説明

橋脚洗掘判定方法及び橋脚基礎の健全性評価システム

【課題】バッテリーの交換頻度を長くすることができ、保守作業の軽減を図ることができる橋脚洗掘判定方法及健全性評価システムを提供する。
【解決手段】増水が発生したか否かを検出する増水検出部が増水を検出した場合に、橋脚基礎の健全性を評価する評価部に対して設定条件に基づく評価処理を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、川の増水によって橋脚周囲の地盤が掘られて弱くなったか否かを早期に発見することができる橋脚洗掘判定方法、及び該橋脚洗掘判定方法が適用された橋脚基礎の(洗掘に対する)健全性評価システムにおいて、バッテリーの寿命を大幅に延長することが可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、変位計、加速度計又は速度計などのセンサを利用して橋脚の振動量を計測し、この橋脚の異常を検出する健全性評価システムが特許文献1に示されている。
このような橋脚の健全性評価システムは、健全性評価装置により橋脚基礎の健全性を評価する装置であり、具体的には、河川の増水時に橋脚の振動を検出する振動検出部と、該振動検出部の検出信号をFFT処理して橋脚の卓越振動数を演算する演算部と、該演算部が演算した橋脚の卓越振動数のうち衝撃荷重試験によって特定した橋脚の固有振動数に対応する卓越振動数をこの橋脚の固有振動数として特定する特定部と、前記固有振動数がしきい値を下回ったときには、橋脚が不安定であると評価する評価部と、を具備する。そして、前記評価部での評価結果は、通信部により列車運行の司令部に電送されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−271402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示される橋脚基礎の健全性評価システムは、橋脚の上部に設けられるものであるので、数多くの橋脚で可動させる上で、電力ケーブルを通じた駆動を行うことは新たな設備を必要とすることから困難であり、このため、電源にバッテリーを使用している。
しかしながら、上述した橋脚基礎の健全性評価システムでは、4000分程度の稼動時間毎にバッテリーの交換が必要であるために、評価部にて1時間毎に5分間程度の評価処理を行い、かつ通信部から評価結果の通信を行った場合に、1ヶ月ほどで該バッテリーが消耗してしまい、その度に該バッテリーの交換作業が必要となっていた。例えば、1ヶ月から2ヶ月に一度のバッテリーの交換が必要となり、保守作業が面倒なものとなっていた。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、できる限り少ない設備で稼動させた上で、バッテリーの交換頻度を長くすることができ、保守作業の軽減を図ることができる橋脚洗掘判定方法、及び該橋脚洗掘判定方法が適用された橋脚基礎の(洗掘に対する)健全性評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。すなわち、本発明では、増水時における橋脚の振動数を示す微動データに基づき、橋脚の卓越振動数を演算し、該卓越振動数から得た固有振動数を、予め測定しておいた該橋脚の固有振動数と比較することで橋脚基礎の健全性を評価する橋脚洗掘判定方法であって、増水が発生したか否かを検出する増水検出部が増水を検出した場合に、橋脚基礎の健全性を評価する評価部に対して設定条件に基づく評価処理を行わせることを特徴とする。
また、本発明の橋脚洗掘判定方法では、前記増水検出部が河川の水位が設定値以上に上昇したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の橋脚洗掘判定方法では、前記増水検出部が河川の流速が設定値以上に上昇したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の橋脚洗掘判定方法では、前記増水検出部が河川の防護工が流出したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の橋脚洗掘判定方法では、前記河川が増水したと判断された場合に、高い頻度で橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行わせる設定条件を前記評価部に対して設定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の橋脚洗掘判定方法では、前記評価部の評価結果を、通信部を介して列車運行の司令部に電送することを特徴とする。
【0011】
また、本発明では、増水時における橋脚の振動数を示す微動データに基づき、橋脚の卓越振動数を演算し、該卓越振動数から得た固有振動数を、予め測定しておいた該橋脚の固有振動数と比較することで橋脚基礎の健全性を評価する健全性評価システムであって、河川にて増水が発生したか否かを検出する増水検出部と、橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行う評価部と、前記増水検出部により河川の増水発生が検出された場合に、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づき橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行なわせる制御部と、有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の健全性評価システムでは、前記制御部は、前記増水検出部が河川の水位が設定値以上に上昇したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の健全性評価システムでは、前記制御部は、前記増水検出部が河川の流速が設定値以上に上昇したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の健全性評価システムでは、前記制御部は、前記増水検出部が河川の防護工が流出したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の健全性評価システムでは、前記制御部に設定される設定条件として、河川が増水したと判断された場合に、高い頻度で橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行わせることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の健全性評価システムでは、前記制御部は、前記評価部の評価結果を、通信部を介して列車運行の司令部に電送されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の橋脚洗掘判定方法及び健全性評価システムによれば、増水が発生したか否かを検出する増水検出部が増水を検出した場合(増水検出部が河川の水位が設定値以上に上昇したことを検出した場合/増水検出部が河川の流速が設定値以上に上昇したことを検出した場合/増水検出部が河川の防護工が流出したことを検出した場合)にのみ、橋脚基礎の健全性を評価する評価部に対して設定条件(実施例では5分)に基づく評価処理を行わせるようにしたので、例えば、増水時にのみ、該評価部に対して橋脚基礎の健全性を頻繁に評価する評価処理を行わせる設定条件を設けるようにすれば、常時、評価部に対して評価処理を行わせる従来と比較して、電源部のバッテリー消耗を抑え、バッテリーの交換頻度を長くすることができる。その結果、保守作業の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの使用状態の一例を示す側面図である。
【図2】この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの使用状態を示す正面図であり、図2(A)は橋脚が安定状態であるときの図であり、図2(B)は河川Rの水によって橋脚基礎周辺の川底が深くえぐられて該橋脚が不安定状態になったときの図である。
【図3】この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの構成図である。
【図4】この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの表示装置の特定部による固有振動数の特定手法を説明するためのグラフである。
【図5】この発明の実施形態に係る河川Rの増水が発生した否かを判定するためのフローチャートである。
【図6】この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの健全性評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図6を参照して、本発明に係わる橋脚洗掘判定方法及び該橋脚洗掘判定方法が適用された健全性評価システムについて詳しく説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの使用状態の一例を示す側面図である。図2は、この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの使用状態を示す正面図であり、図2(A)は橋脚が安定状態にあるときの正面図であり、図2(B)は河川の水によって橋脚基礎周辺の川底が深くえぐられて該橋脚が不安定状態であるときの正面図である。図3は、この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの構成図である。
【0020】
図1及び図2に示す橋梁Bは、健全性評価システム1によって健全性が評価される評価対象物であり、車両Vが走行する軌道Wの下部に空間を確保して、列車の荷重を支持する固定構造物である。橋梁Bは、水平方向に配置されて軌道Wを支持する橋桁B1と、この橋桁B1を支持する橋脚(ピア)B2と、橋梁B全体に作用する荷重を地盤に伝達してこの橋梁Bを支持する橋脚基礎B3と、橋脚B2の上端面を構成する天端部B4と、この天端部B4上に橋桁B1を支持する支承部B5などを備えている。橋梁Bは、橋桁B1が上部構造を構成し、橋脚B2及び橋脚基礎B3が下部構造を構成している。図1及び図2に示す橋梁Bは、例えば、梁構造によって荷重を受ける桁橋であり、橋桁B1が鋼材を主要材料とする鋼桁で構成されており、橋脚B2が石材、レンガ又はコンクリートなどの剛体で構成されている。
なお、符号20で示すものは、橋脚B2及び橋脚基礎B3を保護するために防護工として設けられた保護ブロックである。
【0021】
河川Rは、橋梁Bの下方を流れる川であり、図2(B)に示す洗掘Sは河川Rの川底を流れる水によって橋脚基礎B3周辺の川底が深くえぐられた状態である。軌道Wは、車両Vが走行する通路(線路)であり、車両Vは橋梁B上を走行する電車又は気動車などの鉄道車両である。利用者Mは、健全性評価システム1を使用して橋梁Bを監視、保守又は検査する作業者である。
【0022】
図3に示す健全性評価システム1は、橋脚B2の健全性を評価するシステムである。健全性評価システム1は、図1に示す健全性評価装置2A〜2Cと、図3に示す表示装置3などを備えている。健全性評価システム1は、図1に示す3組の健全性評価装置2A〜2Cによって橋脚B2の振動を検出してこの橋脚B2の卓越振動数を演算し、橋脚B2の固有振動数を特定して橋脚B2の健全性を評価するとともに、図3に示す表示装置3によってこの評価結果を表示する。なお、本実施形態は、3本の橋脚B2にそれぞれ健全性評価装置2A〜2Cを設けた例であるが、健全性評価装置2A〜2Cを設置する橋脚B2は3本に限定されず、3本未満又は3本以上であっても良い。
【0023】
図1に示す健全性評価装置2A〜2Cは、橋脚B2の健全性を評価する装置である。健全性評価装置2A〜2Cは、橋脚B2の振動及び河川Rの増水情報を自動的に計測してデータ処理する計測データ処理部を構成しており、この計測データ処理部は振動及び増水情報を計測するセンサ部と、このセンサ部によって計測された計測データを制御する計測データ制御部とから構成されている。
健全性評価装置2A〜2Cは、設置位置の変更が容易で持ち運びに便利なように可搬型に構成されており、3本の橋脚B2にそれぞれ配置されて、3本の橋脚B2の固有振動数を特定しそれぞれの橋脚B2の健全性を評価する。健全性評価装置2A〜2Cは、いずれも同一構造であり、以下では健全性評価装置2Aについて説明する。
健全性評価装置2A〜2Cは、ネットワーク5と無線あるいは有線通信回線を介して接続され、さらに、ネットワーク5を介してデータサーバ6、および支社や保守区の管理PC7に接続されている。
【0024】
健全性評価装置2Aは、図3に示すように、振動検出部2aと、信号処理部2bと、増水検出部2cと、信号処理部2dと、振動情報記憶部2eと、増水情報記憶部2fと、演算部2gと、卓越振動数情報記憶部2hと、計時部2iと、固有振動数情報記憶部2jと、特定部2kと、しきい値情報記憶部2mと、評価部2nと、評価情報記憶部2pと、電源部2qと、プログラム記憶部2rと、通信部2sと、制御部2tなどを備えている。また、健全性評価装置2A〜2Cの測定条件は、前記管理PC7によって設定された条件により、例えば、起動の度に、あるいは所定の周期で、該当する条件の測定条件設定ファイルをデータサーバ6から読み出して、各々設定されるようになっている。
【0025】
図2及び図3に示す振動検出部2aは、橋脚B2の振動を検出する手段である。振動検出部2aは、例えば、増水検出部2c(後述する)から出力される河川Rの増水情報に基づき増水が検出されたときに橋脚B2の振動の検出を開始し、該河川Rの増水情報に基づき増水の解消が検出されるまで橋脚B2の振動の検出を継続する。振動検出部2aは、図2に示すように、車両Vの振動の影響を強く受け易い支承部B5よりも上方の橋桁B1には設置せずに、支承部B5よりも下方の天端部B4に設置されている。振動検出部2aは、例えば、橋梁Bの長さ方向(図1及び図2に示すX軸方向)と直交する橋梁Bの幅方向(Y軸方向)の橋脚B2の振動を検出する加速度センサ、速度センサ又は変位センサなどの振動センサであって、橋脚B2の振動に応じた微動データを示す振動検出信号を、内蔵するA/D変換器によってディジタル信号に変換して信号処理部2bに出力する。
【0026】
図3に示す信号処理部2bは、振動検出部2aが出力する検出信号を処理する手段である。信号処理部2bは、例えば、振動検出部2aが出力する振動検出信号を増幅する増幅回路と、この振動検出信号から所定の周波数成分を抽出するフィルタ回路などを備えている。信号処理部2bは、処理後の振動検出信号を制御部2tに出力する。
【0027】
図2及び図3に示す増水検出部2cとして、河川Rの増水情報の一つである水位Hを検出する水位検出手段10が設けられている。この水位検出手段10は、図2に示すように、天端部B4に設置されており、河川Rの水面に向かって信号を送信し、この水面から反射する反射信号を受信して河川Rの水位情報Hを検出する超音波レベル計、赤外線レベル計又はレーザレベル計などの水位計である。この水位検出手段10は、河川Rの水位Hに応じた水位検出信号(増水情報)を信号処理部2dに出力する。
【0028】
また、増水検出部2cとして上述した水位検出手段10とともに、図2に示すような水流情報検出手段11、防護工流出検出手段12が設けられている。
水流情報検出手段11は、例えば、橋脚B2の下部に設けられて河川Rの流速を検出する流速計であって、該流速計から出力される流速検出信号(増水情報)は、増水情報として信号処理部2dに出力する。
防護工流出検出手段12は、例えば、橋脚B2の橋脚基礎B3を取り囲むように配置された保護ブロック20に設置されたセンサであって、該保護ブロック20が増水により流された場合に、異常検出信号(増水情報)を信号処理部2dに出力する。
【0029】
図3に示す信号処理部2dは、増水検出部2cが出力する増水情報を示す検出信号を処理する手段である。信号処理部2dは、例えば、増水検出部2cが出力する検出信号を増幅する増幅回路と、この増水情報を示す検出信号から所定の周波数成分を抽出するフィルタ回路と、この検出信号(アナログ信号)をディジタル信号に変換するA/D変換回路などを備えている。信号処理部2dは、処理後の検出信号を制御部2tに出力する。
【0030】
振動情報記憶部2eは、振動検出部2aの検出結果を記憶する手段であり、信号処理部2bが出力する振動検出信号(振動情報)を記憶するメモリである。
増水情報記憶部2fは、増水検出部2cの検出結果を記憶する手段であり、信号処理部2dが出力する検出信号(増水情報)を記憶するメモリである。
【0031】
演算部2gは、振動検出部2aの検出結果に基づいて橋脚B2の卓越振動数を演算する手段である。演算部2gは、増水検出部2cの検出信号に基づき河川Rの増水が検出された場合に、振動検出部2aの検出信号に基づいてこの卓越振動数を演算する。
ここで、卓越振動数とは、橋脚B2の振動波形を周波数分析したときに振幅スペクトルが極大となる周波数である。演算部2gは、振動検出部2aの検出信号を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transformation(以下、FFTという))処理して橋脚B2の卓越振動数を演算する。また、演算部2gは、例えば、河川Rの増水が始まってから終了するまでの間に、振動検出部2aが出力する振動データを、設定された任意のデータ長で抽出してFET処理したり、設定された任意の周期でFET処理したりする。また、該演算部2gは、振動検出部2aが出力する振動情報及び増水検出部2cが出力する増水情報を処理するデータ処理装置を構成する。演算部2gは、演算後の卓越振動数を卓越振動数情報として制御部2tに出力する。
【0032】
卓越振動数情報記憶部2hは、演算部2gの演算結果を記憶する手段である。卓越振動数情報憶部2hは、演算部2gが出力する卓越振動数情報を記憶するメモリである。
計時部2iは、時刻を計測する手段である。計時部2iは、例えば、所定時間毎に動作開始信号を制御部2tに出力し、この動作開始信号を出力してから所定時間経過後に動作終了信号を制御部2tに出力する。また、計時部2iは、例えば、増水検出部2cの検出信号に基づき河川Rの増水が検出された場合に、FFT処理を開始させる動作開始信号を制御部2tに出力し、この動作開始信号を出力してから所定時間経過後に動作終了信号を制御部2tに出力する。
【0033】
固有振動数情報記憶部2jは、橋脚B2の固有振動数を記憶する手段である。固有振動数情報記憶部2jは、例えば、図2(A)に示すような健全な状態である橋脚B2に重錘を衝突させて橋脚B2を強制的に加振する衝撃荷重試験を実施したときに測定された橋脚B2の固有振動数(共振振動数)を固有振動数情報として記憶している。また、固有振動数情報記憶部2jは、特定部2kが特定した卓越振動数情報を固有振動数情報として記憶している。固有振動数情報記憶部2jは、各橋梁Bの橋脚B2毎に固有振動数情報を更新可能に記憶している。
【0034】
特定部2kは、橋脚B2の卓越振動数に基づいてこの橋脚B2の固有振動数を特定する手段であり、増水検出部2cの検出信号に基づき河川Rの増水が検出されている場合において、橋脚B2の卓越振動数に基づいてこの橋脚B2の固有振動数を特定する。特定部2kは、振動検出部2aの検出信号に基づいて卓越振動数の移動平均を演算し、この卓越振動数の移動平均に基づいて固有振動数を特定する。特定部2kは、卓越振動数情報記憶部2hが記憶する卓越振動数情報を移動平均処理し、固有振動数情報記憶部2jが記憶する衝撃荷重試験によって測定した橋脚B2の固有振動数と対応する卓越振動数を固有振動数と特定する。特定部2kは、特定後の固有振動数情報を制御部2tに出力する。
【0035】
図4は、この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの健全性評価装置の演算部2gによる固有振動数の特定手法を説明するためのグラフである。
図4に示す縦軸は、加速度スペクトル(10-6gal*sec)であり、横軸は振動数(Hz)である。太線は、低水時(水深0m)の橋脚微動のフーリエスペクトルを示す波形であり、細線は増水時(水深2.7mとなった時点での増水時)の橋脚微動のフーリエスペクトルを示す波形であり、いずれも実際の鉄道橋梁の橋脚微動を測定して周波数解析した波形である。
図4に示すように、低水時には橋脚の固有振動数の応答が明瞭ではないが、増水時には橋脚が揺すられるために橋桁の固有振動数の応答よりも橋脚の固有振動数の応答のほうが明瞭になる。
増水時の波形には、加速度スペクトルが極大となる4つの卓越振動数f1〜f4が存在するが、フーリエスペクトルからだけではこれらの卓越振動数f1〜f4のいずれが橋脚の固有振動数に対応するのか不明である。このため、橋脚に重錘を衝突させて橋脚の固有振動数を測定する衝撃荷重試験を実施して橋脚の固有振動数を予め特定しておき、増水時の橋脚の卓越振動数f1〜f4を演算したときに、演算後の卓越振動数f1〜f4のいずれが橋脚の固有振動数に対応するかを判断することができる。図4に示す波形では、橋桁の固有振動数は3.5Hzであり、橋脚の固有振動数は11.3Hzであるが、増水時の卓越振動数f1〜f4を演算することによって、4つの卓越振動数f1〜f4のうちの一つの卓越振動数f3が橋脚の固有振動数に対応することが分かる。このように、特定部2kは、増水検出部2cの検出信号に基づき河川Rの増水が検出されている場合において、橋脚B2の卓越振動数f1〜f4を、衝撃試験などによって予め特定されている橋脚B2の固有振動数と照合して、複数の卓越振動数f1〜f4のうち卓越振動数f3が橋脚B2の固有振動数であると特定する。
【0036】
図3に示すしきい値情報記憶部2mは、橋脚B2の安定性を評価するときに基準となるしきい値を記憶する手段である。しきい値情報記憶部2mは、一般に、図2(B)に示す洗掘Sが発生すると橋脚B2の固有振動数が低下するため、橋脚B2が安定であるか否かを判定する際に基準となる基準振動数をしきい値情報として記憶するメモリである。しきい値情報記憶部2mは、各橋梁Bの橋脚B2毎にしきい値情報を更新可能に記憶している。
【0037】
図3に示す評価部2nは、橋脚B2の固有振動数に基づいてこの橋脚B2の安定性を評価する手段である。評価部2nは、特定部2kが卓越振動数から特定した橋脚B2の固有振動数の変化に基づいて、この橋脚B2の安定性を評価する。評価部2nは、特定部2kが特定した橋脚B2の固有振動数が低下して、しきい値情報記憶部2mが記憶するしきい値を下回ったときには橋脚B2が不安定であると評価する。
【0038】
評価情報記憶部2pは、評価部2nの評価結果を記憶する手段である。評価情報部憶部2pは、評価部2nが出力する評価情報を記憶するメモリであり、各橋梁Bの橋脚B2毎に評価情報を更新可能に記憶している。
【0039】
電源部2qは、健全性評価装置2Aに電力を供給する手段である。電源部2qは、本電源とは別に計時部2iに微小な電力を供給しており、計時部2iが動作開始信号を制御部2tに出力すると振動検出部2a及び増水検出部2cなどに電力を供給し、計時部2iが動作終了信号を制御部2tに出力すると振動検出部2a及び増水検出部2cなどへの電力の供給を停止する。電源部2qは、増水検出部2cの検出信号に基づき河川Rの増水が検出されている場合において、本電源がONとなって振動検出部2aなどに電力を供給し、また、増水検出部2cの検出信号に基づき河川Rの増水が検出されていない場合において、振動検出部2aなどへの電力の供給を停止する。電源部2qは、健全性評価装置2Aに着脱自在に装着され交換可能なバッテリーを具備している。
【0040】
プログラム記憶部2rは、橋脚B2の健全性を評価するための健全性評価プログラムを記憶する手段である。プログラム記憶部2rは、例えば、通信部2sから入力する健全性評価プログラムを記憶するメモリである。通信部2sは、表示装置3側の通信部(図示略)と、司令部15との間で通信する手段であり、種々の情報を送受信する無線装置である。
【0041】
制御部2tは、健全性評価装置2Aの種々の動作を制御する手段(中央処理部(CPU))である。制御部2tは、プログラム記憶部2rから健全性評価プログラムを読み出して一連の評価処理を実行する。制御部2tは、例えば、振動情報の記憶を振動情報記憶部2eに指令したり、増水情報の記憶を増水情報記憶部2fに指令したり、卓越振動数の演算を演算部2gに指令したり、卓越振動数情報の記憶を卓越振動数情報記憶部2hに指令したり、計時部2iに計測動作の開始及び終了を指令したり、固有振動数情報記憶部2jに固有振動数情報の記憶を指令したり、特定部2kに固有振動数の特定を指令したり、しきい値情報の記憶をしきい値情報記憶部2mに指令したり、橋脚B2の健全性の評価を評価部2nに指令したり、評価情報記憶部2pに評価情報の記憶を指令したり、電源部2qに電力の供給及び停止を指令したり、通信部2sに通信動作を指令したりする。
【0042】
次に、図5及び図6のフローチャートを参照して本発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの動作を説明する。なお、以下のフローチャートのステップ(S)は、図3に示す制御部2tで実行される。
図5は河川Rに増水が発生した否かを判定するためのフローチャートであり、図6は、図5のフローチャートの判定結果に基づき、橋脚B2の健全性を判定するためのフローチャートである。なお、図5のフローチャートにて、増水検出部2cの検出信号に基づき河川Rの増水判定がなされた場合に、次の図6のフローチャートにて、健全性評価装置2A全体への電力の供給開始を制御部2tが、電源部2qの本電源をONとする指令を出して、振動検出部2aの検出信号に基づく橋脚B2の健全性を判定する。
【0043】
まず、図5のS100において、水位検出手段10から出力される水位検出信号(増水情報)に基づき、河川Rの水位Hが、予め設定した設定値以上に上昇したか否かを判定し、NOの場合に次のS101に進み、また、YESの場合にS103に進む。
【0044】
S101において、水流情報検出手段11から出力される流速検出信号(増水情報)に基づき、河川Rの流速が、予め設定した設定値以上に上昇したか否かを判定し、NOの場合に次のS102に進み、また、YESの場合にS103に進む。
【0045】
S102において、防護工流出検出手段12から出力される異常信号(増水情報)に基づき、橋脚B2の周囲に配置された保護ブロック20が流出したか否かを判定し、NOの場合に次のS104に進み、また、YESの場合にS103に進む。
【0046】
S103において、S100〜S102での検出結果に基づき、河川Rが増水した状態にあるとの判定結果を示す増水検出信号を図6のS110に対して出力する。なお、このS103から図6のS110に対して出力は、予め定めた設定周期(例えば、1時間に1回、5分の測定周期)で出力して、先のS100に戻る。
S104において、S100〜S102での検出結果に基づき、河川Rが増水していない状態にあるとの判定結果を示す増水非検出信号を図6のS110に対して出力する。なお、このS104から図6のS110に対して出力は、予め定めた長い設定周期(例えば、1日に1回、5分の測定周期)で出力して、先のS100に戻る。
また、このようなS103で判定される増水時には、1時間毎の設定周期で頻繁に検出信号の出力するのに対して、S104で判定される非増水時には、S103よりも長い、1日毎の設定周期で検出信号を出力し、さらに、このようなS103、S104での設定は、操作者により自由に変更できるものとする。
【0047】
次に、図6のS110において、S103から河川Rが増水したことを示す増水検出信号が出力されたか、S104にから河川Rが増水していないことを示す増水非検出信号が出力されたかを判断し、増水検出信号の出力がある場合に次のS111に進み、また、増水非検出信号の出力がある場合に本フローを終了する。
【0048】
S111において、健全性評価装置2A全体への電力の供給を開始するために、制御部2tが電源部2qの本電源をONとする指令を出す。
【0049】
S120において、橋脚B2の振動の検出開始を振動検出部2aに制御部2tが指令する。その結果、振動検出部2aが橋脚B2の振動の検出を開始し、微動データを含む振動検出信号を信号処理部2bに出力する。信号処理部2bが振動検出信号を制御部2tに出力すると、制御部2tが振動情報記憶部2eに振動情報を出力し、振動情報記憶部2eに振動情報の記憶を指令する。
【0050】
S130において、卓越振動数の演算を演算部2gに制御部2tが指令する。橋脚B2の振動の検出開始を振動検出部2aに制御部2tが指令するのと同時に、卓越振動数の演算開始を演算部2gに制御部2tが指令すると、制御部2tが出力する微動データに基づいて演算部2gがFFT処理して卓越振動数を演算し、卓越振動数情報を制御部2tに出力する。その結果、この卓越振動数情報を制御部2tが卓越振動数情報記憶部2hに出力し、卓越振動数情報記憶部2hに卓越振動数情報の記憶を指令する。
【0051】
S140において、固有振動数の特定を特定部2kに制御部2tが指令する。卓越振動数情報記憶部2hから卓越振動数情報を制御部2tが読み出してこの卓越振動数情報を特定部2kに出力するとともに、衝撃荷重試験によって測定された固有振動数情報を固有振動数情報記憶部2jから制御部2tが読み出してこの固有振動数情報を特定部2kに出力する。その結果、卓越振動数情報の移動平均を特定部2kが演算し、衝撃荷重試験によって測定された橋脚B2の固有振動数に対応する卓越振動数を固有振動数と特定する。特定後の固有振動数情報を特定部2kが制御部2tに出力すると、この特定後の固有振動数情報を制御部2tが固有振動数情報記憶部2jに出力し、特定後の固有振動数情報の記憶を固有振動数情報記憶部2jに指令する。
【0052】
S150において、橋脚B2の安定性の評価を評価部2nに制御部2tが指令する。しきい値情報記憶部2mからしきい値情報を制御部2tが読み出して、このしきい値情報を制御部2tが評価部2nに出力するとともに、特定部2kが特定した固有振動数情報を制御部2tが評価部2nに出力する。橋脚B2の安定性の評価を制御部2tが評価部2nに指令すると、特定部2kが特定した固有振動数としきい値情報記憶部2mが記憶するしきい値情報とを評価部2nが比較して、固有振動数がしきい値を下回るか否かを判定する。その結果、固有振動数がしきい値を下回ったときには橋脚B2が不安定であると評価部2nが評価し、固有振動数がしきい値を超えるときには橋脚B2が安定であると評価部2nが評価する。これらの評価情報を制御部2tに評価部2nが出力すると、これらの評価情報を評価情報記憶部2pに制御部2tが出力して、これらの評価情報の記憶を評価情報記憶部2pに指令する。
【0053】
S160において、表示装置3の通信部(図示略)が送信するデータ送信指令を通信部2sが受信したか否かを制御部2tが判断する。図1及び図2に示すように、表示装置3によって橋脚B2の健全性を確認するときには、図3に示す表示装置3の通信部から健全性評価装置2A〜2Cの通信部2sにデータ送信が指令される。示装置3の通信部から制御部2tにデータ送信が指令されたときにはS170に進み、示装置3の通信部から制御部2tにデータ送信指令がされなかったときにはS180に進む。
【0054】
S170において、評価情報の送信を制御部2tが通信部2sに指令する。データ送信指令を通信部2sが受信すると制御部2tが評価情報記憶部2pから評価情報を読み出して通信部2sに出力し、この評価情報の送信を通信部2sに指令する。
【0055】
S180において、橋脚B2の振動の検出終了を振動検出部2aに制御部2tが指令する。
S190において、健全性評価装置2A全体への電力の供給を停止するために、制御部2tが電源部2qの本電源をOFFとする指令を出す。
【0056】
以上詳細に説明したように本実施形態に示される橋脚洗掘判定方法及び該橋脚洗掘判定方法が適用された健全性評価システムによれば、増水が発生したか否かを検出する増水検出部2c(水位検出手段10、水流情報検出手段11、防護工流出検出手段12)が増水を検出した場合にのみ、橋脚基礎の健全性を評価する評価部2nに対して設定条件に基づく評価処理を行わせるようにしたので(S100〜S104)、例えば、S103において、増水時にのみ、該評価部2nに対して橋脚B2の健全性を頻繁に評価する評価処理を行わせる設定条件(上記例では、1時間に1回、5分の測定周期)を設けるようにすれば、常時、評価部2nに対して評価処理を行わせる従来と比較して、電源部2qの主電源となるバッテリー消耗を抑え、バッテリーの交換頻度を長くすることができる。その結果、保守作業の軽減を図ることができる。
【0057】
なお、図5のフローチャートのS100〜S102において、増水検出部2cを構成している水位検出手段10、水流情報検出手段11、防護工流出検出手段12のいずれかが河川Rの増水を検出した場合に、S103からの出力に基づき、図6のフローチャートにて橋脚B2の健全性の判定を頻繁に行わせるようにしたが、これら水位検出手段10、水流情報検出手段11、防護工流出検出手段12の全ての検出信号を用いることはなく、いずれかの検出信号を選択的に用いるようにしても良い。
【0058】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
河川が増水している際に安全に列車を運行させることが可能な橋脚洗掘判定方法及び該橋脚洗掘判定方法が適用された健全性評価システムを提供する。
【符号の説明】
【0060】
1 健全性評価システム
2A〜2C 健全性評価装置
2c 増水検出部
2n 評価部
2s 通信部
2t 制御部
10 水位検出手段
11 水流情報検出手段
12 防護工流出検出手段
B2 橋脚
B3 橋脚基礎
R 河川

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増水時における橋脚の振動数を示す微動データに基づき、橋脚の卓越振動数を演算し、該卓越振動数から得た固有振動数を、予め測定しておいた該橋脚の固有振動数と比較することで橋脚基礎の健全性を評価する橋脚洗掘判定方法であって、
増水が発生したか否かを検出する増水検出部が増水を検出した場合に、橋脚基礎の健全性を評価する評価部に対して設定条件に基づく評価処理を行わせることを特徴とする橋脚洗掘判定方法。
【請求項2】
前記増水検出部が河川の水位が設定値以上に上昇したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする請求項1記載の橋脚洗掘判定方法。
【請求項3】
前記増水検出部が河川の流速が設定値以上に上昇したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする請求項1記載の橋脚洗掘判定方法。
【請求項4】
前記増水検出部が河川の防護工が流出したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする請求項1記載の橋脚洗掘判定方法。
【請求項5】
前記河川が増水したと判断された場合に、高い頻度で橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行わせる設定条件を前記評価部に対して設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の橋脚洗掘判定方法。
【請求項6】
前記評価部の評価結果を、通信部を介して列車運行の司令部に電送することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の橋脚洗掘判定方法。
【請求項7】
増水時における橋脚の振動数を示す微動データに基づき、橋脚の卓越振動数を演算し、該卓越振動数から得た固有振動数を、予め測定しておいた該橋脚の固有振動数と比較することで橋脚基礎の健全性を評価する健全性評価システムであって、
河川にて増水が発生したか否かを検出する増水検出部と、
橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行う評価部と、
前記増水検出部により河川の増水発生が検出された場合に、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づき該橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行なわせる制御部と、有することを特徴とする健全性評価システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記増水検出部が河川の水位が設定値以上に上昇したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする請求項7記載の橋脚洗掘判定システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記増水検出部が河川の流速が設定値以上に上昇したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする請求項7記載の橋脚洗掘判定システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記増水検出部が河川の防護工が流出したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする請求項7記載の橋脚洗掘判定システム。
【請求項11】
前記制御部に設定される設定条件として、河川が増水したと判断された場合に、高い頻度で橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行わせることを特徴とする請求項1〜4のいずれか7〜10項に記載の橋脚洗掘判定システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記評価部の評価結果を通信部を介して列車運行の司令部に電送することを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の橋脚洗掘判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−210335(P2010−210335A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55188(P2009−55188)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】