欠陥検査装置および欠陥検査方法
【課題】被検査対象物の表面から反射する正反射光を検出することで数十ナノメートル又はそれ以下の欠陥や異物を高検出感度で検出する暗視野検査装置を実現する。
【解決手段】照明光を出射する光源と、前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整する偏光生成部と、を備える照射光学系と、前記照射光学系により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整する偏光解析部と、前記偏光解析部により調整された散乱光を検出する検出部とを備える検出光学系と、前記検出光学系により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理系と、を備え、前記偏光生成部は、予め定めた照明条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整し、前記偏光解析部は、予め定めた検出条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査装置である。
【解決手段】照明光を出射する光源と、前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整する偏光生成部と、を備える照射光学系と、前記照射光学系により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整する偏光解析部と、前記偏光解析部により調整された散乱光を検出する検出部とを備える検出光学系と、前記検出光学系により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理系と、を備え、前記偏光生成部は、予め定めた照明条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整し、前記偏光解析部は、予め定めた検出条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検査装置および欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIや液晶基板を製造する際に、被加工対象物(例えば半導体ウェハ)上に繰り返しパターンが形成される場合がある。このようなLSIや液晶基板の製造において、被加工対象物の表面に異物が付着したり、欠陥が発生したりすると、例えば、配線の絶縁不良や短絡などの不良原因となる。近年の回路パターンの微細化に伴い、被加工対象物上に形成されるパターン(非欠陥部)と微細な異物や欠陥とを弁別することが困難になってきている。
ここで欠陥とは、被検査対象物である試料上に付着するパーティクルや結晶欠陥COP(Crystal Originated Particle)、研磨により生じるスクラッチなどである。
【0003】
半導体デバイスの微細化に伴い、検査対象である微細パターンの欠陥や異物などのサイズは数十ナノメートル又はそれ以下となっている。検出対象である欠陥や異物のサイズが小さくなってきているため、これらからの反射、回折、散乱光は非常に弱く、光学式手法による検出が困難となっている。そのため、欠陥や異物からの反射、回折、散乱光を強くする照明光の条件、および検出の条件が模索されている。特に、半導体の構造が波長の1/10程度のサブ波長構造においては、半導体は構造複屈折を有するため、それからの反射、回折、散乱光の偏光状態は半導体の構造に強く依存する。ワイヤーグリッド偏光子などは、このサブ波長構造の偏光特性を利用した偏光素子である。このサブ波長構造の偏光特性に着目し、入射および検出の偏光状態を制御することによって、半導体パターンからの信号を低下させ、欠陥の検出感度を向上させる方法が提案されている。
【0004】
特許文献1(特表2006−512588号公報)には、「パターン化及び非パターン化物体を光学的に検査するためのシステム及び方法であって、上記パターンにより導入される偏光シフト、及び上記パターンにより偏光シフトされる入射光ビームの偏光を決定するステップと、上記決定に応答して、光ビームの偏光状態を確立して、上記パターン化された物体に当たる入射光ビームを与えるステップと、上記決定に応答して、偏光により反射ビームをフィルタするステップと、上記フィルタされた反射光ビームの検出に応答して検出信号を発生するステップと、を備えた方法」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−512588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、被検査対象物の表面に照明光を照射し、該被検査対象物の表面から反射する正反射光を検出する明視野検査装置が開示されているが、被検査対象物の表面から散乱する散乱光を検出して該被検査対象物の表面に存在する欠陥を検査する暗視野検査装置については、数十ナノメートル又はそれ以下の欠陥や異物を高検出感度で検出する技術については開示されていない。
【0007】
本願では、検査対象を高速で検査するのに適した暗視野検査装置において、繰り返しパターン部からの散乱光を抑制することで、より微細な欠陥からの散乱光を検出する欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば次のとおりである。
(1)照明光を出射する光源と、前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整する偏光生成部と、を備える照射光学系と、前記照射光学系により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整する偏光解析部と、前記偏光解析部により調整された散乱光を検出する検出部とを備える検出光学系と、前記検出光学系により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理系と、を備え、前記偏光生成部は、予め定めた照明条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整し、前記偏光解析部は、予め定めた検出条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査装置。出射された照明光の偏光特性を調整して検査対象物である試料に照射する照射工程と、前記照射工程により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整して検出する検出工程と、前記検出工程により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理工程と、を備え、前記照射工程では、予め定めた照明条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整し、前記検出工程では、予め定めた検出条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査装置である。
(2)出射された照明光の偏光特性を調整して検査対象物である試料に照射する照射工程と、前記照射工程により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整して検出する検出工程と、前記検出工程により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理工程と、を備え、前記照射工程では、予め定めた照明条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整し、前記検出工程では、予め定めた検出条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査方法である。
【発明の効果】
【0009】
微細な欠陥の検出感度を向上させた欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例を示す図である。
【図2】本発明に係る光学式検査方法の第1の実施例を示すフロー図である。
【図3】本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の偏光生成器の構成を示す図である。
【図4】本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の偏光解析器の構成を示す図である。
【図5】本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例における画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る光学式検査方法の第1の実施例の検査条件を設定するフロー図である。
【図7】本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の表示部の概略図である。
【図8】試料上の回路パターン形状に対する検査条件の変化の様子を示す図である。
【図9(a)】本発明に係る光学式検査装置の第2の実施例の偏光生成器の構成を示す図である。
【図9(b)】本発明に係る光学式検査装置の第2の実施例の偏光解析器の構成を示す図である。
【図10】入射直線偏光と検出直線偏光の偏光軸と繰り返しパターン部からの散乱光強度の関係を示す図である。
【図11】本発明に係る光学式検査装置の第4の実施例の光学系の概略の構成を示す図である。
【図12】本発明に係る光学式検査装置の第4の実施例における画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る光学式検査装置の第5の実施例の光学系の概略の構成を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例を、以下に説明する。
欠陥とは被検査対象物である試料上に付着するパーティクルや結晶欠陥COP(Crystal Originated Particle)、研磨により生じるスクラッチなどである。
【実施例1】
【0012】
本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例を、図1乃至図8を用いて説明する。
【0013】
本発明は、半導体ウェハに形成されたサブ波長構造の繰り返しパターン上の異物や欠陥を対象とする。典型的な繰り返しパターンは、細長く互いに平行な導体や絶縁体を含み、一般にライン&スペースパターンと呼ばれる。以下、このサブ波長構造の繰り返しパターンの構造複屈折を利用した高感度欠陥検査方法について記述する。
【0014】
以下では、半導体ウェハの暗視野検査装置による検査を例にとって説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例を示す図である。
実施例1に係る光学式検査装置は、照明光学系110、ステージ部170、撮像光学系(検出光学系)120及び信号処理・制御系250とを備えて構成されている。照明光学系110は、被検査対象物である試料(半導体ウエハ)100に照明光を照射し、照射された半導体ウェハ100から散乱する散乱光を検出光学系120により検出する。その際、ステージ部170により半導体ウェハ100を走査する。信号処理・制御系250は、検出光学系120により検出された半導体ウエハ100からの散乱光を処理して半導体ウエハに存在する欠陥を検出する。
【0016】
(照明光学系110)
照明光学系110は、レーザ光源111、ビーム整形手段112、ビームエキスパンダ113、偏光板や波長板を備えてなる偏光生成部130、検査対象(半導体ウェハ)100に線状のビームを照射するための線状ビーム生成部115を備えて構成される。
レーザ光源111は、レーザビームを出射する。このとき、光源111には、気体レーザ、半導体レーザ、固体レーザや、面発光レーザなどが利用可能である。波長は赤外、可視域、紫外を用いることができるが、波長が短くなるほど光学的な分解能が向上するため、微細欠陥を見る際にはUV(Ultra Violet:紫外線)、DUV(Deep Ultra Violet:深紫外線)、VUV(Vacuum Ultra Violet:真空紫外線)、EUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外線)などの紫外域の光を用いるとよい。
ビーム整形手段112は、レーザ光源111から出射されたレーザビームを整形する。ビーム整形手段112としては、例えば光源111より発振された光が直線偏光の場合、ND(Neutral Density)フィルタ112により強度を調整すればよい。
ビームエキスパンダ113は、ビーム整形手段112により整形された光のビーム径を拡大する。
偏光生成部130は、偏光板や波長板を備えて構成され、ビームエキスパンダ113でビーム径を拡大された光の偏光特性を調整する。調整すべき偏光特性は、後述の信号処理・制御部における偏光条件制御部241からの制御信号に基づき決まる。偏光生成部130は、例えば1/4波長板や1/2波長板を備えて構成され、偏光条件制御部241からの制御信号に基づき決まる偏光特性に応じて1/4波長板や1/2波長板の回転角を調整する。
図3は、本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の偏光生成器130の構成を示す図である。1/4波長板131、1/2波長板132を備えて構成されている。このとき、1/4波長板131と1/2波長板132の順番は逆であっても良い。図1に示した偏光条件制御部241からの制御信号に基づき、1/4波長板131、1/2波長板132との回転角が設定(回転制御)される。
【0017】
線状ビーム生成部115は、偏光特性が調整された偏光生成部130からの光を線状ビームに生成する。例えば、例えばシリンドリカルレンズ115a、115bを備えるレンズ群により構成される。このとき、生成される線状ビーム101はステージy方向が線状ビーム101の長手方向となるように形成される。
このとき、偏光生成部130は線状ビーム生成部115の後におかれていても良い。この場合は偏光生成部130で偏光調整されたビームにずれが生じることなく半導体ウエハ100に照射することが可能となる。
このようにして形成された線状ビーム101は、ステージy方向が線状ビーム101の長手方向となるように半導体ウエハ100の表面に照射される。
【0018】
(検出光学系120)
検出光学系120は、対物レンズ121、空間フィルタ123、結像レンズ122、偏光解析器140、ラインセンサ124とを備えて構成される。
対物レンズ121は、半導体ウエハ100の表面から散乱した反射、散乱、回折光を集光する。
空間フィルタ123は、対物レンズ121にて集光された半導体ウエハ100の表面からの反射、散乱、回折光の一部を遮光する。ここで、空間フィルタ123は、対物レンズ121の出射側の瞳位置又は瞳位置と等価な位置に配置され、ウェハ100上に形成された波長と同等かそれ以上の繰り返しパターンによる回折光を遮光する。
結像レンズ122は、空間フィルタ123で遮光されなかった散乱光を透過させる。
【0019】
偏光解析器140は、偏光板や波長板を備えて構成され、結像レンズ122で透過された散乱光の偏光特性を調整する。調整すべき偏光特性は、偏光生成部130と同様に、後述の信号処理・制御部における偏光条件制御部241からの制御信号に基づき決まる。偏光生成部140は、例えば1/4波長板や1/2波長板、偏光板を備えて構成され、これらはそれぞれが個別に回転制御し、偏光条件制御部241からの制御信号に基づき決まる偏光特性に応じて1/4波長板や1/2波長板、偏光板の回転角を調整する。これにより、入射される光の偏光状態によらず、偏光解析器140では任意の入射偏光を生成することが可能となる。
図4は、本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の偏光解析器140の構成を示す図である。1/4波長板141、1/2波長板142、偏光板143を備えて構成されている。このとき、1/4波長板141と1/2波長板142との順番は逆であっても良い。図1に示した偏光条件制御部241からの制御信号に基づき、1/4波長板141、1/2波長板142、偏光板143の回転角が設定(回転制御)される。
【0020】
ラインセンサ124は、偏光解析器140において偏光特性が調整された散乱光をラインセンサ124の検出面上に結像させて、検出する。例えば、TDI(Time Delay Integration)イメージセンサ:時間遅延積分型イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いればよい。
このとき、偏光解析部140と結像レンズ122との位置は逆であっても良い。
このようにして検出された散乱光に基づく信号は、信号処理・制御部250に送られる。
【0021】
(ステージ部170)
ステージ部170は、xステージ170a、yステージ170b、zステージ170c、θステージ170dを備えて構成される。
xステージ170aは、検査対象試料である表面に微細なパターンが形成された半導体ウェハ100を載置してx方向に移動可能なステージである。
yステージ170b、zステージ170c、θステージ170dもそれぞれ同様に、検査対象試料である表面に微細なパターンが形成された半導体ウェハ100を載置してy方向、z方向、θ方向に移動可能なステージである。
【0022】
(信号処理・制御部250)
信号処理・制御部250は、画像処理部200、操作部210、制御部220、偏光条件算出部240、偏光条件制御部241、高さ検出部160とを備えて構成される。
【0023】
画像処理部200は、ラインセンサ124で検出した半導体ウェハ100からの散乱光に基づき信号処理して画像を処理する。
具体的には、検出光学系120において取得した散乱光に基づく2枚の画像(半導体ウエハ100上の所定の領域における散乱光に基づく検査画像と、本来この検査画像と同一の画像であることが期待される該所定の領域に隣接する領域からの散乱光に基づく画像(隣接パターン又は隣接ダイを撮像して得た画像、(参照画像)))が、画像処理部200に送られる。そして、2枚の画像を比較処理して欠陥候補を抽出し、この抽出した欠陥候補の散乱光分布や強度などの特徴から、欠陥判定、分類・サイジングが行われる。
【0024】
図5は、本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例における画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
ラインセンサ124で取得された検査ダイの画像1241について、検査ダイの画像1241と遅延メモリ2001に記録してある1つ前に検査して得たダイの画像とについて位置合わせ部2003で位置合わせを行い、その結果を一旦メモリ2005に記憶させてから減算部2007でそれぞれの画像の差画像を求める(減算する)。このとき、欠陥からの散乱光は、正常部からの散乱光と異なることから、欠陥からの散乱光が強調された画像が得られる。正常部は暗く、欠陥部は明るい画像が取得されるため、求めた差画像を比較部2011でしきい値記憶部2009に記憶しておいたしきい値画像と比較し、比較部2011で得られた結果から欠陥判定部2013にて欠陥の判定を行う。しきい値記憶部2008に記憶しておくしきい値画像は、たとえば、複数の正常部の統計的な明るさから決定する。
操作部210は、装置を操作する。
制御部220は、装置の各部位を制御する。例えば、後述の高さ検出器160からの検出結果を受信し、ステージ部170のxステージ170a、yステージ170b、zステージ170c、θステージ170dの位置を制御したり、空間フィルタ123に制御信号を送ったりする。
【0025】
偏光条件算出部240は、予め実測して検出した散乱光強度や偏光生成部130や偏光解析部140などの検査条件のデータに基づき、該半導体ウエハの表面の回路パターンに応じた最適な偏光特性を算出し、算出結果を偏光条件制御部241に送信する。
偏光条件制御部241は、偏光条件算出部240から受信した最適な偏光特性を偏光生成部130や偏光解析部140などに送り、偏光条件を制御する。
高さ検出部160は、検査中のステージ部170のステージ高さを検出し、検出結果を制御部220に送る。ステージ高さにずれが生じている場合は、この高さ検出部での検出結果に基づき制御部220からの制御信号を用いてステージの高さずれを補正する。
【0026】
詳細は後述するが、本発明では、照明光学系110の入射方位、仰角、検出光学系120の方位、仰角、対物レンズ121のNA(Numerical Aperture)に依存する半導体ウェハ上の繰り返しパターンからの散乱光の偏光特性を決定し、偏光生成部130と偏光解析部140にて繰り返しパターン部からの散乱光を最も抑制する条件を導出した上で検査を実施する。
【0027】
図2は、本発明に係る光学式検査方法の第1の実施例を示すフロー図である。
照明光学系110によりビームを所望の偏光状態とし、さらに線状に整形し(S100)、この線状に成形した照明光をxステージ170aによりx方向に連続的に移動している半導体ウェハ100に照射する(S101)。この線状に成形した照明光の照射により半導体ウェハ100から発生した反射、散乱、回折光(S102)を検出光学系120にて検出し(S103)、ラインセンサ150により光電変換された信号から画像を取得し(S104)、取得した画像に処理を施し欠陥判定、欠陥分類およびサイジングなどを行う(S105)。
【0028】
次に各ステップの詳細な動作内容を説明する。
(S100)
S100では、照明光学系110の光源111から出射されたレーザビームをビーム整形手段112にて整形し、偏光生成部130によって偏光条件制御部241からの制御信号に基づき決まる偏光特性となるように調整する。その後、線状ビーム生成部115にて偏光特性が調整された偏光生成部130からの光を線状ビームに生成する。
(S101)
S101では、S100で生成された線状ビームを半導体ウェハ100に照射する。
このとき、光学式の暗視野検査装置では、半導体ウェハ100を走査しながら(半導体ウェハ100と照明光学系110及び検出光学系120とを相対的に一方向に連続的に移動させながら)照明光を照射する。
【0029】
(S102)
S101において半導体ウェハ100に照射された線状ビームにより、半導体ウエハ100からは反射、散乱、回折光が発生する。
(S103)
S102において発生した反射、散乱、回折光を、検出光学系120の対物レンズ121により集光し、空間フィルタ123を用いて対物レンズ121にて集光された半導体ウエハ100の表面からの反射、散乱、回折光をの一部を遮光する。その後、結像レンズ122により透過された空間フィルタ123で遮光されなかった散乱光について偏光解析器140で偏光特性を調整する。
【0030】
(S104)
S103で偏光特性が調整された散乱光をラインセンサ124により検出し、半導体ウエハ100の表面に関する画像を取得する。
(S105)
S104で取得した画像に対して、信号処理・制御系250の画像処理部200で画像処理を行い、欠陥判定、欠陥分類およびサイジングを行う。
【0031】
ここで、繰り返しパターンの回折光について詳細に説明する。図1では、欠陥からの散乱光を検出する際に妨げとなる、正常な繰り返しパターン(欠陥を有さない繰り返しパターン)からの回折光を除去するため、照明光学系110を線状ビームの長手方向に対して方位45度の位置に設置している。
一般に、回折光はパターン構造に垂直に生じる。検査対象である半導体ウェハの構造は、図1の主軸x、y方向のライン状パターンが多い。回折光は、ライン状パターンに垂直に生じるため、y,x方向に多く回折光がある。照明の仰角と、検出の対物レンズ121のNAを適切に設定することで、上方の検出系に、ライン状パターンからの回折光がなるべく入らないよう装置を構成することができる。対物レンズ121内に入ってきた回折光に関しては、前述の空間フィルタ123にて除去する。なお、本発明で着目するサブ波長構造の繰り返しパターン部では、繰り返しパターンのピッチ(周期)と回折角(散乱角)とが反比例の関係にあることから、対物レンズ121のNAより外側に回折し、散乱光のみが検出されることになる。
【0032】
本実施例では、繰り返しパターン部からの信号を抑制するために、繰り返しパターン部の偏光特性を利用する。サブ波長構造の繰り返しパターンは、その強い偏光特性からワイヤーグリッド偏光子のように偏光素子として利用されている。本願の発明者は、このようなサブ波長構造の繰り返しパターン部からの散乱光は比較的広い散乱角において一様な偏光状態となることを見出した。この効果を利用すると、照明光学系110の偏光状態と撮像光学系120にて検出する偏光状態を適切に設定することで、対物レンズ121のNA内に入射する繰り返しパターン部からの散乱光を大きく抑制することができる。本実施例で示す図1の装置は、照明光学系110の照明偏光状態は偏光生成器130、検出光学系120の検出偏光状態は偏光解析器140にて任意に設定できるよう構成されている。
【0033】
本実施例では、偏光生成器130および偏光解析器140の両方を用いる欠陥検査装置を説明したが、両方を有することは必ずしも必要ではなく、いずれか一方のみを用いた場合であっても繰り返しパターン部からの散乱光を抑制し、ノイズを減らした散乱光の検出が可能となる。
また、偏光生成器130および偏光解析器140は必要に応じて用いなくてもよく、場合によって1/4波長板131、1/2波長板132や1/4波長板141、1/2波長板142、偏光板143を出し入れするような構造であっても良い。
【0034】
図6は、本発明に係る光学式検査方法の第1の実施例の検査条件を設定するフロー図である。ここでの検査条件とは、被検査対象物である半導体ウエハの繰り返しパターン形状に応じて、繰り返しパターンからの散乱光を最小とする偏光生成部130や偏光解析部140の偏光条件(偏光特性)を指す。繰り返しパターンからの散乱光を最小とする偏光生成部130や偏光解析部140の偏光条件は、半導体ウエハの繰り返しパターン形状に応じて異なるため、検査対象となる半導体ウエハごとに最適な偏光条件を決定することが必要である。
図6では、照明光学系110の方位、仰角、検出光学系120の方位、仰角、対物レンズ121のNAに依存する繰り返しパターンの偏光特性を決定し(S150)、繰り返しパターンからの散乱光が最小となるように入射と検出の偏光状態を決定し、これを検査条件とする(S151)。繰り返しパターン散乱光が最小となる検査条件に偏光発生器130と偏光解析器140を設定する。このとき、検査条件の設定値は図7に示すようにGUIに表示する(S152)。最後に、S152により決定した、繰り返しパターンからの散乱光が最小となる検査条件にて画像を取得、欠陥検出を行う(S153)。このとき、異物や欠陥の偏光特性は、繰り返しパターン部からの散乱光の偏光特性が異なるので、異物や欠陥を顕在化することができる。
【0035】
次に各ステップの詳細な動作内容を説明する。
(S150)
S150では、繰り返しパターン部の偏光特性を決定する。一般に物体の偏光特性はミューラー行列(4×4行列)Mの各要素16個のパラメータで表現することができる。繰り返しパターン部散乱光の強度Iは、偏光生成器130により生成された照明光の偏光状態を表すストークスベクトルS(4×1ベクトル)と、偏光解析器140にて検出する偏光状態を表すミューラー行列の1行目Ma(1×4ベクトル)を用いて、
I=Ma・M・S …(数1)
と表すことができる。
【0036】
ここで、Sは偏光生成器130を構成する1/4波長板131、1/2波長板132の方位に依存する。また、Maは偏光解析器140を構成する1/4波長板141、1/2波長板142、偏光板143の方位に依存する。したがって、偏光生成器130と偏光解析器140のそれぞれ4通りずつの異なる16通りの組み合わせによる繰り返しパターン部の散乱光強度から、繰り返しパターン部の偏光特性を導出することができる。
【0037】
(S151)
次に検査条件を決定するステップ(S151)を説明する。数1において、Mが既知であれば、SとMaの条件を与えることでIを計算することができる。ここで、繰り返しパターン部からの散乱光強度が最小となるSとMaの値を求める。Sを決定することは、偏光生成器130により生成する偏光状態を決めることであり、Maを決定することは、偏光解析器140にて検出する偏光状態を決めることを意味する。SとMaはそれぞれ4つの項からなるため、最小となるIを求めるのは困難である。そのため、複数パラメータの最適化手法であるベンバーグ・マーカート法や最急降下法などを用いることが考えられるが、これらには拘らない。
【0038】
具体的には、任意の値に偏光生成部130と偏光解析部140の偏光条件を設定し、照明光学系130を用いて半導体ウエハ100上に照明光を照射する。そして、半導体ウエハ100から散乱した反射・回折・散乱光を検出光学系120を用いて検出する。このとき、検出した散乱光の強度がIであり、偏光生成部130と偏光解析部140の偏光条件がSとMaに相当する。本実施例では、このIとSとMaとの組み合わせを16通り得ることが必要である。この値を用いてMを求めることでMが既知の値となり、当該半導体ウエハの検査に最適なSとMaとを得ることができる。
【0039】
(S152)
次に、偏光状態Sを実現する偏光生成器130の状態と、検出する偏光状態Maを実現する偏光解析器140の状態を決定するステップ(S152)を説明する。Sは偏光生成器130を構成する1/4波長板131、1/2波長板132の方位の関数であり、偏光生成器130への入射偏光状態と実現したい偏光状態Sが既知であれば、1/4波長板131、1/2波長板132の偏光特性を表すミューラー行列計算により、各素子の方位は容易に逆算可能である。同様に、Maは偏光解析器140を構成する1/4波長板141、1/2波長板142、偏光板143の方位の関数であり、各素子の方位は、ミューラー行列計算により、容易に逆算可能である。ここで求めた、各素子の方位を検査条件とする。
【0040】
(S153)
最後に、S152にて求めた検査条件にて、ウェハ検査を行う(S153)。正常な繰り返しパターン部からの散乱光を抑制することで、異物や欠陥からの散乱光を顕在化し、高感度な検出が可能となる。
【0041】
図7は、本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の表示部の概略図である。
例えば、検査条件を設定するフローにおいて、ユーザが偏光生成部130および偏光解析部140の偏光特性を設定することが可能である。また、欠陥検査フローにおいては、検査条件設定フローにより決定した最適な偏光生成部130および偏光解析部140の偏光特性に基づき検査を行うことができ、どのような偏光条件で検査を行っているかをユーザが知ることができる。
【0042】
検査時は、ウェハの全面を検査するため、ステージをx方向に走査し、照明光学系110と半導体ウェハの位置を相対的に変化させる。
図8は、試料上の回路パターン形状に対する検査条件の変化の様子を示す図である。図8のように、走査方向にy方向ライン&スペース部301と、x方向ライン&スペース部302の異なる繰り返しパターン部が並んでいる場合、それぞれの偏光特性をあらかじめ導出しておき、偏光生成器130と偏光解析器140の条件を条件Aから条件Bに高速で切り替えることにより、各繰り返しパターン部にて最適な検査を行うことができる。なお、本実施例では、偏光制御に波長板の回転を用いているが、電気光学変調器、磁気光学変調器を用いてもよい。
【実施例2】
【0043】
第2の実施例を図9A、9B、10を用いて説明する。
図9Aは、本発明に係る光学式検査装置の第2の実施例の偏光生成器の構成を示す図であり、図9Bは、本発明に係る光学式検査装置の第2の実施例の偏光解析器の構成を示す図であり、図10は、入射直線偏光と検出直線偏光の偏光軸と繰り返しパターン部からの散乱光強度の関係を示す図である。
【0044】
実施例1とは、照明光である偏光照明が直線偏光に限られる点が異なる。これにより、偏光生成器130と偏光解析器140の構成が実施例1とは異なる。ここでは、第1の実施例との違いである図6に示した検査条件設定フローの詳細のみを説明する。
【0045】
半導体ウエハの繰り返しパターンの形状によっては、直線偏光を入射した場合に、正反射光のみならず、散乱光においても比較的広範囲な散乱角において一様な直線偏光となる場合がある。このとき、偏光生成器130と偏光解析器140は直線偏光のみを扱うことのできる構成であればよく、検査対象である繰り返しパターン部からの散乱光を抑制できる。
【0046】
図9Aに偏光生成器130の構成を示す。光源111が直線偏光を発振するレーザの場合、偏光生成器130は1/2波長板132のみからなり、1/2波長板132の方位にてビームの直線偏光の偏光軸を制御する。
また、図9Bに偏光解析器140の構成を示す。直線偏光のみを抽出すればよいので、偏光解析器140は偏光板143のみを備えて構成されていれば良い。
【0047】
実施例1と同様に、図6のフローにて偏光生成器130と偏光解析器140の検査条件を決定するが、直線偏光に限定していることで、容易に条件を設定することができる。繰り返しパターン部の偏光特性の決定するステップ(S150)において、一般に物体の偏光特性はミューラー行列4×4行列Mの各要素16個のパラメータで表現することができるが、直線偏光のみの応答を考えると9個の要素のみを考慮すればよい。したがって、偏光生成装置130と偏光解析器140のそれぞれ3通りずつの異なる9通りの組み合わせによる繰り返しパターン部の散乱光強度から、繰り返しパターン部の偏光特性を導出することができる。
【0048】
検査条件を決定するステップ(S151)も直線偏光の場合には、数1の偏光状態を表すストークスベクトルS(4x1ベクトル)と、偏光解析器140にて検出する偏光状態を表すミューラー行列の1行目Ma(1x4ベクトル)は、それぞれ入射直線偏光の方位A、検出直線偏光の方位Bの関数となるため、検出強度Iは、A、Bの関数となる。繰り返しパターンからの散乱光がほぼ直線偏光の場合、A、Bの変化に伴い、強度は正弦的に変化し、あるA、Bの値で最小値をとり、それは0に近接する。この強度Iが最小値となる方位A、Bが検査条件となる入射と検出の偏光状態を表す。
【0049】
偏光状態Sを実現する偏光生成器130の状態と、検出する偏光状態Maを実現する偏光解析器140の状態を決定するステップ(S152)は、所望の入射、検出方位A、Bを実現するように、偏光生成器130は1/2波長板132の方位、偏光解析器140は偏光板143を制御する。最後に(S152)の条件にて検査を実施する(S153)。正常な繰り返しパターン部からの散乱光を抑制することで、異物や欠陥からの散乱光を顕在化し、高感度な検出が可能となる。
【0050】
なお、偏光生成器130については、照明光学系110中のレンズ等の光学素子による偏光変化を補正するために、実施例1と同様に図3の1/4波長板131と1/2波長板132の回転を共に制御する方式をとってもよい。
【実施例3】
【0051】
本発明の第3の実施例を説明する。本実施例では、図6の検出条件設定フローにおける繰り返しパターン部の偏光特性を決定するステップ(S150)にて、実際の計測結果ではなく、光学シミュレーションの結果を用いる。厳密結合波解析(Rigorous Coupled Wave Analysis、RCWA)やFDTD(Finite−difference time−domain)法などの光学シミュレーションにより、繰り返しパターン部からの散乱光の電場成分を計算し、偏光特性を求める。このとき、実施例1に示した計測条件と同様の条件にてシミュレーションを実施する。
【0052】
また、計測対象となる欠陥の形状が明らかな場合には、欠陥からの散乱光の偏光特性も光学シミュレーションを用いて計算することができる。繰り返しパターン部と欠陥の両方の偏光特性がわかれば、検出される繰り返しパターン部からの散乱光強度Iと欠陥からの散乱光強度Sの比(S/I)を計測し、S/Iが最大となる入射、検出偏光状態の条件にて検査を行うことで、感度を最大化できる。
光学シミュレーション結果を用いて最適な偏光特性を求める場合は、予め複数の実験条件で散乱光を実測することが不要なため、最適な検査条件の算出にかかる時間が短くて済む。
【0053】
また、欠陥の位置および大きさが既知の基準ウエハなどを用いて散乱光を実測し、実施例1のような行列計算によってS/Iが最大となる入射、検出偏光状態の条件を求めることもできる。
【実施例4】
【0054】
本発明の第4の実施例を図11、12を用いて説明する。
図11は、本発明に係る光学式検査装置の第4の実施例の光学系の概略の構成を示す図、図12は、本発明に係る光学式検査装置の第4の実施例における画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
【0055】
本実施例の構成は、実施例1の構成である図1に斜方検出系120Sを加えたことにある。上方検出系120と同様に、斜方検出系120Sは、照明光学系110により照明された半導体ウェハ100からの反射、回折、散乱光を結像する対物レンズ121Sと結像レンズ122S、半導体パターンのうちの繰り返しパターン部分により生じる回折光パターンを除去する空間フィルタ123S、偏光板や波長板からなる偏光解析部140S、対物レンズ121Sと結像レンズ122Sにて結像されるウェハからの散乱光を検出するラインセンサ124を備えている。
【0056】
本実施例では、照明光学系110に対して、検出光学系120、120Sの2つがある。したがって、検査条件の最適化において、照明光学系110の状態を固定し、検出光学系120、120Sのそれぞれにて繰り返しパターン部からの散乱光が最小となるような偏光条件を決定する。
【0057】
図12の画像処理部200の詳細を説明する。光学式の暗視野検査装置では、半導体ウェハを走査しながら(半導体ウェハ100と照明光学系110及び検出光学系120とを相対的に一方向に連続的に移動させながら)多数の画像を取得する。図11に示すように、ラインセンサ124、124Sで取得された検査ダイの画像1241、1242それぞれについて、検査ダイと遅延メモリ2001,2002に記録してある1つ前に検査して得たダイの画像と位置合わせ部2003、2004で位置合わせを行い、その結果を一旦メモリ2005,2006に記憶させてから減算部2007,2008でそれぞれの画像の差画像を求める(減算する)。このとき、欠陥からの散乱光は、正常部からの散乱光と異なることから、欠陥からの散乱光が強調された画像が得られる。正常部は暗く、欠陥部は明るい画像が取得されるため、求めた差画像を比較部2011,2012でしきい値記憶部2009,2010に記憶しておいたしきい値画像と比較し、比較部2011,2012で得られたそれぞれの結果を欠陥判定部2013で統合して欠陥の判定を行う。しきい値記憶部2009,2010に記憶しておくしきい値画像は、例えば、正常部の統計的な明るさから決定する。
【実施例5】
【0058】
本発明の第5の実施例を図13を用いて説明する。
図13は、本発明に係る光学式検査装置の第5の実施例の光学系の概略の構成を示すである。
第1の実施例との違いは、照明光学系110がウェハに対し落射照明とし、撮像光学系120をウェハより斜め方向の斜方撮像系にしたことである。検査を行うときのフロー、画像処理のフローは実施例1と同様である。
【0059】
本実施例では、照明光学系110を落射照明としたことで、繰り返しパターン部の立体構造の下部まで照明光が到達するため、繰り返しパターン部の下部にある異物や欠陥からの散乱光をより強く検出でき、より高感度な異物や欠陥の検査が可能となる。つまり、ラインセンサ124にて取得する撮像画像において、欠陥からより強い信号を検出し、繰り返しパターンからの信号を抑制することで、欠陥の検出感度を向上させることを目的とする。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
100…ウェハ
101…線状ビーム
110…照明光学系
111…レーザ光源
112…NDフィルタ
113…ビームエキスパンダ
115…線状ビーム生成部
115a、115b…シリンドリカルレンズ
120…撮像光学系
121…結像レンズ
122…対物レンズ
123…空間フィルタ
124…TDIセンサ
1241…撮像画像
130…偏光発生器
131…1/4波長板
132…1/2波長板
140…偏光解析器
141…1/4波長板
142…1/2波長板
143…偏光板
160…高さ検出部
170…ステージ部
170a…xステージ
170b…yステージ
170c…zステージ
170d…θステージ
200…画像処理部
210…操作部
220…制御部
230…表示部
250…信号処理・制御系
301…x方向ライン&スペース部
302…y方向ライン&スペース部
400…モニタ
401…入射偏光
402…検出偏光
2001,2002…遅延メモリ
2003,2004…位置合わせ部
2005,2006…メモリ
2007,2008…減算部
2009,2010…しきい値記憶部
2011,2012…比較部
2013…欠陥判定部
2014…分類・サイジング部
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検査装置および欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIや液晶基板を製造する際に、被加工対象物(例えば半導体ウェハ)上に繰り返しパターンが形成される場合がある。このようなLSIや液晶基板の製造において、被加工対象物の表面に異物が付着したり、欠陥が発生したりすると、例えば、配線の絶縁不良や短絡などの不良原因となる。近年の回路パターンの微細化に伴い、被加工対象物上に形成されるパターン(非欠陥部)と微細な異物や欠陥とを弁別することが困難になってきている。
ここで欠陥とは、被検査対象物である試料上に付着するパーティクルや結晶欠陥COP(Crystal Originated Particle)、研磨により生じるスクラッチなどである。
【0003】
半導体デバイスの微細化に伴い、検査対象である微細パターンの欠陥や異物などのサイズは数十ナノメートル又はそれ以下となっている。検出対象である欠陥や異物のサイズが小さくなってきているため、これらからの反射、回折、散乱光は非常に弱く、光学式手法による検出が困難となっている。そのため、欠陥や異物からの反射、回折、散乱光を強くする照明光の条件、および検出の条件が模索されている。特に、半導体の構造が波長の1/10程度のサブ波長構造においては、半導体は構造複屈折を有するため、それからの反射、回折、散乱光の偏光状態は半導体の構造に強く依存する。ワイヤーグリッド偏光子などは、このサブ波長構造の偏光特性を利用した偏光素子である。このサブ波長構造の偏光特性に着目し、入射および検出の偏光状態を制御することによって、半導体パターンからの信号を低下させ、欠陥の検出感度を向上させる方法が提案されている。
【0004】
特許文献1(特表2006−512588号公報)には、「パターン化及び非パターン化物体を光学的に検査するためのシステム及び方法であって、上記パターンにより導入される偏光シフト、及び上記パターンにより偏光シフトされる入射光ビームの偏光を決定するステップと、上記決定に応答して、光ビームの偏光状態を確立して、上記パターン化された物体に当たる入射光ビームを与えるステップと、上記決定に応答して、偏光により反射ビームをフィルタするステップと、上記フィルタされた反射光ビームの検出に応答して検出信号を発生するステップと、を備えた方法」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−512588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、被検査対象物の表面に照明光を照射し、該被検査対象物の表面から反射する正反射光を検出する明視野検査装置が開示されているが、被検査対象物の表面から散乱する散乱光を検出して該被検査対象物の表面に存在する欠陥を検査する暗視野検査装置については、数十ナノメートル又はそれ以下の欠陥や異物を高検出感度で検出する技術については開示されていない。
【0007】
本願では、検査対象を高速で検査するのに適した暗視野検査装置において、繰り返しパターン部からの散乱光を抑制することで、より微細な欠陥からの散乱光を検出する欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば次のとおりである。
(1)照明光を出射する光源と、前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整する偏光生成部と、を備える照射光学系と、前記照射光学系により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整する偏光解析部と、前記偏光解析部により調整された散乱光を検出する検出部とを備える検出光学系と、前記検出光学系により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理系と、を備え、前記偏光生成部は、予め定めた照明条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整し、前記偏光解析部は、予め定めた検出条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査装置。出射された照明光の偏光特性を調整して検査対象物である試料に照射する照射工程と、前記照射工程により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整して検出する検出工程と、前記検出工程により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理工程と、を備え、前記照射工程では、予め定めた照明条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整し、前記検出工程では、予め定めた検出条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査装置である。
(2)出射された照明光の偏光特性を調整して検査対象物である試料に照射する照射工程と、前記照射工程により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整して検出する検出工程と、前記検出工程により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理工程と、を備え、前記照射工程では、予め定めた照明条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整し、前記検出工程では、予め定めた検出条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査方法である。
【発明の効果】
【0009】
微細な欠陥の検出感度を向上させた欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例を示す図である。
【図2】本発明に係る光学式検査方法の第1の実施例を示すフロー図である。
【図3】本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の偏光生成器の構成を示す図である。
【図4】本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の偏光解析器の構成を示す図である。
【図5】本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例における画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る光学式検査方法の第1の実施例の検査条件を設定するフロー図である。
【図7】本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の表示部の概略図である。
【図8】試料上の回路パターン形状に対する検査条件の変化の様子を示す図である。
【図9(a)】本発明に係る光学式検査装置の第2の実施例の偏光生成器の構成を示す図である。
【図9(b)】本発明に係る光学式検査装置の第2の実施例の偏光解析器の構成を示す図である。
【図10】入射直線偏光と検出直線偏光の偏光軸と繰り返しパターン部からの散乱光強度の関係を示す図である。
【図11】本発明に係る光学式検査装置の第4の実施例の光学系の概略の構成を示す図である。
【図12】本発明に係る光学式検査装置の第4の実施例における画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る光学式検査装置の第5の実施例の光学系の概略の構成を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例を、以下に説明する。
欠陥とは被検査対象物である試料上に付着するパーティクルや結晶欠陥COP(Crystal Originated Particle)、研磨により生じるスクラッチなどである。
【実施例1】
【0012】
本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例を、図1乃至図8を用いて説明する。
【0013】
本発明は、半導体ウェハに形成されたサブ波長構造の繰り返しパターン上の異物や欠陥を対象とする。典型的な繰り返しパターンは、細長く互いに平行な導体や絶縁体を含み、一般にライン&スペースパターンと呼ばれる。以下、このサブ波長構造の繰り返しパターンの構造複屈折を利用した高感度欠陥検査方法について記述する。
【0014】
以下では、半導体ウェハの暗視野検査装置による検査を例にとって説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例を示す図である。
実施例1に係る光学式検査装置は、照明光学系110、ステージ部170、撮像光学系(検出光学系)120及び信号処理・制御系250とを備えて構成されている。照明光学系110は、被検査対象物である試料(半導体ウエハ)100に照明光を照射し、照射された半導体ウェハ100から散乱する散乱光を検出光学系120により検出する。その際、ステージ部170により半導体ウェハ100を走査する。信号処理・制御系250は、検出光学系120により検出された半導体ウエハ100からの散乱光を処理して半導体ウエハに存在する欠陥を検出する。
【0016】
(照明光学系110)
照明光学系110は、レーザ光源111、ビーム整形手段112、ビームエキスパンダ113、偏光板や波長板を備えてなる偏光生成部130、検査対象(半導体ウェハ)100に線状のビームを照射するための線状ビーム生成部115を備えて構成される。
レーザ光源111は、レーザビームを出射する。このとき、光源111には、気体レーザ、半導体レーザ、固体レーザや、面発光レーザなどが利用可能である。波長は赤外、可視域、紫外を用いることができるが、波長が短くなるほど光学的な分解能が向上するため、微細欠陥を見る際にはUV(Ultra Violet:紫外線)、DUV(Deep Ultra Violet:深紫外線)、VUV(Vacuum Ultra Violet:真空紫外線)、EUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外線)などの紫外域の光を用いるとよい。
ビーム整形手段112は、レーザ光源111から出射されたレーザビームを整形する。ビーム整形手段112としては、例えば光源111より発振された光が直線偏光の場合、ND(Neutral Density)フィルタ112により強度を調整すればよい。
ビームエキスパンダ113は、ビーム整形手段112により整形された光のビーム径を拡大する。
偏光生成部130は、偏光板や波長板を備えて構成され、ビームエキスパンダ113でビーム径を拡大された光の偏光特性を調整する。調整すべき偏光特性は、後述の信号処理・制御部における偏光条件制御部241からの制御信号に基づき決まる。偏光生成部130は、例えば1/4波長板や1/2波長板を備えて構成され、偏光条件制御部241からの制御信号に基づき決まる偏光特性に応じて1/4波長板や1/2波長板の回転角を調整する。
図3は、本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の偏光生成器130の構成を示す図である。1/4波長板131、1/2波長板132を備えて構成されている。このとき、1/4波長板131と1/2波長板132の順番は逆であっても良い。図1に示した偏光条件制御部241からの制御信号に基づき、1/4波長板131、1/2波長板132との回転角が設定(回転制御)される。
【0017】
線状ビーム生成部115は、偏光特性が調整された偏光生成部130からの光を線状ビームに生成する。例えば、例えばシリンドリカルレンズ115a、115bを備えるレンズ群により構成される。このとき、生成される線状ビーム101はステージy方向が線状ビーム101の長手方向となるように形成される。
このとき、偏光生成部130は線状ビーム生成部115の後におかれていても良い。この場合は偏光生成部130で偏光調整されたビームにずれが生じることなく半導体ウエハ100に照射することが可能となる。
このようにして形成された線状ビーム101は、ステージy方向が線状ビーム101の長手方向となるように半導体ウエハ100の表面に照射される。
【0018】
(検出光学系120)
検出光学系120は、対物レンズ121、空間フィルタ123、結像レンズ122、偏光解析器140、ラインセンサ124とを備えて構成される。
対物レンズ121は、半導体ウエハ100の表面から散乱した反射、散乱、回折光を集光する。
空間フィルタ123は、対物レンズ121にて集光された半導体ウエハ100の表面からの反射、散乱、回折光の一部を遮光する。ここで、空間フィルタ123は、対物レンズ121の出射側の瞳位置又は瞳位置と等価な位置に配置され、ウェハ100上に形成された波長と同等かそれ以上の繰り返しパターンによる回折光を遮光する。
結像レンズ122は、空間フィルタ123で遮光されなかった散乱光を透過させる。
【0019】
偏光解析器140は、偏光板や波長板を備えて構成され、結像レンズ122で透過された散乱光の偏光特性を調整する。調整すべき偏光特性は、偏光生成部130と同様に、後述の信号処理・制御部における偏光条件制御部241からの制御信号に基づき決まる。偏光生成部140は、例えば1/4波長板や1/2波長板、偏光板を備えて構成され、これらはそれぞれが個別に回転制御し、偏光条件制御部241からの制御信号に基づき決まる偏光特性に応じて1/4波長板や1/2波長板、偏光板の回転角を調整する。これにより、入射される光の偏光状態によらず、偏光解析器140では任意の入射偏光を生成することが可能となる。
図4は、本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の偏光解析器140の構成を示す図である。1/4波長板141、1/2波長板142、偏光板143を備えて構成されている。このとき、1/4波長板141と1/2波長板142との順番は逆であっても良い。図1に示した偏光条件制御部241からの制御信号に基づき、1/4波長板141、1/2波長板142、偏光板143の回転角が設定(回転制御)される。
【0020】
ラインセンサ124は、偏光解析器140において偏光特性が調整された散乱光をラインセンサ124の検出面上に結像させて、検出する。例えば、TDI(Time Delay Integration)イメージセンサ:時間遅延積分型イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いればよい。
このとき、偏光解析部140と結像レンズ122との位置は逆であっても良い。
このようにして検出された散乱光に基づく信号は、信号処理・制御部250に送られる。
【0021】
(ステージ部170)
ステージ部170は、xステージ170a、yステージ170b、zステージ170c、θステージ170dを備えて構成される。
xステージ170aは、検査対象試料である表面に微細なパターンが形成された半導体ウェハ100を載置してx方向に移動可能なステージである。
yステージ170b、zステージ170c、θステージ170dもそれぞれ同様に、検査対象試料である表面に微細なパターンが形成された半導体ウェハ100を載置してy方向、z方向、θ方向に移動可能なステージである。
【0022】
(信号処理・制御部250)
信号処理・制御部250は、画像処理部200、操作部210、制御部220、偏光条件算出部240、偏光条件制御部241、高さ検出部160とを備えて構成される。
【0023】
画像処理部200は、ラインセンサ124で検出した半導体ウェハ100からの散乱光に基づき信号処理して画像を処理する。
具体的には、検出光学系120において取得した散乱光に基づく2枚の画像(半導体ウエハ100上の所定の領域における散乱光に基づく検査画像と、本来この検査画像と同一の画像であることが期待される該所定の領域に隣接する領域からの散乱光に基づく画像(隣接パターン又は隣接ダイを撮像して得た画像、(参照画像)))が、画像処理部200に送られる。そして、2枚の画像を比較処理して欠陥候補を抽出し、この抽出した欠陥候補の散乱光分布や強度などの特徴から、欠陥判定、分類・サイジングが行われる。
【0024】
図5は、本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例における画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
ラインセンサ124で取得された検査ダイの画像1241について、検査ダイの画像1241と遅延メモリ2001に記録してある1つ前に検査して得たダイの画像とについて位置合わせ部2003で位置合わせを行い、その結果を一旦メモリ2005に記憶させてから減算部2007でそれぞれの画像の差画像を求める(減算する)。このとき、欠陥からの散乱光は、正常部からの散乱光と異なることから、欠陥からの散乱光が強調された画像が得られる。正常部は暗く、欠陥部は明るい画像が取得されるため、求めた差画像を比較部2011でしきい値記憶部2009に記憶しておいたしきい値画像と比較し、比較部2011で得られた結果から欠陥判定部2013にて欠陥の判定を行う。しきい値記憶部2008に記憶しておくしきい値画像は、たとえば、複数の正常部の統計的な明るさから決定する。
操作部210は、装置を操作する。
制御部220は、装置の各部位を制御する。例えば、後述の高さ検出器160からの検出結果を受信し、ステージ部170のxステージ170a、yステージ170b、zステージ170c、θステージ170dの位置を制御したり、空間フィルタ123に制御信号を送ったりする。
【0025】
偏光条件算出部240は、予め実測して検出した散乱光強度や偏光生成部130や偏光解析部140などの検査条件のデータに基づき、該半導体ウエハの表面の回路パターンに応じた最適な偏光特性を算出し、算出結果を偏光条件制御部241に送信する。
偏光条件制御部241は、偏光条件算出部240から受信した最適な偏光特性を偏光生成部130や偏光解析部140などに送り、偏光条件を制御する。
高さ検出部160は、検査中のステージ部170のステージ高さを検出し、検出結果を制御部220に送る。ステージ高さにずれが生じている場合は、この高さ検出部での検出結果に基づき制御部220からの制御信号を用いてステージの高さずれを補正する。
【0026】
詳細は後述するが、本発明では、照明光学系110の入射方位、仰角、検出光学系120の方位、仰角、対物レンズ121のNA(Numerical Aperture)に依存する半導体ウェハ上の繰り返しパターンからの散乱光の偏光特性を決定し、偏光生成部130と偏光解析部140にて繰り返しパターン部からの散乱光を最も抑制する条件を導出した上で検査を実施する。
【0027】
図2は、本発明に係る光学式検査方法の第1の実施例を示すフロー図である。
照明光学系110によりビームを所望の偏光状態とし、さらに線状に整形し(S100)、この線状に成形した照明光をxステージ170aによりx方向に連続的に移動している半導体ウェハ100に照射する(S101)。この線状に成形した照明光の照射により半導体ウェハ100から発生した反射、散乱、回折光(S102)を検出光学系120にて検出し(S103)、ラインセンサ150により光電変換された信号から画像を取得し(S104)、取得した画像に処理を施し欠陥判定、欠陥分類およびサイジングなどを行う(S105)。
【0028】
次に各ステップの詳細な動作内容を説明する。
(S100)
S100では、照明光学系110の光源111から出射されたレーザビームをビーム整形手段112にて整形し、偏光生成部130によって偏光条件制御部241からの制御信号に基づき決まる偏光特性となるように調整する。その後、線状ビーム生成部115にて偏光特性が調整された偏光生成部130からの光を線状ビームに生成する。
(S101)
S101では、S100で生成された線状ビームを半導体ウェハ100に照射する。
このとき、光学式の暗視野検査装置では、半導体ウェハ100を走査しながら(半導体ウェハ100と照明光学系110及び検出光学系120とを相対的に一方向に連続的に移動させながら)照明光を照射する。
【0029】
(S102)
S101において半導体ウェハ100に照射された線状ビームにより、半導体ウエハ100からは反射、散乱、回折光が発生する。
(S103)
S102において発生した反射、散乱、回折光を、検出光学系120の対物レンズ121により集光し、空間フィルタ123を用いて対物レンズ121にて集光された半導体ウエハ100の表面からの反射、散乱、回折光をの一部を遮光する。その後、結像レンズ122により透過された空間フィルタ123で遮光されなかった散乱光について偏光解析器140で偏光特性を調整する。
【0030】
(S104)
S103で偏光特性が調整された散乱光をラインセンサ124により検出し、半導体ウエハ100の表面に関する画像を取得する。
(S105)
S104で取得した画像に対して、信号処理・制御系250の画像処理部200で画像処理を行い、欠陥判定、欠陥分類およびサイジングを行う。
【0031】
ここで、繰り返しパターンの回折光について詳細に説明する。図1では、欠陥からの散乱光を検出する際に妨げとなる、正常な繰り返しパターン(欠陥を有さない繰り返しパターン)からの回折光を除去するため、照明光学系110を線状ビームの長手方向に対して方位45度の位置に設置している。
一般に、回折光はパターン構造に垂直に生じる。検査対象である半導体ウェハの構造は、図1の主軸x、y方向のライン状パターンが多い。回折光は、ライン状パターンに垂直に生じるため、y,x方向に多く回折光がある。照明の仰角と、検出の対物レンズ121のNAを適切に設定することで、上方の検出系に、ライン状パターンからの回折光がなるべく入らないよう装置を構成することができる。対物レンズ121内に入ってきた回折光に関しては、前述の空間フィルタ123にて除去する。なお、本発明で着目するサブ波長構造の繰り返しパターン部では、繰り返しパターンのピッチ(周期)と回折角(散乱角)とが反比例の関係にあることから、対物レンズ121のNAより外側に回折し、散乱光のみが検出されることになる。
【0032】
本実施例では、繰り返しパターン部からの信号を抑制するために、繰り返しパターン部の偏光特性を利用する。サブ波長構造の繰り返しパターンは、その強い偏光特性からワイヤーグリッド偏光子のように偏光素子として利用されている。本願の発明者は、このようなサブ波長構造の繰り返しパターン部からの散乱光は比較的広い散乱角において一様な偏光状態となることを見出した。この効果を利用すると、照明光学系110の偏光状態と撮像光学系120にて検出する偏光状態を適切に設定することで、対物レンズ121のNA内に入射する繰り返しパターン部からの散乱光を大きく抑制することができる。本実施例で示す図1の装置は、照明光学系110の照明偏光状態は偏光生成器130、検出光学系120の検出偏光状態は偏光解析器140にて任意に設定できるよう構成されている。
【0033】
本実施例では、偏光生成器130および偏光解析器140の両方を用いる欠陥検査装置を説明したが、両方を有することは必ずしも必要ではなく、いずれか一方のみを用いた場合であっても繰り返しパターン部からの散乱光を抑制し、ノイズを減らした散乱光の検出が可能となる。
また、偏光生成器130および偏光解析器140は必要に応じて用いなくてもよく、場合によって1/4波長板131、1/2波長板132や1/4波長板141、1/2波長板142、偏光板143を出し入れするような構造であっても良い。
【0034】
図6は、本発明に係る光学式検査方法の第1の実施例の検査条件を設定するフロー図である。ここでの検査条件とは、被検査対象物である半導体ウエハの繰り返しパターン形状に応じて、繰り返しパターンからの散乱光を最小とする偏光生成部130や偏光解析部140の偏光条件(偏光特性)を指す。繰り返しパターンからの散乱光を最小とする偏光生成部130や偏光解析部140の偏光条件は、半導体ウエハの繰り返しパターン形状に応じて異なるため、検査対象となる半導体ウエハごとに最適な偏光条件を決定することが必要である。
図6では、照明光学系110の方位、仰角、検出光学系120の方位、仰角、対物レンズ121のNAに依存する繰り返しパターンの偏光特性を決定し(S150)、繰り返しパターンからの散乱光が最小となるように入射と検出の偏光状態を決定し、これを検査条件とする(S151)。繰り返しパターン散乱光が最小となる検査条件に偏光発生器130と偏光解析器140を設定する。このとき、検査条件の設定値は図7に示すようにGUIに表示する(S152)。最後に、S152により決定した、繰り返しパターンからの散乱光が最小となる検査条件にて画像を取得、欠陥検出を行う(S153)。このとき、異物や欠陥の偏光特性は、繰り返しパターン部からの散乱光の偏光特性が異なるので、異物や欠陥を顕在化することができる。
【0035】
次に各ステップの詳細な動作内容を説明する。
(S150)
S150では、繰り返しパターン部の偏光特性を決定する。一般に物体の偏光特性はミューラー行列(4×4行列)Mの各要素16個のパラメータで表現することができる。繰り返しパターン部散乱光の強度Iは、偏光生成器130により生成された照明光の偏光状態を表すストークスベクトルS(4×1ベクトル)と、偏光解析器140にて検出する偏光状態を表すミューラー行列の1行目Ma(1×4ベクトル)を用いて、
I=Ma・M・S …(数1)
と表すことができる。
【0036】
ここで、Sは偏光生成器130を構成する1/4波長板131、1/2波長板132の方位に依存する。また、Maは偏光解析器140を構成する1/4波長板141、1/2波長板142、偏光板143の方位に依存する。したがって、偏光生成器130と偏光解析器140のそれぞれ4通りずつの異なる16通りの組み合わせによる繰り返しパターン部の散乱光強度から、繰り返しパターン部の偏光特性を導出することができる。
【0037】
(S151)
次に検査条件を決定するステップ(S151)を説明する。数1において、Mが既知であれば、SとMaの条件を与えることでIを計算することができる。ここで、繰り返しパターン部からの散乱光強度が最小となるSとMaの値を求める。Sを決定することは、偏光生成器130により生成する偏光状態を決めることであり、Maを決定することは、偏光解析器140にて検出する偏光状態を決めることを意味する。SとMaはそれぞれ4つの項からなるため、最小となるIを求めるのは困難である。そのため、複数パラメータの最適化手法であるベンバーグ・マーカート法や最急降下法などを用いることが考えられるが、これらには拘らない。
【0038】
具体的には、任意の値に偏光生成部130と偏光解析部140の偏光条件を設定し、照明光学系130を用いて半導体ウエハ100上に照明光を照射する。そして、半導体ウエハ100から散乱した反射・回折・散乱光を検出光学系120を用いて検出する。このとき、検出した散乱光の強度がIであり、偏光生成部130と偏光解析部140の偏光条件がSとMaに相当する。本実施例では、このIとSとMaとの組み合わせを16通り得ることが必要である。この値を用いてMを求めることでMが既知の値となり、当該半導体ウエハの検査に最適なSとMaとを得ることができる。
【0039】
(S152)
次に、偏光状態Sを実現する偏光生成器130の状態と、検出する偏光状態Maを実現する偏光解析器140の状態を決定するステップ(S152)を説明する。Sは偏光生成器130を構成する1/4波長板131、1/2波長板132の方位の関数であり、偏光生成器130への入射偏光状態と実現したい偏光状態Sが既知であれば、1/4波長板131、1/2波長板132の偏光特性を表すミューラー行列計算により、各素子の方位は容易に逆算可能である。同様に、Maは偏光解析器140を構成する1/4波長板141、1/2波長板142、偏光板143の方位の関数であり、各素子の方位は、ミューラー行列計算により、容易に逆算可能である。ここで求めた、各素子の方位を検査条件とする。
【0040】
(S153)
最後に、S152にて求めた検査条件にて、ウェハ検査を行う(S153)。正常な繰り返しパターン部からの散乱光を抑制することで、異物や欠陥からの散乱光を顕在化し、高感度な検出が可能となる。
【0041】
図7は、本発明に係る光学式検査装置の第1の実施例の表示部の概略図である。
例えば、検査条件を設定するフローにおいて、ユーザが偏光生成部130および偏光解析部140の偏光特性を設定することが可能である。また、欠陥検査フローにおいては、検査条件設定フローにより決定した最適な偏光生成部130および偏光解析部140の偏光特性に基づき検査を行うことができ、どのような偏光条件で検査を行っているかをユーザが知ることができる。
【0042】
検査時は、ウェハの全面を検査するため、ステージをx方向に走査し、照明光学系110と半導体ウェハの位置を相対的に変化させる。
図8は、試料上の回路パターン形状に対する検査条件の変化の様子を示す図である。図8のように、走査方向にy方向ライン&スペース部301と、x方向ライン&スペース部302の異なる繰り返しパターン部が並んでいる場合、それぞれの偏光特性をあらかじめ導出しておき、偏光生成器130と偏光解析器140の条件を条件Aから条件Bに高速で切り替えることにより、各繰り返しパターン部にて最適な検査を行うことができる。なお、本実施例では、偏光制御に波長板の回転を用いているが、電気光学変調器、磁気光学変調器を用いてもよい。
【実施例2】
【0043】
第2の実施例を図9A、9B、10を用いて説明する。
図9Aは、本発明に係る光学式検査装置の第2の実施例の偏光生成器の構成を示す図であり、図9Bは、本発明に係る光学式検査装置の第2の実施例の偏光解析器の構成を示す図であり、図10は、入射直線偏光と検出直線偏光の偏光軸と繰り返しパターン部からの散乱光強度の関係を示す図である。
【0044】
実施例1とは、照明光である偏光照明が直線偏光に限られる点が異なる。これにより、偏光生成器130と偏光解析器140の構成が実施例1とは異なる。ここでは、第1の実施例との違いである図6に示した検査条件設定フローの詳細のみを説明する。
【0045】
半導体ウエハの繰り返しパターンの形状によっては、直線偏光を入射した場合に、正反射光のみならず、散乱光においても比較的広範囲な散乱角において一様な直線偏光となる場合がある。このとき、偏光生成器130と偏光解析器140は直線偏光のみを扱うことのできる構成であればよく、検査対象である繰り返しパターン部からの散乱光を抑制できる。
【0046】
図9Aに偏光生成器130の構成を示す。光源111が直線偏光を発振するレーザの場合、偏光生成器130は1/2波長板132のみからなり、1/2波長板132の方位にてビームの直線偏光の偏光軸を制御する。
また、図9Bに偏光解析器140の構成を示す。直線偏光のみを抽出すればよいので、偏光解析器140は偏光板143のみを備えて構成されていれば良い。
【0047】
実施例1と同様に、図6のフローにて偏光生成器130と偏光解析器140の検査条件を決定するが、直線偏光に限定していることで、容易に条件を設定することができる。繰り返しパターン部の偏光特性の決定するステップ(S150)において、一般に物体の偏光特性はミューラー行列4×4行列Mの各要素16個のパラメータで表現することができるが、直線偏光のみの応答を考えると9個の要素のみを考慮すればよい。したがって、偏光生成装置130と偏光解析器140のそれぞれ3通りずつの異なる9通りの組み合わせによる繰り返しパターン部の散乱光強度から、繰り返しパターン部の偏光特性を導出することができる。
【0048】
検査条件を決定するステップ(S151)も直線偏光の場合には、数1の偏光状態を表すストークスベクトルS(4x1ベクトル)と、偏光解析器140にて検出する偏光状態を表すミューラー行列の1行目Ma(1x4ベクトル)は、それぞれ入射直線偏光の方位A、検出直線偏光の方位Bの関数となるため、検出強度Iは、A、Bの関数となる。繰り返しパターンからの散乱光がほぼ直線偏光の場合、A、Bの変化に伴い、強度は正弦的に変化し、あるA、Bの値で最小値をとり、それは0に近接する。この強度Iが最小値となる方位A、Bが検査条件となる入射と検出の偏光状態を表す。
【0049】
偏光状態Sを実現する偏光生成器130の状態と、検出する偏光状態Maを実現する偏光解析器140の状態を決定するステップ(S152)は、所望の入射、検出方位A、Bを実現するように、偏光生成器130は1/2波長板132の方位、偏光解析器140は偏光板143を制御する。最後に(S152)の条件にて検査を実施する(S153)。正常な繰り返しパターン部からの散乱光を抑制することで、異物や欠陥からの散乱光を顕在化し、高感度な検出が可能となる。
【0050】
なお、偏光生成器130については、照明光学系110中のレンズ等の光学素子による偏光変化を補正するために、実施例1と同様に図3の1/4波長板131と1/2波長板132の回転を共に制御する方式をとってもよい。
【実施例3】
【0051】
本発明の第3の実施例を説明する。本実施例では、図6の検出条件設定フローにおける繰り返しパターン部の偏光特性を決定するステップ(S150)にて、実際の計測結果ではなく、光学シミュレーションの結果を用いる。厳密結合波解析(Rigorous Coupled Wave Analysis、RCWA)やFDTD(Finite−difference time−domain)法などの光学シミュレーションにより、繰り返しパターン部からの散乱光の電場成分を計算し、偏光特性を求める。このとき、実施例1に示した計測条件と同様の条件にてシミュレーションを実施する。
【0052】
また、計測対象となる欠陥の形状が明らかな場合には、欠陥からの散乱光の偏光特性も光学シミュレーションを用いて計算することができる。繰り返しパターン部と欠陥の両方の偏光特性がわかれば、検出される繰り返しパターン部からの散乱光強度Iと欠陥からの散乱光強度Sの比(S/I)を計測し、S/Iが最大となる入射、検出偏光状態の条件にて検査を行うことで、感度を最大化できる。
光学シミュレーション結果を用いて最適な偏光特性を求める場合は、予め複数の実験条件で散乱光を実測することが不要なため、最適な検査条件の算出にかかる時間が短くて済む。
【0053】
また、欠陥の位置および大きさが既知の基準ウエハなどを用いて散乱光を実測し、実施例1のような行列計算によってS/Iが最大となる入射、検出偏光状態の条件を求めることもできる。
【実施例4】
【0054】
本発明の第4の実施例を図11、12を用いて説明する。
図11は、本発明に係る光学式検査装置の第4の実施例の光学系の概略の構成を示す図、図12は、本発明に係る光学式検査装置の第4の実施例における画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
【0055】
本実施例の構成は、実施例1の構成である図1に斜方検出系120Sを加えたことにある。上方検出系120と同様に、斜方検出系120Sは、照明光学系110により照明された半導体ウェハ100からの反射、回折、散乱光を結像する対物レンズ121Sと結像レンズ122S、半導体パターンのうちの繰り返しパターン部分により生じる回折光パターンを除去する空間フィルタ123S、偏光板や波長板からなる偏光解析部140S、対物レンズ121Sと結像レンズ122Sにて結像されるウェハからの散乱光を検出するラインセンサ124を備えている。
【0056】
本実施例では、照明光学系110に対して、検出光学系120、120Sの2つがある。したがって、検査条件の最適化において、照明光学系110の状態を固定し、検出光学系120、120Sのそれぞれにて繰り返しパターン部からの散乱光が最小となるような偏光条件を決定する。
【0057】
図12の画像処理部200の詳細を説明する。光学式の暗視野検査装置では、半導体ウェハを走査しながら(半導体ウェハ100と照明光学系110及び検出光学系120とを相対的に一方向に連続的に移動させながら)多数の画像を取得する。図11に示すように、ラインセンサ124、124Sで取得された検査ダイの画像1241、1242それぞれについて、検査ダイと遅延メモリ2001,2002に記録してある1つ前に検査して得たダイの画像と位置合わせ部2003、2004で位置合わせを行い、その結果を一旦メモリ2005,2006に記憶させてから減算部2007,2008でそれぞれの画像の差画像を求める(減算する)。このとき、欠陥からの散乱光は、正常部からの散乱光と異なることから、欠陥からの散乱光が強調された画像が得られる。正常部は暗く、欠陥部は明るい画像が取得されるため、求めた差画像を比較部2011,2012でしきい値記憶部2009,2010に記憶しておいたしきい値画像と比較し、比較部2011,2012で得られたそれぞれの結果を欠陥判定部2013で統合して欠陥の判定を行う。しきい値記憶部2009,2010に記憶しておくしきい値画像は、例えば、正常部の統計的な明るさから決定する。
【実施例5】
【0058】
本発明の第5の実施例を図13を用いて説明する。
図13は、本発明に係る光学式検査装置の第5の実施例の光学系の概略の構成を示すである。
第1の実施例との違いは、照明光学系110がウェハに対し落射照明とし、撮像光学系120をウェハより斜め方向の斜方撮像系にしたことである。検査を行うときのフロー、画像処理のフローは実施例1と同様である。
【0059】
本実施例では、照明光学系110を落射照明としたことで、繰り返しパターン部の立体構造の下部まで照明光が到達するため、繰り返しパターン部の下部にある異物や欠陥からの散乱光をより強く検出でき、より高感度な異物や欠陥の検査が可能となる。つまり、ラインセンサ124にて取得する撮像画像において、欠陥からより強い信号を検出し、繰り返しパターンからの信号を抑制することで、欠陥の検出感度を向上させることを目的とする。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
100…ウェハ
101…線状ビーム
110…照明光学系
111…レーザ光源
112…NDフィルタ
113…ビームエキスパンダ
115…線状ビーム生成部
115a、115b…シリンドリカルレンズ
120…撮像光学系
121…結像レンズ
122…対物レンズ
123…空間フィルタ
124…TDIセンサ
1241…撮像画像
130…偏光発生器
131…1/4波長板
132…1/2波長板
140…偏光解析器
141…1/4波長板
142…1/2波長板
143…偏光板
160…高さ検出部
170…ステージ部
170a…xステージ
170b…yステージ
170c…zステージ
170d…θステージ
200…画像処理部
210…操作部
220…制御部
230…表示部
250…信号処理・制御系
301…x方向ライン&スペース部
302…y方向ライン&スペース部
400…モニタ
401…入射偏光
402…検出偏光
2001,2002…遅延メモリ
2003,2004…位置合わせ部
2005,2006…メモリ
2007,2008…減算部
2009,2010…しきい値記憶部
2011,2012…比較部
2013…欠陥判定部
2014…分類・サイジング部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を出射する光源と、前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整する偏光生成部と、を備える照射光学系と、
前記照射光学系により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整する偏光解析部と、前記偏光解析部により調整された散乱光を検出する検出部とを備える検出光学系と、
前記検出光学系により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理系と、を備え、
前記偏光生成部は、予め定めた照明条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整し、
前記偏光解析部は、予め定めた検出条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の欠陥検査装置であって、
前記偏光生成部は、1/2波長板と1/4波長板とを備えて構成され、
前記偏光解析部は、1/2波長板と1/4波長板と偏光板とを備えて構成されることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の欠陥検査装置であって、
前記信号処理部は、前記偏光生成部および前記偏光解析部の偏光条件を制御する偏光条件制御部を備え、
前記偏光生成部および前記偏光解析部は、前記偏光条件制御部からの制御信号に基づき偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の欠陥検査装置であって、
前記信号処理部は、該試料の表面からの散乱光の実測結果に基づき前記偏光生成部および前記偏光解析部の偏光条件を算出する偏光条件算出部を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の欠陥検査装置であって、
前記偏光条件算出部は、該実測結果に基づき、該試料の表面の回路パターンからの散乱光強度が最小となるような偏光条件を算出することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載の欠陥検査装置であって、
前記信号処理部は、該試料の表面からの散乱光に関する光学シミュレーション結果に基づき前記偏光生成部および前記偏光解析部の偏光条件を算出する偏光条件算出部を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の欠陥検査装置であって、
前記照明光学系は、該試料の表面に対して垂直方向から照射することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項8】
出射された照明光の偏光特性を調整して検査対象物である試料に照射する照射工程と、
前記照射工程により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整して検出する検出工程と、
前記検出工程により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理工程と、を備え、
前記照射工程では、予め定めた照明条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整し、
前記検出工程では、予め定めた検出条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項9】
請求項8記載の欠陥検査方法であって、
前記照射工程では、1/2波長板と1/4波長板とにより予め定めた照明条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整し、
前記検出工程では、1/2波長板と1/4波長板とにより予め定めた検出条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の欠陥検査方法であって、
前記信号処理工程は、前記照射工程および前記検出工程において調整する偏光条件を制御する偏光条件制御工程を備え、
前記信号処理工程は、前記偏光条件制御工程における制御に基づき偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記信号処理工程は、該試料の表面からの散乱光の実測結果に基づき偏光条件を算出する偏光条件算出工程を備えることを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項12】
請求項11記載の欠陥検査方法であって、
前記偏光条件算出工程は、該実測結果に基づき、該試料の表面の回路パターンからの散乱光強度が最小となるような偏光条件を算出することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項13】
請求項8乃至10のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記信号処理工程では、該試料の表面からの散乱光に関する光学シミュレーション結果に基づき前記照明工程および前記検出工程の偏光条件を算出する偏光条件算出工程を備えることを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記照明工程は、該試料の表面に対して垂直方向から照射することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項1】
照明光を出射する光源と、前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整する偏光生成部と、を備える照射光学系と、
前記照射光学系により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整する偏光解析部と、前記偏光解析部により調整された散乱光を検出する検出部とを備える検出光学系と、
前記検出光学系により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理系と、を備え、
前記偏光生成部は、予め定めた照明条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整し、
前記偏光解析部は、予め定めた検出条件に基づいて前記光源により出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の欠陥検査装置であって、
前記偏光生成部は、1/2波長板と1/4波長板とを備えて構成され、
前記偏光解析部は、1/2波長板と1/4波長板と偏光板とを備えて構成されることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の欠陥検査装置であって、
前記信号処理部は、前記偏光生成部および前記偏光解析部の偏光条件を制御する偏光条件制御部を備え、
前記偏光生成部および前記偏光解析部は、前記偏光条件制御部からの制御信号に基づき偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の欠陥検査装置であって、
前記信号処理部は、該試料の表面からの散乱光の実測結果に基づき前記偏光生成部および前記偏光解析部の偏光条件を算出する偏光条件算出部を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の欠陥検査装置であって、
前記偏光条件算出部は、該実測結果に基づき、該試料の表面の回路パターンからの散乱光強度が最小となるような偏光条件を算出することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載の欠陥検査装置であって、
前記信号処理部は、該試料の表面からの散乱光に関する光学シミュレーション結果に基づき前記偏光生成部および前記偏光解析部の偏光条件を算出する偏光条件算出部を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の欠陥検査装置であって、
前記照明光学系は、該試料の表面に対して垂直方向から照射することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項8】
出射された照明光の偏光特性を調整して検査対象物である試料に照射する照射工程と、
前記照射工程により照射され該試料から散乱する散乱光の偏光特性を調整して検出する検出工程と、
前記検出工程により検出した該散乱光を処理して該試料に存在する欠陥を検出する信号処理工程と、を備え、
前記照射工程では、予め定めた照明条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整し、
前記検出工程では、予め定めた検出条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項9】
請求項8記載の欠陥検査方法であって、
前記照射工程では、1/2波長板と1/4波長板とにより予め定めた照明条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整し、
前記検出工程では、1/2波長板と1/4波長板とにより予め定めた検出条件に基づいて出射された該照明光の偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の欠陥検査方法であって、
前記信号処理工程は、前記照射工程および前記検出工程において調整する偏光条件を制御する偏光条件制御工程を備え、
前記信号処理工程は、前記偏光条件制御工程における制御に基づき偏光特性を調整することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記信号処理工程は、該試料の表面からの散乱光の実測結果に基づき偏光条件を算出する偏光条件算出工程を備えることを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項12】
請求項11記載の欠陥検査方法であって、
前記偏光条件算出工程は、該実測結果に基づき、該試料の表面の回路パターンからの散乱光強度が最小となるような偏光条件を算出することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項13】
請求項8乃至10のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記信号処理工程では、該試料の表面からの散乱光に関する光学シミュレーション結果に基づき前記照明工程および前記検出工程の偏光条件を算出する偏光条件算出工程を備えることを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記照明工程は、該試料の表面に対して垂直方向から照射することを特徴とする欠陥検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−47654(P2012−47654A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191633(P2010−191633)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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