説明

樹脂組成物及び成形体

【課題】樹脂成分に由来する分解生成物の発生量を少なくすることができる樹脂組成物及び成形体を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、活性エステル化合物と、硬化促進剤とを含む。上記硬化促進剤は、4−ジメチルアミノピリジンを含有する。本発明に係る成形体は、上記樹脂組成物がシート状に成形された成形体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を含む樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を用いた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層板及びプリント配線板等の電子部品を形成するために、様々な樹脂組成物が用いられている。
【0003】
上記樹脂組成物の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤と、シアネート基を有する化合物と、無機充填剤とを含む樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物は、硬化促進剤をさらに含むことができる。実施例では、硬化促進剤として、イミダゾール及びコバルトアセチルアセトナートが用いられている。
【0004】
下記の特許文献2には、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂と、多価シアネートエステル化合物と、硬化促進剤とを含む樹脂組成物が開示されている。実施例では、硬化促進剤として、トリフェニルホスフィンが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2007/037500号公報
【特許文献2】特開2001−172473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
樹脂組成物又は該樹脂組成物を用いた成形体を使用する際には、加熱して硬化させる工程が行われる。特許文献1〜2に記載の樹脂組成物では、硬化の際に、分解生成物が生じたり、残留している溶剤が揮発したりする。揮発した溶剤は、排気ダクトを通じて大気中に拡散する。一方で、熱硬化性樹脂及び硬化剤などの樹脂成分に由来する分解生成物は、炉内又はダクト内で滞留することがある。このため、設備が劣化したり、炉内の汚染が生じたりすることがある。
【0007】
さらに、特許文献1〜2に記載の樹脂組成物では、該樹脂組成物が穴又は凹凸を表面に有する基板上などに塗布されたときに、穴埋め性又は凹凸追従性が低く、樹脂組成物の上面の平滑性が低いことがある。さらに、仮に特許文献1〜2に記載の樹脂組成物をシート状に成形して、成形体を得た場合にも、得られた成形体の穴埋め性又は凹凸追従性が低く、樹脂組成物の上面の平滑性が低いことがある。
【0008】
本発明の目的は、樹脂成分に由来する分解生成物の発生量を少なくすることができる樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を用いた成形体を提供することである。
【0009】
本発明の限定的な目的は、凹凸を表面に有する部材に積層された場合に、表面の平滑性を高めることができる成形体を得ることを可能とする樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を用いた成形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の広い局面によれば、エポキシ樹脂と、活性エステル化合物と、硬化促進剤とを含み、上記硬化促進剤が、4−ジメチルアミノピリジンを含有する、樹脂組成物が提供される。
【0011】
本発明に係る樹脂組成物のある特定の局面では、上記エポキシ樹脂と上記活性エステル化合物と上記硬化促進剤との合計100重量%中、4−ジメチルアミノピリジンの含有量は0.005〜4重量%である。
【0012】
本発明に係る樹脂組成物の他の特定の局面では、上記活性エステル化合物と上記硬化促進剤との合計100重量%中、4−ジメチルアミノピリジンの含有量は0.05〜5重量%である。
【0013】
本発明に係る樹脂組成物の別の特定の局面では、無機充填剤がさらに含まれており、樹脂組成物に含まれている樹脂成分の合計100重量部に対して、上記無機充填剤の含有量は30〜400重量部である。
【0014】
本発明に係る樹脂組成物のさらに別の特定の局面では、無機充填剤としてシリカがさらに含まれており、上記シリカは、平均粒子径が0.1μm以上、10μm以下の第1のシリカと、平均粒子径が1nm以上、100nm未満の第2のシリカとを含有する。
【0015】
本発明に係る樹脂組成物のさらに別の特定の局面では、上記第1のシリカ100重量部に対して、上記第2のシリカの含有量は1〜15重量部である。
【0016】
上記第1,第2のシリカは、シランカップリング剤により処理されていることが好ましい。上記第1,第2のシリカの内の少なくとも一方は、エポキシシランカップリング剤により処理されていることが好ましい。
【0017】
本発明に係る成形体は、本発明に従って構成された樹脂組成物がシート状に成形された成形体である。
【0018】
本発明に係る成形体のある特定の局面では、成形体の厚さは5〜100μmである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、活性エステル化合物と、硬化促進剤として4−ジメチルアミノピリジンとを含むので、硬化時に樹脂成分に由来する分解生成物の発生量を少なくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0021】
(樹脂組成物)
本発明に係る樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、活性エステル化合物と、硬化促進剤とを含む。本発明では、上記硬化促進剤は、4−ジメチルアミノピリジンを含有する。
【0022】
本発明に係る樹脂組成物は上記組成を有するので、特に硬化促進剤として4−ジメチルアミノピリジンを含むので、硬化時に、樹脂成分に由来する分解生成物の発生量を少なくすることができる。
【0023】
例えば、樹脂組成物は、多くの場合、塗工性を高めるために溶剤を含んでいたり、原料に由来する溶剤を含んでいたりする。このため、例えば、硬化時に溶剤を揮発させて、揮発した溶剤を、排気ダクトを通じて大気中に拡散させることがある。一方で、硬化時の加熱により樹脂成分に由来して分解生成物が生じることがある。この分解生成物は、炉内又はダクト内で滞留する傾向がある。
【0024】
しかしながら、本発明では、分解生成物の発生量を少なくすることができるので、分解生成物が、炉内又はダクト内で滞留し難い。従って、設備の劣化を抑制でき、炉内の汚染を抑制できる。
【0025】
上記樹脂組成物は、無機充填剤をさらに含むことが好ましい。該無機充填剤はシリカであることが好ましい。さらに、樹脂組成物に含まれている樹脂成分の合計100重量部に対して、上記無機充填剤の含有量は30〜400重量部であることが好ましい。上記樹脂組成物がシリカを含む場合に、該シリカは、平均粒子径が0.1μm以上、10μm以下の第1のシリカと、平均粒子径が1nm以上、100nm未満の第2のシリカとを含有することが好ましい。これらの好ましい構成が備えられると、樹脂組成物及び樹脂組成物をシート状に成形した成形体が、穴又は凹凸を表面に有する部材に積層された場合に、樹脂組成物又は成形体の表面の平滑性を高めることができる。また、樹脂組成物の形状追従性を高めることができ、樹脂組成物及び樹脂組成物をシート状に成形した成形体の穴埋め性又は凹凸追従性を高めることができる。例えば、ビアホールもしくはスルーホール等の穴を表面に有する部材、又は配線回路等により凹凸を表面に有する部材に樹脂組成物又は成形体が積層された場合に、穴又は凹部に樹脂組成物又は成形体を充分に埋め込ませることができ、更に樹脂組成物又は成形体の表面の平滑性を高めることができる。さらに、樹脂組成物及び成形体の保存安定性を高めることもできる。
【0026】
第2のシリカの平均粒子径が1nm以上であると、シリカの2次凝集がそれほど多く生じないため、樹脂組成物又は成形体の埋め込み性を高めることができる。第2のシリカの平均粒子径が100nm未満であると、樹脂組成物又は成形体の埋め込み性を高めることができ、更に樹脂組成物又は成形体の表面の平滑性を高めることができる。第2のシリカの平均粒子径は、より好ましくは、3nm以上であり、50nm未満である。第2のシリカの平均粒子径は、更に好ましくは、25nm未満である。
【0027】
第1のシリカの平均粒子径が0.1μm以上であると、樹脂組成物又は成形体の埋め込み性を高めることができる。第1のシリカの平均粒子径が10μm以下であると、樹脂組成物又は成形体の表面の平滑性を高めることができる。第1のシリカの平均粒子径は、好ましくは、0.3μm以上であり、5μm未満である。
【0028】
第1のシリカ100重量部に対する第2のシリカの含有量は0.6〜30重量部であることが好ましい。第2のシリカの含有量が0.6重量部以上であると、樹脂組成物又は成形体の埋め込み性を高めることができ、更に樹脂組成物又は成形体の表面の平滑性を高めることができる。第2のシリカの含有量が30重量部以下であると、配線パターンへの埋め込み性、ビアホールもしくはスルーホール等の穴への充填性を高めることができる。また、樹脂組成物の保存安定性を向上させることができる。第1のシリカ100重量部に対する第2のシリカの含有量のより好ましい下限は1重量部、更に好ましい下限は2重量部、特に好ましい下限は2.5重量部、より好ましい上限は25重量部、より一層好ましい上限は20重量部、更に好ましい上限は15重量部、特に好ましい上限は12重量部である。
【0029】
樹脂組成物に含まれている樹脂成分の合計100重量部に対して、上記第2のシリカの含有量は0.45〜30重量部であることが好ましい。上記第2のシリカの含有量が0.45重量部以上であると、樹脂組成物又は成形体の埋め込み性をより一層高めることができ、更に樹脂組成物又は成形体の表面の平滑性をより一層高めることができる。上記第2のシリカの含有量が30重量部以下であると、ビアホールもしくはスルーホール等の穴への充填性や配線パターンへの埋め込み性をより一層高めることができる。また、樹脂組成物又は成形体の保存安定性をより一層向上させることができる。樹脂組成物に含まれている樹脂成分の合計100重量部に対して、上記第2のシリカの含有量のより好ましい下限は0.6重量部、更に好ましい下限は1重量部、更に好ましい下限は1.5重量部、最も好ましい下限は4重量部、より好ましい上限は24.5重量部、更に好ましい上限は18重量部、最も好ましい上限は13重量部である。
【0030】
なお、上記樹脂成分には、エポキシ樹脂、活性エステル化合物及び硬化促進剤と、必要に応じて配合される他の樹脂成分とが含まれる。上記樹脂成分には、第1,第2のシリカは含まれない。樹脂組成物が溶剤を含む場合には、上記樹脂成分には、溶剤は含まれない。
【0031】
[エポキシ樹脂]
上記エポキシ樹脂は、少なくとも1つのエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記エポキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0032】
上記エポキシ樹脂は、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができ、特に限定されない。上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂及びアントラセン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0033】
[硬化剤]
本発明に係る樹脂組成物は、硬化剤として活性エステル化合物を含む。
【0034】
上記活性エステル化合物は、エステル基を2個以上有することが好ましく、エステル基を3個以上有することがより好ましい。上記活性エステル化合物は、例えば、特開2002−12650号公報及び特開2004−169021号公報等に記載されている。上記活性エステル化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0035】
上記活性エステル化合物は、従来公知の方法により得ることができる。上記活性エステル化合物は、例えば、分子内に2個以上のエステル結合を有するカルボン酸と、芳香族ヒドロキシ化合物とを用いて、ショッテン・バウマン反応により得ることができる。上記分子内に2個以上のエステル結合を有するカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸及び安息香酸等が挙げられる。上記芳香族ヒドロキシ化合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0036】
上記活性エステル化合物の具体例としては、ジ(α−ナフチル)イソフタレート等が挙げられる。上記活性エステル化合物の市販品としては、DIC社製の「EXB−9451」、「EXB−9451−65T」、「EXB−9460S」及び「EXB−9460S−65T」、昭和高分子社製の「SNS−3000」及び「SNS−3100」、ジャパンエポキシレジン社製の「DC808」等が挙げられる。
【0037】
上記エポキシ樹脂100重量部に対して、上記活性エステル化合物の含有量は50〜300重量部の範囲内であることが好ましい。上記活性エステル化合物の含有量が50重量部以上であると、樹脂組成物の硬化物の誘電特性を高めることができる。
【0038】
本発明に係る樹脂組成物は、上記活性エステル化合物に加えて、該活性エステル化合物以外の他の硬化剤を含んでいてもよい。上記他の硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0039】
上記他の硬化剤としては、フェノール化合物、アミン化合物、酸無水物及びジシアンジアミド等が挙げられる。
【0040】
[硬化促進剤]
本発明に係る樹脂組成物は、硬化促進剤を含む。本発明に係る樹脂組成物では、硬化促進剤は、4−ジメチルアミノピリジンを含む。
【0041】
硬化時に樹脂成分に由来する分解生成物の発生量をより一層少なくする観点からは、上記エポキシ樹脂と上記活性エステル化合物と上記硬化促進剤との合計100重量%中、4−ジメチルアミノピリジンの含有量は0.005〜4重量%であることが好ましい。上記エポキシ樹脂と上記活性エステル化合物と上記硬化促進剤との合計100重量%中、4−ジメチルアミノピリジンの含有量のより好ましい下限は0.01重量%、より好ましい上限は1.0重量%である。
【0042】
硬化時に樹脂成分に由来する分解生成物の発生量をより一層少なくする観点からは、上記活性エステル化合物と上記硬化促進剤との合計100重量%中、4−ジメチルアミノピリジンの含有量は0.05〜5重量%であることが好ましい。上記活性エステル化合物と上記硬化促進剤との合計100重量%中、4−ジメチルアミノピリジンの含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は2.0重量%である。
【0043】
樹脂組成物及び成形体を均一に硬化させる観点からは、本発明に係る樹脂組成物は、4−ジメチルアミノピリジン以外の他の硬化促進剤を含んでもよい。該他の硬化促進剤としては、特に限定されず、イミダゾール化合物、3級アミン類、リン化合物、有機金属塩及び金属キレート化合物等が挙げられる。上記他の硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
上記イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、及び2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
【0045】
上記3級アミン類としては、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール及び1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられる。上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。上記有機金属塩としては、オクチル酸コバルト及びオクチル酸亜鉛及びナフテン酸亜鉛等が挙げられる。上記金属キレート化合物としては、銅アセチルアセトナート及びコバルトアセチルアセトナート等が挙げられる。
【0046】
硬化促進剤100重量%中、4−ジメチルアミノピリジンの含有量は0.1〜100重量%であることが好ましい。硬化促進剤100重量%中、4−ジメチルアミノピリジンの含有量のより好ましい下限は33重量%、更に好ましい下限は50重量%である。
【0047】
[充填剤]
本発明に係る樹脂組成物は、充填剤を含むことが好ましい。該充填剤としては、無機充填剤、有機充填剤及び有機無機複合充填剤等が挙げられる。なかでも、無機充填剤が好ましい。上記充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0048】
上記無機充填剤としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素等が挙げられる。なかでも、シリカが好ましく、溶融シリカがより好ましい。シリカの形状は略球状であることが好ましい。
【0049】
上記有機充填剤としては、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサゾール樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等からなる粒子状物が挙げられる。
【0050】
上記有機無機複合充填剤は、無機充填剤の表面に有機化合物が共有結合された化合物等が挙げられる。上記有機無機複合充填剤を構成する材料としては、例えばシリコン樹脂及びポリシルセスキオキサン等が挙げられる。
【0051】
上記シリカは、平均粒子径が0.1μm以上10μm以下の第1のシリカと、平均粒子径が1nm以上100nm未満の第2のシリカとを含有することが好ましい。
【0052】
平均粒子径が比較的大きい上記特定の第1のシリカと、平均粒子径が比較的小さい上記特定の第2のシリカとを組み合わせて、エポキシ樹脂と活性エステル化合物とともに用いることにより、穴又は凹凸を表面に有する部材に積層された場合に、樹脂組成物の表面の平滑性を高めることができる。また、樹脂組成物及び成形体の穴埋め性又は凹凸追従性を高めることができる。例えば、ビアホールもしくはスルーホール等の穴を表面に有する部材、又は配線回路等により凹凸を表面に有する部材に樹脂組成物又は成形体が積層された場合に、穴又は凹部に樹脂組成物又は成形体を充分に埋め込ませることができる。
【0053】
上記第1,第2のシリカの平均粒子径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒子径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定できる。
【0054】
樹脂組成物における第1,第2のシリカの分散性を高めることによって、穴埋め性又は凹凸追従性をより一層高める観点からは、第1,第2のシリカはそれぞれ、カップリング剤により処理されていることが好ましい。上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。
【0055】
樹脂組成物における第1,第2のシリカの分散性をより一層高める観点からは、上記カップリング剤は、シランカップリング剤であることが好ましい。上記シランカップリング剤としては、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。樹脂組成物における第1,第2のシリカの分散性をさらに一層高める観点からは、上記第1,第2のシリカの内の少なくとも一方は、エポキシシランカップリング剤により処理されていることが好ましく、第1のシリカがエポキシシランカップリング剤により処理されていることがより好ましい。該エポキシシランカップリング剤は、エポキシ基を有するシランカップリング剤であり、例えば、エポキシシランである。
【0056】
樹脂組成物又は成形体の表面の平滑性、並びに穴埋め性又は凹凸追従性をより一層高める観点からは、樹脂組成物に含まれている樹脂成分の合計100重量部に対して、上記充填剤の含有量(充填剤が無機充填剤である場合には、無機充填剤の含有量)は、30〜400重量部であることが好ましい。
【0057】
樹脂組成物中に上記シリカを添加する際には、粉体のままで添加してもよいし、あらかじめ溶剤中に分散したスラリー状の材料を添加してもよい。取り扱い性の観点から、スラリー状にして添加することが好ましい。
【0058】
(他の成分)
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、樹脂組成物には、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、消泡剤、増粘剤、揺変性付与剤及び上記エポキシ樹脂以外の他の樹脂等を添加してもよい。
【0059】
上記他の樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチラール樹脂、ジビニルベンジルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサゾール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂及びアクリレート樹脂等が挙げられる。
【0060】
本発明に係る樹脂組成物は、溶剤を含んでいてもよい。上記溶剤としては、アセトン、メタノール、エタノール、ブタノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、N−メチル−ピロリドン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン及び混合物であるナフサ等が挙げられる。上記溶剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0061】
溶剤を含む樹脂組成物はワニスとして用いることができる。用途に応じて溶剤の含有量を調整することにより、ワニスの粘度を調整できる。上記樹脂組成物の固形分100重量部に対して、上記溶剤の含有量は、10〜1000重量部の範囲内であることが好ましい。
【0062】
(成形体)
本発明に係る樹脂組成物をシート状に成形することにより、成形体を得ることができる。
【0063】
上記樹脂組成物をシート状に成形する方法は、特に限定されない。この方法としては、例えば、押出機を用いて、上記樹脂組成物を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、シート状に成形する押出成形法、溶剤を含む樹脂組成物をキャスティングしてシート状に成形するキャスティング成形法、又は従来公知のその他のシート成形法等が挙げられる。なかでも、薄型化を進めることができるので、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。
【0064】
成形体の取扱い性を高めたり、適度な厚みの硬化物層を形成したりする観点からは、成形体の厚みは5〜100μmの範囲内であることが好ましい。
【0065】
(樹脂組成物及び成形体の硬化物)
金属層が形成される硬化物の表面に微細な凹凸を形成するために、上記樹脂組成物又は上記成形体を予備硬化させ、半硬化した硬化物を得てもよい。適度に予備硬化させるためには、上記樹脂組成物又は上記成形体を130〜190℃で30分以上加熱し、硬化させることが好ましい。
【0066】
予備硬化温度が130℃よりも低いと、樹脂組成物及び成形体が充分に硬化されないため、粗化処理後の硬化物の表面の凹凸が大きくなる。予備硬化温度が190℃よりも高いと、樹脂組成物及び成形体の硬化反応が急速に進行しやすい。このため、硬化度が部分的に異なりやすく、粗い部分と密な部分とが形成されやすい。その結果、粗化処理後の硬化物の表面の凹凸が大きくなる。予備硬化時間が30分よりも短いと、樹脂組成物及び成形体が充分に硬化されないため、粗化処理後の硬化物の表面の凹凸が大きくなる。生産性を高めることができるので、予備硬化時間は、1時間以下であることが好ましい。
【0067】
得られた硬化物の表面に微細な凹凸を形成するために、硬化物が粗化処理される。該粗化処理される前に、硬化物が膨潤処理されることが好ましい。ただし、硬化物は、必ずしも膨潤処理されなくてもよい。
【0068】
上記膨潤処理方法としては、例えば、エチレングリコールなどを主成分とする化合物の水溶液又は有機溶媒分散溶液などにより、硬化物を処理する方法が用いられる。具体的には、上記膨潤処理は、40重量%エチレングリコール水溶液等を用いて、処理温度30〜85℃で1〜20分間、硬化物を処理することにより行なわれる。
【0069】
上記粗化処理には、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。
【0070】
上記マンガン化合物としては、過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クロム化合物としては、重クロム酸カリウム又は無水クロム酸カリウム等が挙げられる。上記過硫酸化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム又は過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0071】
上記粗化処理方法は特に限定されない。上記粗化処理方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜10分間の条件で、1回又は2回、硬化物を処理する方法が好適である。粗化処理の回数が多いと粗化効果も大きい。しかしながら、粗化処理の回数が3回を超えると、粗化効果が飽和することがあり、又は硬化物の表面の樹脂成分が必要以上に削られて、硬化物の表面にシリカ成分が脱離した形状の孔が形成されにくくなる。
【0072】
(樹脂組成物及び成形体の用途)
本発明に係る樹脂組成物及び成形体の用途は、特に限定されない。上記樹脂組成物は、例えば、多層基板のコア層又はビルドアップ層等を形成する基板用材料、接着シート、積層板、樹脂付き銅箔、銅張積層板、TAB用テープ、プリント基板、プリプレグ又はワニス等に好適に用いられる。
【0073】
本発明に係る樹脂組成物及び成形体は、例えば、多層プリント基板、部品内蔵型プリント基板などにおいて、凹凸パターン、スルーホール又はビアホールを表面に有する基板用材料に加熱及び加圧して塗布又はラミネートするために用いることができる。
【0074】
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0075】
実施例及び比較例では、以下に示す材料を用いた。
【0076】
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製「エピコート154」)
エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、日本化薬社製「RE−410S」)
【0077】
(硬化剤)
活性エステル化合物含有溶液(DIC社製「EXB−9460S−65T」、活性エステル化合物(固形分)65重量%とトルエン35重量%とを含む)
【0078】
(硬化促進剤)
DMAP(4−ジメチルアミノピリジン、和光純薬社製)
イミダゾール化合物(2−フェニル−4−メチルイミダゾール、四国化成社製「2P4MZ」)
イミダゾール化合物(日鉱マテリアルズ社製「IM1000」)
【0079】
(シリカ成分)
第1のシリカA:
シリカ(アドマテックス社製「C2」、平均粒子径0.5μm)が、エポキシシラン(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製「KBM−403」)により、シリカ100重量部に対してエポキシシラン1重量部で表面処理されたもの
【0080】
第2のシリカX:
シリカ(アドマテックス社製「SX007−MDF」、平均粒子径0.01μm)が、フェニルシラン(フェニルトリメトキシシラン、信越化学工業社製「KBM−103」)により、シリカ100重量部に対してフェニルシラン18重量部で表面処理されたもの。
【0081】
メチルエチルケトン80重量部に上記第2のシリカX20重量部を加えよく攪拌し、第2のシリカXのスラリーを調製した。
【0082】
(その他)
ブチラール(積水化学工業社製「KS−1」)
【0083】
(溶剤)
メチルエチルケトン(三協化学社製)
【0084】
(実施例1)
メチルエチルケトン80重量部に、エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製「エピコート154」)15.9重量部と、無機充填剤として第1のシリカA58.25重量部とを加え、撹拌機を用いて1200rpmで1時間撹拌した。
【0085】
次に、硬化剤として活性エステル化合物含有溶液(DIC社製「EXB−9460S−65T」)を固形分で23.7重量部をさらに加え、撹拌機を用いて1200rpmで90分間撹拌した。
【0086】
その後、硬化促進剤としてDMAP(4−ジメチルアミノピリジン、和光純薬社製)0.36重量部をさらに加え、撹拌機を用いて1200rpmで15分間撹拌し、樹脂組成物を得た。
【0087】
塗工機を用いて、ポリエチレンテレフタレート製フィルム上に樹脂組成物を塗工して、溶剤を含んだシート状の成形体を得た。さらに、この成形体を100℃のギアオーブン内で3分間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム上に厚さ50μmのシート状の成形体を得た。
【0088】
(実施例2〜8及び比較例1〜3)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び成形体を得た。なお、ブチラール(積水化学工業社製「KS−1」)を配合する場合には、シリカの添加の際に、ブチラールを添加した。無機充填剤として第2のシリカXのスラリーを配合する場合には、第1のシリカAの添加の際に、第2のシリカXのスラリーを固形分が下記表1の配合量となるように添加した。
【0089】
(評価)
(1)乾燥温度におけるアウトガス量
ポリエチレンテレフタレート製フィルム上に塗工した樹脂組成物(乾燥後、得られる厚みが50μm)のシート状の成形体を、100℃/3分(乾燥温度)で加熱したときに放出されたガスをGC−MS(JMS Q1000、日本電子社製)により成分毎に分離した。分離されたガスのマススペクトルを分析することにより、成分の帰属を実施した。また、帰属された成分について、トルエンに換算した定量を行った。
【0090】
オーブンでの加熱の際に、炉内の汚染の原因となる成分を指標化するために、定量された揮発ガス合計100重量%中の樹脂成分に由来する分解生成物(溶剤成分以外)の割合(重量%)を算出した。
【0091】
(測定条件詳細)
熱脱着装置; TurboMatrix 650、パーキンエルマー社製
サンプル加熱; 100℃10分(20mL/min)
二次脱臭; 350℃15分
スプリット; 入口20mL/min、出口35mL/min、注入量2.5%
GC−MS装置; JMS Q 1000(日本電子社製)
GCカラム; EQUIT−1(無極性)0.32min×60m×0.25μm
GC昇温; 40℃(4min)→8℃/min→300℃(7min)
He流量; 1.5mL/min
MS測定範囲; 29〜600amu(scan 500ms)
イオン化電圧; 70eV
MS温度; イオン源:230℃、インターフェース:250℃
【0092】
(2)硬化温度におけるアウトガス量
得られた成形体を100℃で3分間加熱し、乾燥された成形体を用意した。乾燥された成形体を用いて、170℃/30分で加熱(硬化温度での加熱)したときに放出されたガスをガスクロマトグラフにより成分毎に分離した。分離されたガスのマススペクトルを分析することにより、成分の帰属を実施した。また、帰属された成分について、トルエンに換算した定量を行った。
【0093】
オーブンでの加熱の際に、炉内の汚染の原因となる成分を指標化するために、定量された揮発ガス合計100重量%中の樹脂成分に由来する分解生成物(溶剤成分以外)の割合(重量%)を算出した。
【0094】
(3)ピール強度
[硬化物の作製]
得られた成形体を、ガラスエポキシ基板(FR−4、品番「CS−3665」、利昌工業社製)側となるようにセットした。成形体とガラスエポキシ基板とを、100℃に加熱した平行平板プレス機を用いて、減圧下で0.5MPaで60分間加圧加熱し、成形体の一次硬化物を含む積層体を得た。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、ガラスエポキシ基板と一次硬化物との積層体を得た。その後、一次硬化物を、下記の(a)膨潤処理をした後、下記の(b)過マンガン酸塩処理すなわち粗化処理をし、さらに下記の(c)銅めっき処理をした。
【0095】
(a)膨潤処理:
60℃の膨潤液(スウェリングディップセキュリガントP、アトテックジャパン社製)に、上記積層体を入れて、20分間揺動させた。その後、純水で洗浄した。
【0096】
(b)過マンガン酸塩処理:
75℃の過マンガン酸カリウム(コンセントレートコンパクトCP、アトテックジャパン社製)粗化水溶液に、上記積層体を入れて、20分間揺動させ、ガラスエポキシ基板上に粗化処理された硬化物を得た。得られた硬化物を、23℃の洗浄液(リダクションセキュリガントP、アトテックジャパン社製)により2分間洗浄した後、純粋でさらに洗浄した。
【0097】
(c)銅めっき処理:
次に、ガラスエポキシ基板上の粗化処理された硬化物に、無電解銅めっき及び電解銅めっき処理を以下の手順で行った。
【0098】
硬化物の表面を、55℃のアルカリクリーナ(クリーナーセキュリガント902)で5分間処理し、脱脂洗浄した。洗浄後、上記硬化物を23℃のプリディップ液(プリディップネオガントB)で2分間処理した。その後、上記硬化物を40℃のアクチベーター液(アクチベーターネオガント834)で5分間処理し、パラジウム触媒を付けた。次に、30℃の還元液(リデューサーネオガントWA)により、硬化物を5分間処理した。
【0099】
次に、上記硬化物を化学銅液(ベーシックプリントガントMSK−DK、カッパープリントガントMSK、スタビライザープリントガントMSK)に入れ、無電解めっきをめっき厚さが0.5μm程度になるまで実施した。無電解めっき後に、残留している水素ガスを除去するため、120℃の温度で30分間アニールをかけた。無電解めっきの工程までのすべての工程は、ビーカースケールで処理液を1Lとし、硬化物を揺動させながら実施した。
【0100】
次に、無電解めっき処理された硬化物に、電解めっきをめっき厚さが25μmとなるまで実施した。電気銅めっきとして硫酸銅(リデューサーCu)を用いて、0.6A/cm2の電流を流した。銅めっき処理後、硬化物を190℃で1時間加熱し、硬化させ、銅めっき層が形成された硬化物Aを得た。
【0101】
[ピール強度の測定方法]
上記銅めっき層が形成された硬化物Aの銅めっき層の表面に10mm幅に切り欠きを入れた。その後、引張試験機(商品名「オートグラフ」、島津製作所社製)を用いて、クロスヘッド速度5mm/分の条件で、銅めっき層と硬化物との接着強度を測定し、得られた測定値をピール強度とした。
【0102】
(4)めっき膨れ
上記(3)ピール強度の評価で得られた銅めっき層が形成された硬化物Aについて、めっき膨れを観察し、下記の判定基準で判定した。
【0103】
[めっき膨れの判定基準]
○:基板とめっき層との間で膨れなし
△:基板とめっき層との間の一部の領域に膨れがわずかに見られた
×:基板とめっき層との間の多くの領域に膨れが見られた
【0104】
(5)ガラス転移温度(Tg)
得られた成形体を170℃のギアオーブン内で1時間加熱した後、190℃のギアオーブン内で1時間加熱し、硬化させて、硬化物Bを得た。
【0105】
得られた上記硬化物Bを5mm×3mmの大きさに切り出した。粘弾性スペクトロレオメーター(品番「RSA−II」、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)を用いて、昇温速度5℃/分の条件で、30から250℃まで、上記硬化物Bの損失率tanδを測定し、損失率tanδが最大値になる温度(ガラス転移温度Tg)を求めた。
【0106】
(6)埋め込み性1
銅張り積層板(厚さ150μmのガラスエポキシ基板と厚さ25μmの銅箔との積層体)に、直径150μm及び深さ50μmの25個の穴を、直線上にかつ隣接する穴の中心の間隔が500μmになるように開けて、穴開き基板を得た。
【0107】
実施例及び比較例で得られた成形体(厚さ50μm)と穴開き基板とを重ねて、名機製作所製真空加圧式ラミネーター機(型番MVLP−500)を用い、ラミネート圧0.4MPaで20秒、プレス圧力0.8MPaで20秒、ラミネート及びプレスの温度90℃で加熱加圧した。常温で冷却した後、ポリエチレンテレフタレート製フィルムを剥離した。このようにして、穴開き基板上に成形体が積層されている積層体を得た。
【0108】
得られた積層体において、穴開き基板の穴がない部分に対応する成形体部分を標準として、穴開き基板の穴がある部分に対応する成形体部分の上面の凹みの程度を測定した。なお、凹凸の計測は、表面粗さ計(商品名「SJ−301」、ミツトヨ社製)により行った。
【0109】
穴開き基板の穴がある部分に対応する成形体部分25箇所中、凹みが無い箇所と、凹みがあるものの、穴の中心線上の凹みの深さが1μm以内である箇所との合計数T1を数えて、埋め込み性1を下記の判定基準で判定した。合計数T1が多いほど、穴に対する埋め込み性が優れていることを示す。
【0110】
[埋め込み性1の判定基準]
A:合計数T1が25
B:合計数T1が23〜24
C:合計数T1が20〜22
D:合計数T1が0〜19
【0111】
(7)埋め込み性2
銅張り積層板(厚さ150μmのガラスエポキシ基板と厚さ25μmの銅箔との積層体)を用意した。銅箔をエッチング処理し、L/Sが50μm/50μm及び長さが1cmである銅パターンを26本作製し、凹凸基板を得た。
【0112】
実施例及び比較例で得られた成形体(厚さ50μm)と凹凸基板とを重ねて、名機製作所製真空加圧式ラミネーター機(型番MVLP−500)を用い、ラミネート圧0.4MPaで20秒、プレス圧力0.8MPaで20秒、ラミネート及びプレスの温度90℃で加熱加圧した。常温で冷却した後、ポリエチレンテレフタレート製フィルムを剥離した。このようにして、凹凸基板上に成形体が積層されている積層体を得た。
【0113】
得られた積層体において、凹凸基板の銅パターンがある部分に対応する成形体部分を標準として、凹凸基板の銅パターン間の銅パターンがない部分に対応する成形体部分の上面の凹みの程度を測定した。なお、凹凸の計測は、表面粗さ計(商品名「SJ−301」、ミツトヨ社製)により行った。
【0114】
凹凸基板の銅パターンがない部分に対応する成形体部分25箇所中、凹みが無い箇所と、凹みがあるものの、銅パターン間の中央線上の凹みの深さが1μm以内である箇所との合計数T2を数えて、埋め込み性2を下記の判定基準で判定した。合計数T2が多いほど、凹凸に対する埋め込み性が優れていることを示す。
【0115】
[埋め込み性2の判定基準]
A:合計数T2が25
B:合計数T2が23〜24
C:合計数T2が20〜22
D:合計数T2が0〜19
【0116】
結果を下記の表1に示す。なお、下記表1では、活性エステル化合物含有溶液に含まれているトルエンに関しては、配合材料として記載することを省略した。
【0117】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂と、活性エステル化合物と、硬化促進剤とを含み、
前記硬化促進剤が、4−ジメチルアミノピリジンを含有する、樹脂組成物。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂と前記活性エステル化合物と前記硬化促進剤との合計100重量%中、4−ジメチルアミノピリジンの含有量が0.005〜4重量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記活性エステル化合物と前記硬化促進剤との合計100重量%中、4−ジメチルアミノピリジンの含有量が0.05〜5重量%である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
無機充填剤をさらに含み、
樹脂組成物に含まれている樹脂成分の合計100重量部に対して、前記無機充填剤の含有量が30〜400重量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
無機充填剤としてシリカをさらに含み、
前記シリカが、平均粒子径が0.1μm以上、10μm以下の第1のシリカと、平均粒子径が1nm以上、100nm未満の第2のシリカとを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記第1のシリカ100重量部に対して、前記第2のシリカの含有量が1〜15重量部である、請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記第1,第2のシリカが、シランカップリング剤により処理されている、請求項5又は6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記第1,第2のシリカの内の少なくとも一方が、エポキシシランカップリング剤により処理されている、請求項7に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物がシート状に成形された成形体。
【請求項10】
厚さが5〜100μmである、請求項9に記載の成形体。

【公開番号】特開2011−178857(P2011−178857A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43242(P2010−43242)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】