説明

欠陥探傷ヘッドの退避方法および欠陥探傷装置

【課題】探傷対象の鋼板に形状不良があっても、この形状不良部分と表面欠陥探傷装置とが接触して欠陥探傷ヘッドを破損することがなく表面欠陥の検出を行うことができる、欠陥探傷ヘッドの退避方法および欠陥探傷装置を提供することを課題とする。
【解決手段】鋼板がロールに巻きついた箇所で鋼板に対向させて設置する欠陥探傷ヘッドと、5mm以上の凸部を検知する大凸部センサ、および5mm未満1mm以上の凸部を検知する小凸部センサと、前記大凸部センサおよび小凸部センサからの信号に基き退避信号を出力する演算処理装置と、退避信号に基き前記欠陥探傷ヘッド全体または前記欠陥探傷ヘッド中のセンサ部を動かす各アクチュエータに退避指令を送る制御装置とを、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性金属の微小凹凸表面欠陥検出を行う表面欠陥の検出方法および装置に関し、特に、金属表面に非常に大きな凸欠陥や形状不良が発生した場合における、欠陥探傷ヘッドの退避方法および欠陥探傷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁性金属の微小凹凸表面欠陥検出を行う技術としては、これまでに例えば特許文献1に開示された技術がある。
【0003】
この技術は、連続焼鈍ラインの調質圧延機後に漏洩磁束探傷装置を小さなリフトオフ(鋼板と装置の距離、例えば1mm)で設置し、漏洩磁束探傷装置(ヘッド)内の磁化器から磁束を鋼板に与え、鋼板に存在する微小凹凸表面欠陥によって乱される磁束の変化を検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−256274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に開示された技術では、高速に動く鋼板に対して小さなリフトオフで漏洩磁束探傷装置を設置するため、探傷対象の鋼板に絞りが生じたり、またはヘゲと呼ばれるような非常に大きな凸欠陥が発生したり、さらに鋼板の形状が悪化して耳波、中伸びといった形状不良が発生した場合には、これら鋼板に発生した凸部が漏洩磁束探傷装置と接触して装置を壊してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、探傷対象の鋼板に形状不良があっても、この形状不良部分と表面欠陥探傷装置とが接触して欠陥探傷ヘッドを破損することがなく表面欠陥の検出を行うことができる、欠陥探傷ヘッドの退避方法および欠陥探傷装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の発明は、鋼板表面の凸部と欠陥探傷ヘッドとの接触を避ける、欠陥探傷ヘッドの退避方法であって、欠陥探傷ヘッドを鋼板がロールに巻きついた箇所で鋼板に対向させて設置するとともに、該欠陥探傷ヘッドの設置箇所の上流、かつ鋼板がロールに巻きついた箇所に鋼板表面の凸部を検知する凸部検知センサを設置し、該凸部検知センサが所定値以上の凸部を検知した場合に、前記欠陥探傷ヘッドを退避させることを特徴とする欠陥探傷ヘッドの退避方法である。
【0008】
また、本発明の第二の発明は、前記第一の発明の欠陥探傷ヘッドの退避方法において、前記欠陥探傷ヘッドは、漏洩磁束探傷ヘッドであり、前記凸部検知センサは、5mm以上の凸部を検知する大凸部センサおよび5mm未満1mm以上の凸部を検知する小凸部センサにより構成されることを特徴とする欠陥探傷ヘッドの退避方法である。
【0009】
また、本発明の第三の発明は、前記第二の発明の欠陥探傷ヘッドの退避方法において、前記大凸部センサを連続焼鈍ラインの焼鈍炉出側に設置し、5mm以上の凸部を検知した場合には、前記欠陥探傷ヘッド全体を退避させ、前記焼鈍炉の下流にある調質圧延機の出側に、前記小凸部センサを設置し、5mm未満1mm以上の凸部を検知した場合には、前記欠陥探傷ヘッドのセンサ部のみを退避させることを特徴とする欠陥探傷ヘッドの退避方法である。
【0010】
また、本発明の第四の発明は、前記第二または第三の発明の欠陥探傷ヘッドの退避方法において、前記小凸部センサは、鋼板からのスリット反射光を撮影するリニアアレイカメラであり、該リニアアレイカメラの視野からスリット光線が外れた場合に凸部が存在すると判定することを特徴とする欠陥探傷ヘッドの退避方法である。
【0011】
また、本発明の第五の発明は、鋼板表面の凸部と欠陥探傷ヘッドとの接触を避ける、退避機構を備えた欠陥探傷装置であって、鋼板がロールに巻きついた箇所で鋼板に対向させて設置する欠陥探傷ヘッドと、5mm以上の凸部を検知する大凸部センサ、および5mm未満1mm以上の凸部を検知する小凸部センサと、前記大凸部センサおよび小凸部センサからの信号に基き退避信号を出力する演算処理装置と、退避信号に基き前記欠陥探傷ヘッド全体または前記欠陥探傷ヘッド中のセンサ部を動かす各アクチュエータに退避指令を送る制御装置とを、備えることを特徴とする欠陥探傷装置である。
【0012】
さらに、本発明の第六の発明は、前記第五の発明に記載の欠陥探傷装置において、前記欠陥探傷ヘッドを連続焼鈍ライン中の焼鈍炉の下流にある調質圧延機の出側に設置し、前記大凸部センサを前記焼鈍炉出側に設置し、5mm以上の凸部を検知した場合には、前記欠陥探傷ヘッド全体を退避させ、前記小凸部センサを前記調質圧延機の出側でかつ前記欠陥探傷ヘッドの設置個所より上流に設置し、5mm未満1mm以上の凸部を検知した場合には、前記欠陥探傷ヘッドのセンサ部のみを退避させることを特徴とする欠陥探傷装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、鋼板表面の凸部を検出し、欠陥探傷ヘッドを退避するようにしたので、探傷対象の鋼板に形状不良があっても、それが表面欠陥探傷装置と接触して欠陥探傷ヘッドを破損することがなく表面欠陥の検出を行うことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】リニアアレイカメラを用いた凸部検出の様子を説明する図である。
【図2】漏洩磁束探傷ヘッドの構造を模式的に示す図である。
【図3】本実施例に係る装置構成を示す図である。
【図4】漏洩磁束探傷ヘッドへの退避信号の流れを示す図である。
【図5】凸部計測から漏洩磁束探傷ヘッド退避に至る処理手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
先ず発明者らは、前述した形状不良の発生状況を詳細に調べたところ、以下の3種類に形状不良を分類できることが分った。
A:耳波、中伸び
B:焼鈍炉、調質圧延機で発生する絞り
C:連続焼鈍ラインに入れられる冷延鋼板に元々ついているヘゲ
さらに、Aの耳波および中伸びについては、ロールが鋼板に巻きついている箇所では、生じていた耳波および中伸びの形状がp-p(peak to peak)200μm以内に矯正されることが分った。
【0016】
この矯正されたp-p200μm以内の凹凸は、漏洩磁束計測上もまた、例えば1mmといったリフトオフで設置した漏洩磁束探傷ヘッドとの接触という観点からも問題のないレベルの凹凸である。このため、ロールが鋼板に巻きついている箇所で、前記漏洩磁束探傷装置による表面欠陥の検出を行うこととした。
【0017】
また、前述のBおよびCの絞り・ヘゲ凸部については、漏洩磁束探傷ヘッドの上流側で、かつこの探傷ヘッドが設置されている状況と機械的に同じ状況の場所に凸部を検知する凸部検知センサを設け、ここで凸部を検知した場合に、接触を避けるために漏洩磁束探傷ヘッドを退避させることを考えた。なおここで、機械的に同じ状況とは、たとえば、同じ径のロールに巻きついている、同じ張力がかかる、振動の程度が同じになる構造を持つ、ロールの偏芯が同程度である、と言うような状況を指す。
【0018】
そして凸部を検知する方法としては、5mm以上の凸部を検知する方法としてワイヤ式およびレーザ透過式があるものの、いずれの方式も1mm程度の凸部を検知するには検出能不足である。この条件を満足する検出能が高い方法には、2次元のエリアカメラを用いる光切断式があるものの、2次元データの処理に時間がかかってしまい、漏洩磁束探傷ヘッドを退避させるには応答速度不足であるという問題がある。
【0019】
そこで、本発明では、処理時間の短縮を図ることができる、1次元のリニアアレイカメラを用いる方法を採る。図1は、リニアアレイカメラを用いた凸部検出の様子を説明する図である。図中、1はリニアアレイカメラ、2はレーザースリット光源、3はモニタ、4は鋼板、および5は凸部をそれぞれ表し、図1(a)は鋼板に凸部がない場合、図1(b)は鋼板に凸部がある場合の検出の様子を模式的に示している。
【0020】
具体的な凸部検知手順は、以下のとおりである。
(1) レーザースリット光源2からのスリット光を、搬送中の鋼板4の表面に斜めから照射する。
(2)リニアアレイカメラ1でスリット光を、鋼板4の表面と直角方向から観測する。
(3) 図1(a)のように鋼板4に凸部がない場合には、モニタ3にはリニアアレイカメラ1の視野範囲である鋼板幅方向に亘って均一な明るさで、リニアアレイカメラ1の視野範囲が映し出される。一方、図1(b)に示すように鋼板4に凸部5がある場合には、鋼板4の凸部5によりスリット光がずれ、リニアアレイカメラ1の視野範囲の一部が暗くなってしまう。
(4)そこで、リニアアレイカメラ1の視野範囲の一部が暗くなった場合に、鋼板4に凸部5ありと判定するものである。
【0021】
上述の凸部検知手順で凸部検知を行うための凸部検知センサを、漏洩磁束探傷ヘッドの上流側に配置し1mm以上の凸部を検知して、凸部による衝突を避けるべく漏洩磁束探傷ヘッドを退避させる。
【0022】
しかしながら、さらなる問題が残っている。つまり、先に述べたA,B,Cの凸部を漏れなく検知しようとすると、Bの凸部(すなわち、焼鈍炉、調質圧延機で発生する絞り)があるため、調質圧延機後に凸部検知センサを設けねばならないこととなる。
【0023】
またその一方で、特許文献1で述べられているように、微小凹凸表面欠陥を精度よく検知するためには、調質圧延機直後に漏洩磁束探傷ヘッドを設置する方が良いという点がある。
【0024】
すなわち以上のことをまとめると、調質圧延機直後に凸部検知センサを設け、かつ調質圧延機後で凸部検知センサ設置場所の下流に漏洩磁束探傷ヘッドを設置することとなる。このことは、凸部検知センサと漏洩磁束探傷ヘッドの間の間隔を、あまり大きく取ることができないことを意味する。実際に、本発明を適用するラインにおいて上記条件を満足する適切な場所を探したところ、長くても15m程度とることが精一杯であった。
【0025】
さらにこの15mという間隔は、例えばライン速度600mpmで鋼板を流した場合には、凸部検知センサから漏洩磁束探傷ヘッドに到達するのに、わずか1.5秒という短さであり、15mより間隔が短くなればさらに短い時間で検査装置から漏洩磁束探傷ヘッドに到達してしまい衝突回避条件はさらに厳しくなってしまう。
【0026】
漏洩磁束探傷ヘッドが軽く、この時間内で十分退避可能な場合は問題ないが、一般に漏洩磁束探傷ヘッド内には、鋼板を磁化するための磁化器が設けられている。この磁化器は、例えば重量約60kg程度と非常に重くなることがあり、この場合には、わずか1.5秒以内で凸部を検知して重量物である磁化器を退避移動することは、技術的にも費用的にも非常に困難になる。
【0027】
そこで、本発明者らは、前記B,Cに分類された凸部を発生箇所毎に再度分類するとともに、漏洩磁束探傷ヘッドの構造を調査して、以下の知見を得た。
・凸部は、5mm以上となる大きな凸部と5mm未満1mm以上の小さな凸部に分類される。
・大きな凸部は、
B1:焼鈍炉内で発生する炉内絞りであり、
・小さな凸部は、
B2:調質圧延機で発生する絞りと、
C:連続焼鈍ラインに入れられる冷延鋼板に元々ついているヘゲとである。
【0028】
さらに、漏洩磁束探傷ヘッドについては、重量物であり検査対象から5mm程度離して設置可能な重量物(例えば、重さ約60kg)である磁化器部と、漏洩磁束探傷のために検査対象とのリフトオフを1mm程度に保持しなければならない軽量物(例えば、数100g)であるセンサ部とに大きく2分割できることも分った。
【0029】
図2は、漏洩磁束探傷ヘッドの構造を模式的に示す図である。図中、4は鋼板、6はセンサ部、7は電磁アクチュエータ、8は磁化器部、9は油圧シリンダ、10はローラ、11は漏洩磁束探傷ヘッド、および27はロールCをそれぞれ表す。
【0030】
漏洩磁束探傷ヘッド11は、磁化器部8、センサ部6、およびロールC27に巻き付いた鋼板4の移動に倣うためのローラ10で大きく構成される。さらに、磁化器部8の移動用のアクチュエータとして油圧シリンダ9を、センサ部6の移動用のアクチュエータとして電磁アクチュエータ7をそれぞれ備えている。なお、油圧シリンダ9の移動によって漏洩磁束探傷ヘッド11全体、すなわち磁化器部8およびセンサ部6が一体となって動くが、電磁アクチュエータ7の移動によってはセンサ部6のみが独立して動くようにして微少かつ速い動きを実現している。
【0031】
以上説明してきた知見を総合して、本発明を得るに至った。本発明を箇条書きに簡単にまとめると、以下のようである。
【0032】
1. 焼鈍炉出側に大きな(5mm以上)凸部を検知する大凸部センサを設置し、ここで大きな凸部が検出された場合に、漏洩磁束探傷ヘッド全体を退避する。焼鈍炉の出側と調質圧延機の直後に設置された漏洩磁束探傷ヘッドの間は、通常十分な距離が有り十分な退避時間(約10秒以上)を取ることができる。
【0033】
この大凸部センサは、5mm以上の凸部を検知すればよく、分解能が低くてもかまわないため、従来用いられてきたようなワイヤ接触式のセンサや、レーザ透過式のセンサなどを用いることができる。
【0034】
2.調質圧延機の出側に1mm以上の凸部を検知することができる小凸部センサ (1次元のリニアアレイカメラを用いる)を設け、1mm以上5mm未満の小さな凸部はここで検知して、漏洩磁束探傷ヘッド中の軽いセンサ部のみを退避させる。ここで、1mm以上5mm未満の小さな凸部の検出は、レーザースリット光源2の入射角度とリニアアレイカメラ1の角度調整により行うことができる。
【0035】
なお、これまで磁性金属の微小凹凸表面欠陥検出を行う装置として漏洩磁束探傷装置を例に、凸部衝突回避について説明を行ってきたが、渦流探傷装置など他の方式の探傷装置に適用しても構わない。
【実施例】
【0036】
本発明を連続焼鈍ラインに適用した実施例について、以下説明を行う。図3は、本実施例に係る装置構成を示す図である。図中、20は焼鈍炉、21はルーパー、22は調質圧延機、23はロールA、24は凸部センサA、25はロールB、26は凸部センサB、27はロールC、28は演算処理装置、29は制御装置、4は鋼板、および11は漏洩磁束探傷ヘッドをそれぞれ表す。
【0037】
焼鈍炉20、ルーパー21、および調質圧延機22の順に鋼板4を連続的に処理する連続焼鈍ラインであり、焼鈍炉20の出側のロールA23に、レーザ透過式の5mm以上の凸部を検知する凸部センサA(大凸部センサ)24を、調質圧延機22直後のロールB25に、リニアアレイカメラ式の1mm以上の凸部を検知する凸部センサB(小凸部センサ)26をそれぞれ設置している。
【0038】
そして、ロールB25から下流に15mの所にあるロールC27に、退避対象でもある漏洩磁束探傷ヘッド11を設置している。凸部センサA24および凸部センサB26からの信号は、演算処理装置28にて演算処理され凸部が検知されれば、退避信号が制御装置29に送られ、制御装置29により漏洩磁束探傷ヘッド11またはセンサ部6の退避動作が行われる。
【0039】
図4は、漏洩磁束探傷ヘッドへの退避信号の流れを示す図である。図中の符号は、図2および図3と同じであるので説明は省略する。また、図5は、凸部計測から漏洩磁束探傷ヘッド退避に至る処理手順の一例を示す図である。
【0040】
図3の凸部センサA24で5mm以上の凸部を検知すると、漏洩磁束探傷ヘッド11本体をサーボモータ(図2では、9として油圧シリンダとしたが、本実施例ではサーボモータを使用)で100mm退避(約3秒で退避)し、図3の凸部センサB26で1mm以上5mm未満の小さな凸部を検知すると、電磁アクチュエータ7でセンサ部6のみを5mm退避(約1秒で退避)する (図4参照)。なお、退避動作終了後は、制御装置はセンサ部ならびに漏洩磁束探傷ヘッド本体を速やかに元の正常な位置に戻し、微小凹凸表面欠陥検出を継続する。
【0041】
凸部計測から漏洩磁束探傷ヘッド退避に至る処理手順は、図5に示すが、Step01〜Step04に至る一連の流れは、凸部センサA24で5mm以上の凸部を検知した場合も、凸部センサB26で1mm以上5mm未満の小さな凸部を検知した場合も同じである。ただ、5mm以上の凸部を検知した場合の、Step04での退避動作の対象が漏洩磁束探傷ヘッド本体を動かすサーボモータであるか、1mm以上5mm未満の小さな凸部を検知した場合の、Step04での退避動作の対象がセンサ部のみを動かす電磁アクチュエータであるかの違いだけである。
【0042】
以上説明した本実施例により、連続焼鈍ラインの調質圧延後に設置した漏洩磁束探傷ヘッドと鋼板に発生した凸部との接触および探傷ヘッドの破損が防止でき、微小凹凸表面欠陥検出が可能となった。
【符号の説明】
【0043】
1 リニアアレイカメラ
2 レーザースリット光源
3 モニタ
4 鋼板
5 凸部
6 センサ部
7 電磁アクチュエータ
8 磁化器部
9 油圧シリンダ
10 ローラ
11 漏洩磁束探傷ヘッド
20 焼鈍炉
21 ルーパー
22 調質圧延機
23 ロールA
24 凸部センサA
25 ロールB
26 凸部センサB
27 ロールC
28 演算処理装置
29 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板表面の凸部と欠陥探傷ヘッドとの接触を避ける、欠陥探傷ヘッドの退避方法であって、
欠陥探傷ヘッドを鋼板がロールに巻きついた箇所で鋼板に対向させて設置するとともに、
該欠陥探傷ヘッドの設置箇所の上流、かつ鋼板がロールに巻きついた箇所に鋼板表面の凸部を検知する凸部検知センサを設置し、
該凸部検知センサが所定値以上の凸部を検知した場合に、前記欠陥探傷ヘッドを退避させることを特徴とする欠陥探傷ヘッドの退避方法。
【請求項2】
請求項1記載の欠陥探傷ヘッドの退避方法において、
前記欠陥探傷ヘッドは、漏洩磁束探傷ヘッドであり、
前記凸部検知センサは、5mm以上の凸部を検知する大凸部センサおよび5mm未満1mm以上の凸部を検知する小凸部センサにより構成されることを特徴とする欠陥探傷ヘッドの退避方法。
【請求項3】
請求項2に記載の欠陥探傷ヘッドの退避方法において、
前記大凸部センサを連続焼鈍ラインの焼鈍炉出側に設置し、5mm以上の凸部を検知した場合には、前記欠陥探傷ヘッド全体を退避させ、
前記焼鈍炉の下流にある調質圧延機の出側に、前記小凸部センサを設置し、5mm未満1mm以上の凸部を検知した場合には、前記欠陥探傷ヘッドのセンサ部のみを退避させることを特徴とする欠陥探傷ヘッドの退避方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の欠陥探傷ヘッドの退避方法において、
前記小凸部センサは、
鋼板からのスリット反射光を撮影するリニアアレイカメラであり、
該リニアアレイカメラの視野からスリット光線が外れた場合に凸部が存在すると判定することを特徴とする欠陥探傷ヘッドの退避方法。
【請求項5】
鋼板表面の凸部と欠陥探傷ヘッドとの接触を避ける、退避機構を備えた欠陥探傷装置であって、
鋼板がロールに巻きついた箇所で鋼板に対向させて設置する欠陥探傷ヘッドと、
5mm以上の凸部を検知する大凸部センサ、および5mm未満1mm以上の凸部を検知する小凸部センサと、
前記大凸部センサおよび小凸部センサからの信号に基き退避信号を出力する演算処理装置と、
退避信号に基き前記欠陥探傷ヘッド全体または前記欠陥探傷ヘッド中のセンサ部を動かす各アクチュエータに退避指令を送る制御装置とを、
備えることを特徴とする欠陥探傷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の欠陥探傷装置において、
前記欠陥探傷ヘッドを連続焼鈍ライン中の焼鈍炉の下流にある調質圧延機の出側に設置し、
前記大凸部センサを前記焼鈍炉出側に設置し、5mm以上の凸部を検知した場合には、前記欠陥探傷ヘッド全体を退避させるように構成し、
前記小凸部センサを前記調質圧延機の出側でかつ前記欠陥探傷ヘッドの設置個所より上流に設置し、5mm未満1mm以上の凸部を検知した場合には、前記欠陥探傷ヘッドのセンサ部のみを退避させるように構成することを特徴とする欠陥探傷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−237276(P2011−237276A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108847(P2010−108847)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】