説明

歯の過敏症を軽減又は除去するための口腔ケア組成物

本発明には、歯の過敏症の知覚を軽減及び/又は除去する口腔ケア組成物が含まれる。この組成物には、接着性材料、及び約8ミクロン以下の平均粒径を有する粒子が含まれる。粒子は、約5重量%の量で組成物中に存在する。本発明の範囲内には、象牙質細管を塞ぐ方法などの、関連する方法も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 本出願は、2007年4月30日に出願された米国特許出願第11/742,039号の一部継続出願である。
[0002] 象牙質は、象牙質細管として知られる多数の微細な管又は細管により放射状に筋のある外観を有する、エナメル質及びセメント質の内側の歯の部分である。細管は、歯髄腔から象牙質の末端まで走り、そして一般に、それらの底部では直径約2ミクロンでありそれらの末端では若干狭い。細管は、通常エナメル質又はセメント質によって覆われているので、通常は口腔内環境へ露出されない。セメント質は多くの場合次に歯肉に覆われている。
【0002】
[0003] 部分的に又は完全に露出した細管は、刺激性で痛みを伴う状態である歯の過敏症を導く可能性があると、一般に理解される。この理論において、歯肉線の後退はセメント質を侵食にさらす。侵食されたセメント質は、次に窪んだ象牙質細管を露出する。歯の外部と内部の間の物質移動及びエネルギー移動が細管を通して加速されるので、露出した細管は、歯の内部の神経が外的口腔刺激により過剰に影響される。熱さ、冷たさ、化学物質、及びブラッシングなどの物理的及び機械的な圧力又は刺激、などの一般的な環境刺激は、開放された象牙質細管を通して神経を刺激することが可能であり、そしてそれにより、痛みを生む。過敏症の歯の痛みは、これらの刺激の結果のようであり、おそらくこれらの刺激が一見したところ象牙質細管中の流体運動を引き起こし、それが歯髄神経の端を刺激する。
【0003】
[0004] 従来は、歯の過敏症を治療又は軽減するために、二つのアプローチが取られてきた。一つのアプローチのもとでは、様々な薬剤の適用によって神経近傍の化学的環境を変えて、神経が刺激されないように、又は強く刺激されないようにする。この化学的アプローチにおいて有用な既知の薬剤には、カリウム塩(例えば、硝酸カリウム、重炭酸カリウム、塩化カリウムなど)、ストロンチウム、亜鉛塩、及び塩化物塩が含まれる。
【0004】
[0005] 第二のアプローチは、例えば“細管遮断剤(tubule blocking agents)”で完全に又は部分的に象牙質細管を遮断することによる、神経の機械的シールドを含む。先行技術において開示された薬剤には、例えば、陽イオン性アルミナ、粘土、水溶性又は水膨潤性高分子電解質、マレイン酸共重合体、及びポリエチレン粒子が含まれる。
【0005】
[0006] しかし、化学的アプローチ及び機械的アプローチは歯磨剤へ一つ以上の追加材料を組み込むこと必要とするので、両者はともに、結果として技術的又は費用の増加に関するいずれかの、製剤化の難しさを生じる可能性がある。このため、当該技術分野では、使用に際して歯の過敏症を予防又は軽減するが、顕著な処理上の欠点又は製剤化上の欠点を伴わない歯磨剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0007] 本発明には、歯の過敏症の知覚を軽減し及び/又は除去する口腔ケア組成物が含まれる。この組成物には、接着性材料(adherent material)、及び象牙質細管のおよその直径とおよそ同程度の平均粒径又あるいは約8ミクロン未満の平均粒径を有する粒子が含まれる。この粒子は、約5重量%以上の量で組成物中に存在する。あるいは、この粒子は、約5重量%〜約25重量%の量で存在する。記載の組成物は、エッチングされた象牙質の流量値(fluid flow value)の約45%と同程度の液体流速を提供し、象牙質の浸透性について少なくとも55%の減少を示す。
【0007】
[0008] 象牙質細管を塞ぐ方法などの、関連する方法も本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】[0009] 図1は、酸処理した哺乳動物の歯質における、組成物A対組成物Cの閉塞発生率(occlusion incidence)の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0010] 本明細書中に記載の発明には、少なくとも(a)接着性材料及び(b)シリカ粒子を含有する口腔ケア組成物が含まれる。シリカ粒子は、象牙質細管とおよそ同程度の平均粒径を有してもよく、又あるいは8ミクロン以下の平均粒径を有してもよい。粒子は、約5重量%以上の量で存在してもよい。組成物は、追加の治療用又は非治療用の構成要素を含有してもよく、そして様々な方法の実施において利用されてもよく、それらの方法全ては本発明の範囲内に含まれる。本発明の範囲内の組成物及び方法は、例えば、哺乳動物の歯の過敏症を軽減又は除去する際、全身の健康を改善/維持する際、及び/又は象牙質細管を塞ぐ際に有用であろう。
【0010】
[0011] 本発明の口腔組成物には、接着性材料が含まれる。接着性材料は、哺乳動物の歯の表面及び/又は歯の表面上にも存在する可能性がある外来性バイオフィルムに付着する、当該技術分野において既知であるか又は開発されるべきもののいずれのものであってもよい。付着は、イオン性相互作用、ファンデルワールス力、疎水性−親水性相互作用などの、いずれかの手段により生じてよい。接着性材料には、例えば、キトサン、キチン、ガム、又は海産コロイド(marine colloid)が含まれてよい。他の意図される接着性材料には、歯の表面に接着する、いずれかのホモ重合体又は共重合体(以下、まとめて“ポリマー”と称する)が含まれる。そのようなポリマーには、シリコーンポリマー、ポリビニルホスホン酸、ポリ(1-ホスホノプロペン)スルホン酸、ポリ(ベータスチレンホスホン酸)、アルファスチレンホスホン酸、合成陰イオン性高分子ポリカルボキシレート、無水マレイン酸、マレイン酸、及びメチルビニルエーテルの単量体を有するポリマーが含まれてよい。例えば約1000〜約5000の(数平均)分子量を含む、いずれかの分子量のポリマーを使用することができる。さまざまな態様において、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体を、例えば約1:4〜約4:1の単量体比で使用してよい。接着性材料として使用可能な他のポリマーには、その内容が本明細書中に参照として援用される、米国特許第4,521,551号;第4,485,090号;第4,138,477号;第4,138,914号;及び第3,956,480号に記載のポリマーが含まれる。
【0011】
[0012] 本発明の範囲内の口腔組成物には、哺乳動物の象牙質細管のおよその平均直径と同程度の平均粒径を有する粒子が含まれ、それにより一つ以上の粒子が細管内に詰め込まれるようにすることが可能であり、それによって知覚される歯の過敏症の軽減又は除去をもたらす。適切な粒子は、例えば、約8ミクロン以下、あるいは約3〜約4ミクロン、又は約5〜約7ミクロンの平均粒径を有してよい。粒子は、所望の粒径を有する組成物中に最初は存在してもよく、又は、粒子の構造がブラッシングの場合に、例えば歯ブラシによる機械的力の適用の際に所望の粒径へと砕かれ又は壊されるようなものである限りは、より大きなサイズで組成物中に最初は存在してもよい。
【0012】
[0013] シリカ粒子を、当該技術分野で既知であるか又は開発されるべきものであるいずれかの手段によって製造することができ、そして必要であれば、表面を修飾して、粒子が歯の表面に対して接着する能力を高めてもよい。そのような例は、その内容が本明細書中に参照として援用される、例えば、米国特許出願第11/271,306号に見いだすことができる。シリカ粒子は、全組成物の重量の約5%以上の量で組成物中に存在する。あるいは、シリカ粒子は、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、又は約25重量%の量で存在してもよい。
【0013】
[0014] いずれかの研磨微粒子を使用することができ、そしてそれらを、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム(例えば、リン酸二カルシウム二水和物)、硫酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、シリカ(例えば、ケイ酸)、酸化鉄、酸化アルミニウム、パーライト、プラスチック粒子(例えば、ポリエチレン)、及びこれらの組み合わせから選択することができる。特に研磨剤は、リン酸カルシウム(例えば、リン酸二カルシウム二水和物)、硫酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、シリカ(例えば、ケイ酸)、ピロリン酸カルシウム、及び組み合わせから選択することができる。沈降シリカ又はシリカゲルなどの、いずれかの種類のシリカを使用することができる。好ましいのは、Ineos Silicas, Warrington, United Kingdomから入手可能なINEOS AC43などの市販のシリカである。
【0014】
[0015] 本明細書中に記載される口腔ケア組成物を、接着性材料及び粒子を歯の表面に対して接触させるいずれかの送達形態に製剤化することができる。例えば、この組成物を、マウスリンス、ペースト、ゲル、ロゼンジ(可溶性又はチュアブルタイプ)、スプレー、ガム、及びフィルム(完全に若しくは部分的に可溶性、又は不溶性)に製剤化することができる。この組成物は、従来の賦形剤又は担体を含有してよいが、これらは選択する投与形態又は投与手段に依存して多様であろう。賦形剤又は担体には、例えば、保湿剤、着色剤、フレーバー剤、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、及び/又はプロピレングリコール、水又は他の溶媒、ガム基礎剤(gum base)、増粘剤、界面活性剤、カラギーナン(リッチモス(rich moss))、キサンタンガム、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース、及び非晶質シリカが含まれていてもよい。
【0015】
[0016] 必要であれば、界面活性剤が含まれてよい。適切な界面活性剤の例には、水素化ヤシ油脂肪酸のモノ硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩などの、高級脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸;ラウリル硫酸ナトリウムなどの高級アルキル硫酸;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸;ラウリルスルホ酢酸ナトリウムなどの高級アルキルスルホ酢酸;1,2-ジヒドロキシプロパンスルホン酸の高級脂肪酸エステル;及び、脂肪酸、アルキル、又はアシルラジカル中に12〜16個の炭素を有するものなどの、低級脂肪族アミノカルボン酸化合物の実質的に飽和の高級脂肪族アシルアミド;などの水溶性塩が含まれる。最後に挙げたアミドの例には、N-ラウリルサルコシン、及びN-ラウリルサルコシン、N-ミリストイルサルコシン、又はN-パルミトイルサルコシンのナトリウム塩、カリウム塩、及びエタノールアミン塩が含まれる。他には、例えば、Polyoxamer 407、Steareth 30、Polysorbate 20、及びヒマシ油などの、非陰イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤;及び、コカミドプロピルベタイン(テゴバイン(tegobaine))、及びコカミドプロピルベタインラウリルグルコシドなどの、両性界面活性剤;エチレンオキシドとそのエチレンオキシドと反応性で長い炭化水素鎖(例えば、約12から約20個の炭素原子の脂肪族鎖)を有する様々な水素含有化合物との縮合産物であって、この縮合産物(エトキサマー(ethoxamer))が、ポリ(エチレンオキシド)と脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪アミド、及び他の脂肪族部分との縮合産物並びにポリ(エチレンオキシド)とプロピレンオキシド及びポリプロピレンオキシドとの縮合産物などの、親水性ポリオキシエチレン部分を含有するもの、が含まれる。
【0016】
[0017] ある態様において、口腔組成物には、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)及びタウラノール(tauranol)である界面活性剤系を含む。必要であれば、SLS及びタウラノールは、約1:5〜1:3の比で存在してよい。
【0017】
[0018] 本発明の組み合わせで治療される象牙質は、象牙質伝導性処理(Dentin Conductance Procedure)によって定められる、エッチングされた象牙質の流速値の約45%、約25%、約20%、約15%、又は約10%と同程度の液体流速を生ずる。
【0018】
[0019] 象牙質伝導性処理:摘出されたヒト臼歯をダイヤモンドソーを用いて歯冠及び歯根で切断する。歯髄を取り除き、得られた象牙質部分を、アクリルブロック上などに安定に取り付ける。管組織を、歯髄腔(pulp chamber)直下のアクリルブロック台の穴から接続する。象牙質部分を、流体の速度(水伝導性(hydraulic conductance)を測定する装置へ接続する。その内容が本明細書中に参照として援用される、Zhang et al., “The effects of pain free desensitizer on dentine permeability and tubule occlusion over time, in vitro”, Journal of Clinical Periodontol, 25(11 Pt 1): 884-91 (Nov, 1998)を参照のこと。
【0019】
[0020] 象牙質の上面をクエン酸でエッチングする。エッチングされた象牙質を横断する液体流速を、120 cmの水圧下で測定する。次いで、象牙質表面を、3倍量の脱イオン水で希釈した本発明の口腔組成物の懸濁液で2分間ブラッシングし、そして再び液体流速を測定する。Pashley et al., “Effects of desensitizing dentifrices in vitro,” J. Periodontol., 55 (9): 522-525 (Sep, 1984)を参照のこと。
【0020】
[0021] 口腔ケア組成物には、必要により、いずれかの他の治療用材料、美容用材料、及び/又は美観に関する材料が含まれていてもよい。その例には、減感剤、硝酸塩、アルギニンエステル、重炭酸塩、硝酸カリウム、及びアルギニン−重炭酸−フィチン酸複合体、化学物質ホワイトニング剤(例えば、ペルオキシド放出化合物)、不透明ホワイトニング剤(opaque whitening agent)(例えば、ヒドロキシアパタイト)、及び抗結石剤が含まれる。本発明の口腔ケア組成物中の含有物の他の選択肢には、トリクロサン;スズイオン剤;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CPC);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N-テトラデシル-4-エチルピリジニウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール;オクタピノール(octapinol);ナイシン;亜鉛イオン剤;銅イオン剤;精油;フラノン;バクテリオシン、エチルラウロイルアルギネート(ethyl lauroyl arginate)、モクレン抽出物、金属イオン源、重炭酸アルギニン、ホノキオール、マゴノール(magonol)、ウルソル酸、ウルシック酸(ursic acid)、モリン、サジー抽出物(extract of sea buckthorn)、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハロゲン化ジフェニルエーテル、クレアチン、及びプロポリスが含まれる。
【0021】
[0022] 本発明の口腔ケア組成物を、当該技術分野において既知のいずれかの手段によって製造することができる。例えば、歯磨剤の製造方法は、例えば、その内容が本明細書中に参照として援用される、米国特許第3,966,863号;第3,980,767号;第4,328,205号;及び第4,358,437号に記載されるように、よく知られている。一般に、いずれかの保湿剤(例えば、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、及び/又はポリエチレングリコール)を、撹拌しながら従来のミキサー中で水中へ分散させる。この分散物中に、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、カラギーナン、又はキサンタンガムなどの増粘剤;いずれかの陰イオン性ポリカルボキシレート;フッ化ナトリウム虫歯予防剤などのいずれかの塩;及びいずれかの甘味料を添加する。
【0022】
[0023] 得られる混合物を、均質なゲル相が形成されるまで撹拌する。このゲル相の中へ、TiO2などの利用されるいずれかの色素を添加し、及び組成物のpHを調節するために必要ないずれかの酸又は塩基をさらに添加する。これらの成分を均質な相が得られるまで混合する。
【0023】
[0024] 混合物を、次いで、高速/減圧ミキサーへ移し、ここで、界面活性剤成分を混合物へ添加する。次に、利用されるシリカを添加する。トリクロサンなどのいずれかの水不溶性物質を、歯磨剤へ含まれるようにフレーバーオイル中に可溶化し、そしてその溶液を界面活性剤ととも混合物へ添加し、次いで、それを、約20〜約50 mmHgの減圧下で、約5〜約30分、高速で混合する。得られる産物は、均質で、半固体状で、絞り出し可能なペースト又はゲル産物である。
【0024】
[0025] 試験を利用して、in situのゲル/沈殿物生産法全体の間に最初に生産されたシリカゲルの構造を解析した。これらの解析には多孔性も含まれた。入手可能多孔性(accessible porosity)のそのような性質は、窒素吸着−脱着等温線測定(nitrogen adsorption-desorption isotherm measurements)を用いて得た。BJH(Barrett-Joiner-Halender)モデル平均孔直径を、Micromeritics Instrument Corporation, Norcross, Gaから入手可能な、加速化比表面積及び細孔測定システム(Accelerated Surface Area and Porosimetry System)(ASAP 2010)を使用して、脱離分岐(desorption branch)に基づいて決定した。試料を、減圧が約5マイクロメートル水銀のとなるまで150〜200℃で脱気した。そのような分析装置は、77Kでの自動容積測定型(automatic volumetric type)であった。孔容積は、圧力P/P0=0.99で得た。平均孔直径は、円筒状孔と仮定して、孔容積及び表面積から導く。孔径分布(ΔV/ΔD)は、孔直径の範囲内の孔容積を提供するBJH法を用いて計算した。Halsey厚さ曲線型(Halsey thickness curve type)を、直径1.7〜300.0 nmの範囲の孔径とともに、ゼロフラクション(zero fraction)の孔を両端で開いて、用いた。本発明の粒子はまた、粒子の水性分散物を乾かした場合、BHJ窒素孔測定(BHJ nitrogen porosimetry)によって測定される場合に約0.45 cc/g未満の孔容積は600オングストローム以下の孔径を有する孔に由来するような多孔性も有する。
【0025】
[0026] 本発明にはまた、その範囲内に、いくつかの関連する方法が含まれる。例えば、本発明には、その範囲内に、歯の過敏症を軽減する方法、及び哺乳動物の歯の象牙質細管を塞ぐ方法が含まれる。
【0026】
[0027] これらの方法のそれぞれには、いずれかの上述した組成物を歯の表面へ適用する工程が含まれる。適用は、接着性材料及び粒子を歯の表面と接触する状態に配置する限り、いずれの方法によって実行してもよい。適用は、ブラッシング、フロッシング、洗浄(irrigating)、拭くこと(wiping)、すすぐこと(口腔の洗浄)、泡/ゲル及びトレイによる(in-tray)適用、咀嚼(masticating)、スプレー、塗布、などによって達成することができ、又はフィルム若しくはストリップにより適用することができる。
【0027】
[0028] あるいは、本発明には、混合物を口腔表面(口腔の硬組織及び軟組織の両方)へ適用することにより、哺乳動物の全身の健康を増進又は維持する方法が含まれる。この方法において使用するための組成物は、組成物がトリクロサン;トリクロサン一リン酸;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CPC);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N-テトラデシル-4-エチルピリジニウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール;オクタピノール;ナイシン;亜鉛イオン剤;銅イオン剤;精油;フラノン;バクテリオシン、エチルラウロイルアルギネート、モクレン抽出物、金属イオン源、重炭酸アルギニン、ホノキオール、マゴノール、ウルソル酸、ウルシック酸、モリン、サジー抽出物、ペルオキシド、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハロゲン化ジフェニルエーテル、クレアチン、及びプロポリスの少なくとも一つを含有することを前提として、上述のもののいずれであってよい。適用は、少なくとも一日一回であってよく、しかし一日五回までが好ましく、そして、例えば一週間、一年間まで、三年間まで、又は一生の間といった、ある継続期間を通して実行することができる。
【実施例】
【0028】
実施例1
[0029] ペースト形態の二つの組成物を、表Iに設定される材料と量、及び下記の処理過程を用いて製造した。組成物B〜Dは本発明の範囲内の組成物を表し、そして組成物Aは特定のシリカ粒子を含有しない対照組成物である。Ineos AC43シリカは、0.29 cc/gの孔容量を有する。
【0029】
【表1】

【0030】
[0030] サッカリンナトリウム及びフッ化ナトリウムを水中に溶解した。トリクロサンをフレーバー中に溶解した。
[0031] グリセリン及びプロピレングリコールを混ぜ合わせた。CMCナトリウム及び微小カラギーナンを分散させた。二酸化チタンを混合物に添加した。その次にソルビトールを添加した。ここへ、水中のサッカリンナトリウム及びフッ化ナトリウムを添加し、そして混合物を49℃で15分間混合した。次いで、PMV/MA共重合体及び水酸化ナトリウム(50%)を49℃で添加した(5分混合)。全混合物を、ミキサーの中へ入れ、混合した。次に、研磨シリカ及びIneos AC43シリカ粒子を、最大減圧(full vacuum)下、高速で、添加した。
【0031】
[0032] 前もって混合したフレーバー及びトリクロサン及び硫酸ナトリウム粉末を添加した。混合物を、最大減圧下、中速で、10分間混合した。減圧を解放し、そして全バッチ(batch)を均一性について検査した。
【0032】
[0033] それぞれの組成物(A〜D)を用いた象牙質試料を横断する流量を、上述の方法を用いて測定した。
【0033】
【表2】

【0034】
[0034] 組成物C〜D(ポリマー及び小粒子シリカ)で処理した象牙質は、エッチングされた象牙質の流量値の5〜22%である液体流速を生じ、これは、ポリマーのみの組成物Aの液体流速より顕著に低かった。小粒子シリカ/ポリマーを持たない典型的な市販の歯磨剤についての値は、エッチングされた象牙質の値の50%〜100%であろう(参照:Pashley DH et al, Effect of desensitizing dentrifices. J. Periodontol, 1984: 55: 522-525)。よって、組成物C〜Dは、液体流速において顕著な減少をもたらした。
【0035】
同様に、組成物Cで処理したエッチングされた象牙質を撮影した共焦点顕微鏡写真は、組成物Aで処理したエッチングした象牙質と比較した場合、覆われていない象牙質細管の顕著な閉塞/コーティングを示した。くわえて、組成物Cによって作られた閉塞コーティング(occlusive coating)は、コーラによる酸溶解に対して耐性であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.接着性材料(adherent material);
b.8ミクロン以下の平均粒径を有する粒子、
を含む口腔ケア組成物であって、粒子は約5重量%以上の量で組成物中に存在し、そして組成物はエッチングされた象牙質の約45%の液体流速と同程度の液体流速を提供する、前記組成物。
【請求項2】
粒子が、約600オングストローム以下の孔中に、約0.45 cc/g未満の多孔性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
接着性材料が約1000〜約5000の数平均分子量を有するポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
接着性材料が、ポリビニルホスホン酸、ポリ(1-ホスホノプロペン)スルホン酸、ポリ(ベータスチレンホスホン酸)、アルファスチレンホスホン酸、合成陰イオン性高分子ポリカルボキシレート、無水マレイン酸、マレイン酸、及びメチルビニルエーテルのポリマーから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
接着性材料がメチルビニルエーテル及び無水マレイン酸のポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
粒子が約1〜約5ミクロンの平均粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
粒子が約7ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、リンス、ペースト、ゲル、ガム、可溶性ロゼンジ、及びフィルムから選択される形態に製剤化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
フィルムが可溶性フィルムである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
減感剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
硝酸塩、アルギニンエステル、重炭酸塩、硝酸カリウム、及びアルギニン−重炭酸−フィチン酸複合体から選択される減感剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
抗菌剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
化学物質ホワイトニング剤、不透明ホワイトニング剤(opaque whitening agent)及び抗結石剤から選択される剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
トリクロサンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
ラウリル硫酸ナトリウム及びタウラノール(tauranol)を含む界面活性剤系をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
約1:5〜約1:3の比のラウリル硫酸ナトリウム及びタウラノールから本質的に成る界面活性剤系をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
スズイオン剤;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CPC);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N-テトラデシル-4-エチルピリジニウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール;オクタピノール(octapinol);ナイシン;亜鉛イオン剤;銅イオン剤;精油;フラノン;バクテリオシン、エチルラウロイルアルギネート(ethyl lauroyl arginate)、モクレン抽出物、金属イオン源、重炭酸アルギニン、ホノキオール、マゴノール(magonol)、ウルソル酸、ウルシック酸(ursic acid)、モリン、サジー抽出物(extract of sea buckthorn)、ペルオキシド、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハロゲン化ジフェニルエーテル、クレアチン、及びプロポリスから選択される剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
接着性材料及び約8ミクロン以下の平均粒径を有するシリカ粒子を含み、粒子が約5重量%以上の量で組成物中に存在する組成物を、哺乳動物の歯の表面へ適用することを含む、歯の過敏症を軽減する方法。
【請求項19】
接着性材料が、ポリビニルホスホン酸、ポリ(1-ホスホノプロペン)スルホン酸、ポリ(ベータスチレンホスホン酸)、アルファスチレンホスホン酸、合成陰イオン性高分子ポリカルボキシレート、無水マレイン酸、マレイン酸、及びメチルビニルエーテルのポリマーから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
粒子が約7ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
粒子が、約600オングストローム以下の孔中に、約0.45 cc/g未満の多孔性を有する、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
組成物を、継続期間、少なくとも一日一回哺乳動物の口腔表面へ適用することを含む、哺乳動物の全身の健康を維持又は増進する方法であって、組成物は、接着性材料、及び約8ミクロン以下の平均粒径を有し、約5重量%以上の量で組成物中に存在するシリカ粒子、並びに、トリクロサン;トリクロサン一リン酸;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CPC);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N-テトラデシル-4-エチルピリジニウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール;オクタピノール;ナイシン;亜鉛イオン剤;銅イオン剤;精油;フラノン;バクテリオシン、エチルラウロイルアルギネート、モクレン抽出物、金属イオン源、重炭酸アルギニン、ホノキオール、マゴノール、ウルソル酸、ウルシック酸、モリン、サジー抽出物、ペルオキシド、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハロゲン化ジフェニルエーテル、クレアチン、及びプロポリスから選択される剤を含む、前記方法。
【請求項23】
継続期間が約1ヶ月〜約1年である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
組成物の粒子が約7ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
接着性材料及び象牙質細管とおよそ同程度の平均粒径を有するシリカ粒子とを含む組成物を、哺乳動物の歯の表面へ適用することを含む、哺乳動物の歯の表面内部の象牙質細管を塞ぐ方法。
【請求項26】
トリクロサンをさらに含む、請求項2に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2010−526081(P2010−526081A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506581(P2010−506581)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/061925
【国際公開番号】WO2008/140936
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】