】
請求項14記載の発明によれば、前記可視画像を形成する段階は、前記画像形成剤を担持する画像形成剤担持体及び前記静電荷像担持体の間に交互電界を印加すると共に、前記画像形成剤を用いて前記静電荷像を現像することを含むので、より鮮鋭な画像の現像を実現することができる。
【0037】
請求項15記載の発明は、少なくとも静電荷像担持体及び現像手段が一体化された、画像形成装置の本体に着脱可能であるプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段は、請求項10に記載の画像形成剤を用いて、前記静電荷像担持体に担持された静電荷像を現像する手段であることを特徴とする。
【0038】
請求項15記載の発明によれば、前記現像手段は、請求項10に記載の画像形成剤を用いて、前記静電荷像担持体に担持された静電荷像を現像する手段であるので、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を用いる現像手段を有するプロセスカートリッジを提供することができる。
【0039】
請求項16記載の発明は、画像形成装置において、請求項10に記載の画像形成剤を用いて画像を形成することを特徴とする。
【0040】
請求項16記載の発明によれば、請求項10に記載の画像形成剤を用いて画像を形成するので、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を用いて画像を形成する画像形成装置を提供することができる。
【0041】
請求項17記載の発明は、請求項16に記載の画像形成装置において、静電荷像担持体、前記画像形成剤を用いて、前記静電荷像担持体に形成される静電荷像を現像して可視画像を得る現像手段、及び前記可視画像を転写材に転写する転写手段を有することを特徴とする。
【0042】
請求項17記載の発明によれば、静電荷像担持体、前記画像形成剤を用いて、前記静電荷像担持体に形成される静電荷像を現像して可視画像を得る現像手段、及び前記可視画像を転写材に転写する転写手段を有するので、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置を提供することができる。
【0043】
請求項18記載の発明は、請求項17に記載の画像形成装置において、前記静電荷像担持体は、有機感光体であることを特徴とする。
【0044】
請求項19記載の発明は、請求項17又は18に記載の画像形成装置において、発熱体を備えた加熱体、前記加熱体と接触するフィルム、及び前記フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材を有し、前記フィルムと前記加圧部材との間に前記可視画像が転写された転写材を通過させて、前記転写材に前記可視画像を加熱定着させる定着装置を有することを特徴とする。
【0045】
請求項19記載の発明によれば、発熱体を備えた加熱体、前記加熱体と接触するフィルム、及び前記フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材を有し、前記フィルムと前記加圧部材との間に前記可視画像が転写された転写材を通過させて、前記転写材に前記可視画像を加熱定着させる定着装置を有するので、最初の画像形成に要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法、該樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子、及び該樹脂粒子を含む画像形成剤、該画像形成剤が容器に収容されている画像形成剤入り容器、該画像形成剤を用いて画像を形成する画像形成方法、該画像形成剤を用いる現像手段を有するプロセスカートリッジ、及び該画像形成剤を用いて画像を形成する画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
【0048】
本発明の第一の実施形態は、少なくとも樹脂を含む材料からなる樹脂粒子を製造する樹脂粒子の製造方法であって、樹脂を含む材料を、第一の超臨界流体及び第一の亜臨界流体の少なくとも一つを含む第一の流体に溶解又は分散させる工程、並びに樹脂を含む材料が溶解した第一の流体を、第二の超臨界流体、第二の亜臨界流体、及び液体の少なくとも一つを含む第二の流体中に噴出させる工程を有し、前記第二の流体中に噴出させる工程は、樹脂粒子を析出させる工程と共に、第二の流体に不溶な外添剤を、樹脂粒子の表面に付着させる工程を含む。本発明の第一の実施形態によれば、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法を提供することができる。
【0049】
樹脂粒子は、樹脂を含む材料からなる粒子である。ここで、樹脂を含む材料は、樹脂のみからなる材料でもよく、樹脂に加えて着色剤をさらに含む材料でもよい。樹脂を含む材料が、着色剤をさらに含む場合には、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な、着色剤を含む樹脂粒子の製造方法を提供することができる。例えば、樹脂粒子がトナーである場合には、通常、上記樹脂は、いわゆる結着樹脂であり、樹脂を含む材料は、結着樹脂及び着色剤を含む。
【0050】
結着樹脂は、限定されず、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択される。結着樹脂としては、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。なお、ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合させて得られるポリマーであり、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
【0051】
結着樹脂の粒子の重量平均分子量は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。結着樹脂の粒子の重量平均分子量としては、好ましくは、1 ,000 以上であり、より好ましくは、2,000〜10,000,000であり、さらに好ましくは、3,000〜1,000,000である。結着樹脂の粒子の重量平均分子量が、1,000未満であると、樹脂粒子としてのトナーの耐ホットオフセット性が低下することがある。
【0052】
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。結着樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、好ましくは、30℃〜100℃であり、より好ましくは、40℃〜80℃である。結着樹脂のガラス転移温度(Tg)が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)が、100℃を超えると、トナーの低温定着性が十分でないことがある。
【0053】
着色剤は、限定されず、公知の染料及び顔料から目的に応じて適宜選択される。ブラックの着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒などが挙げられる。イエローの着色剤としては、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエローなどが挙げられる。マゼンタの着色剤としては、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリーレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジなどが挙げられる。シアンの着色剤としては、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーンなどが挙げられる。ホワイトの顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。なお、これらの着色剤を単独又は組み合わせで使用することができる。
【0054】
トナーにおける着色剤の含有量は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。トナーにおける着色剤の含有量は、好ましくは、1質量%〜15質量%であり、より好ましくは、3質量%〜10質量%である。トナーにおける着色剤の含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力が、低下することがあり、トナーにおける着色剤の含有量が、15質量%を超えると、トナー中の着色剤の分散が不良であることがあり、トナーの着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を引き起こすことがある。
【0055】
着色剤としては、上記着色剤を樹脂と複合化させることによって得られるマスターバッチであってもよい。上記着色剤と複合化する樹脂(マスターバッチ用樹脂)は、限定されず、目的に応じて公知の樹脂から適宜選択され、上記の結着樹脂と同じ材料であってもよい。マスターバッチ用樹脂は、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環式炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。なお、これらのマスターバッチ用樹脂を単独又は組み合わせで使用することができる。
【0056】
スチレン又はその置換体の重合体としては、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリビニルトルエンなどが挙げられる。スチレン系共重合体としては、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0057】
マスターバッチは、高せん断力を加えることによって、マスターバッチ用樹脂と着色剤とを混合又は混練させて、製造することができる。この際、着色剤とマスターバッチ用樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法は、着色剤のウェットケーキをそのまま用いることができ、着色剤を乾燥する必要がないため、好適である。このフラッシング法は、着色剤及び水分を含む水性ペースト、樹脂及び有機溶剤を混合又は混練して、着色剤を水性ペーストから樹脂に移行させると共に水分及び有機溶剤を除去する方法である。混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
【0058】
樹脂を含む材料は、離型剤をさらに含んでもよい。樹脂を含む材料が、離型剤をさらに含む場合には、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な、離型剤を含む樹脂粒子の製造方法を提供することができる。離型剤は、目的に応じて公知の離型剤から適宜選択される。離型剤としては、ワックス類などが挙げられる。また、ワックス類としては、低分子量ポリエチレンワックス及び低分子量ポリプロピレンワックスなどのような低分子量ポリオレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどのような合成炭化水素系ワックス、蜜ろう、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックスなどのような天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどのような石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸などのような高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、これらの各種変性ワックスなどが挙げられる。これらのワックス類を、単独又は組み合わせで使用することができる。
【0059】
離型剤の融点は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。離型剤の融点は、好ましくは、40℃〜160℃であり、より好ましくは、50℃〜120℃であり、さらに好ましくはは、60℃〜90℃である。離型剤の融点が、40℃未満であると、ワックスがトナーの耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、離型剤の融点が、160℃を超えると、低温でのトナーの定着時にコールドオフセットを起こし易く、定着装置への紙などの転写材の巻付きが発生することがある。
【0060】
樹脂を含む材料における離型剤の含有量は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。樹脂を含む材料における離型剤の含有量は、好ましくは、0質量部〜40質量部であり、より好ましくは、3質量部〜30質量部である。樹脂を含む材料における離型剤の含有量が、40質量部を超えると、トナーの低温定着性の阻害及び画質の劣化(光沢度が高すぎる)を引き起こすことがある。
【0061】
また、樹脂を含む材料は、必要に応じて、帯電制御剤及び/又は磁性材料を含んでもよい。
【0062】
帯電制御剤は、公知の帯電制御剤から目的に応じて適宜選択される。得られる樹脂粒子の色調が変動することを回避するためには、無色又は白色に近い帯電制御剤を使用することが好ましい。無色又は白色に近い帯電制御剤としては、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、(フッ素変性第四級アンモニウム塩を含む)第四級アンモニウム塩、アルキルアミド、リンの単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。上記金属は、目的に応じて適宜選択されるが、アルミニウム、亜鉛、チタン、ストロンチウム、ホウ素、ケイ素、ニッケル、鉄、クロム、ジルコニウムなどが挙げられる。
【0063】
帯電制御剤は、市販品であってもよく、帯電制御剤の市販品としては、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩の基などの官能基を有する高分子化合物などが挙げられる。
【0064】
帯電制御剤を上記のマスターバッチと共に溶融混練させた後、樹脂を含む材料に帯電制御剤を溶解乃至分散させてもよく、樹脂を含む材料の各成分と共に有機溶媒に直接添加してもよい。
【0065】
樹脂を含む材料における帯電制御剤の含有量は、樹脂の種類及び樹脂以外の成分等に依存するが、樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1質量部〜10質量部であり、より好ましくは、1質量部〜5質量部である。樹脂を含む材料における帯電制御剤の含有量が、0.1質量部未満であると、トナーの帯電特性の低下を引き起こすことがあり、樹脂を含む材料における帯電制御剤の含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、トナーと現像ローラとの静電的吸引力が増大し、トナーの流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
【0066】
第一の流体は、第一の超臨界流体及び第一の亜臨界流体の少なくとも一つを含む流体である。また、第二の流体は、第二の超臨界流体、第二の亜臨界流体、及び液化ガスの少なくとも一つを含む流体である。
【0067】
第一及び第二の超臨界流体は、それぞれ、平衡状態で気体及び液体が共存することが可能な最高の温度(臨界温度)を超える温度及び臨界温度において平衡状態で気体及び液体が共存する圧力(臨界圧力)を超える圧力の状態にある流体である。言い換えれば、臨界点(臨界温度,臨界圧力)を超える温度及び圧力の状態にある流体である。このような超臨界流体は、非凝縮性の高密度流体であり、圧縮によっては、凝縮されず、液体にならない。第一及び第二の超臨界流体は、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力の状態にある流体である限り、限定されず、目的に応じて適宜選択される。
【0068】
第一及び第二の亜臨界流体は、それぞれ、臨界温度以下の温度及び/又は臨界圧力以下の圧力の状態にある流体であるが、圧縮によって、実質的に液体にならないとみなせる流体である。
【0069】
第一及び第二の超臨界流体並びに第一及び第二の亜臨界流体の材料は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。すなわち、第一及び第二の超臨界流体並びに第一及び第二の亜臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。ただし、第一及び第二の超臨界流体並びに第一及び第二の亜臨界流体の材料としては、低い臨界温度を有する材料であることが好ましい。特に、第二の超臨界流体の臨界温度は、好ましくは、樹脂を含む材料及び外添剤の融点以下であり、さらに好ましくは、得られる樹脂粒子の凝集及び合着が発生しない温度である。具体的には、第一及び第二の超臨界流体並びに第一及び第二の亜臨界流体の臨界温度は、好ましくは、−273℃〜300℃であり、より好ましくは0℃〜200℃である。また、第一及び第二の超臨界流体並びに第一及び第二の亜臨界流体の臨界圧力は、好ましくは、1MPa〜60MPaである。
【0070】
第一及び第二の超臨界流体並びに第一及び第二の亜臨界流体の材料としては、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、クロロトリフルオロメタン、ジメチルエーテルなどが挙げられる。第一及び第二の超臨界流体並びに第一及び第二の亜臨界流体の特に好ましい材料は、約31.3℃の低い臨界温度を有すると共に取扱い性に優れる二酸化炭素である。なお、第一及び第二の超臨界流体並びに第一及び第二の亜臨界流体の材料として、それぞれ、上記の材料を単独又は組み合わせで使用することができる。
【0071】
第二の流体に含まれ得る液体は、生成する樹脂粒子の溶解を回避するために、樹脂を含む材料と非相溶性である液体であり、常温常圧で液体であってもよく、常温常圧における気体を液化して得られる液体(液化ガス)であってもよい。常温常圧で樹脂を含む材料と非相溶性である液体としては、樹脂を含む材料の種類に依存するが、メタノール、エタノール、水などが挙げられる。常温常圧における気体を液化して得られる、樹脂を含む材料と非相溶性である液体としては、液化二酸化炭素、液化一酸化二窒素、液化フロンなどの液化ガスが挙げられる。ここで、液化二酸化炭素、液化一酸化二窒素、液化フロンなどの液化ガスは、常温常圧で気体であるため、第一の流体が常温常圧で気体である場合には、第二の流体を保持する容器からの廃液の工程並びに第二の流体を保持する容器及び得られる樹脂粒子の乾燥の工程が不要であり、樹脂粒子を製造することがさらに容易となる。
【0072】
さらに、第一の流体は、第一の超臨界流体及び第一の亜臨界流体の少なくとも一つに加えて、別の流体を含んでもよい。同様に、第二の流体もまた、第二の超臨界流体、第二の亜臨界流体、及び液化ガスの少なくとも一つに加えて別の流体を含んでもよい。上記の別の流体としては、上記の樹脂を含む材料を溶解しないことが好ましい。上記の別の流体としては、NO、エタン、プロパン、エチレンなどが挙げられる。
【0073】
第一の流体に添加してもよい別の流体は、エントレーナー(添加溶剤)であってもよい。第一の流体にエントレーナーを添加することで、第一の流体における樹脂を含む材料の溶解度(例えば、樹脂を含む材料がトナーの材料である場合には、第一の流体における結着樹脂の溶解度及び第一の流体における着色剤の分散性など)を向上させることができる。その結果、樹脂を含む材料から製造される樹脂粒子の表面に、第二の流体に不溶な外添剤をより容易に付着させることができる。エントレーナーは、目的に応じて適宜選択されるが、好ましくは、常温常圧で、樹脂を含む材料(トナーに対しては結着樹脂及び着色剤など)と非相溶である物質である。エントレーナーとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、アンモニア、メラミン、尿素、チオエチレングリコールなどが挙げられる。また、第一の流体におけるエントレーナーの添加量は、第一の流体に含まれる超臨界流体の質量に対して、好ましくは、0質量%〜30質量%であり、より好ましくは、1質量%〜20質量%である。
【0074】
第二の流体に不溶な外添剤は、無機材料、樹脂材料、脂肪酸の金属塩、金属酸化物、及び金属化合物からなる群より選択される一種以上の材料からなる微粒子を含む。外添剤が、無機材料、樹脂材料、脂肪酸の金属塩、金属酸化物、及び金属化合物からなる群より選択される一種以上の材料からなる微粒子を含む場合には、外添剤に含まれる微粒子の種類及び量に依存して、得られる樹脂粒子の特性を調整することができる。すなわち、得られる樹脂微粒子の流動性、現像性、帯電性、クリーニング性などを向上させることができる。
【0075】
無機材料からなる微粒子、金属酸化物からなる微粒子、及び金属化合物からなる微粒子を含む無機微粒子は、限定されず、目的に応じて公知の無機微粒子から適宜選択される。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子を単独又は組み合わせで使用することができる。外添剤が、無機微粒子を含む場合には、得られる樹脂微粒子の流動性、現像性、帯電性などを補助することができる。
【0076】
無機微粒子の一次粒子径は、好ましくは、5nm〜2μmであり、より好ましくは、5nm〜500nmである。また、BET法による無機微粒子の比表面積は、好ましくは、20m/g〜500m/gである。得られる樹脂粒子における無機微粒子の含有量は、好ましくは、0.01質量%〜5.0質量%であり、よりこのましくは、0.01質量%〜2.0質量%である。
【0077】
樹脂材料からなる微粒子である樹脂微粒子としては、結着樹脂について上述した樹脂の微粒子を使用することができる。樹脂微粒子の材料、重量平均分子量、及びガラス転移温度(Tg)は、結着樹脂について上述した樹脂の材料、重量平均分子量、及びガラス転移温度(Tg)と同様である。結着樹脂及び樹脂微粒子の材料、重量平均分子量、及びガラス転移温度(Tg)は、それぞれ、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、電子写真装置における像担持体及び一次転写媒体に残留する現像剤を除去するクリーニング性向上剤としての樹脂微粒子としては、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。ポリマー微粒子は、好ましくは、比較的狭い粒度分布を有し、ポリマー微粒子の体積平均粒径は、好ましくは、0.01μm〜1μmである。
【0078】
脂肪酸の金属塩からなる微粒子は、電子写真装置における像担持体及び一次転写媒体に残留する現像剤を除去するクリーニング性向上剤としての機能を有し、脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸などが挙げられる。
【0079】
外添剤は、好ましくは、表面処理された粒子である。外添剤が、表面処理された粒子である場合には、粒子の表面を処理する表面処理剤に応じて、外添剤の存在による樹脂粒子の特性の調整に加えて、得られる樹脂粒子の特性をさらに調整することができる。例えば、外添剤の表面を流動性向上剤で処理することで、外添剤の疎水性を向上させ、高湿度下においても樹脂粒子の流動性及び帯電性の悪化を防止することを可能とすることができる。外添剤の表面を処理する表面処理剤としては、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0080】
本発明による第一の実施形態による樹脂粒子の製造方法を実施するための装置は、少なくとも、樹脂を含む材料を、第一の超臨界流体及び第一の亜臨界流体の少なくとも一つを含む第一の流体に溶解又は分散させる装置、並びに樹脂を含む材料が溶解した第一の流体を、第二の超臨界流体、第二の亜臨界流体、及び液体の少なくとも一つを含む第二の流体中に噴出させて、樹脂粒子を析出させると共に第二の流体に不溶な外添剤を樹脂粒子の表面に付着させる装置を含む。
【0081】
樹脂を含む材料を第一の流体に溶解又は分散させる装置としては、樹脂を含む材料及び第一の流体を収容する第一の耐圧容器、第一の流体の材料を供給する第一の供給源、第一の供給源と第一の耐圧容器を接続すると共に流体の材料を耐圧容器へ供給する第一の接続機構を有する。第一の耐圧容器には、第一の流体の材料の温度を制御する第一のヒーター及び第一の耐圧容器に収容される第一の流体の圧力を測定することが可能な第一の圧力計が備え付けられる。また、第一の接続機構には、第一の耐圧容器に供給される第一の流体の材料の圧力を制御する第一のバルブが設けられる。
【0082】
樹脂を含む材料が溶解した第一の流体を第二の流体中に噴出させて、樹脂粒子を析出させると共に第二の流体に不溶な外添剤を樹脂粒子の表面に付着させる装置は、樹脂を含む材料、第一の流体、第二の流体、及び外添剤を収容する第二の耐圧容器、第二の流体の材料を供給する第二の供給源(第一の流体の供給源と同一であってもよい)、第二の供給源と第二の耐圧容器を接続すると共に第二の流体の材料を第二の耐圧容器へ供給する第二の接続機構、樹脂を含む材料及び第一の流体を第二の耐圧容器へ噴出させる噴出機構を有する。第二の耐圧容器には、第二の流体の材料の温度を制御する第二のヒーター及び第二の耐圧容器の内部の圧力を測定することが可能な第二の圧力計が備え付けられる。また、第二の接続機構には、第二の耐圧容器に供給される第二の流体の材料の圧力を制御する第二のバルブが設けられる。また、噴出機構には、樹脂を含む材料及び第一の流体の第二の耐圧容器への噴出を調整する噴出用バルブが設けられる。なお、第二の接続機構に、外添剤を添加する手段を設けてもよい。
【0083】
外添剤は、好ましくは、一次粒子の体積平均粒径が1μm以下である粒子である。外添剤が、一次粒子の体積平均粒径が1μm以下である粒子であるときには、外添剤の粒子の大きさが小さいので、得られる樹脂粒子の表面に相対的に多数の外添剤の粒子を付着させることができる。すなわち、得られる樹脂粒子の表面におけるより多くの面積を外添剤で被覆することができ、樹脂粒子の表面に付着する外添剤の量を増加させることができる。その結果、樹脂粒子の間の凝集及び合着を、より低減させることができる。
【0084】
また、外添剤は、好ましくは、第二の流体に含まれる。第二の流体に外添剤を予め含有させることで、すなわち、外添剤を第二の流体が導入される容器に入れておくだけで、得られる樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる。結果として、得られる樹脂粒子の表面に外添剤を付着させる操作をより簡便に行うことができる。
【0085】
本発明による第一の実施形態による樹脂粒子の製造方法について、より詳しくは、第一の耐圧容器へ樹脂を含む材料を投入し、第一の流体の材料の供給源から第一の流体の材料を、第一の接続機構を介して、樹脂を含む材料が供給された第一の耐圧容器に供給する。次に、必要に応じて、第一のヒーター及び第一の接続機構に設けられた第一のバルブを調節し、第一の接続機構における第一の流体の温度及び圧力を調整する。これにより、第一の流体に樹脂を含む材料を溶解させる又は分散させることができる。次に、第二の耐圧容器に外添剤を投入した後、第二の供給源から第二の耐圧容器に第二の流体の材料を供給する。次に、必要に応じて、第二のヒーター及び第二の接続機構に設けられた第二のバルブを調節し、第二の接続機構における第二の流体の温度及び圧力を調整する。あるいは、第二の耐圧容器に第二の流体の材料を供給し、必要に応じて、第二のヒーター及び第二の接続機構に設けられた第二のバルブを調節し、第二の接続機構における第二の流体の温度及び圧力を調整した後、外添剤を供給する手段によって、第二の接続機構の経路に外添剤を供給する。このとき、第二の流体の圧力が、樹脂を含む材料及び第一の流体の圧力よりも小さくなるように、第二の流体の圧力、並びに樹脂を含む材料及び第一の流体の圧力を調整する。次に、噴出機構に設けられた噴出用バルブを調製し、樹脂を含む材料及び第一の流体を、第二の耐圧容器に供給された第二の流体へ噴出させる。これにより、樹脂を含む材料を含む第一の流体は、第二の流体中で急速に膨張し、第二の流体中における樹脂を含む材料の溶解度が低下する。その結果、樹脂を含む材料が、樹脂微粒子として析出する。このとき、第二の流体に含まれる外添剤が、樹脂微粒子の表面に付着する。なお、外添剤を樹脂粒子の表面に付着させることは、外添剤で樹脂粒子の表面の少なくとも一部を被覆する(外添剤で樹脂粒子の表面を部分的に又は完全に被覆する)ことを含む。
【0086】
本発明による第一の実施形態による樹脂粒子の製造方法においては、第二の流体中で、樹脂を含む材料を急速に膨張させるため、第二の流体の存在によって、樹脂粒子の拡散を抑制し、樹脂を含む材料から形成される樹脂粒子の凝集及び合着を抑制することができる。このため、得られる樹脂粒子の大きさが大きくなることを低減することができる。また、樹脂を含む材料が比較的均一に溶解又は分散した第一の流体から樹脂粒子を形成するため、比較的均一な大きさの樹脂粒子を形成することができる。その結果、鋭い粒径分布を有する小さい粒径の樹脂粒子を得ることができる。なお、樹脂を含む材料が、結着樹脂及び着色剤を含む場合には、結着樹脂の内部に着色剤を分散させるように、樹脂を含む材料を粒子状に析出させることができる。
【0087】
また、第二の流体中で樹脂粒子を形成すると共に外添剤が樹脂粒子の表面に付着することで、外添剤によって樹脂粒子本体の接触が低減されるので、樹脂粒子の凝集及び合着をさらに低減させることができる。その結果、鋭い粒径分布を有する小さい粒径の樹脂粒子を得ることがより容易になる。
【0088】
なお、樹脂粒子の表面が外添剤で実質的に被覆されていることが好ましい。樹脂粒子の表面を外添剤で実質的に被覆することで、外添剤によって樹脂粒子本体の接触が十分に低減される又は防止されるので、樹脂粒子間の凝集及び合着をさらに低減させる又は防止することができる。なお、樹脂粒子の表面を外添剤で実質的に被覆するとは、樹脂粒子間の凝縮及び合着を十分に低減することができる程度に、樹脂粒子の表面を外添剤で被覆することを意味し、樹脂粒子の表面を外添剤で完全に被覆することを含む。
【0089】
このとき、外添剤は、得られる樹脂粒子の表面に取り込まれるように、樹脂粒子の表面に付着するので、外添剤は、樹脂粒子の表面に強固に固定される。このように、樹脂微粒子を形成すると共に外添剤を樹脂粒子の表面に付着させるので、樹脂粒子の形成する工程とは別に樹脂粒子に外添剤を添加する工程を不要とする又は簡略化することができる。
【0090】
なお、噴出機構に設けられた噴出用バルブを調節することで、樹脂微粒子を断続的又は連続的に容易に製造することができる。なお、樹脂を含む材料が、離型剤及び帯電制御剤を含む場合に、第一の流体の温度、圧力、エントレーナーの量を調整することで、樹脂を含む材料において、樹脂の表面に離型剤や帯電制御剤の層を形成することもできる(カプセル化トナー)。
【0091】
第一の流体及び第二の流体の両方が、常温常圧で気体である場合には、第一及び第二の耐圧容器からの廃液、並びに第一及び第二の耐圧容器及び得られる樹脂粒子の乾燥が必要でない工程を提供することができ、環境に対する負荷を低減することができる。すなわち、第二の耐圧容器の圧力を減圧させることによって、乾燥した状態の樹脂粒子を得ることができる。
【0092】
本発明による第一の実施形態である樹脂粒子の製造方法の一例を図1と共に説明する。図1は、本発明による樹脂粒子の製造方法を実施するための装置の一例を示す図である。図1に示す装置は、第一の流体の材料の供給源(第二の流体の材料の供給源と共通)としてのガスボンベ1’、エントレーナーを供給するためのエントレーナー供給源2’、第一の耐圧容器としての耐圧容器9’、第二の耐圧容器としての噴出容器12’、第一の流体の材料を耐圧容器9’及び噴出容器12’へ送出する加圧ポンプ3’、エントレーナーを耐圧容器9’へ送出する加圧ポンプ4’を有する。ガスボンベ1’及び耐圧容器9’は、第一のバルブとしてのバルブ7’を介して接続され、加圧ポンプ3’は、ガスボンベ1’及び耐圧容器9’の間に設けられている。エントレーナー供給源2’及び耐圧容器9’は、バルブ5’を介して接続され、エントレーナー供給源2’及び耐圧容器9’の間に、加圧ポンプ4’が設けられている。ガスボンベ1’及び噴出容器12’は、第二のバルブとしてのバルブ11’及び15’を介して接続され、加圧ポンプ3’は、ガスボンベ1’及び噴出容器12’の間に位置している。耐圧容器9’及び噴出容器12’は、噴出用バルブとしてのバルブ8’及び10’を介して接続されている。バルブ8’及びバルブ10’が設けられた耐圧容器9’及び噴出容器12’を接続する噴出機構の噴出容器12’側の末端には、ノズル13’が設けられている。耐圧容器9’及び噴出容器12’のそれぞれには、耐圧容器9’及び噴出容器12’内の温度を測定する温度計6’並びに耐圧容器9’及び噴出容器12’内の圧力を測定する圧力計14が設けられている。耐圧容器9’及び噴出容器12’には、それぞれ、耐圧容器9’及び噴出容器12’内に含まれる流体を加熱することができるヒーター17’及び16’が設けられている。
【0093】
まず、耐圧容器9’に樹脂を含む材料を投入する。次に、バルブ7’を開き、ガスボンベ1’内に含まれる第一の流体の材料を、耐圧容器9’へ供給する。耐圧容器9’内に供給された第一の流体の材料の温度及び圧力を、耐圧容器9’に設けられたヒーター17’及び加圧ポンプ3’を用いて増加させ、耐圧容器9’内に供給された第一の流体の材料を、超臨界流体又は亜臨界流体の状態にある第一の流体に制御する。また、バルブ5’を開き、エントレーナー供給源2’に含まれるエントレーナーを耐圧容器9’へ供給することもできる。耐圧容器9’におけるエントレーナーの圧力は、加圧ポンプ4’及びバルブ5’により調整することができる。このようにして、耐圧容器9’内で、樹脂を含む材料を、第一の流体に溶解又は分散させる。次に、樹脂を含む材料を、十分に第一の流体に溶解又は分散させることができたら、バルブ5’及び7’を閉じ、加圧ポンプ3’及び4’を停止させる。次に、噴出容器12’内に第二の流体(第一の流体の材料と同じ材料からなる)に不溶な外添剤を投入する。次に、バルブ11’及び15’を開き、ガスボンベ1’内に含まれる第二の流体の材料(第一の流体の材料と)共通を、噴出容器12’へ供給する。噴出容器12’内に供給された第二の流体の材料の温度及び圧力を、噴出容器12’に設けられたヒーター16’及び加圧ポンプ3’を用いて増加させ、噴出容器12’内に供給された第二の流体の材料を、第二の流体の圧力が、第一の流体の圧力以上にならないようにして、第二の流体の材料を、例えば、超臨界流体又は亜臨界流体の状態にある第二の流体に制御する。次に、バルブ11’及び15’を閉じ、加圧ポンプ3’を停止させる。次に、バルブ8’及びバルブ10’を開くと、比較的高い圧力を有する、樹脂を含む材料が溶解した超臨界流体又は亜臨界流体の状態にある第一の流体が、ノズル13’から、外添剤を含む超臨界流体又は亜臨界流体の状態にある第二の流体に噴出する。樹脂を含む材料が溶解した第一の流体は、第二の流体中で急速に膨張し、第一の流体における樹脂を含む材料の溶解度は、急激に低下する。その結果、樹脂を含む材料は、樹脂粒子として析出する。このとき、樹脂を含む材料が溶解した第一の流体を、第二の流体中で膨張させるため、生成する樹脂粒子の凝集及び合着は、抑制される。また、第二の流体に含まれる外添剤は、第二の流体中に分散し、生成する樹脂粒子の表面に付着する(外添剤が樹脂粒子の表面を実施的に被覆する場合もある)。樹脂粒子に外添剤を付着させることで、得られる樹脂粒子の凝集及び合着は、さらに抑制される。なお、外添剤は、噴出容器12’へ投入してもよいが、噴出機構におけるバルブ8’及び10’間の任意の位置に、外添剤を供給してもよい。
【0094】
本発明による第二の実施形態は、上記本発明による第一の実施形態である樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子である。本発明による第二の実施形態である樹脂粒子は、結着樹脂及び着色剤を含むトナーを含む。本発明による第二の実施形態によれば、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を提供することができる。上述したように、樹脂粒子の表面が前記外添剤で実質的に被覆されていることが好ましい。この場合には、樹脂粒子の表面が前記外添剤で実質的に被覆されているので、樹脂粒子の凝集又は合着がより低減された樹脂粒子を提供することができる。
【0095】
本発明による第三の実施形態は、本発明による第二の実施形態である樹脂粒子を含む画像形成剤である。本発明による第三の実施形態である画像形成剤は、結着樹脂及び着色剤を含むトナーからなる電子写真用の一成分現像剤及びトナージェット用の記録材、並びに結着樹脂及び着色剤を含むトナー並びにキャリアを含む電子写真用の二成分現像剤を含む。本発明による第三の実施形態によれば、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を提供することができる。
【0096】
上記トナーの体積平均粒径は、好ましくは、3μm〜8μmであり、より好ましくは、3μm〜7μmである。トナーの体積平均粒径が、3μm未満であると、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌において、キャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングやブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがある。トナーの体積平均粒径が、8μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が起こる場合に、トナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
【0097】
上記トナーの粒径分布、すなわち、トナーの個数平均粒径に対するトナーの体積平均粒径の比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、好ましくは、1.00 〜1.40であり、より好ましくは、1.05〜1.30である。トナーの個数平均粒径に対するトナーの体積平均粒径の比が、1.40を超えると、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングやブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、また、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が起こる場合に、トナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
【0098】
上記トナーの体積平均粒径、及び上記トナーの個数平均粒径に対するトナーの体積平均粒径の比は、例えば、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」やベックマン社性のマルチサイザーIIなどを用いて測定することができる。
【0099】
上記トナーの平均円形度は、トナーの投影面積と等しい面積の円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、好ましくは、0.900〜0.980であり、より好ましくは、0.950〜0.975である。なお、平均円形度が0.94未満のトナー粒子が15%以下であることが好ましい。トナーの平均円形度が、0.900未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、トナーの平均円形度が、0.980を超えると、ブレードクリーニングなどを採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが、感光体上に転写残トナーとなって蓄積し、画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力が発揮できなくなってしまうことがある。
【0100】
トナーの平均円形度は、例えば、トナーを含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法などにより計測することができ、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)等を用いて計測することができる。
【0101】
トナーの熱特性は、フローテスター特性とも呼ばれ、軟化温度(Ts)、流出開始温度(Tfb)、1/2法軟化点(T1/2)などとして評価される。これらの熱特性は、適宜選択する方法により測定することができ、例えば、高架式フローテスターCFT500型(島津製作所製)を用いて測定されたフローカーブから求めることができる。
【0102】
トナーの軟化温度(Ts)は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。トナーの軟化温度(Ts)は、好ましくは、50℃以上であり、より好ましくは、80℃〜120℃である。トナーの軟化温度(Ts)が、50℃未満であると、トナーの耐熱保存性及び低温保存性の少なくとも一方が悪化することがある。
【0103】
トナーの流出開始温度(Tfb)は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。トナーの流出開始温度(Tfb)は、好ましくは、60℃以上であり、より好ましくは、70℃〜150℃である。トナーの流出開始温度(Tfb)が、60℃未満であると、トナーの耐熱保存性及び低温保存性の少なくとも一方が悪化することがある。
【0104】
トナーの1/2法軟化点(T1/2)は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。トナーの1/2法軟化点(T1/2)は、好ましくは、60℃以上であり、より好ましくは、80℃〜170℃である。トナーの1 /2法軟化点(T1/2)が、60℃未満であると、トナーの耐熱保存性及び低温保存性の少なくとも一方が悪化することがある。
【0105】
定着画像の画像濃度については、分光計(X−ライト社製、938スペクトロデンシトメータ)を用いて測定した濃度値が、好ましくは、1.90以上であり、より好ましくは、2.00以上であり、さらに好ましくは、2.10以上である。画像濃度が、1.90未満であると、画像濃度が低く、高画質が得られないことがある。画像濃度は、例えば、imagio Neo 450(株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE6000<70W>;株式会社リコー製)に現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成し、得られたベタ画像における任意の6箇所の画像濃度を、分光計(X−ライト社製、938スペクトロデンシトメータ)を用いて測定しその平均値を算出することにより、測定することができる。
【0106】
現像剤は、上記トナーを少なくとも含有し、キャリアなどの成分を含有してもよい。現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
【0107】
上記トナーを用いた一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングやブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性能及び画像が得られる。また、上記トナーを用いた二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0108】
キャリアとしては、限定されず、目的に応じて適宜選択される。キャリアは、好ましくは、芯材及び芯材を被覆する樹脂層を有する。
【0109】
芯材の材料は、限定されず、公知の心材の材料から適宜選択される。芯材の材料は、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75emu/g〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−亜鉛(Cu−Zn)系(30emu/g〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらの心材の材料を単独又は組み合わせで使用することができる。
【0110】
芯材の粒径としては、好ましくは、体積平均粒径で10μm〜150μmであり、より好ましくは、30μm〜100μmである。心材の平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、心材の平均粒径(体積平均粒径(D50))が、150μmを超えると、キャリアの比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
【0111】
樹脂層の材料としては、限定されず、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択される。樹脂層の材料としては、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらの樹脂層の材料を単独又は組み合わせで使用することができる。
【0112】
アミノ系樹脂としては、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる前記ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等が挙げられる。ハロゲン化オレフィン樹脂としては、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0113】
樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径は、好ましくは、1μm以下である。導電粉の平均粒子径が1μmを超えると、キャリアの電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0114】
樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、塗布溶液を芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより、形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法などが挙げられる。溶剤としては、限定されず、目的に応じて適宜選択される溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテートなどが挙げられる。焼付としては、限定されず、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法などが挙げられる。
【0115】
キャリアにおける樹脂層の量は、好ましくは、0.01質量%〜5.0質量%である。キャリアにおける樹脂層の量が、0.01質量%未満であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成することができないことがあり、キャリアにおける樹脂層の量が、5.0質量%を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0116】
現像剤が二成分現像剤である場合、二成分現像剤におけるキャリアの含有量は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。二成分現像剤におけるキャリアの含有量は、好ましくは、90質量%〜98質量%であり、より好ましくは、93質量%〜97質量%である。
【0117】
本発明による第四の実施形態である画像形成剤入り容器は、本発明による第三の実施形態である画像形成剤が容器に収容されている。本発明による第四の実施形態によれば、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤が容器に収容されている画像形成剤入り容器を提供することができる。容器は、限定されず、公知の容器から適宜選択される。容器は、好ましくは、画像形成剤入り容器本体及びキャップを有する。
【0118】
画像形成剤入り容器本体の大きさ、形状、構造、材質は、限定されず、目的に応じて適宜選択される。画像形成剤入り容器本体の形状は、好ましくは、円筒状などであり、画像形成剤入り容器本体の円筒の内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、画像形成剤入り容器本体の円筒を回転させることにより、内容物である画像形成剤が排出口側に移行可能であり、スパイラル状の凹凸の一部又は全部が蛇腹機能を有していることが好ましい。画像形成剤入り容器本体の材質は、限定されず、寸法精度がよい材質が好ましい。画像形成剤入り容器本体の材質としては、樹脂が挙げられる。画像形成剤入り容器本体の材質としての樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS 樹脂、ポリアセタール樹脂などが挙げられる。本発明の画像形成剤入り容器は、保存すること及び搬送すること等が容易であり、取扱いに優れ、プロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けて、画像形成剤の補給に好適に使用することができる。
【0119】
本発明による第五の実施形態であるプロセスカートリッジは、少なくとも静電荷像担持体及び現像手段が一体化された、画像形成装置の本体に着脱可能であり、現像手段は、本発明による第三の実施形態である画像形成剤を用いて、静電荷像担持体に担持された静電荷像を現像する手段である。本発明による第五の実施形態であるプロセスカートリッジは、静電荷像担持体及び現像手段に加えて、帯電手段及びクリーニング手段の少なくとも一つを一体化させてもよい。より詳しくは、現像手段は、少なくとも、画像形成剤を収容する画像形成剤収容器、及び画像形成剤収容器内に収容された画像形成剤を担持すると共に搬送する画像形成剤担持体を有し、画像形成剤担持体に担持しる画像形成剤の層の厚さを規制するための層厚規制部材等を有してもよい。本発明による第五の実施形態によれば、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を用いる現像手段を有するプロセスカートリッジを提供することができる。
【0120】
本発明による第六の実施形態である画像形成方法は、本発明による第三の実施形態である画像形成剤を用いて画像を形成することを特徴とする。本発明による第六の実施形態である画像形成方法は、電子写真方式の画像形成方法及びトナージェット方式による画像形成方法を含む。本発明による第六の実施形態によれば、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を用いて画像を形成する画像形成方法を提供することができる。
【0121】
本発明による第六の実施形態である画像形成方法は、例えば、本発明による第三の実施形態である画像形成剤を用いて静電荷像担持体に形成された静電荷像を現像して可視画像を形成する段階、及び可視画像を転写材に転写する段階を含む画像形成方法である。この場合には、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成方法を提供することができる。
【0122】
また、画像形成剤を用いて静電荷像担持体に形成された静電荷像を現像して可視画像を形成する段階は、好ましくは、画像形成剤を担持する画像形成剤担持体及び静電荷像担持体の間に交互電界を印加すると共に、本発明による第三の実施形態である画像形成剤を用いて静電荷像を現像することを含む。この場合には、画像形成剤を担持する画像形成剤担持体及び静電荷像担持体の間に交互電界を印加するので、より鮮鋭な画像の現像を実現することができる。
【0123】
本発明による第七の実施形態である画像形成装置は、本発明による第三の実施形態である画像形成剤を用いて画像を形成する画像形成装置である。本発明による第七の実施形態によれば、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を用いて画像を形成する画像形成装置を提供することができる。本発明による第七の実施形態である画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置及びトナージェット方式による画像形成装置を含む。
【0124】
本発明による第七の実施形態である画像形成装置は、例えば、静電荷像担持体、本発明による第三の実施形態である画像形成剤を用いて、静電荷像担持体に形成される静電荷像を現像して可視画像を得る現像手段、及び可視画像を転写材に転写する転写手段を有する画像形成装置である。この場合には、樹脂粒子の凝集又は合着を低減すると共により容易に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法によって製造される樹脂粒子を含む画像形成剤を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置を提供することができる。
【0125】
ここで、静電荷像担持体は、好ましくは、有機感光体である。また、静電荷像担持体は、好ましくは、アモルファスシリコン感光体である。静電荷像担持体が、アモルファスシリコン感光体である場合には、静電荷像担持体の耐久性を向上させることができる。
【0126】
また、本発明による第七の実施形態である画像形成装置は、好ましくは、発熱体を備えた加熱体、加熱体と接触するフィルム、及びフィルムを介して加熱体と圧接する加圧部材を有し、フィルムと加圧部材との間に可視画像が転写された転写材を通過させて、転写材に可視画像を加熱定着させる定着装置をさらに有する。この場合には、最初の画像形成(ファーストコピー)に要する時間(1枚目のコピー時間)を短縮することができる。
【0127】
本発明による第六の実施形態である画像形成方法及び本発明による第七の実施形態である画像形成装置の具体例として、電子写真方式の画像形成方法及び画像形成装置を説明する。
【0128】
電子写真方式の画像形成方法は、静電荷像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
【0129】
電子写真方式の画像形成装置は、静電荷像担持体と、静電荷像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有する。
【0130】
静電荷像形成工程は、静電荷像担持体上に静電荷像を形成する工程である。静電荷像担持体(「光導電性絶縁体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
【0131】
静電荷像の形成は、例えば、静電荷像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電荷像形成手段により行うことができる。静電荷像形成手段は、例えば、静電荷像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、静電荷像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
【0132】
帯電は、例えば、帯電器を用いて静電荷像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
【0133】
露光は、例えば、露光器を用いて静電荷像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。露光器としては、帯電器により帯電された静電荷像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。なお、静電荷像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0134】
現像工程は、静電荷像を、トナー又は現像剤を用いて現像して可視画像を形成する工程である。可視画像の形成は、例えば、静電荷像をトナー又は現像剤を用いて現像手段により現像することにより行うことができる。現像手段は、例えば、トナー又は現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー又は現像剤を収容し、静電荷像にトナー又は現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが挙げられ、トナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
【0135】
現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、トナー又は現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるものなどが挙げられる。
【0136】
現像器内では、例えば、トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電荷像担持体(感光体)近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって静電荷像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、静電荷像がトナーにより現像されて静電荷像担持体(感光体)の表面にトナーによる可視画像が形成される。
【0137】
現像器に収容させる現像剤は、トナーを含む現像剤であるが、現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。現像剤に含まれるトナーは、本発明による第三の実施形態に係るトナーである。
【0138】
転写工程は、可視画像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、中間転写体上に可視画像を一次転写した後、可視画像を記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視画像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
【0139】
可視画像の転写は、例えば、転写帯電器を用いて静電荷像担持体(感光体)を帯電すると共に転写手段により行うことができる。転写手段としては、可視画像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。なお、中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が挙げられる。
【0140】
転写手段(第一次転写手段、第二次転写手段)は、静電荷像担持体(感光体)上に形成された可視画像を記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有することが好ましい。転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。なお、記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
【0141】
定着工程は、記録媒体に転写された可視画像を、定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
【0142】
定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせなどが挙げられる。
【0143】
加熱加圧手段における加熱は、通常、80 ℃〜200 ℃が好ましい。なお、目的に応じて、定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0144】
除電工程は、静電荷像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。除電手段としては、特に制限はなく、静電荷像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0145】
クリーニング工程は、静電荷像担持体上に残留する電子写真トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。クリーニング手段としては、特に制限はなく、静電荷像担持体上に残留する電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が挙げられる。
【0146】
リサイクル工程は、クリーニング工程により除去した電子写真用カラートナーを現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0147】
制御手段は、各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。制御手段としては、各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0148】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図2を参照しながら説明する。図2に示す画像形成装置100は、静電荷像担持体としての感光体ドラム10(以下「感光体10」という)と、帯電手段としての帯電ローラ20と、露光手段としての露光装置30と、現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有するクリーニング手段としてのクリーニング装置60と、除電手段としての除電ランプ70とを備える。
【0149】
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51 によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、最終転写材としての転写紙95に現像像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
【0150】
現像装置40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45K は、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
【0151】
図2に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電荷像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電荷像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視画像(トナー像)を形成する。可視画像(トナー像)が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
【0152】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図3を参照しながら説明する。図3に示す画像形成装置100は、図2に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図2に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図3においては、図2におけるものと同じものは同符号で示した。
【0153】
電子写真方式の画像形成装置により電子写真方式の画像形成方法を実施するさらに別の他の態様について、図4を参照しながら説明する。図4に示すタンデム画像形成装置120は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム画像形成装置120は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
【0154】
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図4中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
【0155】
なお、タンデム画像形成装置120においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0156】
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0157】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
【0158】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図5に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、感光体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に感光体を露光(図5中、L)し、感光体上に各カラー画像に対応する静電荷像を形成する露光器と、静電荷像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー像を形成する現像器61と、トナー像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成されたブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M 上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上にブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0159】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ150を回転して手差しトレイ51上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
【0160】
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により合成カラー画像(カラー転写像)をシート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
【0161】
カラー画像が転写され形成されたシート(記録紙)は、二次転写装置22 により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより合成カラー画像(カラー転写像)がシート(記録紙)上に定着される。その後、シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0162】
[実施例]
本実施例においては、樹脂粒子としてのトナーを製造するために、図1に概略的に示すトナーの製造装置を用いた。
【0163】
容積が1000cmの耐圧容器9’内に結着樹脂として50gのポリエステル系樹脂(三洋化成工業株式会社製、商品名:EP208)及び着色剤として2.5gのカーボンブラックを投入した。(カーボンブラックの使用量は、100重量部のポリエステル系樹脂に対して2重量部以上30重量部以下となるように設定するとよい。)次に、バルブ7’を開き、ガスボンベ1’内に含まれる二酸化炭素(CO)を、耐圧容器9’へ供給し、加圧ポンプ3’を始動させて耐圧容器9’内に二酸化炭素さらに導入した。噴出バルブ8’は閉じたままにし、耐圧容器9’内における二酸化炭素の圧力を増加させることができた。また、耐圧容器9’に設けられたヒーター17’を用いて、耐圧容器9’内の二酸化炭素を加熱し、二酸化炭素の温度を320Kに調整した。なお、バルブ15は閉じられており、噴出容器12には二酸化炭素を導入していなかった。320Kの二酸化炭素の圧力が7.3MPa以上であるとき、二酸化炭素は、超臨界流体になるため、各バルブ5’、7’の開閉を調整して、耐圧容器9’内の圧力を20MPaに設定した。このようにして、耐圧容器9’内における二酸化炭素の状態を、少なくとも結着樹脂が二酸化炭素に溶解した状態に設定した。そして、各バルブ5’、7’を閉じ、耐圧容器9’内の二酸化炭素の温度及び圧力を、30分間略320K及び略20MPaに維持した。なお、本実施例では、エントレーナーを使用しなかった。
【0164】
次に、噴出容器12’内に、二酸化炭素に不溶な外添剤である2gの疎水性シリカ(クラリアント社製 商品名H2000:一次粒子の体積平均粒径12nm)を投入した。次に、バルブ11’及び15’を開き、ガスボンベ1’内に含まれる二酸化炭素(CO)を、加圧ポンプ3’を用いて、噴出容器12’へ供給し、噴出容器12’内における二酸化炭素の圧力を増加させることができた。また、噴出容器12’に設けられたヒーター16’を用いて、噴出容器12’内の二酸化炭素を加熱し、二酸化炭素の温度を320Kに調整した。320Kの二酸化炭素の圧力が7.3MPa以上であるとき、二酸化炭素は、超臨界流体になるため、各バルブ11’、15’の開閉を調整して、噴出容器12’内の圧力を8MPaに設定した。このようにして、噴出容器12’内における二酸化炭素の状態を、耐圧容器9’内の少なくとも結着樹脂が溶解した二酸化炭素の超臨界流体の圧力よりも低い圧力の超臨界流体の状態に設定した。そして、バルブ11’及び15’を閉じ、加圧ポンプ3’を停止させた。
【0165】
次に、バルブ8’及びバルブ10’を開けて、耐圧容器9’内の比較的高い圧力を有する、結着樹脂及び着色剤が溶解した二酸化炭素の超臨界流体を、ノズル13’を介して、噴出容器12’内の比較的低い圧力を有する、疎水性シリカを含む超臨界流体の状態にある二酸化炭素に噴出する。結着樹脂及び着色剤が溶解した二酸化炭素の超臨界流体は、噴出容器12’内の二酸化炭素の超臨界流体において急速膨張し、結着樹脂に着色剤がほぼ均一に分散した略球状の樹脂粒子(トナー)が析出し、噴出容器12内の二酸化炭素の超臨界流体中に拡散した。なお、バルブ10’の開閉を調整し、噴出容器12’内の圧力を8MPa〜9MPaに維持し、ヒーター16によって噴出容器12’内の温度を略320Kに維持した。また、噴出容器12’内に得られた樹脂粒子の表面は、噴出容器12’内に投入された疎水性シリカによって被覆されており、樹脂粒子間の凝集及び合着が抑制されて、小さい粒径を有する略球形の樹脂粒子を得ることができた。
【0166】
[比較例]
上記実施例において、二酸化炭素に不溶な外添剤である疎水性シリカ(クラリアント社製 商品名H2000)の噴出容器12’内への投入を省略した以外には、上記実施例と同様の製造装置及び製造方法により、樹脂粒子を製造した。その結果、樹脂粒子間の凝集及び合着が発生し、実施例で得られた樹脂粒子と比較すると、本比較例で得られた樹脂粒子の形状は、不定形であり、樹脂粒子の粒子径のばらつきも、大きかった。
【0167】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明による樹脂粒子の製造方法を実施するための装置の一例を示す図である。
【図2】本発明による画像形成装置の一つの例を示す図である。
【図3】本発明による画像形成装置の別の例を示す図である。
【図4】本発明による画像形成装置のまた別の例を示す図である。
【図5】図4に示す画像形成装置の部分的な拡大図である。
【符号の説明】
【0169】
1’ ガスボンベ
2’ エントレーナー供給源
3’、4’ 加圧ポンプ
5’、7’、8’、10’、11’、15’ バルブ
6’ 温度計
9’ 耐圧容器
12’ 噴出容器
13’ ノズル
14’ 圧力計
16’、17’ ヒーター
10 感光体
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読み取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
45K ブラック現像ユニット
45Y イエロー現像ユニット
45M マゼンタ現像ユニット
45C シアン現像ユニット
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100 画像形成装置
110 ベルト式定着装置
120 タンデム画像形成装置
121 加熱ローラ
122 定着ローラ
123 定着ベルト
124 加圧ローラ
125 加熱源
126 クリーニングローラ
127 温度センサ
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも樹脂を含む材料からなる樹脂粒子を製造する樹脂粒子の製造方法であって、
前記樹脂を含む材料を、第一の超臨界流体及び第一の亜臨界流体の少なくとも一つを含む第一の流体に溶解又は分散させる工程、
並びに
前記樹脂を含む材料が溶解した前記第一の流体を、第二の超臨界流体、第二の亜臨界流体、及び液体の少なくとも一つを含む第二の流体中に噴出させる工程を有し、
前記第二の流体中に噴出させる工程は、前記樹脂粒子を析出させる工程と共に、前記第二の流体に不溶な外添剤を、前記樹脂粒子の表面に付着させる工程
を含むことを特徴とする樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
前記第二の流体は、前記外添剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
前記外添剤は、無機材料、樹脂材料、脂肪酸の金属塩、金属酸化物、及び金属化合物からなる群より選択される一種以上の材料からなる微粒子を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項4】
前記外添剤は、一次粒子の体積平均粒径が1μm以下である粒子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
前記外添剤は、表面処理された粒子であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂を含む材料は、着色剤をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂を含む材料は、離型剤をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法によって製造されることを特徴とする樹脂粒子。
【請求項9】
表面が前記外添剤で実質的に被覆されていることを特徴とする請求項8に記載の樹脂粒子。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の樹脂粒子を含むことを特徴とする画像形成剤。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成剤が容器に収容されていることを特徴とする画像形成剤入り容器。
【請求項12】
請求項10に記載の画像形成剤を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項13】
前記画像形成剤を用いて静電荷像担持体に形成された静電荷像を現像して可視画像を形成する段階、及び
前記可視画像を転写材に転写する段階を含むことを特徴とする請求項12に記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記可視画像を形成する段階は、前記画像形成剤を担持する画像形成剤担持体及び前記静電荷像担持体の間に交互電界を印加すると共に、前記画像形成剤を用いて前記静電荷像を現像することを含むことを特徴とする請求項13に記載の画像形成方法。
【請求項15】
少なくとも静電荷像担持体及び現像手段が一体化された、画像形成装置の本体に着脱可能であるプロセスカートリッジにおいて、
前記現像手段は、請求項10に記載の画像形成剤を用いて、前記静電荷像担持体に担持された静電荷像を現像する手段であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項16】
請求項10に記載の画像形成剤を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
静電荷像担持体、
前記画像形成剤を用いて、前記静電荷像担持体に形成される静電荷像を現像して可視画像を得る現像手段、及び
前記可視画像を転写材に転写する転写手段を有することを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記静電荷像担持体は、有機感光体であることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
発熱体を備えた加熱体、前記加熱体と接触するフィルム、及び前記フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材を有し、前記フィルムと前記加圧部材との間に前記可視画像が転写された転写材を通過させて、前記転写材に前記可視画像を加熱定着させる定着装置を有することを特徴とする請求項17又は18に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−77219(P2006−77219A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266119(P2004−266119)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】