説明

機械式駐車装置における車両の車輪判別方法及び車輪判別装置

【課題】車種判別エリアを車両が斜めに進入するような場合であっても、車両の車輪判別を正確かつ迅速に行い、車種の判別精度を高める。
【解決手段】車輪検知センサのON、OFF、ON、OFFの順序の検知信号が、2セット検知され(1セット目はステップ(20)及び(30)、2セット目はステップ(50)及び(70)である。)、なおかつ、各セットにおいて、先のON信号の検知開始時間と、後のON信号の検知開始時間との時間差を、先のON信号の検知時間長で除した値が、基準値未満であり(ステップ(40)及び(80))、更に、1セット目の検知で得られる、車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長と、2セット目の検知で得られる、車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長との比が、所定範囲内にあるとき(ステップ(60))に限り、車輪配置OK(ステップ(100))と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置における車両の車輪判別方法及び判別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、収容効率に優れた機械式駐車装置が、公共施設、商業施設、集合住宅等に広く設置されている。また、特に多くの収容台数を有する駐車装置においては、駐車室毎に、入庫可能な車両の形態(セダン等の一般的乗用車、または、ワンボックス車、RV車等のワイドかつハイルーフ車等)を限定する、いわゆる入庫区分を設定し、車両形態毎に広さの異なる駐車室を割り当てている。例えば、セダン等の乗用車と、ワンボックス車、RV車等のハイフーフ車とで入庫区分を分けると共に、何れにも当てはまらない大型車や改造車に対しては、いわゆる平置きの駐車スペースを割り当てている。
【0003】
このような入庫区分を設定した機械式駐車装置の場合には、車両入場口で、車両の形態を判別する必要がある。この判別作業において、従来は、車種、形状等から駐車場係員が判断して、適合するユニット若しくは駐車室を選択し、車両の進路を誘導指示していた。
しかしながら、従来のように駐車場係員に車両の判別を任せる手法は、機械式駐車装置を運転する際の無人化(少人数化)を促進する際の妨げとなり、かつ、係員の判断ミスを誘発するおそれもあった。また、キャリヤ等の付属物を装着した車両については、駐車室の選択が難しい等、機械式駐車装置の運用効率を悪化させることとなった。かかる問題を解決すべく、本出願人は、車種判別エリアを通過する車両の車種を、正確かつ迅速に判別することが可能な、車種判別装置を開発している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第3116213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、上記車種判別装置は、車輪の位置を特定し、かかる車輪を基準として車体各部の寸法測定を行っている。しかしながら、従来の車種判別装置は、車両が車種判別エリアに進入した車両の左右両輪が完全に揃った状態で進入することを前提として車輪の位置を検出するものであり、実情に即していなかった。すなわち、通常は、車種判別エリアに対して車両が斜めに進入し、若しくは、前輪に舵角が与えられている場合がほとんどであり、従来の車種判別装置は、車種判別エリアに進入した車両の、左右前輪の位置を前後輪の位置として誤認する等、測定基準となる車輪の位置が正確に特定されず、誤った車種判別がなされる虞があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車種判別エリアを車両が斜めに進入するような場合であっても、機械式駐車装置における車両の車輪判別を正確かつ迅速に行い、車種の判別精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、本発明に係る機械式駐車装置における車両の車輪判別方法は、機械式駐車装置の検知エリアを通過する車両の、車輪を検知する方法であって、地表面近傍に、透過光が車幅方向へと照射されるようにして、透過型光電センサからなる車輪検知センサを配置し、該車輪検知センサにより得られる車輪検知信号のうち、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知開始時間とその直後に通過する車輪の検知開始時間との時間差を、先に通過する車輪の検知時間長で除した値が、基準値未満であるとき、前記車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断することを特徴とするものである。
【0007】
本発明によれば、地表面近傍に、透過光が車幅方向へと照射されるようにして、透過型光電センサからなる車輪検知センサを配置することで、車輪全体のうち、車輪が実際に接地する範囲に近い部分のみを、確実に検知する。
そして、車輪検知センサにより得られる車輪検知信号のうち、車輪検知センサを先に通過する車輪の検知開始時間とその直後に通過する車輪の検知開始時間との時間差を、先に通過する車輪の検知時間長で除した値が、基準値未満であるとき、車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断することで、検知エリアに対し車両が斜めに通過する場合であっても、同一車軸上の左右の車輪の位置を正確に把握することができる。
【0008】
又、本発明において、前記検知エリアに車体長さの検知手段を設け、車体長さの検知中に、前記車輪検知センサにより得られる、車輪検知センサを先に通過する車輪の検知信号及びその直後に通過する車輪の検知信号が2セット得られ、なおかつ、1セット目の検知で得られる、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長と、2セット目の検知で得られる、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長との比が、所定範囲内にあるとき、前記検知エリアを通過する車両の、前後輪の大きさが同一であると判断することが望ましい。
【0009】
本発明によれば、1セット目の検知で得られる、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長、すなわち、前輪の左右一方の車輪の大きさを基準として、2セット目の検知で得られる、車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長、すなわち、後輪の大きさを量ることで、検知エリアに対し車両が斜めに通過する場合であっても、前後輪の大きさの違いを正確に把握することができる。
【0010】
又、本発明において、前後輪の大きさが同一であると判断される場合を除き、前記検知エリアを通過する車両は、入庫に不適切な車輪配置であると判断することが望ましい。
本発明によれば、検知エリアに対し車両が斜めに通過する場合であっても、機械式駐車装置への駐車が不可能な、前後輪の大きさが異なる車両を把握して、機械式駐車装置への誤進入を確実に防ぐことが可能となる。
【0011】
又、本発明において、前記2セットの車輪検知信号の何れからも、前記車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断される場合を除き、前記検知エリアを通過する車両は、入庫に不適切な車輪配置であると判断することが望ましい。
本発明によれば、検知エリアに対し車両が斜めに通過する場合において、前記車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断されない場合は、前後車軸の、左右の車輪の位置を正確に把握することができないことから、入庫に不適切な車輪配置であると判断し、車体の各部寸法の把握が不確実となる車両の、機械式駐車装置への誤進入を確実に防ぐことが可能となる。
【0012】
又、上記課題を解決するための、本発明に係る機械式駐車装置における車両の車輪判別装置は、機械式駐車装置の検知エリアを通過する車両の、車輪を検知する装置であって、地表面近傍に、透過光が車幅方向へと照射されるようにして、透過型光電センサからなる車輪検知センサが配置され、かつ、該車輪検知センサにより得られる車輪検知信号のうち、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知開始時間とその直後に通過する車輪の検知開始時間との時間差を、先に通過する車輪の検知時間長で除した値が、基準値未満であるとき、前記車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断する処理ロジックが含まれる判別手段を備えることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、地表面近傍に、透過光が車幅方向へと照射されるようにして、透過型光電センサからなる車輪検知センサが配置されることで、車輪全体のうち、車輪が実際に接地する範囲に近い部分のみを、確実に検知することができる。
そして、判別手段では、車輪検知センサにより得られる車輪検知信号のうち、車輪検知センサを先に通過する車輪の検知開始時間とその直後に通過する車輪の検知開始時間との時間差を、先に通過する車輪の検知時間長で除した値が、基準値未満であるとき、車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断することで、検知エリアに対し車両が斜めに通過する場合であっても、同一車軸上の左右の車輪の位置を正確に把握することができる。
【0014】
又、本発明において、前記検知エリアに車体長さの検知手段が設けられており、前記判別手段には、車体長さの検知中に、車輪検知センサを先に通過する車輪の検知信号及びその直後に通過する車輪の検知信号が2セット得られ、なおかつ、1セット目の検知で得られる、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長と、2セット目の検知で得られる、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長との比が、所定範囲内にあるとき、前記検知エリアを通過する車両の、前後輪の大きさが同一であると判断する制御ロジックが含まれることが望ましい。
【0015】
本発明によれば、判別手段において、1セット目の検知で得られる、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長、すなわち、前輪の左右一方の車輪の大きさを基準として、2セット目の検知で得られる、車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長、すなわち、後輪の大きさを量ることで、検知エリアに対し車両が斜めに通過する場合であっても、前後輪の大きさの違いを正確に把握することができる。
【0016】
又、本発明において、前記判別手段には、前後輪の大きさが同一であると判断される場合を除き、前記検知エリアを通過する車両は、入庫に不適切な車輪配置であると判断する制御ロジックが含まれることが望ましい。
本発明によれば、検知エリアに対し車両が斜めに通過する場合であっても、判別手段において、機械式駐車装置への駐車が不可能な、前後輪の大きさが異なる車両を把握して、機械式駐車装置への誤進入を確実に防ぐことが可能となる。
【0017】
又、本発明において、前記判別手段には、前記2セットの車輪検知信号の何れからも、前記車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断される場合を除き、前記検知エリアを通過する車両は、入庫に不適切な車輪配置であると判断する制御ロジックが含まれることが望ましい。
本発明によれば、検知エリアに対し車両が斜めに通過する場合において、車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断されない場合は、前後車軸の、左右の車輪の位置を正確に把握することができないことから、判別手段において、入庫に不適切な車輪配置であると判断し、車体の各部寸法の把握が不確実となる車両の、機械式駐車装置への誤進入を確実に防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明はこのように構成したので、車種判別エリアを車両が斜めに進入するような場合であっても、機械式駐車装置における車両の車輪判別を正確かつ迅速に行い、車種の判別精度を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示される、機械式駐車装置の車種検知エリア10には、本発明の実施の形態に係る車体底部の突起物の検知装置が設けられている。この車種検知エリア10は、車両12が自走によって矢印F方向に進入するものである。そして、車種検知エリア10の入り口寄りの場所には、最低地上高検知装置14、車高検知装置16、車両後端検知装置18、車幅検知装置20が設けられている。更に、車種検知エリア10の出口に向かって、入庫ボタンボックス22、車両前端検知装置24、行先案内灯26、カーゲート28が設けられている。なお、車両後端検知装置18及び車両前端検知装置24は、車体長さの検知手段を構成するものである。上記各検知装置のうち、最低地上高検知装置14、車高検知装置16、車両後端検知装置18、車両前端検知装置24には、透過型光電センサが用いられており、車幅検知装置20には、超音波センサが用いられている。なお、上記構成は、従来技術(特許文献1)も同様である。
そして、最低地上高検知装置14及び判別手段30により、本発明の実施の形態に係る、車両の車輪判別装置32が構成されている。判別手段30は、電子計算機により構成され、図示の例では独立したブロックとして模式的に示されているが、車種判別装置の一部として組み込まれていても良く、又、機械式駐車装置の制御システムに含まれるものであっても良い。
【0020】
さて、本発明の実施の形態に係る、車両の車輪判別装置32の、最低地上高検知装置14は、図3に示されるように、地表面GLの近傍に配置された車輪検知センサ34と、車輪検知センサ34より高位置に配置された突起物検知センサ36との二つのセンサを備えている。車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36は、何れも透過型光電センサである。車輪検知センサ34は、地表面GLと車両の最低地上高との間で、可能な限り地表面GLに近い位置に設けることで、車輪38(図2)全体のうち、車輪が実際に接地する範囲に近い部分(図5の(A)に、符号381a、382a、383a、384aで示す。)のみを、確実に検知することができる。一方、突起物検知センサ36は、車輪検知センサ34より高位置で、車輪38以外の、車体底部の突起物の検知が可能となっている。参考までに、突起物検知センサ36は、車輪検知センサ34の車両進行方向(矢印F)前方、かつ、両方のセンサのセンサ中心C34、C36が、想定される最小半径の車輪(例えば、軽自動車の車輪)を両方のセンサ34、36が同時に検知開始可能な範囲内で離間するように配置されている。図示の例では、車輪検知センサ34の地表面からの高さは40mm、突起物検知センサ36の地表面からの高さは70mm、両方のセンサのセンサ中心C34、C36の前後方向の距離は、130mmとなっている。
【0021】
続いて、本発明の実施の形態に係る、車両の車輪判別方法を、図4〜図6を参照しながら説明する。ここで、図4は、具体的な車両の車輪判別手順を示している。又、図5、図6は、図4に関連して、車種検知エリア10を車両12が斜めに通過する場合において、車輪検知センサ34と車両12との相対的な位置関係が変化する様子を、平面視したものである。
【0022】
なお、図4のフローチャート中の各判定ステップ(40)、(60)、(80)、(90)において、符合で示された各判定基準は、以下の通りである。
〔I−α〕:{(車輪382の検知開始時刻)−(車輪381の検知開始時刻)}/(車輪381の検知時間長)<1.0
車輪検知センサ34を先に通過する車輪381の検知信号及びその直後に通過する車輪382の検知信号から、二つの車輪381、382が同一車軸上にあると判定するための条件である。二つの車輪381、382が同一車軸上にあれば、車種検知エリア10を車両12が斜めに通過する場合であっても、二つの車輪381、382は互いに近い位置にあり、両車輪の検知開始時刻の時間差も小さくなることに着目したものである。
〔I−β〕:{(車輪384の検知開始時刻)−(車輪383の検知開始時刻)}/(車輪383の検知時間長)<1.0
車輪検知センサ34を先に通過する車輪383の検知信号及びその直後に通過する車輪384の検知信号から、二つの車輪383、384が同一車軸上にあると判定するための条件である。二つの車輪383、384が同一車軸上にあれば、車種検知エリア10を車両12が斜めに通過する場合であっても、二つの車輪383、384は互いに近い位置にあり、両車輪の検知開始時刻の時間差も小さくなることに着目したものである。
〔II−γ〕:0.6<{(車輪383の検知時間長)/(車輪381の検知時間長)}<3.0
前後の車輪の大きさが同じであると判定するための条件である。この値が0.6以下である場合には、後に検知された部分は車輪以外の突起物と判断される。又、この値が3.0以上である場合には、後に検出された車輪が、前輪より大きいか、若しくは車輪以外の突起物であると判断される。
〔III〕:車体長さの検知中に、〔I−α〕、〔I−β〕の何れの条件も満たされる。
検知された車輪が一台の車両に設けられていると判定するための条件である。
なお、上記判定条件中の数値は、発明者らが、実験により各判定に適した値を割出したものである。
【0023】
本発明の実施の形態に係る、車両の車輪判別手順は、以下の通りである。
(10)車両12が、車輪検知センサ34に対し斜めに進入する。
(20)図5の(A)に示されるように、車両12の一方の前輪381が車輪検知センサ34の透過光Lを遮断し、車輪検知センサ34の検知信号がONとなる。このとき、車輪検知センサ34が地表面近傍に配置されていることから、透過光Lが車輪382に遮られること無く、車輪381の全体のうち車輪381が実際に接地する範囲に近い部分381aのみを、確実に検知することができる(他の車輪382、383、384についても同様である。)。そして、前輪381が車輪検知センサ34の位置を通り過ぎると、車輪検知センサ34の検知信号はOFFとなる(又は、非検知信号がONとなる。以下同様。)。
(30)続いて、図5の(B)に示されるように、車両12のもう一方の前輪382が車輪検知センサ34の透過光Lを遮断し、車輪検知センサ34の検知信号が再びONとなる。そして、前輪382が車輪検知センサ34の位置を通り過ぎると、車輪検知センサ34の検知信号はOFFとなる。
(40)ここで、判定基準〔I−α〕を満たさない場合には、判別手段30は、車両12が入庫に不適切と判定する。一方、判定基準〔I−α〕を満たす場合には、車輪判別作業を続行する。
【0024】
(50)図6の(C)に示されるように、車両12の一方の後輪383が車輪検知センサ34の透過光Lを遮断し、車輪検知センサ34の検知信号がONとなる。そして、後輪383が車輪検知センサ34の位置を通り過ぎると、車輪検知センサ34の検知信号はOFFとなる。
(60)ここで、判定基準〔II−γ〕を満たさない場合には、判別手段30は、車両12が入庫に不適切と判定する。一方、判定基準〔II−γ〕を満たす場合には、車輪判別作業を続行する。
(70)図6の(D)に示されるように、車両12のもう一方の後輪384が車輪検知センサ34の透過光Lを遮断し、車輪検知センサ34の検知信号がONとなる。そして、後輪384が車輪検知センサ34の位置を通り過ぎると、車輪検知センサ34の検知信号はOFFとなる。
(80)ここで、判定基準〔I−β〕を満たさない場合には、判別手段30は、車両12が入庫に不適切と判定する。一方判定基準〔I−β〕を満たす場合には、続くステップ(90)へと移行する。
(90)ここで、判定基準〔III〕を満たさない場合には、判別手段30は、車両12が入庫に不適切と判定する。
(100)ステップ(90)において、判定基準〔III〕を満たす場合には、判別手段30は、車両12の車輪配置が入庫に適切な配置であり、車輪配置OKと判定する。
【0025】
上記手順において、判別手段30は、車輪検知センサ34の検知信号がON、OFF、ON、OFFの順序で検知された場合(ステップ(20)及び(30)、ステップ(50)及び(70))であって、先のON信号の検知開始時間と、後のON信号の検知開始時間との時間差を、先のON信号の検知時間長で除した値が基準値(1.0)未満であるとき、先のON信号及び後のON信号が、何れも同一車軸上の車輪に係る検知信号であると判断している(ステップ(40)及び(80))。
【0026】
又、判別手段30において、最終的に車輪配置OK(ステップ(100))と判定されるのは、(ア)車輪検知センサ34のON、OFF、ON、OFFの順序の検知信号が、2セット検知され(1セット目はステップ(20)及び(30)、2セット目はステップ(50)及び(70)である。)、(イ)なおかつ、各セットにおいて、先のON信号の検知開始時間と、後のON信号の検知開始時間との時間差を、先のON信号の検知時間長で除した値が、基準値(1.0)未満であり(ステップ(40)及び(80))、(ウ)更に、1セット目の検知で得られる、車輪検知センサ34を先に通過する車輪381の検知時間長と、2セット目の検知で得られる、車輪検知センサ34を先に通過する車輪383の検知時間長との比が、所定範囲内(0.6を超え、かつ、3.0未満)にあるとき(ステップ(60))に限られる。
【0027】
上記構成をなす、本発明の実施の形態により得られる作用効果は、以下の通りである。
まず、本発明の実施の形態によれば、地表面GL近傍に、透過光Lが車幅方向へと照射されるようにして、透過型光電センサからなる車輪検知センサ34が配置されることで、車輪38全体のうち、車輪38が実際に接地する範囲に近い部分381a、382a、383a、384aのみを、確実に検知することができる。
そして、判別手段30では、車輪検知センサ34により得られる車輪検知信号のうち、車輪検知センサ34を先に通過する車輪381(又は383)の検知開始時間とその直後に通過する車輪382(又は384)の検知開始時間との時間差を、先に通過する車輪381(又は383)の検知時間長で除した値が基準値(1.0)未満であるとき、車輪検知センサ34を先に通過する車輪381(又は383)とその直後に通過する車輪382(又は384)とが同一車軸上にあると判断する。これにより、検知エリア10に対し車両12が斜めに通過するような場合であっても、同一車軸上の左右の車輪の位置を、正確に把握することができる。
【0028】
又、本発明の実施の形態によれば、判別手段30において、1セット目の検知で得られる、車輪検知センサ34を先に通過する車輪381の検知時間長、すなわち、前輪の左右一方の車輪381の大きさを基準として、2セット目の検知で得られる、車輪検知センサを先に通過する車輪383の検知時間長、すなわち、後輪383の大きさを量ることで、検知エリア10に対し車両12が斜めに通過する場合であっても、前後輪の大きさの違いを正確に把握することができる。
【0029】
又、判別手段30には、前後輪の大きさが同一であると判断される場合を除き、入庫に不適切な車輪配置であると判断する制御ロジックが含まれる(ステップ(60))ことから、検知エリア10に対し車両12が斜めに通過する場合であっても、判別手段30において、機械式駐車装置への駐車が不可能な、前後輪の大きさが異なる車両を把握して、機械式駐車装置への誤進入を確実に防ぐことが可能となる。
【0030】
又、判別手段30には、2セットの車輪検知信号の何れからも、車輪検知センサ34を先に通過する車輪381(又は383)とその直後に通過する車輪382(又は384)とが同一車軸上にあると判断される場合を除き、入庫に不適切な車輪配置であると判断する制御ロジックが含まれる(ステップ(90))。
すなわち、検知エリア10に対し車両12が斜めに通過する場合において、車輪検知センサ34を先に通過する車輪381(又は383)とその直後に通過する車輪382(又は384)とが同一車軸上にあると判断されない場合は、前後車軸の、左右の車輪の位置を正確に把握することができないことから、入庫に不適切な車輪配置であると判断し、車体の各部寸法の把握が不確実となる車両の、機械式駐車装置への誤進入を確実に防ぐものである。
【0031】
なお、本発明の実施の形態では、車輪判別に際し、検知時間の相対値を問題としていることから、車両12の通過速度はさほど問題とならないが、検知エリア10内の車両12の通過速度としては、3km/h程度を想定している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両の車輪判別装置が設けられた、機械式駐車装置の車種検知エリアの平面図である。
【図2】図1の車種検知エリアの側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車体底部の突起物の検知検知装置の、最低地上高検知装置を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る、車両の車輪判別手順を示すフローチャートである。
【図5】車種検知エリアに対し車両が斜めに通過する場合の、車輪検知センサと車両との相対的な位置関係が変化する様子を、平面視したものであり、(A)は図4のステップ(20)に係るものであり、(B)は図4のステップ(30)に係るものである。
【図6】図5に続き、車種検知エリアに対し車両が斜めに通過する場合の、車輪検知センサと車両との相対的な位置関係が変化する様子を、平面視したものであり、(C)は図4のステップ(50)に係るものであり、(D)は図4のステップ(70)に係るものである。
【符号の説明】
【0033】
10:車種検知エリア、12:車両、14:最低地上高検知装置、18:車両後端部検知装置、24:車両前端検知装置、30:判別手段、32:車両の車輪判別装置、34:車輪検知センサ、36:突起物検知センサ、 38、381、382、383、384:車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式駐車装置の検知エリアを通過する車両の、車輪を検知する方法であって、
地表面近傍に、透過光が車幅方向へと照射されるようにして、透過型光電センサからなる車輪検知センサを配置し、
該車輪検知センサにより得られる車輪検知信号のうち、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知開始時間とその直後に通過する車輪の検知開始時間との時間差を、先に通過する車輪の検知時間長で除した値が、基準値未満であるとき、前記車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断することを特徴とする機械式駐車装置における車両の車輪判別方法。
【請求項2】
前記検知エリアに車体長さの検知手段を設け、車体長さの検知中に、前記車輪検知センサにより得られる、車輪検知センサを先に通過する車輪の検知信号及びその直後に通過する車輪の検知信号が2セット得られ、なおかつ、1セット目の検知で得られる、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長と、2セット目の検知で得られる、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長との比が、所定範囲内にあるとき、前記検知エリアを通過する車両の、前後輪の大きさが同一であると判断することを特徴とする請求項1記載の機械式駐車装置における車両の車輪判別方法。
【請求項3】
前後輪の大きさが同一であると判断される場合を除き、前記検知エリアを通過する車両は、入庫に不適切な車輪配置であると判断することを特徴とする請求項2記載の機械式駐車装置における車両の車輪判別方法。
【請求項4】
前記2セットの車輪検知信号の何れからも、前記車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断される場合を除き、前記検知エリアを通過する車両は、入庫に不適切な車輪配置であると判断することを特徴とする請求項2又は3記載の機械式駐車装置における車両の車輪判別方法。
【請求項5】
機械式駐車装置の検知エリアを通過する車両の、車輪を検知する装置であって、
地表面近傍に、透過光が車幅方向へと照射されるようにして、透過型光電センサからなる車輪検知センサが配置され、かつ、
該車輪検知センサにより得られる車輪検知信号のうち、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知開始時間とその直後に通過する車輪の検知開始時間との時間差を、先に通過する車輪の検知時間長で除した値が、基準値未満であるとき、前記車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断する処理ロジックが含まれる判別手段を備えることを特徴とする機械式駐車装置における車両の車輪判別装置。
【請求項6】
前記検知エリアに車体長さの検知手段が設けられており、前記判別手段には、車体長さの検知中に、車輪検知センサを先に通過する車輪の検知信号及びその直後に通過する車輪の検知信号が2セット得られ、なおかつ、1セット目の検知で得られる、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長と、2セット目の検知で得られる、前記車輪検知センサを先に通過する車輪の検知時間長との比が、所定範囲内にあるとき、前記検知エリアを通過する車両の、前後輪の大きさが同一であると判断する制御ロジックが含まれることを特徴とする請求項5記載の機械式駐車装置における車両の車輪判別装置
【請求項7】
前記判別手段には、前後輪の大きさが同一であると判断される場合を除き、前記検知エリアを通過する車両は、入庫に不適切な車輪配置であると判断する制御ロジックが含まれることを特徴とする請求項6記載の機械式駐車装置における車両の車輪判別装置。
【請求項8】
前記判別手段には、前記2セットの車輪検知信号の何れからも、前記車輪検知センサを先に通過する車輪とその直後に通過する車輪とが同一車軸上にあると判断される場合を除き、前記検知エリアを通過する車両は、入庫に不適切な車輪配置であると判断する制御ロジックが含まれることを特徴とする請求項6又は7記載の機械式駐車装置における車両の車輪判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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