説明

機器制御システム

【課題】 セキュリティに強いとともに、正規の携帯器からの制御データは正しく認識できる機器制御システムを提供すること
【解決手段】 携帯器10は、自己を特定するIDコードと、送信する都度更新される計時コードに基づき生成される制御データを送信する。親機20は、IDコード比較部23と計時コード比較部24にて、受信した制御データ中に含まれるIDコードと計時コードが正しいと判定された場合に、セキュリティ制御部27がセキュリティ装置に対して作動指令信号を出力する。計時コードが正しくなかった場合には、その計時コードを比較用計時コード記憶部26に格納し、次の受信時には、その比較用計時コード記憶部に格納された今回受信された計時コードと比較し、正しい関係にあるか否かを判断する。よって、携帯器側の計時コードが大きく進んでも、2度目の受信で正しいと判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両用ドア錠や、イモビライザー,二輪車の荷物ケース,キーカバー,セキュリティ等の車両用の機器やその他のリモコン操作により動作・制御する各種の機器に対する機器制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電波を利用した機器制御システムの一態様として、車両のドア錠の解錠/施錠を行う車両用ドア錠制御システムがある。この車両用ドア錠制御システムとしては、大別すると、携帯器(送信機)を持ったユーザが、その携帯器に設けた操作ボタンスイッチを押下する必要がある手動式のものと、携帯器を持ち歩くだけで自動的に解錠,施錠が行われる自動式のものがある。例えば、手動式の車両用ドア錠制御システムは、携帯器の操作ボタンスイッチを押下することにより、所定のコードを送信する。すると、車両に搭載した親機(受信機)が係るコードを受信するので、その受信に伴い所定の処理(ドア錠の解錠/施錠等)を実行するようにしている。
【0003】
ところで、携帯器から発せられたコード(制御データ)が、関連しない他の親機で受信されて誤動作しないように、通常、上記コードには携帯器を特定・認識するためのIDコードを付加するようにしている。このようにIDコードを付加することにより、異なる携帯器からのコードを受信し、それにより誤動作をしてしまうことは抑制できる。
【0004】
しかし、IDコードが盗まれると、違法に携帯器をコピー・作成し、そのIDコードを利用することにより、正規ユーザに成りすまして親機が制御されるおそれがある。つまり、例えば、ドア錠が解錠され、盗難されてしまうおそれがある。そこで、係るコード情報に送信ごとにデータが異なる(更新される)計時コードを付与し、親機は、IDコードと計時コードの両方が条件に合致する制御データを受信したときに正規の携帯器からの命令と判断し、その命令に応じた処理を実行するようにしている。
【0005】
ここで、従来の計時コードの生成方法としては、以下のものがある。例えば、更新のたびに数値をNずつ増加させたり減じたりし、所定の値になった場合は初期値に戻るようにさせるコードがある。例えば、Nを1,初期値を0,終了値を100として増加させる場合には、更新するたびに0→1→2→…→100→0→1→と変化する。
【0006】
また、ランダムの数値による数値テーブルを用意し、更新のたびに数値テーブル上の次データを計時コードとする方法もある。例えば、図1の例では8ビットの数値テーブルを持たせ、更新のたびに数値テーブルのビット位置を増加させ3→8→2→6→9→5→1→7と読み込む。そして、数値テーブルの最終ビット(8ビット)までいったら、数値テーブルの1ビット目に戻って繰り返しても良いし、7→1→5→9→6→2→8→3と前ビットに戻るように設定してもよい。
【0007】
一方、親機側では、携帯器から送られてきたコードを受信部で受信するとともに、受信データを解析し、IDコードと計時コードを抽出し、IDコード並びに計時コードが正しいか否かの判定を行う。すなわち、前回受信した計時コードを比較用計時コード記憶部に記憶して、その記憶した前回の計時コードと今回受信した計時コードが上記した計時コードの生成要件で定められた関係であるか否かを判断し、一定の関係にある場合に正規の携帯器からの信号と判断するようになる。
【0008】
具体的には、例えば、前者の計時コード発生部がNずつ加減算される方式の場合では前回受信した数値よりNだけ増加または減じた計時コードを受信すれば正規の携帯器からの計時コードと判定できる。また、後者のランダムコードの場合は、親機側でも携帯器と同じ数値テーブルをもち、前回受信した数値と今回受信した数値が、変数テーブルで前後の関係になっている場合に正規の携帯器からの計時コードと判定できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、親機が受信できない位置で携帯器側で操作ボタンスイッチを押下(「からうち」)すると、携帯器側の計時コードは1つ進むが、親機側では携帯器からの信号を受信しないので比較用計時コードは前のままとなる。すなわち、携帯器と親機の計時コード(比較用計時コード)の同期が狂ってしまう。その結果、その後、たとえ正規の携帯器からの信号を受信しても計時コードは一致しないので、動作不能となる。そこで、そのための対策として親機で受信した計時コードが前回受信した時の計時コードと所定の範囲まで相違する場合は所定の計時コードを受信したと判定するようにしている。
【0010】
この場合、「からうち」に対する対応は可能なものの許容範囲が狭い場合は所定回数以上の「からうち」には対応できず、また許容範囲が広い場合は、複写されたコードが一致する確率が高くなるという問題を有する。さらに、「からうち」が複数回繰り返し行われると、携帯器側と親機側の計時コードのずれが大きくなり、やはり許容範囲を超えてしまうおそれもある。
【0011】
なお、ドア錠の解錠/施錠以外にも、携帯器からのリモコン操作により動作する車両用の機器としては、盗難防止システムの一つであるイモビライザー等がある。このイモビライザーも、降車時に確実にセット(ドア錠で言う施錠)される必要があるとともに、正規ユーザが乗車する際には、解除されてエンジンが掛けられるようにする必要があるので、上記と同様の問題を生じる。
【0012】
さらに、二輪車の盗難防止システムの一つとして、車輪の鍵によるロックやハンドルロック等のセキュリティ機構がある。また、盗難・いたずら防止などを目的として、降車する際に、通常露出するエンジンキー部を開閉可能なキーカバーで閉塞するものもある。係るシステムにおいてもロック,キーカバーの開閉をさせるための機器(アクチュエータ)を作動させるために、携帯器をマニュアル操作するものがある。
【0013】
さらにまた、車両用の機器としては、上記した車両に組み込まれたアクチュエータに限ることはなく、車両とは独立して設置される機器もある。すなわち、例えば、盗難防止(セキュリティ)のために、車両に接近してきたり、車室内に侵入してきたり、車両に不信な振動があるか等の車両の状態を監視し、異常と判定した場合には、警報を発したり、ユーザに連絡をするシステムもあり、係るシステムの監視開始,解除の設定を携帯器からの信号で行う場合にも、同様の問題を有する。
【0014】
本発明は、上記した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上記した問題を解決し、「からうち」その他の理由から、正規の携帯器の計時コードが許容範囲を超えて進んでしまった場合でも正しいと判定することができ、しかも、不正にコピーされたデータに基づいて偽造された携帯器からの制御データに基づいては動作しないようにしたセキュリティの高い機器制御システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成するための機器制御システムは、制御データを送出する携帯器と、前記携帯器から送出される前記制御データに基づき、機器に対して作動指令信号を出力する親機を備え、前記携帯器は、自己を特定するIDコードを記憶するIDコード記憶手段と、送信する都度更新される計時コードを生成する計時コード生成手段と、前記IDコード記憶手段に格納された前記IDコードと、前記計時コード生成部で生成された前記計時コードに基づいて前記制御データを生成するデータ生成手段を備え、前記親機は、前記制御データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した制御データ中に含まれる前記IDコードが、正規のIDコードか否かを判定するIDコード判定手段(実施の形態では「IDコード比較部」に対応)と、前回受信した正規のIDコードを含む制御データ中に含まれた計時コードを比較用計時コードとして記憶する比較用計時コード記憶手段と、今回受信した前記制御データ中に含まれる計時コードと、前記比較用計時コード記憶手段に格納された前記比較用計時コードを比較し、正しい計時コードか否かを判断する計時コード判定手段(実施の形態では、「計時コード比較部」に対応)と、前記IDコード判定手段と、前記計時コード判定手段の判定結果が共に正しい場合に、前記機器の制御を行う制御手段(実施の形態では、「セキュリティ制御部」に対応)を備えて構成した。なお、携帯器から送出される制御データは、一定間隔毎に自動的に操車される場合と、ユーザのマニュアル操作に基づいて送出される場合のいずれでも良い。
【0016】
ここで、制御データであるが、具体的な制御の内容を含むデータはもちろんのこと、実施例でも説明した通り、具体的な制御の内容を特定する情報(データ)を含まない場合も本発明で言う制御データに該当する。要は、制御データを受信した親機側で、正規の制御データを受信したことに基づいて所望の制御が行われるものであればよい。
【0017】
この発明によれば、計時コードを付加することにより、携帯器から送信される都度制御データが更新されるので、仮に制御データがコピーされたとしても、そのコピーされた制御データを用いて、親機に制御命令を送っても、計時コードが正しくないと判断される蓋然性が高い。また、親機が受信できない状態で正規の携帯器から制御データの送信が繰り返し行われると、親機側で記憶している前回の計時データに関する情報(比較用計時データ)と、実際に受信された計時データの関係が正しくなくなるので、たとえ正規の携帯器からの制御データであっても、親機は所定の制御を行わない。但し、このとき、正しくないと判定された受信した計時データを、比較用計時コード記憶部に格納することにより、次に正規の携帯器からの制御データを受信すると、計時データが正しい関係になり、所望の制御動作を行うことができる。
【0018】
また、好ましくは前記比較用計時コード記憶手段を複数設け、1つの比較用計時コード記憶手段には、正規のIDコードを含む制御データ中に含まれた計時コードであって、前記計時コード判定手段で正しいと判定された計時コードを格納し、別の比較用計時コード記憶手段には、正規のIDコードを含む制御データ中に含まれた計時コードであって、前記計時コード判定手段で正しくないと判定された計時コードを格納し、前記計時コード判定手段における判定をした結果、今回受信した制御データに含まれる計時コードが、前記別の比較用計時コード記憶手段に格納された比較用計時コードと正しい関係にある場合でも正しい計時コードを受信したと判定するようにすることである。
【0019】
このようにすると、正しくないと判定した受信した計時データが、偽のデータであったり、ノイズ等により化けたもの等の誤った計時データである場合に、それ以前に受信した正しい比較用計時データも保持しているので、上記誤ったデータによる影響がなく、次に正規の計時データを受信した場合に、係る正しい比較用計時データに基づいて正しい計時データを受信したと判定される。
【0020】
また、前記計時コード判定手段における判定をした結果、今回受信した制御データに含まれる計時コードが、前記別の比較用計時コード記憶手段に格納された比較用計時コードと正しい関係にある場合に、その別の比較用計時コード記憶手段に格納された比較用計時コードが、正しい比較用計時コードとするようにするとよい。
【0021】
また、前記別の比較用計時コード記憶手段に格納された比較用計時コードが正しくないものの場合に、その別の比較用計時コード記憶手段に格納された比較用計時コードを消去する機能を備えるとよい。正しくない比較用計時コードを消去することにより、不要な比較処理を行うことによる処理の遅れを解消することができる。なお、比較用計時コードが正しくないとの判定は、例えば、その比較用計時コードと、次に受信した正規のIDコードを持つ制御データに含まれる計時コードが正しい関係にないと言うように直接的に判定する場合と、係る比較用計時コードを受信(別の比較用計時コード記憶手段に格納)した時から、一定時間以上経過した場合(正規のもので有れば、通常続いて制御データが送られてくるため)のように間接的に判定する場合の両方ともある。また、消去とは、格納されたデータ自体を削除することはもちろんのこと、フラグなどを立ててアクセスしないようにしたり、さらには、別のデータで更新する場合など、各種の態様がある。さらにまた、別のデータで更新する場合に、例えば正しい比較用計時コードに更新すると良い。これにより、更新後は全ての比較用計時コード記憶手段に正しい比較用計時コードが格納されるので、次に計時コード判定手段が判定処理のために比較用計時コード記憶手段にアクセスした場合に、どの記憶手段のデータを取得しても1回目で正しい比較用計時コードを取得できるので好ましい。
【0022】
上記した目的を達成するための本発明に係る機器制御システムは、制御データを送出する携帯器と、前記携帯器から送出される前記制御データに基づき、機器に対して作動指令信号を出力する親機を備え、前記携帯器は、自己を特定するIDコードを記憶するIDコード記憶手段と、送信する都度更新される計時コードを生成する計時コード生成手段と、前記IDコード記憶手段に格納された前記IDコードと、前記計時コード生成部で生成された前記計時コードに基づいて前記制御データを一定間隔ごとに生成するデータ生成手段を備え、前記親機は、前記制御データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した制御データ中に含まれる前記IDコードが、正規のIDコードか否かを判定するIDコード判定手段と、前回受信した正規のIDコードを含む制御データ中に含まれた計時コードを記憶する計時コード記憶手段と、前回正規のIDコードを含む制御データを受信してからの経過時間を計る計時手段と、前記計時コード記憶手段に格納された前回受信した計時コードと、前記計時手段で求めた前記経過時間から比較用計時コードを求め、その比較用計時コードと、今回受信した前記制御データ中に含まれる計時コードとを比較し、今回受信したものが正しい計時コードか否かを判断する計時コード判定手段と、前記IDコード判定手段と、前記計時コード判定手段の判定結果が共に正しい場合に、前記機器の制御を行う制御手段を備えるようにした。
【0023】
携帯器から一定間隔毎に制御データが送信される場合には、係る制御データを親機が受信できない場合には、携帯器側の計時データが大きく進んでしまう。そのため、その後、親機が受信可能になった場合の最初の制御データは、親機側と携帯器側の計時データのずれが大きく、たとえ正規の携帯器からの制御データでも正しくないと判定されてしまう。そこで、計時手段を設け、前回受信してからの経過時間から、更新回数(携帯器から送出された制御データの回数)を求め、正規の携帯器から発せられる計時データを推定し、それと今回受信した計時データが所定の関係にあるか否かを判断することにより、最初の受信から正しいと判定することができる。
【0024】
また、上記した構成を前提とし、前記携帯器に、操作スイッチの操作に基づいて強制制御データを出力する機能を有し、前記強制制御データの送信タイミングを、前記一定間隔に合わせるようにするとよい。強制制御データの送信タイミングを、自動的に送出される制御データの送出タイミングにあわせることにより、携帯器と親機との間の計時データのずれを無くし、複雑な判定処理を行うことなく、親機側の計時手段に基づく計時データの推定処理によって、強制制御データも正しいものと認識できる。
【0025】
さらにまた、前記携帯器に、計時コードの初期値を生成する初期値生成手段を設け、前記計時コード生成手段は、前記初期値生成手段で生成された初期値に対して、前記計時コードを加算して加算計時コードを算出するとともに、以後、その加算計時コードに対して更新された計時コードを加算することにより次の加算計時コードを算出する機能を有し、前記親機は、前回受信した正規のIDコードを含む制御データ中に含まれた加算計時コードを前記計時コード記憶部に格納するようにし、前記計時コード記憶部に格納された加算計時コードと、今回受信した加算計時コードとの差を比較用計時コードとして記憶する比較用計時コード記憶手段を備え、前記計時コード判定手段は、次に正規のIDコードを含む制御データを受信した際に、その制御データに含まれた加算計時コードと、前記計時コード記憶部に格納された前回受信された加算計時コードとの差を求めるとともに、その差と前記計時手段で求められた前記経過時間並びに前記比較用計時コード記憶部に格納されたデータに基づいて、今回受信した制御データが正しいか否かを判定するように構成すると良い。
【0026】
このようにすると、初期値が変わることにより、実際に出力される制御データ(計時データ)の変化の履歴も変わるので、携帯器が盗まれたとしても、その計時データの更新ルールが解読されにくくなり、よりセキュリティが高まる。
【0027】
本発明が対象とする機器は、例えば、リモコン操作により動作が制御される車両のセキュリティ装置がある。すなわち、車両用ドア錠や、イモビライザー,二輪車の荷物ケース,キーカバー,盗難監視装置等がある。また、これらの車両用に限ることはなく、例えば、一般の家屋のドア錠の解錠/施錠の制御をリモコンで行う機器や、家屋・ガレージなどのドアの開閉を行う機器(携帯器からの信号に基づき自動的に開閉する機器)や、家屋或いは所定の敷地内での侵入監視装置等の他、リモコン操作により、動作が制御される機器であれば、本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、制御データを送信する都度、更新された異なる計時コードを含む制御データを用いるシステムにおいて、正しくないと判定された計時コードを一旦記憶保持し、次に受信した制御データに含まれる計時データと前記一時記憶保持したデータを比較する機能を設けたため、「からうち」その他の理由から、正規の携帯器から送信される計時コードが、親機側での許容範囲を超えて進んでしまった場合でも、次の受信では正しいと判定することができる。しかも、不正にコピーされたデータに基づいて偽造された携帯器からの制御データは、計時データが更新されず、毎回同じデータが送られるので、対応せず、セキュリティが高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図2は、本発明に係る機器制御システムの第1の実施の形態を示している。同図に示すように、送信機能を備えた携帯器10と、その携帯器10から送信される信号に基づきドア錠に対する開閉制御等のセキュリティ制御を行う親機20を備えている。具体的な構成は以下の通りである。
【0030】
まず、携帯器10は、自己を特定するためのIDコードを記憶するIDコード記憶部11と、送信ごとにデータ内容が更新される計時コードを生成する計時コード生成部12を備えている。この計時コード生成部12は、複数個の数値を用意し、所定の規則にしたがって、送信処理を行う都度、状態をインクリメントし、次の数値を計時コードとして出力するものである。なお、複数の数値は、例えば図1に示したように、ランダムに配列された数値でもよいし、連続した数値でも良い。そして、連続した数値の場合には、そのすべての数値を保持していても良いし、初期値と終了値とステップ数を記憶しておき、演算によりその都度該当する数値を求め計時コードとしてもよい。
【0031】
また、携帯器10の表面に露出するように操作スイッチボタン(図示省略)が設けられており、この操作スイッチボタンが押下されたことを、送信指示部13が検知すると、送信命令をデータ生成送信部14に与える。なお、操作スイッチボタンは、1個の場合もあるし、複数の場合もある。そして、複数の場合には、どのスイッチが押されたかの情報も合わせてデータ生成送信部14に送るようにしている。
【0032】
データ生成送信部14は、計時コードを用いて送信すべきコード(制御データ)を生成する。つまり、送信指示部13から送信命令を受け取ると、IDコード記憶部11に記憶されているIDコードを読み出すとともに、計時コード生成部12に対して計時コードの発行要求をする。計時コード生成部12は、係る発行要求を受けると、前回発行した数値と異なる数値(上記した所定の規則にしたがったもの)からなる計時コードを生成し、レスポンスとしてデータ生成送信部14に返す。そこで、データ生成送信部14は、取得したIDコードに計時コードを付与するとともに、その他必要なデータ(操作ボタンスイッチで指定される操作内容など)を含む制御命令データを生成する。なお、IDコードに計時コードを付与するというのは、計時コードをIDコードの後ろに付与したり、IDコードと計時コードを所定の演算を行って生成する等、多様な方法を採ることができる。そして、データ生成送信部14は、生成した送信すべきコード(制御信号)を送信アンテナ15を介して送信する。なお、係る携帯器の機能は、基本的に従来のものと同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0033】
親機20は、受信アンテナ21を介して捕捉した前記携帯器10からのコード(制御データ)を受信する受信部22を備えている。この受信部22は、受信したコードを解析し、IDコードと計時コードを抽出する。つまり、携帯器10で生成されるコードが、IDコードの後に計時コードを付加したものの場合には、先頭からのビット数に基づいて簡単に各コードを分離抽出できる。また、演算処理した場合には、逆演算処理することにより求めることができる。
【0034】
上記のように受信部22にて抽出されたIDコードと計時コードは、それぞれIDコード比較部23と計時コード比較部24に与えられる。そして、IDコード比較部23は、IDコード記憶部25に格納されたIDコードを読み出し、受信したIDコードと一致するか否かを判断し、その判断結果を計時コード比較部24とセキュリティ制御部27に与える。なお、IDコード記憶部23には、対応する携帯器10のIDコード記憶部11に記憶されるIDコードと同一のコードが格納されている。これにより、対応する携帯器10から送られてきたデータか否かが判別できる。
【0035】
計時コード比較部24は、比較用計時コード記憶部26に格納された比較用計時コードと今回受信した計時コードとを比較し、正しい計時コードか否かを判断するようにしている。この判断は、基本的に従来と同様の手法により行うことができる。すなわち、親機20側では、対応する携帯器10の計時コード生成部12における計時コードの更新ルールは既知であるので、その更新ルールに従って受信した計時コードが、比較用計時コード記憶部26に格納された前回受信した計時コードの次或いは一定回数以内の計時コードであるか否かを判断する。
【0036】
一例としては、計時コードは0から100までの値とし、更新の度に1ずつ増加させ100になったら次は0に戻るようにしているとすると、親機20は記憶している計時コードが受信した計時コードより10以内の場合には一致した(正しい)と判定し、11以上相違していれば一致していない(正しくない)と判定することなどである。
【0037】
そして、判断結果をセキュリティ制御部27に与える。これにより、セキュリティ制御部27では、IDコード比較部23の判断結果が「一致」(正しい)で、しかも、計時コード比較部24の判断結果が「正しい」場合に、セキュリティ制御部27は、正規の携帯器10からの制御信号を受信したと判断し、所定の制御動作を行う。つまり、例えばドア錠の開閉制御の場合には、解錠/施錠を行う。そして、どちらの処理を行うかは、例えば、受信したデータ(制御信号)に組み込まれている場合には、それに従うようにすれば良いし、現在の状態を認識し、それと逆(現在が解錠されている場合には施錠する)の処理を行うようにすることができる。
【0038】
ここで本発明では、計時コード比較部24で取得した今回受信した計時コードは、計時コード比較部24の判定結果の如何に関らず、IDコード比較部23の比較結果が一致判定を行っている場合には、係る今回受信した計時コードを比較用計時コード記憶部26に格納し、記憶内容を更新するようにしている。つまり、計時コード比較部24の判断結果が「正しい」場合には、係る受信した計時コードを比較用計時コード記憶部26に格納することにより、次に受信する計時コードの1つ前のコードとなり、正しい判定処理が行える。
【0039】
一方、「からうち」等によって携帯器10側の計時コードが大きく進んでしまった場合には、計時コード比較部24における判定結果は「正しくない」となり、今回の受信に基づいては、セキュリティ制御部27は動作しないが、今回受信された計時コードは比較用計時コード記憶部26に格納されるので、次に続けて携帯器10から送信されてきたコードの計時コードは、正しいと判断される。よって、正規の携帯器10の「からうち」によりコードの一致判定ができない状況であっても、送信指示部の2回の操作で携帯器10と親機20側の計時コードを同期させることができる。
【0040】
一方、携帯器10のコードを不正にコピーして作成された偽の携帯器からコピーしたIDコードと計時コードを含むデータが送信されたとしても、毎回同じ計時コードが送信されるので、2度目に受信した計時コードは比較用計時コード記憶部26に格納された比較用計時コード(前回受信したもの)と同じであるため、計時コード比較部24の判断結果は「正しくない」となるので、セキュリティ制御部27は動作しない。
【0041】
図3は、本発明の第2の実施の形態に用いられる親機20を示している。なお、携帯器側は第1の実施の形態と同様であるので、図示並びにその説明を省略する。
【0042】
図3に示すように、本実施の形態では、比較用計時コード記憶部を複数(2個)設けた。つまり、第1比較用計時コード記憶部26aと、第2比較用計時コード記憶部26bを備えている。そして、計時コード比較部24aは、IDコード比較部23における比較結果が「一致した」場合に、第1比較用計時コード記憶部26aに格納された計時コードと比較処理を行い、今回受信した計時コードが正しいものか否かを判断する。つまり、第1比較用計時コード記憶部26aには、上記した第1の実施の形態における比較用計時コード記憶部26と同様に、前回正しく受信した際の計時コードを記憶保持しているとすると、それとの関係においては比較判定処理自体は第1の実施の形態における計時コード比較部24と同様の処理アルゴリズムにより行える。つまり、対応する携帯器10の計時コード生成部12における計時コードの更新条件(1ずつ増加/現象,ランダムな数値列を順に選択など)を取得しておき、その更新条件に合っているか否かを判断する。
【0043】
そして、計時コード比較部24aの判定結果は、セキュリティ制御部27に与えられ、セキュリティ制御部27は、IDコード比較部23の出力が「一致」(正しい)で、計時コード比較部24aの出力が「正しい」場合に、所望のセキュリティ制御を行う。さらに、計時コード比較部24aは、判定結果が「正しい」場合に、今回受信した計時コードを第1比較用計時コード記憶部26aに格納(更新)する。
【0044】
一方、第1比較用計時コード記憶部26aに格納された比較用計時コードと、今回受信した計時コードを比較した結果が、「正しくない」場合には、受信した計時コードを第2比較用計時コード記憶部26bに格納する。そして、次に受信した計時コードと、第1,第2比較用計時コード記憶部26a,26bにそれぞれ格納された各計時コードとを比較し、2つの比較用計時コードのうちいずれかと正しい関係(記憶している比較用計時コードから所定回以内の計時コード)にあれば、受信した計時コードが正しいものと判断する。
【0045】
これにより、詳記した第1の実施の形態と同様に、正規の携帯器10の計時コードが、「からうち」により許容範囲以上に進んでしまったとしても、2回の送信操作によって正規と判断され、セキュリティ制御部27による制御が行われる。
【0046】
また、仮に、正規の携帯器10からのデータが、ノイズその他により正常なデータとして受信できないが、たまたまIDコードが認識できるとともに、計時コードが誤ったデータ(数値としては正規の計時コードとして存在する値であるが、そのとき受信すべき値ではない)として認識できた場合には、第1の実施の形態では、係る認識できてしまった「誤った計時コード」が比較用計時コード記憶部26に格納されてしまう。つまり、正しい比較用計時コードが誤った比較用計時コードに更新されてしまうことになる。
【0047】
すると、その次に、本来の正常な計時コードを受信しても、正しくないと判断されてしまうおそれがある(この場合でも、さらにその次の受信で正しいと判断されるため、使用可能ではある)。係る場合でも、本実施の形態では、「誤った計時コード」が第2比較用計時コード記憶部26bに格納されてしまっても、それ以前に受信した正しい計時コードが、第1比較用計時コード記憶部26aに格納されているので、次に正しく計時コードを受信した場合には、第1比較用計時コード記憶部26aに格納された比較用計時コードとの比較により正しいと判断される。
【0048】
また、係る2度目の計時コード比較部24aにおける比較処理で、受信した計時コードが正しいものと判断された場合には、その正しいと判断された対象の比較用計時コードを残し、他方の比較用計時コードを削除(初期化)する。このとき、第2比較用計時コード記憶部26bに格納された比較用計時コードが正しかった場合の取扱であるが、単純に第1比較用計時コード記憶部26aを初期化する(第1方式)だけでも良いし、第2比較用計時コード記憶部26bのデータを第1比較用計時コード記憶部26aに移し替える(第2方式)ようにしても良い。
【0049】
第1方式の場合には、計時コード比較部24aは、受信した計時コードの比較処理を行うに際し、第1,第2比較用計時コード記憶部26a,26bをアクセスし、いずれにもデータが格納されている場合には、それぞれと比較処理を行うことになる。そして、初期化されている(比較用計時コードが格納されていない)場合には、一方の比較用計時コードと比較処理をすればよい。
【0050】
また、第2の方式の場合には、まず、第1比較用計時コード記憶部26aに格納された比較用計時コードと比較し、正しくないと判定された場合に第2比較用計時コード記憶部26bに格納された比較用計時コードと比較するようにすることができる。なお、このように第2の方式を採った場合でも、第1の方式と同様に第1,第2比較用計時コード格納部26a,26bに格納された各比較用計時コードを軽重付けることなく呼び出して比較するようにしても良い。
【0051】
具体的には、例えば記憶している比較用計時コードが「95」である時は、そこから10以内すなわち「96〜100,0〜4」までの計時コードであれば一致したと判定する。一致しなかった場合は95をそのまま記憶し続けるとともに受信した計時コード(例えば「32」とする)を記憶し、次に受信した時に「33〜42」もしくは「96〜100,0〜4」であれば計時コードが一致したと判定する。また、その場合に「32」を基とする比較用計時コードと一致した場合は比較用計時コード「95」を初期化し、「95」を基とする比較用計時コードと一致した場合は比較用計時コード「32」を初期化する。
【0052】
さらにまた、2度目の受信でも計時コードがいずれの比較用計時コードに一致しなかった場合の処理としては、前回受信した計時コードを格納した比較用計時コード記憶部に対し、今回受信した計時コードを格納し、更新するようにする。これにより、今回受信した計時コードが、次回受信した計時コードを比較する際の比較用計時コードになる。具体的には、上記した第2の方式を採った場合には、第2比較用計時コード記憶部26bに格納することになる。また、第1の方式を採った場合には、例えば、フラグなどを用いて直前に計時コードを格納した比較用計時コード格納部を認識できるようにしておくことにより対処できる。
【0053】
さらに別の機能としは、計時コードが正しくないと判定された1度目の受信から2度目の受信までが所定時間経過している場合は、係る正しくないと判定された計時コードを格納した比較用計時コード記憶部(26a或いは26b)を初期化するとよい。つまり、正規のユーザの場合、一度携帯器を操作しても動作しない場合には、通常何回か繰り返し操作するので、一定期間、次の受信がない場合には、前回の受信は、誤動作や不正使用の可能性があり、いずれにしても誤った計時コードであった可能性が高い。そこで、係る誤った計時コードに基づく比較用計時コードを削除(初期化)することにより、以後、その誤った比較用計時コードと比較することによって処理時間が長くなったり、誤った比較用計時コードに基づいて正しいと誤判定してしまうおそれを無くすことができる。
【0054】
また、そのように積極的に初期化するのではなく、前回受信した時からの時間を計測し、その時間が所定以内のときのみ前回正しくないと判定された比較コードが格納された比較用計時コード記憶部を比較対象とするように構成しても良い。これにより、一定期間以上経過すると、比較対象とならない(アクセス対象から除外する)ようにし、無駄なアクセスによる処理の遅れを解消する。なお、上記した第1の方式の場合には、フラグなどにより正しくないと判定された計時コードを格納した比較用計時コード記憶部を認識することにより、アクセス禁止する対象を決定できる。また、第2の方式の場合には、第2比較用計時コード記憶部26bがアクセス対象から除外される。
【0055】
すなわち、本実施の形態では、2つの比較用計時コード記憶部を用意し、受信した計時コードが一致しない(正しくないと判定された)時に、ひとつの記憶部は前回受信した計時コードを記憶しもうひとつの記憶部に今回受信した計時コードを記憶すればよく、記憶部内のやり取りは問題ではない。また、それ以降計時コードが一致しなかった(正しいと判定されなかった)場合、一致するまでの間、当初の計時コードの記憶はそのままにし、2度目以降に受信した計時コードを比較用の計時コードとして更新するようにする。
【0056】
一致していなかった場合は現在記憶している計時コードはそのままに、受信した計時コードを記憶しておき、次に受信した計時コード(2度目の計時コード)が2つの計時コードのいずれかと一致する時に計時コードが一致したと判定する。
【0057】
図4,図5は、本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態では、携帯器10が自動送信タイプであり、間欠送信を行っているものを前提としている。本実施の形態の前提となる動作を説明すると、携帯器10からは、一定間隔(例えば1秒)で制御データが送信される。この制御データは、上記した各実施の形態と同様に、少なくともIDコードに計時コードを付加して生成されるデータである。
【0058】
一方、親機20側では、対応する携帯器10からの上記制御データの受信の有無を判断し、受信している場合には、自己(車両)から一定の範囲内に携帯器10ひいてはユーザが存在していると判定できる。従って、例えば、前回受信されず、今回係る制御データを受信した場合には、ユーザは一定の範囲内に進入し、車両に近づいてきていると推定でき、逆に今まで受信していて、今回受信しなくなった場合には、一定の範囲外に出ていった(車両から離れていった)と判断できる。なお、受信の有無とは、文字通り単純に受信するか否かでもよいし、受信した制御データの信号強度(電界強度)が一定のしきい値以上であるか否かにより弁別するようにしても良い。
【0059】
そして、親機20は、車両への接近/離反に伴い所定のセキュリティ制御を行う。つまり、セキュリティ制御の内容がドア錠の施錠/解錠の場合には、一定の範囲内に近づいてきた場合に解錠し、離れていった場合に施錠することになる。また、盗難防止用の監視装置の場合には、近づくと監視を解除し、離れていくと監視を開始するようになる。そして、上記機能を実現するための具体的な装置構成は、以下のようになっている。
【0060】
まず、携帯器10は図4に示すように、第1,第2の実施の形態における送信指示部13に替えて間欠送信指示部16を設けている。送信指示部13は、外部の操作スイッチボタンの押下をトリガとして動作したが、この間欠送信指示部16は、内部タイマ(計時部)に基づき、一定時間間隔(例えば1秒)毎にデータ生成送信部14に向けて送信命令を与えるようになっている。
【0061】
一方、IDコード記憶部11,計時コード生成部12並びにデータ生成送信部14等は、上記した各実施の形態と同様であるので、間欠送信指示部16からの1秒ごとの送信指示に伴い、データ生成送信部14はIDコード記憶部11と計時コード生成部12からそれぞれIDコードと計時コードを取得し、制御データを生成し、送信アンテナ15から送信する。これにより、送信アンテナ15からは、1秒間隔で制御データが送信され、しかも、各制御データは計時コードが1つずつ更新されたものとなる。
【0062】
一方、親機20側では、第1の実施の形態の構成に加え、計時部28を備えている。この計時部28は、前回IDコードを正常受信した時(前回受信)からの経過時間を測定するものである。すなわち、携帯器10が自動送信タイプの場合には、親機20側で受信するか否かにかかわらず、常時制御データが送信されて計時コードが更新されるため、「からうち」をしたのと同様の状態になり、受信しない状態から最初に受信した場合の計時コードは、比較用計時コード記憶部26に格納された比較用計時コードに対し、大きく進んだ状態となる。
【0063】
そこで、本実施の形態では、計時部28により前回受信からの経過時間を計ることで、携帯器10における計時コードの更新回数を推定し、今回受信した時の比較用計時コード(推定値)を決定し、その比較用計時コード(推定値)と今回受信した計時コードを比較し、正しいか否かを判断する。これにより、正規の携帯器10からの受信の場合、最初に受信したときから正しいと判定することができる。
【0064】
より具体的には、以下のようになっている。まず、受信アンテナ21を介して受信部22で受信した携帯器10からの制御データに含まれるIDコードと計時コードをそれぞれ抽出し、IDコード比較部23と計時コード比較部24bに与える。IDコード比較部23では、受信したIDコードと、IDコード記憶部25に格納されたIDコードとを比較し、その判断結果をセキュリティ制御部27に与えるとともに、計時コード比較部24b,計時部28にも与える。さらに、前回受信した計時コードは、計時コード記憶部26′に格納される。なお、本実施の形態では、計時コード記憶部26′に格納された計時コードが、そのまま比較用計時コードとして使用されるのではないので、計時コード記憶部26′と称しているが、実際の処理としては、前回受信された計時コードが格納されるので、第1の実施の形態における比較用計時コード記憶部26と実質的に同様である。
【0065】
計時部28は、IDコード比較部23から「一致(正しい)」の判定結果を受けた場合に、タイマをスタートさせ、次に同様の判定結果を受けるまでの時間を計る。計時コード比較部24bは、IDコードの一致を前提に、受信した計時コードと、計時コード記憶部26′に格納された前回受信した計時コードに基づいて推定・算出される比較用計時コードとを比較し、正しい計時コードか否かを判定する。
【0066】
この正しい計時コードか否かの判定は、前回受信した時から今回受信した時までの経過時間(計時部28から取得)と、計時コード記憶部26′に記憶された前回受信した計時コードから比較用計時コード(推定値)を生成し、その比較用計時コード(推定値)と受信した計時コードが正しい関係にある時、正規の計時コードを受信したものとした。
【0067】
例えば携帯器10の送信間隔が1秒で、計時コードを0〜100までのローリングコードとし、更新の度に1ずつ増加し、100の次が0になるような場合、親機20の前回受信からの経過時間を2時間59分後(10799秒)とすると、そのとき受信すべき計時コードは、計時コード記憶部の計時コード(例えば「38」とする)に経過時間(10799)を加算し、それを100で割った値の余り(37)を比較用計時コードとする。
【0068】
この場合はローリングコードを一例としたが送信機と受信機が同様の数値テーブルをもつランダムコード形式を用いた場合も同様の手法で比較用計時コードを生成できる。
【0069】
例えば、数値テーブルが(2,5,1,8,4,3)であったとし、計時コード記憶部26′に格納された前回の計時コードが「1」であり、経過時間が2時間59分(10799秒)であったとすると、比較用計時コードは、数値テーブルが6つの数値テーブルで構成されているため数値「1」は数値テーブルの3番目の位置にある。そこで、計時コード記憶部26′が示す数値テーブルの位置(3)に経過時間(10799秒)を加算し、それを6で割った余りの値(2)が比較用計時コードを格納している数値テーブルの先頭からの位置(2番目)を示す。つまり、この場合の比較用計時コードは「5」となる。
【0070】
なお、計時コード比較部24b′の判定結果が正しい場合にセキュリティ制御部27が所望の制御を行う。また、計時コード比較部24bにおける判定結果に関係なく、今回受信した計時コードを計時コード記憶部26′に格納し、次回の比較判定処理に備える。なお、具体的な構成並びに処理アルゴリズム等は、上記した第1の実施の形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0071】
なおまた、上記した実施の形態では、計時コード比較部24bに、比較用計時コード記憶部26に格納された前回受信した計時コードから比較用計時コードを算出する機能を設けたが、本発明はこれに限ることはなく、比較用計時コードを算出する手段を別途設けてもよい。
【0072】
また、もちろん本発明では、第1,第2の実施の形態における携帯器10を本実施の形態における自動送信タイプの携帯器(図4に示す)に交換するようにしてもよい。係る構成にすると、通常は最初に受信した場合には比較用計時コードとの比較結果は正しくないとなるが、2度目に受信された場合に正しいと判定される。
【0073】
図6,図7は、本発明の第4の実施の形態を示している。本実施の形態では、第3の実施の形態を基本とし、さらに、上記した第1,第2の実施の形態と同様に、ユーザのマニュアル操作に基づくデータ送信機能も有している。
【0074】
すなわち、上記した第3の実施の形態における自動処理に加えて、ユーザのマニュアル操作、すなわち携帯器10に設けた操作スイッチの押下による強制動作もできるようにしている。つまり、携帯器10からの電波(制御データ)が親機20で受信できる範囲内にいることを前提とし、自動処理に基づく制御と異なる制御を行うことができる。具体的には、一定の範囲内にいる状態で、ドアの施錠や監視処理の開始を行うようにしたり、自動処理が一定の信号強度以上の電波を受信したときに解錠などを行う場合に、一定以下の信号強度(一定の範囲よりも外にいる)でも解錠などを強制的に行う場合などに利用される。
【0075】
具体的な構成としては、携帯器10は図6に示すように、第3の実施の形態の携帯器にさらに送信指示部13を設けている。この送信指示部13は、第1,第2の実施の形態における送信指示部13と同様で、操作スイッチボタンが押下されると、それを検知してデータ生成送信部14に対して送信命令を送る。そして、データ生成送信部14は、この送信指示部13からの送信命令を受けると、IDコードと計時コードに加え、マニュアルコードを含んだ制御データを生成し、所定のタイミングで送信する。
【0076】
ここで送信するタイミングであるが、例えば図8(a)に示すように、送信指示部の指示に従って即座にデータを送信すると、間欠送信指示部16からの送信指示に基づく一定間隔毎の送信タイミングと異なるタイミングで送信されるので、親機20側における計時時間に基づく比較用計時コードの生成に狂いが生じるため支障が出る。そこで、本実施の形態では、図8(b)に示すように送信指示が出てすぐ送信するのではなく、次の間欠送信のタイミングでマニュアルコードを付与したデータを送信するようにした。このマニュアルコードを付与した制御データを送信するときは、間欠送信指示部16からの送信指示に基づく定期的な制御データの送信は行わないようにした。なお、その他の構成並びにその処理機能は、上記した第3の実施の形態等と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0077】
一方、親機20は、図7に示すように、第3の実施の形態における親機の構成に、マニュアルコード検出部29を設けている。そして、受信部22は、上記した各実施の形態と同様に、受信した制御データを解析し、抽出したIDコード並びに計時コードをそれぞれIDコード比較部23と計時コード比較部24bに渡し、各比較部において受信した制御データが正規の携帯器10からのものか否かを判断し、正しい場合には、セキュリティ制御部27が所望の制御動作を行う。また、上記したように、携帯器10からは、マニュアル操作に基づく制御データも間欠送信指示部16からの指示による自動処理による定期的な送信タイミングと同一タイミングで送信されるので、計時部28で求めた前回受信してからの経過時間に基づいて算出した比較用計時コードにより、正確な判定処理を行うことができる。なお、係る判定アルゴリズム並びにその後の基本的な処理は、第3の実施の形態と同様である。
【0078】
そして、本実施の形態では、マニュアルコード検出部29にて、受信した制御データにマニュアルコードが含まれていることを検出すると、その検出通知をセキュリティ制御部27に与える。つまり、マニュアルコードの付加される位置(制御データの先頭からのビット位置など)が分かっているので、受信部22は係る該当部分のデータをマニュアルコード検出部29に与え、マニュアルコード検出部29では、その受け取ったデータがマニュアルコードであるか否かを判断する。
【0079】
セキュリティ制御部27は、係るマニュアルコードの検出通知を取得しない場合には、受信した制御データは定期的に送られてくる自動処理に基づくものであるので、第3の実施の形態と同様の処理を行う。また、検出通知を取得した場合には、マニュアル操作による強制命令信号であるので、セキュリティ制御部27は、その強制命令信号の内容に従った処理を行い。なお、強制命令信号の内容は、例えばマニュアルコードによって規定されるようにすることができる。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記した各実施の形態と同様であるので、対応する部材に同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0080】
図9,図10は、本発明の第5の実施の形態を示している。本実施の形態では、第3の実施の形態を基本とし、さらに、携帯器10に初期値生成部17を設け、携帯器10の計時コードの初期値をその初期値生成部17でランダムに生成される任意の値とした。
【0081】
計時コード生成部12は、計時コードの初期値を初期値生成部17から取得し、以後、データを送信する都度(データ生成送信部14からの要求がある都度)計時コードを更新するようにしている。つまり、計時コード生成部12は、最初に初期値生成部17で生成した値を計時コード(計時コードA)として出力する。計時コード生成部が次に発生させる計時コードは計時コードAと計時コード生成部自身でローリングコード(連続した番号)もしくは数値テーブルにより生成した計時コードBを加算したものを加算計時コードとして出力する。計時コード生成部で生成した計時コードが所定値又は所定値以上になった場合、加算計時コードは初期化され、初期値生成部17から初期値を得て加算計時コードを生成する。
【0082】
具体例を示すと、例えば、計時コードBをローリングコード方式生成(0〜)とし、加算計時コードを初期化する所定値を100で、最初の加算計時コードを出力する時は初期値生成部から計時コードA(3)を読込み計時コードBと加算したものを加算計時コード(3)として出力する。次に計時コードを生成する時は前回出力した加算計時コード(3)に、計時コード1を加算して加算計時コード(4)を出力する。さらに次の加算計時コードは、計時コードBが1つ進み(2)になるので、現在の加算計算時コード(4)にそれを加えることにより(6)が得られる。
【0083】
同様にくりかえすことで加算出力コードは3→4→6→9→13→18→24→31→39→48→58→69→81→94となる。94の次は108であるが初期化する所定値が100となっているため加算計時コードと計時コードBを初期化して新たに初期値生成部17から初期値を読み込み(例えば「8」)、同様に繰り返す。上記した数値の具体例からも明らかなように、加算出力コードの前後の差分値が、計時コードB、つまり、上記した各実施の形態における計時コードと等価のものとなる。
【0084】
この状態をフローチャートにすると、図11に示すようになる。なお、上記した例はローリングコードの使用を前提にしたものであるが、図1などに示したランダムに数値が並んだ数値テーブルによる場合も同様に実施できる。
【0085】
一方、親機20は、図10に示すように、第3の実施の形態の構成を基本とし、さらに計時コード比較部24cが読み書きする比較用計時コード記憶部26を設けている。そして、計時コード比較部24cは、受信した計時コードがどうであれ最初に受信した計時コードを計時コード記憶部26′に記憶する。次いで、2度目に受信した計時コードと前回受信した計時コード(計時コード記憶部26′から読み出す)の差を比較用計時コード記憶部26に記憶するとともに、計時コード記憶部26′の値を更新する。そして、3度目に受信した時の計時コードと計時コード記憶部26′に記憶した2度目の計時コードとの差を求め、比較用計時コード記憶部26に格納された前回求めた差と比較し、正しい関係にあるか否かを判断する。
【0086】
すなわち、計時部28にて計った前回受信してからの経過時間に基づき、前回受信してから今回受信するまでの携帯器10側の計時コードの更新回数が分かるので、比較用計時コード記憶部26に格納された差に、更新回数分を加算することにより、前回受信してから今回受信するまでの加算計時コードの増加分を求めることができる。そこで、計時コード記憶部26′に格納された前回受信した計時コードに係る増加分を加算することにより、今回受信するべき正規の計時コード(加算出力コード)を算出し、それが実際に受信したものと一致するか否かにより正しい関係にあるか否かを判断することができる。もちろん、具体的な判定処理はこれ以外の方式もとれる。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記した各実施の形態と同様であるので、対応する部材に同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0087】
また、本実施の形態によれば、適宜のタイミングで初期値が更新されるので、送信するコードを解析しようと思っても初期値の変化により解析が難しくなる。また、この処置においては計時コードを3回受信することが前提になっているが、通常間欠送信型のセキュリティ機構制御装置は、受信したコードによる判定と電界強度の2つの条件により判定を行っているため、コード自体は判定を行う前から受信している。そのため特に使用者が意識しなくとも複数回の受信により判定を行うことは実使用に影響が無い。
【0088】
なおまた、上記した実施の形態では、第3の実施の形態を基本としたが、第4の実施の形態に組み込むことももちろんできる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】計時コードの更新アルゴリズムの一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の親機を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態の携帯器を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の親機を示すブロック図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態の携帯器を示すブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態の親機を示すブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態の作用を説明するブロック図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態の携帯器を示すブロック図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態の親機を示すブロック図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態の作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0090】
10 携帯器
11 IDコード記憶部
12 計時コード生成部
13 送信指示部
14 データ生成送信部
15 送信アンテナ
16 間欠送信指示部
17 初期値生成部
20 親機
21 受信アンテナ
22 受信部
23 IDコード比較部
24,24a,24b,24c 計時コード比較部
25 IDコード記憶部
26 比較用計時コード記憶部
26a 第1比較用計時コード記憶部
26b 第2比較用計時コード記憶部
26′ 計時コード記憶部
27 セキュリティ制御部
28 計時部
29 マニュアルコード検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御データを送出する携帯器と、
前記携帯器から送出される前記制御データに基づき、機器に対して作動指令信号を出力する親機を備え、
前記携帯器は、自己を特定するIDコードを記憶するIDコード記憶手段と、送信する都度更新される計時コードを生成する計時コード生成手段と、前記IDコード記憶手段に格納された前記IDコードと、前記計時コード生成部で生成された前記計時コードに基づいて前記制御データを一定間隔ごとに生成するデータ生成手段を備え、
前記親機は、前記制御データを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した制御データ中に含まれる前記IDコードが、正規のIDコードか否かを判定するIDコード判定手段と、
前回受信した正規のIDコードを含む制御データ中に含まれた計時コードを記憶する計時コード記憶手段と、
前回正規のIDコードを含む制御データを受信してからの経過時間を計る計時手段と、
前記計時コード記憶手段に格納された前回受信した計時コードと、前記計時手段で求めた前記経過時間から比較用計時コードを求め、その比較用計時コードと、今回受信した前記制御データ中に含まれる計時コードとを比較し、今回受信したものが正しい計時コードか否かを判断する計時コード判定手段と、
前記IDコード判定手段と、前記計時コード判定手段の判定結果が共に正しい場合に、前記機器の制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする機器制御システム。
【請求項2】
前記携帯器に、操作スイッチの操作に基づいて強制制御データを出力する機能を有し、
前記強制制御データの送信タイミングを、前記一定間隔に合わせるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の機器制御システム。
【請求項3】
前記携帯器に、計時コードの初期値を生成する初期値生成手段を設け、
前記計時コード生成手段は、前記初期値生成手段で生成された初期値に対して、前記計時コードを加算して加算計時コードを算出するとともに、以後、その加算計時コードに対して更新された計時コードを加算することにより次の加算計時コードを算出する機能を有し、
前記親機は、前回受信した正規のIDコードを含む制御データ中に含まれた加算計時コードを前記計時コード記憶部に格納するようにし、
前記計時コード記憶部に格納された加算計時コードと、今回受信した加算計時コードとの差を比較用計時コードとして記憶する比較用計時コード記憶手段を備え、
前記計時コード判定手段は、次に正規のIDコードを含む制御データを受信した際に、その制御データに含まれた加算計時コードと、前記計時コード記憶部に格納された前回受信された加算計時コードとの差を求めるとともに、その差と前記計時手段で求められた前記経過時間並びに前記比較用計時コード記憶部に格納されたデータに基づいて、今回受信した制御データが正しいか否かを判定するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の機器制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−262882(P2007−262882A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133855(P2007−133855)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【分割の表示】特願2002−124447(P2002−124447)の分割
【原出願日】平成14年4月25日(2002.4.25)
【出願人】(391001848)ユピテル工業株式会社 (238)
【Fターム(参考)】