説明

正四面体標識テトラサイン

【課題】本発明は、プラスチックダンボール、発泡樹脂板あるいは軟質樹脂板を材質とする部品と水、食塩水または砂容器の組立てで安全性、視認性、経済性、入手性、可搬性、耐久性を持つ標識を構成し提供するものである。
【解決手段】本発明は、プラスチックダンボール、発泡樹脂板または軟質樹脂板から切断形成された部品を部品自体に設けた切欠きを相互に組合せることで正四面体の構造を形成し、各頂点付近に、頂点に集まる3本の辺の部分を貫通させて取り付けることで補強を図るための部品を備え、それら部品のうち基部となる3つには、水、食塩水もしくは砂を内蔵する容器を差し込む穴をあけ、容器を穴に差込み標識の重しとし、頂点となる1つには強風を透過させる穴をあけ、正四面体の構造部品および補強部品の原料色と、それら部品の裏表に貼付した防水加工された用紙か、部品に直接描写された記号、図形、文様によって、視認性の確保と情報伝達を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場等の組み立て式標識に関する。
【背景技術】
【0002】
規模が比較的大きな駐車場を有する商業、公共施設において、来客に対して駐車場区画についてのご案内、例として駐車禁止、停車禁止、障害者用駐車区画、駐輪禁止、滑りやすい箇所および車道の段差のご案内等を行う場合は、防水加工された案内シートをプラスチック製の円錐状の標識または、円錐状の標識の頂点間に渡されたプラスチック製の横棒に取り付けることで行ってきた。また水を入れた発泡スチロール製の箱を積み上げ粘着テープもしくは結束帯で一体化しそこに防水加工された案内シートを貼り付けて標識としてきた。また、正四面体の骨格をパイプで構成し、その内部に水を貯める考案(特許文献1)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−71225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラスチック製の円錐状の標識は、車両の直近に位置した場合、大きさが不十分なため認識しにくく、車両の停止、発進時に巻き込まれ破損しやすい。また、破損した場合の交換のための経費が負担となる。
プラスチック製の円錐状の標識の頂点間をプラスチック製の横棒でつないだ標識は、プラスチック製の円錐状の標識単体よりも比較的視認性が良いが、横棒のため、通行の妨げとなる。また、破損した場合の経費が負担となる。
【0005】
水を入れた発泡スチロール製の箱を積み上げ粘着テープまたは結束帯で一体化した標識は、視認性および強風に対する耐久性に優れているが、経年劣化により発泡スチロールの表面が風化して、表面が粉状となり、接触すると、白い粉が接触した対象に付着する。
そのため人が脇を通ったとき接触すれば、衣服および身体に白い粉が付着することになる。また、人が発泡スチロール製の箱を積み上げ粘着テープで一体化した標識を移動する際にも、人の衣服および身体に白い粉が付着することになる。
【0006】
同標識に使用できるような比較的大型の発泡スチロール容器は、商品輸送に使用したものの再利用でもその入手が困難で、破損した場合の交換が滞ることがある。
【0007】
同標識は内部に水をためることで強風に対する耐久性をもっているが、移動時には内部から一時的に水を抜くことが困難で、いったん設置すると、たとえば除雪の際の一時撤去の際に、その重量のため移動が極めて難しい。
【0008】
発泡スチロール製の箱を積み上げ粘着テープで一体化した標識の粘着テープがはがれて、同標識の一体性が失われると、車両および人の接触により発泡スチロール製の箱単体に分離して標識が崩壊する危険性がある。
また、車両との接触により、発泡スチロール製の箱を積み上げ粘着テープもしくは結束帯で一体化した標識が破損した場合、発泡スチロール製の箱に重しとして入れてある水が外部に流れ出て、標識の重量が著しく減少し、強風に対する耐久性が失われる。
【0009】
正四面体の骨格をパイプで構成し、内部に水をためることでの標識は、視認性、経済性、安全性、移動の容易性、耐風化性、構造の耐久性および耐強風性に優れるが、正四面体頂点部分の形成が一体成型にならざるを得ず、現場での製造が困難な製品である。
したがって、標識の視認性、経済性、入手性、移動の容易性、耐風化性、構造の耐久性および耐強風性を持つ標識を発明することにより、前述の欠点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による標識は視認性の良い赤、黄、白等、背景に対して明度もしくは彩度について対称的な色彩で成型されたプラスチックダンボール、発泡樹脂板または軟質樹脂板に対して、部品の端の部分に部品同士が互いに組み合わさるような形状の切込みを形成するように部品の切出し加工を行い、切り出し加工した部材をたがいに切込みをはめ込むことで正四面体の辺と頂点になるように組み合わせて、正四面体の標識の骨格とすることを特徴とする。
【0011】
上記標識の正四面体の骨格に対して、正四面体の4箇所ある各頂点付近に、各頂点に対向する底面に平行で、各頂点に集まる3つの辺となる部材を貫通させて取り付けることで正四面体の骨格の補強となる部品を備えることを特徴とする。
【0012】
正四面体である当標識の、設置時における上部の頂点付近に取り付けられた補強部品に風抜きのための穴を備えることを特徴とする。
【0013】
正四面体である当標識の、設置時において底面となる三角形の3つの各頂点付近に取り付けられた補強部品にあけた穴に、各頂点から正四面体の重心に向かう軸線にそって、容器の栓を正四面体の重心に向くように水、食塩水または砂容器を差込み、頂点部分の内側に容器の底が当たるようにして、容器を地面に対して30°の角度で設置して標識の重しとしたことを特徴とする。
【0014】
正四面体である当標識を構成する部品のうち、辺および補強部に当たる部品の裏と表、計20箇所に文字、図形および文様を表示することを特徴とする。
【0015】
当標識を使用する現場において、プラスチックダンボール、発泡樹脂板または軟質樹脂板という一般に入手が容易な材料で作成できることを特徴とする。
【0016】
当標識は樹脂板の打ち抜きにより工業的に製造可能であるが、製造機械を一般に持たない商業施設の現場においても、最初に複数の当標識を切り出す際の案内板となる板に各部品の形状を作図し、材料である作成する個数分の板材を重ねた上からその案内板を重ねて、各部品の頂点位置を、錐、千枚通しもしくは小径のドリルで垂直に貫通させ、作成する個数分の板材に一度に各部品の頂点位置を刻み、部品の切り出しの目安にすることが可能なことで、多数の標識の製作が容易であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明による標識は視認性の良い赤、黄、白等、背景に対して明度もしくは彩度について対称的な色彩で成型されたプラスチックダンボール、発泡樹脂板または軟質樹脂板で構成された一辺が約1.2メートルの正四面体であり、プラスチック製の円錐状の標識よりその大きさで視認性は高い。
また正四面体の骨格を構成する平板の裏と表、計20面に情報伝達のための用紙を貼り付けるか直接情報を印画することができる。このため視認性のよさから破損頻度は減ることが考えられ、交換の経費が減少する。
【0018】
プラスチックダンボール、発泡樹脂板または軟質樹脂板は、一般のホームセンターで普通に入手出来る。また当標識を多数作成する場合には、最初に複数の当標識を切り出す際の案内板となる板に各部品の形状を作図し、材料である作成する個数分の板材を重ねた上からその案内板を重ねて、各部品の頂点位置を、錐、千枚通しもしくは小径のドリルで垂直に貫通させ、作成する個数分の板材に一度に各部品の頂点位置を刻み、部品の切り出しの目安にすることが可能なため、多数の標識の製作が容易である。したがって製作、交換の必要がある場合は迅速に対応できる。
水、食塩水もしくは砂容器は、2リットル入りのペットボトル容器を想定しており、飲料のために使用されたものを再利用することができる。このため、材料の入手性は高い。また接合のために、接着剤、粘着テープ、結束帯等が不要なため、製作のための材料集め、および購入経費が抑えられる。
【0019】
本発明による標識は、重しを水、食塩水もしくは砂容器によっており、それらの容器を取り外すことで容易に移動できる。また、部材のかみ合わせのみで組み立てられているため、分解、組み立てが容易であるので移動の容易性が高い。例として機械除雪のための一時撤去が容易である。
【0020】
本発明による標識は、正四面体の骨格、その補強材、および重しの容器のみで構成されているため、正四面体がもつ強い構造と安定性を利用でき、また本体の構造のなかを風が通り抜けるので強風の影響を受けにくい。
【0021】
本発明による標識は、プラスチックダンボール、発泡樹脂板または軟質樹脂板とペットボトルのみで構成されており、車両の接触があっても、本発明による標識の本体およびその破片によって、接触した車両および、周囲の人、車両に対する被害が少ない。水、食塩水もしくは砂容器の内容物である水、食塩水もしくは砂が容器の破損のため流出しても、人、車両に対する被害が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例を示す側面からの透視図である。
【図2】本発明の実施例を示す側面からの透視図である。
【図3】本発明の実施例を示す側面からの透視図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す側面からの透視図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す側面からの透視図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す側面からの透視図である。
【図7】部品1から10の部品平面図である。
【図8】部品の噛合わせの一例を示す模式図である。
【図9】部品の貫通の一例を示す模式図である。
【図10】本発明の製作手順の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、板材から形成した部品を、切り込みと貫通穴により組み合わせて、正四面体の骨格を構成し、その骨格に重しの容器を差し込むことで標識を構成するものである。
【0024】
以下本発明の一実施例については図1〜図10を用いて説明する。
図1〜図6は本発明に係る透視図である。
図7は本発明に係る、部品1から10を一枚板から切り出す場合に用いる平面図である。
図8は部品の噛合わせの一例を示す模式図である。図9は辺の部品が補強の部品を貫通する部分の一例を示した模式図である。
図10は本発明の製作手順の一部を示す模式図である。
【0025】
当発明の構造について図1〜図9を用いて説明する。
【0026】
当標識の骨格は頂点部と稜線部を一体化した部品、および稜線部のみの部品1〜6を用いて、図1から図6のように、ほぼ正四面体の骨格となるように接合して構成されている。なお図3〜図6は図1〜図3に対して鏡像となる構造である。
正四面体の頂点部分の接合は、図8のように、それぞれの部品の端部に有する細長い切欠きを、後述の組合わせに従って、互いに噛合わせることで行う。
【0027】
正四面体の骨格を構成する部品について図7を用いて説明する。
【0028】
組み合わせる箇所を減らすために、頂点部とそこへつながる稜線部の部材を一体として形成するものとし、頂点部と稜線部を一体とした部品1,3,5,6を形成する。
同部品の形成後、折り目の筋を入れた後の折り曲げにより頂点部1b,3b,5b,6bと稜線部1a,3a,5a,6aとして形成する。
【0029】
稜線部のみの部品2,4を形成する。
【0030】
上記標識の正四面体の骨格に対して、補強部品7,8,9,10を図9のように取り付ける。これらの部品は、正四面体の4箇所ある各頂点付近に、各頂点に対向する底面に平行に取り付けられる。補強部品7,8,9,10は、各頂点に集まる3つの辺となる部品を図9のように貫通させることによって正四面体の骨格に取り付けられるとともに、辺となる部品の振れを拘束し、正四面体の骨格の補強となる。
【0031】
上に述べた構造について、組み立て順序の例を図1〜図3を用いて説明する。
【0032】
頂点部と稜線部を一体化した部品1は折り曲げ部B1で山折りにし、稜線部1aと頂点部1bを構成する。稜線部1aは穴9cおよび穴7aを貫通する。
頂点部と稜線部を一体化した部品5は折り曲げ部B5で谷折りにし、稜線部5aと頂点部5bを構成する。稜線部5aは穴7cおよび穴8aを貫通する。また切欠き5dと切欠き1eが噛合う。
頂点部と稜線部を一体化した部品6は折り曲げ部B6で山折りにし、稜線部6aと頂点部6bを構成する。稜線部6aは穴8cおよび穴9aを貫通する。また切欠き6cと切欠き5e、および切欠き6eと切欠き1cがそれぞれ噛合う
ここまでで標識の底面の骨格が構成された。
【0033】
続いて上部の組合わせである。
頂点部と稜線部を一体化した部品3は折り曲げ部B3で山折りにし、稜線部3aと頂点部3bを構成する。稜線部3aは穴10aと穴7bを貫通する。また、切欠き3eと切欠き5cが噛合う。
稜線部のみの部品2は穴10bと穴8bを貫通する。また切欠き2fと切欠き3d、および切欠き2eと6dがそれぞれ噛合う。
稜線部のみの部品4は穴10cと穴9bを貫通する。また切欠き4fと切欠き3c、および切欠き4eと切欠き1dがそれぞれ噛合う。以上で標識の骨格と補強が完成した。
【0034】
当標識の骨格および補強を構成するにあたり、他の実施例が存在するため、これを図4〜図6を用いて述べる。これは、前述の実施例の鏡像となるものである。
【0035】
頂点部と稜線部を一体化した部品1は折り曲げ部B1で谷折りにし、稜線部1aと頂点部1bを構成する。稜線部1aは穴9cおよび穴7aを貫通する。
頂点部と稜線部を一体化した部品5は折り曲げ部B5で山折りにし、稜線部5aと頂点部5bを構成する。辺5aは穴7cおよび穴8aを貫通する。また切欠き5dと切欠き1eが噛合う。
頂点部と稜線部を一体化した部品6は折り曲げ部B6で谷折りにし、稜線部6aと頂点部6bを構成する。辺6aは穴8cおよび穴9aを貫通する。また切欠き6cと切欠き5e、および切欠き6eと切欠き1cがそれぞれ噛合う
ここまでで当標識の骨格および補強における他の実施例での、底面の骨格が構成された。
【0036】
続いて上部の組合わせである。
頂点部と稜線部を一体化した部品3は折り曲げ部B3で谷折りにし、稜線部3aと頂点部3bを構成する。稜線部3aは穴10aと穴7bを貫通する。また、切欠き3eと切欠き5cが噛合う。
稜線部のみの部品2は穴10bと穴8bを貫通する。また切欠き2fと切欠き3d、および切欠き2eと6dがそれぞれ噛合う。
稜線部のみの部品4は穴10cと穴9bを貫通する。また切欠き4fと切欠き3c、および切欠き4eと切欠き1dがそれぞれ噛合う。以上で他の実施例における標識の骨格と補強が完成した。
【0037】
容器11,12,13は、内容物を充填し標識の重しとする。容器11,12,13を正四面体の重心から頂点を結ぶ軸にそって、重しの内容物の栓が正四面体の重心に向くように補強部品7,8,9のそれぞれの穴である7e,8e,9eへ差し込む。そして頂点部分の内側に容器の底が当たるようにして、容器を地面に対して30°の角度で設置する。
容器11,12,13は同一形状であるため、穴7e,穴8e,穴9eへ差し込む際の1対1の対応関係は任意でよい。
【0038】
重しの内容物は、水、食塩水または砂である。比重の小さい順で水、食塩水、砂であり、耐強風性の点で選定する。後者ほど耐強風性が優れる。
【0039】
頂点部、稜線部および補強部となる部品1から10の裏表面には、直接描画もしくは、防水加工された印刷済用紙の貼付により文字、図形、文様を配置する。
【0040】
次に本発明の作用について説明する。
【0041】
本発明による標識は、プラスチックダンボール、発泡樹脂板または軟質樹脂板に対して、図7のように部品の切出し加工を行い、切り出された部材を図8のように互いに切込みをはめ込むことで正四面体の辺と頂点になるように組み合わせて、正四面体の標識の骨格としている。
また上記標識の正四面体の骨格に対して、正四面体の4箇所ある各頂点付近に、各頂点に対向する底面に平行で、各頂点に集まる3つの辺となる部材を図9のように貫通させて取り付けることで正四面体の骨格の補強となる部品を備えている。
その補強部品のうち、正四面体である当標識の、設置時における上部の頂点付近に取り付けられた補強部品に風抜きのための穴10fを備えている。
また正四面体である当標識の、設置時において底面となる三角形の3つの各頂点付近に取り付けられた補強部品にあけた穴7e,8e,9eに、各頂点から正四面体の重心に向かう軸線にそって、容器の栓を正四面体の重心に向くように水、食塩水または砂容器11,12,13を差込み、頂点部分の内側に容器の底が当たるようにして、容器を地面に対して30°の角度で設置して標識の重しとしている。
【0042】
したがって本発明による標識は、正四面体の骨格、その補強材、および水容器のみで構成されているため、正四面体がもつ強い構造と安定性を利用でき、加えて本体の構造のなかを風が通り抜けるので強風の影響を受けにくい。
なお本発明の標識の骨格および補強部品の材料であるプラスチックダンボール、発泡樹脂板あるいは軟質樹脂板は、柔軟性と回復性をもっており、組み立て時に組合わせ済みの箇所により、組み立てていない箇所の部品の自由度が下がった場合でも、組み立て済みの構造の変形により組み立ての進行が可能である。
【0043】
容器11,12,13は内容物を充填することで標識の重しとする。穴7e,穴8e,穴9eへ任意の1対1の対応で差し込むことで本発明による標識へ耐強風性を与えるとともに、差し込むだけの作業性により設置の簡便性と、抜き出しが容易なことにより移動の容易性が得られる。
当標識の重しである水、食塩水もしくは砂容器は、2リットル入りのペットボトルを想定しており、ペットボトルの材質であるPET樹脂の持つ「割れにくさ」という性質により、容器の破損による中身の流出に伴う標識の耐強風性の喪失が起こりにくい。
【0044】
重しの内容物については、水では重しとして不十分な場合、飽和食塩水を使用することで、2リットル容器で、常温において水に対して600gの食塩分の重量の増加が図れる。飽和食塩水を使用した場合3つの容器の重量は水を用いた場合の6kgに対して7.8kgである。また、飽和食塩水が不凍液の性質を持つので気温マイナス20度程度まで容器内部の溶液が凍結することがない、そのことで凍結膨張による容器の破損を防ぐ。
飽和食塩水では重量が不十分な場合、砂を用いる。砂を用いると比重は2.0付近となり、容器単体で水と比べて2kgの増量となり、3つの容器では、水6kgに対して砂では12kgの重量となる。この場合も、水を使用した場合に起こる凍結膨張による容器の破壊が防げる。
【0045】
本発明による標識は赤、黄、白等、背景に対して明度もしくは彩度について対称的な色彩で成型されたプラスチックダンボール、発泡樹脂板または軟質樹脂板で構成された一辺が約1.2メートルの正四面体であり、視認性および訴求性が良好である。このため従来の標識より破損頻度は減ることが考えられ、交換の為の経費が低減される。
正四面体である当標識を構成する部品のうち、頂点部、稜線部および補強部である部品1〜10の裏と表、計20箇所に文字、図形および文様を表示するために、防水加工した用紙を貼り付けるか直接情報を印画することができる。それらの情報に対しては、本発明における標識は正四面体の骨格とその補強と重しのみで構成されているため、正四面体の骨格および補強外側の情報はもちろん骨格および補強内側の情報も視認することができる。このため、訴求性が高い。
【0046】
プラスチックダンボール、発泡樹脂板または軟質樹脂板は、一般のホームセンターで普通に入手出来、製作、交換の必要がある場合は迅速に対応できる。加えて当標識の重しである水、食塩水もしくは砂容器は、2リットル入りのペットボトルを想定しており、飲料のために使用されたものを再利用することができる。このため、材料の入手性は高い。また接合のために、接着剤、粘着テープ、結束帯等が不要なため、製作のための材料集め、および購入の経費が抑えられる。
【0047】
本考案による標識は、重しを水、食塩水もしくは砂容器によっており、それらの容器を取り外すことで容易に移動できる。
また、部材のかみ合わせのみで組み立てられているため、分解、組み立てが容易であるので移動が容易である。例として機械除雪のための一時撤去が容易である。
【0048】
本発明による標識は、プラスチックダンボール、発泡樹脂板または軟質樹脂板とペットボトルのみで構成されており、車両の接触があっても、本発明による標識の本体およびその 破片によって、接触した車両および、周囲の人、車両に対する被害が少ない。
水、食塩水もしくは砂容器の内容物である水、食塩水もしくは砂が容器の破損のため流出しても、人、車両に対する被害が少なく安全性が高い。
【0049】
当標識を多数作成する場合には、最初に当標識の部品を切り出す際の案内板となる板100に各部品の形状を作図する。
次に材料である作成する個数分の板材101を重ねた上からその案内板100を重ねて、各部品の頂点位置を、錐102、千枚通しもしくは小径のドリルで垂直に貫通させることによって、作成する個数分の板材に一度に各部品の頂点位置を穴103によって刻む。そして、その位置に従って部品の切り出しを行う。このことにより材料の板101の一枚一枚に作図する手間が省けるため、容易に多数の標識の製作が可能である。
【0050】
この案内板100となる板からは、当標識を構成する部品を切り出すわけではないことから、必ずしも当標識を構成する部品を切り出す材料となる板101と同じ材質である必要はない。また部品を切り出す元となる板101の上に重ねるため、縦横は同寸法であることが望ましいが、厚みは同寸法である必要はない。
【符号の説明】
【0051】
1,3,5,6 頂点部、稜線部を一体化した部品
2,4 稜線部のみの部品
1a,3a,5a 稜線部
1b,3b,5b 頂点部
1c,1d,1e 頂点部、稜線部を一体化した部品1の切欠き
2e,2f 頂点部、稜線部を一体化した部品2の切欠き
3c,3d,3e 頂点部、稜線部を一体化した部品3の切欠き
4e,2f 頂点部、稜線部を一体化した部品2、4の切欠き
5c,5d,5e 頂点部、稜線部を一体化した部品5の切欠き
6c,6d,6e 頂点部、稜線部を一体化した部品6の切欠き
7,8,9 補強および重し受け部品
10 補強および風抜き部品
7a,7b,7c,7e 補強および重し受け部品7の穴
8a,8b,8c,8e 補強および重し受け部品8の穴
9a,9b,9c,9e 補強および重し受け部品9の穴
10a,10b,10c,10f 補強および重し受け部品10の穴
7d,8d,9d,10d 補強および重し受け部品の補強部
11,12,13 重し容器
B1,B3,B5,B6 折り曲げ線
100,101 材料および加工案内板
102 錐
103 穴
200 余剰部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体としてほぼ正四面体をなす当標識は、正四面体の特徴である4つの頂点部分と6本の稜線部分からなる骨格をもち、
この骨格を構成する部品同士は、それぞれの持つ接続部を互いに嵌め込むことで接続されており、
この骨格において、頂点部は、その頂点が対向する底面と平行な平面であり、他の部品への接続部を除けば六角形であり、また骨格の稜線部は、それが骨格として構成しようとする稜線および、その稜線とねじれの位置にある稜線の両方に対して平行な平面であるとともに、他の部品への接続部を除き長方形であり、それらを言い換えれば、正四面体を頂点および稜線近傍で削り落とした場合の断面となり、
この骨格を構成する部品は、弾力性をもつ軟質樹脂板より形成した2種類、合計6個の部品、これらはそれぞれ1つの頂点部と稜線部を、内角120度の1箇所の折り曲げ部分によって一体化した部品4つと、稜線部のみの部品2つからなるが、それら2種類の部品の端部には、細長い形状の切欠きを行うことによって鉤状の接続部が形成されており、
当標識の骨格ではこの鉤状の接続部によって、頂点部と稜線部を一体化した部品の頂点部に、同種の別の部品の稜線部が、互いの稜線部が60度の角度をなすように接続されており、このように頂点部と稜線部を一体化した部品が二つ接続された場合、接続されていない両端は、頂点部と稜線部となるが、その頂点部側には、また同種の3つ目の部品の稜線部が、稜線部側には同部品の頂点部が、同じく鉤状の接続部により接続されており、
以上3つの頂点部と稜線部を一体化した部品が、ほぼ三角形の環状をなすことで、正四面体の一面となっており、
前記のほぼ三角形を構成する骨格のうちの3箇所のうちいずれかの頂点部に、頂点部に集まる2つの稜線部に対してそれぞれ60度の角度になるように、4つ目の、頂点部と稜線部を一体化した部品の稜線部が鉤状の接続部によって接続されており、
この4つ目の頂点部と稜線部を一体化した部品の頂点部からは、2箇所の鉤状の接続部により、稜線部のみの部品2本が、4つ目の頂点部と稜線部を一体化した部品の稜線部1本とともに、3本それぞれが互いに60度の角度になるように接続されており、
2本の稜線部のみの部品の反対側の接続部は、先に構成されたほぼ正三角形の骨格における頂点部のうち、4つ目の頂点部と稜線部を一体化した部品の稜線部を接続した頂点部を除いた頂点部2箇所へ、同じ頂点部に接する稜線部に対しておのおの60度の角度になるように、それぞれ接続されていることで、正四面体の4面のうち残りの3面を構成しており、
このように当標識の骨格は構成されているが、構成する部品同士の接続部は、前述の通り鉤状の接続部として部品の頂点部分または稜線部分の端部に形成されており、
そのうち頂点部と稜線部を一体化した部品における頂点部の鉤状の接続部については、頂点部となる六角形の周囲に2つの鉤状の接続部が、前述の1箇所の折り曲げ部とともに、それぞれ六角形の中心に対して120度づつの変位をもって配置されており、すなわち六角形の辺一つおきの配置となっており、
稜線部の接続部については、稜線部のみの部品の長手方向の両端となる2箇所、また頂点部と稜線部を一体化した部品については、長手方向で、頂点部分に接続していない側の端部に1箇所、他の部品の頂点部分への鉤状の接合部を持ち、
それら他部品への鉤状の接続部の形状については、材料となる板材の厚みを差し込むだけの幅と、平板である部品二つを交差した場合に共有する辺の半分の長さをそれぞれ一辺とする切欠きであり、
頂点部分へ形成される場合、頂点の形状である六角形の一辺の外側に、1辺を共有する長方形を設け、その長方形に対して、共有する六角形の1辺の端から同辺に沿う半分の長さと、差し込まれる板の厚み分の幅とをもつ長方形の切り欠きを行うことで形成されており、
切り欠きを行ったことにより形成される鉤状の部分は、すくなくとも材料の厚みの5倍程度の幅、または屈曲しないだけの十分な幅をもっており、
稜線部分へ形成される場合、長手方向の端から材料の厚みの5倍程度の幅、または切り欠きを行ったことにより形成される鉤状の部分が屈曲しないだけの十分な強度を保つような幅をとった位置に、部品の長手方向に垂直で短手方向の半分の長さと、材料の板の厚みをそれぞれ一辺とする長方形の切欠きが、部品の長手方向の辺へ行われることで形成され、
それら接合部分は、それぞれ平面である部品どうしが、内角120度になるように、接合する部品それぞれの切欠きを、切欠きの開口部について互いに差し込みつつ、互いの切欠きに、切欠きの最奥から続く、切欠き部の切欠いていない残り部分を嵌め込み接合するものとし、
上記のように構成した標識の骨格に加えて、4箇所ある各頂点付近に、各頂点に対向する底面に平行で、各頂点部分に集まる3つの稜線部分となる部材を貫通させて取り付けることで正四面体の骨格の補強となる部品を備え、
その部品は上に示した頂点部と稜線部を一体化した部品、および稜線部のみの部品と同様な板材から形成され、
その形状は、当部品取り付け部における、直近の正四面体の頂点に対向する底面に平行な平面と、同標識の大まかな形である正四面体が交わる面、すなわち正三角形に対して、各頂点部分を削った六角形であり、
その六角形は、元となる正三角形の頂点近傍に、正三角形の頂点に対応する底辺に対して平行に、頂点部と稜線部を一体化した部品の稜線部分の短手、または稜線部のみの部品の短手の長さと、材料の厚みをそれぞれの一辺とする、稜線部を貫通させるための細長穴を設け、その細長穴の長手の辺のうち、直近の頂点に近い側から、板材の厚みの4倍から5倍の長さの幅、または、細長穴を維持するのに十分な強度をもつだけの幅を残して、細長穴に平行な直線で正三角形の頂点を削ることで、形成されていることを特徴とする正四面体標識テトラサイン。
【請求項2】
正四面体である当標識の、設置時における上部の頂点付近に取り付けられた補強部品に風抜きのための穴を備えることを特徴とする請求項1に記載の正四面体標識テトラサイン。
【請求項3】
正四面体である当標識の、設置時において底面となる三角形の3つの各頂点付近に取り付けられた補強部品にあけた穴に、各頂点から正四面体の重心に向かう軸線にそって、容器の栓を正四面体の重心に向くように水、食塩水等の液体または砂等の固形物を内蔵した容器を差込み、頂点部分の内側に容器の底が当たるようにして、容器を地面に対して30°の角度で設置して標識の重しとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の正四面体標識テトラサイン。
【請求項4】
正四面体である当標識を構成する部品のうち、辺および補強部に当たる部品の裏と表、計20箇所に文字、図形および文様を表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の正四面体標識テトラサイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−21314(P2011−21314A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164432(P2009−164432)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(308035955)
【Fターム(参考)】