機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム
【課題】機上計測を、直動軸と回転軸を含む同時多軸計測を行うようにし、機上計測装置の測定子の同一先端点で測定対象物の表面と接触して計測を行うことが可能な工作機械システムを提供すること。
【解決手段】一端に接触子を取り付けたプローブを有する機上計測装置1を用いて計測対象物の表面形状を計測する工作機械システムにおいて、前記計測対象物の表面に対して機上計測装置1のプローブ1bの中心軸が垂直になるようにプログラムされた計測プログラムに基づいて、球型接触子1fが前記計測対象物の表面に接触して倣うように前記各軸が数値制御装置により駆動制御されることを特徴とする機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【解決手段】一端に接触子を取り付けたプローブを有する機上計測装置1を用いて計測対象物の表面形状を計測する工作機械システムにおいて、前記計測対象物の表面に対して機上計測装置1のプローブ1bの中心軸が垂直になるようにプログラムされた計測プログラムに基づいて、球型接触子1fが前記計測対象物の表面に接触して倣うように前記各軸が数値制御装置により駆動制御されることを特徴とする機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機上計測装置を用いて3次元の自由形状を有する計測対象物の形状を計測する工作機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工されたワークの表面形状を高精度に測定する計測装置として、接触式プローブを有する計測装置が知られている。この計測装置を工作機械に取り付け、接触式プローブの接触子を前記ワークの表面に接触させ、工作機械の直動軸を動かすことにより、ワーク表面の形状計測を行う。
【0003】
例えば、特許文献1には、回転軸対称曲面加工技術に用いられる計測技術が開示されている。特許文献1に開示される技術は、直動軸に機上計測装置と加工工具とを配置し、X、Z、C軸の各軸を駆動し機上計測装置によってX軸上を走査して回転軸対称曲面を有する対象物表面の形状を計測するものである。
【0004】
一方、加工ワークに対してタッチプローブを最適な方向より接触させるような計測指令に基づいて姿勢制御する3次元測定用のタッチプローブ装置も知られている。特許文献2には、タッチプローブをワークの表面を各測定点に対して法線方向から測定するために、旋回角度と傾斜角度を変更可能とするプローブ本体の旋回及び傾斜首振り機構に関する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−118100号公報
【特許文献2】特開平6−186023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術で説明した特許文献1に開示される技術では、機上計測装置は直線的な移動をするため、曲率半径が小さなワーク表面に対しては形状計測が困難である。また、特許文献2に開示される技術は、タッチプローブによる形状計測を行うものであり、ワーク表面の多点位置での位置計測を行うことにより形状計測を行うものの、ワーク表面に接触したまま連続的に表面を走査するものではない。また、タッチプローブの構成から、計測範囲が−90度から+90度の範囲の対象物の表面形状は測定できるものの、球体状の形状計測は不可能である。
【0007】
接触式プローブを用いる計測装置は、計測対象物の表面の傾きに拘わらず同じ方向から形状計測を行うと、計測中に計測対象物の表面と接触する計測子の面積が、計測対象物の形状が複雑になるほど増加する。このことを図14と図15を用いて説明する。
【0008】
図14は、従来の機上計測の一例として、機上計測装置(図示省略)の取り付けられた軸が直動軸のみで、曲面を有するワークW表面の計測のため、球型測定子1fであるルビー球をワークW表面である曲面に接触させ、直動軸のみにより機上計測装置を走査して、機上計測装置の可動軸であるプローブ1bの変位を検出することにより、機上計測を行うものである。図14で、測定子として球型測定子1fのルビー球を備えたプローブ1bが計測方向に移動すると、ルビー球は(1)〜(5)のようにワークの表面を接触したまま倣いながら移動する。
【0009】
図15は、図14の(1)〜(5)の地点で計測する際の、ワークWの表面と球型測定子1fであるルビー球との接触の様子を説明している。ワークW表面と接触する球型測定子1fであるルビー球の表面の位置(接触点TP)は、図15(A)に示される(1)〜(5)のように移動していく。そうすると、図15(B)の実線に示されるように、球型測定子1fがワークW面と接触する面積は広くなる。
【0010】
図15(B)の実線で示される領域は、球型測定子1fの表面が図15(A)の(1)〜(5)に対応してワーク表面と接触する領域である。破線で示される領域は図15(A)の(1)〜(5)の移動で球型測定子1fがワークの表面と接触しなかった領域である。このように、ワークの表面の形状が複雑になり、プローブ1bの中心軸とワーク表面の法線方向とのなす角度が大きくなればなるほど、球型測定子がワーク表面と接触する領域は拡大していくことを意味する。
【0011】
通常、接触式の機上計測装置に使用される測定子は前述のルビー球のように球形状をしている。この球状の測定子の形状誤差を補正するために、基準球などの校正原器を用いて校正する。しかし、校正原器の曲率半径と計測可能な接触角により、基準球の表面と接触できる球型測定子の面積は決まる。校正原器の計測時に計測されなかった球型測定子の表面の形状誤差は校正できない。そのため、校正原器と違う形状や接触角が大きい測定対象物の形状を計測するときは、球型測定子の校正されていない表面が測定対象物の表面と接触することになり、球型測定子の形状誤差を補正できない場合が多く、計測精度の低下につながる。
【0012】
また、測定対象物の曲面の計測を計測するときに曲面と接触する球型測定子の表面部分が、機上計測装置のプローブの中心軸と球型測定子の表面と交わる点から遠くなればなるほど、可動軸に応力が作用し計測精度の低下につながる。このことを図12と図13を用いて説明する。
【0013】
図12は一般的な機上計測装置の概略断面図である。図12に示されるように、プローブ1bと軸受との間には微少な間隙が存在する。今、計測方向に機上計測装置が直動軸によって移動すると、球型測定子1fにはプローブ1bの中心軸に対して横方向の力が働く。そうすると、図13に示されるように、測定子の細い棒の部分が曲がる。
【0014】
また、軸受隙間が存在することから、プローブ1b内の所定の位置を回転中心としてプローブ1b自体も斜めになる。さらに、測定子の棒と球型の測定子との接合部、または測定子の棒とプローブの接合部にせん断応力が作用し、これらの接合部が破損する可能性がある。
【0015】
超精密加工において、ナノオーダの形状計測を実現するためには機上計測による補正加工が必要不可欠である。最近、機上計測による補正加工を必要とする加工形状はしだいに複雑化を増している。60度以上の急な傾斜角度をもつ形状に対しても、正確なナノオーダの形状精度を実現しなければならない。さらに、同時5軸加工の需要が増大することにより、5軸加工による3次元立体形状の機上計測も必要性が高まっている。
【0016】
そこで本発明の目的は、機上計測を、直動軸と回転軸を含む同時多軸計測で行い、機上計測装置の測定子の同一先端点で測定対象物の表面と接触して計測を行うことが可能な、機上計測にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願の請求項1に係る発明は、測定子を備えたプローブを有する機上計測装置を用いて計測対象物の表面形状を計測する工作機械システムにおいて、該工作機械システムは、1軸以上の直線軸と1軸以上の回転軸から構成される工作機械と、前記各軸を駆動制御する数値制御装置と、前記各軸の位置を検出する位置検出装置と、計測対象物の形状を計測する前記機上計測装置と、前記位置検出装置により検出された各軸の位置検出信号および前記機上計測装置により検出された計測信号に基づいて前記計測対象物の形状を計測演算する計測演算装置と、を備え、前記計測対象物の表面形状を計測するときに、前記計測対象物の表面に対して前記機上計測装置のプローブの中心軸が垂直になるようにプログラムされた計測プログラムに基づいて、前記測定子が前記計測対象物の表面に接触して倣うように前記各軸が前記数値制御装置により駆動制御されることを特徴とする機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【0018】
請求項2に係る発明は、前記計測対象物の加工プログラムを元に前記計測プログラムが作成されることを特徴とする請求項1に記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【0019】
請求項3に係る発明は、前記加工プログラムは、工具軸が前記計測対象物の加工面に垂直になるようにプログラムされることを特徴とする請求項2に記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【0020】
請求項4に係る発明は、前記計測対象物または前記機上計測装置のうち少なくとも一方が回転軸上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【0021】
請求項5に係る発明は、前記機上計測装置と前記計測対象物を加工する工具は、同じ軸上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【0022】
請求項6に係る発明は、前記位置検出装置および前記機上計測装置は、リニアスケール、パルスコーダ、またはレーザ干渉計のうちいずれか1つを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、機上計測を、直動軸と回転軸を含む同時多軸計測で行い、機上計測装置の測定子の同一先端点で測定対象物の表面と接触して計測を行うことが可能な、機上計測にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を用いながら本発明の実施形態を説明する。
図1は、数値制御装置によって制御され、各軸が直動軸、または回転軸で構成されている工作機械の一例として、X軸、Y軸、Z軸の直動軸を有し、X軸上に回転軸であるB軸と、Y軸上に回転軸であるC軸を有し、5軸同時制御が可能な工作機械の要部を示している。
【0025】
図2は、本発明の工作機械システムで用いられる機上計測装置1の要部断面を示している。この機上計測装置1は、可動部であるプローブ1bをケース1aに内蔵して備えている。プローブ1bは図示省略した軸受けによりプローブの中心軸方向に移動可能である。軸受けとしては例えば空気軸受けなどが用いられる。プローブ1bの一端には、球型測定子1fを備えた測定子の棒1eが取り付けられている。測定子の棒1eは細い棒状の部材である。そして、測定子の棒1eの一端はプローブ1bに固定され、他端には球型測定子1fが取り付けられている。球型測定子1fは、計測対象物100の計測対象面100aに接触し、形状計測を行う。
【0026】
機上計測装置1は、ケース1a内に移動変位検出の手段として、リニアスケール1dとレーザヘッド1cを備える。図2に示されるように、機上計測装置1を計測対象物100の計測対象面100aに沿って移動させ、プローブ1bの変位を前記移動変位検出手段により検出する。前記移動変位検出手段はプローブ1bの変位を示す移動変位検出信号を出力する。この移動変位検出信号は、機上計測装置1からの計測信号ipfとして、後述するパソコン11に入力し、機上計測装置1からのプローブ1bの位置情報として格納される。
【0027】
図3は、機上計測装置からの計測信号をパソコンに入力する例を示している。この例では、工作機械と異なるインタフェースを持つ機上計測装置1が工作機械の回転軸であるB軸上に取り付けられる。
【0028】
工作機械の位置座標情報と機上計測装置のプローブの変位を表す計測情報を同期して取得するため、工作機械の各軸の位置検出信号ipx〜ipcは位置検出信号分岐装置13により分岐され、位置検出信号用ボードと計測装置用ボードを有する外部記憶装置であるパソコン11に同時に入力する。
【0029】
入力した各軸の位置情報と機上計測装置から入力したプローブの変位情報である計測情報の格納に計測用ソフトが利用され、計測が行われることを示している。また、パソコン11には、計測用NCプログラム、加工用NCプログラム、加工用補正NCプログラムが格納されている。
【0030】
上述のとおり、機上計測装置1からの信号と工作機械の可動軸からの信号を同期して取得するには、図3に示されるように、工作機械において可動軸の位置検出装置の信号を別途の信号分岐装置13を用いて分岐しパソコン11に入力する必要がある。そして、位置検出信号分岐装置13は、機上計測に必要な可動軸の数と同数必要である。
【0031】
なお、工作機械の可動軸の信号は、位置検出装置の取り付け誤差などによるピッチ誤差を含んでおり、通常は数値制御装置(NC)でピッチ誤差補正を行い、誤差を最小化するが、位置検出信号分岐装置13から分岐された信号は、ピッチ誤差が補正されていない生の信号であるために、パソコン11に保存されたデータは別途のピッチ誤差補正を行う必要がある。
【0032】
図4は、機上計測装置からの計測信号を数値制御装置を介してパソコン入力する例を示している。この例では、工作機械の各軸と、回転軸であるB軸に取り付けられた機上計測装置1が同じインタフェースを持つことにより、各軸の位置検出信号と機上計測装置1の計測信号が数値制御装置8の送り軸駆動制御部であるサーボ制御部8bに簡単に同期しながら入力する。
【0033】
機上計測装置1については図2を用いてその一例を説明した。数値制御装置8のサーボ制御部8bには、工作機械の各軸(X軸3、Y軸4、Z軸5、B軸6、C軸7)を駆動するサーボモータに内蔵される位置検出装置(図示を省略)から出力される位置検出信号ipx,ipy,ipz,ipb,ipcがフィードバックされて入力する。同様に、サーボ制御部8bには、被加工物Wの表面形状を測定する機上計測装置1からプローブ1bの移動変位に関する計測信号である位置検出信号ipfがインタフェース2を介して入力する。
【0034】
工作機械の各可動軸の位置検出装置から出力される位置検出信号も図示を省略したインタフェースを介してサーボ制御部8bに入力する。このインタフェースは、サーボモータ95に内蔵される位置検出装置96(図5参照)から出力される位置検出信号と機上計測装置1から出力される計測信号とが、数値制御装置8のサーボ制御部8bに同期して入力するように構成される。インタフェースについては、図5を用いて後述する。
【0035】
また、数値制御装置8は、工作機械の各可動軸の位置情報と機上計測装置1からの計測情報(位置情報)を格納する記憶手段と、この記憶手段に格納された位置情報を外部装置のパソコン11に送り出すインタフェースを備えている。
【0036】
工作機械の各可動軸からのフィードバック信号である位置検出信号と機上計測装置からの計測信号とが同じ回路構成のインタフェース2を介して数値制御装置8のサーボ制御部8bに取得されることから、各軸の位置検出装置と機上計測装置とからの計測信号(つまり、各軸の軸位置検出信号と機上計測装置の位置検出信号)が、数値制御装置8に簡単に同期して入力される。そして、読み込まれた計測信号は、位置情報として数値制御装置8の記憶手段(図示省略)に格納される。
【0037】
また、数値制御装置8は、外部装置である例えばパソコン11に、イーサネット(登録商標)12経由でLAN通信を行い、パソコン11に接続あるいは内蔵される記憶装置11aに、各軸からの位置情報と機上計測装置1からの計測情報とをパソコン11に送る。パソコン11は、サンプリング周期毎に各軸からの位置情報と機上計測装置1からの位置情報を記憶装置11aに同期して格納する。
【0038】
パソコン11内には計測用ソフトウェアが格納されており、数値制御装置8を介して読み込まれた前記位置情報に基づき、被加工物の形状計測など所用の演算処理を実行する。この形状計測などの所要の演算処理は従来技術と同様である。また、パソコン11には、計測用NCプログラム、加工用NCプログラム、加工用補正NCプログラムが格納されている。
【0039】
図5は、図4に示される工作機械の可動軸X,Y,Z,B,Cが、数値制御装置8のサーボ制御部8bX,8bY,8bZ,8bB,8bCにより、位置・速度・電流のフィードバック制御されていることを示す図である。このフィードバック制御は、工作機械を制御する数値制御装置で通常行われている制御である。X軸サーボ制御部8bXを例として説明する。図4では、同様な機能を有する部分は同じ符号を付与して説明している。X軸サーボ制御部8bXは、位置ループ制御する位置制御部91、速度ループ制御する速度制御部92、電流ループ制御する電流制御部93から構成される。
【0040】
位置制御部91はエラーレジスタ91aと位置ループゲインKの増幅器91bを有する。位置制御部91は数値制御部8aからの移動指令を受取り、位置フィードバック量(位置FB)を差し引いて得た位置偏差量を処理して速度指令を速度制御部92に出力する。この位置偏差量は図5に示されるように、エラーレジスタ91aで算出される。エラーレジスタ91aで算出される位置偏差量は、数値制御部8aにも出力される。
【0041】
速度制御部92は、この速度指令から速度フィードバック量(速度FB)を差し引いて得た速度偏差量に基づいて、速度制御部92で速度ループ制御を行い、電流指令を電流制御部93に出力する。
【0042】
電流制御部93は、この電流指令から、サーボモータ95を駆動するアンプ94に内蔵される、サーボモータ95を流れる電流を検出する電流センサ(図示省略)からの電流フィードバック(電流FB)を差し引いて得た電流偏差量に基づいて電流ループ制御を行う。サーボモータ95はX軸を駆動する駆動手段であり、サーボモータ95にはその位置・速度を検出する検出器(以下、「位置検出装置」という)96が取り付けられている。位置検出装置96からの位置フィードバック量(位置FB)は位置制御部91にフィードバックされ、速度フィードバック量(速度FB)は速度制御部92にフィードバックされる。
【0043】
以上がX軸サーボ制御部8bXの構成の説明であるが、他の可動軸サーボ制御部8bY,8bZ,8bB,8bCに関しても、X軸サーボ制御部8bXと同様の構成であることから、説明を省略する。なお、X軸、Y軸、及び、Z軸は直動軸であり、B軸及びC軸は回転軸である。
【0044】
そして、本実施形態では更に、工作機械の可動軸を駆動するモータおよびその位置・速度検出手段を接続しないサーボ制御部8bFを設ける。なお、符号8bFの「F」は、工作機械の可動軸を制御しないという意味での「自由」(free)を意味しており、工作機械のいずれかの可動軸を示すものではない。
【0045】
数値制御装置8は、サーボ制御部8bFを単に制御軸が1つ増加したと認識する。そしてこの増加したサーボ制御部8bFには、工作機械の可動軸を制御する他のサーボ制御部8bX〜8bCと同様にアンプ94が設けられている。このサーボ制御部8bFにはサーボモータが接続されていないことから、数値制御装置8は、サーボ制御部8bFをサーボオフにしつつ、フォローアップ機能を用いて位置検出信号のカウントは通常通り行われるように、パラメータおよび制御ソフトが変更される。
【0046】
そして、サーボ制御部8bFにはサーボモータの代わりに機上計測装置1が接続される。本実施形態では、サーボ制御部8bFには、サーボ制御部8bFに接続されるアンプ94が有する制御用のデータ送受信用の伝送手段(図示省略)を介して、サーボモータ95に内蔵される位置検出装置96からの位置検出信号に換えて、機上計測装置1からの計測信号ipfが入力する。データ送受信用の伝送手段はアンプに備えられるものであり、従来技術と相違するものではない。
【0047】
図6は、機上計測装置からの計測信号を数値制御装置に入力しパソコンに出力しない例を示している。この第3の例は、前述の第2の例においてパーソナルコンピュータが備えた計測用ソフトを数値制御装置が有することにより、数値制御装置自身で各軸の位置情報と機上計測装置のプローブの位置情報とを格納することができる。
【0048】
図4の本発明の実施形態では、パソコン11に位置情報を転送している。これに対し、図6に示す実施形態では数値制御装置8内に、内部記憶装置の容量を十分に大きく内蔵し、そして、CAD/CAMソフトも格納すれば、後述する加工、形状計測、形状解析の処理が一元化して、全て数値制御装置8内で実行できる。
【0049】
図7は、本発明におけるプローブを計測対象物の表面の垂直方向として計測することを説明する図である。本発明の実施形態として、機上計測装置が回転軸に取り付けられ、曲面を有するワーク表面の計測のため、球型測定子であるルビー球をワーク表面である曲面に接触させ倣いながら移動するように、各軸の同時制御により機上計測装置を走査する。そして、機上計測装置の可動軸であるプローブの変位を検出することにより、ワーク表面の形状を機上計測する。
【0050】
図8は、図7の(1)〜(5)の地点を機上計測する際のワークW面と球型測定子1fであるルビー球との接触の様子を示している。この場合には、図示されるようにプローブの中心軸とワーク表面の計測する地点の表面が常に垂直となるように、工作機械の各軸が同時制御される。
【0051】
図8に示されるように、プローブの中心軸が球型測定子1fと交わる点のみがワークW面に接触するため(図8(B)参照)、従来計測が不可能であった90度以上の角度に対して計測が可能である。また、常に球型測定子1fの一点で計測を行うことができるため、球型測定子のこの一点の校正を行うことで済み、球型測定子1fの形状誤差の影響を最小化することが可能である。
【0052】
次に、図9と図10を用いて、機上計測装置と加工工具とが同じ回転軸に搭載された場合の加工および計測の様子を説明する。
図9は、機上計測装置1とスピンドルのような加工装置20とを回転軸に備えた場合の、加工工具による加工を説明する図である。図9は、加工装置20が回転軸に取り付けられ、ワークの球面と工具軸とが垂直になるように工作機械の各軸が同時制御されながら加工を行うことを説明している。
【0053】
ワークの加工面に対して工具軸を垂直となるように指令して工作機械に加工させることは従来から行われており、この加工を実行する加工プログラムそれ自体も従来から用いられている加工プログラムである。よって、図3、図4、及び図6に示される加工用NCプログラムとして、ワークWの表面に対して垂直方向から加工する加工用プログラムを用いることができる。
【0054】
そして、機上計測装置1を工作機械に搭載することにより、加工用NCプログラムを利用して機上計測装置を工具の1つとして扱い各軸を同時制御することにより、機上測定装置1が有するプローブの中心軸の方向および球型測定子の位置を制御し、球型測定子1fをワーク表面に接触させて倣い動作させることができる。
【0055】
図10は、機上計測装置1と加工装置20とを回転軸に備えた場合の、機上計測装置1による計測を説明する図である。図10は、加工装置20と同じ回転軸上に取り付けられた機上計測装置において、図9に示された加工後、加工プログラムを元に作成された計測プログラムにより、ワークの球面とプローブの中心軸とが垂直になるように工作機械の各軸(図1参照)が同時制御されながら計測を行うことを説明している。なお、加工プログラムを利用して、機上計測装置による機上計測を行う際には、工具刃先に対するプローブの中心軸が球型測定子1fと交わる点のオフセット量を加工プログラムに反映して、計測プログラムを作成する。加工プログラムを活用できることから、計測プログラムを最初から作成する手間がなくなる。
【0056】
図9と図10に示される加工と計測とを図11に示されるアルゴリズムに従って行うことにより、高精度な機械加工を実現できる。図11に示されるアルゴリズムのフローチャートを各ステップに従って説明する。加工装置20を用いて被加工物の加工を行い(ステップST1)、次に、機上計測装置1を用いて被加工物の表面形状を計測し(ステップST2)、ステップST2で得られた計測データを解析し被加工物の形状解析を行い(ステップST3)、形状解析の結果、ステップST1における加工での形状誤差が目標値以下か否か判断し、目標値以下でなければステップST1に戻り、ワークの加工を継続し、目標値以下であれば、加工と計測の処理を終了する(ステップST4)。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態で用いられる5軸の可動部を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態で用いられる機上計測装置の要部断面図である。
【図3】機上計測装置からの計測信号をパソコンに入力する例を示す図である。
【図4】機上計測装置からの計測信号を数値制御装置を介してパソコンに入力する例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態で用いられる数値制御装置の概略ブロック図である。
【図6】機上計測装置からの計測信号を数値制御装置に入力しパソコンに出力しない例である。
【図7】本発明における計測子を計測対象物の表面の垂直方向として計測することを説明する図である。
【図8】計測対象物の表面の垂直方向としたときの計測子と計測対象物の表面との接触位置の状態を説明する図である。
【図9】機上計測装置と加工工具とを回転軸に備えた場合の、加工工具による加工を説明する図である。
【図10】機上計測装置と加工工具とを回転軸に備えた場合の、機上計測装置による計測を説明する図である。
【図11】加工と計測とを行うアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図12】一般的な機上計測装置の概略断面図である。
【図13】プローブの中心軸と垂直な方向に移動したときのプローブ、測定子の棒、および測定子の球の状況を説明する図である。
【図14】従来技術の計測方法を説明する図である。
【図15】従来技術の計測方法での球型測定子とワーク表面との接触位置の変化を説明する図である。
【符号の説明】
【0058】
1 機上計測装置
1a ケース
1b プローブ
1c レーザヘッド
1d リニアスケール
1e 測定子の棒
1f 球型測定子
2 インタフェース
3 X軸
4 Y軸
5 Z軸
6 B軸
7 C軸
8 数値制御装置
8a 数値制御部
8b サーボ制御部
8bX,8bY,8bZ,8bB,8bC サーボ制御部
8bF サーボ制御部(計測信号用)
9 アンプユニット
10 基台
11 パーソナルコンピュータ(パソコン)
11a 記憶装置
12 イーサネット(登録商標)
13 位置検出信号分岐装置
20 加工装置(スピンドル)
91 位置制御部
92 速度制御部
93 電流制御部
94 アンプ
95 サーボモータ
96 位置検出装置
100 計測対象物
100a 計測対象面
W 被加工物(ワーク)
CT プローブの中心軸と球型測定子の先端と交わる点(先端点)
TP 被加工物(ワーク)Wと接する球型測定子の接触する点(接触点)
ipx,ipy,ipz,ipb,ipc 位置検出信号
ipf 計測信号(位置検出信号)
【技術分野】
【0001】
本発明は、機上計測装置を用いて3次元の自由形状を有する計測対象物の形状を計測する工作機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工されたワークの表面形状を高精度に測定する計測装置として、接触式プローブを有する計測装置が知られている。この計測装置を工作機械に取り付け、接触式プローブの接触子を前記ワークの表面に接触させ、工作機械の直動軸を動かすことにより、ワーク表面の形状計測を行う。
【0003】
例えば、特許文献1には、回転軸対称曲面加工技術に用いられる計測技術が開示されている。特許文献1に開示される技術は、直動軸に機上計測装置と加工工具とを配置し、X、Z、C軸の各軸を駆動し機上計測装置によってX軸上を走査して回転軸対称曲面を有する対象物表面の形状を計測するものである。
【0004】
一方、加工ワークに対してタッチプローブを最適な方向より接触させるような計測指令に基づいて姿勢制御する3次元測定用のタッチプローブ装置も知られている。特許文献2には、タッチプローブをワークの表面を各測定点に対して法線方向から測定するために、旋回角度と傾斜角度を変更可能とするプローブ本体の旋回及び傾斜首振り機構に関する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−118100号公報
【特許文献2】特開平6−186023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術で説明した特許文献1に開示される技術では、機上計測装置は直線的な移動をするため、曲率半径が小さなワーク表面に対しては形状計測が困難である。また、特許文献2に開示される技術は、タッチプローブによる形状計測を行うものであり、ワーク表面の多点位置での位置計測を行うことにより形状計測を行うものの、ワーク表面に接触したまま連続的に表面を走査するものではない。また、タッチプローブの構成から、計測範囲が−90度から+90度の範囲の対象物の表面形状は測定できるものの、球体状の形状計測は不可能である。
【0007】
接触式プローブを用いる計測装置は、計測対象物の表面の傾きに拘わらず同じ方向から形状計測を行うと、計測中に計測対象物の表面と接触する計測子の面積が、計測対象物の形状が複雑になるほど増加する。このことを図14と図15を用いて説明する。
【0008】
図14は、従来の機上計測の一例として、機上計測装置(図示省略)の取り付けられた軸が直動軸のみで、曲面を有するワークW表面の計測のため、球型測定子1fであるルビー球をワークW表面である曲面に接触させ、直動軸のみにより機上計測装置を走査して、機上計測装置の可動軸であるプローブ1bの変位を検出することにより、機上計測を行うものである。図14で、測定子として球型測定子1fのルビー球を備えたプローブ1bが計測方向に移動すると、ルビー球は(1)〜(5)のようにワークの表面を接触したまま倣いながら移動する。
【0009】
図15は、図14の(1)〜(5)の地点で計測する際の、ワークWの表面と球型測定子1fであるルビー球との接触の様子を説明している。ワークW表面と接触する球型測定子1fであるルビー球の表面の位置(接触点TP)は、図15(A)に示される(1)〜(5)のように移動していく。そうすると、図15(B)の実線に示されるように、球型測定子1fがワークW面と接触する面積は広くなる。
【0010】
図15(B)の実線で示される領域は、球型測定子1fの表面が図15(A)の(1)〜(5)に対応してワーク表面と接触する領域である。破線で示される領域は図15(A)の(1)〜(5)の移動で球型測定子1fがワークの表面と接触しなかった領域である。このように、ワークの表面の形状が複雑になり、プローブ1bの中心軸とワーク表面の法線方向とのなす角度が大きくなればなるほど、球型測定子がワーク表面と接触する領域は拡大していくことを意味する。
【0011】
通常、接触式の機上計測装置に使用される測定子は前述のルビー球のように球形状をしている。この球状の測定子の形状誤差を補正するために、基準球などの校正原器を用いて校正する。しかし、校正原器の曲率半径と計測可能な接触角により、基準球の表面と接触できる球型測定子の面積は決まる。校正原器の計測時に計測されなかった球型測定子の表面の形状誤差は校正できない。そのため、校正原器と違う形状や接触角が大きい測定対象物の形状を計測するときは、球型測定子の校正されていない表面が測定対象物の表面と接触することになり、球型測定子の形状誤差を補正できない場合が多く、計測精度の低下につながる。
【0012】
また、測定対象物の曲面の計測を計測するときに曲面と接触する球型測定子の表面部分が、機上計測装置のプローブの中心軸と球型測定子の表面と交わる点から遠くなればなるほど、可動軸に応力が作用し計測精度の低下につながる。このことを図12と図13を用いて説明する。
【0013】
図12は一般的な機上計測装置の概略断面図である。図12に示されるように、プローブ1bと軸受との間には微少な間隙が存在する。今、計測方向に機上計測装置が直動軸によって移動すると、球型測定子1fにはプローブ1bの中心軸に対して横方向の力が働く。そうすると、図13に示されるように、測定子の細い棒の部分が曲がる。
【0014】
また、軸受隙間が存在することから、プローブ1b内の所定の位置を回転中心としてプローブ1b自体も斜めになる。さらに、測定子の棒と球型の測定子との接合部、または測定子の棒とプローブの接合部にせん断応力が作用し、これらの接合部が破損する可能性がある。
【0015】
超精密加工において、ナノオーダの形状計測を実現するためには機上計測による補正加工が必要不可欠である。最近、機上計測による補正加工を必要とする加工形状はしだいに複雑化を増している。60度以上の急な傾斜角度をもつ形状に対しても、正確なナノオーダの形状精度を実現しなければならない。さらに、同時5軸加工の需要が増大することにより、5軸加工による3次元立体形状の機上計測も必要性が高まっている。
【0016】
そこで本発明の目的は、機上計測を、直動軸と回転軸を含む同時多軸計測で行い、機上計測装置の測定子の同一先端点で測定対象物の表面と接触して計測を行うことが可能な、機上計測にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願の請求項1に係る発明は、測定子を備えたプローブを有する機上計測装置を用いて計測対象物の表面形状を計測する工作機械システムにおいて、該工作機械システムは、1軸以上の直線軸と1軸以上の回転軸から構成される工作機械と、前記各軸を駆動制御する数値制御装置と、前記各軸の位置を検出する位置検出装置と、計測対象物の形状を計測する前記機上計測装置と、前記位置検出装置により検出された各軸の位置検出信号および前記機上計測装置により検出された計測信号に基づいて前記計測対象物の形状を計測演算する計測演算装置と、を備え、前記計測対象物の表面形状を計測するときに、前記計測対象物の表面に対して前記機上計測装置のプローブの中心軸が垂直になるようにプログラムされた計測プログラムに基づいて、前記測定子が前記計測対象物の表面に接触して倣うように前記各軸が前記数値制御装置により駆動制御されることを特徴とする機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【0018】
請求項2に係る発明は、前記計測対象物の加工プログラムを元に前記計測プログラムが作成されることを特徴とする請求項1に記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【0019】
請求項3に係る発明は、前記加工プログラムは、工具軸が前記計測対象物の加工面に垂直になるようにプログラムされることを特徴とする請求項2に記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【0020】
請求項4に係る発明は、前記計測対象物または前記機上計測装置のうち少なくとも一方が回転軸上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【0021】
請求項5に係る発明は、前記機上計測装置と前記計測対象物を加工する工具は、同じ軸上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【0022】
請求項6に係る発明は、前記位置検出装置および前記機上計測装置は、リニアスケール、パルスコーダ、またはレーザ干渉計のうちいずれか1つを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、機上計測を、直動軸と回転軸を含む同時多軸計測で行い、機上計測装置の測定子の同一先端点で測定対象物の表面と接触して計測を行うことが可能な、機上計測にて計測対象物の形状を計測する工作機械システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を用いながら本発明の実施形態を説明する。
図1は、数値制御装置によって制御され、各軸が直動軸、または回転軸で構成されている工作機械の一例として、X軸、Y軸、Z軸の直動軸を有し、X軸上に回転軸であるB軸と、Y軸上に回転軸であるC軸を有し、5軸同時制御が可能な工作機械の要部を示している。
【0025】
図2は、本発明の工作機械システムで用いられる機上計測装置1の要部断面を示している。この機上計測装置1は、可動部であるプローブ1bをケース1aに内蔵して備えている。プローブ1bは図示省略した軸受けによりプローブの中心軸方向に移動可能である。軸受けとしては例えば空気軸受けなどが用いられる。プローブ1bの一端には、球型測定子1fを備えた測定子の棒1eが取り付けられている。測定子の棒1eは細い棒状の部材である。そして、測定子の棒1eの一端はプローブ1bに固定され、他端には球型測定子1fが取り付けられている。球型測定子1fは、計測対象物100の計測対象面100aに接触し、形状計測を行う。
【0026】
機上計測装置1は、ケース1a内に移動変位検出の手段として、リニアスケール1dとレーザヘッド1cを備える。図2に示されるように、機上計測装置1を計測対象物100の計測対象面100aに沿って移動させ、プローブ1bの変位を前記移動変位検出手段により検出する。前記移動変位検出手段はプローブ1bの変位を示す移動変位検出信号を出力する。この移動変位検出信号は、機上計測装置1からの計測信号ipfとして、後述するパソコン11に入力し、機上計測装置1からのプローブ1bの位置情報として格納される。
【0027】
図3は、機上計測装置からの計測信号をパソコンに入力する例を示している。この例では、工作機械と異なるインタフェースを持つ機上計測装置1が工作機械の回転軸であるB軸上に取り付けられる。
【0028】
工作機械の位置座標情報と機上計測装置のプローブの変位を表す計測情報を同期して取得するため、工作機械の各軸の位置検出信号ipx〜ipcは位置検出信号分岐装置13により分岐され、位置検出信号用ボードと計測装置用ボードを有する外部記憶装置であるパソコン11に同時に入力する。
【0029】
入力した各軸の位置情報と機上計測装置から入力したプローブの変位情報である計測情報の格納に計測用ソフトが利用され、計測が行われることを示している。また、パソコン11には、計測用NCプログラム、加工用NCプログラム、加工用補正NCプログラムが格納されている。
【0030】
上述のとおり、機上計測装置1からの信号と工作機械の可動軸からの信号を同期して取得するには、図3に示されるように、工作機械において可動軸の位置検出装置の信号を別途の信号分岐装置13を用いて分岐しパソコン11に入力する必要がある。そして、位置検出信号分岐装置13は、機上計測に必要な可動軸の数と同数必要である。
【0031】
なお、工作機械の可動軸の信号は、位置検出装置の取り付け誤差などによるピッチ誤差を含んでおり、通常は数値制御装置(NC)でピッチ誤差補正を行い、誤差を最小化するが、位置検出信号分岐装置13から分岐された信号は、ピッチ誤差が補正されていない生の信号であるために、パソコン11に保存されたデータは別途のピッチ誤差補正を行う必要がある。
【0032】
図4は、機上計測装置からの計測信号を数値制御装置を介してパソコン入力する例を示している。この例では、工作機械の各軸と、回転軸であるB軸に取り付けられた機上計測装置1が同じインタフェースを持つことにより、各軸の位置検出信号と機上計測装置1の計測信号が数値制御装置8の送り軸駆動制御部であるサーボ制御部8bに簡単に同期しながら入力する。
【0033】
機上計測装置1については図2を用いてその一例を説明した。数値制御装置8のサーボ制御部8bには、工作機械の各軸(X軸3、Y軸4、Z軸5、B軸6、C軸7)を駆動するサーボモータに内蔵される位置検出装置(図示を省略)から出力される位置検出信号ipx,ipy,ipz,ipb,ipcがフィードバックされて入力する。同様に、サーボ制御部8bには、被加工物Wの表面形状を測定する機上計測装置1からプローブ1bの移動変位に関する計測信号である位置検出信号ipfがインタフェース2を介して入力する。
【0034】
工作機械の各可動軸の位置検出装置から出力される位置検出信号も図示を省略したインタフェースを介してサーボ制御部8bに入力する。このインタフェースは、サーボモータ95に内蔵される位置検出装置96(図5参照)から出力される位置検出信号と機上計測装置1から出力される計測信号とが、数値制御装置8のサーボ制御部8bに同期して入力するように構成される。インタフェースについては、図5を用いて後述する。
【0035】
また、数値制御装置8は、工作機械の各可動軸の位置情報と機上計測装置1からの計測情報(位置情報)を格納する記憶手段と、この記憶手段に格納された位置情報を外部装置のパソコン11に送り出すインタフェースを備えている。
【0036】
工作機械の各可動軸からのフィードバック信号である位置検出信号と機上計測装置からの計測信号とが同じ回路構成のインタフェース2を介して数値制御装置8のサーボ制御部8bに取得されることから、各軸の位置検出装置と機上計測装置とからの計測信号(つまり、各軸の軸位置検出信号と機上計測装置の位置検出信号)が、数値制御装置8に簡単に同期して入力される。そして、読み込まれた計測信号は、位置情報として数値制御装置8の記憶手段(図示省略)に格納される。
【0037】
また、数値制御装置8は、外部装置である例えばパソコン11に、イーサネット(登録商標)12経由でLAN通信を行い、パソコン11に接続あるいは内蔵される記憶装置11aに、各軸からの位置情報と機上計測装置1からの計測情報とをパソコン11に送る。パソコン11は、サンプリング周期毎に各軸からの位置情報と機上計測装置1からの位置情報を記憶装置11aに同期して格納する。
【0038】
パソコン11内には計測用ソフトウェアが格納されており、数値制御装置8を介して読み込まれた前記位置情報に基づき、被加工物の形状計測など所用の演算処理を実行する。この形状計測などの所要の演算処理は従来技術と同様である。また、パソコン11には、計測用NCプログラム、加工用NCプログラム、加工用補正NCプログラムが格納されている。
【0039】
図5は、図4に示される工作機械の可動軸X,Y,Z,B,Cが、数値制御装置8のサーボ制御部8bX,8bY,8bZ,8bB,8bCにより、位置・速度・電流のフィードバック制御されていることを示す図である。このフィードバック制御は、工作機械を制御する数値制御装置で通常行われている制御である。X軸サーボ制御部8bXを例として説明する。図4では、同様な機能を有する部分は同じ符号を付与して説明している。X軸サーボ制御部8bXは、位置ループ制御する位置制御部91、速度ループ制御する速度制御部92、電流ループ制御する電流制御部93から構成される。
【0040】
位置制御部91はエラーレジスタ91aと位置ループゲインKの増幅器91bを有する。位置制御部91は数値制御部8aからの移動指令を受取り、位置フィードバック量(位置FB)を差し引いて得た位置偏差量を処理して速度指令を速度制御部92に出力する。この位置偏差量は図5に示されるように、エラーレジスタ91aで算出される。エラーレジスタ91aで算出される位置偏差量は、数値制御部8aにも出力される。
【0041】
速度制御部92は、この速度指令から速度フィードバック量(速度FB)を差し引いて得た速度偏差量に基づいて、速度制御部92で速度ループ制御を行い、電流指令を電流制御部93に出力する。
【0042】
電流制御部93は、この電流指令から、サーボモータ95を駆動するアンプ94に内蔵される、サーボモータ95を流れる電流を検出する電流センサ(図示省略)からの電流フィードバック(電流FB)を差し引いて得た電流偏差量に基づいて電流ループ制御を行う。サーボモータ95はX軸を駆動する駆動手段であり、サーボモータ95にはその位置・速度を検出する検出器(以下、「位置検出装置」という)96が取り付けられている。位置検出装置96からの位置フィードバック量(位置FB)は位置制御部91にフィードバックされ、速度フィードバック量(速度FB)は速度制御部92にフィードバックされる。
【0043】
以上がX軸サーボ制御部8bXの構成の説明であるが、他の可動軸サーボ制御部8bY,8bZ,8bB,8bCに関しても、X軸サーボ制御部8bXと同様の構成であることから、説明を省略する。なお、X軸、Y軸、及び、Z軸は直動軸であり、B軸及びC軸は回転軸である。
【0044】
そして、本実施形態では更に、工作機械の可動軸を駆動するモータおよびその位置・速度検出手段を接続しないサーボ制御部8bFを設ける。なお、符号8bFの「F」は、工作機械の可動軸を制御しないという意味での「自由」(free)を意味しており、工作機械のいずれかの可動軸を示すものではない。
【0045】
数値制御装置8は、サーボ制御部8bFを単に制御軸が1つ増加したと認識する。そしてこの増加したサーボ制御部8bFには、工作機械の可動軸を制御する他のサーボ制御部8bX〜8bCと同様にアンプ94が設けられている。このサーボ制御部8bFにはサーボモータが接続されていないことから、数値制御装置8は、サーボ制御部8bFをサーボオフにしつつ、フォローアップ機能を用いて位置検出信号のカウントは通常通り行われるように、パラメータおよび制御ソフトが変更される。
【0046】
そして、サーボ制御部8bFにはサーボモータの代わりに機上計測装置1が接続される。本実施形態では、サーボ制御部8bFには、サーボ制御部8bFに接続されるアンプ94が有する制御用のデータ送受信用の伝送手段(図示省略)を介して、サーボモータ95に内蔵される位置検出装置96からの位置検出信号に換えて、機上計測装置1からの計測信号ipfが入力する。データ送受信用の伝送手段はアンプに備えられるものであり、従来技術と相違するものではない。
【0047】
図6は、機上計測装置からの計測信号を数値制御装置に入力しパソコンに出力しない例を示している。この第3の例は、前述の第2の例においてパーソナルコンピュータが備えた計測用ソフトを数値制御装置が有することにより、数値制御装置自身で各軸の位置情報と機上計測装置のプローブの位置情報とを格納することができる。
【0048】
図4の本発明の実施形態では、パソコン11に位置情報を転送している。これに対し、図6に示す実施形態では数値制御装置8内に、内部記憶装置の容量を十分に大きく内蔵し、そして、CAD/CAMソフトも格納すれば、後述する加工、形状計測、形状解析の処理が一元化して、全て数値制御装置8内で実行できる。
【0049】
図7は、本発明におけるプローブを計測対象物の表面の垂直方向として計測することを説明する図である。本発明の実施形態として、機上計測装置が回転軸に取り付けられ、曲面を有するワーク表面の計測のため、球型測定子であるルビー球をワーク表面である曲面に接触させ倣いながら移動するように、各軸の同時制御により機上計測装置を走査する。そして、機上計測装置の可動軸であるプローブの変位を検出することにより、ワーク表面の形状を機上計測する。
【0050】
図8は、図7の(1)〜(5)の地点を機上計測する際のワークW面と球型測定子1fであるルビー球との接触の様子を示している。この場合には、図示されるようにプローブの中心軸とワーク表面の計測する地点の表面が常に垂直となるように、工作機械の各軸が同時制御される。
【0051】
図8に示されるように、プローブの中心軸が球型測定子1fと交わる点のみがワークW面に接触するため(図8(B)参照)、従来計測が不可能であった90度以上の角度に対して計測が可能である。また、常に球型測定子1fの一点で計測を行うことができるため、球型測定子のこの一点の校正を行うことで済み、球型測定子1fの形状誤差の影響を最小化することが可能である。
【0052】
次に、図9と図10を用いて、機上計測装置と加工工具とが同じ回転軸に搭載された場合の加工および計測の様子を説明する。
図9は、機上計測装置1とスピンドルのような加工装置20とを回転軸に備えた場合の、加工工具による加工を説明する図である。図9は、加工装置20が回転軸に取り付けられ、ワークの球面と工具軸とが垂直になるように工作機械の各軸が同時制御されながら加工を行うことを説明している。
【0053】
ワークの加工面に対して工具軸を垂直となるように指令して工作機械に加工させることは従来から行われており、この加工を実行する加工プログラムそれ自体も従来から用いられている加工プログラムである。よって、図3、図4、及び図6に示される加工用NCプログラムとして、ワークWの表面に対して垂直方向から加工する加工用プログラムを用いることができる。
【0054】
そして、機上計測装置1を工作機械に搭載することにより、加工用NCプログラムを利用して機上計測装置を工具の1つとして扱い各軸を同時制御することにより、機上測定装置1が有するプローブの中心軸の方向および球型測定子の位置を制御し、球型測定子1fをワーク表面に接触させて倣い動作させることができる。
【0055】
図10は、機上計測装置1と加工装置20とを回転軸に備えた場合の、機上計測装置1による計測を説明する図である。図10は、加工装置20と同じ回転軸上に取り付けられた機上計測装置において、図9に示された加工後、加工プログラムを元に作成された計測プログラムにより、ワークの球面とプローブの中心軸とが垂直になるように工作機械の各軸(図1参照)が同時制御されながら計測を行うことを説明している。なお、加工プログラムを利用して、機上計測装置による機上計測を行う際には、工具刃先に対するプローブの中心軸が球型測定子1fと交わる点のオフセット量を加工プログラムに反映して、計測プログラムを作成する。加工プログラムを活用できることから、計測プログラムを最初から作成する手間がなくなる。
【0056】
図9と図10に示される加工と計測とを図11に示されるアルゴリズムに従って行うことにより、高精度な機械加工を実現できる。図11に示されるアルゴリズムのフローチャートを各ステップに従って説明する。加工装置20を用いて被加工物の加工を行い(ステップST1)、次に、機上計測装置1を用いて被加工物の表面形状を計測し(ステップST2)、ステップST2で得られた計測データを解析し被加工物の形状解析を行い(ステップST3)、形状解析の結果、ステップST1における加工での形状誤差が目標値以下か否か判断し、目標値以下でなければステップST1に戻り、ワークの加工を継続し、目標値以下であれば、加工と計測の処理を終了する(ステップST4)。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態で用いられる5軸の可動部を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態で用いられる機上計測装置の要部断面図である。
【図3】機上計測装置からの計測信号をパソコンに入力する例を示す図である。
【図4】機上計測装置からの計測信号を数値制御装置を介してパソコンに入力する例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態で用いられる数値制御装置の概略ブロック図である。
【図6】機上計測装置からの計測信号を数値制御装置に入力しパソコンに出力しない例である。
【図7】本発明における計測子を計測対象物の表面の垂直方向として計測することを説明する図である。
【図8】計測対象物の表面の垂直方向としたときの計測子と計測対象物の表面との接触位置の状態を説明する図である。
【図9】機上計測装置と加工工具とを回転軸に備えた場合の、加工工具による加工を説明する図である。
【図10】機上計測装置と加工工具とを回転軸に備えた場合の、機上計測装置による計測を説明する図である。
【図11】加工と計測とを行うアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図12】一般的な機上計測装置の概略断面図である。
【図13】プローブの中心軸と垂直な方向に移動したときのプローブ、測定子の棒、および測定子の球の状況を説明する図である。
【図14】従来技術の計測方法を説明する図である。
【図15】従来技術の計測方法での球型測定子とワーク表面との接触位置の変化を説明する図である。
【符号の説明】
【0058】
1 機上計測装置
1a ケース
1b プローブ
1c レーザヘッド
1d リニアスケール
1e 測定子の棒
1f 球型測定子
2 インタフェース
3 X軸
4 Y軸
5 Z軸
6 B軸
7 C軸
8 数値制御装置
8a 数値制御部
8b サーボ制御部
8bX,8bY,8bZ,8bB,8bC サーボ制御部
8bF サーボ制御部(計測信号用)
9 アンプユニット
10 基台
11 パーソナルコンピュータ(パソコン)
11a 記憶装置
12 イーサネット(登録商標)
13 位置検出信号分岐装置
20 加工装置(スピンドル)
91 位置制御部
92 速度制御部
93 電流制御部
94 アンプ
95 サーボモータ
96 位置検出装置
100 計測対象物
100a 計測対象面
W 被加工物(ワーク)
CT プローブの中心軸と球型測定子の先端と交わる点(先端点)
TP 被加工物(ワーク)Wと接する球型測定子の接触する点(接触点)
ipx,ipy,ipz,ipb,ipc 位置検出信号
ipf 計測信号(位置検出信号)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定子を備えたプローブを有する機上計測装置を用いて計測対象物の表面形状を計測する工作機械システムにおいて、
該工作機械システムは、
1軸以上の直線軸と1軸以上の回転軸から構成される工作機械と、
前記各軸を駆動制御する数値制御装置と、
前記各軸の位置を検出する位置検出装置と、
計測対象物の形状を計測する前記機上計測装置と、
前記位置検出装置により検出された各軸の位置検出信号および前記機上計測装置により検出された計測信号に基づいて前記計測対象物の形状を計測演算する計測演算装置と、
を備え、
前記計測対象物の表面形状を計測するときに、前記計測対象物の表面に対して前記機上計測装置のプローブの中心軸が垂直になるようにプログラムされた計測プログラムに基づいて、前記測定子が前記計測対象物の表面に接触して倣うように前記各軸が前記数値制御装置により駆動制御されることを特徴とする機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【請求項2】
前記計測対象物の加工プログラムを元に前記計測プログラムが作成されることを特徴とする請求項1に記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【請求項3】
前記加工プログラムは、工具軸が前記計測対象物の加工面に垂直になるようにプログラムされることを特徴とする請求項2に記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【請求項4】
前記計測対象物または前記機上計測装置のうち少なくとも一方が回転軸上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【請求項5】
前記機上計測装置と前記計測対象物を加工する工具は、同じ軸上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【請求項6】
前記位置検出装置および前記機上計測装置は、リニアスケール、パルスコーダ、またはレーザ干渉計のうちいずれか1つを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【請求項1】
測定子を備えたプローブを有する機上計測装置を用いて計測対象物の表面形状を計測する工作機械システムにおいて、
該工作機械システムは、
1軸以上の直線軸と1軸以上の回転軸から構成される工作機械と、
前記各軸を駆動制御する数値制御装置と、
前記各軸の位置を検出する位置検出装置と、
計測対象物の形状を計測する前記機上計測装置と、
前記位置検出装置により検出された各軸の位置検出信号および前記機上計測装置により検出された計測信号に基づいて前記計測対象物の形状を計測演算する計測演算装置と、
を備え、
前記計測対象物の表面形状を計測するときに、前記計測対象物の表面に対して前記機上計測装置のプローブの中心軸が垂直になるようにプログラムされた計測プログラムに基づいて、前記測定子が前記計測対象物の表面に接触して倣うように前記各軸が前記数値制御装置により駆動制御されることを特徴とする機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【請求項2】
前記計測対象物の加工プログラムを元に前記計測プログラムが作成されることを特徴とする請求項1に記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【請求項3】
前記加工プログラムは、工具軸が前記計測対象物の加工面に垂直になるようにプログラムされることを特徴とする請求項2に記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【請求項4】
前記計測対象物または前記機上計測装置のうち少なくとも一方が回転軸上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【請求項5】
前記機上計測装置と前記計測対象物を加工する工具は、同じ軸上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【請求項6】
前記位置検出装置および前記機上計測装置は、リニアスケール、パルスコーダ、またはレーザ干渉計のうちいずれか1つを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の機上計測装置にて計測対象物の形状を計測する工作機械システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−32373(P2010−32373A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195048(P2008−195048)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】
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