説明

機器制御システム、移動端末およびプログラム

【課題】スケジュール制御に従った動作状態を現場にいながら容易に確認する。
【解決手段】機器制御システム1は、各機器7の動作を制御する制御装置2と、制御装置2と通信可能な可搬型の移動端末3とを備える。制御装置2の制御部25は、装置側記憶部24に記憶されている制御用スケジュールと移動端末3からの制御要求とに従って各機器7を制御する。移動端末3では、日時設定部36は、任意の日時を設定して設定日時とする。端末側記憶部35は、各機器7について制御内容と制御日時とを対応付けた端末側スケジュールを記憶する。シミュレート部37は、端末側スケジュールを用いて、日時設定部36で設定された設定日時での各機器7の動作状態をシミュレートする。機器状態反映部38は、各機器7がシミュレート部37でシミュレートされた動作状態になるように各機器7を制御させるための制御要求を制御装置2に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機器を制御する機器制御システム、複数の機器を制御する制御装置と通信可能な移動端末、および、複数の機器を制御する制御装置と通信可能なコンピュータに用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温暖化に伴って省エネルギーの社会的要求が高まっている。現在の省エネルギー法は、民生部門に対して、機器単体の性能を向上させるだけではなく、例えばBEMS(Building Energy Management System)などを利用した管理面での省エネルギー化を図ることを要求している。管理面での省エネルギー手法としては、機器の制御内容と制御日時とを対応付けた動作スケジュールを改善することが知られている。
【0003】
特許文献1には、複数の設備機器を制御するとともに監視する設備機器管理システムが開示されている。特許文献1に記載された設備機器管理システムは、各設備機器を制御するとともに監視するステーションと、ステーションに接続されている情報端末とを備えている。特許文献1に記載された設備機器管理システムでは、ステーションが各設備機器の監視・制御の結果を情報端末に通知し、情報端末が各設備機器の監視・制御の結果を表示する。また、特許文献1に記載された情報端末は、各設備機器の動作スケジュールを表示する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−303228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、これまでの機器制御に対する省エネルギー効果を分析する際に、動作スケジュールに従った制御(以下「スケジュール制御」という)が適切であったか否かを確認する必要がある。このような確認を行う場合、スケジュール制御による動作状態を再現することが求められる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の設備機器管理システムでは、スケジュール制御による動作状態を再現するためには、システム全体で用いられている日時を変更させなければならず、手間がかかり、時間を要するという問題があった。上記問題は、特に、再現する動作状態が多くなるほど、顕著になる。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みて為され、本発明の目的は、スケジュール制御に従った動作状態を現場にいながら容易に確認することができる機器制御システム、移動端末およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の機器制御システムは、複数の機器を制御する機器制御システムであって、前記複数の機器の各々の動作を通信によって制御する制御装置と、前記制御装置と通信可能な可搬型の移動端末とを備え、前記制御装置は、前記複数の機器の各々について制御内容と制御日時とを対応付けた制御用スケジュールを記憶する装置側記憶部と、前記制御用スケジュールおよび前記移動端末からの制御要求に従って前記複数の機器を制御する制御部とを含み、前記移動端末は、前記複数の機器の各々について制御内容と制御日時とを対応付けた端末側スケジュールを記憶する端末側記憶部と、任意の日時を設定して設定日時とする日時設定部と、前記端末側スケジュールを用いて、前記日時設定部で設定された前記設定日時での前記複数の機器の動作状態をシミュレートするシミュレート部と、前記複数の機器が前記シミュレート部でシミュレートされた前記動作状態になるように前記複数の機器を制御させるための前記制御要求を前記制御装置に出力する機器状態反映部とを含むことを特徴とする。
【0009】
この機器制御システムにおいて、前記複数の機器は、予め決められたエリア内に配置されることが好ましい。
【0010】
この機器制御システムにおいて、前記制御装置は、前記動作状態反映部から前記制御装置に前記制御要求が出力された場合に前記制御部による前記制御用スケジュールに従った制御を無効にするスケジュール制御抑止部を含むことが好ましい。
【0011】
この機器制御システムにおいて、前記移動端末は、前記端末側スケジュールを変更するための変更情報がGUIによって入力される入力部と、前記入力部に入力された前記変更情報を用いて前記端末側スケジュールを編集するスケジュール編集部とを含むことが好ましい。
【0012】
この機器制御システムにおいて、前記移動端末は、前記複数の機器の各々について前記シミュレート部でシミュレートされた前記動作状態をアイコンで表示する表示部を含むことが好ましい。
【0013】
この機器制御システムにおいて、前記表示部は、前記複数の機器の各々について当該機器の位置が示された地図上に前記アイコンを重ね合わせて表示することが好ましい。
【0014】
この機器制御システムにおいて、前記入力部は、前記表示部に表示されている前記アイコンが選択されるとともに、当該アイコンに対応する機器に対する前記変更情報が入力され、前記スケジュール編集部は、前記端末側スケジュールに対して、前記入力部で選択された前記アイコンに対応する機器の前記制御内容を変更することが好ましい。
【0015】
この機器制御システムにおいて、前記端末側記憶部は、前記端末側スケジュールにおいて、前記複数の機器のうち2以上の機器をグループ機器として同一の前記制御内容を記憶し、前記移動端末は、前記グループ機器のいずれかに対応する前記アイコンが前記入力部で選択されて当該グループ機器の前記制御内容が前記スケジュール編集部によって前記端末側スケジュールから削除される場合に、当該グループ機器の残りに対して影響がある旨を報知する報知部を含むことが好ましい。
【0016】
この機器制御システムにおいて、前記端末側記憶部は、前記端末側スケジュールにおいて、前記複数の機器のうち2以上の機器をグループ機器として同一の前記制御内容を記憶し、前記スケジュール編集部は、前記グループ機器のいずれかに対応する前記アイコンが前記入力部で選択されて当該アイコンに対応する機器の制御内容を前記端末側スケジュールから削除する場合に、当該グループ機器の残りを新しいグループ機器とするように前記端末側スケジュールを変更することが好ましい。
【0017】
この機器制御システムにおいて、前記スケジュール編集部は、2以上の前記アイコンが前記入力部で選択された場合に、前記入力部で選択された2以上の前記アイコンに対応する2以上の機器について同一の制御内容を前記端末側スケジュールに追加することが好ましい。
【0018】
この機器制御システムにおいて、前記移動端末は、前記端末側スケジュールの情報を前記制御装置に送出する端末側送出制御部を含み、前記制御装置は、前記制御用スケジュールの情報を、前記移動端末から送出された前記端末側スケジュールの情報に変更するスケジュール更新部を含むことが好ましい。
【0019】
この機器制御システムにおいて、前記制御装置は、前記制御用スケジュールの情報を前記移動端末に送出する装置側送出制御部を含み、前記移動端末は、前記制御装置から送出された前記制御用スケジュールの情報を前記端末側スケジュールに設定するスケジュール設定部を含むことが好ましい。
【0020】
本発明の移動端末は、外部からの制御要求に従って複数の機器の各々の動作を通信によって制御する制御装置と通信可能な可搬型の移動端末であって、前記複数の機器の各々について制御内容と制御日時とを対応付けた端末側スケジュールを記憶する端末側記憶部と、任意の日時を設定して設定日時とする日時設定部と、前記端末側スケジュールを用いて、前記日時設定部で設定された前記設定日時での前記複数の機器の動作状態をシミュレートするシミュレート部と、前記複数の機器が前記シミュレート部でシミュレートされた前記動作状態になるように前記複数の機器を制御させるための前記制御要求を前記制御装置に出力する機器状態反映部とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明のプログラムは、外部からの制御要求に従って複数の機器の各々の動作を通信によって制御する制御装置と通信可能な可搬型のコンピュータを、前記複数の機器の各々について制御内容と制御日時とを対応付けた端末側スケジュールを記憶する端末側記憶手段、任意の日時を設定して設定日時とする日時設定手段、前記端末側スケジュールを用いて、前記日時設定手段で設定された前記設定日時での前記複数の機器の動作状態をシミュレートするシミュレート手段、および、前記複数の機器が前記シミュレート手段でシミュレートされた前記動作状態になるように前記複数の機器を制御させるための前記制御要求を前記制御装置に出力する機器状態反映手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、設定日時での複数の機器の動作状態を移動端末でシミュレートし、シミュレートした動作状態になるように制御装置で実際の機器を制御する。これにより、本発明では、移動端末でシミュレートされた設定日時での動作状態を現場にいながら容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態1に係る機器制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同上に係る移動端末の表示画面を示す図である。
【図3】実施形態1の変形例に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態2に係る移動端末の表示画面を示す図である。
【図5】実施形態3に係る機器制御システムによる注意メッセージを表示する動作を示すフローチャートである。
【図6】同上に係る機器制御システムによるスケジュール編集の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の実施形態1〜3では、複数の機器を制御する機器制御システムについて説明する。
【0025】
(実施形態1)
実施形態1に係る機器制御システム1は、図1に示すように、複数の機器7,7,7,……の各々の動作を通信によって制御する制御装置2と、制御装置2と通信可能な可搬型の移動端末3とを備えている。各機器7は、予め決められたエリア内に配置されている。
【0026】
各機器7が配置されているエリアは、例えば食品スーパーマーケットなどである。ただし、各機器7が配置されているエリアは上記に限定されず、他の場所であってもよい。
【0027】
各機器7は、エリアの照明環境またはエリアの空調環境などを調整する機器である。つまり、各機器7は、例えばエリア内の明るさを調整する照明機器、エリア内の気温を調整する空調機器、冷凍食品などのための冷凍機、または冷蔵機などである。複数の機器7,7,7,7,……は、異種(例えば照明機器、空調機器、冷凍機および冷蔵機のうちの少なくとも2つ)の組み合わせであってもよいし、全て同種(例えば照明機器、空調機器、冷凍機または冷蔵機のいずれか)であってもよい。
【0028】
次に、移動端末3について説明する。移動端末3は、例えばタブレットパーソナルコンピュータなどのような可搬型(ポータブル型)の端末であり、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)およびメモリが搭載されている。移動端末3は、表示部31と、入力部32と、GUI処理部33と、端末側通信部34と、端末側記憶部35と、日時設定部36と、シミュレート部37と、機器状態反映部38とを備えている。
【0029】
入力部32は、ユーザがGUI(Graphical User Interface)によって移動端末3に情報を入力する際に用いられる。入力部32には、タッチパネルによって操作情報が入力される。
【0030】
GUI処理部33は、表示部31および入力部32に関する各種の処理を実行する。ユーザから移動端末3が提供するGUIによって操作が行われると、GUI処理部33が操作内容を判断する。
【0031】
端末側通信部34は、制御装置2と移動端末3とが通信するための通信インタフェースであり、制御装置2と情報の授受を行う。制御装置2と移動端末3との間の通信は、例えば有線LAN(Local Area Network)または無線LANなどを用いたIP通信であってもよいし、制御装置2に移動端末3が直接設置されるような専用線を用いた通信であってもよい。
【0032】
端末側記憶部35は、各機器7の制御内容と制御日時とを対応付けた端末側スケジュールを記憶する。
【0033】
日時設定部36は、任意の日時が入力部32に入力された場合、入力部32に入力された日時を設定日時として設定する。
【0034】
シミュレート部37は、日時設定部36で設定された設定日時に対応する制御内容を端末側記憶部35の端末側スケジュールから抽出する。制御内容を抽出したシミュレート部37は、上記制御内容を用いて各機器7の動作状態をシミュレートする。
【0035】
シミュレート部37は、シミュレートした動作状態に関する情報はGUI処理部33に出力し、GUI処理部33は、表示部31が表示するための表示画面を生成する。
【0036】
表示部31は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどであり、図2に示すように、シミュレート部37で生成された動作状態をアイコン6で表示する。アイコン6は、動作状態に応じて表示形態が異なるようになっている。これにより、アイコン6を見たユーザは、動作状態を知ることができる。
【0037】
図1に示す機器状態反映部38は、シミュレート部37で動作状態がシミュレートされた場合に、制御要求を生成する。制御要求は、各機器7がシミュレート部37でシミュレートされた動作状態になるように各機器7を制御させるという要求である。制御要求を作成した機器状態反映部38は、端末側通信部34を用いて制御要求を制御装置2に出力する。
【0038】
次に、制御装置2について説明する。制御装置2は、CPUおよびメモリが搭載されたコンピュータを主構成要素とし、各機器7の動作を指示したり、各機器7の動作状態に関する情報を収集したりする。制御装置2は、第1の装置側通信部21と、計時部22と、日時情報取得部23と、装置側記憶部24と、制御部25と、第2の装置側通信部26と、スケジュール制御抑止部27とを備え、各機器7が配置されているエリアとは異なる場所に設置されている。
【0039】
第1の装置側通信部21は、制御装置2と各機器7とが通信するための通信インタフェースである。制御装置2と各機器7との間の通信は、例えば時分割多重伝送、Ethernet(登録商標)またはRS−232Cなどのような有線通信であってもよいし、例えばZigBee(登録商標)などのような無線通信であってもよい。
【0040】
第2の装置側通信部26は、制御装置2と移動端末3とが通信するための通信インタフェースであり、移動端末3と情報の授受を行う。
【0041】
日時情報取得部23は、現在日時に関する日時情報を計時部22から取得する。計時部22は、例えばリアルタイムクロック(RTC:Real Time Clock)などであり、現在日時を計時する。計時部22で計時される現在日時は、日付(年・月・日)と時刻(時・分・秒)との組み合わせである。
【0042】
装置側記憶部24は、各機器7について制御内容と制御日時とを対応付けた制御用スケジュールを記憶する。
【0043】
制御部25は、コマンド生成部251と、コマンド実行部252とを備え、制御用スケジュールに従って各機器7を制御する。また、制御部25は、移動端末3からの制御要求に従って各機器7を制御する機能(割り込み制御機能)を有している。移動端末3から制御要求があった場合、制御部25は、移動端末3からの制御要求を制御用スケジュールよりも優先して各機器7を制御する。この場合、制御部25は、いわゆる割り込み制御を行う。
【0044】
コマンド生成部251は、制御用スケジュールに従って制御する場合、日時情報取得部23で取得された日時情報を定期的に参照し、日時情報の現在日時と制御用スケジュールの制御日時とが一致すると、制御対象となる機器7に対する制御コマンドを生成する。
【0045】
一方、移動端末3からの制御要求に従って制御する場合、コマンド生成部251は、制御要求に従って、制御対象となる機器7に対する制御コマンドを生成する。
【0046】
コマンド実行部252は、コマンド生成部251で制御コマンドが生成されると、上記制御コマンドを実行し、対象となる機器7を制御する。
【0047】
スケジュール制御抑止部27は、移動端末3から制御装置2に制御要求が出力された場合に、制御部25による制御用スケジュールに従った各機器7の制御を無効にする。
【0048】
ところで、移動端末3は、端末側スケジュールの内容を編集するスケジュール編集部39を備えている。
【0049】
端末側スケジュールの情報を変更するための変更情報がユーザによって入力部32に入力された場合、GUI処理部33は、スケジュール編集部39にスケジュール変更要求を出力する。スケジュール編集部39は、スケジュール変更要求をGUI処理部33から受け取ると、端末側記憶部35に記憶されている端末側スケジュールの情報を変更する。なお、スケジュール変更要求は、GUI処理部33が発生してもよいし、GUI処理部33以外が発生してもよい。
【0050】
ところで、制御装置2は、制御用スケジュールの情報を移動端末3へ送出する装置側送出制御部28を備え、移動端末3は、制御装置2から送出された制御用スケジュールの情報を端末側スケジュールに設定するスケジュール設定部41を備えている。スケジュール設定部41は、端末側通信部34を用いて、制御装置2から送出された制御用スケジュールの情報を受け取ると、端末側記憶部35の端末側スケジュールの情報を制御用スケジュールの情報に更新する。
【0051】
また、移動端末3は、端末側スケジュールの内容を制御装置2へ送出する端末側送出制御部42を備え、制御装置2は、制御用スケジュールの内容を、移動端末3から送出された端末側スケジュールの内容に変更するスケジュール更新部29を備えている。移動端末3において、シミュレート部37でシミュレートされた後、端末側送出制御部42は、端末側スケジュールの情報を制御装置2に反映させるために、端末側通信部34を用いて端末側スケジュールの情報を転送する。制御装置2のスケジュール更新部29は、第2の装置側通信部26を用いて端末側スケジュールの情報を受け取ると、端末側スケジュールの情報に装置側記憶部24の制御用スケジュールの情報を更新する。
【0052】
なお、制御装置2の装置側記憶部24には、制御装置2が各種の機能を実行するためのプログラムが格納されている。つまり、装置側記憶部24には、制御装置(コンピュータ)2を、第1の装置側通信部21、計時部22、日時情報取得部23、装置側記憶部24、制御部25および第2の装置側通信部26として機能させるためのプログラムが格納されている。また、装置側記憶部24には、制御装置2を、スケジュール制御抑止部27、装置側送出制御部28およびスケジュール更新部29として機能させるためのプログラムが格納されている。
【0053】
上記プログラムは、制御装置2の出荷時に装置側記憶部24に予め記憶される。ただし、制御装置2が上記プログラムを出荷後に搭載する場合、制御装置2が上記プログラムを搭載する手法の一例としては、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いる手法がある。記録媒体は、例えばメモリカード、CD−ROMまたはDVD−ROMなどである。記録媒体を用いる場合、制御装置2は、記録媒体のデータを読み取るためのドライブ装置(図示せず)を備えていればよい。また、他の手法としては、ネットワークを用いて上記プログラムをサーバからダウンロードする手法がある。ネットワークを介して上記プログラムをダウンロードする場合、制御装置2は、ネットワークを用いてサーバと通信するための通信機能(図示せず)を有していればよい。
【0054】
また、移動端末3の端末側記憶部35には、移動端末3が各種の機能を実行するためのプログラムが格納されている。つまり、端末側記憶部35には、移動端末(コンピュータ)3を、表示部31、入力部32、GUI処理部33、端末側通信部34、端末側記憶部35、日時設定部36、シミュレート部37および機器状態反映部38として機能させるためのプログラムが格納されている。さらに、端末側記憶部35には、移動端末3を、スケジュール編集部39、スケジュール設定部41および端末側送出制御部42として機能させるためのプログラムが格納されている。
【0055】
上記プログラムは、移動端末3の出荷時に端末側記憶部35に予め記憶される。ただし、移動端末3が上記プログラムを出荷後に搭載する場合、移動端末3が上記プログラムを搭載する手法の一例としては、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いる手法がある。記録媒体は、例えばメモリカード、CD−ROMまたはDVD−ROMなどである。記録媒体を用いる場合、移動端末3は、記録媒体のデータを読み取るためのドライブ装置(図示せず)を備えていればよい。また、他の手法としては、ネットワークを用いて上記プログラムをサーバからダウンロードする手法がある。ネットワークを介して上記プログラムをダウンロードする場合、移動端末3は、ネットワークを用いてサーバと通信するための通信機能(図示せず)を有していればよい。
【0056】
以上の説明より、本実施形態に係る機器制御システム1は、設定日時での各機器7の動作状態を移動端末3でシミュレートし、シミュレートした動作状態になるように制御装置2で実際の機器7を制御する。これにより、本実施形態では、ユーザは、移動端末3でシミュレートされた動作状態を現場にいながら容易に確認することができる。その結果、実際の制御に用いられる制御用スケジュールを短時間で最適に調整することができる。
【0057】
本実施形態によれば、各機器7が予め決められたエリア内に配置されていることによって、ユーザは、現場の状況を確認しながら、エリア内の各機器7の動作状態を把握することができる。これにより、例えば端末側スケジュールを容易に調整することができる。
【0058】
本実施形態に係る機器制御システム1は、移動端末3でシミュレートされた動作状態を実際に確認する場合に、制御装置2の制御用スケジュールに従った制御を無効にする。これにより、本実施形態では、移動端末3でシミュレートされた動作状態を安定した状態で評価することができる。
【0059】
本実施形態によれば、ユーザは、移動端末3の入力部32から情報を入力することができるので、移動端末3上で端末側スケジュールを編集することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る機器制御システム1によれば、表示部31が機器7ごとに動作状態をアイコン6で表示することによって、ユーザは複数の機器7,7,7,……の動作状態を一望することができる。これにより、例えば複数の照明機器を制御する場合に、隣接する照明機器の動作状態を考慮しながら省エネルギーのための間引き運転を行うように複数の照明機器を制御することができる。
【0061】
本実施形態に係る機器制御システム1は、端末側スケジュールの情報を移動端末3から制御装置2に送出し、制御用スケジュールの情報を端末側スケジュールの情報に変更する。これにより、本実施形態では、端末側スケジュールの情報を、実際の機器制御に用いられる制御用スケジュールに反映することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る機器制御システム1は、制御用スケジュールの情報を制御装置2から移動端末3に送出し、制御用スケジュールの情報を端末側スケジュールに設定する。これにより、本実施形態では、実際の機器制御に用いられる制御用スケジュールの情報を基準にして、端末側スケジュールの情報を設定することができる。
【0063】
なお、制御装置2は、1つのユニットである必要はなく、図3に示すように複数のユニットから構成されていてもよい。図3に示す制御装置2は、第1の制御ユニット51と第2の制御ユニット52とから構成されている。第1の制御ユニット51と第2の制御ユニット52との間は、第3の装置側通信部53と第4の装置側通信部54とによって通信が行われる。
【0064】
また、制御装置2は、移動端末3から制御要求を受け取ると、内部でスケジュール無効要求を発生し、スケジュール制御抑止部27により制御用スケジュールを無効にしてもよい。
【0065】
さらに、制御装置2において、コマンド生成部251とスケジュール制御抑止部27とが同じブロックで構成されていてもよい。
【0066】
なお、移動端末3は、スケジュール設定部41をスケジュール編集部39に含め、制御装置2から受け取った制御用スケジュールの情報をスケジュール編集部39が解釈して端末側スケジュールを更新してもよい。
【0067】
(実施形態2)
実施形態2に係る機器制御システム1は、図4に示すように、動作状態を表わすアイコン6を地図上に重ね合わせて表示する点で、実施形態1に係る機器制御システム1と相違する。なお、実施形態1の機器制御システム1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施形態の端末側記憶部35は、地図情報および各機器7の位置情報をさらに記憶している。移動端末3へ位置情報を入力する方法としては、GPS(Global Positioning System)などにより自動的に検知して入力する方法、または、ユーザなどが手動で入力する方法などがある。なお、実施形態1の端末側記憶部35と同様の機能については説明を省略する。
【0069】
本実施形態のGUI処理部33は、端末側記憶部35の地図情報を用いて、各機器7の動作状態を表わすアイコン6を地図上に重ね合わせて表示するように表示部31を制御する。なお、実施形態1のGUI処理部33と同様の機能については説明を省略する。
【0070】
本実施形態の表示部31は、GUI処理部33による制御に従って、図4に示すように、各機器7の位置が示された地図上にアイコン6を重ね合わせて表示する。アイコン6は、動作状態に応じて表示形態が異なるようになっている。これにより、アイコン6を見たユーザは、動作状態を知ることができる。なお、実施形態1の表示部31と同様の機能については説明を省略する。
【0071】
ところで、本実施形態の入力部32は、表示部31に表示されているアイコン6が選択され、上記アイコン6に対応する機器7の制御内容を変更するための情報が入力される。なお、実施形態1の入力部32と同様の機能については説明を省略する。
【0072】
ユーザがアイコン6の状態を変化させることによって、GUI処理部33は、現在表示させている画面とその変化内容とから端末側スケジュールの情報の追加または削除を自動的に判断する。端末側スケジュールの情報の追加または削除を判断したGUI処理部33は、端末側スケジュールに対する追加要求または削除要求をスケジュール編集部39に出力する。
【0073】
本実施形態のスケジュール編集部39は、GUI処理部33から受け取った追加要求または削除要求に従って、端末側記憶部35に記憶されている端末側スケジュールに対して、入力部32で選択されたアイコン6に対応する機器7の制御内容を変更する。なお、実施形態1のスケジュール編集部39と同様の機能については説明を省略する。
【0074】
以上、本実施形態の移動端末3は、設定日時での動作状態を示すアイコン6を地図上における機器7の位置に重ね合わせて表示することによって、各機器7の位置をわかりやすく表示することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、ユーザは、移動端末3でシミュレートされている設定日時に対応付けられた制御内容を、各機器7の動作状態を確認しながら変更(追加または削除)することができる。
【0076】
なお、移動端末3において、端末側記憶部35の地図情報をGUI処理部33ではなくシミュレート部37が取得し、シミュレート部37が地図情報を含めた動作状態の表示情報を作成してGUI処理部33に出力する方法であってもよい。
【0077】
(実施形態3)
実施形態3では、グループ制御を行う場合について説明する。グループ制御とは、2以上の機器7を同一のグループに属するグループ機器とし、グループ機器に対して同一の制御内容を用いた制御をいう。なお、実施形態2の機器制御システム1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
本実施形態の端末側記憶部35は、端末側スケジュールにおいて、複数の機器7,7,7,……のうち2以上の機器7をグループ機器として同一の制御内容を記憶している。なお、実施形態2の端末側記憶部35と同様の機能については説明を省略する。
【0079】
本実施形態の移動端末3は、グループ機器のいずれかの機器7に対応するアイコン6が入力部32で選択された場合、つまり、変更対象がグループ機器のいずれかの機器7である場合、グループ機器の残りの機器7に対して影響がある旨の注意メッセージを表示する。注意メッセージには他のどの機器7が影響するかを含めることが可能である。注意メッセージを表示する動作について図5を用いて説明する。
【0080】
まず、本実施形態のGUI処理部33は、操作内容を解析する(図5のS1)。スケジュール変更がない場合、終了する。一方、スケジュール変更がある場合(S2)、GUI処理部33は、変更要求をスケジュール編集部39に出力する(S3)。
【0081】
本実施形態のスケジュール編集部39は、GUI処理部33から変更要求を受け取ると、変更要求の内容を確認する(S4)。変更対象スケジュールの制御対象の機器7がグループ機器である場合(S5)、スケジュール編集部39は、同一のグループに属する全ての機器7を変更するか否かを判断する(S6)。全ての機器7を変更しない場合、スケジュール編集部39は、GUI処理部33に注意メッセージを表示させるための表示要求を出力する(S7)。一方、ステップS5において制御対象の機器7がグループ機器ではない場合、およびステップS6において全ての機器7を変更する場合、スケジュール編集部39は、端末側スケジュールの情報を変更する(S8)。
【0082】
GUI処理部33は、スケジュール編集部39から表示要求を受け取ると、注意メッセージを表示画面に表示させるように表示部31を制御する(S9)。
【0083】
本実施形態の表示部31は、GUI処理部33による制御に従って、注意メッセージを表示する。本実施形態の表示部31は、報知部としての機能を有している。なお、実施形態2の表示部31と同様の機能については説明を省略する。
【0084】
ところで、グループ機器のいずれかの機器7に対する制御内容を削除する際に、グループ機器の残りの機器7に対してこれまで通りのスケジュール制御を行いたい場合、スケジュール編集部39は、グループ機器のメンバーから変更対象の機器7を削除する。さらに、スケジュール編集部39は、グループ機器の残りの機器7を新しいグループ機器とするように再登録する。
【0085】
なお、移動端末3が変更前と変更後のグループ設定データを保持し、制御装置2がグループ設定データを変更しないようにすることも可能である。また、既存のグループ設定を変更したくない場合は、新しいグループ設定を追加し、スケジュールの制御対象を追加したグループとすることで対応することも可能とする。このような場合の動作について図6を用いて説明する。
【0086】
まず、削除対象の機器7がグループ機器であるか否かを判定する(図6のS11)。削除対象の機器7がグループ機器ではない場合、スケジュール編集部39は、削除対象の機器7を削除する(S12)。
【0087】
一方、削除対象の機器7がグループ機器である場合、既存のグループ機器の設定が変更可能であるか否かを判断する(S13)。変更可能である場合、グループ機器の設定を変更する(S14)。これに対して、変更可能ではない場合、新しいグループ機器の設定を追加する(S15)。その後、制御対象を追加したグループに変更する(S16)。
【0088】
また、本実施形態のスケジュール編集部39は、2以上のアイコン6が入力部32で選択された場合に、入力部32で選択された2以上のアイコン6に対応する2以上の機器7についてグループ機器とし、同一の制御内容を端末側スケジュールに追加する機能を有している。
【0089】
以上、本実施形態によれば、移動端末3の表示部31が注意メッセージを表示することによって、ユーザは、グループ機器に含まれる他の機器7の制御内容を誤って変更することを避けることができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、グループ機器から、入力部32で選択された機器7を除く処理をスムーズに行うことができる。
【0091】
さらに、本実施形態によれば、グループ機器の制御内容をスムーズに追加することができる。
【0092】
なお、注意メッセージの報知は、表示部31による表示に限定されず、警報音または音声などのような音の出力であってもよい。
【0093】
また、地図上の複数のアイコン6を指定する方法としては、個々のアイコン6をタッチする方法、複数のアイコン6を囲む操作を行う方法などがある。
【符号の説明】
【0094】
1 機器制御システム
2 制御装置
24 装置側記憶部
25 制御部
27 スケジュール制御抑止部
28 装置側送出制御部
29 スケジュール更新部
3 移動端末
31 表示部
32 入力部
35 端末側記憶部
36 日時設定部
37 シミュレート部
38 機器状態反映部
39 スケジュール編集部
41 スケジュール設定部
42 端末側送出制御部
7 機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器を制御する機器制御システムであって、
前記複数の機器の各々の動作を通信によって制御する制御装置と、
前記制御装置と通信可能な可搬型の移動端末とを備え、
前記制御装置は、
前記複数の機器の各々について制御内容と制御日時とを対応付けた制御用スケジュールを記憶する装置側記憶部と、
前記制御用スケジュールおよび前記移動端末からの制御要求に従って前記複数の機器を制御する制御部とを含み、
前記移動端末は、
前記複数の機器の各々について制御内容と制御日時とを対応付けた端末側スケジュールを記憶する端末側記憶部と、
任意の日時を設定して設定日時とする日時設定部と、
前記端末側スケジュールを用いて、前記日時設定部で設定された前記設定日時での前記複数の機器の動作状態をシミュレートするシミュレート部と、
前記複数の機器が前記シミュレート部でシミュレートされた前記動作状態になるように前記複数の機器を制御させるための前記制御要求を前記制御装置に出力する機器状態反映部とを含む
ことを特徴とする機器制御システム。
【請求項2】
前記複数の機器は、予め決められたエリア内に配置されることを特徴とする請求項1記載の機器制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記動作状態反映部から前記制御装置に前記制御要求が出力された場合に前記制御部による前記制御用スケジュールに従った制御を無効にするスケジュール制御抑止部を含むことを特徴とする請求項1または2記載の機器制御システム。
【請求項4】
前記移動端末は、
前記端末側スケジュールを変更するための変更情報がGUIによって入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記変更情報を用いて前記端末側スケジュールを編集するスケジュール編集部と
を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【請求項5】
前記移動端末は、前記複数の機器の各々について前記シミュレート部でシミュレートされた前記動作状態をアイコンで表示する表示部を含むことを特徴とする請求項4記載の機器制御システム。
【請求項6】
前記表示部は、前記複数の機器の各々について当該機器の位置が示された地図上に前記アイコンを重ね合わせて表示することを特徴とする請求項5記載の機器制御システム。
【請求項7】
前記入力部は、前記表示部に表示されている前記アイコンが選択されるとともに、当該アイコンに対応する機器に対する前記変更情報が入力され、
前記スケジュール編集部は、前記端末側スケジュールに対して、前記入力部で選択された前記アイコンに対応する機器の前記制御内容を変更する
ことを特徴とする請求項5または6記載の機器制御システム。
【請求項8】
前記端末側記憶部は、前記端末側スケジュールにおいて、前記複数の機器のうち2以上の機器をグループ機器として同一の前記制御内容を記憶し、
前記移動端末は、前記グループ機器のいずれかに対応する前記アイコンが前記入力部で選択されて当該グループ機器の前記制御内容が前記スケジュール編集部によって前記端末側スケジュールから削除される場合に、当該グループ機器の残りに対して影響がある旨を報知する報知部を含む
ことを特徴とする請求項7記載の機器制御システム。
【請求項9】
前記端末側記憶部は、前記端末側スケジュールにおいて、前記複数の機器のうち2以上の機器をグループ機器として同一の前記制御内容を記憶し、
前記スケジュール編集部は、前記グループ機器のいずれかに対応する前記アイコンが前記入力部で選択されて当該アイコンに対応する機器の制御内容を前記端末側スケジュールから削除する場合に、当該グループ機器の残りを新しいグループ機器とするように前記端末側スケジュールを変更する
ことを特徴とする請求項7記載の機器制御システム。
【請求項10】
前記スケジュール編集部は、2以上の前記アイコンが前記入力部で選択された場合に、前記入力部で選択された2以上の前記アイコンに対応する2以上の機器について同一の制御内容を前記端末側スケジュールに追加することを特徴とする請求項7記載の機器制御システム。
【請求項11】
前記移動端末は、前記端末側スケジュールの情報を前記制御装置に送出する端末側送出制御部を含み、
前記制御装置は、前記制御用スケジュールの情報を、前記移動端末から送出された前記端末側スケジュールの情報に変更するスケジュール更新部を含む
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【請求項12】
前記制御装置は、前記制御用スケジュールの情報を前記移動端末に送出する装置側送出制御部を含み、
前記移動端末は、前記制御装置から送出された前記制御用スケジュールの情報を前記端末側スケジュールに設定するスケジュール設定部を含む
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【請求項13】
外部からの制御要求に従って複数の機器の各々の動作を通信によって制御する制御装置と通信可能な可搬型の移動端末であって、
前記複数の機器の各々について制御内容と制御日時とを対応付けた端末側スケジュールを記憶する端末側記憶部と、
任意の日時を設定して設定日時とする日時設定部と、
前記端末側スケジュールを用いて、前記日時設定部で設定された前記設定日時での前記複数の機器の動作状態をシミュレートするシミュレート部と、
前記複数の機器が前記シミュレート部でシミュレートされた前記動作状態になるように前記複数の機器を制御させるための前記制御要求を前記制御装置に出力する機器状態反映部と
を備えることを特徴とする移動端末。
【請求項14】
外部からの制御要求に従って複数の機器の各々の動作を通信によって制御する制御装置と通信可能な可搬型のコンピュータを、
前記複数の機器の各々について制御内容と制御日時とを対応付けた端末側スケジュールを記憶する端末側記憶手段、
任意の日時を設定して設定日時とする日時設定手段、
前記端末側スケジュールを用いて、前記日時設定手段で設定された前記設定日時での前記複数の機器の動作状態をシミュレートするシミュレート手段、および、
前記複数の機器が前記シミュレート手段でシミュレートされた前記動作状態になるように前記複数の機器を制御させるための前記制御要求を前記制御装置に出力する機器状態反映手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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