説明

樹脂部品の締結部構造

【課題】簡便な構成で、樹脂部品の挿入孔に熱圧入されたカラーが確実に抜止めされる樹脂部品の締結部構造を提供する。
【解決手段】クリープを生じ得る樹脂部品本体3と、樹脂部品本体に設けられた挿入孔10と、挿入孔に熱圧入されてその内部を締結部材が貫通するカラー20、30と、を備え、挿入孔の壁部は、樹脂部品本体のクリープにより、挿入孔の径方向に突出するように変形する変形部3a〜3dを生じ得て、カラーは、大径部21、31と大径部に連続した小径部22、32、33とを有し、大径部は、挿入孔の壁部に圧着して装着され、小径部は、樹脂部品本体のクリープによる変形部の発生を許容し、カラーは、変形部により挿入孔から抜け止めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部品の締結部構造に関し、特にカラーが樹脂部品の挿入孔に熱圧入された樹脂部品の締結部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の運輸機械の分野において、金属部品を用いていた構成部分に対して軽量で成形が容易な樹脂部品を置換して適用し、全体構成の軽量化を図ると共に形状設計の自由度を向上せんとする取り組みが多々見られるようになってきている。特に最近は、エンジニアリングプラスチックに関する研究開発が加速度的になされてきており、その強度や耐環境性等における材質特性の向上はめざましく、かかる材料置換の動きは急である。
【0003】
とはいえ、樹脂部品においては、その剛性や強度に一定の限界があるため、樹脂の剛性や強度を超える高耐力を要求される部分には金属部品を組み合わせて適用する必要がある。このように樹脂部品に金属部品を部分的に組み合わせて適用する場合には、部品全体の信頼性を確保すべく、樹脂部品に対して金属部品を強固かつ確実に装着することが極めて重要である。
【0004】
かかる状況を鑑み、樹脂部品に金属部品を収容するための凹部や挿入孔を形成しておき、壁面に微細な複数の溝からなるローレット加工部や、鍔部及び溝部を適宜組み合わせて形成した凹凸部を有する金属部品を、樹脂部品の凹部や挿入孔に熱圧入してその圧着力を向上せんとする提案がなされている(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開平8−300393号公報
【特許文献2】特開平11−156944号公報
【特許文献3】特開2002−1824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案されるものは、樹脂射出成形品の収容穴内に円柱状の金属部品を熱圧入する構成において、円柱状の金属部品の表面に微細な複数の溝からなるローレット加工部を設けて、熱圧入時に溶融した樹脂をローレット加工部の微細な複数の溝に入り込ませることにより、収容穴内に熱圧入された金属部品をより強固に保持しようという構成に過ぎない。つまり、かかる構成であると、ローレット加工部の微細な複数の溝に入り込み固着した樹脂が、金属部品の抜止めに機能しているに過ぎず、その抜止め耐力には一定の限界がある。
【0006】
また、特許文献2で提案されるものは、サーモスタットのサーモケース等の樹脂部品の挿入孔内に円筒状の金属部品を熱圧入する構成において、円筒状の金属部品の表面に微細な複数の溝からなるローレット加工部を設けると共に複数の溝状凹部を設けて、熱圧入時に溶融した樹脂をローレット加工部の微細な複数の溝に入り込ませると共に複数の溝状凹部にも入り込ませ、収容穴内に熱圧入された金属部品をより強固に保持しようという構成である。かかる構成であると、確かに特許文献1で提案される構成よりも挿入孔内に熱圧入された金属部品を一層強固に保持できるが、ローレット加工部に加えて複数の溝状凹部を形成するのは煩雑であり、製造工程やコストの面からは改善の余地がある。
【0007】
また、特許文献3で提案されるものは、樹脂成形品の挿入孔内に階段円筒状の金属部品を熱圧入する構成において、階段円筒状の金属部品の各凹部の表面に微細な複数の溝からなるローレット加工部を設けると共に各凹部を区画する複数の鍔部を設けて、熱圧入時に溶融した樹脂をローレット加工部の微細な複数の溝に入り込ませると共に複数の鍔部を挿入孔の壁部に侵入させ、収容穴内に熱圧入された金属部品をより強固に保持しようという構成である。かかる構成であると、確かに特許文献1及び2で提案される構成よりも挿入孔内に熱圧入された金属部品を一層強固に保持できるが、ローレット加工部に加えて複数の鍔部を形成しつつ全体で階段状にするのは非常に煩雑であり、製造工程やコストの面からは一層の改善の余地がある。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、より簡便な構成で、樹脂部品の挿入孔に熱圧入されたカラーが確実に抜止めされ得る樹脂部品の締結部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成すべく、本発明は、クリープを生じ得る樹脂部品本体と、前記樹脂部品本体に設けられた挿入孔と、前記挿入孔に熱圧入されてその内部を締結部材が貫通するカラーと、を備えた樹脂部品の締結部構造において、前記挿入孔の壁部は、前記樹脂部品本体の前記クリープにより、前記挿入孔の径方向に突出するように変形する変形部を生じ得て、前記カラーは、大径部と前記大径部に連続した小径部とを有し、前記大径部は、前記挿入孔の前記壁部に圧着して装着され、前記小径部は、前記樹脂部品本体の前記クリープによる前記変形部の発生を許容し、前記カラーは、前記変形部により前記挿入孔から抜け止めされることを特徴とする。
【0010】
なお、前記樹脂部品本体は、吸気マニホールド1のシリンダヘッド取付け端部3に相当し、前記カラーの大径部は、カラー本体部21、31に相当する。
【0011】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記小径部は、前記大径部から連続し径が漸減するテーパ部であることを第2の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第2の特徴に加えて、前記小径部は、更に前記テーパ部から連続し軸方向外方に延在する小円筒部を有することを第3の特徴とする。
【0013】
また本発明は、第2又は第3の特徴に加えて、前記挿入孔の一端部は、前記大径部が前記テーパ部へと連なる境界線又はその近傍を始点として径が漸増するテーパ部を有することを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、樹脂部品本体に設けられた挿入孔の壁部は、樹脂部品本体のクリープにより、挿入孔の径方向に突出するように変形する変形部を生じ得て、カラーは、大径部と大径部に連続した小径部とを有し、大径部は、挿入孔の壁部に圧着して装着され、小径部は、樹脂部品本体のクリープによる変形部の発生を許容し、カラーは、変形部により挿入孔から抜け止めされるので、より簡便な構成で、樹脂部品の挿入孔に熱圧入されたカラーを確実に抜止めすることができる。
【0015】
本発明の第2の特徴によれば、カラーの小径部は、カラーの大径部から連続し径が漸減するテーパ部であるため、微細な複数の溝からなるローレット加工部や、鍔部や溝部を適宜形成した凹凸部を設けることなく、単純な製造工程で製造コスト押さえながら樹脂部品の挿入孔に熱圧入されたカラーを確実に抜止めすることができる。
【0016】
本発明の第3の特徴によれば、カラーの小径部は、更にカラーのテーパ部から連続し軸方向外方に延在する小円筒部を有するものであるため、カラーと挿入孔の壁部との間の空間を所望に狭くできて、樹脂部品本体のクリープによる変形部の抜止め効果を増大でき、樹脂部品の挿入孔に熱圧入されたカラーをより確実に抜止めすることができる。
【0017】
本発明の第4の特徴によれば、樹脂部品本体に設けられた挿入孔の一端部は、カラーの大径部がテーパ部へと連なる境界線又はその近傍を始点として径が漸増するテーパ部を有するものであるため、樹脂部品本体に設けられた挿入孔が、カラーの挿入性を向上するためにテーパ部を有する場合であっても、樹脂部品本体のクリープによる変形部を確実にカラーのテーパ部や小円筒部に及ぼすことができ、樹脂部品の挿入孔に熱圧入されたカラーを確実に抜止めすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における樹脂部品の締結部構造につき詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態における樹脂部品である車両用吸気マニホールドの側面図であり、図2は、図1のX−X線による拡大断面図である。また、図3は、本実施形態における吸気マニホールドの挿入孔に挿入されるカラーの部分断面図であり、図4は、本実施形態における変形例のカラーの部分断面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態における樹脂部品としては、車両用吸気マニホールド1を例に挙げて説明する。もちろん、かかる樹脂部品は、吸気マニホールドに限定されるものではなく、詳細は後述するカラーの挿入孔を有する締結部を備えたものであれば他の構造体であってもよい。また、樹脂材料の種類としては、仕様に応じて、ポリアミド等のエンジニアリングプラスティックの他、樹脂に繊維材を混合した複合材料も使用可能である。
【0021】
かかる車両用吸気マニホールド1においては、図示を省略するスロットルボディがスロットルボディ取付け端部2に固定され、シリンダヘッド取付け端部3が図示を省略するエンジンのシリンダヘッドに固定される。かかる構成において、スロットルボディ取付け端部2から流入された空気は、吸気マニホールド1の内部を流速や圧力が調節されながら通過して、シリンダヘッド取付け端部3からシリンダヘッドへと流入される。ここにおいて、吸気マニホールド1は、各々が樹脂製の成形品である第1接合部材4、第2接合部材5及び第3接合部材6からなる3ピース構造であり、第1接合部材4及び第2接合部材5、並びに第1接合部材4及び第3接合部材6が、互いに接合されて一体化されている。もちろん吸気マニホールド1は、このような3ピース構造に限定されるものではなく、吸気マニホールドとしての機能を発揮する限り、他の接合構造を採用してもよい。
【0022】
ここで、吸気マニホールド1のシリンダヘッド取付け端部3には、吸気マニホールド1をシリンダヘッドに対して図示しないボルト等の締結部材を、詳細は後述するカラーを介して挿通して固定するために、貫通した挿入孔10が設けられる。かかる挿入孔10は、シリンダヘッド取付け端部3に設けられることに限定されるものではなく、スロットルボディ取付け端部2においても同様な構成が適用されてもよい。
【0023】
図2に示すように、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10は、その一端部において、カラーを簡便に挿入するために挿入孔10の径が漸増して拡開したテーパ部11が設けられる。より詳しくは、テーパ部11は、挿入孔10の一端部において、境界線12から挿入孔10の径が漸増して拡開していく形状を有する。かかる境界線12は、挿入孔10の壁部がテーパ部11になだらかに変化するように、挿入孔10の壁部とテーパ部11との間に所定の曲率を有するR形状部が設けられることを排除するものではない。このようにR形状部が設けられた場合には、境界線12は仮想的なものとなり、挿入孔10の壁部とテーパ部11とが仮想的に交わる位置が境界線12の位置となる。なお、図中、挿入孔10のシリンダヘッド側にテーパ部11が設けられているが、もちろんこれに限定されるものではなく、締結部材等とのかね合いを考慮して、シリンダヘッドから遠い側にテーパ部11を設けることもできる。また、かかるテーパ部11は、カラーを簡便に挿入するためのものであり、作業治具等とのかね合いでカラーの挿入性が確保できるのであれば、必ずしも設ける必要はない。
【0024】
図3に示すように、かかるシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に挿入されるカラー20は、金属製の円筒状部材であり、その中央部には円筒部であるカラー本体部21を有し、その両端部にはカラー本体部21から連続しかつ外径が漸減するテーパ部22を有する。より詳しくは、カラー本体部21は、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に対して所定の圧入代を有する外径を有し、テーパ部22は、境界線23からカラー本体部21の外径よりも径が漸減していく形状を有する。また、カラー20の内部には、カラー20を貫通する挿通孔24が設けられており、吸気マニホールド1をシリンダヘッドに対して固定するための締結部材は、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に挿入されたカラー20の挿通孔24に挿通された後シリンダヘッドに対して締め込まれ、吸気マニホールド1をシリンダヘッドに対して締結固定する。かかるカラー20は、鉄製のパイプ材を加工して用いてもよいし、鉄板材を丸めて接合し円筒状にするなどして用いてもよい。なお、境界線23は、カラー本体部21がテーパ部22になだらかに変化するように、カラー本体部21とテーパ部22との間に所定の曲率を有するR形状部が設けられることを排除するものではない。このようにR形状部が設けられた場合には、境界線23は仮想的なものとなり、カラー本体部21とテーパ部22とが仮想的に交わる位置が境界線23の位置となる。
【0025】
シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に挿入されるカラーの変形例としては、図4に示す構造のものが挙げられる。
【0026】
図4に示すように、かかるシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に挿入される変形例のカラー30は、図3に示すカラー20に対して、その両端部にカラー本体部よりも小径の小円筒部が付加的に設けられていることが相違し、他の構造は同様である。つまり、カラー30も、金属製の円筒状部材であり、その中央部には大径の円筒部であるカラー本体部31を有し、その両端部に向けカラー本体部31から連続しかつ外径が漸減するテーパ部32を有し、更にその両端部においてテーパ部32から連続しかつ外径がカラー本体部31の外径よりも小さい小円筒部33を有する。より詳しくは、カラー本体部31は、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に対して所定の圧入代を有する外径を有し、テーパ部32は、境界線34からカラー本体部31の外径よりも径が漸減していく形状を有し、小円筒部33は、境界線35からカラー本体部31の外径よりも小さい一定の外径を維持する形状を有する。また、カラー30の内部にも、カラー30を貫通する挿通孔36が設けられており、吸気マニホールド1をシリンダヘッドに対して固定するための締結部材は、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に挿入されたカラー30の挿通孔36に挿通された後シリンダヘッドに対して締め込まれ、吸気マニホールド1をシリンダヘッドに対して締結固定する。かかるカラー30も、鉄製のパイプ材を加工して用いてもよいし、鉄板材を丸めて接合し円筒状にするなどして用いてもよい。なお、境界線34は、カラー本体部31がテーパ部32になだらかに変化するように、カラー本体部31とテーパ部32との間に所定の曲率を有するR形状部が設けられることを排除するものではない。このようにR形状部が設けられた場合には、境界線34は仮想的なものとなり、カラー本体部31とテーパ部32とが仮想的に交わる位置が境界線34の位置となる。かかる事情は、境界線35においても、テーパ部32と小円筒部33との間で同様である。
【0027】
かかるカラー20、30が、吸気マニホールド1のシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に挿入された構成が、吸気マニホールド1、つまり樹脂部品の締結部構造となる。
【0028】
次に、本実施形態における樹脂部品の締結部構造の作用につき、まず図3に示すカラー20から、図5及び6を参照して詳細に説明する。
【0029】
図5は、図3に示すカラー20が吸気マニホールド1のシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に挿入された状態を示す断面図であり、図6は、図5に示す状態から吸気マニホールド1のシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10周囲でのクリープに起因して変形部が形成された状態を示す断面図である。
【0030】
図5に示すように、カラー20は、テーパ部22を有するいずれかの端部を、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10のテーパ部11を有する端部に対向させた後、テーパ部11を有する端部から挿入孔10の壁部に沿って挿入されていき、挿入孔10内にその全体が収容された時点で挿入完了となる。ここで、カラー20は、熱や高周波が印加されて高温とされており、その高温状態を維持しかつ所定の圧入代でもって、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に熱圧入される。かかる挿入完了状態では、カラー20が、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10の壁部に圧着されており、挿入孔10側から受ける緊縛力は、主としてカラー本体部21の部分に印加されている。なお、かかる挿入完了状態においては、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10の径が漸増して拡開したテーパ部11が開始する境界線12の位置とカラー20のカラー本体部21の径が漸減していくテーパ部22が開始する境界線23の位置とは、実質的に公差範囲内で一致している。ここで、境界線12の位置と境界線23の位置とが公差範囲内で一致するとは、詳細は後述するカラー20の抜止め特性を考慮して、境界線12の位置が境界線23の位置と一致する、又は境界線12の位置が境界線23の位置よりも挿入孔10の外方近傍にばらつくように設定されていることをいう。また、かかる挿入完了時には、カラー20の両端部とそれらに対応するシリンダヘッド取付け端部3の両端部とは、各々面位置になっている。
【0031】
図5に示すようなカラー20がシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に対して熱圧入されたカラー20の挿入完了状態においては、カラー本体部21に対しては挿入孔10の壁部を通じて緊縛力が働いているわけであるが、このことはシリンダヘッド取付け端部3に対しては挿入孔10の壁部から圧縮力が働いていることを意味する。そして、このようにシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10にカラー20が挿入された状態で、つまりシリンダヘッド取付け端部3が挿入孔10の壁部から圧縮力を受けた状態で、吸気マニホールド1は完成品として車両に装着されて経時的な使用をなされる。そうすると、その経時的な変化により、リンダヘッド取付け端部3の挿入孔10の周囲にはクリープによる変形が生ずることになる。
【0032】
このようなクリープによるリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10周囲の変形の状態を図6に示す。図6に示すように、リンダヘッド取付け端部3の挿入孔10の周囲にはクリープによる変形が生じ、カラー20のテーパ部22に向かって上下の変形部3a、3bが形成される。つまり、変形部3a、3bは、挿入孔10の壁部とカラー20のテーパ部22との間の空間に突出して延在するもので、カラー20がテーパ部22を有するが故にその形成が許容されるものである。
【0033】
図6中で上方の変形部3aは、カラー20の挿入完了状態では、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10の径が漸増して拡開したテーパ部11が開始する境界線12の位置とカラー20のカラー本体部21の径が漸減していくテーパ部22が開始する境界線23の位置とが、実質的に公差範囲内で一致しているため、実質的にシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10の壁部からテーパ部11が開始する境界線12よりも上方で、カラー20のテーパ部22に沿うように変形して形成されるもので、カラー20のテーパ部22を押圧する緊縛力を与える。かかる状態で、カラー20がその上方に抜けるような荷重を受けたとすれば、カラー本体部21及びテーパ部22が上方に移動して挿入孔10から抜けようとするが、対応して挿入孔10周囲の変形部3aは、剪断方向の応力を受けて変形せんとする。このことはカラー本体部21及びテーパ部22が、変形部3aから図中下方の抵抗力を受けることを意味し、カラー20は、挿入孔10の壁部やテーパ部11から受ける緊縛力に加えて変形部3aから図中下方の剪断抵抗力を受けて、挿入孔10に対して抜止めされる。ここで、変形部3aの変形量は、挿入孔10の上方は径が拡開したテーパ部11に連絡するため、カラー20がテーパ部22を有することとも相まって、挿入孔10のテーパ部11とカラー20のテーパ部22との距離が長くなることをも考慮し、テーパ部11とカラー20との間の空間をカラー20の抜止めに必要な所定のレベルで埋めるように設定される。
【0034】
一方で、図6中で下方の変形部3bは、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10下方にはテーパ部が設けられていないため、カラー20の挿入完了状態では、単にカラー20のテーパ部22に沿うように変形して形成されて、カラー20のテーパ部22を押圧する緊縛力を与える。かかる状態で、カラー20がその下方に抜けるような荷重を受けたとすれば、カラー本体部21及びテーパ部22が下方に移動して挿入孔10から抜けようとするが、対応して挿入孔10周囲の変形部3bは、剪断方向の応力を受けて変形せんとする。このことはカラー本体部21及びテーパ部22が、変形部3bから図中上方の抵抗力を受けることを意味し、カラー20は、挿入孔10の壁部やテーパ部11から受ける緊縛力に加えて変形部3bから図中上方の剪断抵抗力を受けて、挿入孔10に対して抜止めされる。ここで、変形部3bの変形量は、挿入孔10下方にはテーパ部が設けられていないため、挿入孔10の壁部とカラー20との間の空間をカラー20の抜止めに必要な所定のレベルで埋めるように設定すれば足りる。また、変形部3bにおける挿入孔10とカラー20との間の空間は、上方の変形部3aのものに比べて狭いため、カラー20が、変形部3bから受ける剪断抵抗力は、上方の変形部3aから受けるものと比べて大きな値となる。
【0035】
次に、本実施形態における樹脂部品の締結部構造の作用を、図4に示す変形例のカラー30につき、図7及び8を参照して詳細に説明する。
【0036】
図7は、図4に示すカラー30が吸気マニホールド1のシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に挿入された状態を示す断面図であり、図8は、図7に示す状態から吸気マニホールド1のシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10周囲でのクリープに起因して変形部が形成された状態を示す断面図である。
【0037】
図7に示すように、カラー30は、テーパ部32及び小円筒部33を有するいずれかの端部を、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10のテーパ部11を有する端部に対向させた後、テーパ部11を有する端部から挿入孔10の壁部に沿って挿入されていき、挿入孔10内にその全体が収容された時点で挿入完了となる。ここで、カラー30は、熱や高周波が印加されて高温とされ、所定の圧入代でもって、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に熱圧入されることは、カラー20と同様である。かかる挿入完了状態では、カラー30が、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10の壁部に圧着され、挿入孔10側から受ける緊縛力は、主としてカラー本体部31の部分に印加されている。なお、かかる挿入完了状態では、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10の径が漸増して拡開したテーパ部11が開始する境界線12の位置とカラー30のカラー本体部31の径が漸減していくテーパ部32が開始する境界線34の位置とは、実質的に公差範囲内で一致しており、その公差の設定についても、カラー20におけるものと同様である。また、挿入完了時において、カラー30の両端部がシリンダヘッド取付け端部3の両端部と面位置になることも、カラー20における場合と同様である。
【0038】
図7に示すようなカラー30がシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10に対して熱圧入されたカラー30の挿入完了状態においては、カラー本体部31に対しては挿入孔10の壁部を通じて緊縛力が働いているわけであるが、このことはシリンダヘッド取付け端部3に対しては挿入孔10の壁部から圧縮力が働いていることを意味し、経時的な変化により、リンダヘッド取付け端部3の挿入孔10の周囲にはクリープによる変形が生ずることも、カラー20における場合と同様である。
【0039】
このようなクリープによるリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10周囲の変形の状態を図8に示す。図8に示すように、リンダヘッド取付け端部3の挿入孔10周囲にはクリープによる変形が生じ、カラー30のテーパ部32及び小円筒部33に向かって上下の変形部3c、3dが形成される。つまり、変形部3c、3dは、挿入孔10の壁部とカラー30のテーパ部32及び小円筒部33との間の空間に突出して延在するもので、カラー30がテーパ部32及び小円筒部33を有するが故にその形成が許容されるものである。
【0040】
図8中で上方の変形部3cは、カラー30の挿入完了状態では、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10の径が漸増して拡開したテーパ部11が開始する境界線12の位置とカラー30のカラー本体部31の径が漸減していくテーパ部32が開始する境界線34の位置とが、実質的に公差範囲内で一致しているため、実質的にシリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10の壁部からテーパ部11が開始する境界線12よりも上方で、カラー30のテーパ部32に沿い、更にテーパ部32に連続する小円筒部33にも沿うように変形して形成されるもので、カラー30のテーパ部32及び小円筒部33を押圧する緊縛力を与える。かかる状態で、カラー30がその上方に抜けるような荷重を受けたとすれば、カラー本体部31及びテーパ部32が上方に移動して挿入孔10から抜けようとするが、対応して挿入孔10周囲の変形部3cは、剪断方向の応力を受けて変形せんとする。このことはカラー本体部31及びテーパ部32が、変形部3cから図中下方の抵抗力を受けることを意味し、カラー30は、挿入孔10の壁部やテーパ部11から受ける緊縛力に加えて変形部3cから図中下方の剪断抵抗力を受けて、挿入孔10に対して抜止めされる。
【0041】
ここで、変形部3cの変形量は、挿入孔10の上方は径が拡開したテーパ部11に連絡し、カラー30がテーパ部32を有するため、挿入孔10のテーパ部11とカラー30のテーパ部32との距離が長くなることをも考慮して設定されることは、カラー20における場合と同様である。しかし、カラー30にはテーパ部32に加えて小円筒部33が設けられているため、カラー30の上端部では対応して挿入孔10のテーパ部11との距離が短くなっており、このことをも考慮して、変形部3cの変形量は、テーパ部11とカラー30との間の空間をカラー30の抜止めに必要な所定のレベルで埋めるように設定される。もちろん、カラー30の変形部3cの変形量をカラー20の変形部3aの変形量と同量に設定した場合には、挿入孔10のテーパ部11とカラー30との間の空間が小円筒部33が設けられている分カラー20におけるものよりも狭いため、カラー30のテーパ部32及び小円筒部33が押圧される緊縛力が大きくなって、カラー30が変形部3cから受ける剪断抵抗力は大きくなり、挿入孔10に対してより強固に抜止めされる。
【0042】
一方で、図8中で下方の変形部3dは、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10下方にはテーパ部が設けられていないため、カラー30の挿入完了状態では、単にカラー30のテーパ部32に沿うことはカラー20における場合と同様であるが、更に小円筒部33が設けられているため小円筒部33にも沿うように変形して形成され、カラー30のテーパ部32及び小円筒部33を押圧する緊縛力を与える。かかる状態で、カラー30がその下方に抜けるような荷重を受けたとすれば、カラー本体部31及びテーパ部32が下方に移動して挿入孔10から抜けようとするが、対応して挿入孔10周囲の変形部3dは、剪断方向の応力を受けて変形せんとする。このことはカラー本体部31及びテーパ部32が、変形部3dから図中上方の抵抗力を受けることを意味し、カラー30は、挿入孔10の壁部やテーパ部11から受ける緊縛力に加えて変形部3dから図中上方の剪断抵抗力を受けて、挿入孔10に対して抜止めされる。
【0043】
ここで、変形部3dの変形量は、挿入孔10下方にはテーパ部が設けられていないため、挿入孔10の壁部とカラー30との間の空間をカラー30の抜止めに必要な所定のレベルで埋めるように設定すれば足りる。また、変形部3dにおける挿入孔10とカラー30との間の空間は、上方の変形部3cのものに比べて狭いため、カラー30が、変形部3dから受ける剪断抵抗力は、上方の変形部3cから受けるものと比べて大きな値となる。また、もちろん、カラー30の変形部3dの変形量をカラー20の変形部3bの変形量と同量に設定した場合には、挿入孔10とカラー30との間の空間が小円筒部33が設けられている分カラー20におけるものよりも狭いため、カラー30のテーパ部32及び小円筒部33が押圧される緊縛力が大きくなって、カラー30が変形部3dから受ける剪断抵抗力は大きくなり、挿入孔10に対してより強固に抜止めされる。
【0044】
次に、本実施形態における樹脂部品の締結部構造の抜止め特性につき、主として図10を参照して詳細に説明する。ここでは、以上説明してきたカラー20、30に加え、比較例として図9に示すカラー40をも用いた。
【0045】
図9は、本実施形態における比較例のカラー40の部分断面図であり、図10は、本実施形態における締結部構造の抜止め荷重の特性図である。
【0046】
図9に示すように、比較例のカラー40は、鉄等の金属製の円筒状部材であり、その中央部には円筒部であるカラー本体部41を有するが、その両端部にはテーパ部は設けられておらず、単に面取り部Cが設けられている。また、カラー40の内部には、カラー40を貫通する挿通孔42が設けられている。
【0047】
本実施形態における樹脂部品の締結部構造の抜止め特性を測定するに際しては、図1に示すシリンダヘッド取付け端部3を有する構成であって、図2に示す挿入孔10を備えた車両用吸気マニホールド1を用意した。また、吸気マニホールド1に挿入するカラーとしては、図3に示すカラー20、図4に示すカラー30及び比較例として図9に示すカラー40を各々用意した。なお、吸気マニホールド1は、ポリアミド製のものを用い、カラー20、30、40は、鉄製のパイプ材を各々の形状に加工したものを用いた。
【0048】
次に、かかる構成のカラー20、30、40を、各々図5等に示すように、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10のテーパ部11を有する端部から挿入孔10の壁部に沿って熱圧入し、挿入孔10内にその全体を収容した。かかる熱圧入時には、カラー20、30、40は、所定温度に加熱され高温状態が等しく維持されており、挿入孔10への圧入代も等しく設定されているが、その具体的な値は、熱圧入を実効たらしめる所定値に設定されている。また、カラー20、30は、挿入孔10のテーパ部11とカラー20、30のテーパ部21、31とが前述した所定の公差範囲内に設定されている。また、かかる挿入完了時には、カラー20、30、40の両端部とそれらに対応するシリンダヘッド取付け端部3の両端部とは各々面位置になっている。
【0049】
次に、このようにカラー20、30を挿入完了した状態の吸気マニホールド1を、各々恒温槽に入れて、図6等に示すクリープによる変形部3a等が形成されるまで、各々等しい時間である所定時間を経過させた。また、カラー40については、テーパ部22、32や小円筒部33が設けられておらず、実質カラー本体部41が挿入孔10の壁部に密着しているため、クリープによる変形部は効果的に形成されないものであるが、カラー20、30を恒温槽に入れた時間に等しい時間、恒温槽に入れたものである。
【0050】
そして、このように恒温槽で所定時間経過されてクリープによる変形部3a等が形成されたカラー20、30に対して、吸気マニホールド1のシリンダヘッド取付け端部3を把持して固定した状態で、図6等で図の上方に抜けるように荷重を印加した。ここで、図6等で図の上方に抜けるように荷重を印加したのは、シリンダヘッド取付け端部3の挿入孔10にテーパ部11が形成されている上方部が、下方部に比べて挿入孔10とカラー20、30との間の空間が大きいため、その空間に変形部3a等が占める割合が低く、つまり変形部3a等による抜止めに効果を発する剪断抵抗力が小さく、より低い荷重でカラー20、30が挿入孔10より脱落すると考えたためである。また、カラー40については、クリープによる変形部は効果的に生じてはいないが、やはりカラー20、30のものと等しい時間を恒温槽で経過させたものを用いて、吸気マニホールド1のシリンダヘッド取付け端部3を把持して固定した状態で、同様に荷重を印加した。
【0051】
このように恒温槽で所定時間経過されたカラー20、30、40に対して、吸気マニホールド1のシリンダヘッド取付け端部3を把持して固定した状態で、図6等で図の上方に抜けるように荷重を印加した際に、カラー20、30、40が挿入孔10から抜けて脱落した荷重Fを測定し、その結果を図10に示す。ここで、クリープに起因する変形部3a等の効果を見るために、カラー20、30については、挿入孔10のテーパ部11が開始する境界線12から挿入孔10の上端部までに変形部3a等が存在する変形部長さM1、M2を所定範囲で変化するように複数のテストピースを設定した。具体的には、図3、4に示すカラー20、30の全長L1(7.9mm)やテーパ部22、32の長さL2(1.9mm)は一定にして、カラー20、30のテーパ部22、32のテーパ角Aやカラー30の小円筒部33の長さL3を変化させたテストピースを複数個作成し、各々についてカラー20、30が挿入孔10から抜けて脱落する荷重Fを測定した。また、カラー40については、全長L1は、カラー20、30のものと等しく設定し、面取り部Cの面取り長さは1mmと一定にしたまま、面取り角Cを変化させた。なお、カラー20、30、40のその他の寸法は、外径10mm、挿通孔24、36、42の直径7mmの一定値とした。
【0052】
図10の特性ラインaに示すように、カラー20が挿入孔10から抜けて脱落した荷重Fは、変形部長さM1が0.45〜1.0mm程度の範囲内で230〜250N程度となった。また、図10の特性ラインbに示すように、カラー30が挿入孔10から抜けて脱落した荷重Fは、変形部長さM2が0.45〜1.3mm程度の範囲内で300〜450N程度となった。かかる値は抜止めの耐力荷重としては、実用上十分である。また、挿入孔10周囲にクリープが発生しているときには、挿入孔10自体も長孔化し、その壁部とカラー本体部21、31との圧着性は低下して緊縛力が減少しているが、かかる緊縛力の減少をも補い得ているものである。なお、カラー30の脱落荷重Fがカラー20の脱落荷重Fよりも大きく、かつその増加する傾きが大きいのは、カラー30はカラー20にない小円筒部33を備えており、その小円筒部33の分、挿入孔10のテーパ部11とカラー30との間の空間が狭く、対応して変形部3cがカラー30に与える剪断抵抗力が大きく、変形部長さM2が増えるに従ってその傾きが大きなものとなるためであると考えられる。また、特性ラインa、bは、変形部長さがゼロ、つまりクリープによる変形が生じていない状態にまで外挿すると、カラー20、30が挿入孔10から抜けて脱落する荷重Fが225N程度となるが、この値は、挿入孔10が変形しておらずかつ挿入孔10の壁部がカラー本体部21、31に圧着している初期状態でのカラー20、30が挿入孔10から抜けて脱落する荷重に相当していた。また、特性aと特性bとを平均し、外挿した特性を参考までに図10のラインcに示す。
【0053】
一方で、図10の特性dに示すように、カラー40が挿入孔10から抜けて脱落した荷重Fは、挿入孔10の壁部がカラー40の面取り部Cで多少変形している部分を変形部長さと見ても、変形部長さが極めて小さい0.1〜0.3mm程度の範囲内で50〜70N程度となり、実用上十分な値とはならなかった。これは、実質的に変形部が生じていない状態で荷重Fが印加されると、カラー40は、挿入孔10自体も長孔化に伴う緊縛力の低下とも相まって、挿入孔10内で早期に滑りが発生し、抜止めの抵抗力が低くなったものと考えられる。
【0054】
図10の特性a〜dから理解できるように、カラー本体部21に加えてテーパ部22を有するカラー20は、挿入孔10の壁部やテーパ部11から受ける緊縛力に加えて変形部3aから図中下方の剪断抵抗力を受けて、挿入孔10に対して効果的に抜止めされることができ、カラー本体部31に加えてテーパ部32及び小円筒部33を有するカラー30は、挿入孔10の壁部やテーパ部11から受ける緊縛力に加えて変形部3cから図中下方の剪断抵抗力を受けて、挿入孔10に対して抜止めされることができる。
【0055】
なお、本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本実施形態の樹脂部品の締結部構造によれば、単純な製造工程で製造コスト押さえながら、樹脂部品の挿入孔に熱圧入されたカラーを確実に抜止めすることができるものであり、その汎用普遍的な性格から広範に樹脂部品の締結部構造に適用され得るものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態における樹脂部品である車両用吸気マニホールドの側面図である。
【図2】図1のX−X線による拡大断面図である。
【図3】本実施形態における吸気マニホールドの挿入孔に挿入されるカラーの部分断面図である。
【図4】本実施形態における変形例のカラーの部分断面図である。
【図5】図3に示すカラーが吸気マニホールドの挿入孔に挿入された状態を示す断面図である。
【図6】図5に示す状態から吸気マニホールドの挿入孔周囲でのクリープに起因して変形部が形成された状態を示す断面図である。
【図7】図4に示すカラーが吸気マニホールドの挿入孔に挿入された状態を示す断面図である。
【図8】図7に示す状態から吸気マニホールドの挿入孔周囲でのクリープに起因して変形部が形成された状態を示す断面図である。
【図9】本実施形態における比較例カラーの部分断面図である。
【図10】本実施形態における締結部構造の抜止め荷重の特性図である。
【符号の説明】
【0058】
1………車両用吸気マニホールド
2………スロットルボディ取付け端部
3………シリンダヘッド取付け端部
3a……変形部
3b……変形部
3c……変形部
3d……変形部
4………第1接合部材
5………第2接合部材
6………第3接合部材
10……挿入孔
11……テーパ部
12……境界線
20……カラー
21……カラー本体部
22……テーパ部
23……境界線
24……挿通孔
30……カラー
31……カラー本体部
32……テーパ部
33……小円筒部
34……境界線
35……境界線
36……挿通孔
40……カラー
41……カラー本体部
42……挿通孔
C………面取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリープを生じ得る樹脂部品本体と、前記樹脂部品本体に設けられた挿入孔と、前記挿入孔に熱圧入されてその内部を締結部材が貫通するカラーと、を備えた樹脂部品の締結部構造において、
前記挿入孔の壁部は、前記樹脂部品本体の前記クリープにより、前記挿入孔の径方向に突出するように変形する変形部を生じ得て、前記カラーは、大径部と前記大径部に連続した小径部とを有し、前記大径部は、前記挿入孔の前記壁部に圧着して装着され、前記小径部は、前記樹脂部品本体の前記クリープによる前記変形部の発生を許容し、前記カラーは、前記変形部により前記挿入孔から抜け止めされることを特徴とする樹脂部品の締結部構造。
【請求項2】
前記小径部は、前記大径部から連続し径が漸減するテーパ部であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂部品の締結部構造。
【請求項3】
前記小径部は、更に前記テーパ部から連続し軸方向外方に延在する小円筒部を有することを特徴とする請求項2に記載の樹脂部品の締結部構造。
【請求項4】
前記挿入孔の一端部は、前記大径部が前記テーパ部へと連なる境界線又はその近傍を始点として径が漸増するテーパ部を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の樹脂部品の締結部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−148998(P2009−148998A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329634(P2007−329634)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】