説明

樹脂系舗装材の敷き均し装置におけるスクリードプレートの構造及びこのスクリードプレートを使用した樹脂系舗装材の敷き均し方法

【課題】敷き均し装置におけるスクリードプレートでの敷き均し作業性、仕上がり性を改善することが出来る樹脂系舗装材の敷き均し装置におけるスクリードプレートの構造及びこのスクリードプレートを使用した樹脂系舗装材の敷き均し方法を提供する。
【解決手段】スクリードプレート1の立設する敷設面1aと水平な敷設面1bとは、図示しないヒーターや高周波誘導コイル等の熱源手段により任意の温度にコントロール出来るように構成され、敷設面1aの表面温度に対して、敷設面1bの表面温度を20°C〜80°C高く設定し、スクリードプレート1の立設する敷設面1aの温度は、水平な敷設面1bの温度より常に低くなるように構成してある。具体的には、敷設面1aの表面温度を20°C〜30°Cに設定すると共に、敷設面1bの表面温度を50°C〜100°Cに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は樹脂系舗装材の敷き均し装置におけるスクリードプレートの構造及びこのスクリードプレートを使用した樹脂系舗装材の敷き均し方法に係わり、更に詳しくは弾性舗装材料として使用する熱硬化性樹脂舗装材の硬化促進を抑制し、敷き均し装置におけるスクリードプレートでの敷き均し作業性、仕上がり性を改善することが出来る樹脂系舗装材の敷き均し装置におけるスクリードプレートの構造及びこのスクリードプレートを使用した樹脂系舗装材の敷き均し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、硬質骨材及び/または弾性骨材から成る骨材をウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から成る樹脂系バインダで固結して成る樹脂系の弾性舗装の施工において、一般のアスファルト系舗装材等に適用される敷き均し装置におけるヒーターや高周波誘導コイル等の加熱手段を埋設したスクリードプレート(またはスムーサとも呼称される)では、樹脂系舗装材の敷設中に材料の硬化が進行し、固化物が異物としてスクリードプレート下に巻き込まれることがあり、弾性舗装路面に影響を与えていた(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
その原因として、図5に示すように、略L字状に形成されたスクリードプレート1の舗装路面Gに対して立設する敷設面1aとスクリュースプレッダ2との間付近Qに樹脂系舗装材料Wが滞留し易く、長時間高温に晒される結果、樹脂系舗装材料Wの硬化が過度に進行し、ゲル化し、更に異物としてスクリードプレート1の下面に巻き込まれていることが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−34412号公報
【特許文献2】特開平10−252012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明はかかる従来の課題に着目し、スクリードプレートの舗装路面に対して立設する敷設面の温度を、舗装路面に対して水平な敷設面の温度よりも低く設定させて温度を変化させることで、熱硬化性樹脂舗装材の硬化促進を抑制し、敷き均し装置におけるスクリードプレートでの敷き均し作業性、仕上がり性を改善することが出来る樹脂系舗装材の敷き均し装置におけるスクリードプレートの構造及びこのスクリードプレートを使用した樹脂系舗装材の敷き均し方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記目的を達成するため、この発明の樹脂系舗装材の敷き均し装置におけるスクリードプレートの構造は、スクリードプレートの舗装路面に対して立設する敷設面の温度を、舗装路面に対して水平な敷設面の温度より低くなるように構成したことを要旨とするものである。
【0007】
ここで、前記スクリードプレートの立設する敷設面に断熱材を設けたり、前記スクリードプレートの立設する敷設面と、水平な敷設面とを温度制御可能な熱源手段をそれぞれ設けたり、更に前記スクリードプレートの立設する敷設面と水平な敷設面とを熱伝導率の異なる材質によりそれぞれ形成することも可能である。
【0008】
また、この発明の樹脂系舗装材の敷き均し方法は、舗装路面上の敷設方向に沿って順次供給した樹脂系舗装材をスクリードプレートにより敷き均す際、先ず舗装路面に対して立設する温度の低く設定したスクリードプレートの敷設面で敷き均し,次いでスクリードプレートの立設する敷設面よりも温度が高く設定したスクリードプレートの水平な敷設面で敷き均すことを要旨とするものである。
【0009】
ここで、前記スクリードプレートの立設する敷設面の表面温度に対して、スクリードプレートの水平な敷設面の表面温度を20°C〜80°C高く設定し、前記スクリードプレートの立設する敷設面の表面温度を25°C〜30°Cに設定すると共に、スクリードプレートの水平な敷設面の表面温度を50°C〜100°Cに設定するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上記のようにスクリードプレートの舗装路面に対して立設する敷設面の温度を、舗装路面に対して水平な敷設面の温度より低くなるように構成したので、スクリードプレートにより熱硬化性樹脂舗装材を敷き均す際、熱硬化性樹脂舗装材の硬化促進を抑制し、敷き均し装置におけるスクリードプレートでの敷き均し作業性、弾性舗装路面の仕上がり性を改善することが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明を実施した敷き均し装置の概略斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態を示す敷き均し装置における敷設部の一部拡大断面図である。
【図3】図2の断熱材の一部拡大断面図である。
【図4】この発明の第2実施形態を示す敷き均し装置における敷設部の一部拡大断面図である。
【図5】従来の敷き均し装置における敷設部の一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。 なお、以下の説明において、従来例と同一構成要素は同一符号を付して説明は省略する。
【0013】
図1は、この発明を実施した敷き均し装置10の概略斜視図、図2はこの発明の第1実施形態を示す敷き均し装置10における敷設部の一部拡大断面図を示し、1は敷設部に設けた略L字状に形成されたスクリードプレート、2は樹脂系舗装材料Wを道路幅方向に拡散しながら供給するスクリュースプレッダを示し、前記スクリードプレート1は、舗装路面Gに対して立設する敷設面1aと、舗装路面Gに対して水平な敷設面1bとで断面略L字状に一体的に形成されている。
【0014】
前記スクリードプレート1の立設する敷設面1aと水平な敷設面1bとは、図示しないヒーターや高周波誘導コイル等の従来公知の熱源手段により任意の温度にコントロール出来るように構成され、この発明の実施形態では、スクリードプレート1の立設する敷設面1aの表面温度に対して、スクリードプレート1の水平な敷設面1bの表面温度を20°C〜80°C高く設定し、スクリードプレート1の立設する敷設面1aの温度は、水平な敷設面1bの温度より常に低くなるように構成してある。
【0015】
具体的には、前記スクリードプレート1の立設する敷設面1aの表面温度を20°C〜30°Cに設定すると共に、スクリードプレート1の水平な敷設面1bの表面温度を50°C〜100°Cに設定するものである。
【0016】
また、スクリードプレート1の立設する敷設面1aの温度を、水平な敷設面1bの温度より常に低くなるように構成する手段としては、図2及び図3に示すように、スクリードプレート1の立設する敷設面1aに断熱材3(例えば、木製のもの、発泡プラスチック、グラスウ−ル、ロックウ−ル、インシュレーションボ−ド、硬質ウレタンフォーム、ポリエステルフォーム等)を設けるものである。
【0017】
また、スクリードプレート1の立設する敷設面1aの温度と、水平な敷設面1bの温度とに変化を持たせる手段としては、前記温度制御可能な熱源手段を立設する敷設面1aと水平な敷設面1bとにそれぞれ設けたり、または図4に示すようにスクリードプレート1の立設する敷設面1aの材料と、水平な敷設面1bの材料とを導電率(抵抗)の異なる材質(例えば、アルミと鉄、銅と鉄等)によりそれぞれ形成することも可能である。
【0018】
次に、上記のようなスクリードプレート1により樹脂系舗装材料Wを敷き均す敷き均し方法について説明する。
【0019】
珪砂、自然石、人工石、樹脂系チップ等の硬質骨材及び/またはゴム粉やゴムチップ等の弾性骨材から成る天然系骨材をウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から成るバインダで固結して成る樹脂系舗装材Wを舗装路面G上の敷設方向に沿って順次供給し、この供給した前記樹脂系舗装材Wを敷き均し装置10の敷設部に設けたヒーターや高周波誘導コイル等の従来公知の熱源手段を備えた略L字状に形成されたスクリードプレート1により敷き均す際には、先ず舗装路面Gに対して立設する温度の低く設定したスクリードプレート1の敷設面1aで敷き均し,次いでスクリードプレート1の立設する敷設面1aよりも温度が高く設定したスクリードプレートの水平な敷設面1bで一定重量により加圧しながら敷き均す。
【0020】
前記熱源手段では、スクリードプレート1の立設する敷設面1aの表面温度に対して、スクリードプレート1の水平な敷設面1bの表面温度を20°C〜80°C高く設定し、具体的にはスクリードプレート1の立設する敷設面1aの表面温度を20°C〜30°Cに設定すると共に、スクリードプレート1の水平な敷設面1bの表面温度を50°C〜100°Cに設定するようにコントロールするものである。
【0021】
このように、スクリードプレート1の舗装路面Gに対して立設する敷設面1aの温度を、舗装路面Gに対して水平な敷設面1bの温度より低くなるように構成して樹脂系舗装材料Wを敷き均すことで、熱硬化性樹脂舗装材Wの硬化促進を抑制し、敷き均し装置10におけるスクリードプレート1での敷き均し作業性、弾性舗装路面の仕上がり性を改善することが出来るものである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明では、一般道路、高速道路における弾性舗装道路の弾性舗装材料の敷設作業において有効であり、またこの他に弾性舗装材料を敷設する遊歩道や全天候型の運動場や室内運動場にも有効に利用することが出来る。
【符号の説明】
【0023】
1 スクリードプレート
1a 立設する敷設面
1b 水平な敷設面
2 スクリュースプレッダ
3 断熱材
10 敷き均し装置
G 舗装路面
W 樹脂系舗装材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質骨材及び/または弾性骨材から成る天然系骨材を熱硬化性樹脂から成るバインダで固結して成る樹脂系舗装材を、敷き均し装置の敷設部に設けた熱源手段を備えた略L字状に形成されたスクリードプレートにより敷き均す樹脂系舗装材の敷き均し装置におけるスクリードプレートの構造において、
前記スクリードプレートの舗装路面に対して立設する敷設面の温度を、舗装路面に対して水平な敷設面の温度より低くなるように構成したことを特徴とする樹脂系舗装材の敷き均し装置におけるスクリードプレートの構造。
【請求項2】
前記スクリードプレートの立設する敷設面に断熱材を設けた請求項1に記載の樹脂系舗装材の敷き均し装置におけるスクリードプレートの構造。
【請求項3】
前記スクリードプレートの立設する敷設面と、水平な敷設面とを温度制御可能な熱源手段をそれぞれ設けた請求項1または2に記載の樹脂系舗装材の敷き均し装置におけるスクリードプレートの構造。
【請求項4】
前記スクリードプレートの立設する敷設面と水平な敷設面とを導電率の異なる材質によりそれぞれ形成した請求項1,2または3に記載の樹脂系舗装材の敷き均し装置におけるスクリードプレートの構造。
【請求項5】
硬質骨材及び/または弾性骨材から成る天然系骨材を熱硬化性樹脂から成るバインダで固結して成る樹脂系舗装材を舗装路面上の敷設方向に沿って順次供給し、この供給した前記樹脂系舗装材を敷き均し装置の敷設部に設けた加熱手段を備えた略L字状に形成されたスクリードプレートにより敷き均す樹脂系舗装材の敷き均し方法において、
前記舗装路面上の敷設方向に沿って順次供給した樹脂系舗装材をスクリードプレートにより敷き均す際、先ず舗装路面に対して立設する温度の低く設定したスクリードプレートの敷設面で敷き均し,次いでスクリードプレートの立設する敷設面よりも温度が高く設定したスクリードプレートの水平な敷設面で敷き均すことを特徴とする樹脂系舗装材の敷き均し方法。
【請求項6】
前記スクリードプレートの立設する敷設面の表面温度に対して、スクリードプレートの水平な敷設面の表面温度を20°C〜80°C高く設定する請求項5に記載の樹脂系舗装材の敷き均し方法。
【請求項7】
前記スクリードプレートの立設する敷設面の表面温度を20°C〜30°Cに設定すると共に、スクリードプレートの水平な敷設面の表面温度を50°C〜100°Cに設定する請求項5に記載の樹脂系舗装材の敷き均し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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