説明

歯根管の尖部の位置を決定する装置及び方法

本発明は、医療方法及び医療設備の分野に関し、好ましい実施形態では、歯科に使用される設備及び方法に関する。特に、本発明は、歯根管の尖部の位置を決定する装置であって、より短い時間間隔でより正確なデータの取得を可能とする、歯根管の尖部の位置を決定する装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療方法及び医療設備の分野に関し、好ましい実施形態では、歯科に使用される設備及び方法に関する。特に、本発明は、歯根管の尖部の位置を決定する装置であって、より短い時間間隔でより正確なデータの取得を可能とする、歯根管の尖部の位置を決定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
根管治療においては、歯根を代用材で充填する前に、歯根内部が除去される。代用材で充填する前に根管が歯根材について完全に空の状態にしなければ、残った歯根材が、治癒を遅らせ、更には感染巣として働く可能性がある。このため、歯根中の天然の内部材料の全てが、充填の前に除去される。
【0003】
機械的手段及び化学的手段の両方が、更なる感染を防止する目的で、根管中のこのような病原菌を排除するために使用される。伝統的にこれは、リーマー又はファイル等の機械的手段を使用して行われている。また、根管は、感染の再発を完全に防止するために、その根尖孔までほとんど全て、完全に閉鎖する必要がある。したがって、根尖孔としても知られる根管の端部の場所を正確に決定することが必要不可欠である。根管の長さを測定するために、これまでに種々の方法が使用されている。概して、掘り返した根管中にプローブを挿入して、プローブの先端が歯根の尖部からどの程度離れているかを決定することが従来的である。この方法は、例えば、ファイル又はリーマー等のプローブが根尖孔と何時接触するかを手作業で決定すること、根管中に挿入した上記プローブを用いてX線撮影を行うこと、又は、また、インピーダンス変化を用いて根尖孔を電気的に検出することを含み得る。歯の尖部が決定されたら、引き続き根管を拡大及び清掃するのに、機械的カッター、例えば手動のリーマー若しくはファイル、又はエンジンリーマー若しくは超音波カッターが使用されることが多い。
【0004】
しかしながら、熟練した歯科医であっても、時間がかかり、患者を重度の疼痛で苦しませることがあるこのような一連の処置を効率的に行うことは困難である。
【0005】
種々の従来技術のシステムが、この方法を促進するために考案されている。インピーダンス測定に基づく1つの従来技術のシステムでは、電気的測定手段は、200Hzの周波数を有する交流電源を有する。リーマーが根尖孔に到達すると、電圧の値が測定される。その後、この臨床的に予め決定される値は、その後の測定値に対してリーマーが根尖孔に何時到達したかを示す基準値として使用される。インピーダンス差異を用いて根管中の任意の所与の場所を検出するために開発された別のシステムでは、2つの異なる固定周波数(例えば1kHz及び5kHz)を有する電圧が使用される。これらの周波数の波形を重ね合わせて、複合波形又は電圧波形がもたらされる。このシステム(その開示が参照によって本明細書に援用される特許文献1を参照されたい)では、尖部は、2つの異なる固定周波数で印加されるパルスによるプローブの帯電、及びプローブと患者の歯肉における電極との間を流れる電流の測定によって位置決めされる。測定される電流は、フィルタリングされて、尖部位置決定回路へ基本周波数のみを提供する。根管に沿ってプローブが移動するとともに、2つのフィルタリングされた信号の変化が比較され、その結果として得られる電流値の変化が、尖部の位置を決定するために使用される。この電流は、歯肉電極とグランドとの間に位置する抵抗器における電圧を測定することによって測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,080,586号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上で言及される従来技術のシステムは、特にプローブが歯尖部と密に近接している場合に、信号感度が不十分であるという問題を有する。これらの欠点を克服するために、本発明は、従来技術の方法と比較して改善された信号対ノイズ比、したがって改善された正確性を有する、改善されたシステムを提供する。したがって、より短い時間間隔での尖部のより正確な決定が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
プローブと歯の根尖孔との間の距離の測定時において、上で言及される問題を解決するために、また高速のかつ正確な結果を得る改善された手段を提供するために、本発明は、第1の態様では、歯の根管の尖部の位置を決定する装置であって、以下の構成要素:
(a)患者の歯の根管中に挿入可能であるように成形される第1の電極、及び上記患者の別の身体部分、好ましくは上記患者の口腔粘膜又は手と接触して設置されるように成形される第2の電極、
(b)第1の電極と第2の電極との間に異なる周波数を有する連続した少なくとも4個の電圧信号を発生することが可能である周波数掃引発生器、
(c)上記周波数掃引発生器によって発生される電圧信号に対応する第1の電極と第2の電極との間のインピーダンスを測定することが可能である測定機器、
(d)計算ユニットであって、周波数掃引発生器によって発生される電圧信号を制御することが可能であり、測定機器から得られるそれぞれのインピーダンス値を読み取ることが可能であり、上記インピーダンス値から上記第1の電極と上記歯尖部との間の距離を計算することが可能である、計算ユニット、並びに
(e)任意に、上記計算される距離を出力することが可能である出力機器
を含む、歯の根管の尖部の位置を決定する装置を提供する。
【0009】
第2の態様では、歯根管の尖部の位置を決定する方法であって、以下の工程:
(a)患者の歯の根管に位置する第1の電極、及び上記患者の別の身体部分、好ましくは上記患者の口腔粘膜若しくは手と接触する第2の電極を準備する工程と、
(b)第1の高速の周波数掃引を実施する工程であって、
各々の個々のインピーダンス測定値に対してどの時点で該測定値を取得したかに留意しながら、第1の電極及び第2の電極を使用して並びに10Hz〜(and)40kHzの周波数から選択される周波数を使用して、第1の一連の少なくとも4個の電気的インピーダンス測定値を得ること
を含む、第1の高速の周波数掃引を実施する工程と、
(c)第2のより低速の周波数掃引を実施する工程であって、
(i)各々の個々のインピーダンス測定値に対してどの時点で該測定値を取得したかに留意しながら、第1の電極及び第2の電極を使用して並びに工程(b)において規定されるものと本質的に同じ周波数範囲を使用して、ただし工程(b)より低速で連続した個々のインピーダンス測定値を測定して、第2の一連の少なくとも4個の電気的インピーダンス測定値を得ること、又は
(ii)工程(b)において得られるインピーダンスデータ組から第2の低速の周波数掃引のインピーダンス測定値を外挿すること
を含む、第2のより低速の周波数掃引を実施する工程と、
(d)工程(b)において得られるインピーダンスデータ組を工程(c)において得られるインピーダンスデータ組と比較して、tmax及びΔRmaxを決定する、比較する工程であって、tmaxは、工程(b)においてtmaxで測定される又はtmaxに対応するインピーダンスと工程(c)においてtmaxで測定される又はtmaxに対応するインピーダンスとの間のインピーダンス差異ΔRmaxが最大となる、両方の周波数掃引における共通の時点である、比較する工程と、
(e)決定されるtmax値及びΔRmax値を使用して、上記歯根管の尖部と上記第1の電極との間の距離xを決定する工程と
を含む、歯根管の尖部の位置を決定する方法も提供される。
【0010】
本発明を以下で詳細に記載する前に、本明細書中に記載する特定の方法論、プロトコル及び試薬は変動し得るので、本発明はこれらに限定されないことを理解すべきである。本明細書中で使用される専門用語が、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、添付した特許請求の範囲のみによって限定される本発明の範囲を限定することは意図されないことも理解すべきである。他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0011】
好ましくは、本明細書中で使用される用語は、"A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPACRecommendations)", Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and Koelbl, H. eds. (1995),Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland)に記載されているよう定義される。
【0012】
以下の本明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて、文脈上他の意味に解すべき場合以外は、「含む(comprise)」という単語、並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」等の変化形は、記載された整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群を包含することを示唆するが、任意の他の整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群を除外することを示唆しないと理解される。
【0013】
複数の文献が、本明細書の文章全体を通じて引用される。本明細書中で引用される文献(全ての特許、特許出願、科学的刊行物、製造業者の仕様書、取扱説明書等を含む)の各々が、上記のものであるか又は下記のものであるかに関わらず、その全体が参照により本明細書に援用される。本明細書のどの記載も、本発明が先行発明に基づくかかる開示に先行する権利を有しないことを認めるものと解釈すべきではない。
【0014】
本願の意味における「患者」は、本発明の装置を有利に適用することができる任意の動物であり得る。したがって、「患者」は任意の動物であり得る。より好ましい実施の形態では、「患者」は哺乳動物である。特に好ましい実施の形態では、患者は、ウマ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、又は、特にヒトである。
【0015】
本明細書で使用される場合、「曲線フィッティング」は、言及される値、例えばインピーダンス値に最も良好にフィットする曲線を得ることを意味する。曲線フィッティングは、一連のデータ点に最も良好にフィットする曲線又は数学関数を構築するプロセスである。曲線フィッティングは、例えばデータの内挿、又はデータにおよそフィットする「スムーズな」関数が構築されるスムージングを伴ってもよい。本発明のために、代数的フィッティング又は幾何学的フィッティングが使用され得る。曲線を、多項式関数を使用してデータ点にフィッティングさせてもよい。したがって、当該技術分野で既知のように、多くの考え得る曲線フィッティング方法が利用可能であり、それらの全てを使用することができる。好ましいフィッティングは、内挿、及び多項式関数を値にフィッティングさせることを含む。
【0016】
「誘電体」という用語は電流を本質的に伝導しない材料を表し、すなわち、該用語は任意の絶縁物質(そのうちの複数が当該技術分野で既知である)を表す。
【0017】
「周波数掃引」という語句は、本明細書全体を通じて使用される場合、異なる周波数を有する連続した(好ましくは少なくとも4個の)電圧信号を発生することを表す。掃引時には、それぞれの電圧信号の周波数は任意の順序で変化する。したがって、周波数掃引時には、各電圧信号の周波数は、所与の周波数範囲内で経時的に増大してもよく、又は減少してもよい。周波数の増大又は減少は、好ましくは、該増大又は減少が掃引全体にわたり一定(すなわち線形)又は非線形となるように選ばれる。第1の周波数掃引及び/又は第2の周波数掃引に対する(すなわち、上記少なくとも4個の電圧信号それぞれに対する)周波数の選択の好ましい実施の形態は、下で更に示される。
【0018】
「周波数掃引」は、本明細書で言及される場合、10個、15個、20個、25個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、120個、140個、160個、180個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個を超える、又は更により多くの異なる周波数を含むことが好ましい。
【0019】
第1の周波数掃引及び/又は第2の周波数掃引の好ましい実施の形態では、非線形の連続した周波数を、発生される電圧信号に対して選択することができる。
【0020】
本発明は、強化された周波数掃引法を適用することによって測定時において最適な信号対ノイズ比が達成されるため、歯の尖部の位置の決定においてより高い正確さをもたらす装置を提供する(下の実施例も参照されたい)。
【0021】
具体的に、本発明は、第1の態様では、歯の根管の尖部の位置を決定する装置であって、以下の構成要素:
(a)患者の歯の根管中に挿入可能である第1の電極、及び上記患者の別の身体部分、好ましくは上記患者の口腔粘膜若しくは手と接触して設置されるように成形される第2の電極、
(b)第1の電極と第2の電極との間に異なる周波数を有する連続した少なくとも4個の電圧信号を発生することが可能である周波数掃引発生器、
(c)上記周波数掃引発生器によって発生される電圧信号に対応する第1の電極と第2の電極との間のインピーダンスを測定することが可能である測定機器、
(d)計算ユニットであって、
周波数掃引発生器によって発生される電圧信号を制御することと、
測定機器から得られるそれぞれのインピーダンス値を読み取ることと、
上記インピーダンス値から上記第1の電極と上記歯尖部との間の距離を計算することと
が可能である、計算ユニット、並びに
(e)任意に、上記計算される距離を出力することが可能である出力機器
を含む、歯の根管の尖部の位置を決定する装置を提供する。
【0022】
測定機器は、好ましくは、各々の発生される電圧信号に対して対応するインピーダンス(本明細書で更に概説されるような電圧読み取り値であってもよい)を測定する。電圧信号は、好ましい実施の形態では、好ましくは本明細書にも記載されるようなオシレータと連結される電力供給手段を使用して抵抗器を介して上記第1の電極に供給される電圧波形である。
【0023】
本発明の装置に使用することができる好ましい第1の電極は、細長形(elongated)、好ましくは円筒形の電極を含む。1つの実施の形態では、第1の電極は、10mm〜50mmの長さを有するニードル電極又はリーマー電極である。好ましくは、本発明によって使用される第1の電極は細長形であり、10mm以下、12mm以下、14mm以下、16mm以下、18mm以下、20mm以下、25mm以下、30mm以下、又は35mm以下の長さを有する。第1の電極は、導電体である材料から作製しなければならない。したがって、1つの好ましい実施の形態では、第1の電極は、ステンレス鋼、外科処置用鋼(surgerysteel)、銅、銀、又はそれらの混合物から作製される。0.1mm〜0.5mm、好ましくは0.1mm〜0.25mm、例えば約0.1mm、0.15mm、0.2mm又は0.25mmの直径を有する細長形の第1の電極、例えばニードル電極が更に好ましい。1つの好ましい実施の形態では、第1の電極は細長形であり、該細長形の電極の先端は、0.2mm〜1.0mm、好ましくは0.4mm〜0.6mm、最も好ましくは約0.5mmの直径を有するビーズとして構成される。
【0024】
好ましい実施の形態では、本発明による装置の周波数掃引発生器は、オシレータ及び任意にアッテネータを含む。2つの電極(そのうちの1つは歯管中に挿入される)の間の電気的インピーダンスを決定することによって歯における尖部の位置を測定する電子機器は、詳細に記載されており(例えば特許文献1及び米国特許第6,482,008号及び欧州特許第0392518号を参照されたい)、したがって、平均的な当業者は、上で言及される情報に基づき、また本明細書で提示される情報を使用して、本発明の装置を構築することができる。
【0025】
好ましくは、本発明の装置の上記測定機器は、上記第1の電極と上記第2の電極との間で測定される電圧波形を増幅する増幅器を含む、又はこれからなる。
【0026】
更に好ましい実施の形態では、本発明の装置の上記測定機器は、測定される電圧波形を整流する整流器を含む、又はこれからなる。
【0027】
上記計算ユニットが、以下の工程:
(i)周波数速度γで第1の周波数掃引を実施して、各々の発生される電圧信号に対してそれぞれのインピーダンス値及びインピーダンス測定の時点を記録する、実施して記録する工程と、
(ii)(i)において記録されるインピーダンス値から上記第1の電極と上記歯尖部との間の距離を決定する工程
を含む方法を実施することが可能であるハードウェアを含む、本発明の装置も好ましい。
【0028】
1つの実施の形態では、上記ハードウェアは、上記周波数掃引発生器、上記測定機器及び任意に上記出力機器とのインターフェースを備えるコンピュータで実行されるコンピュータプログラムであり得る。
【0029】
本発明の装置の上記計算ユニットは、必ずしも周波数掃引発生器及び/又は測定機器から物理的に離れてはおらず、その一体部分であってもよい。
【0030】
上記周波数速度γ及びβ(以下を参照されたい)は、どの程度の速さでそれぞれの周波数掃引が実施されるかを規定する。上記及び下記で言及されるように、周波数掃引は、線形であってもよく、又は非線形であってもよい。さらに、掃引は、高い周波数からより低い周波数へとまで行なってもよく、又はその逆であってもよい。β及びγを使用して個々の周波数を選択する方法の好ましい実施の形態は、下で、また実施例で、記載される。
【0031】
平均的な当業者に既知であるように、インピーダンスを測定する様々な方法が当該技術分野で利用可能である。したがって、「インピーダンス値」又は「インピーダンス」は、本明細書で使用される場合、概して、交流電流(AC)に対する抵抗(opposition)の尺度を表す。一例では、或る機器のインピーダンスは、抵抗器と直列の機器に正弦波電圧を印加し、抵抗器にかかる電圧及び機器にかかる電圧を測定することによって算出することができる。本発明のために、測定されるインピーダンス値を、直接使用することができ、又はインピーダンスと相関する任意の尺度、例えば測定される電圧及び電流の相対振幅に変換することもできる。
【0032】
測定されるインピーダンス値の「記録」は、例えば、印刷の形態で及び/又は電子形態で行うことができ、例えば、値は、ハードディスク、RAM、ROM、EEPROM(例えばフラッシュメモリ)、及び/又はEPROMメモリ等の記憶機器上で記憶される。
【0033】
1つの実施の形態では、上記「計算ユニット」は、集積回路の形態を有し得る。このような集積回路は、好ましい実施の形態では、集積回路設計の技術分野で既知のように、特定用途向け集積回路(ASIC)として実装することもできる。
【0034】
上記出力機器(図6の工程120も参照されたい)は、これらに限定されるものではないが音響信号、閃光、LEDディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、電子発光ディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、HPAディスプレイ、薄膜トランジスタディスプレイ(TFT)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)及び表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)等の音響的手段及び/又は光学的手段を含む当該技術分野で既知の様々な手段によって、決定される尖部の位置、すなわち上記歯根管の尖部と上記第1の電極との間の上記距離xを歯科医に伝達することができる。
【0035】
したがって、本発明の装置は、周波数掃引において得られる測定され任意に記録されるインピーダンス値を使用して、上記第1の電極と上記歯尖部との間の距離を決定する。距離x(すなわち、上記第1の電極と上記歯尖部との間の距離)は、本装置の好ましい実施の形態では、
第1の周波数掃引から得られるインピーダンス値に対して第1の曲線をフィッティングさせることであって、上記第1の(first)曲線が、第1の周波数掃引時のどの時点が第1の掃引のどのそれぞれのインピーダンス値と相関するかを規定する、フィッティングさせることと、
上記歯根管の尖部と上記第1の電極との間の上記距離xと曲線又はその導関数を相関させることと
によって得ることができる。
【0036】
離散した個々のインピーダンス測定値ではなくフィッティングさせた曲線を使用することの利点は、これらの測定値にフィッティングさせた単一の曲線によって複数の個々の実験測定値がより正確に規定されるため、距離xをより正確に決定することができることである。したがって、曲線下面積、好ましくは掃引期間内の曲線の区分の下の面積のみ、曲線の平均値及び/又は曲線の中央値等のような曲線特徴が、好ましくは、距離xと相関する。また、下で概説されるように、他のより好ましい曲線特徴を使用することができる。測定されるインピーダンスは距離xと相関するため、1つの実施の形態では、距離xを、所定の係数を用いて本明細書で概説されるような曲線特徴/特性を乗算することによって計算することができる。例えば、臨床的に決定されるxの値及び得られる曲線のそれぞれの値を含む参照表を使用することができる。したがって、好ましい実施の形態では、本発明の装置を、物理的に決定される実際の距離x(一例では、当該技術分野で既知のように、x線方法論を使用して決定することができる)と曲線特徴を相関させることによって均衡させる(equilibrated)。典型的には、一連の周波数掃引が実施され、各周波数掃引は、異なる距離xで、本発明の装置を使用して1回、実際の距離xを決定する異なる方法を使用して(例えば、x線画像を使用することによって)1回行われる。概して、第1の電極が歯尖部に近いほど測定されるインピーダンスは小さくなり、インピーダンスを電圧として表した場合、この電圧は大きくなる(低インピーダンス値のため。例えば欧州特許第0392518号の図3も参照されたい)。したがって、相関のために、或る式を見出すことができ、又は代替的には、実際の距離xと決定される曲線特徴を相関させることを可能とする或る参照表を、上で言及されるように確立することができる。代替的には、ニードル電極と歯尖部との間の距離を、例えば下の実施例1で提示される式を使用して、計算することもできる。したがって、1つの好ましい実施の形態では、本発明の装置の計算ユニットは、上記第1の電極と上記歯尖部との間の距離を、
(a)上記第1の周波数掃引及び/又は上記第2の周波数掃引から得られる上記インピーダンス値にフィッティングさせた曲線を得ること(例えば図6の工程110も参照されたい)と、
(b)曲線下面積、曲線の平均値、曲線の中央値、曲線の導関数、並びに下で本明細書に記載されるように第2の曲線及び第3の曲線を得ることを含む曲線特性、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、(a)において得られる上記曲線の特質を使用して、好ましくは本明細書に記載されるもののような参照表又は所定の較正係数を使用することによって、上記距離xを決定する、上記曲線の特質を使用することと
によって計算する。
【0037】
以下では、下で概説されるような第2の曲線及び第3の曲線を得ることによって曲線特徴を決定する好ましい方法を説明する。
【0038】
本発明による装置の好ましい実施の形態では、上で概説されるような工程(ii)は、以下の更なる工程:
(iii)第1の周波数掃引から得られるインピーダンス値に第1の曲線をフィッティングさせる工程であって、上記第1の曲線が、第1の周波数掃引時のどの時点が第1の掃引のどのそれぞれのインピーダンス値と相関するかを規定する(すなわち、曲線が、経時的に測定される(又はフィッティングさせられる)インピーダンス値を規定する)、フィッティングさせる工程と、
(iv)(i)と同様に、又は(iii)において得られる第1の曲線からのインピーダンス値及び時点値を外挿することによって、周波数速度γと異なり、好ましくは周波数速度γより小さい周波数速度βで第2の周波数掃引を実施する工程(図7の工程200も参照されたい)と、
(v)第2の周波数掃引から得られるインピーダンス値に対して第2の曲線をフィッティングさせる工程であって、上記第2の曲線が、第2の周波数掃引時のどの時点が第2の周波数掃引のどのそれぞれのインピーダンス値と相関するかを規定する、フィッティングさせる工程(図7の工程210も参照されたい)と、
(vi)第1の曲線と第2の曲線との間の(好ましくは絶対的な)差異である第3の曲線を得る工程と、
(vii)時点tmaxで記録される最大のインピーダンス差異ΔRmaxである第3の曲線の最大値を見出し、任意に、t=0とt=tmaxとの間における第3の曲線の下の面積Fを決定する、見出し任意に決定する工程(図7の工程230も参照されたい)と、
(viii)決定されるtmax値及びΔRmax値並びに任意にF値を使用して、上記歯根管の尖部と上記第1の電極との間の距離xを決定する工程と
を含む。
【0039】
これとの関連では「外挿する」は、第2の曲線が、計算によって得られ、実際の測定によって得られるのではないことを意味する。外挿(図7も参照されたい)のために、(iii)において得られる第1の曲線は好ましくは、記録されるインピーダンス(impedance)値をリスケーリングすることなく時間値をリスケーリングすることによって、時間軸においてリスケーリングされる。したがって、第2の曲線は好ましくは、好ましくは1ではなく、最も好ましくは1より大きい実数値である係数で乗算した上記第1の曲線のインピーダンス値を使用して、得られる。本発明の装置を使用して取得可能な例示的な第1の(Rβ)及び第2の(Rγ)インピーダンス曲線は、下の図3にも示される。
【0040】
本発明の装置の更に好ましい実施の形態では、装置は、第1の周波数掃引及び第2の周波数掃引時に同数のインピーダンス測定を実施するように構成される。
【0041】
本発明者らは、第1の周波数掃引及び/又は第2の周波数掃引を実施するために使用することができる最適な周波数範囲を決定した。
【0042】
本装置の1つの実施の形態では、第1の周波数掃引及び/又は第2の周波数掃引において使用される周波数は、10Hz〜40kHzの周波数を含む、より好ましくは14Hz〜10kHzの周波数を含む周波数範囲から選択される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「周波数範囲」は、第1の周波数掃引及び/又は第2の周波数掃引が実施される周波数の範囲を表す。したがって、本発明の装置によって実施される掃引において使用される上記少なくとも4個の周波数は、このような周波数範囲から選択される。この範囲は、最小周波数及び最大周波数によって規定される。好ましい周波数範囲の好ましい最小周波数及び最大周波数には、本明細書全体を通じて言及する。しかしながら、本発明のための周波数範囲の最大周波数は40kHzを超えないことが好ましく、これは、この周波数を上回ると電圧信号(周波数パルス)の減衰が起こる可能性があるためである。
【0044】
好ましくは、装置は、第1の周波数掃引及び/又は第2の周波数掃引時に異なる周波数を有する少なくとも4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は少なくとも10個、より好ましくは少なくとも50個、最も好ましくは少なくとも100個の電圧信号を発生させ、それぞれのインピーダンス測定値が取得されるように構成される。測定値の数は、本発明の装置において使用される周波数範囲に適合させることもできる。より大きな周波数範囲に対しては、より多数の測定値を使用することが好ましい。
【0045】
例えば、例えば500Hz〜40kHzの周波数範囲を使用して上記第1の周波数掃引が実施されるように本発明の装置が構成される場合、該掃引は、一例では、790個の測定値を含み得る。また好ましくは、下で概説される理由のために、これらの測定値は、0.6秒未満、0.5秒未満、0.4秒未満、0.3秒未満、0.2秒未満の時間間隔で、又は最も好ましくは0.1秒未満で取得される。すなわち、第1の周波数掃引及び/又は第2の周波数掃引は好ましくは、上で言及される好ましい時間間隔で完了する。
【0046】
振戦(tremor)は、任意の身体部分の不随意の運動又は震えである。振戦は多くの場合、手においても顕著である。生理学的振戦は概して、肉眼ではほとんど見えない非常に低振幅の微小振戦である。生理学的振戦は、姿勢又は運動を維持する時に、あらゆる正常な個体に存在する。疲労(例えば筋肉の硬直)、低血糖値、カフェイン摂取、及び多くの他の因子が微小振戦の頻度及び振幅に影響を及ぼす。医師が歯尖部の位置を測定する場合、自然に起こる手の振戦が、プローブの位置に僅かに影響を及ぼす可能性がある。したがって、短時間で尖部の位置の決定を完了させることが有利である。このことによって、各々のニードルの場所に対して距離xの複数の読み取り値を取得することも可能となる。本発明の装置の好ましい実施の形態では、尖部の位置の複数の測定値、例えば2個、3個又は4個の個々のxの測定値を平均した後、平均された距離xの値が出力される。
【0047】
したがって、本発明の装置の好ましい実施の形態では、第1の周波数掃引及び/又は第2の周波数掃引は、0.6秒未満、0.5秒未満、0.4秒未満、0.3秒未満、0.2秒未満で、又は最も好ましくは0.1秒未満で完了する。
【0048】
一例では、所与の周波数を有する単一の電圧信号の測定に2μsかかると仮定すると、これを、最大で何個のインピーダンス測定値を取得することができるかを算出するための基礎として使用することができる。例えば、単一のインピーダンス測定に2μsかかり、第1の周波数掃引が0.1秒で完了する場合、50個のインピーダンス測定値を得ることが可能であろう。したがって、好ましい実施の形態では、本発明の装置は、第1の周波数掃引が、50個以下の異なる周波数に対するインピーダンス値を測定することを含むように構成される。したがって、本装置の1つの実施の形態では、第1の周波数掃引時に4個〜50個の周波数が使用され、これらの周波数は好ましくは、上でも概説されたように、10Hz〜40kHzの周波数を含む、より好ましくは14Hz〜10kHzの周波数を含む周波数範囲から選択される。
【0049】
さらに、本明細書において下で提示される実施例から理解されるように、ΔRmaxを決定することを可能とするために、時点tmaxまで第1の周波数掃引を実施することのみが必要である。したがって、本発明の方法の好ましい実施の形態では、周波数速度(掃引速度)β及びγは、tmaxが0.6秒以下、好ましくは0.1秒未満となるように選択される。
【0050】
本発明の装置の更に好ましい実施の形態では、第2の周波数掃引は、以下の式:
【数1】

(式中、tは時間であり、wβ(t)は時間依存性の周波数関数であり、wは掃引の出発周波数であり、βは周波数速度(例えば、第1の掃引時に周波数が増大又は減少する速度)であり、nは、wβ(t)とtとの間の関係を説明し、例えば:
n=1(wとtとの間に線形関係:wβ(t)=w(1+βt)をもたらす)
n=0(一定周波数の既知のケース:wβ(t)=wをもたらす)
n=−1(wとtとの間に、一例として使用されることが多い逆関係:wβ(t)=w0/(1+βt)をもたらす)
のように異なる曲線形態wβ(t)をもたらす任意の実数である)
による周波数を選択することによって実施される。
【0051】
他の具体的な測定要件のために、異なる具体的なnがより適切な場合がある。好ましくは、nは、交流の周波数がもたらされないことから、0ではない。
【0052】
第1の周波数掃引が、以下の式:
【数2】

(式中、tは時間であり、wγ(t)は時間依存性の周波数関数であり、wは掃引の出発周波数であり、γは周波数速度(例えば、第2の掃引時に周波数が増大又は減少する速度)であり、nは、任意の実数であり、好ましくはゼロではない)による周波数を選択することによって実施される、本発明の装置も好ましい。
【0053】
実施例に示されるように、周波数速度βとγとの間の最適化された比率が選択された場合、距離xの測定は特に信頼性のあるものとなる。したがって、本発明の装置の1つの好ましい実施の形態では、掃引速度β及びγは、比率u=β/γが4〜8、より好ましくは5〜7の値となるように選択される。最も好ましい実施の形態では、比率uはu=5.83となるように選択される。
【0054】
本発明の装置の1つの実施の形態では、上記第2の電極は、患者の口腔粘膜と接触することが可能であるリップ電極であり、及び/又はハンドヘルド式電極である。第2の電極が、1cm〜5cmの接触(好ましくは平面の)表面積を有することが好ましい。
【0055】
さらに、本発明の装置は好ましくは、誘電体から作製され、図1において好ましい実施の形態ではニードル電極又はリーマー電極として示される上記第1の電極15を把持するように構成されるハンドル50(その一例が図1に部分的に示される)を含む。1つの実施の形態では、ハンドル50は、絶縁材料から作製され、第1の電極15との接触のための導電性の金属コア3を含む。上記ハンドルの長さは実質的に100mmであり、図1に見られるようにその中にニードル15の柄1を挿入することができるヘッド部5における好ましい直径は12mmである。様々な長さのものを含む各種のニードル/リーマーが提示されるが、平均の好ましい長さは約30mmである。それらの形状は概して先細形であり、直径は基部の約0.25mmから先端の約0.1mmまで変化する(図1)。1つの実施の形態では、第1の電極及び/又は第2の電極はステンレス鋼から作製することができる。第1の電極に関する柄1の直径は好ましくは約1mmであり、後部2の長さは好ましくは約15mmであり、前部4の長さは好ましくは約5mmである。先端部は好ましくは、後端部と比較して約110度の角度で曲がっている。
【0056】
歯根の感染を有する歯7を治療する必要がある場合、一般的には麻酔薬を投与し、直径2mm〜4mmの開口部6を歯冠に作って、根管14に接近できるようにする(図1)。引き続き、上記管にプローブを使用して、その尖部から約1mm未満の管の全長に対応する必要な深さを算出する。上記歯管は、図1に示されるように解剖学的尖部8及び放射線学的尖部12を有する。神経10、少なくとも1つの動脈11及び静脈9の束が歯の根尖孔で上記根管に入る(図1を参照されたい)。本発明の装置による上記第1の電極15を使用することによって、本明細書に記載されるような電子的手段によって歯の尖部と上記ニードル電極の先端との間の距離を算出することが可能である。歯尖部に向かって第1の電極を前進させながら、この距離を好ましくは本発明の装置を使用して繰返し決定して、手術者が、尖部から好ましくは1.5mmである正しい場所でニードルを停止できるようにする。この点で、最も好ましい実施の形態では、装置は、高エネルギーの電気パルスを印加することによって、好ましくは例えば米国特許第6,482,008号にも記載のように実質的に70W RF、300Ω、約0.5MHzの周波数という出力で約0.1秒間電流を印加することによって、第1の電極が挿入されている(lodged)上記歯管を除活するための更なる構成要素を備える。これによって神経の束13が崩壊し、同時に静脈中の血液が凝固する。実際上は、管中の材料全体を効率的に除去し、管を滅菌する。
【0057】
本発明の第2の態様として、歯根管の尖部の位置を決定する方法であって、以下の工程:
(a)患者の歯の根管に位置する第1の電極、及び上記患者の別の身体部分、好ましくは上記患者の口腔粘膜若しくは手と接触する第2の電極を準備する工程と、
(b)第1の高速の周波数掃引を実施する工程であって、
各々の個々のインピーダンス測定値に対してどの時点で該測定値を取得したかに留意しながら、第1の電極及び第2の電極を使用して並びに10Hz〜40kHzの周波数から選択される周波数を使用して、第1の一連の少なくとも4個の電気的インピーダンス測定値を得ること
を含む、第1の高速の周波数掃引を実施する工程と、
(c)第2の低速の周波数掃引を実施する工程であって、
(i)各々の個々のインピーダンス測定値に対してどの時点で該測定値を取得したかに留意しながら、第1の電極及び第2の電極を使用して並びに工程(b)において規定されるものと同じ周波数範囲を使用して、ただし工程(b)より低速で連続した個々のインピーダンス測定値を測定して、第2の一連の少なくとも4個の電気的インピーダンス測定値を得ること、又は
(ii)工程(b)において得られるインピーダンスデータ組から第2の低速の周波数掃引のインピーダンス測定値を外挿すること
を含む、第2の低速の周波数掃引を実施する工程と、
(d)工程(b)において得られるインピーダンスデータ組を工程(c)において得られるインピーダンスデータ組と比較して、tmax及びΔRmaxを決定する、比較する工程であって、tmaxは、工程(b)においてtmaxで測定される又はtmaxに対応するインピーダンスと工程(c)においてtmaxで測定される又はtmaxに対応するインピーダンス係数との間のインピーダンス差異ΔRmaxが最大となる、両方の周波数掃引における共通の時点である、比較する工程と、
(e)本発明の装置に関して本明細書に記載されるように、決定されるtmax値及びΔRmax値を使用して、上記歯根管の尖部と上記第1の電極との間の距離xを決定する工程と
を含む、歯根管の尖部の位置を決定する方法も提供される。
【0058】
好ましくは、本発明の方法の工程(b)及び工程(c)において、同数のインピーダンス測定値を取得する。上記周波数が14Hz〜10kHzの周波数を含む周波数範囲から選択される本発明の方法が、更に好ましい。1つの実施の形態では、本方法の工程(b)及び/又は工程(c)を、周波数掃引発生器を使用して実施する。好ましい実施の形態では、工程(c)における上記外挿は、(b)における上記低速の周波数掃引から得られるインピーダンスデータの曲線フィッティングによって、及び上記フィッティングさせた曲線のインピーダンス値ではなく時間値をリスケーリングすることによって実施することができる。本発明の方法の更に好ましい実施の形態では、工程(d)において、上記最大のインピーダンス差異ΔRmaxは、工程(b)において得られるデータ組及び工程(c)において得られるデータ組に対してそれぞれフィッティングさせた2つのインピーダンス曲線を比較することによって決定される。ΔRmaxを決定するために、上で本明細書に記載されるように第3の曲線を決定することが有用な場合がある。
【0059】
更なる態様では、本発明は、本発明の方法又は本発明の装置において使用される方法を実施するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含むコンピュータ記憶媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】歯の尖部と電極との間の距離を決定するための、歯の根管中への第1の電極、この例ではニードル電極の挿入を示す図である。
【図2】本発明の装置における連続した電圧信号に対して使用することができる例示的な周波数速度を示す図である。
【図3】図2に示される周波数を使用する、根管内の所与のニードル電極の場所に対する例示的なインピーダンス記録を示す図である。この例ではY軸に、記録された電圧としてインピーダンスRが示される。
【図4】図3に示されるインピーダンス曲線Rβ及びRγに基づいて上記第3の曲線、並びにΔRmax、tmax、及びt=0とt=tmaxとの間における該曲線の下の面積Fを決定する方法を例示する図である。
【図5】3つの異なる周波数速度比率u、すなわちu=5uopt.、u=uopt.及びu=uopt./5を用いて得られるインピーダンス測定値曲線を示す図である。図5に示される曲線は、曲線形状並びにΔRmax及びtmaxの値がそれぞれのパラメータuにどのように依存するかを示す。
【図6】上記第1の電極と上記歯尖部との間の距離を決定及び表示する好ましい実施形態のフローチャートである。
【図7】歯の尖部と第1の電極との間の相対的な距離を可視化するために第2の曲線及び第3の曲線を使用した場合の、図6に示される工程120の好ましい実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明をここで実施例を用いて更に記載し、本発明の種々の態様をより詳細に規定する。そのようにして規定した各態様は、反対の内容が明示されない限り、任意の他の態様(単数又は複数)と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であるとして示した任意の特質を、好ましい又は有利であるとして示した任意の他の特質(単数又は複数)と組み合わせることができる。
【実施例】
【0062】
実施例1:
以下の実施例は、例えば欧州特許第0392518号に記載されるような装置に、本発明の装置が上で本明細書に記載されるような周波数掃引を実施することが可能となるように修正するという、及び本装置が本明細書に記載されるような計算ユニットを含むという修正を加えたものを使用して実施することができる。以下の実施例に関しては、以下の工程及びパラメータは例示的なものにすぎず、限定的なものではないと理解すべきである。
【0063】
第1の工程では、この実施例ではニードル電極である第1の電極15を、歯管14中に挿入する。次に、高速の第1の周波数掃引に対する周波数速度γを、第1の周波数掃引が好ましくは0.6秒未満で完了するように選択する(周波数速度β及びγの比率を最適化する方法に関する以下の実施例2も参照されたい)。γに関する1つの例示的な値を、図2に示す。図2に示した周波数を決定するために使用したパラメータ及び式も図2に示す。
【0064】
次に、周波数速度γを使用して、第1の周波数掃引を、図2に示した周波数を使用して実施する。掃引時に、それぞれのインピーダンス値Rγを記録し、それぞれの曲線を決定する(「Rγ」曲線)。第1の周波数掃引に対して得ることができる例示的な結果を図3に示す。
【0065】
更なる工程では、第2の周波数掃引に対する周波数速度βを選択する。βは理想的には、ΔRmaxが最大となり、tmaxが好ましくは0.5秒未満、最も好ましくは0.1秒未満となるように選択する(以下の実施例2も参照されたい)。β及び一例ではβに対して図2に示した(すなわちwβ(t)に関して得られる)周波数を使用して第2の周波数掃引を実施して、第2の掃引に対するインピーダンス値Rβを記録する。第2の掃引に対して得られ得る結果の1つを図3に示す(「Rβ」曲線)。
【0066】
次に、第1の周波数掃引及び第2の周波数掃引の記録したインピーダンス値に対してフィッティングさせた曲線を互いに差し引く、すなわち、β掃引に対してフィッティングさせた曲線(曲線「Rβ」)を、Rγ値に対してフィッティングさせた曲線から差し引く。好ましくは、第3の曲線を、ΔR=|Rγ−Rβ|に従って第1の曲線と第2の曲線との間の絶対的な差異によって導く。結果、すなわち第3の曲線を図4に示す。次に、ΔRmax及びtmaxを、図4にも示したような第3の曲線から導く。
【0067】
臨床的に関連のある範囲において、すなわち第1の電極と歯尖部との間の距離が2mm及びそれ以下に達する場合において、本発明の改善された方法の正確性は、欧州特許第0392518号に記載される方法等の従来技術の方法よりおよそ2倍〜3倍高いことを示すことができた。
【0068】
ΔRmax及びtmaxについて決定した値を使用して、ニードル電極と歯尖部との間の距離を、例えば参照表若しくは較正係数を使用して、又は以下の式:
【数3】

(x>Aに対して)
【数4】

(x<Aに対して)
(式中、
1/2は、第1の電極(上の実施例においてはニードル電極)の先端と歯尖部との間の距離であり、
a=(D−d)/2hであり、aは例えば、D=0.35mm及びh=20mmの場合、0.00625の場合があり、
b=d/aであり、bは例えば、d=0.1mmの場合、16の場合があり、
A=(B/R−1)であり、
B=2×roh/(3.14×d×a)であり、Bは例えば、roh=620Ohm×mmの場合、2×10Ohmの場合があり、
D=概して0.2mm〜0.5mmである歯管の上端部の平均直径であり、
d=概して0.05mm〜0.15mmである歯管の下端部(尖部の近く)の平均直径であり、
h=16mm〜24mmであり得る歯管の長さであり、
roh=典型的には50kOhm×mm/m〜1000kOhm×mm/mにある歯管の比抵抗(Ohm×mm/m)であり、
u=β/γの比率であり、最適にはu=5.83である)
を使用することによっても、計算することができる。
【0069】
さらに、以下の関係を使用して、電気抵抗Rを決定することができる:
一実施形態では、上でもまた図2でも概説されたようにw=w/(1+βt)であり、容量性抵抗(capacitive resistance)Rc=1/(w×C)(式中、Cは歯の比容量(tooth-specificcapacitance)である)である場合、R=R×Rc/(R+Rc)である。一実施形態でw=w/(1+γt)である場合も、同じことが同様に適用される。Rβ及びRγに関するものを含む本発明の装置によって使用することができる例示的な式を図2に示す。
【0070】
実施例2 最適な周波数掃引速度β及びγの決定
最適な周波数掃引速度γ及びβを選択するために、2つの側面を、最適な正確性でインピーダンス測定を実施することができるように考慮すべきである。一方では、歯尖部との関係で電極の場所をほぼリアルタイムで表示することが可能となるように、可能な限り速く尖部の位置決めを実施するべきである。したがって、γは、第1の周波数掃引が十分に速く、好ましくは0.5秒未満で、より好ましくは0.1秒未満で完了するように選択するものとする。他方では、本発明の装置の好ましい実施形態では、好ましくはより低速の周波数掃引速度βを使用して、第2のより低速の周波数掃引を実施する。したがって、周波数速度γが、うまく機能すること、すなわち第1の掃引を時間内に完了させることが知られる値に既に予め設定されている場合、関係β=uγ(u=β/γと同様)から周波数掃引速度βを決定することが好都合である。したがって、比率uによって、高速の周波数掃引がより低速の周波数掃引と比較してどの程度速いかが決定される。
【0071】
最適な掃引速度βを決定するために、以下の検討が、以下の式:
【数5】

(式中、tは時間であり、wβ(t)は時間依存性の周波数関数であり、wは掃引の出発周波数であり、βは周波数速度(例えば、第1の掃引時に周波数が増大又は減少する速度)であり、nは−1である)
による周波数を選択することによって第1の周波数掃引を実施する場合に対して適用される。
【0072】
上でも記載したように第1の曲線から第2の曲線を差し引くことによって、すなわち、Rβ値について得られたインピーダンス曲線からインピーダンス曲線Rγを差し引くことによって取得可能である第3の曲線(上記第3の曲線に関する一例を、図4に例示する)からも、t=0とt=tmaxとの間における第3の曲線の下の面積であるFを決定することができる。面積Fは例えば、インピーダンスを決定するのに有用である:
【数6】

【0073】
ΔRmax及びtmaxの値は、掃引速度の比率、すなわちβ/γとして規定されるuに依存する:
【数7】

(式中、u>1)
であり、
【数8】

である。
【0074】
uが大きくなるにつれて、ΔRmaxは大きくなり、また、時間tmaxは短くなる。この関係性は大きなu値ではあまり顕著ではなくなり、面積F(上記及び図4を参照されたい)が最大となる最適なuが存在するかという問題をもたらす。これは、最大の面積Fによって特徴付けられるΔR(t)曲線(すなわち、図4においても例示されるような第3の曲線)が得られる場合、本発明の装置を使用する測定の信号対ノイズ比が最大となるため、有利である。これは、第1の電極が歯尖部と密に近接している場合に、この改善されたノイズ耐性が最も顕著となるため、特に重要である。
【0075】
換言すれば、本発明の装置を使用して最適な測定値が、
(i)インピーダンス信号ΔRが可能な限り大きくなり、そのため、測定において該信号をいずれのバックグラウンドノイズからも最も効果的に分離することができる場合に、及び
(ii)最大インピーダンス差異ΔRmaxを得るための測定時間tmaxが可能な限り短く、そのため、結果、すなわち尖部の位置をほぼリアルタイムで決定することができる場合に
取得可能となる。
【0076】
面積Fは、以下の近似式を使用することによって算出することができる。
【数9】

【0077】
一次導関数dF/duを0と設定して、最大値に対する最適値uを以下のとおりに計算することができる:
【数10】

(この例においては、以下:n=−1、したがってw=w/(l+βt)が周波数w(t)の時間依存性に対して適用される)
【0078】
γの値は好ましくは、全てのインピーダンス値が、本発明の装置の費用対効果に優れた設計を使用して測定可能となるように調整される。最適なγを得たなら、好ましい一実施形態において、第2の周波数掃引に関する掃引速度βを、式:β=γ/u、すなわちこの好ましい実施形態ではβ=γ/5.83によって都合良く得ることができる。
【0079】
周波数掃引を、異なる周波数関数を使用して、例えばnについて−1以外の値を使用して実施する場合、最適なuを、上で概説した手順と同様に計算することができる。
【0080】
図5は、3つの異なる掃引速度比率u、すなわちu=5uopt.、u=uopt.及びu=uopt./5を用いて取得可能な例示的なインピーダンス測定曲線を示す。図5に示した曲線は、曲線形状並びにΔRmax及びtmaxの値がそれぞれのパラメータuにどのように依存するかを示す。図5に示した中間の曲線(ΔR)は、u=uopt.=5.83を使用した場合に取得可能な例示的な結果を表す。ΔR及びΔRとして示した他の曲線は、5.83というuopt.より5倍大きい(ΔR)又は5倍小さい(ΔR)u比率を使用して導く。図5に示したように、uについて選択される値が大きくなると、ΔRmax及びtmaxの値は大きくなる。しかしながら、t=0とそれぞれのt=tmaxとの間における曲線下面積は、u=uopt.=5.83で最大となる。
【0081】
したがって、以下ののことが当てはまる:
ΔRmax1>ΔRmax2>ΔRmax3、
max1<tmax2<tmax3、及び
<F>F(曲線ΔR、ΔR及びΔRに対するそれぞれの面積)。
【符号の説明】
【0082】
図2
time 時間
図3
time 時間
図4
time 時間
Area 面積
図5
Dirrerent rates β=γu' with u':5u, u, u/5 種々の速度β=γu’(ここで、u’:5u、u、u/5)
time t in 1/40 sek. 時間t(単位:1/40秒(sec.))
図6
Obtaining impedance measurements in afrequency sweep using two electrodes: a first electrode inserted into the rootcanal of a tooth of a patient and a second electrode which is placed in contactwith another body part of said patient 2つの電極:患者の歯の根管中に挿入される第1の電極、及び上記患者の別の身体部分と接触して設置される第2の電極を使用して、周波数掃引においてインピーダンス測定値を得る

Fitting a first curve through the obtainedimpedance measurements 得られるインピーダンス測定値に対して第1の曲線をフィッティングさせる

Displaying a characteristic of said firstcurve as a measure of the distance between said first electrode and said toothapex; wherein said curve characteristic is selected from the group consistingof: the area under the curve, the mean of the curve, the median of the curve,the derivative of the curve and a curve characteristic derived using a secondand third curve (see e.g. fig. 7). 上記第1の電極と上記歯尖部との間の距離の尺度として上記第1の曲線の特徴を表示する(ここで、上記曲線特徴は、曲線下面積、曲線の平均値、曲線の中央値、曲線の導関数、並びに第2の曲線及び第3の曲線を使用して導かれる曲線特徴からなる群から選択される)(例えば図7を参照されたい)
図7
Obtaining a second curve by carrying out asecond frequency-sweep at a frequency rate, which is different to the frequencyrate used in the frequency sweep in step 100 of fig. 6 or by extrapolating theimpedance and time point values from the first curve obtained in step 110 offig. 6 図6の工程100における周波数掃引において使用される周波数速度と異なる周波数速度で第2の周波数掃引を実施することによって、又は図6の工程110において得られる第1の曲線からのインピーダンス値及び時点値を外挿することによって第2の曲線を得る

Fitting a second curve to the impedancevalues obtained from the second frequency sweep 第2の周波数掃引から得られるインピーダンス値に第2の曲線をフィッティングさせる

Obtaining a third curve which is thedifference between the first and the second curve 第1の曲線と第2の曲線との間の差異である第3の曲線を得る

Determining the maximum impedancedifference ΔRmaxat sweep time tmax by finding the maximum of the third curve 第3の曲線の最大値を見出すことによって掃引時間tmaxでの最大インピーダンス差異ΔRmaxを決定する

Using the determind tmax and ΔRmax to deriveand display in step 120 of fig. 6 the distance between said first electrode andsaid tooth apex 決定される(determined)tmax及びΔRmaxを使用して、上記第1の電極と上記歯尖部との間の距離を導き、該距離を図6の工程120において表示する
【0083】
図2〜図4に示される例において:
各符号の意味
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯の根管の尖部の位置を決定する装置であって、以下の構成要素:
(a)患者の歯の根管中に挿入可能であるように成形される第1の電極、及び前記患者の別の身体部分、又は前記患者の口腔粘膜若しくは手と接触して設置されるように成形される第2の電極、
(b)該第1の電極と該第2の電極との間に異なる周波数を有する連続した少なくとも4個の電圧信号を発生することが可能である周波数掃引発生器、
(c)前記周波数掃引発生器によって発生される該電圧信号に対応する該第1の電極と該第2の電極との間のインピーダンスを測定することが可能である測定機器、
(d)計算ユニットであって、
該周波数掃引発生器によって発生される該電圧信号を制御することと、
該測定機器から得られるそれぞれのインピーダンス値を読み取ることと、
前記インピーダンス値から前記第1の電極と前記歯尖部との間の距離を計算することと
が可能であり、以下の工程:
(i)周波数速度γで第1の周波数掃引を実施して、各々の発生される電圧信号に対して該それぞれのインピーダンス値及び該インピーダンス測定の時点を記録する、実施して記録する工程と、
(ii)(i)において記録される該インピーダンス値から前記第1の電極と前記歯尖部との間の距離を決定する工程
(ここで、
工程(ii)は、該第1の周波数掃引から得られる該インピーダンス値に第1の曲線をフィッティングさせることと、前記第1の曲線の曲線特徴を使用して前記距離を決定することとを含む、又は
工程(ii)は、以下の工程:
(iii)該第1の周波数掃引から得られる該インピーダンス値に対して第1の曲線をフィッティングさせる工程であって、前記第1の曲線が、該第1の周波数掃引時のどの時点が該第1の掃引のどのそれぞれのインピーダンス値と相関するかを規定する、フィッティングさせる工程と、
(iv)(i)と同様に、若しくは(iii)において得られる該第1の曲線からの該インピーダンス値及び該時点値を外挿することによって、該周波数速度γと異なる周波数速度βで第2の周波数掃引を実施する工程と、
(v)該第2の周波数掃引から得られる該インピーダンス値に対して第2の曲線をフィッティングさせる工程であって、前記第2の曲線が、該第2の周波数掃引時のどの時点が該第2の周波数掃引のどのそれぞれのインピーダンス値と相関するかを規定する、フィッティングさせる工程と、
(vi)該第1の曲線と該第2の曲線との間の差異である第3の曲線を得る工程と、
(vii)時点tmaxで記録される最大のインピーダンス差異ΔRmaxである該第3の曲線の最大値を見出し、任意に、t=0とt=tmaxとの間における該第3の曲線の下の面積Fを決定する、見出し任意に決定する工程と、
(viii)決定されるtmax値及びΔRmax値並びに任意にF値を使用して、前記歯根管の尖部と前記第1の電極との間の距離xを決定する工程と
を含む)
とを含む方法を実施することが可能であるハードウェアを含む、計算ユニット、並びに
(e)任意に、前記計算される距離を出力することが可能である出力機器
を含む、歯の根管の尖部の位置を決定する装置。
【請求項2】
周波数掃引発生器が、オシレータ及び任意にアッテネータを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
測定機器が、前記第1の電極と前記第2の電極との間で測定される電圧波形を増幅する増幅器を含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
測定機器が、該測定される電圧波形を整流する整流器を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
第1の周波数掃引及び第2の周波数掃引に対して、同数のインピーダンス測定値を取得する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
第1の周波数掃引及び/又は第2の周波数掃引において使用される周波数が、10Hz〜40kHzの周波数を含む、又は14Hz〜10kHzの周波数を含む周波数範囲から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
第1の周波数掃引及び/又は第2の周波数掃引が、0.6秒未満で、又は0.1秒未満で完了する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
第2の周波数掃引が、以下の式:
【数1】

(式中、tは時間であり、wβ(t)は時間依存性の周波数関数であり、wは掃引の出発周波数であり、βは周波数速度であり、nは任意の実数である)
による周波数を選択することによって実施される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
第1の周波数掃引が、以下の式:
【数2】

(式中、tは時間であり、wγ(t)は時間依存性の周波数関数であり、wは掃引の出発周波数であり、γは周波数速度であり、nは任意の実数である)
による周波数を選択することによって実施される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
掃引速度β及び掃引速度γが、比率u=β/γが4〜8の値となるように選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
第1の電極が、ニードル電極若しくはリーマー電極、又は10mm〜50mmの長さを有するニードル電極若しくはリーマー電極である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
第2の電極が、該患者の口腔粘膜と接触することが可能であるリップ電極、及び/又はハンドヘルド式電極である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
歯根管の尖部の位置を決定する方法であって、以下の工程:
(a)患者の歯の根管に位置する第1の電極、及び前記患者の別の身体部分、又は前記患者の口腔粘膜若しくは手と接触する第2の電極を準備する工程と、
(b)第1の高速の周波数掃引を実施する工程であって、
各々の個々のインピーダンス測定値に対してどの時点で該測定値を取得したかに留意しながら、該第1の電極及び該第2の電極を使用して並びに10Hz〜40kHzの周波数から選択される周波数を使用して、第1の一連の少なくとも4個の電気的インピーダンス測定値を得ること
を含む、第1の高速の周波数掃引を実施する工程と、
(c)第2のより低速の周波数掃引を実施する工程であって、
(i)各々の個々のインピーダンス測定値に対してどの時点で該測定値を取得したかに留意しながら、該第1の電極及び該第2の電極を使用して並びに工程(b)において規定されるものと本質的に同じ周波数範囲を使用して、ただし工程(b)より低速で連続した個々のインピーダンス測定値を測定して、第2の一連の少なくとも4個の電気的インピーダンス測定値を得ること、又は
(ii)工程(b)において得られるインピーダンスデータ組から該第2の低速の周波数掃引の該インピーダンス測定値を外挿すること
を含む、第2のより低速の周波数掃引を実施する工程と、
(d)工程(b)において得られるインピーダンスデータ組を工程(c)において得られるインピーダンスデータ組と比較して、tmax及びΔRmaxを決定する、比較する工程であって、tmaxは、工程(b)においてtmaxで測定される又はtmaxに対応するインピーダンスと工程(c)においてtmaxで測定される又はtmaxに対応するインピーダンスとの間のインピーダンス差異ΔRmaxが最大となる、両方の周波数掃引における共通の時点である、比較する工程と、
(e)決定されるtmax値及びΔRmax値を使用して、前記歯根管の尖部と前記第1の電極との間の距離xを決定する工程と
を含む、歯根管の尖部の位置を決定する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−517022(P2013−517022A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548342(P2012−548342)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005571
【国際公開番号】WO2011/085742
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(512185143)エンドセーフ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】