説明

樹脂組成物および樹脂成形品

【課題】優れた耐候性を有する硫化亜鉛を配合した樹脂組成物およびこの樹脂組成物を使用した樹脂成形品を提供する。
【解決手段】樹脂100質量部に対して、(A)硫化亜鉛0.1〜20質量部と、(B)下記一般式(1)、


(式中、Rは各々独立に水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアシル基または炭素原子数5〜8のシクロアルキル基を表す)で表される構造を有するヒンダードアミン化合物0.01〜20質量部を配合してなる樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物および樹脂成形品に関し、詳しくは、樹脂に、硫化亜鉛および特定構造のヒンダードアミン化合物を配合することで耐候性の改善された樹脂組成物、およびこの樹脂組成物を使用した樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車外装材などの屋外光に暴露される用途に、一般に白色顔料として酸化チタンが配合された長繊維強化ポリオレフィン樹脂などが用いられている。しかしながら、長繊維強化ポリオレフィン樹脂などでは、酸化チタンを用いると機械強度が低下するという問題があるため、その対策として硫化亜鉛を用いることが提案されている(特許文献1)。
【0003】
ところが、上記方法では、硫化亜鉛を用いることで機械強度の低下は抑制できるものの、耐候性が大幅に低下するという問題がある。そこで、ヒンダードアミン化合物と紫外線吸収剤を用いることが提案されている(特許文献2)。また、分子量1000以上のヒンダードアミン化合物を用いることで耐候性を改善することが提案されている(特許文献3)。さらに、硫化亜鉛配合樹脂組成物に、従来技術として提案されているヒンダードアミン化合物単独、あるいはそれと紫外線吸収剤を配合した樹脂組成物が提案されている(特許文献4および5)。
【特許文献1】特許第2813559号公報
【特許文献2】特開平9−183869号公報
【特許文献3】特開2001−192468号公報
【特許文献4】特開2004−210987号公報
【特許文献5】特開2005−048077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2〜5記載のように、硫化亜鉛配合樹脂組成物に、従来技術として提案されているヒンダードアミン化合物単独、あるいはそれと紫外線吸収剤を配合した樹脂組成物を使用しても、耐候性の改善効果は充分ではなかった。このため、白色顔料として有用な硫化亜鉛が配合された樹脂成形品の耐候性を改善することは、依然として解決すべき課題とされてきた。
【0005】
そこで本発明の目的は、優れた耐候性を有する硫化亜鉛を配合した樹脂組成物およびこの樹脂組成物を使用した樹脂成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、樹脂に、硫化亜鉛および特定構造のヒンダードアミン化合物を配合することにより、耐候性の優れた樹脂組成物および樹脂成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の樹脂組成物は、樹脂100質量部に対して、(A)硫化亜鉛0.1〜20質量部と、(B)下記一般式(1)、

(式中、Rは各々独立に水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアシル基または炭素原子数5〜8のシクロアルキル基を表す)で表される構造を有するヒンダードアミン化合物0.01〜20質量部を配合してなることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の樹脂成形品は、前記記載の樹脂組成物を成形してなり、耐候性が改善されたことを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本発明の樹脂成形品は、自動車外装材に使用されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、優れた耐候性を有する硫化亜鉛を配合した樹脂組成物およびこの樹脂組成物を使用した樹脂成形品を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる樹脂としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンおよびこれらの共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等);ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレートおよびポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリカプロラクタムおよびポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド;ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキサイド;ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン;液晶ポリマー;脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ヒドロキシカルボン酸もしくはその環状化合物からの脂肪族ポリエステル、さらにはこれらがジイソシアネートなどにより分子量が増加した脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂;繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂およびこれらのブレンド物;あるいはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。更に、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム等のエラストマーであってもよい。これらの樹脂はリサイクル樹脂であってもよい。また、上記樹脂のうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂が、特に好ましい。
【0012】
上記樹脂は、比重、平均分子量、溶融粘度、モノマー組成、溶媒への不溶分比率、立体規則性の有無や種類、重合終了時点での形状や大きさ、重合に用いた触媒の種類、触媒残渣の失活処理・除去処理の有無や方法、触媒由来の樹脂中に残存する金属種や酸成分の有無・種類・濃度によらず用いることができる。
【0013】
本発明に用いられる硫化亜鉛(A)としては、品質、粒径、製造方法などは特に制限されず、樹脂添加剤用の白色顔料として公知のものを用いることができる。
【0014】
本発明に用いられる上記一般式(1)で表されるヒンダードアミン化合物(B)におけるRで表される炭素原子数1〜18のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどが挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる上記一般式(1)におけるRで表される炭素原子数1〜18のヒドロキシル基で置換されたアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルなど上記アルキル基に対応する基が挙げられる。
【0016】
本発明に用いられる上記一般式(1)におけるRで表される炭素原子数1〜18のアシル基としては、例えばアセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられる上記一般式(1)におけるRで表される炭素原子数5〜8のシクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。
【0018】
本発明の上記一般式(1)で表されるヒンダードアミン化合物としては、より具体的には、以下のNo.1〜6の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
【0019】

【0020】

【0021】

【0022】

【0023】

【0024】

【0025】
上記具体的に示した化合物の中で、No.1の化合物は、特に耐候性の付与効果が大きいので好ましい。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、樹脂100質量部に対して、白色顔料として硫化亜鉛0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは1〜5質量部を配合されてなり、ヒンダードアミン化合物0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部を配合されてなる。硫化亜鉛の配合量が、0.1質量部より少ないと白色顔料としての効果がなく、一方、20質量部より多く用いると樹脂成形品の機械強度が低下する。また、ヒンダードアミン化合物の配合量が、0.01質量部より少ないと十分な安定化効果がなく、一方、20質量部より多く用いると樹脂物性が低下したり、ブルームにより樹脂成形品の美観を損なう。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、必要に応じてフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒドロキシアミン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、他のヒンダードアミン化合物、造核剤、難燃剤、難燃助剤、加工性改良剤、他の顔料、充填剤、可塑剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤などを併用することが好ましい。
【0028】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、2,4−ジ第三ブチル−6−オクチルチオメチルフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、トコフェノール等が挙げられる。
【0029】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−メチル−4−[3−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]プロピル]フェノール、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0030】
上記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類およびペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0031】
上記ヒドロキシアミン系酸化防止剤としては、ジラウリルヒドロキシアミン、ジミリスチルヒドロキシアミン、ジパルミチルヒドロキシアミン、ジステアリルヒドロキシアミン、ジベンジルヒドロキシアミン、ジシクロヘキシルヒドロキシアミンなどが挙げられる。
【0032】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
【0033】
上記他のヒンダードアミン化合物としては、例えば、1−オキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、1−(2−ヒドロキシ−2−メチル)プロピルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメチルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメチルメタクリレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0034】
以上のフェノール系酸化防止剤から他のヒンダードアミン系化合物までは、添加する場合はその効果を発揮させるために、樹脂100質量部に対し0.001〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部の割合で添加される。
【0035】
上記造核剤としては、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、安息香酸ナトリウムなどの芳香族カルボン酸金属塩;ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)リン酸リチウム、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等の酸性リン酸エステル金属塩;ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトールなどの多価アルコール誘導体などが挙げられる。
【0036】
上記難燃剤としては、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン系難燃剤;赤燐、リン酸メラミンなどの無機リン化合物、リン酸トリフェニル、レゾルシノール・フェノール・リン酸縮合物、ビスフェノールA・2,6−キシレノール・リン酸縮合物などのリン酸エステル化合物からなるリン系難燃剤;水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの無機難燃剤;メラミンシアヌレートなどの含窒素化合物などが挙げられ、酸化アンチモン、酸化ジルコニウムなどの難燃助剤やフッ素樹脂、シリコン樹脂などのドリップ防止剤などと併用することが好ましい。
【0037】
上記他の顔料としては、有機、無機いずれでもよく、カーボンブラック等の黒色顔料;酸化クロム、クロムグリーン、ジンクグリーン、塩化銅フタロシアニングリーン、フタロシアニングリーン、ナフトールグリーン、マラカイトグリーンレーキなどの緑色顔料;群青、紺青、銅フタロシアニンブルー、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、フォストスカイブルー、インダンスレンブルー等の青色顔料;鉛丹、ベンガラ、塩基性クロム酸亜鉛、クロムバーミリオン朱、カドミウム赤、バラレッド、ブリリアントカーミン、ブリリアントスカーレット、キナクリドン赤、リソールレッド、バーミリオン、チオインジゴレッド、ミンガミヤレッドなどの赤色顔料;黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ハンサイエロー、オーラミンレーキ、ベンジジンイエロー、インダンスレンイエローなどの黄色顔料が挙げられる。
【0038】
充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ケブラー繊維、タルク、シリカ、炭酸カルシウムなどやこれらの混合物が用いられる。また、これらの強化用繊維は長繊維でも短繊維でもよく、特に、長繊維のガラス繊維を用いる場合に、本発明の樹脂組成物はガラス繊維を破壊しないので好ましい。さらに、充填剤は樹脂との親和性を改善するために表面処理されたものが好ましい。充填剤は樹脂100質量部に対して5〜200質量部、好ましくは10〜100質量部である。
【0039】
金属石鹸としては、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛などの金属と、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの飽和もしくは不飽和脂肪酸の塩が用いられる。含水率、融点、粒径、脂肪酸の組成、製造方法がアルカリ金属の脂肪酸塩と金属(水)酸化物の反応による複分解法であるか脂肪酸と金属(水)酸化物の溶媒存在下もしくは不存在下に中和反応する直接法であるかによらず、また、脂肪酸か金属のいずれかが過剰であってもよい。
【0040】
上記ハイドロタルサイト類としては、天然物でも合成品でもよく、リチウムなどのアルカリ金属で変性されたものや炭酸アニオンの一部を過塩素酸で置換したものでもよい。特に、下記一般式(3)、
ZnMgAl(OH)(x+y+2)CO・nHO (3)
(式中、xは0〜3を示し、yは1〜6を示し、また、x+yは4〜6を示す。nは0〜10を示す)で示される組成のものが好ましく、結晶水の有無や表面処理の有無によらず用いることができる。また、粒径は特に限定されるものではないが、ハイドロタルサイトとしての特性を失わない範囲で小さいことが望ましい。粒径が大きいと分散性が低下して安定化効果が小さくなり、さらに、得られる樹脂組成物の機械的強度や透明性などの物性を低下させることになる。
【0041】
上記の各種配合物は、樹脂の種類や加工条件、用途に応じて配合量、品質などは適宜選択される。また、樹脂への添加方法としては、各配合物を各々別個に樹脂へ添加してヘンシェルミキサーなどで混合してから加工機へ供給する方法、樹脂以外の配合物の任意の組み合わせを予め混合物として粉体や顆粒状としたものを樹脂へ添加する方法、樹脂中へ高濃度で配合してマスターペレットとしたものを樹脂へ添加する方法、複数の供給口を有する押出機で樹脂とは別の供給口から樹脂へ添加する方法など公知の添加方法が用いられる。
【0042】
本発明の樹脂成形品は、上記樹脂組成物を成形し、耐候性が改善されたものである。かかる樹脂組成物の加工方法としては、特に制限されず、用いられる樹脂、充填剤の有無などにより公知の加工方法が適宜用いられ、例えば、射出成形、押出成形、共押出成形、ブロー成形、プレス成形、キャスト成形、ロール成形等が挙げられる。
【0043】
本発明の樹脂成形品の用途は特に制限されないが、一般の内外装材、好ましくは輸送機械の内外装材および窓枠等の建材、さらに好ましくは、過酷な環境にさらされる自動車の内外装材などの屋外光に暴露される用途などに好適に用いられ、特に好ましくは自動車の外装材である。自動車の内外装材としては、バンパー、スポイラー、サイドバイザ、カウルベントグリル、ラジエータグリル、サイドモールディング、エンドパネルガーニッシュなどの外装材や、インスツルーメントパネル、天井、ドアー、座席、トランク室などの内装材が挙げられる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。ただし、実施例により本発明はなんら制限を受けるものではない。
【0045】
〔実施例1〜2、比較例1〜4〕
エチレン−ポリプロピレン共重合樹脂(MFR=30、密度=0.90g/cm、曲げ弾性率1700MPa)100質量部、硫化亜鉛2.0質量部、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)オキシメチル]メタン0.1質量部、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.1質量部、カルシウムステアレート0.05質量部および表1記載の光安定剤(ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤:表1における配合量の単位は質量部である)を230℃で押出し加工してペレットとし、該ペレットを230℃で射出成形して厚さ2mmの試験片を得た。
【0046】
試験片の耐候性を、スガ試験機株式会社製 サンシャイン・ウェザオメータ(ブラックパネル温度63℃、水スプレー有り)により、クラック発生時間(hr)、グロス残存率(%)および色差(ΔE)により評価した。
【0047】
グロスについては、東京電色(株)製グロスメータ、モデルTC−108Dにより測定した(単位はなし)。得られた結果を下記の表1にあわせて示す。
【0048】
〔比較例5〕
下記の表1記載の配合に基づき、光安定剤を添加しない以外は、上記比較例1〜4と同様の方法で加工および試験片を作製し、耐候性評価を行った。結果を表1に合わせて示す。
【0049】
【表1】

*1:化合物 No.1:

*2:比較化合物1:

*3:比較化合物2:

*4:比較化合物3:

*5:比較化合物4:

【0050】
〔参考例1および2〕
上記実施例の硫化亜鉛を酸化チタンに置き換え、下記のように加工および評価を行った。
【0051】
エチレン−ポリプロピレン共重合樹脂(MFR=30、密度=0.90g/cm、曲げ弾性率1700MPa)100質量部、酸化チタン1.0質量部、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)オキシメチル]メタン0.05質量部、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.05質量部、カルシウムステアレート0.1質量部および表2記載の光安定剤(ヒンダードアミン化合物:表2における配合量の単位は質量部である)を250℃で押出し加工してペレットとし、該ペレットを250℃で射出成形して厚さ2mmの試験片を得た。
【0052】
試験片の耐候性を、サンシャイン・ウェザオメータ(ブラックパネル温度83℃、水スプレー有り)により、クラック発生時間(hr)およびY.I(イエローインデックス:スガ試験機製色差計にて測定)により評価した。結果を表2に合わせて示す。
【0053】
〔参考例3〕
下記表2記載の配合に基づき、光安定剤を添加せずに、上記参考例1および2の方法と同様に加工および試験片を作製し、耐候性評価を行った。結果を表2に合わせて示す。
【0054】
【表2】

【0055】
表2の参考例の結果から、硫化亜鉛系は、汎用的な酸化チタン系に比べ、特異的に耐候性が劣るということが言える。
【0056】
表1の結果から、本発明のヒンダードアミン化合物を使用した実施例1および2は、従来のヒンダードアミン化合物を使用した比較例1〜3と比べて、格段に耐候性が向上していることが分かる。また、従来良好とされてきたヒンダードアミンとベンゾエート化合物との併用系(比較例4)と同添加量(実施例2)での比較においても、本発明のヒンダードアミン化合物を使用することにより、顕著な耐候性向上効果を示しおり、さらに、実施例1との比較において、比較例1〜4の半量の添加量でこれを凌ぐ優れた耐候性を発現していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂100質量部に対して、(A)硫化亜鉛0.1〜20質量部と、
(B)下記一般式(1)、

(式中、Rは各々独立に水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアシル基または炭素原子数5〜8のシクロアルキル基を表す)で表される構造を有するヒンダードアミン化合物0.01〜20質量部を配合してなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の樹脂組成物を成形してなり、耐候性が改善されたことを特徴とする樹脂成形品。
【請求項3】
自動車外装材に使用される請求項2記載の樹脂成形品。

【公開番号】特開2009−120723(P2009−120723A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296312(P2007−296312)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】