説明

橋梁構造及びその構築方法

【課題】 橋梁の空頭の確保、橋梁の新設工事又は改良工事の作業時間の短縮化、狭い作業スペースにも対応可能で、構築コストの低減化が可能で耐久性の高く、橋梁下の道路等の通行止めを最小に抑えることができる橋梁構造とその構築方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 橋梁構造において、橋梁を上部構造と下部構造とで構成し、上部構造の下端と下部構造の上端に断面略C字形の鋼製嵌合継手を連続的に設け、上部構造と下部構造の鋼製嵌合継手をスライド嵌合して上部構造と下部構造を一体とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁構造とその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道又は道路用の橋梁の構造として、橋台上に橋桁が載置される構造のものが存在する。このような橋梁の構造において、鉄道又は道路の交通量の増加による荷重増加に対する対応や、耐震性の向上のため、橋梁の改築工事が実施されてきた。
【0003】
従来の橋梁の改良工事の手順を、桁式橋梁を例にとり、図9(a)〜(f)により説明する。既設の桁式橋梁は、鉄道又は道路下の盛土中に構築される。既設の橋梁は、既設の基礎杭に既設橋台が支持され、既設橋台に既設橋桁が載置された構造となっている。これらの既設の桁式橋梁を改良するために、図9(a)に示されるように、既設橋台の外側の盛土中に仮橋仮受杭を設置する。次に、図9(b)に示されるように、既設橋桁を既設橋台から撤去し、仮橋を仮橋仮受杭に載置し支持する。続いて、図9(c)に示されるように、既設の基礎杭と既設橋台を撤去し、既設橋台の外側を掘削して拡幅し、仮橋仮受杭の内側にアンカーにより支持される仮土留工を設置する。次に、図9(d)に示されるように、仮土留工の内側に新設の基礎杭と新設橋台を構築する。仮土留工と新設橋台との空間に土砂を埋め戻す。次に、図9(e)に示されるように、仮橋撤去し、新設橋台に支承を介して新設橋桁を載置する。最後に、図9(f)に示されるように、必要により仮橋仮受杭、仮土留工、アンカーを撤去して桁式橋梁の改良工事を終了する。
【特許文献1】特開平9−203011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の橋梁の改良工事においては、新設橋台と新設橋桁との間に支承等を介在させるため、コストアップになるという問題と、支承の設置により桁式橋梁の空頭が改良前の桁式橋梁より低くなるという問題が発生する。また、改良後の新設橋桁が長スパンとなる場合、桁高が高くなり空頭が改良前よりも低くなるという問題が発生する。そして、従来の橋梁の改良工事は桁架設に長時間の作業を必要とし、例えば鉄道下の橋梁の改良工事の場合、終電〜初電までの間に改良工事が終了せず、列車の一部運休という問題が発生し、鉄道利用者に迷惑をかけるだけでなく、運賃収入にも影響し、結果として高コストの改良工事となるという問題も発生する。さらに、橋梁の改良工事が都市近郊の場合、作業スペースがなく、従来の橋梁の新築又は改良工事の作業効率が悪く、作業時間が長くかかり、一部列車の運休が必要となるという問題が発生する。また、橋梁の改良工事で、橋梁をラーメン構造、ボックス構造とすると、仮橋下の作業となり、改良後の橋梁の空頭が改良前よりも低くなるという問題が発生する。さらに、オープンカットでの橋梁のラーメン構造化、ボックス構造化する場合、ボルト接合や溶接による接合には時間を要し、長時間の運休、交通止めが必要となり利用者に多大な迷惑となるという問題や、ボルト、溶接部の腐食や疲労亀裂が発生するという問題を有する。
【0005】
本発明は、上記課題を解決する、橋梁の空頭の確保、橋梁の新設工事又は改良工事の作業時間の短縮化、狭い作業スペースにも対応可能で、構築コストの低減化が可能で耐久性の高く、橋梁下の道路等の通行止めを最小に抑えることができる橋梁構造とその構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、前記課題を解決するために、橋梁構造において、橋梁を上部構造と下部構造とで構成し、上部構造の下端と下部構造の上端に断面略C字形の鋼製嵌合継手を連続的に設け、上部構造と下部構造の鋼製嵌合継手をスライド嵌合して上部構造と下部構造を一体とすることを特徴とする。
【0007】
本第2発明は、本第1発明の橋梁構造において、前記鋼製嵌合継手の嵌合部に遊びを減少させる余盛りを施すことを特徴とする。
【0008】
本第3発明は、本第1発明の橋梁構造において、前記鋼製嵌合継手の嵌合部に低摩擦材を設けることを特徴とする。
【0009】
本第4発明は、橋梁構造において、橋梁を上部構造と下部構造とで構成し、上部構造の下端と下部構造の上端のいずれか一方に所定間隔をおいて継手突出鋼管を設け、他方にソケットを設け、前記継手突出鋼管をソケットに挿入し、ソケットと継手突出鋼管の間を固化材で充填固化し上部構造と下部構造を一体とすることを特徴とする。
【0010】
本第5発明は、橋梁構造において、橋梁を上部構造と下部構造とで構成し、上部構造の下端と下部構造の上端に所定間隔をおいてソケットを設け、上部構造と下部構造のソケットに継手突出鋼管を挿入し、ソケットと継手突出鋼管の間を固化材で充填固化し上部構造と下部構造を一体とすることを特徴とする。
【0011】
本第6発明は、本第4又は第5発明の橋梁構造において、前記継手突出鋼管の外周にリブ、スタットジベル、鉄筋、定着板等の固化材との定着増強手段を設けることを特徴とする。
【0012】
本第7発明は、本第4〜第6発明のいずれかの発明の橋梁構造において、前記ソケットをソケット鋼管とすることを特徴とする。
【0013】
本第8発明は、本第7発明の橋梁構造において、前記ソケット鋼管の内周及び外周の少なくとも内周にリブを形成することを特徴とする。
【0014】
本第9発明は、本第4〜第8発明のいずれかの発明の橋梁構造において、前記下部構造を杭基礎又は直接基礎とすることを特徴とする。
【0015】
本第10発明は、本第1〜第3発明のいずれかの橋梁構造の構築方法において、上部構造と下部構造との間にチルローラ、油圧ジャッキ等の補助具を設置して上部構造をスライドさせ上部構造と下部構造の鋼製嵌合継手をスライド嵌合することを特徴とする。
【0016】
本第11発明は、本第1〜第9発明のいずれかの橋梁構造の構築方法において、上部構造を昇降自在且つ回転自在に載置可能な移動式台車を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の橋梁を上部構造と下部構造とで構成し、上部構造の下端と下部構造の上端に断面略C字形の鋼製嵌合継手を連続的に設け、上部構造と下部構造の鋼製嵌合継手をスライド嵌合して上部構造と下部構造を一体とする構成により、上部構造と下部構造の接合(剛結)が容易であり、ラーメン構造にもボックス構造にも適用可能であり、接合作業時間が短く、低コストの橋梁構造が可能となる。
本発明の前記鋼製嵌合継手の嵌合部に遊びを減少させる余盛りを施す構成により、鋼製嵌合継手をスライド嵌合する際のがたつきがなく、スムーズなスライド嵌合が可能となる。
本発明の前記鋼製嵌合継手の嵌合部にテフロン等の低摩擦材を設ける構成により、鋼製嵌合継手をスライド嵌合する際、スムーズなスライド嵌合が可能となる。
本発明の上部構造の下端と下部構造の上端のいずれか一方に所定間隔をおいてソケットを設け、他方に継手突出鋼管を設け、継手突出鋼管をソケットに挿入し、ソケットと継手突出鋼管の間を固化材で充填固化し上部構造と下部構造を一体とする構成により、上部構造と下部構造の接合(剛結)が容易であり、ラーメン構造にもボックス構造にも適用可能であり、接合作業時間が短く、低コストの橋梁構造が可能となる。
本発明の上部構造の下端と下部構造の上端に所定間隔をおいてソケットを設け、上部構造と下部構造のソケットに継手鋼管を挿入し、ソケットと継手鋼管の間を固化材で充填固化し上部構造と下部構造を一体とする構成により、上部構造と下部構造の接合(剛結)が容易であり、ラーメン構造にもボックス構造にも適用可能であり、接合作業時間が短く、低コストの橋梁構造が可能となる。
本発明の前記継手突出鋼管又は継手鋼管の外周にリブ、スタットジベル、鉄筋、定着板等の充填固化材との定着増強手段を設ける構成により、定着強度が増すため継手突出鋼管又は継手鋼管の長さを短くすることができる。
本発明のソケットをソケット鋼管とする構成により、施工誤差を吸収でき、施工性が向上し、さらに、接合強度が高くなり継手突出鋼管又は継手鋼管の長さを短くすることが可能となる。
本発明のソケット鋼管の内周にリブを形成する構成により、継手突出鋼管又は継手鋼管とソケット鋼管の間隙に充填される固化材との定着性が向上し、継手突出鋼管の長さを短くすることが可能となり、ソケット鋼管の外周にリブを形成する構成により、上下部構造に埋め込み固定されるソケット鋼管の定着性が向上する。
本発明の橋梁構造は下部構造を杭基礎又は直接基礎とすることも可能であり、適用範囲が広い。
本発明の上部構造と下部構造との間にチルローラ、油圧ジャッキ等の補助具を設置して上部構造をスライドさせ上部構造と下部構造の鋼製嵌合継手をスライド嵌合する構成により、スムーズなスライド嵌合が可能となる。
本発明の上部構造を昇降自在且つ回転自在に載置可能な移動式台車を用いる構成により、狭い作業スペースでの作業も効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態を図により説明する。
図1〜図5は、本発明の一実施例を示すものである。
図1(a)は、鉄道又は道路1の下部の盛土2中に構築されるラーメン構造の橋梁3を示す。
図1(b)は、鉄道又は道路1の下部の盛土2中に構築されるボックス構造の橋梁3を示す。
図1(a)(b)の橋梁3は、共に上部構造4と下部構造5により構成され、上部構造4と下部構造は、プレキャストのコンクリート製、鋼製、鋼とコンクリートとの合成材製であってもよい。上部構造4は、狭い現場での場所打ちによる成形は避け、予め所定形状に成形し、現場に搬送する。上部構造4の下端と下部構造5の上端には鋼製嵌合継手6が設置され、それぞれの鋼製嵌合継手6をスライド嵌合させ、上部構造4と下部構造5を鋼製嵌合継手接合7により接合する。この実施例においては、橋梁3の下が道路になっている架道橋を例としてしているが、河川を跨ぐ通常の橋梁であってもよいことはいうまでもない。
【0019】
図2に示すように、鋼製嵌合継手6は、断面略C字形となっており、第1突出部8と第2突出部9を有している。第1突出部8の先端は球根状に拡大されている。第1突出部8と第2突出部9の中間にほぼ断面楕円形の嵌合空間10が形成され、嵌合空間10に第1突出部8がスライド嵌合する。鋼製嵌合継手6は、所要の引張力と圧縮力を伝達可能に構成される。左右一対の鋼製嵌合継手6のスライド嵌合が終了すると、鋼製嵌合継手6の嵌合空間10と第1突出部8との間にグラウトGを充填し強固に固定する。次に、左右一対の鋼製嵌合継手6間の空間にモルタル等の固化材を注入して、上部構造4と下部構造5を強固に鋼製嵌合継手接合7により接合(剛結)する。
【0020】
図3(a)(b)は、鋼製嵌合継手6の変形例を示す。
図3(a)は、鋼製嵌合継手6の嵌合空間10にスライド嵌合する第1突出部8との遊びを少なくするため、嵌合空間10に余盛り11を溶着したものである。鋼製嵌合継手6をスライド嵌合する際、遊びが少ないため、がたつきがなく摩擦が減少しスムーズに嵌合可能となる。
図3(b)は、鋼製嵌合継手6の嵌合空間10の内壁にテフロン等の低摩擦材12をコーテングしたものである。鋼製嵌合継手6をスライド嵌合する際、低摩擦材12により嵌合空間10と第1突出部8との摩擦が減少しスムーズにスライド嵌合が可能となる。
【0021】
図4は、鋼製嵌合継手接合7による橋梁の構築方法を示すものである。この構築方法においては、上部構造4と下部構造5の鋼製嵌合継手6をスライド嵌合して、上部構造4と下部構造5を一体に接合して橋梁3を構築する際に移動式台車13を用いる。
移動式台車13は、車高が低く、昇降手段、回転手段を備え、上部構造4を昇降、回転可能に載置できるため、狭い作業スペースでの作業に有効である。下部構造5がすでに設置され、上部構造4を移動式台車13に載置し、上部構造4と下部構造5の鋼製嵌合継手6の位置合わせをし、下部構造5の鋼製嵌合継手6の端部に上部構造4の鋼製嵌合継手6の端部を嵌合し、移動式台車13を移動しながら鋼製嵌合継手6をスライド嵌合し、スライド嵌合が終了すると昇降手段を下降して移動式台車13と上部構造4との載置状態を解除する。鋼製嵌合継手6の嵌合空間10と第1突出部8との間にグラウトGを充填する。次に、左右一対の鋼製嵌合継手6間で止水された空間にモルタル等の固化材を注入して固化させ、上部構造4と下部構造5を鋼製嵌合継手接合7により強固に接合(剛結)する。移動式台車13に回転手段を備えることにより、狭い作業スペースで、移動式台車13上に載置した上部構造4の向きを変える場合非常に有効である。実施例においては、上部構造4の上部構造4のスライド嵌合を移動式台車によって実施する例を紹介したが、ジャッキによる横移動方式であってもよい。
【0022】
図5(a)(b)は、上部構造4と下部構造5の鋼製嵌合継手6をスライド嵌合する際の補助手段を示すものである。
図5(a)は、下部構造5の上端に所定間隔をおいてチルトローラ14を設置し、下部構造5の鋼製嵌合継手6に上部構造4の鋼製嵌合継手6を嵌合し、上部構造5をスライドさせながら鋼製嵌合継手6をスライド嵌合する際の摩擦を低減しスムーズにスライド嵌合する。スライド嵌合が終了した後、チルトローラ14を、上部構造と下部構造4、5の間から撤去してもよいし、そのまま残して、モルタル等の固化材中に埋め殺ししてもよい。
図5(b)は、上部構造4と下部構造5間に油圧ジャッキ15を設置し、上部構造4を若干持ち上げ、鋼製嵌合継手6に大きい荷重が加わらないようにして、スライド嵌合をスムーズに実施するものである。スライド嵌合の際、油圧ジャッキ15と下部構造5の上端との間に大きな摩擦が発生しないように、下部構造5の上端にテフロン等の低摩擦材12を設置する。スライド嵌合が終了した後、油圧ジャッキ15を、上部構造4と下部構造5の間から撤去してもよいし、そのまま残して、モルタル等の固化材中に埋め殺ししてもよい。
【0023】
図6〜図9は、本発明の他の実施例を示すものである。
図6(a)は、鉄道又は道路1の下部の盛土2中に構築されるラーメン構造の橋梁3を示す。
図6(b)は、鉄道又は道路1の下部の盛土2中に構築されるボックス構造の橋梁3を示す。
図6(a)(b)の橋梁3は、共に上部構造4と下部構造5により構成される。上部構造4と下部構造5は、プレキャストのコンクリート製、鋼製、鋼とコンクリートの合成材製であってもよい。上部構造4は、狭い現場での場所打ちによる成形は避け、予め所定形状に成形し、設置現場に搬送する。上部構造4の下端と下部構造5の上端のいずれか一方に所定間隔をおいてソケット鋼管16を予め設置し、他方に所定間隔をおいて継手突出鋼管17の一端を埋め込み固定する。下部構造5を設置箇所に固定した後、上部構造4を持ち上げ搬送し、ソケット鋼管16と継手突出鋼管17を位置合わせして下降させ、ソケット鋼管16に継手突出鋼管17を挿入し、ソケット鋼管16と継手突出鋼管17の間隙にモルタル等の固化材を充填し固化させ、上部構造4と下部構造5をソケット継手鋼管接合18により強固に接合(剛結)する。ソケット鋼管が下部構造の上端に形成されている場合、ソケット鋼管に予めモルタル等の固化材を充填しておいてもよい。この実施例において下部構造5は杭基礎又は直接基礎であってもよい。ソケット鋼管16に変えて単に継手突出鋼管17を挿入可能なソケットであってもよい。ソケットをソケット鋼管16とすることにより、接合強度が向上し、さらに、施工誤差を吸収可能で施工性が向上する。
【0024】
図7(a)(b)(c)(d)は、ソケット鋼管接合18の変形例を示すものである。
図7(a)に示されるのは、上部構造4の下端に継手突出鋼管17の一端を予め埋め込み固定し、下部構造4の上端にソケット鋼管16を予め埋め込み設置する。継手突出鋼管17をソケット鋼管16に挿入し、ソケット鋼管19と継手突出鋼管20との間隙にモルタル等の固化材を充填し固化させ、上部構造4と下部構造5を強固にソケット鋼管接合18により接合(剛結)する。
図7(b)に示されるのは、上部構造4の下端に外周に螺旋状リブを形成したリブ付き継手突出鋼管20の一端を予め埋め込み固定し、下部構造5の上端に内周に螺旋状リブを形成したリブ付きソケット鋼管19を予め埋め込み固定する。リブ付きソケット鋼管19にリブ付き継手突出鋼管20を挿入し、リブ付きソケット鋼管19とリブ付き継手突出鋼管20との間隙にモルタル等の固化材を充填し固化させ、上部構造4と下部構造をソケット鋼管接合18により強固に接合(剛結)する。リブ付き継手突出鋼管20とリブ付きソケット鋼管19とモルタル等の固化材との定着性がよいため、継手突出鋼管とソケット鋼管の長さを短くすることができる。ソケット鋼管の外周に螺旋状リブを形成してもよい。ソケット鋼管も外周にリブを形成することにより、ソケット鋼管を埋め込み固定する際の定着性が向上する。
図7(c)は、両端に大径の定着板を形成した定着板付き継手突出鋼管21の一端を上部構造4の下端に予め埋め込み固定し、定着板付き継手突出鋼管21の他端を下部構造5の上端に予め埋め込み固定したリブ付きソケット鋼管19に挿入し、リブ付きソケット鋼管19と定着板付き継手突出鋼管21との間にモルタル等の固化材を充填し固化させ、上部構造4と下部構造5を強固にソケット鋼管接合18により接合(剛結)する。定着板付き継手突出鋼管21、リブ付きソケット鋼管19とモルタル等の固化材との定着性がよく、定着板が抜け止め機能を発揮するので継手突出鋼管とソケット鋼管の長さを短くすることができる。
モルタル等の固化材と継手突出鋼管との定着性を向上させるために、鉄筋、スタットジベル等を配置してもよい。
図7(d)は、上部構造4と下部構造5の端部にそれぞれソケット鋼管16を予め埋め込み固定し、上部構造4と下部構造5のソケット鋼管16に継手鋼管23を挿入し、ソケット鋼管16と継手鋼管23との間にモルタル等の固化材を充填し固化させソケット鋼管接合18により強固に接合(剛結)する。
【0025】
図8は、ソケット鋼管接合18による橋梁の構築方法の実施例を示すものである。この実施例では、下部構造5を基礎杭としている。下部構造5としての杭基礎上端に継手突出鋼管17の一端が固定され、上部構造4の下端にソケット鋼管16が予め埋め込み固定される。ソケット鋼管16と継手突出鋼管17の配置を逆にしても良いし、前記図7(d)に示したように、上部構造と下部構造4、5の端部にそれぞれソケット鋼管16を埋め込み固定したものでも良い。上部構造4を昇降ジャッキ22を有する移動式台車13等の手段により昇降した状態で設置箇所に搬送する。設置箇所でソケット鋼管16と継手突出鋼管17を位置合わせし、昇降手段により上部構造4を下降させ、ソケット鋼管16に継手突出鋼管17を挿入する。ソケット鋼管16と継手突出鋼管17との間にモルタル等の固化材を充填し固化させ、上部構造4と下部構造5をソケット鋼管接合18により強固に接合(剛結)し、橋梁を構築する。ソケット鋼管が下部構造の上端に形成されている場合、ソケット鋼管に予めモルタル等の固化材を充填しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)(b)本発明の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態を示す図である。
【図3】(a)(b)本発明の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態を示す図である。
【図5】(a)(b)本発明の実施形態を示す図である。
【図6】(a)(b)本発明の実施形態を示す図である。
【図7】(a)(b)(c)(d)本発明の実施形態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態を示す図である。
【図9】(a)〜(f)従来技術を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1:鉄道又は道路、2:盛土、3:橋梁、4:上部構造、5:下部構造、6:鋼製嵌合継手、7:鋼製嵌合継手接合、8:第1突出部、9:第2突出部、10:嵌合空間、11:余盛り、12:低摩擦材、13:移動式台車、14:チルトローラ、15:油圧ジャッキ、16:ソケット鋼管、17:継手突出鋼管、18:ソケット鋼管接合、19:リブ付きソケット鋼管、20:リブ付き継手突出鋼管、21:定着板付き継手突出鋼管、22:昇降ジャッキ、23:継手鋼管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁を上部構造と下部構造とで構成し、上部構造の下端と下部構造の上端に断面略C字形の鋼製嵌合継手を連続的に設け、上部構造と下部構造の鋼製嵌合継手をスライド嵌合して上部構造と下部構造を一体とすることを特徴とする橋梁構造。
【請求項2】
前記鋼製嵌合継手の嵌合部に遊びを減少させる余盛りを施すことを特徴とする請求項1に記載の橋梁構造。
【請求項3】
前記鋼製嵌合継手の嵌合部に低摩擦材を設置することを特徴とする請求項1に記載の橋梁構造。
【請求項4】
橋梁を上部構造と下部構造とで構成し、上部構造の下端と下部構造の上端のいずれか一方に所定間隔をおいて継手突出鋼管を設け、他方にソケットを設け、前記継手突出鋼管をソケットに挿入し、ソケットと継手突出鋼管の間を固化材で充填固化し上部構造と下部構造を一体とすることを特徴とする橋梁構造。
【請求項5】
橋梁を上部構造と下部構造とで構成し、上部構造の下端と下部構造の上端に所定間隔をおいてソケットを設け、ソケットに継手鋼管を挿入し、ソケットと継手鋼管の間を固化材で充填固化し上部構造と下部構造を一体とすることを特徴とする橋梁構造。
【請求項6】
前記継手突出鋼管又は継手鋼管の外周にリブ、スタットジベル、鉄筋、定着板等の固化材との定着増強手段を設けることを特徴とする請求項4又は5に記載の橋梁構造。
【請求項7】
前記ソケットをソケット鋼管とすることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の橋梁構造。
【請求項8】
前記ソケット鋼管の内周及び外周の少なくとも内周にリブを形成することを特徴とする請求項7に記載の橋梁構造。
【請求項9】
前記下部構造を杭基礎又は直接基礎とすることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の橋梁構造。
【請求項10】
前記請求項1〜3のいずれかの橋梁構造を構築する際、上部構造と下部構造との間にチルローラ、油圧ジャッキ等の補助具を設置して上部構造をスライドさせ上部構造と下部構造の鋼製嵌合継手をスライド嵌合することを特徴とする橋梁の構築方法。
【請求項11】
前記請求項1〜9のいずれかの橋梁構造を構築する際、上部構造を昇降自在且つ回転自在に載置可能な移動式台車を用いることを特徴とする橋梁の構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−22518(P2006−22518A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200131(P2004−200131)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】