欠陥修正装置および方法
【課題】樹脂基板の面上に形成されたパターンの欠陥を樹脂基板にダメージを与えることなく、レーザ光照射により高品位に修正する。
【解決手段】欠陥修正装置201は、フェトム秒単位のパルス幅を有したレーザ光を出射するレーザ32と、レーザ光の光軸(Z軸)が直交する面を有するフィルム基板26の面の上に形成されたパターンの欠陥部を修正する修正部と、を備える。修正部は、欠陥部の表面と光軸とが直交するようにレーザ光を欠陥部に照射する。このとき、レーザ光の照射位置を、表面において光軸と直交するY軸が延びる方向と当該光軸およびY軸のそれぞれと直交するX軸が延びる方向とに可変としながら、且つ当該照射位置を光軸に沿って欠陥部の表面からフィルム基板26の面に至るまで複数回に分けて可変としながら、レーザ光を照射する。
【解決手段】欠陥修正装置201は、フェトム秒単位のパルス幅を有したレーザ光を出射するレーザ32と、レーザ光の光軸(Z軸)が直交する面を有するフィルム基板26の面の上に形成されたパターンの欠陥部を修正する修正部と、を備える。修正部は、欠陥部の表面と光軸とが直交するようにレーザ光を欠陥部に照射する。このとき、レーザ光の照射位置を、表面において光軸と直交するY軸が延びる方向と当該光軸およびY軸のそれぞれと直交するX軸が延びる方向とに可変としながら、且つ当該照射位置を光軸に沿って欠陥部の表面からフィルム基板26の面に至るまで複数回に分けて可変としながら、レーザ光を照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PDP(プラズマディスプレイパネル:Plasma Display Panel)はパネル本体から発生する電磁波の漏洩を防ぐために、パネル前面に電磁波シールドフィルムを装着している。PDP用の電磁波シールドフィルムは、透明の樹脂フィルムの基板上に金属を塗布することによる微細なメッシュ状のパターン(以下、電極ともいう)を形成したものである。電磁波の漏洩防止効果を得るために、電磁波シールドフィルムパターンには欠陥がないことが求められる。
【0003】
しかしながら、電磁波シールドフィルムの製造工程においては、基板上に形成された微細パターンに種々の欠陥が発生する。欠陥が発生した基板を全て廃棄したのでは、歩留まりが低下してしまう。取分け、最近では、ディスプレイの市場価格の低下や、不良品廃却による環境負荷増加の抑制の観点から、修正可能なものは修正して製品化しようとする傾向が強くなってきており、電磁波シールドフィルムにおいても、欠陥修正を可能とする修正方法と修正装置が強く求められてきている。
【0004】
電磁波シールドフィルムの製造工程においては、電磁波シルードのパターン100の線の幅が太くなってしまう幅太欠陥101(図13(a)参照)、または、パターン100が欠落してしまう欠け欠陥102(図13(a)参照)などが発生する。欠陥を修正する方法として、幅太欠陥101については、パターン100の線幅が太くなってしまった部分を、レーザ光を照射して除去することにより欠陥を修正する。また、欠け欠陥102については、欠けた部分に、金属ペーストを塗布することにより欠陥を修正する。このような修正を行う装置として、たとえば、特許文献1にPDPの電極の欠陥を修正する装置が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−56477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、PDPやLCD(Liquid Crystal Display)の電極修正を行う装置が記載されている。PDPの電極欠陥修正では、電極のショート欠陥をカットするために、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザまたはYLFレーザの第2高調波のパルス発振レーザが搭載されている。PDP電極のように、ガラス基板上に形成されたパターンについては、ガラス基板が第2高調波をほとんど透過することと、耐熱性に優れるため、電極欠陥部をレーザで選択的にカットすることが可能である。
【0007】
しかし、電磁波シールドフィルムのように、樹脂フィルム基板上にパターンが形成されている場合は、欠陥修正にレーザ光を用いた場合には、フィルム基板自体のレーザ光吸収による変形、歪み、穴明き等のダメージの発生、また電極カット時の発熱による変形、歪み、穴明き、黒色化等のダメージの発生が避けられない。
【0008】
それゆえに、幅太欠陥の除去修正が困難であると共に、欠け欠陥の修正においてもペースト塗布修正後の整形加工における余分な部分の除去加工が困難である。結果として、従来の装置ではフィルム基板上に形成された金属パターンの修正を行うことができなかった。
【0009】
本発明の目的は、樹脂基板の面上に形成されたパターンの欠陥を樹脂基板にダメージを与えることなく、レーザ光照射により高品位に修正することのできる欠陥修正装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に従う欠陥修正装置は、フェトム秒単位のパルス幅を有したレーザ光を出射するレーザ部と、レーザ光の光軸が直交する面を有する樹脂基板の面の上に金属材料で形成されたパターンの欠陥部を修正する修正部と、を備え、修正部は、欠陥部の表面と光軸とが直交するようにレーザ光を欠陥部に照射するレーザ照射部と、レーザ照射部によるレーザ光の照射位置を、表面において光軸と直交する第1軸が延びる方向と当該光軸および第1軸のそれぞれと直交する第2軸が延びる方向とに可変としながら、且つ当該照射位置を前記光軸に沿って欠陥部の表面から樹脂基板の面に至るまで複数回に分けて可変としながら、レーザ光を照射する照射位置可変部と、を含む。
【0011】
好ましくは、樹脂基板は、ロール状に収容可能な薄膜の樹脂基板であって、欠陥修正装置は、欠陥部を修正するために樹脂基板が載置される載置テーブルと、ロール状に巻かれた樹脂基板を、巻きを解きながらテーブルに送りだす送り出し部と、送り出されることによりテーブルを通過した樹脂基板を巻き取りながらロール状に収容する巻き取り部とを、さらに備える。
【0012】
好ましくは、修正部は、樹脂基板の面上に形成された金属材料の欠落した欠け欠陥部に、針先端に付着した修正材料を接触させて塗布する修正材料塗布部と、塗布した修正材料を硬化させる修正材料硬化部と、をさらに含み、硬化した修正材料のうちの不要な部分を欠陥部として、レーザ照射部および照射位置可変部によりレーザ光を照射することによって除去する。
【0013】
好ましくは、欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、レーザ部、修正材料塗布部、修正材料硬化部および観察部を搭載する搭載部を含み、光軸に沿って搭載部を移動可能とするための光軸方向移動部と、光軸方向移動部を搭載し、光軸方向移動部を第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、第2軸方向移動部を搭載し、第2軸方向移動部を第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、をさらに備える。
【0014】
好ましくは、欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、修正材料塗布部を搭載し、修正材料塗布部を第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、レーザ部、修正材料硬化部、観察部および第1軸方向移動部を搭載する搭載部を有し、搭載部を光軸に沿って移動可能とするための光軸方向移動部と、光軸方向移動部を搭載し、光軸方向移動部を第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、をさらに備える。
【0015】
好ましくは、修正部は、樹脂基板の面上に形成された金属材料の欠落した欠け欠陥部に、針先端に付着した修正材料を接触させて塗布する修正材料塗布部と、塗布した修正材料を硬化させる修正材料硬化部と、をさらに含み、硬化した修正材料のうちの不要な部分を欠陥部として、レーザ照射部および照射位置可変部により前記レーザ光を照射することによって除去する。
【0016】
好ましくは、欠陥部を修正するために樹脂基板が載置される載置テーブルと、欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、レーザ部、修正材料塗布部、修正材料硬化部および観察部を搭載する搭載部を有し、搭載部を光軸に沿って移動可能とするための光軸方向移動部と、光軸方向移動部を搭載し、光軸方向移動部を載置テーブル上で第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、載置テーブルを、第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、をさらに備える。
【0017】
好ましくは、照射位置可変部が、照射位置を前記光軸に沿って可変にする回数は、レーザ光のスポットの径および欠陥部の表面から樹脂基板の面に至るまでの光軸に沿った距離を含むパラメータに従い決定される。
【0018】
この発明の他の局面に従う欠陥修正方法は、面を有し、面の上に金属材料でパターンが形成された樹脂基板を載置するステップと、載置された樹脂基板に面の上に形成されたパターンの欠陥部を、フェトム秒単位のパルス幅を有したレーザ光を照射することにより修正する修正ステップと、を備え、修正ステップは、欠陥部の表面とレーザ光の光軸とが直交するように欠陥部にレーザ光を照射するレーザ照射ステップを含み、レーザ照射ステップによるレーザ光の照射位置を、表面において光軸と直交する第1軸が延びる方向と当該光軸および第1軸のそれぞれと直交する第2軸が延びる方向とに可変としながら、且つ当該照射位置を光軸が延びる方向に沿って欠陥部の表面から樹脂基板の面に至るまで複数回に分けて可変としながら、レーザ光を照射する。
【0019】
好ましくは、修正ステップは、樹脂基板の前記面上に形成された金属材料の欠落した欠け欠陥部に、針先端に付着した修正材料を接触させて塗布する修正材料塗布ステップと、塗布した修正材料を硬化させる修正材料硬化ステップと、をさらに含み、硬化した修正材料のうちの不要な部分を欠陥部として、レーザ照射ステップによりレーザ光を照射することによって除去する。
【0020】
好ましくは、レーザ照射ステップにおいて照射位置を前記光軸に沿って可変にする回数は、レーザ光のスポットの径および欠陥部の表面から樹脂基板の面に至るまでの光軸に沿った距離を含むパラメータに従い決定される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、樹脂基板の面上に形成されたパターンの欠陥を樹脂基板にダメージを与えることなく、レーザ光照射により高品位に修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る欠陥修正装置の概略外観図である。
【図2】図1の制御用コンピュータの構成図である。
【図3】図1の巻き取りロール機構を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る欠陥修正方法の処理フローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1に係る欠陥修正方法の処理フローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る欠陥修正方法の処理フローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係るペースト塗布機構を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る観察光学系の概略構成図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る欠陥修正装置において、対物レンズからフィルム基板にレーザが集光されて照射される状態を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、レーザ光が照射されるフィルム基板の表面部分を拡大して示す図である。
【図11】本発明の実施形態2に係る欠陥修正装置の概略外観図である。
【図12】本発明の実施形態3に係る欠陥修正装置の概略外観図である。
【図13】欠陥の種類と修正を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。ここでは、レーザ光が照射される基板表面は、直交するX軸およびY軸により規定される2次元座標平面に対応すると想定する。基板表面の鉛直方向に延びる軸を、すなわちX軸に直交し且つY軸に直交する軸をZ軸と想定する。X軸、Y軸およびZ軸のそれぞれが延びる方向を「X方向」、「Y方向」および「Z方向」と称する。
【0024】
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施形態1に係る欠陥修正装置201は、流動的に移動する樹脂材料からなる薄膜のフィルム基板26の主面上に金属を塗布することによって形成された微細パターンの欠陥部を修正する装置である。具体的には、欠陥修正装置201は、欠陥部をカットするためのレーザ光を照射するレーザ32、欠陥部の観察を可能とする観察光学系30を備える。フィルム基板26が移動のために流動する方向は、ここではY方向に対応すると想定する。また、レーザ32の光軸はZ軸に対応する。
【0025】
観察光学系30は、レーザ32から出射されたレーザ光のパワーコントロールを行なう図示しないアッテネータ50、レーザ光をX方向およびY方向に走査するための図示しないガルバノスキャナ51、およびフィルム基板26上のレーザ光が照射される欠陥部を観察するためのCCD(Charge Coupled Device)カメラ31を含む。CCDカメラ31は、欠陥部からの反射光を受光し、受光量に応じた電気信号に変換し出力する。出力された電気信号は、撮像して得られた画像データを指す。CCDカメラ31は欠陥部を観察する観察部に対応する。
【0026】
ガルバノスキャナ51は、高速に加工するために光軸を動かす為のユニットである。レーザ32から出射されたレーザ光が入射および反射するミラーと、このミラーの傾きを制御するモータとを備える。モータの動作は後述の制御コンピュータ35を使って制御する。
【0027】
欠陥修正装置201は、さらに、欠陥部に金属のペーストを塗布するペースト塗布機構25、およびペースト塗布機構25で塗布したペーストを乾燥または焼成することにより硬化させるためのペースト焼成機構33を含む修正ヘッド部を備える。観察光学系30、レーザ32および修正ヘッド部を搭載し、載置テーブル40上に載置されたフィルム基板26の表面に対してZ方向に自在に移動可能とするZ軸テーブル27、Z軸テーブル27を搭載し、フィルム基板26の流動方向と直交すX方向に移動可能とするX軸テーブル28、およびX軸テーブル28を搭載し、フィルム基板26の流動方向と同じ方向であるY方向に移動可能とするY軸テーブル29を備える。
【0028】
さらに、欠陥修正装置201は、フィルム基板26をロール形態で収容して保持し、収容されたロールの巻きを解きながらフィルム基板26を載置テーブル40に載置するようにY方向に送り出すための送り出しロール機構38、送り出されたフィルム基板26を載置テーブル40において固定する吸着プレート37および載置テーブル40を通過して送り出されるフィルム基板26をY方向に巻き取りながらロール状にして収容するための図3に示す巻き取りロール機構39を備える。さらに、欠陥修正装置201は、上述の各部の駆動制御を行なう制御コンピュータ35、制御コンピュータ35に指令を入力するためにオペレータが操作する操作パネル36、および図示しない画像処理装置を備える。画像処理装置は、CCDカメラ31が出力する画像データを入力する。画像処理装置は、画像データを処理し、その処理結果と画像データを、制御コンピュータ35に出力する。
【0029】
フィルム基板26を移動させるため、およびフィルム基板26の欠陥位置に基づき各種機構を移動させるために、何らかの基準となるものが必要となるが、ここでは、フィルム基板26上に所定間隔で基準マークが形成されていると想定する。
【0030】
図2を参照して制御コンピュータ35は、CRT(陰極線管)またはLCDなどからなるディスプレイ610、キーボード650、マウス660および操作パネル36を有する入力部700、該制御用コンピュータ35の動作を集中的に制御および監視するためのCPU(中央処理装置の略)622、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memoryの略)を含んで構成されるメモリ624、固定ディスク626、FD(Flexible Disc)632が着脱自在に装着されて、装着されたFD632をアクセスするFD駆動装置630、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)642が着脱自在に装着されて、装着されたCD−ROM642をアクセスするCD−ROM駆動装置640、他の各部と通信をするための通信回線300、および通信回線300と該制御用コンピュータ35とを通信接続するための通信インターフェイス680を含む。これらの各部はバスを介して通信接続される。
【0031】
使用するレーザは、パルス時間幅が10フェトム秒から20ピコ秒のパルスレーザである。その構成は、たとえば使用するファイバがエリビウムドープ光ファイバまたはイッテルビウムドープ光ファイバまたはエリビウム・イッテルビウム共ドープ光ファイバを共振器および増幅媒体に使用しているレーザ、たとえば、チタンをドープしたサファイア結晶を使用した再生増幅方式によるレーザ、たとえば、イッテルビウムをドープしたイットリウム・アルミニウム・ガーネットの円盤型結晶を使用したレーザ、などの様々な方式のレーザが挙げられる。
【0032】
欠陥修正装置201は、電磁波シールドパターンに発生する欠陥部のパターンをカットするためのレーザ32として、フェトム秒レーザを用いる。本実施の形態では、発振パルス幅が500fs(fsはフェムト秒(10−15秒)の略)以下のレーザ32を用いる。
【0033】
このように発振パルス幅が非常に狭いフェトム秒レーザ32によれば、加工対象であるパターンにレーザ照射して格子振動による熱が発生する前に、加工対象をアブレーションにより除去することが可能である。従来のパターン修正に使用しているYAGレーザ(パルス幅は10ns)では、フィルム基板26上の金属膜であるパターンをフィルム基板26にダメージを与えずに加工することは困難であるのに対し、フェムト秒レーザはパターンのみを除去しフィルム基板26にダメージを与えない点で、優れている。
【0034】
また、フェムト秒のレーザ32を用いたカットにおいては、多光子吸収(強力な光が物質に入射した時、電子が同時に2つ以上の光子を吸収して励起される現象)によりレーザ光が集光された焦点部分のみで光との反応が局所的に発生し、これにより、パターンの膜厚方向(この膜厚方向は、Z方向に対応する)に対して数μmの部分のみ除去することが可能である。
【0035】
また、除去効率を向上させ、除去に要する時間を短縮するために、発明者の実験によればレーザ32の発振周波数は90kHz以上であることが望ましい。
【0036】
(欠陥修正のための概略手順)
図1の欠陥修正装置201によるフィルム基板26のパターンに発生した欠陥の修正方法について、図4〜図6のフローチャートを参照し説明する。これらフローチャートに従うプログラムは予めメモリ624に格納されておりCPU622が、メモリ624からプログラムを読出し実行することにより、欠陥修正のための処理が実行される。
【0037】
なお、欠陥修正処理に先立って、欠陥データ643が検出されて、メモリ624に格納されていると想定する。欠陥データ643は、図示しない検査装置により検出されて、工場内のCIM(Computer Integrated Manufacturing)経由など、何らかの手段により制御用コンピュータ35のメモリ624に格納されているものとする。欠陥データ643は、たとえば画像のパターン認識により検出された欠陥部のそれぞれについて、フィルム基板26上の位置を指す位置情報と、当該欠陥部が幅太欠陥、または、欠け欠陥のいずれであるかを指す欠陥種類データとが対応付けされて含まれると想定する。ここで、位置情報は、フィルム基板26上の座標値(X,Y)を用いて指示される。
【0038】
動作において、まず、CPU622は、欠陥修正装置201に与えられる上述の欠陥データ643をメモリ624から読出す(ステップS3)。
【0039】
続いて、CPU622は、送り出しロール機構38および巻き取りロール機構39を制御して、フィルム基板26を載置テーブル40に載置するために送り出す。そして、欠陥が観察可能な位置に観察光学系30を移動させる(ステップS7)。具体的には、予め登録された基準マークの位置まで観察光学系30を移動させ、続いて欠陥部に観察光学系30を移動させる。
【0040】
基準マークの位置まで観察光学系30を移動させる場合について説明する。ここで、フィルム基板26の基準マークが流動してくる位置(X方向の座標)のデータは、予めメモリ624に格納されており、CPU622は、X軸テーブル28を、メモリ624から読出した基準マークの位置データに従い移動させる。X軸テーブル28の移動により、観察光学系30は移動し基準マークの位置で停止する。ここで、現在の観察光学系30の座標位置は、X軸テーブル28に組込まれた図示のないリニアスケールにより検出される。制御用コンピュータ35のCPU622は、観察光学系30の検出された現在位置と、基準マークの位置データの座標位置とを比較しながら、比較結果に従いX軸テーブル28を移動させる。これにより、予め登録された基準マークの位置まで観察光学系30を移動させることができる。
【0041】
CPU622は、次に、送り出しロール機構38および巻き取りロール機構39を制御し、基準マークを観察光学系30で観察可能な位置にまでフィルム基板26を送り出す。具体的には次の手順にしたがう。まず、フィルム基板26を欠陥修正装置201の載置テーブル40に搭載した時に、一度、基準マークを観察光学系30の観察中心(CCDカメラ31の撮像視野の中心)にセットし、この状態で図3に示す巻き取りロール機構39の駆動ロール392に組み込まれたエンコーダ391の値をCPU622が読出し、メモリ624に格納する。ここで、フィルム基板26上に基準マークはY方向に一定間隔で形成されているので、CPU622は、当該一定間隔の値と、駆動ロール392の外径寸法と、エンコーダ391の値とに基づき、基準マークを観察光学系30で観察可能な位置にまで移動させるためのフィルム基板26の巻き取り量を計算することができる。したがって、CPU622は、計算した巻き取り量に基づき送り出しロール機構38および巻き取りロール機構39を制御して、次の基準マークを観察光学系30の観察中心位置に来るように、フィルム基板26を、自動で巻き取ることができる。
【0042】
基準マークを観察中心位置に来るように観察光学系30を移動した後に、欠陥が観察可能な位置に観察光学系30を移動させる。CPU622は、メモリ624から読出した当該基準位置の情報と欠陥データ643が指す欠陥位置の情報とに基づき、観察光学系30を、欠陥部を観察可能なX軸ライン位置へ移動させる。ここで、吸着プレート37で移動しないようにフィルム基板26を固定する。
【0043】
次に、観察光学系30を、X軸テーブル28を移動させることにより、欠陥が観察できる位置へ移動させる。
【0044】
観察光学系30を欠陥が観察可能な位置に移動させた後に、欠陥修正が行われる(ステップS9)。欠陥修正の詳細は図5で後述する。
【0045】
欠陥の修正が終了すると、CPU622は、メモリ624の欠陥データ643が指す全ての欠陥の修正が終了したか否かを判定する(ステップS11)。欠陥を全て修正したと判定すると(ステップS11でYES)、一連の処理は終了する。修正が終了していないと判定すると(ステップS11でNO)、処理はステップS7に戻り、欠陥データ643に基づき前述のようにフィルム基板26を移動させ、観察光学系30を次の欠陥部を観察可能な位置に移動させた後に、次の欠陥部について欠陥修正を行う。
【0046】
(欠陥修正の詳細手順)
図5を参照して欠陥修正(ステップS9)について説明する。
【0047】
CPU622は、ステップS7で観察光学系30が観察対象としている欠陥部の位置情報に基づき、メモリ624の欠陥データ643を検索し、対応する欠陥種類のデータを読出す。そして、読出した欠陥種類は‘太幅欠陥’および‘欠け欠陥’のいずれを指すかを判定する(ステップS21)。
【0048】
‘太幅欠陥’を指すと判定されると、図6に示す後述のレーザ除去処理(ステップS23)が行われる。具体的には、レーザ32からレーザ光を欠陥部に照射することにより、欠陥部のパターンを除去して修正する。この時、レーザ光は、アッテネータ50で適切なパワーにコントロールされ、光路はガルバノスキャナ51によりXY方向に制御されて、フィルム基板26表面のレーザ光の照射位置がXY方向に制御される。このようなガルバノスキャナ51の光路の制御により必要な部分のみXY方向にレーザ光が走査されながら照射される。この状態で、フィルム基板26にダメージを与えないように、予め条件出しされた条件に従い、複数回に分けてZ軸テーブル27を下降させながら欠陥部分の除去を行なう。その後、処理は元の処理に戻る。
【0049】
ここで、ガルバノスキャナ51の走査量(駆動角度)と、フィルム基板26上でのレーザ光の走査量の関係は、レーザ光が通る観察光学系30との関係で決まる。観察光学系30のCCDカメラ31によって取得された欠陥部の画像データに従う画像は、制御コンピュータ35のディスプレイ610に表示される。オペレータは、画像をモニタしながら、どの位置にレーザ光を照射するかを確認した上で、操作パネル36を操作してディスプレイ610の画面上でレーザ照射範囲を指定し入力する。指定入力された位置(欠陥部位置)データは、CPU622により読取られて、CPU622は読取った位置データを、所定手順に従いフィルム基板26上のXY座標の位置データに変換し、変換後のXY座標位置データが指す位置にレーザ光が照射されるように、ガルバノスキャナ51を制御する。
【0050】
‘欠け欠陥’を指すと判定されると、処理はステップS25に移行する。ステップS25では、欠け欠陥102の欠け部分にペースト塗布機構25を用いて金属ペーストを塗布する。ペースト塗布時には、オペレータは、画像をモニタしながら、どの位置にペーストを塗布するかを確認した上で、操作パネル36を操作してディスプレイ610の画面上で塗布範囲を指定し入力する。指定入力された位置(欠陥部位置)データは、CPU622により読取られて、CPU622は読取った位置データを、所定手順に従いフィルム基板26上のXY座標の位置データに変換し、変換後のXY座標位置データに従いX軸テーブル28とY軸テーブル29を移動させて、ペースト塗布機構25を欠陥部にまで移動させる。これにより、欠陥の位置にペーストを塗布することが可能となる。ペースト塗布機構25によるペースト塗布の詳細については後述する。
【0051】
続いて、塗布したペーストをペースト焼成機構33(ペースト焼成機構33には、ハロゲンランプまたは半導体レーザ、CO2レーザ(炭酸ガスレーザ)などが用いられる)により加熱して焼成し硬化させる(ステップS27)。焼成後の画像を確認し、正常なパターンの線幅に修正されたと判断されると(ステップS29でNO)、処理は元の処理に戻る。
【0052】
画像を確認しペーストを塗布し焼成した部分が正常なパターンの線幅より太くなってしまい不要な部分を除去することで整形が必要な場合は(ステップS29でYES)、オペレータは操作パネル36から指示を入力する。CPU622は、入力指示に従う指示信号に基づきレーザ32によるレーザ光の照射およびガルバノスキャナ51を制御し、整形が必要な部分に幅太欠陥101の場合(ステップS23)と同様に、レーザ光を走査しながら照射することにより修正する(ステップS31)。その後、処理は元の処理に戻る。
【0053】
(レーザ照射の詳細手順)
ステップS31およびステップS23のパターンを除去(整形)するためにレーザ光を照射する工程について、図6のフローチャートを参照し説明する。
【0054】
レーザ光の照射はフィルム基板26にダメージを与えないように、所定条件に従い、複数回(ここでは、N(≧2)回)に分けて、Z軸テーブル27をフィルム基板26表面の方向に下降させながら、レーザ光を照射する。なお、上述の所定条件は、フィルム基板26上に形成されたパターンの種類により異なる。メモリ624には、パターンの種類毎に、対応の所定条件のデータが予め格納される。
【0055】
動作において、CPU622は、オペレータが入力部700から入力したパターンの種類に基づき、メモリ624を検索して対応する所定条件を読出し、読出した所定条件に従い、上述のN回を決定する(ステップS31)。この決定の詳細手順は後述する。
【0056】
続いて、フロー制御のための一時変数nに0を設定する(ステップS33)。その後は、変数nの値を1ずつインクリメントしながら(ステップS35)、(n>N)の条件が成立するかを判定する(ステップS39)。成立しないと判定される間は(ステップS39でNO)、変数nが1インクリメントされる毎に、Z軸テーブル27をフィルム基板26の方向に所定距離だけ下降さ(ステップS41)、レーザ32によるレーザ照射をXY方向に走査しながら行う(ステップS37)。(n>N)の条件が成立したと判定されると(ステップS39でYES)、レーザ除去の処理は終了し、元の処理に戻る。
【0057】
ここで、N回を決定するための所定条件は、レーザ32の照射パワーを決定するアッテネータ50の設定値(アッテネータ50の制御によるレーザ光出力の決定)、フィルム基板26上のレーザ集光径(後述の集光スポット322の径)、レーザ光照射時の走査速度を決定するガルバノスキャナ51の駆動速度、レーザ光照射時の走査回数(Z方向における同じ高さ位置でのXY方向のスキャン回数)、Z方向のレーザ32の移動量を含む。所定条件は、フィルム基板26上に形成されたパターンの種類により異なるため、パターンの種類毎に予め条件の検出が必要とされる。パターンの種類毎に検出した条件に従い、レーザ32を駆動制御し、レーザ光を照射して各パターンをカットする。なお、パターンの種類はパターンの材料などにより決定される。N回を決定するための上述の所定条件のデータはパターンの種類毎に予め実験などにより検出される。
【0058】
ここでは、Z軸テーブル27をN回に分けてZ方向にフィルム基板26表面へ向けて下降させているが、N回で下降させるべきトータル距離は、フィルム基板26上に形成されたパターンの厚さにより一意に決まる。
【0059】
具体的には、欠陥部分は、正常な部分の膜厚(パターンの厚さ)よりも厚くなっている場合があるので、オペレータはディスプレイ610で欠陥部の画像をモニタしながら、操作パネル36を操作し、まず、フィルム基板26の表面位置(Z方向位置)に、観察光学系30の画像フォーカスを合わせることで欠陥部を確認する。その後、同様にモニタしながら欠陥部表面に画像フォーカスを合わせるように、操作パネル36を操作し、Z軸テーブル27をZ方向に移動させることにより、観察光学系30をZ方向に従って移動させる。観察光学系30を移動させながら、欠陥部をモニタ確認する。オペレータは、欠陥部表面において合焦を確認したならば、Z軸テーブル27の移動を停止する。これにより、観察光学系30の移動も停止する。そして、このZ軸テーブル27の停止位置から、フィルム基板26の表面位置までのZ方向に従った距離が、N回に分けて下降させるべきトータル距離と等しくなる。したがって、上述の所定距離は、このトータル距離をNで除した値となる。
【0060】
なお、より精度良くZ方向の移動を制御する方法としては、欠陥部の高さをレーザ変位計で測定し、その測定結果に基づき、Z方向に下降させる方法であってもよい。
【0061】
(ペースト塗布の詳細手順)
図7を参照して、ステップS25におけるペースト塗布機構25を用いたペースト塗布について説明する。
【0062】
X軸テーブル28とY軸テーブル29の移動により欠陥部の上には図7のペースト塗布機構25が位置する。ペースト塗布時には、図7の塗布針1の先端にペーストを付着させ、欠陥部に塗布針1の先端を接触させることで、ペーストを欠陥部に転写塗布する。
【0063】
ペースト塗布機構25は、塗布針1を上下方向にCPU622からの指示信号に従い駆動する塗布針駆動シリンダ2の駆動軸3に、塗布針1を保持する保持部材4を有する。また、塗布針駆動シリンダ2と隣接して、塗布針1にペーストを供給するための回転テーブル10が搭載され、回転テーブル10には、ペーストを収容するペーストポット13〜16が設置されている。その他、回転テーブル10には、塗布針1に付着したペーストを洗浄するための洗浄装置17、エアパージ装置18が設置されている。そして、回転テーブル10には、塗布針1が貫通するための切欠部12が形成されている。回転テーブル10は、回転軸11を介してモータ21と連結されており、CPU622からの指示信号に従うモータ21の回転に連動して回転可能となっている。回転軸11には、モータ21の回転位置を検出するためのインデック板22が付いており、原点復帰用センサ24でモータ21の原点位置を検出し、インデックス用センサ23で、モータ21の各位置へのインデックス状態を検出することができる。検出結果は、CPU622に与えられるので、CPU622は入力する検出結果に基づき指示信号を出力する。
【0064】
ペースト塗布時には、モータ21により回転テーブル10が駆動され、塗布するべきペーストが収容されたペーストポットが塗布針1の直下に位置決めされる。この状態で、塗布針駆動シリンダ2により塗布針1は下降し、位置決めされたペーストポット内のペーストに浸漬され、再び上昇し、ペーストポットから塗布針1が抜かれる。この時、塗布針1の先端にはペーストが付着している。
【0065】
次に、回転テーブル10が回転され、塗布針1の直下に切欠部12が位置決めされる。そして、塗布針1が塗布針駆動用シリンダ2で下降され、塗布針1の先端が位置決めされた切欠部12を通過して、欠陥部に接触し、その結果、ペーストが欠陥部に塗布される。
【0066】
上記塗布後、次の欠陥部に対して異なる種類のペーストを塗布する場合には、塗布針1に付着したペーストを洗浄する。洗浄する場合には、塗布針1の直下に洗浄装置17が位置決めされ、塗布針1が位置決めされた洗浄装置17に挿入され洗浄が行われる。その後、塗布針1の直下にエアパージ装置18が位置決めされ、塗布針1が位置決めされたエアパージ装置18内に挿入され乾燥が行われ塗布針1の洗浄が完了する。その後、塗布針1は次に塗布すべき種類のペーストが収容されるペーストポットに挿入されペーストに塗布針1の先端が浸漬し、次の欠陥部に対してペースト塗布が行われる。
【0067】
なお、連続して同じ種類のペーストを塗布する場合は、塗布針1は、ペースト塗布動作終了後、塗布したペーストが収容されるペースト容器に挿入されペーストに塗布針1の先端が浸漬した状態で待機し、塗布針1の先端に付着したペーストが乾燥しないようになっている。
【0068】
(レーザ照射の手順)
図8〜図10を参照して、レーザ32から照射されるレーザ光321を用いたパターン除去について説明する。
【0069】
図8は、一部省略したレーザ光321の光路図である。まず、図8を参照して、レーザ光321の光路について説明する。レーザ32から出射された平行光のレーザ光321は、アッテネータ50でパワーコントロールされ、ガルバノスキャナ51のガルバノミラー56で、XY方向に走査されて導出される。導出されされたレーザ光321はミラー52に入射し、ここで反射されて、その後、ダイクロイックミラー53に入射する。ミラー52の方向からダイクロイックミラー53に入射したレーザ光321は、全て反射されて、対物レンズ54に入射する。対物レンズ54に入射したレーザ光321は対物レンズ54により集光されてフィルム基板26に照射される。
【0070】
レーザ光321は、ガルバノスキャナ51を制御することにより、フィルム基板26表面の欠陥部分で、数百μm角の範囲で任意の形状にXY方向に走査可能である。したがって、幅太欠陥101の形状に合わせて不要なパターン部分を除去することができる。
【0071】
次に、上述の光路を経由してフィルム基板26上に集光されるレーザ光321によるパターン除去について説明する。
【0072】
図9には、フィルム基板26上の電磁波シールドパターン100の幅太欠陥101に、レーザ光321が集光している状態が示される。図9のレーザ光321が集光している部分200が図10(a)〜(c)に拡大して示される。
【0073】
前述したように、発振パルス幅が500fs以下のレーザ32による除去加工においては、加工対象であるパターン100に格子振動による熱が発生する前に、加工対象をアブレーションにより除去することができるため、加工による温度上昇の少ない加工が可能である。また、レーザ32でのカットにおいては、多光子吸収によりレーザ光321が集光された焦点部分のみで光との反応が局所的に発生するため、パターン100の膜厚方向(Z方向)に対して数μmの部分のみ除去することが可能である。
【0074】
この加工特性を活かし、図10(a)〜(c)に示すように、電磁波シールドパターン100の表面にレーザ光321を照射し集光スポット322を形成する。レーザ照射時には、集光スポット322の照射位置を、Z方向に従い欠陥部表面位置からフィルム基板26の表面に至るまで鉛直に上述のN回に分けて降下するように変化させながら、各回において欠陥部表面の集光スポット322をXY方向に変化させる。これにより、各回において、XYZの各方向に、欠陥部のパターンがプラズマ蒸散されて除去される。このとき、レーザ光321を照射しているにもかかわらず、フィルム基板26の温度上昇を少なくできて極力ダメージを与えずに欠陥部分のみをカット除去することが可能となる(13(b)参照)。
【0075】
図10(a)〜(c)の図中の矢印は、レーザ光321の走査方向を指し、走査方向は、ガルバノスキャナ51により制御されるXYの2次元方向である。なお、観察光学系30をZ軸の同じ位置において、複数回走査させてもよい。
【0076】
ここで、n回目のレーザ光321の照射を終了するタイミングは、特に限定されないが、たとえば、CPU622がZ方向に従う観察光学系30の移動開始の指示信号を出力するタイミングに対応し、(n+1)回目の照射を開始するタイミングは、CPU622が、Z方向に従う観察光学系30の移動完了信号を検出するタイミングに対応する、としてもよい。
【0077】
(実施の形態2)
図11は、本実施形態2における微細パターンの欠陥修正装置202の構成が示される。図11の欠陥修正装置202と、図1の欠陥修正装置201とを比較し異なる点は、図1の欠陥修正装置201では、Y軸テーブル29にX軸テーブル28が搭載されていたが、図11の欠陥修正装置202では、Z軸テーブル27にY軸テーブル29を搭載し、このY軸テーブル29にペースト塗布機構25が搭載されている点である。欠陥修正装置202のX軸テーブル28は欠陥修正装置201のそれと同様にZ軸テーブル27を搭載する。欠陥修正装置202の他の構成は、欠陥修正装置201の構成と同じである。
【0078】
欠陥修正装置202を用いたペースト塗布時には、ペースト塗布機構25を備える修正ヘッド全体を、X軸テーブル28で移動させ、ペースト塗布機構25をY軸テーブル29の移動に連動して移動させることで、図1の欠陥修正装置201と同様に、欠陥の任意の位置にペーストを塗布することが可能である。従って、図1の欠陥修正装置201と同様に、フィルム基板26上に形成された電磁波シールドパターン100における幅太欠陥101、欠け欠陥102を修正することが可能である。
【0079】
(実施の形態3)
図12には、本実施形態3における微細パターンの欠陥修正装置203の構成が示される。図12の欠陥修正装置203と、図1の欠陥修正装置201とを比較し異なる点は、修正対象とする電磁波シールドパターン100が形成されるフィルム基板26として、ロール形態ではなく、フラットなシート形態となった状態のフィルム基板26を対象とすることである。本実施の形態では、欠陥修正時にはY軸テーブル29上にフィルム基板26が載置される。したがって、図12の欠陥修正装置203には、ロール送り出し機構38およびロール巻き取り機構39は搭載されない。他の構成は、欠陥修正装置201のそれと同様である。
【0080】
図12の欠陥修正装置203は、欠陥部をカットするためのレーザ光321を照射するレーザ32および欠陥部の観察を可能とする観察光学系30を備える。観察光学系30は、レーザ32から出射されたレーザ光321のパワーコントロールを行なう、図示しないアッテネータ50と、レーザ光321をXY方向に走査する、図示しないガルバノスキャナ51を有する。欠陥修正装置203は、フィルム基板26表面で反射した光を受光し、受光信号を画像を指す電気信号に変換して出力する観察部に対応のCCDカメラ31、欠陥部にペーストを塗布するペースト塗布機構25、およびペースト塗布機構25で塗布したペーストを乾燥または焼成することにより硬化させるペースト焼成機構33を含む修正ヘッド部を備える。欠陥修正装置203は、さらに、この修正ヘッド部およびレーザ32を搭載し、被修正対象であるフィルム基板26の表面に対してZ方向に移動可能とするZ軸テーブル27、Z軸テーブル27を搭載し、X方向に移動可能とするX軸テーブル28、フィルム基板26を搭載し、X方向と直交するY方向に移動可能とするY軸テーブル29、Y軸テーブル29に搭載され、フィルム基板26をY軸テーブル29に固定するための吸着プレート37、これら各部の駆動制御を行なう制御コンピュータ35、制御コンピュータ35に指令を入力する操作パネル36、および図示しない画像処理装置を備える。ここでは、Y軸テーブル29が、フィルム基板26を載置する載置テーブル40に対応する。
【0081】
図12の欠陥修正装置203では、フィルム基板26に形成された基準マークを基に、修正ヘッド部を、X軸テーブル28およびY軸テーブル29の移動により欠陥位置へ移動させる。欠陥修正装置201および202と同様に、幅太欠陥101および欠け欠陥102の修正が可能である。
【0082】
各実施の形態に係る微細パターンの欠陥修正装置201〜203によれば、フェトム秒レーザ32からのレーザ光321の照射による欠陥部表面における集光スポット322の位置を、欠陥部表面位置からフィルム基板26表面に対して鉛直方向に精密にZ軸テーブル27の移動によるN回に分けて徐々に下降させる位置制御が可能な構成としている。これにより、フィルム基板26にダメージを与えない高品位な欠陥部除去を可能としている。また、欠け欠陥部へペーストを塗布し、焼成した後に整形する必要が生じた場合でも、レーザ32を用いて除去することが可能であり、従来と比較して高品位な修正が可能である。
【0083】
各実施の形態では、PDPの電磁波シールドのフィルム基板26上に形成されたパターンの欠陥修正について説明したが、これに限らず、今後、フィルム基板化が進むと思われる、太陽電池やフラットパネルディスプレイの電極パターンの修正にも欠陥修正装置201〜203と修正方法の適用が可能である。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
25 ペースト塗布機構、26 フィルム基板、27 X軸テーブル、28 Y軸テーブル、29 Z軸テーブル、30 観察光学系、31 CCDカメラ、32 レーザ、33 ペースト焼成機構、35 制御用コンピュータ、50 アッテネータ、100 パターン、101 幅太欠陥、102 欠け欠陥、201,202,203 欠陥修正装置、321 レーザ光。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PDP(プラズマディスプレイパネル:Plasma Display Panel)はパネル本体から発生する電磁波の漏洩を防ぐために、パネル前面に電磁波シールドフィルムを装着している。PDP用の電磁波シールドフィルムは、透明の樹脂フィルムの基板上に金属を塗布することによる微細なメッシュ状のパターン(以下、電極ともいう)を形成したものである。電磁波の漏洩防止効果を得るために、電磁波シールドフィルムパターンには欠陥がないことが求められる。
【0003】
しかしながら、電磁波シールドフィルムの製造工程においては、基板上に形成された微細パターンに種々の欠陥が発生する。欠陥が発生した基板を全て廃棄したのでは、歩留まりが低下してしまう。取分け、最近では、ディスプレイの市場価格の低下や、不良品廃却による環境負荷増加の抑制の観点から、修正可能なものは修正して製品化しようとする傾向が強くなってきており、電磁波シールドフィルムにおいても、欠陥修正を可能とする修正方法と修正装置が強く求められてきている。
【0004】
電磁波シールドフィルムの製造工程においては、電磁波シルードのパターン100の線の幅が太くなってしまう幅太欠陥101(図13(a)参照)、または、パターン100が欠落してしまう欠け欠陥102(図13(a)参照)などが発生する。欠陥を修正する方法として、幅太欠陥101については、パターン100の線幅が太くなってしまった部分を、レーザ光を照射して除去することにより欠陥を修正する。また、欠け欠陥102については、欠けた部分に、金属ペーストを塗布することにより欠陥を修正する。このような修正を行う装置として、たとえば、特許文献1にPDPの電極の欠陥を修正する装置が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−56477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、PDPやLCD(Liquid Crystal Display)の電極修正を行う装置が記載されている。PDPの電極欠陥修正では、電極のショート欠陥をカットするために、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザまたはYLFレーザの第2高調波のパルス発振レーザが搭載されている。PDP電極のように、ガラス基板上に形成されたパターンについては、ガラス基板が第2高調波をほとんど透過することと、耐熱性に優れるため、電極欠陥部をレーザで選択的にカットすることが可能である。
【0007】
しかし、電磁波シールドフィルムのように、樹脂フィルム基板上にパターンが形成されている場合は、欠陥修正にレーザ光を用いた場合には、フィルム基板自体のレーザ光吸収による変形、歪み、穴明き等のダメージの発生、また電極カット時の発熱による変形、歪み、穴明き、黒色化等のダメージの発生が避けられない。
【0008】
それゆえに、幅太欠陥の除去修正が困難であると共に、欠け欠陥の修正においてもペースト塗布修正後の整形加工における余分な部分の除去加工が困難である。結果として、従来の装置ではフィルム基板上に形成された金属パターンの修正を行うことができなかった。
【0009】
本発明の目的は、樹脂基板の面上に形成されたパターンの欠陥を樹脂基板にダメージを与えることなく、レーザ光照射により高品位に修正することのできる欠陥修正装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に従う欠陥修正装置は、フェトム秒単位のパルス幅を有したレーザ光を出射するレーザ部と、レーザ光の光軸が直交する面を有する樹脂基板の面の上に金属材料で形成されたパターンの欠陥部を修正する修正部と、を備え、修正部は、欠陥部の表面と光軸とが直交するようにレーザ光を欠陥部に照射するレーザ照射部と、レーザ照射部によるレーザ光の照射位置を、表面において光軸と直交する第1軸が延びる方向と当該光軸および第1軸のそれぞれと直交する第2軸が延びる方向とに可変としながら、且つ当該照射位置を前記光軸に沿って欠陥部の表面から樹脂基板の面に至るまで複数回に分けて可変としながら、レーザ光を照射する照射位置可変部と、を含む。
【0011】
好ましくは、樹脂基板は、ロール状に収容可能な薄膜の樹脂基板であって、欠陥修正装置は、欠陥部を修正するために樹脂基板が載置される載置テーブルと、ロール状に巻かれた樹脂基板を、巻きを解きながらテーブルに送りだす送り出し部と、送り出されることによりテーブルを通過した樹脂基板を巻き取りながらロール状に収容する巻き取り部とを、さらに備える。
【0012】
好ましくは、修正部は、樹脂基板の面上に形成された金属材料の欠落した欠け欠陥部に、針先端に付着した修正材料を接触させて塗布する修正材料塗布部と、塗布した修正材料を硬化させる修正材料硬化部と、をさらに含み、硬化した修正材料のうちの不要な部分を欠陥部として、レーザ照射部および照射位置可変部によりレーザ光を照射することによって除去する。
【0013】
好ましくは、欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、レーザ部、修正材料塗布部、修正材料硬化部および観察部を搭載する搭載部を含み、光軸に沿って搭載部を移動可能とするための光軸方向移動部と、光軸方向移動部を搭載し、光軸方向移動部を第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、第2軸方向移動部を搭載し、第2軸方向移動部を第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、をさらに備える。
【0014】
好ましくは、欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、修正材料塗布部を搭載し、修正材料塗布部を第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、レーザ部、修正材料硬化部、観察部および第1軸方向移動部を搭載する搭載部を有し、搭載部を光軸に沿って移動可能とするための光軸方向移動部と、光軸方向移動部を搭載し、光軸方向移動部を第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、をさらに備える。
【0015】
好ましくは、修正部は、樹脂基板の面上に形成された金属材料の欠落した欠け欠陥部に、針先端に付着した修正材料を接触させて塗布する修正材料塗布部と、塗布した修正材料を硬化させる修正材料硬化部と、をさらに含み、硬化した修正材料のうちの不要な部分を欠陥部として、レーザ照射部および照射位置可変部により前記レーザ光を照射することによって除去する。
【0016】
好ましくは、欠陥部を修正するために樹脂基板が載置される載置テーブルと、欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、レーザ部、修正材料塗布部、修正材料硬化部および観察部を搭載する搭載部を有し、搭載部を光軸に沿って移動可能とするための光軸方向移動部と、光軸方向移動部を搭載し、光軸方向移動部を載置テーブル上で第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、載置テーブルを、第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、をさらに備える。
【0017】
好ましくは、照射位置可変部が、照射位置を前記光軸に沿って可変にする回数は、レーザ光のスポットの径および欠陥部の表面から樹脂基板の面に至るまでの光軸に沿った距離を含むパラメータに従い決定される。
【0018】
この発明の他の局面に従う欠陥修正方法は、面を有し、面の上に金属材料でパターンが形成された樹脂基板を載置するステップと、載置された樹脂基板に面の上に形成されたパターンの欠陥部を、フェトム秒単位のパルス幅を有したレーザ光を照射することにより修正する修正ステップと、を備え、修正ステップは、欠陥部の表面とレーザ光の光軸とが直交するように欠陥部にレーザ光を照射するレーザ照射ステップを含み、レーザ照射ステップによるレーザ光の照射位置を、表面において光軸と直交する第1軸が延びる方向と当該光軸および第1軸のそれぞれと直交する第2軸が延びる方向とに可変としながら、且つ当該照射位置を光軸が延びる方向に沿って欠陥部の表面から樹脂基板の面に至るまで複数回に分けて可変としながら、レーザ光を照射する。
【0019】
好ましくは、修正ステップは、樹脂基板の前記面上に形成された金属材料の欠落した欠け欠陥部に、針先端に付着した修正材料を接触させて塗布する修正材料塗布ステップと、塗布した修正材料を硬化させる修正材料硬化ステップと、をさらに含み、硬化した修正材料のうちの不要な部分を欠陥部として、レーザ照射ステップによりレーザ光を照射することによって除去する。
【0020】
好ましくは、レーザ照射ステップにおいて照射位置を前記光軸に沿って可変にする回数は、レーザ光のスポットの径および欠陥部の表面から樹脂基板の面に至るまでの光軸に沿った距離を含むパラメータに従い決定される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、樹脂基板の面上に形成されたパターンの欠陥を樹脂基板にダメージを与えることなく、レーザ光照射により高品位に修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る欠陥修正装置の概略外観図である。
【図2】図1の制御用コンピュータの構成図である。
【図3】図1の巻き取りロール機構を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る欠陥修正方法の処理フローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1に係る欠陥修正方法の処理フローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る欠陥修正方法の処理フローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係るペースト塗布機構を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る観察光学系の概略構成図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る欠陥修正装置において、対物レンズからフィルム基板にレーザが集光されて照射される状態を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、レーザ光が照射されるフィルム基板の表面部分を拡大して示す図である。
【図11】本発明の実施形態2に係る欠陥修正装置の概略外観図である。
【図12】本発明の実施形態3に係る欠陥修正装置の概略外観図である。
【図13】欠陥の種類と修正を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。ここでは、レーザ光が照射される基板表面は、直交するX軸およびY軸により規定される2次元座標平面に対応すると想定する。基板表面の鉛直方向に延びる軸を、すなわちX軸に直交し且つY軸に直交する軸をZ軸と想定する。X軸、Y軸およびZ軸のそれぞれが延びる方向を「X方向」、「Y方向」および「Z方向」と称する。
【0024】
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施形態1に係る欠陥修正装置201は、流動的に移動する樹脂材料からなる薄膜のフィルム基板26の主面上に金属を塗布することによって形成された微細パターンの欠陥部を修正する装置である。具体的には、欠陥修正装置201は、欠陥部をカットするためのレーザ光を照射するレーザ32、欠陥部の観察を可能とする観察光学系30を備える。フィルム基板26が移動のために流動する方向は、ここではY方向に対応すると想定する。また、レーザ32の光軸はZ軸に対応する。
【0025】
観察光学系30は、レーザ32から出射されたレーザ光のパワーコントロールを行なう図示しないアッテネータ50、レーザ光をX方向およびY方向に走査するための図示しないガルバノスキャナ51、およびフィルム基板26上のレーザ光が照射される欠陥部を観察するためのCCD(Charge Coupled Device)カメラ31を含む。CCDカメラ31は、欠陥部からの反射光を受光し、受光量に応じた電気信号に変換し出力する。出力された電気信号は、撮像して得られた画像データを指す。CCDカメラ31は欠陥部を観察する観察部に対応する。
【0026】
ガルバノスキャナ51は、高速に加工するために光軸を動かす為のユニットである。レーザ32から出射されたレーザ光が入射および反射するミラーと、このミラーの傾きを制御するモータとを備える。モータの動作は後述の制御コンピュータ35を使って制御する。
【0027】
欠陥修正装置201は、さらに、欠陥部に金属のペーストを塗布するペースト塗布機構25、およびペースト塗布機構25で塗布したペーストを乾燥または焼成することにより硬化させるためのペースト焼成機構33を含む修正ヘッド部を備える。観察光学系30、レーザ32および修正ヘッド部を搭載し、載置テーブル40上に載置されたフィルム基板26の表面に対してZ方向に自在に移動可能とするZ軸テーブル27、Z軸テーブル27を搭載し、フィルム基板26の流動方向と直交すX方向に移動可能とするX軸テーブル28、およびX軸テーブル28を搭載し、フィルム基板26の流動方向と同じ方向であるY方向に移動可能とするY軸テーブル29を備える。
【0028】
さらに、欠陥修正装置201は、フィルム基板26をロール形態で収容して保持し、収容されたロールの巻きを解きながらフィルム基板26を載置テーブル40に載置するようにY方向に送り出すための送り出しロール機構38、送り出されたフィルム基板26を載置テーブル40において固定する吸着プレート37および載置テーブル40を通過して送り出されるフィルム基板26をY方向に巻き取りながらロール状にして収容するための図3に示す巻き取りロール機構39を備える。さらに、欠陥修正装置201は、上述の各部の駆動制御を行なう制御コンピュータ35、制御コンピュータ35に指令を入力するためにオペレータが操作する操作パネル36、および図示しない画像処理装置を備える。画像処理装置は、CCDカメラ31が出力する画像データを入力する。画像処理装置は、画像データを処理し、その処理結果と画像データを、制御コンピュータ35に出力する。
【0029】
フィルム基板26を移動させるため、およびフィルム基板26の欠陥位置に基づき各種機構を移動させるために、何らかの基準となるものが必要となるが、ここでは、フィルム基板26上に所定間隔で基準マークが形成されていると想定する。
【0030】
図2を参照して制御コンピュータ35は、CRT(陰極線管)またはLCDなどからなるディスプレイ610、キーボード650、マウス660および操作パネル36を有する入力部700、該制御用コンピュータ35の動作を集中的に制御および監視するためのCPU(中央処理装置の略)622、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memoryの略)を含んで構成されるメモリ624、固定ディスク626、FD(Flexible Disc)632が着脱自在に装着されて、装着されたFD632をアクセスするFD駆動装置630、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)642が着脱自在に装着されて、装着されたCD−ROM642をアクセスするCD−ROM駆動装置640、他の各部と通信をするための通信回線300、および通信回線300と該制御用コンピュータ35とを通信接続するための通信インターフェイス680を含む。これらの各部はバスを介して通信接続される。
【0031】
使用するレーザは、パルス時間幅が10フェトム秒から20ピコ秒のパルスレーザである。その構成は、たとえば使用するファイバがエリビウムドープ光ファイバまたはイッテルビウムドープ光ファイバまたはエリビウム・イッテルビウム共ドープ光ファイバを共振器および増幅媒体に使用しているレーザ、たとえば、チタンをドープしたサファイア結晶を使用した再生増幅方式によるレーザ、たとえば、イッテルビウムをドープしたイットリウム・アルミニウム・ガーネットの円盤型結晶を使用したレーザ、などの様々な方式のレーザが挙げられる。
【0032】
欠陥修正装置201は、電磁波シールドパターンに発生する欠陥部のパターンをカットするためのレーザ32として、フェトム秒レーザを用いる。本実施の形態では、発振パルス幅が500fs(fsはフェムト秒(10−15秒)の略)以下のレーザ32を用いる。
【0033】
このように発振パルス幅が非常に狭いフェトム秒レーザ32によれば、加工対象であるパターンにレーザ照射して格子振動による熱が発生する前に、加工対象をアブレーションにより除去することが可能である。従来のパターン修正に使用しているYAGレーザ(パルス幅は10ns)では、フィルム基板26上の金属膜であるパターンをフィルム基板26にダメージを与えずに加工することは困難であるのに対し、フェムト秒レーザはパターンのみを除去しフィルム基板26にダメージを与えない点で、優れている。
【0034】
また、フェムト秒のレーザ32を用いたカットにおいては、多光子吸収(強力な光が物質に入射した時、電子が同時に2つ以上の光子を吸収して励起される現象)によりレーザ光が集光された焦点部分のみで光との反応が局所的に発生し、これにより、パターンの膜厚方向(この膜厚方向は、Z方向に対応する)に対して数μmの部分のみ除去することが可能である。
【0035】
また、除去効率を向上させ、除去に要する時間を短縮するために、発明者の実験によればレーザ32の発振周波数は90kHz以上であることが望ましい。
【0036】
(欠陥修正のための概略手順)
図1の欠陥修正装置201によるフィルム基板26のパターンに発生した欠陥の修正方法について、図4〜図6のフローチャートを参照し説明する。これらフローチャートに従うプログラムは予めメモリ624に格納されておりCPU622が、メモリ624からプログラムを読出し実行することにより、欠陥修正のための処理が実行される。
【0037】
なお、欠陥修正処理に先立って、欠陥データ643が検出されて、メモリ624に格納されていると想定する。欠陥データ643は、図示しない検査装置により検出されて、工場内のCIM(Computer Integrated Manufacturing)経由など、何らかの手段により制御用コンピュータ35のメモリ624に格納されているものとする。欠陥データ643は、たとえば画像のパターン認識により検出された欠陥部のそれぞれについて、フィルム基板26上の位置を指す位置情報と、当該欠陥部が幅太欠陥、または、欠け欠陥のいずれであるかを指す欠陥種類データとが対応付けされて含まれると想定する。ここで、位置情報は、フィルム基板26上の座標値(X,Y)を用いて指示される。
【0038】
動作において、まず、CPU622は、欠陥修正装置201に与えられる上述の欠陥データ643をメモリ624から読出す(ステップS3)。
【0039】
続いて、CPU622は、送り出しロール機構38および巻き取りロール機構39を制御して、フィルム基板26を載置テーブル40に載置するために送り出す。そして、欠陥が観察可能な位置に観察光学系30を移動させる(ステップS7)。具体的には、予め登録された基準マークの位置まで観察光学系30を移動させ、続いて欠陥部に観察光学系30を移動させる。
【0040】
基準マークの位置まで観察光学系30を移動させる場合について説明する。ここで、フィルム基板26の基準マークが流動してくる位置(X方向の座標)のデータは、予めメモリ624に格納されており、CPU622は、X軸テーブル28を、メモリ624から読出した基準マークの位置データに従い移動させる。X軸テーブル28の移動により、観察光学系30は移動し基準マークの位置で停止する。ここで、現在の観察光学系30の座標位置は、X軸テーブル28に組込まれた図示のないリニアスケールにより検出される。制御用コンピュータ35のCPU622は、観察光学系30の検出された現在位置と、基準マークの位置データの座標位置とを比較しながら、比較結果に従いX軸テーブル28を移動させる。これにより、予め登録された基準マークの位置まで観察光学系30を移動させることができる。
【0041】
CPU622は、次に、送り出しロール機構38および巻き取りロール機構39を制御し、基準マークを観察光学系30で観察可能な位置にまでフィルム基板26を送り出す。具体的には次の手順にしたがう。まず、フィルム基板26を欠陥修正装置201の載置テーブル40に搭載した時に、一度、基準マークを観察光学系30の観察中心(CCDカメラ31の撮像視野の中心)にセットし、この状態で図3に示す巻き取りロール機構39の駆動ロール392に組み込まれたエンコーダ391の値をCPU622が読出し、メモリ624に格納する。ここで、フィルム基板26上に基準マークはY方向に一定間隔で形成されているので、CPU622は、当該一定間隔の値と、駆動ロール392の外径寸法と、エンコーダ391の値とに基づき、基準マークを観察光学系30で観察可能な位置にまで移動させるためのフィルム基板26の巻き取り量を計算することができる。したがって、CPU622は、計算した巻き取り量に基づき送り出しロール機構38および巻き取りロール機構39を制御して、次の基準マークを観察光学系30の観察中心位置に来るように、フィルム基板26を、自動で巻き取ることができる。
【0042】
基準マークを観察中心位置に来るように観察光学系30を移動した後に、欠陥が観察可能な位置に観察光学系30を移動させる。CPU622は、メモリ624から読出した当該基準位置の情報と欠陥データ643が指す欠陥位置の情報とに基づき、観察光学系30を、欠陥部を観察可能なX軸ライン位置へ移動させる。ここで、吸着プレート37で移動しないようにフィルム基板26を固定する。
【0043】
次に、観察光学系30を、X軸テーブル28を移動させることにより、欠陥が観察できる位置へ移動させる。
【0044】
観察光学系30を欠陥が観察可能な位置に移動させた後に、欠陥修正が行われる(ステップS9)。欠陥修正の詳細は図5で後述する。
【0045】
欠陥の修正が終了すると、CPU622は、メモリ624の欠陥データ643が指す全ての欠陥の修正が終了したか否かを判定する(ステップS11)。欠陥を全て修正したと判定すると(ステップS11でYES)、一連の処理は終了する。修正が終了していないと判定すると(ステップS11でNO)、処理はステップS7に戻り、欠陥データ643に基づき前述のようにフィルム基板26を移動させ、観察光学系30を次の欠陥部を観察可能な位置に移動させた後に、次の欠陥部について欠陥修正を行う。
【0046】
(欠陥修正の詳細手順)
図5を参照して欠陥修正(ステップS9)について説明する。
【0047】
CPU622は、ステップS7で観察光学系30が観察対象としている欠陥部の位置情報に基づき、メモリ624の欠陥データ643を検索し、対応する欠陥種類のデータを読出す。そして、読出した欠陥種類は‘太幅欠陥’および‘欠け欠陥’のいずれを指すかを判定する(ステップS21)。
【0048】
‘太幅欠陥’を指すと判定されると、図6に示す後述のレーザ除去処理(ステップS23)が行われる。具体的には、レーザ32からレーザ光を欠陥部に照射することにより、欠陥部のパターンを除去して修正する。この時、レーザ光は、アッテネータ50で適切なパワーにコントロールされ、光路はガルバノスキャナ51によりXY方向に制御されて、フィルム基板26表面のレーザ光の照射位置がXY方向に制御される。このようなガルバノスキャナ51の光路の制御により必要な部分のみXY方向にレーザ光が走査されながら照射される。この状態で、フィルム基板26にダメージを与えないように、予め条件出しされた条件に従い、複数回に分けてZ軸テーブル27を下降させながら欠陥部分の除去を行なう。その後、処理は元の処理に戻る。
【0049】
ここで、ガルバノスキャナ51の走査量(駆動角度)と、フィルム基板26上でのレーザ光の走査量の関係は、レーザ光が通る観察光学系30との関係で決まる。観察光学系30のCCDカメラ31によって取得された欠陥部の画像データに従う画像は、制御コンピュータ35のディスプレイ610に表示される。オペレータは、画像をモニタしながら、どの位置にレーザ光を照射するかを確認した上で、操作パネル36を操作してディスプレイ610の画面上でレーザ照射範囲を指定し入力する。指定入力された位置(欠陥部位置)データは、CPU622により読取られて、CPU622は読取った位置データを、所定手順に従いフィルム基板26上のXY座標の位置データに変換し、変換後のXY座標位置データが指す位置にレーザ光が照射されるように、ガルバノスキャナ51を制御する。
【0050】
‘欠け欠陥’を指すと判定されると、処理はステップS25に移行する。ステップS25では、欠け欠陥102の欠け部分にペースト塗布機構25を用いて金属ペーストを塗布する。ペースト塗布時には、オペレータは、画像をモニタしながら、どの位置にペーストを塗布するかを確認した上で、操作パネル36を操作してディスプレイ610の画面上で塗布範囲を指定し入力する。指定入力された位置(欠陥部位置)データは、CPU622により読取られて、CPU622は読取った位置データを、所定手順に従いフィルム基板26上のXY座標の位置データに変換し、変換後のXY座標位置データに従いX軸テーブル28とY軸テーブル29を移動させて、ペースト塗布機構25を欠陥部にまで移動させる。これにより、欠陥の位置にペーストを塗布することが可能となる。ペースト塗布機構25によるペースト塗布の詳細については後述する。
【0051】
続いて、塗布したペーストをペースト焼成機構33(ペースト焼成機構33には、ハロゲンランプまたは半導体レーザ、CO2レーザ(炭酸ガスレーザ)などが用いられる)により加熱して焼成し硬化させる(ステップS27)。焼成後の画像を確認し、正常なパターンの線幅に修正されたと判断されると(ステップS29でNO)、処理は元の処理に戻る。
【0052】
画像を確認しペーストを塗布し焼成した部分が正常なパターンの線幅より太くなってしまい不要な部分を除去することで整形が必要な場合は(ステップS29でYES)、オペレータは操作パネル36から指示を入力する。CPU622は、入力指示に従う指示信号に基づきレーザ32によるレーザ光の照射およびガルバノスキャナ51を制御し、整形が必要な部分に幅太欠陥101の場合(ステップS23)と同様に、レーザ光を走査しながら照射することにより修正する(ステップS31)。その後、処理は元の処理に戻る。
【0053】
(レーザ照射の詳細手順)
ステップS31およびステップS23のパターンを除去(整形)するためにレーザ光を照射する工程について、図6のフローチャートを参照し説明する。
【0054】
レーザ光の照射はフィルム基板26にダメージを与えないように、所定条件に従い、複数回(ここでは、N(≧2)回)に分けて、Z軸テーブル27をフィルム基板26表面の方向に下降させながら、レーザ光を照射する。なお、上述の所定条件は、フィルム基板26上に形成されたパターンの種類により異なる。メモリ624には、パターンの種類毎に、対応の所定条件のデータが予め格納される。
【0055】
動作において、CPU622は、オペレータが入力部700から入力したパターンの種類に基づき、メモリ624を検索して対応する所定条件を読出し、読出した所定条件に従い、上述のN回を決定する(ステップS31)。この決定の詳細手順は後述する。
【0056】
続いて、フロー制御のための一時変数nに0を設定する(ステップS33)。その後は、変数nの値を1ずつインクリメントしながら(ステップS35)、(n>N)の条件が成立するかを判定する(ステップS39)。成立しないと判定される間は(ステップS39でNO)、変数nが1インクリメントされる毎に、Z軸テーブル27をフィルム基板26の方向に所定距離だけ下降さ(ステップS41)、レーザ32によるレーザ照射をXY方向に走査しながら行う(ステップS37)。(n>N)の条件が成立したと判定されると(ステップS39でYES)、レーザ除去の処理は終了し、元の処理に戻る。
【0057】
ここで、N回を決定するための所定条件は、レーザ32の照射パワーを決定するアッテネータ50の設定値(アッテネータ50の制御によるレーザ光出力の決定)、フィルム基板26上のレーザ集光径(後述の集光スポット322の径)、レーザ光照射時の走査速度を決定するガルバノスキャナ51の駆動速度、レーザ光照射時の走査回数(Z方向における同じ高さ位置でのXY方向のスキャン回数)、Z方向のレーザ32の移動量を含む。所定条件は、フィルム基板26上に形成されたパターンの種類により異なるため、パターンの種類毎に予め条件の検出が必要とされる。パターンの種類毎に検出した条件に従い、レーザ32を駆動制御し、レーザ光を照射して各パターンをカットする。なお、パターンの種類はパターンの材料などにより決定される。N回を決定するための上述の所定条件のデータはパターンの種類毎に予め実験などにより検出される。
【0058】
ここでは、Z軸テーブル27をN回に分けてZ方向にフィルム基板26表面へ向けて下降させているが、N回で下降させるべきトータル距離は、フィルム基板26上に形成されたパターンの厚さにより一意に決まる。
【0059】
具体的には、欠陥部分は、正常な部分の膜厚(パターンの厚さ)よりも厚くなっている場合があるので、オペレータはディスプレイ610で欠陥部の画像をモニタしながら、操作パネル36を操作し、まず、フィルム基板26の表面位置(Z方向位置)に、観察光学系30の画像フォーカスを合わせることで欠陥部を確認する。その後、同様にモニタしながら欠陥部表面に画像フォーカスを合わせるように、操作パネル36を操作し、Z軸テーブル27をZ方向に移動させることにより、観察光学系30をZ方向に従って移動させる。観察光学系30を移動させながら、欠陥部をモニタ確認する。オペレータは、欠陥部表面において合焦を確認したならば、Z軸テーブル27の移動を停止する。これにより、観察光学系30の移動も停止する。そして、このZ軸テーブル27の停止位置から、フィルム基板26の表面位置までのZ方向に従った距離が、N回に分けて下降させるべきトータル距離と等しくなる。したがって、上述の所定距離は、このトータル距離をNで除した値となる。
【0060】
なお、より精度良くZ方向の移動を制御する方法としては、欠陥部の高さをレーザ変位計で測定し、その測定結果に基づき、Z方向に下降させる方法であってもよい。
【0061】
(ペースト塗布の詳細手順)
図7を参照して、ステップS25におけるペースト塗布機構25を用いたペースト塗布について説明する。
【0062】
X軸テーブル28とY軸テーブル29の移動により欠陥部の上には図7のペースト塗布機構25が位置する。ペースト塗布時には、図7の塗布針1の先端にペーストを付着させ、欠陥部に塗布針1の先端を接触させることで、ペーストを欠陥部に転写塗布する。
【0063】
ペースト塗布機構25は、塗布針1を上下方向にCPU622からの指示信号に従い駆動する塗布針駆動シリンダ2の駆動軸3に、塗布針1を保持する保持部材4を有する。また、塗布針駆動シリンダ2と隣接して、塗布針1にペーストを供給するための回転テーブル10が搭載され、回転テーブル10には、ペーストを収容するペーストポット13〜16が設置されている。その他、回転テーブル10には、塗布針1に付着したペーストを洗浄するための洗浄装置17、エアパージ装置18が設置されている。そして、回転テーブル10には、塗布針1が貫通するための切欠部12が形成されている。回転テーブル10は、回転軸11を介してモータ21と連結されており、CPU622からの指示信号に従うモータ21の回転に連動して回転可能となっている。回転軸11には、モータ21の回転位置を検出するためのインデック板22が付いており、原点復帰用センサ24でモータ21の原点位置を検出し、インデックス用センサ23で、モータ21の各位置へのインデックス状態を検出することができる。検出結果は、CPU622に与えられるので、CPU622は入力する検出結果に基づき指示信号を出力する。
【0064】
ペースト塗布時には、モータ21により回転テーブル10が駆動され、塗布するべきペーストが収容されたペーストポットが塗布針1の直下に位置決めされる。この状態で、塗布針駆動シリンダ2により塗布針1は下降し、位置決めされたペーストポット内のペーストに浸漬され、再び上昇し、ペーストポットから塗布針1が抜かれる。この時、塗布針1の先端にはペーストが付着している。
【0065】
次に、回転テーブル10が回転され、塗布針1の直下に切欠部12が位置決めされる。そして、塗布針1が塗布針駆動用シリンダ2で下降され、塗布針1の先端が位置決めされた切欠部12を通過して、欠陥部に接触し、その結果、ペーストが欠陥部に塗布される。
【0066】
上記塗布後、次の欠陥部に対して異なる種類のペーストを塗布する場合には、塗布針1に付着したペーストを洗浄する。洗浄する場合には、塗布針1の直下に洗浄装置17が位置決めされ、塗布針1が位置決めされた洗浄装置17に挿入され洗浄が行われる。その後、塗布針1の直下にエアパージ装置18が位置決めされ、塗布針1が位置決めされたエアパージ装置18内に挿入され乾燥が行われ塗布針1の洗浄が完了する。その後、塗布針1は次に塗布すべき種類のペーストが収容されるペーストポットに挿入されペーストに塗布針1の先端が浸漬し、次の欠陥部に対してペースト塗布が行われる。
【0067】
なお、連続して同じ種類のペーストを塗布する場合は、塗布針1は、ペースト塗布動作終了後、塗布したペーストが収容されるペースト容器に挿入されペーストに塗布針1の先端が浸漬した状態で待機し、塗布針1の先端に付着したペーストが乾燥しないようになっている。
【0068】
(レーザ照射の手順)
図8〜図10を参照して、レーザ32から照射されるレーザ光321を用いたパターン除去について説明する。
【0069】
図8は、一部省略したレーザ光321の光路図である。まず、図8を参照して、レーザ光321の光路について説明する。レーザ32から出射された平行光のレーザ光321は、アッテネータ50でパワーコントロールされ、ガルバノスキャナ51のガルバノミラー56で、XY方向に走査されて導出される。導出されされたレーザ光321はミラー52に入射し、ここで反射されて、その後、ダイクロイックミラー53に入射する。ミラー52の方向からダイクロイックミラー53に入射したレーザ光321は、全て反射されて、対物レンズ54に入射する。対物レンズ54に入射したレーザ光321は対物レンズ54により集光されてフィルム基板26に照射される。
【0070】
レーザ光321は、ガルバノスキャナ51を制御することにより、フィルム基板26表面の欠陥部分で、数百μm角の範囲で任意の形状にXY方向に走査可能である。したがって、幅太欠陥101の形状に合わせて不要なパターン部分を除去することができる。
【0071】
次に、上述の光路を経由してフィルム基板26上に集光されるレーザ光321によるパターン除去について説明する。
【0072】
図9には、フィルム基板26上の電磁波シールドパターン100の幅太欠陥101に、レーザ光321が集光している状態が示される。図9のレーザ光321が集光している部分200が図10(a)〜(c)に拡大して示される。
【0073】
前述したように、発振パルス幅が500fs以下のレーザ32による除去加工においては、加工対象であるパターン100に格子振動による熱が発生する前に、加工対象をアブレーションにより除去することができるため、加工による温度上昇の少ない加工が可能である。また、レーザ32でのカットにおいては、多光子吸収によりレーザ光321が集光された焦点部分のみで光との反応が局所的に発生するため、パターン100の膜厚方向(Z方向)に対して数μmの部分のみ除去することが可能である。
【0074】
この加工特性を活かし、図10(a)〜(c)に示すように、電磁波シールドパターン100の表面にレーザ光321を照射し集光スポット322を形成する。レーザ照射時には、集光スポット322の照射位置を、Z方向に従い欠陥部表面位置からフィルム基板26の表面に至るまで鉛直に上述のN回に分けて降下するように変化させながら、各回において欠陥部表面の集光スポット322をXY方向に変化させる。これにより、各回において、XYZの各方向に、欠陥部のパターンがプラズマ蒸散されて除去される。このとき、レーザ光321を照射しているにもかかわらず、フィルム基板26の温度上昇を少なくできて極力ダメージを与えずに欠陥部分のみをカット除去することが可能となる(13(b)参照)。
【0075】
図10(a)〜(c)の図中の矢印は、レーザ光321の走査方向を指し、走査方向は、ガルバノスキャナ51により制御されるXYの2次元方向である。なお、観察光学系30をZ軸の同じ位置において、複数回走査させてもよい。
【0076】
ここで、n回目のレーザ光321の照射を終了するタイミングは、特に限定されないが、たとえば、CPU622がZ方向に従う観察光学系30の移動開始の指示信号を出力するタイミングに対応し、(n+1)回目の照射を開始するタイミングは、CPU622が、Z方向に従う観察光学系30の移動完了信号を検出するタイミングに対応する、としてもよい。
【0077】
(実施の形態2)
図11は、本実施形態2における微細パターンの欠陥修正装置202の構成が示される。図11の欠陥修正装置202と、図1の欠陥修正装置201とを比較し異なる点は、図1の欠陥修正装置201では、Y軸テーブル29にX軸テーブル28が搭載されていたが、図11の欠陥修正装置202では、Z軸テーブル27にY軸テーブル29を搭載し、このY軸テーブル29にペースト塗布機構25が搭載されている点である。欠陥修正装置202のX軸テーブル28は欠陥修正装置201のそれと同様にZ軸テーブル27を搭載する。欠陥修正装置202の他の構成は、欠陥修正装置201の構成と同じである。
【0078】
欠陥修正装置202を用いたペースト塗布時には、ペースト塗布機構25を備える修正ヘッド全体を、X軸テーブル28で移動させ、ペースト塗布機構25をY軸テーブル29の移動に連動して移動させることで、図1の欠陥修正装置201と同様に、欠陥の任意の位置にペーストを塗布することが可能である。従って、図1の欠陥修正装置201と同様に、フィルム基板26上に形成された電磁波シールドパターン100における幅太欠陥101、欠け欠陥102を修正することが可能である。
【0079】
(実施の形態3)
図12には、本実施形態3における微細パターンの欠陥修正装置203の構成が示される。図12の欠陥修正装置203と、図1の欠陥修正装置201とを比較し異なる点は、修正対象とする電磁波シールドパターン100が形成されるフィルム基板26として、ロール形態ではなく、フラットなシート形態となった状態のフィルム基板26を対象とすることである。本実施の形態では、欠陥修正時にはY軸テーブル29上にフィルム基板26が載置される。したがって、図12の欠陥修正装置203には、ロール送り出し機構38およびロール巻き取り機構39は搭載されない。他の構成は、欠陥修正装置201のそれと同様である。
【0080】
図12の欠陥修正装置203は、欠陥部をカットするためのレーザ光321を照射するレーザ32および欠陥部の観察を可能とする観察光学系30を備える。観察光学系30は、レーザ32から出射されたレーザ光321のパワーコントロールを行なう、図示しないアッテネータ50と、レーザ光321をXY方向に走査する、図示しないガルバノスキャナ51を有する。欠陥修正装置203は、フィルム基板26表面で反射した光を受光し、受光信号を画像を指す電気信号に変換して出力する観察部に対応のCCDカメラ31、欠陥部にペーストを塗布するペースト塗布機構25、およびペースト塗布機構25で塗布したペーストを乾燥または焼成することにより硬化させるペースト焼成機構33を含む修正ヘッド部を備える。欠陥修正装置203は、さらに、この修正ヘッド部およびレーザ32を搭載し、被修正対象であるフィルム基板26の表面に対してZ方向に移動可能とするZ軸テーブル27、Z軸テーブル27を搭載し、X方向に移動可能とするX軸テーブル28、フィルム基板26を搭載し、X方向と直交するY方向に移動可能とするY軸テーブル29、Y軸テーブル29に搭載され、フィルム基板26をY軸テーブル29に固定するための吸着プレート37、これら各部の駆動制御を行なう制御コンピュータ35、制御コンピュータ35に指令を入力する操作パネル36、および図示しない画像処理装置を備える。ここでは、Y軸テーブル29が、フィルム基板26を載置する載置テーブル40に対応する。
【0081】
図12の欠陥修正装置203では、フィルム基板26に形成された基準マークを基に、修正ヘッド部を、X軸テーブル28およびY軸テーブル29の移動により欠陥位置へ移動させる。欠陥修正装置201および202と同様に、幅太欠陥101および欠け欠陥102の修正が可能である。
【0082】
各実施の形態に係る微細パターンの欠陥修正装置201〜203によれば、フェトム秒レーザ32からのレーザ光321の照射による欠陥部表面における集光スポット322の位置を、欠陥部表面位置からフィルム基板26表面に対して鉛直方向に精密にZ軸テーブル27の移動によるN回に分けて徐々に下降させる位置制御が可能な構成としている。これにより、フィルム基板26にダメージを与えない高品位な欠陥部除去を可能としている。また、欠け欠陥部へペーストを塗布し、焼成した後に整形する必要が生じた場合でも、レーザ32を用いて除去することが可能であり、従来と比較して高品位な修正が可能である。
【0083】
各実施の形態では、PDPの電磁波シールドのフィルム基板26上に形成されたパターンの欠陥修正について説明したが、これに限らず、今後、フィルム基板化が進むと思われる、太陽電池やフラットパネルディスプレイの電極パターンの修正にも欠陥修正装置201〜203と修正方法の適用が可能である。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
25 ペースト塗布機構、26 フィルム基板、27 X軸テーブル、28 Y軸テーブル、29 Z軸テーブル、30 観察光学系、31 CCDカメラ、32 レーザ、33 ペースト焼成機構、35 制御用コンピュータ、50 アッテネータ、100 パターン、101 幅太欠陥、102 欠け欠陥、201,202,203 欠陥修正装置、321 レーザ光。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェトム秒単位のパルス幅を有したレーザ光を出射するレーザ部と、
前記レーザ光の光軸が直交する面を有する樹脂基板の前記面の上に金属材料で形成されたパターンの欠陥部を修正する修正部と、を備え、
前記修正部は、
前記欠陥部の表面と前記光軸とが直交するように前記レーザ光を前記欠陥部に照射するレーザ照射部と、
前記レーザ照射部による前記レーザ光の照射位置を、前記表面において前記光軸と直交する第1軸が延びる方向と当該光軸および前記第1軸のそれぞれと直交する第2軸が延びる方向とに可変としながら、且つ当該照射位置を前記光軸に沿って前記欠陥部の表面から前記樹脂基板の面に至るまで複数回に分けて可変としながら、前記レーザ光を照射する照射位置可変部と、を含む、欠陥修正装置。
【請求項2】
前記樹脂基板は、ロール状に収容可能な薄膜の樹脂基板であって、
前記欠陥修正装置は、
前記欠陥部を修正するために前記樹脂基板が載置される載置テーブルと、
前記ロール状に巻かれた前記樹脂基板を、巻きを解きながら前記テーブルに送りだす送り出し部と、
送り出されることにより前記テーブルを通過した前記樹脂基板を巻き取りながら前記ロール状に収容する巻き取り部とを、さらに備える請求項1に記載の欠陥修正装置。
【請求項3】
前記修正部は、
前記樹脂基板の前記面上に形成された金属材料の欠落した欠け欠陥部に、針先端に付着した修正材料を接触させて塗布する修正材料塗布部と、
前記塗布した修正材料を硬化させる修正材料硬化部と、をさらに含み、
前記硬化した前記修正材料のうちの不要な部分を前記欠陥部として、前記レーザ照射部および前記照射位置可変部により前記レーザ光を照射することによって除去する、請求項1または2に記載の欠陥修正装置。
【請求項4】
前記欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、
前記レーザ部、前記修正材料塗布部、前記修正材料硬化部および前記観察部を搭載する搭載部を含み、前記光軸に沿って前記搭載部を移動可能とするための光軸方向移動部と、
前記光軸方向移動部を搭載し、前記光軸方向移動部を前記第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、
前記第2軸方向移動部を搭載し、前記第2軸方向移動部を前記第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、をさらに備える、請求項3に記載の欠陥修正装置。
【請求項5】
前記欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、
前記修正材料塗布部を搭載し、前記修正材料塗布部を前記第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、
前記レーザ部、前記修正材料硬化部、前記観察部および前記第1軸方向移動部を搭載する搭載部を有し、前記搭載部を前記光軸に沿って移動可能とするための光軸方向移動部と、
前記光軸方向移動部を搭載し、前記光軸方向移動部を前記第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、をさらに備える、請求項3に記載の欠陥修正装置。
【請求項6】
前記欠陥部を修正するために前記樹脂基板が載置される載置テーブルと、
前記欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、
前記レーザ部、前記修正材料塗布部、前記修正材料硬化部および前記観察部を搭載する搭載部を有し、前記搭載部を前記光軸に沿って移動可能とするための光軸方向移動部と、
前記光軸方向移動部を搭載し、前記光軸方向移動部を前記載置テーブル上で前記第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、
前記載置テーブルを、前記第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、をさらに備える、請求項3に記載の欠陥修正装置。
【請求項7】
前記照射位置可変部が、前記照射位置を前記光軸に沿って可変にする回数は、前記レーザ光のスポットの径および前記欠陥部の表面から前記樹脂基板の面に至るまでの前記光軸に沿った距離を含むパラメータに従い決定される、請求項1から6のいずれかに記載の欠陥修正装置。
【請求項8】
面を有し、前記面の上に金属材料でパターンが形成された樹脂基板を載置するステップと、
載置された前記樹脂基板の面上に形成された前記パターンの欠陥部を、フェトム秒単位のパルス幅を有したレーザ光を照射することにより修正する修正ステップと、を備え、
前記修正ステップは、
前記欠陥部の表面と前記レーザ光の光軸とが直交するように前記欠陥部に前記レーザ光を照射するレーザ照射ステップを含み、
前記レーザ照射ステップによる前記レーザ光の照射位置を、前記表面において前記光軸と直交する第1軸が延びる方向と当該光軸および前記第1軸のそれぞれと直交する第2軸が延びる方向とに可変としながら、且つ当該照射位置を前記光軸が延びる方向に沿って前記欠陥部の表面から前記樹脂基板の面に至るまで複数回に分けて可変としながら、前記レーザ光を照射する、欠陥修正方法。
【請求項9】
前記修正ステップは、
前記樹脂基板の前記面上に形成された金属材料の欠落した欠け欠陥部に、針先端に付着した修正材料を接触させて塗布する修正材料塗布ステップと、
前記塗布した修正材料を硬化させる修正材料硬化ステップと、をさらに含み、
前記硬化した前記修正材料のうちの不要な部分を前記欠陥部として、前記レーザ照射ステップにより前記レーザ光を照射することによって除去する、請求項8に記載の欠陥修正方法。
【請求項10】
前記レーザ照射ステップにおいて前記照射位置を前記光軸に沿って可変にする回数は、前記レーザ光のスポットの径および前記欠陥部の表面から前記樹脂基板の面に至るまでの前記光軸に沿った距離を含むパラメータに従い決定される、請求項8または9に記載の欠陥修正方法。
【請求項1】
フェトム秒単位のパルス幅を有したレーザ光を出射するレーザ部と、
前記レーザ光の光軸が直交する面を有する樹脂基板の前記面の上に金属材料で形成されたパターンの欠陥部を修正する修正部と、を備え、
前記修正部は、
前記欠陥部の表面と前記光軸とが直交するように前記レーザ光を前記欠陥部に照射するレーザ照射部と、
前記レーザ照射部による前記レーザ光の照射位置を、前記表面において前記光軸と直交する第1軸が延びる方向と当該光軸および前記第1軸のそれぞれと直交する第2軸が延びる方向とに可変としながら、且つ当該照射位置を前記光軸に沿って前記欠陥部の表面から前記樹脂基板の面に至るまで複数回に分けて可変としながら、前記レーザ光を照射する照射位置可変部と、を含む、欠陥修正装置。
【請求項2】
前記樹脂基板は、ロール状に収容可能な薄膜の樹脂基板であって、
前記欠陥修正装置は、
前記欠陥部を修正するために前記樹脂基板が載置される載置テーブルと、
前記ロール状に巻かれた前記樹脂基板を、巻きを解きながら前記テーブルに送りだす送り出し部と、
送り出されることにより前記テーブルを通過した前記樹脂基板を巻き取りながら前記ロール状に収容する巻き取り部とを、さらに備える請求項1に記載の欠陥修正装置。
【請求項3】
前記修正部は、
前記樹脂基板の前記面上に形成された金属材料の欠落した欠け欠陥部に、針先端に付着した修正材料を接触させて塗布する修正材料塗布部と、
前記塗布した修正材料を硬化させる修正材料硬化部と、をさらに含み、
前記硬化した前記修正材料のうちの不要な部分を前記欠陥部として、前記レーザ照射部および前記照射位置可変部により前記レーザ光を照射することによって除去する、請求項1または2に記載の欠陥修正装置。
【請求項4】
前記欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、
前記レーザ部、前記修正材料塗布部、前記修正材料硬化部および前記観察部を搭載する搭載部を含み、前記光軸に沿って前記搭載部を移動可能とするための光軸方向移動部と、
前記光軸方向移動部を搭載し、前記光軸方向移動部を前記第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、
前記第2軸方向移動部を搭載し、前記第2軸方向移動部を前記第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、をさらに備える、請求項3に記載の欠陥修正装置。
【請求項5】
前記欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、
前記修正材料塗布部を搭載し、前記修正材料塗布部を前記第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、
前記レーザ部、前記修正材料硬化部、前記観察部および前記第1軸方向移動部を搭載する搭載部を有し、前記搭載部を前記光軸に沿って移動可能とするための光軸方向移動部と、
前記光軸方向移動部を搭載し、前記光軸方向移動部を前記第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、をさらに備える、請求項3に記載の欠陥修正装置。
【請求項6】
前記欠陥部を修正するために前記樹脂基板が載置される載置テーブルと、
前記欠陥部を観察するための画像を撮像する観察部と、
前記レーザ部、前記修正材料塗布部、前記修正材料硬化部および前記観察部を搭載する搭載部を有し、前記搭載部を前記光軸に沿って移動可能とするための光軸方向移動部と、
前記光軸方向移動部を搭載し、前記光軸方向移動部を前記載置テーブル上で前記第2軸に沿って移動可能とするための第2軸方向移動部と、
前記載置テーブルを、前記第1軸に沿って移動可能とするための第1軸方向移動部と、をさらに備える、請求項3に記載の欠陥修正装置。
【請求項7】
前記照射位置可変部が、前記照射位置を前記光軸に沿って可変にする回数は、前記レーザ光のスポットの径および前記欠陥部の表面から前記樹脂基板の面に至るまでの前記光軸に沿った距離を含むパラメータに従い決定される、請求項1から6のいずれかに記載の欠陥修正装置。
【請求項8】
面を有し、前記面の上に金属材料でパターンが形成された樹脂基板を載置するステップと、
載置された前記樹脂基板の面上に形成された前記パターンの欠陥部を、フェトム秒単位のパルス幅を有したレーザ光を照射することにより修正する修正ステップと、を備え、
前記修正ステップは、
前記欠陥部の表面と前記レーザ光の光軸とが直交するように前記欠陥部に前記レーザ光を照射するレーザ照射ステップを含み、
前記レーザ照射ステップによる前記レーザ光の照射位置を、前記表面において前記光軸と直交する第1軸が延びる方向と当該光軸および前記第1軸のそれぞれと直交する第2軸が延びる方向とに可変としながら、且つ当該照射位置を前記光軸が延びる方向に沿って前記欠陥部の表面から前記樹脂基板の面に至るまで複数回に分けて可変としながら、前記レーザ光を照射する、欠陥修正方法。
【請求項9】
前記修正ステップは、
前記樹脂基板の前記面上に形成された金属材料の欠落した欠け欠陥部に、針先端に付着した修正材料を接触させて塗布する修正材料塗布ステップと、
前記塗布した修正材料を硬化させる修正材料硬化ステップと、をさらに含み、
前記硬化した前記修正材料のうちの不要な部分を前記欠陥部として、前記レーザ照射ステップにより前記レーザ光を照射することによって除去する、請求項8に記載の欠陥修正方法。
【請求項10】
前記レーザ照射ステップにおいて前記照射位置を前記光軸に沿って可変にする回数は、前記レーザ光のスポットの径および前記欠陥部の表面から前記樹脂基板の面に至るまでの前記光軸に沿った距離を含むパラメータに従い決定される、請求項8または9に記載の欠陥修正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−191411(P2011−191411A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56194(P2010−56194)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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