説明

機能統合受信機

【課題】受信機能を精度よく切り換えることができる機能統合受信機を提供する。
【解決手段】車両1は、1つの受信機でワイヤレスキーシステム3の電波受信とタイヤ空気圧監視システム9の電波受信とが可能な機能統合受信機16を備える。機能統合受信機16は、車両1が電源オンかつ走行又は停車の走行状態にあるとき、タイヤ空気圧監視システム9の受信機能に設定される。また、機能統合受信機16は、車両1が電源オフのとき、車両1の走行状態によらず、ワイヤレスキーシステム3の受信機能に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの受信機で電子キーシステムの電波受信とタイヤ空気圧監視システムの電波受信とが可能な機能統合受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、電子キーから無線によりID信号を車両に送信してキー照合を実行させる電子キーシステムが搭載されている。また、近年の車両においては、各タイヤのタイヤ空気圧を車体側で監視するタイヤ空気圧監視システムが搭載される傾向にある。タイヤ空気圧監視システムは、各タイヤにタイヤ通信機を取り付け、このタイヤ通信機にて検出したタイヤ空気圧信号を車体に無線送信する。車体は、タイヤ通信機から受信したタイヤ空気圧信号を基にタイヤ空気圧を確認し、低圧タイヤが存在することを確認すると、低圧警報を運転者に出力する。
【0003】
このように、1台の車両に電子キーシステム及びタイヤ空気圧監視システムの両方が搭載される場合、車体側の部品点数削減を狙って、電子キーシステムの車体側の受信機と、タイヤ空気圧監視システムの車両側の受信機とを、1台の受信機に統合することが検討されている(特許文献1等参照)。特許文献1は、車両のイグニッションスイッチがオフのとき、機能統合受信機を電子キーシステムの受信機能で動作させ、イグニッションスイッチがオンのとき、機能統合受信機をタイヤ空気圧監視システムの受信機能で動作させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4407583号公報
【特許文献2】特開2008−132911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、例えば車両にエンジンスタータ装置が搭載されている場合、エンジンスタータ装置にてエンジンを始動してしまうと、その時点でイグニッションスイッチがオンとなるので、受信機の機能がタイヤ空気圧監視システムの受信機能が切り換わってしまう。よって、ユーザが実際に車両に乗車しようとしたとき、電子キーシステムにて車両ドアを解錠しようとしても、受信機がタイヤ空気圧監視システム用に切り換わってしまっているので、無線認証を実施することができず、電子キーで車両ドアを解錠することができない状況に陥る問題があった。
【0006】
また、特許文献2には、機能統合受信機の受信機能を、車両の車速情報を基に切り換える技術が開示されている。特許文献2は、車速が所定値未満の場合、機能統合受信機を電子キーシステムの受信機能にし、車速が所定値以上の場合、機能統合受信機をタイヤ空気圧監視システムの受信機能にする。しかし、この技術の場合、例えば車両が信号で止まって車速が「0」になってしまったとき、機能統合受信機が電子キーシステムの受信機能に切り換わってしまうので、車両走行中においてタイヤ空気圧を常時監視することができない問題に繋がる。
【0007】
本発明の目的は、受信機能を精度よく切り換えることができる機能統合受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、電子キーから送信されたID信号により当該電子キーの正当性を認証する電子キーシステムと、車両の各タイヤにタイヤ空気圧検出手段を取り付け、当該タイヤ空気圧検出手段から送信されたタイヤ空気圧信号により前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムとの間で共用され、前記ID信号及び前記タイヤ空気圧信号の両方を受信可能な機能統合受信機において、前記車両の電源状態を検出する電源状態検出手段と、前記車両が走行又は停車の走行状態にあるか否かを検出する走行状態検出手段と、前記車両の電源状態がオンで、かつ前記車両が走行状態にあることを確認すれば、受信機の機能を前記タイヤ空気圧監視システムの受信機能に設定し、前記車両の電源状態がオフになったことを確認すれば、前記車両が走行状態にあるか否かに関係なく、受信機の機能を前記電子キーシステムの受信機能に設定する受信機能設定手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
本発明の構成によれば、機能統合受信機を電子キーシステムの受信機能からタイヤ空気圧監視システムの受信機能に切り換えるときは、車両の電源状態及び走行状態を判定条件とし、機能統合受信機をタイヤ空気圧監視システムの受信機能から電子キーシステムの受信機能に切り換えるときは、車両の電源状態のみを判定条件とする。このため、車両電源がオンし、かつ車両が走行又は停車の走行状態に入れば、機能統合受信機はタイヤ空気圧監視システムの受信機として動作し、車両電源がオフになれば、車両の現在の走行状態によらず、機能統合受信機は電子キーシステムの受信機として動作する。
【0010】
このため、仮に車両にリモートエンジンスタータ装置が搭載されていた場合、駐車中の車両がリモートエンジンスタータ装置にてエンジンがかけられても、機能統合受信機は電子キーシステムの受信機能のまま維持される。よって、この後、ユーザが乗車するとき、通常通りに車両ドアを電子キーシステムにて解錠することが可能となる。また、例えば走行中の車両が信号待ちで停止しても、機能統合受信機はタイヤ空気圧監視システムの受信機能のまま維持される。よって、車両が信号待ちしているときであっても、タイヤ通信機から都度送信されるタイヤ空気圧信号を機能統合受信機は受信することが可能となる。
【0011】
本発明では、前記走行状態検出手段は、車速又はエンジン回転数に準ずる走行状態情報を検出し、前記受信機能設定手段は、前記走行状態情報を基に前記車両が走行又は停車の走行状態にあるか否かを判定することを要旨とする。この構成によれば、車両の走行状態の判定パラメータとして車速又はエンジン回転数を使用するので、車両が走行状態にあるか否かを精度よく判定することが可能となる。
【0012】
本発明では、前記電源状態検出手段は、前記車両のイグニッションスイッチから電源情報を取得し、前記受信機能設定手段は、前記電源情報を基に前記車両の電源状態を確認することを要旨とする。この構成によれば、車両の電源状態の判定パラメータとして、イグニッションスイッチから出力される電源情報を使用するので、電源状態を精度よく判定することが可能となる。
【0013】
本発明では、前記タイヤ空気圧監視システムの受信機能と、前記電子キーシステムの受信機とで、受信周波数が同じに設定されていることを要旨とする。この構成によれば、同一の受信部(アンテナや受信回路等)を使用することが可能となるので、部品点数削減や部品コスト削減に効果が高い。
【0014】
本発明では、前記受信機能設定手段は、受信機のコントロールユニットの動作機能を変えることにより、当該受信機の受信機能を切り換えることを要旨とする。この構成によれば、1つのコントロールユニットを複数の受信機能で共用するので、部品点数削減や部品コスト削減に効果が高い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、機能統合受信機の受信機能を精度よく切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態のワイヤレスキーシステム及びタイヤ空気圧監視システムの構成図。
【図2】(a)は機能統合受信機がワイヤレスキーシステムの受信機として動作するときのタイムチャート、(b)は機能統合受信機がタイヤ空気圧監視システムの受信機として動作するときのタイムチャート。
【図3】機能統合受信機がタイヤ空気圧監視システムの受信機能に設定される際の状態図。
【図4】機能統合受信機がワイヤレスキーシステムの受信機能に設定される際の状態図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した機能統合受信機の一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、ワイヤレスキー2から無線送信されたワイヤレス信号Swlを基に車両1を動作させるワイヤレスキーシステム3が搭載されている。ワイヤレスキーシステム3は、ワイヤレスキー2からの通信を契機に車両1とID照合(ワイヤレス照合)を行い、ワイヤレス照合が成立すれば、車両1にドアロック施解錠等を実行させるものである。なお、ワイヤレスキー2が電子キーに相当し、ワイヤレスキーシステム3が電子キーシステムに相当し、ワイヤレス信号SwlがID信号に相当する。
【0018】
ワイヤレスキー2には、ワイヤレスキー2の通信動作を管理するキー制御部4が設けられている。キー制御部4のメモリ(図示略)には、ワイヤレスキー2のキーIDが登録されている。ワイヤレスキー2には、車両1のドアロックを遠隔操作により施解錠する際に操作するワイヤレスボタン5が複数設けられている。キー制御部4には、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を送信可能な送信部6が接続されている。キー制御部4は、ワイヤレスボタン5が操作されたことを検出すると、自身に登録されたキーIDと、ワイヤレスボタン5に対応した機能コードとを含むワイヤレス信号Swlを、送信部6からUHF電波により送信させる。
【0019】
車両1には、車体7に取り付けられたそれぞれのタイヤ8(8a〜8d)のタイヤ空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システム9が搭載されている。タイヤ空気圧監視システム9は、各タイヤ8a〜8dに取り付けられたタイヤ通信機10でタイヤ空気圧を検出し、その検出結果をタイヤ空気圧信号Stpとして車体7に送信する。車体7は、タイヤ空気圧信号Stpからタイヤ空気圧を確認し、その確認結果を運転者に通知する。なお、タイヤ通信機10がタイヤ空気圧検出手段に相当する。
【0020】
タイヤ通信機10には、タイヤ通信機10を統括管理するコントローラ11が設けられている。コントローラ11のメモリ(図示略)には、各タイヤ8a〜8dの個別のIDとしてタイヤIDが登録されている。タイヤ通信機10には、タイヤ空気圧を検出する圧力センサ12、タイヤ温度を検出する温度センサ13、タイヤ8の回転を検出する加速度センサ14が設けられ、これらがコントローラ11に接続されている。これらセンサ類は、検出信号をコントローラ11に各々出力する。コントローラ11には、UHF電波を送信可能な送信部15が接続されている。
【0021】
本例のタイヤ空気圧監視システム9は、タイヤ通信機10が所定時間ごとに自らタイヤ空気圧信号Stpを送信する自励式である。タイヤ空気圧信号Stpには、タイヤ空気圧データ、タイヤ温度データ、タイヤID等が含まれている。タイヤ通信機10は、加速度センサ14から入力する加速度信号を基に、タイヤ空気圧信号Stpの送信間隔を切り換える。例えば、タイヤ通信機10は、車両走行時、タイヤ空気圧信号Stpを1回/1分の間隔で送信し、車両停車時、タイヤ空気圧信号Stpを1回/5分の間隔で送信する。
【0022】
車体7には、ワイヤレスキー2やタイヤ通信機10から送信された電波を受信可能な受信機(以下、機能統合受信機16と記す)が設けられている。本例の機能統合受信機16は、ワイヤレスキーシステム3及びタイヤ空気圧監視システム9の2システムで共用された車両1側の受信機である。
【0023】
機能統合受信機16には、機能統合受信機16の動作を統括管理する統合ECU(Electronic Control Unit)17と、UHF電波を受信可能な受信部18とが設けられている。統合ECU17のメモリ(図示略)には、キーID及びタイヤIDが登録されている。受信部18は、UHF電波を受信するアンテナ19と、その受信電波を復調及び増幅する受信回路20とからなる。機能統合受信機16には、例えば車内インストルメントパネル等に配置された表示部21が接続されている。機能統合受信機16は、統合ECU17の動作機能を変えることにより、受信機能が切り換え可能である。なお、統合ECUがコントロールユニットに相当する。
【0024】
本例の場合、ワイヤレスキーシステム3及びタイヤ空気圧監視システム9で、電波の周波数(受信周波数)が同一となっている。このため、本例の受信部18は、同じ周波数の電波のみ受信可能な受信回路(受信IC)20を有する。
【0025】
統合ECU17には、機能統合受信機16をワイヤレスキーシステム3の受信機として動作させるキーレス動作部22と、機能統合受信機16をタイヤ空気圧監視システム9の受信機として動作させるタイヤ空気圧監視動作部23とが設けられている。キーレス動作部22及びタイヤ空気圧監視動作部23は、統合ECU17内のCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより生成される機能部であって、CPUにおける実行プログラムを変えることによって各々生成される。
【0026】
キーレス動作部22は、受信部18でワイヤレス信号Swlを受信すると、ワイヤレス信号Swlに含まれるキーIDと、機能統合受信機16に登録されたキーIDとを照らし合わせることで、ワイヤレス照合を実行する。キーレス動作部22は、ワイヤレス照合が成立することを確認すると、ドアロック装置24に車両ドアの施解錠動作を実行させる。
【0027】
タイヤ空気圧監視動作部23は、受信部18でタイヤ空気圧信号Stpを受信すると、タイヤ空気圧信号Stpに含まれるタイヤIDと、機能統合受信機16に登録されたタイヤIDとを照らし合わせることで、タイヤID照合を実行する。タイヤ空気圧監視動作部23は、タイヤID照合が成立することを確認すると、同一信号内に含まれるタイヤ空気圧データにより、タイヤ8が低圧状態になっていないかどうかを確認する。そして、タイヤ空気圧監視動作部23は、タイヤ空気圧が低圧状態になっていることを確認すると、表示部21にて低圧警報を表示する。
【0028】
タイヤ空気圧監視動作部23は、タイヤ空気圧信号Stp内のタイヤ温度データに基づき、低圧閾値を設定する。これは、仮にタイヤ温度が高くなると、必然的にタイヤ空気圧も高くなることから、タイヤ温度に応じた最適な低圧閾値を設定するためである。そして、タイヤ空気圧監視動作部23は、タイヤ温度に準じて設定した低圧閾値とタイヤ空気圧とを比較し、タイヤ空気圧が低圧閾値未満であれば、その低圧タイヤを表示部21にタイヤ位置を対応付けて表示する。
【0029】
本例の機能統合受信機16には、車両1の電源状態及び走行状態を判定条件に、機能統合受信機16の受信機能を切り換える受信機能切換システム25が設けられている。本例の受信機能切換システム25は、車両1の電源状態がオン、かつ車両1が走行又は停車の走行状態にあるとき、機能統合受信機16の機能をタイヤ空気圧監視システム9の受信機能に設定し、車両1の電源状態がオフのとき、車両1の走行状態に関係なく、機能統合受信機16の機能をワイヤレスキーシステム3の受信機能に設定する。車両1が走行中とは、車両電源がオン状況下で車両1が車速を伴う走行にある状態を言い、車両1が停車中とは、車両電源がオン状況下にあるものの車両1に車速が発生しておらず(エンジン回転数は発生)、車両1が止まっている状態を言う。
【0030】
この場合、統合ECU17には、車両1のイグニッションスイッチ26から電源情報Svを取得する電源情報取得部27が設けられている。イグニッションスイッチ26は、ユーザの電源遷移操作によりスイッチ状態が切り換えられて各種車載電装品に電源を投入するスイッチであって、例えばIG(Ignition)オフ位置、ACC(Accessory)オン位置、IGオン位置、エンジンスタート位置の各位置を選択的にとる。イグニッションスイッチ26は、IGオフ位置の際にIGオフ信号Sofを、ACCオン位置の際にACCオン信号Sacを、IGオン位置又はエンジンスタート位置の際にIGオン信号Sonを、それぞれ電源情報Svとして統合ECU17に出力する。なお、電源情報取得部27が電源状態検出手段に相当する。
【0031】
統合ECU17には、車両1の走行状態に関係する走行状態情報Skを取得する走行状態情報取得部28が設けられている。走行状態情報Skは、車両1が走行、停車、駐車のいずれにあるのかを識別するための情報である。走行状態情報取得部28は、走行状態情報Skとして、例えばメータECUなどから車速情報Sk1やエンジン回転数情報Sk2などを取得したり、イグニッションスイッチ26からスタータオン信号Sstを取得したりする。車速情報は、車両1の走行速度を表す情報である。また、エンジン回転数情報は、車両1のエンジン回転数を表す情報である。なお、走行状態情報取得部28が走行状態検出手段に相当する。
【0032】
統合ECU17には、電源情報Sv及び走行状態情報Skを基に機能統合受信機16の受信機能を設定する受信機能設定部29が設けられている。受信機能設定部29は、イグニッションスイッチ26が電源オン、かつ車両1が走行又は停車の走行状態にあることを確認すると、タイヤ空気圧監視動作部23を有効とし、機能統合受信機16をタイヤ空気圧監視システム9の受信機として動作させる。一方、受信機能設定部29は、イグニッションスイッチ26が電源オフのとき、車両1の走行状態に関係なくキーレス動作部22を有効とし、機能統合受信機16をワイヤレスキーシステム3の受信機として動作させる。なお、受信機能設定部29が受信機能設定手段に相当する。
【0033】
図2(a)に示すように、キーレス動作部22は、車両駐車中、受信部18を間欠的に動作させる。これは、車両駐車中は主にワイヤレス信号Swlを探査することになるが、ワイヤレス信号Swlはユーザが車両1に乗降車するときのみ送信されるものであるため、受信部18は間欠動作すればそれで足り、結果、暗電流を抑制できるからである。また、車両駐車中は、決められた時間内に全輪のタイヤ空気圧を取得しなければならない法規はないので、受信部18を間欠動作するようにしても何ら問題はない。なお、車両1が駐車中とは、車両電源がオフの状況下で、車両1に車速もエンジン回転数も発生していない状態のことを言う。
【0034】
一方、タイヤ空気圧監視には、車両1が走行を開始してから所定時間内に全輪のタイヤ空気圧を取得しなければならない法規がある。このため、図2(b)に示すように、タイヤ空気圧監視動作部23は、車両走行中又は車両停車中、いつタイヤ空気圧信号Stp送信されてきても電波受信できるように、受信部18を常時起動させる。
【0035】
次に、本例の受信機能切換システム25の動作を、図3及び図4を用いて説明する。
まず、図3に示すように、イグニッションスイッチ26がACCオン位置に操作されると、電源情報取得部27に電源情報SvとしてACCオン信号Sacが入力される。また、イグニッションスイッチ26がIGオン位置に操作されると、電源情報取得部27に電源情報SvとしてIGオン信号Sonが入力される。このように、電源情報取得部27は、イグニッションスイッチ26が電源オン相当の位置(ACCオン位置、IGオン位置)に操作されたとき、このオン操作に準ずる電源オン信号(ACCオン信号Sac、IGオン信号Son)を入力する。
【0036】
また、走行状態情報取得部28は、イグニッションスイッチ26が電源オン操作されると起動し、例えばメータECUから走行状態情報Skを取得する。このとき、走行状態情報取得部28は、例えばメータECU等から、走行状態情報として車速情報Sk1エンジン回転数情報Sk2を取得したり、イグニッションスイッチ26からスタータオン信号Sstを取得したりする。
【0037】
受信機能設定部29は、取得した電源情報Sv及び走行状態情報Skを基に、機能統合受信機16の受信機能を設定する。このとき、受信機能設定部29は、取得した電源情報Svを基に、車両電源が電源オン又は電源オフのいずれであるかを確認し、例えばACCオン信号Sac又はIGオン信号Sonのどちらかを入力すれば、車両電源がオンであると認識する。また、受信機能設定部29は、取得した走行状態情報Skを基に、車両1が走行又は停車の走行状態にあるか否かを確認する。受信機能設定部29は、車速が閾値以上であること、エンジン回転数が閾値以上であること、スタータオン信号Sstを入力していることの、少なくとも1つを確認すると、車両1が走行又停車の走行状態にあると認識する。
【0038】
受信機能設定部29は、車両1が電源オン状態で、かつ車両1が走行又は停車の走行状態にあることを確認すると、タイヤ空気圧監視動作部23を有効にし、機能統合受信機16の機能を、タイヤ空気圧監視システム9の受信機能に設定する。これにより、機能統合受信機16は、タイヤ通信機10から送信されてくるタイヤ空気圧信号Stpを受信可能となり、タイヤ空気圧監視が実施可能となる。
【0039】
一方、図4に示すように、受信機能設定部29は、イグニッションスイッチ26から電源情報SvとしてIGオフ信号Sofを取得すると、車両1の走行状態に関係なくキーレス動作部22を有効とし、機能統合受信機16の機能を、ワイヤレスキーシステム3の受信機能に設定する。つまり、機能統合受信機16をワイヤレスキーシステム3の受信機能に設定するときは、切り換えの条件に走行状態情報Skを含まず、電源情報Svのみで判定する。これにより、機能統合受信機16は、ワイヤレスキー2から送信されてくるワイヤレス信号Swlを受信可能となり、ワイヤレス照合が実施可能となる。
【0040】
以上により、本例においては、機能統合受信機16の受信機能を、車両1が電源オンかつ走行又は停車の走行状態にあるとき、タイヤ空気圧監視システム9の受信機能に設定し、車両1が電源オフのとき、車両1の走行状態によらず、ワイヤレスキーシステム3の受信機能に設定する。つまり、機能統合受信機16をタイヤ空気圧監視システム9の受信機能に設定するときは、車両1の電源状態と走行状態とを判定条件とし、機能統合受信機16をワイヤレスキーシステム3の受信機能に設置画するときは、車両1の走行状態のみを判定条件とする。
【0041】
このため、仮にリモートエンジンスタータ装置が搭載された車両1において、リモートエンジンスタータ装置によってエンジンがかけられても、この状況下では車速が発生していないので、機能統合受信機16はワイヤレスキーシステム3の受信機能に設定された状態で維持される。よって、リモートエンジンスタータ装置でエンジンがかけられた車両1にユーザが乗車するとき、通常通りワイヤレスキー2によるドア解錠が可能となる。
【0042】
また、走行中の車両1が信号待ちをしたとき、車速が「0」になってしまっても、イグニッションスイッチ26が電源オフにならなければ、機能統合受信機16はワイヤレスキーシステム3の受信機能に切り換わらない。よって、車両1が信号待ちで停車しても、機能統合受信機16はタイヤ空気圧監視システム9の受信機能で維持されるので、車両1が停車したときも、問題なく機能統合受信機16にタイヤ空気圧信号Stpを受信させることが可能となる。
【0043】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)機能統合受信機16をワイヤレスキーシステム3の受信機能からタイヤ空気圧監視システム9の受信機能に切り換えるときは、車両1の電源状態及び走行状態を判定条件とし、機能統合受信機16をタイヤ空気圧監視システム9の受信機能からワイヤレスキーシステム3の受信機能に切り換えるときは、車両1の電源状態のみを判定条件とする。このため、駐車中の車両1のエンジンをリモートエンジンスタータ装置で始動させても、機能統合受信機16がワイヤレスキーシステム3の受信機能で維持され、また、走行中の車両1が信号待ちなどで停止しても、機能統合受信機16がタイヤ空気圧監視システム9の受信機能で維持される。よって、機能統合受信機16の受信機能を精度よく切り換えることができる。
【0044】
(2)車両1の走行状態の判定パラメータとして車速又はエンジン回転数を使用するので、車両1が走行状態にあるか否かを精度よく判定することができる。
(3)車両1の電源状態の判定パラメータとして、イグニッションスイッチ26から出力される電源情報Svを使用するので、車両1の電源状態を精度よく判定することができる。
【0045】
(4)ワイヤレスキーシステム3とタイヤ空気圧監視システム9とで電波の周波数が同一(UHF帯の電波)であるので、各受信機能において機能統合受信機16が受信する電波の周波数は同一となる。このため、機能統合受信機16において同一の受信部18を使用することが可能となるので、部品点数や部品コストを削減することができる。
【0046】
(5)機能統合受信機16において1つの統合ECU17を両方の受信機能で共用するので、部品点数や部品コストの削減に効果が高い。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
【0047】
・電子キーシステムは、ワイヤレスキーシステム3に限定されず、例えば車両1からの通信を契機に狭域無線通信(通信範囲:数m)によりID照合を行うキー操作フリーシステムとしてもよい。また、車両1には、ワイヤレスキーシステム3とキー操作フリーシステムとが並設されていてもよい。
【0048】
・機能統合受信機16をワイヤレスキーシステム3の受信機能からタイヤ空気圧監視システム9の受信機能に切り換えるときの判定条件は、車両1の電源状態及び走行状態に限定されない。例えば、車両1にキー操作フリーシステムが搭載されている場合、同システムにおける車内照合成立を条件に加えてもよい。
【0049】
・走行状態情報Skは、例えばGPS(Global Positioning System)から求まる位置情報としてもよい。この場合、GPSにより車両1の現在位置が分かるので、車両1に位置変化があったとき、車両1が走行状態にあると判定する。
【0050】
・走行状態情報Skは、アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセル操作量検出センサから得られるペダル踏込量信号でもよい。また、走行状態情報Skは、車両1に専用に設けた加速度センサから得られる加速度信号でもよい。
【0051】
・電源情報Svは、イグニッションスイッチ26から出力されるスイッチ信号に限定されず、車両1に電源が入っているか否かを確認できれば、他の信号を用いてもよい。
・機能統合受信機16をタイヤ空気圧監視システム9の受信機能からワイヤレスキーシステム3の受信機能に切り換えるとき、所定のタイムラグを持たせてもよい。この場合、機能統合受信機16にタイヤ空気圧信号Stpをより確実に受け取らせることができる。
【0052】
・機能統合受信機16の受信機能を切り換えるとき、受信部18(受信回路20)の動作機能を変更することも可能である。
・キーレス動作部22及びタイヤ空気圧監視動作部23は、各々独立したハードウェア回路から構築されてもよい。
【0053】
・ワイヤレス信号Swlとタイヤ空気圧信号Stpとは、周波数が完全に一致することに限定されず、所定量ずれていてもよい。
・ワイヤレスキーシステム3は、車両ドアの施解錠用のシステムに限定されず、例えばパワースライドドアやバックドアの開閉するシステムに変更してもよい。
【0054】
・タイヤ空気圧監視システム9は、タイヤ通信機10が自ら電波を送信する自励式に限定されず、車体7に取り付けたイニシエータから電波を受信したときにタイヤ空気圧信号Stpを送信するイニシエータ式としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…車両、2…電子キーとしてのワイヤレスキー、3…電子キーシステムとしてのワイヤレスキーシステム、8(8a〜8d)…タイヤ、9…タイヤ空気圧監視システム、10…タイヤ空気圧検出手段としてのタイヤ通信機、16…機能統合受信機、17…コントロールユニットとしての統合ECU、26…イグニッションスイッチ、27…電源状態検出手段としての電源状態取得部、28…走行状態検出手段としての走行状態情報取得部、29…受信機能設定手段としての受信機能設定部、Swl…ID信号としてのワイヤレス信号、Stp…タイヤ空気圧信号、Sv…電源情報、Sk…走行状態情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キーから送信されたID信号により当該電子キーの正当性を認証する電子キーシステムと、車両の各タイヤにタイヤ空気圧検出手段を取り付け、当該タイヤ空気圧検出手段から送信されたタイヤ空気圧信号により前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムとの間で共用され、前記ID信号及び前記タイヤ空気圧信号の両方を受信可能な機能統合受信機において、
前記車両の電源状態を検出する電源状態検出手段と、
前記車両が走行又は停車の走行状態にあるか否かを検出する走行状態検出手段と、
前記車両の電源状態がオンで、かつ前記車両が走行状態にあることを確認すれば、受信機の機能を前記タイヤ空気圧監視システムの受信機能に設定し、前記車両の電源状態がオフになったことを確認すれば、前記車両が走行状態にあるか否かに関係なく、受信機の機能を前記電子キーシステムの受信機能に設定する受信機能設定手段と
を備えたことを特徴とする機能統合受信機。
【請求項2】
前記走行状態検出手段は、車速又はエンジン回転数に準ずる走行状態情報を検出し、前記受信機能設定手段は、前記走行状態情報を基に前記車両が走行又は停車の走行状態にあるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の機能統合受信機。
【請求項3】
前記電源状態検出手段は、前記車両のイグニッションスイッチから電源情報を取得し、前記受信機能設定手段は、前記電源情報を基に前記車両の電源状態を確認する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の機能統合受信機。
【請求項4】
前記タイヤ空気圧監視システムの受信機能と、前記電子キーシステムの受信機とで、受信周波数が同じに設定されている
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の機能統合受信機。
【請求項5】
前記受信機能設定手段は、受信機のコントロールユニットの動作機能を変えることにより、当該受信機の受信機能を切り換える
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の機能統合受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−23868(P2013−23868A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158488(P2011−158488)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】