説明

機器のケーシング

【課題】隅部に機器を設置するにあたり、機器の操作部を設けてある操作面が隅部の両辺が向く方向の間を向くように傾けて設置しても、機器の外面と隅部の両辺との間の空間がデッドスペースとなってしまうことのない機器のケーシングを提供する。
【解決手段】機器1のケーシング2は、操作部3を備えた操作面20を外面の一部に有する。外面の一部として少なくとも、略直角をなすように隣接する二つの背方側の側面21、22と、前記二つの背方側の側面21、22が向くそれぞれの方向とのなす角がいずれも略直角より大きい方向を向く操作面20と、を備える。また、二つの背方側の側面21、22にそれぞれ略直角をなすように隣接する二つの前方側の側面23、23を備え、操作面20の両側に前記二つの前方側の側面23、23が隣接して平面視略五角形状をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外面に操作部を備える機器のケーシングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、略箱状をして外面に操作部や把手部(総称して単に操作部という)を有する機器、例えば、ガスコンロや電子レンジ等の機器の多くは、外殻となるケーシングが略矩形箱状をしており、前面が操作部を備えた操作面となっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような機器をカウンター上に載置する場合、通常は、ケーシングの背面をカウンターの上面の端辺に沿わせて設置することで、カウンター上に幅や長さが中途半端で使い道のないデッドスペースが形成されてしまうのを極力回避している。また、機器を部屋のカウンター以外の部分に設置する場合も同様に、ケーシングの背面を部屋の壁面に沿って設置している。
【0004】
また、このような機器は、カウンターの隅部や部屋の隅部に設置することで、より一層、機器が邪魔にならずカウンター上の空間や部屋内の空間を広くとることができるため、隅部に設置するのが好ましいものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−263900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら機器を隅部に設置する場合、操作部を操作し難くなってしまう。すなわち、図4(a)や図4(b)に示すようにカウンター7の隅部5に設置した機器1に隣接して他の機器6を設置することが多いが、この場合、隣接する機器6が邪魔になって隅部5の機器1の操作部3を操作し難くなってしまうものである。図中の符号8はガスコックを示す。
【0007】
このため図5に示すように、隅部5に設置する機器1の操作面20が、平面視において隅部5の両辺51、52が向く方向の間の方向を向くように傾けて設置することで、この機器1の操作部3を操作する際に、隣接する機器6が邪魔にならないようにすることができる。
【0008】
しかしながら、このように略矩形箱状をした機器1の外面を隅部5の両辺51、52に対して傾けて設置すると、平面視において機器1の背面24と隅部5の両辺51、52とで囲まれる空間S1や、機器1の側面25と隅部5の両辺51、52と隣接する機器6とで囲まれる空間S2がデッドスペースとなってしまう、という問題があった。
【0009】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、隅部に機器を設置するにあたり、機器の操作部を設けてある操作面が隅部の両辺が向く方向の間を向くように傾けて設置しても、機器の外面と隅部の両辺との間の空間がデッドスペースとなってしまうことのない機器のケーシングを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、操作部3を備えた操作面20を外面の一部に有する機器1のケーシング2であって、外面の一部として少なくとも、略直角をなすように隣接する二つの背方側の側面21、22と、前記二つの背方側の側面21、22が向くそれぞれの方向A1、A2とのなす角がいずれも略直角より大きい方向を向く操作面20と、を備えて成ることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、二つの背方側の側面21、22にそれぞれ略直角をなすように隣接する二つの前方側の側面23、23を備え、操作面20の両側に前記二つの前方側の側面23、23が隣接して平面視略五角形状をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明にあっては、デッドスペースとなる空間が形成されるのを回避することができると共に、操作面が隅部の両辺が向く方向の間を向くこととなって、当該機器に隣接する機器が設置してあっても操作部を操作し易いものである。
【0013】
また請求項2に係る発明にあっては、前方側の側面を隣接する機器の側面とそれぞれ平行にして殆ど隙間なく設置することが可能となり、デッドスペースが形成されるのを極力回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態のケーシング(機器)をカウンターに設置した状態の平面図である。
【図2】機器がガスコンロである例を示し、(a)は平面図であり、(b)は操作面と二つの背方側の側面が向く方向及びそのなす角について説明する平面図である。
【図3】(a)は機器がガス炊飯器である例の平面図であり、(b)は機器がガス焼物器である例の平面図である。
【図4】(a)(b)はそれぞれ従来の機器のカウンターへの載置例である。
【図5】従来の機器のカウンターへの載置例の更に他例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0016】
本発明における機器1は、図1に示すように、外殻となるケーシング2と、ケーシング2の外面に設けられる操作部3と、を備えたもので、例えば、ガスコンロ、ガス炊飯器、ガス焼物器、電子レンジ等の厨房機器が好適に挙げられるが、その他に、タオル蒸し器、殺菌装置等の厨房機器以外の機器であってもよく、特に限定されない。本実施形態では機器1として、カウンター7上に設置される図2に示すようなガスコンロ、図3(a)に示すようなガス炊飯器、図3(b)に示すようなガス焼物器といったガス機器を想定している。
【0017】
ケーシング2の外面に設けられる操作部3は、例えば、機器1がガス機器の場合には、点火/消火釦、火力調節つまみ、タイマーや自動調理モードの設定釦といった操作部であり、また機器1が電子レンジの場合には、加熱開始/停止釦、加熱量調節つまみ、タイマーや各種モードの設定釦といった操作部である。また、機器1が例えばタオル蒸し器や殺菌装置等の場合には、動作開始/停止釦、各種調節つまみ、タイマーや各種モードの設定釦といった操作部に加え、前面に設けられる扉の把手部も含む。つまり、本発明における操作部3とは、使用者が機器1を使用するために手で操作するもの全般をいうものとする。メンテナンス用や通常使用することのない操作部は本発明における操作部3には含まれないが、含まれていても差し支えない。また操作部3としては、各種釦、レバー式やダイヤル式等の各種つまみをはじめ、シーソースイッチ等の各種スイッチやその他であっても勿論よく、特に限定されない。
【0018】
またケーシング2は、機器1の内部部品を必ずしも全面に亘って覆うことを要さず、例えばガスコンロのケーシング2が下方に開放していたり、上面に開口が形成されてバーナが露出しているといったように、覆われていない部分があってもよい。
【0019】
本発明は、上述したケーシング2の形状に特徴を有するもので、以下に説明する。
【0020】
ケーシング2は図2(a)に示すように、略直角をなして隣接する二つの側面21、22を背方側に備えており、カウンター7や部屋の隅部5にケーシング2を設置した時に、前記二つの背方側の側面21、22が隅部5の両辺51、52(図1に示す例ではカウンター2の端辺であるが、部屋に設置する場合は隅部5を形成する両壁面)にそれぞれ沿うようにしてある。また図示しないが、側面21、22に防熱板や防汚板を設け、部屋の壁面や周囲が熱により損傷したり汚れたりするのを防止してもよい。
【0021】
図2(a)において、符号4はガス管の接続部であり、また、隅部5の両辺51、52を破線で示しているが、特にこのような位置関係で設置する必要はなく、図1に示されるように側面21、22と両辺51、52との間の距離は現場に応じて適宜設定するものである。
【0022】
そして更に、二つの背方側の側面21、22がそれぞれ向く方向A1、A2とのなす角がいずれも略直角より大きい方向を向く操作面20を前方側に備えている。すなわち、図2(b)に示すように、操作面20が向く方向A0は、一方の背方側の側面21の向く方向A1となす角が直角よりも大きくなる範囲α1と、他方の背方側の側面22の向く方向A2となす角が直角よりも大きくなる範囲α2との重複範囲α内の任意の方向となるように決定される。図2、図3に示す例では、二つの背方側の側面21、22が向く方向A1、A2とのなす角がそれぞれ同じ略135°となるようにしてあるが(図2(b)参照)、重複範囲α内で他の角度をなす(例えばA1と120°をなし且つA2と150°をなす、あるいはA1と150°をなし且つA2と120°をなす)ようにしても勿論よい。
【0023】
二つの背方側の側面21、22はいずれも略平面であり、操作面20は略平面であるのが好ましいが曲面であっても差し支えなく、また、図2や図3(b)に示すように操作面20から操作部3が突出していてもよい。
【0024】
また図2、図3に示す例では、二つの背方側の側面21、22にそれぞれ略直角をなすように隣接する二つの前方側の側面23を備え、操作面20の両側に前記二つの前方側の側面23が隣接して平面視略五角形状となっている。
【0025】
上述したケーシング2を備えた機器1は、隅部5に設置するにあたり、二つの背方側の側面21、22を隅部5の両辺51、52にそれぞれ沿わせることで、図5に示すようなデッドスペースとなる空間S1、S2が形成されずにすみ、更にこの時、操作面20が両辺51、52が向く方向の間を向くこととなるため、当該機器1に隣接する機器6が設置してあっても操作部3を操作し易いものである。これにより、当該機器1に隣接する他の機器6がガスコンロであって、該機器6に鍋やフライパン等が載置してあっても、図4(a)や図4(b)に示すもののように操作部3を操作しようとして鍋やフライパンを転倒させる危険性が高いといったことがなく、安全性が高いものであり、また図4(a)や図4(b)に示すもののように、使用者が操作部3を操作しようとして無理な体勢をとって身体を痛めるのを回避することもできる。
【0026】
図2、図3に示す例はケーシング2は平面視略五角形状をしているが、略三角形状や略六角形状、略八角形状をはじめとする任意の多角形状でもよい。仮に、ケーシング2が操作面20と二つの背方側の側面21、22とからなる略三角形状をしていると、操作面20とその両側の背方側の側面21、22との接続部分に鋭角のエッジが形成され、当該機器1や隣接する機器6を設置したり移動したりする場合に、エッジにより機器6や周囲を破損したり使用者が怪我をしたり易くなるため、五角形以上の多角形が好ましい。
【0027】
また、上述した図2、図3に示す略五角形状とすることで、前方側の側面23、23を隣接する機器6の側面とそれぞれ平行にして、殆ど隙間なく設置することが可能となり、デッドスペースが形成されるのを極力回避することができる。
【0028】
なお本発明の特許請求の範囲及び明細書において「略」という語句を、数学的な厳密性を要さず、実用上や全体的な印象において同視し得る程度の範囲で許容される、という意味で付している。すなわち、例えば「略直角」という語句は、実用上直角と同視し得る概ね87°〜93°の範囲の角度が望ましいが、これに限定されるわけではない。また「略五角形」という語句は、全体的な印象において五角形と同視し得るものであれば、角が丸みを帯びていたり面取り状に切除されていたり、あるいは辺が若干曲がっていて、厳密な五角形ではなくてもよいものとする。
【符号の説明】
【0029】
1 機器
2 ケーシング
20 操作面
21 背方側の側面
22 背方側の側面
23 前方側の側面
3 操作部
4 ガス管の接続部
5 隅部
51 辺
52 辺
6 隣接する機器
7 カウンター
8 ガスコック
A0 操作面20が向く方向
A1 背方側の側面21が向く方向
A2 背方側の側面22が向く方向
α 重複範囲
α1 A0とA1のなす角が直角よりも大きくなる範囲
α2 A0とA2のなす角が直角よりも大きくなる範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を備えた操作面を外面の一部に有する機器のケーシングであって、外面の一部として少なくとも、略直角をなすように隣接する二つの背方側の側面と、前記二つの背方側の側面が向くそれぞれの方向とのなす角がいずれも略直角より大きい方向を向く操作面と、を備えて成ることを特徴とする機器のケーシング。
【請求項2】
二つの背方側の側面にそれぞれ略直角をなすように隣接する二つの前方側の側面を備え、操作面の両側に前記二つの前方側の側面が隣接して平面視略五角形状をなすことを特徴とする請求項1記載の機器のケーシング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−110150(P2011−110150A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267682(P2009−267682)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】