説明

歯磨剤組成物

【解決手段】(A)デキストラナーゼ、(B)コンドロイチン硫酸ナトリウム、及び(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを含有し、(B)コンドロイチン硫酸ナトリウムの配合量が0.1〜3.0質量%、(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインの配合量が0.1〜1.0質量%であることを特徴とする歯磨剤組成物。(C)成分/(B)成分の質量比が0.1〜3.0である上記歯磨剤組成物。
【効果】本発明の歯磨剤組成物は、デキストラナーゼの酵素活性が長期間に亘って安定化配合され、泡立ちに優れると共に、異味が少なく、苦みを抑えることで使用後のサッパリ感が高く、使用性に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製剤中でのデキストラナーゼの経時保存安定性が高く、泡立ちに優れ、異味が少なく、かつ使用後のサッパリ感に優れた歯磨剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
デキストラナーゼは、プラークを分解することでう蝕予防効果を発揮することから、口腔用組成物に有効成分として配合されている。
【0003】
一方、口腔用組成物には、使用感、使用性の観点から界面活性剤が配合されており、とりわけ歯磨剤組成物には研磨剤が多量に配合されていることから、十分な発泡性確保のためラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤が配合されている。しかし、多くのアニオン性界面活性剤を配合した歯磨剤組成物においては、そのタンパク変性作用によって酵素の経時安定性を維持することが難しいという欠点があり、デキストラナーゼ含有の歯磨剤組成物においてもデキストラナーゼの経時安定性の低下が課題であった。
【0004】
このため、デキストラナーゼを配合した歯磨剤組成物においては、製剤中のデキストラナーゼを安定化する技術が不可欠であり、安定化にはポリオキシエチレンアルキルエーテルなど特定の非アニオン性界面活性剤を配合するのが有用であることが知られている(特許文献1;特開昭61−176518号公報)。
【0005】
しかしながら、これらの技術手段では、アニオン性界面活性剤によるタンパク変性作用はある程度改善される場合もあるものの、ノニオン性界面活性剤を多量に配合すると、特有の異味が生じると共に製剤にべたつきが生じることから口腔内分散性を充分確保することができず、歯磨剤に求められる使用後の口腔内がサッパリした感じを十分に得ることができなくなるという課題があり、デキストラナーゼの安定化技術としては満足できるものではなかった。
【0006】
また、グルカナーゼとラウリル硫酸ナトリウムを含有する口腔用組成物において、ラウリル硫酸ナトリウムの良好な発泡量を確保しつつ、酵素安定性を確保することができる歯磨剤組成物を提供する方法として、前記歯磨剤組成物に炭素数14〜18のアルキル基を有し、エチレンオキサイドの付加モル数が3〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテルと、エチレンオキサイドの付加モル数が10〜80であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを予め混合分散させる技術(特許文献2;特開2005−41787号公報)が提案されている。しかしながら、上記技術手段においては、発泡性を確保することによる使用感の向上はなされるものの、ノニオン性界面活性剤特有のベタツキを軽減できるものではなく、口腔内のサッパリ感を得るには不十分であった。
【0007】
一方、コンドロイチン硫酸ナトリウムはムコ多糖の中でも生体内分布が広く、関節軟骨や骨などの硬組織に含まれていることが知られている。また、口腔用組成物においても、粘結剤として使用されたり(特許文献3;特開2006−8651号公報)、製剤の刺激を緩和する目的でコンドロイチン硫酸ナトリウムを配合する技術が提案されている(特許文献4;特開2007−176802号公報)。しかし、これら技術には、コンドロイチン硫酸ナトリウムの配合によりノニオン性界面活性剤特有のベタツキが低減され、歯磨剤を使用後のサッパリ感が高まることは示されていない。
【0008】
また、両性界面活性剤は皮膚や眼に対して刺激性が少なく、高い増泡力と泡安定性を持つことから発泡剤として各種分野で利用されている。口腔分野においても口中の刺激緩和作用(特許文献5;特開昭57−171909号公報)や歯面上への歯垢の再付着を抑制する効果を有すること(特許文献6;特開2007−145740号公報)が知られている。しかし、これら技術には、両性界面活性剤の中でもヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインに、特にデキストラナーゼの保存安定性を高めると共に口中のサッパリ感を高める効果があることは示されていない。
【0009】
このようにデキストラナーゼを配合した歯磨剤組成物において、デキストラナーゼの経時保存安定化と口中のサッパリ感とを満足に両立させることは困難であった。従って、デキストラナーゼの酵素活性を経時で長期に亘って安定に保持できると共に、泡立ちに優れ、異味が少なく、かつ使用後のサッパリ感に優れた歯磨剤組成物の開発が求められていた。
【0010】
【特許文献1】特開昭61−176518号公報
【特許文献2】特開2005−41787号公報
【特許文献3】特開2006−8651号公報
【特許文献4】特開2007−176802号公報
【特許文献5】特開昭57−171909号公報
【特許文献6】特開2007−145740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、製剤中でのデキストラナーゼの経時保存安定性が高く、泡立ちに優れ、異味が少なく、かつ使用後のサッパリ感に優れた歯磨剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、(A)デキストラナーゼを含有する歯磨剤組成物に、(B)コンドロイチン硫酸ナトリウム及び(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを配合し、前記(B)成分を0.1〜3.0質量%、(C)成分を0.1〜1.0質量%配合することによって、歯磨製剤中でデキストラナーゼの優れた経時保存安定性が得られ、しかも、優れた泡立ちを有すると共に、界面活性剤由来の異味や苦味がほとんどなく良好な使用感を有し、かつ口腔内のサッパリ感も高くなることを知見し、本発明をなすに至った。
【0013】
本発明者は、デキストラナーゼの歯磨組成物中での経時での安定化と口中のサッパリ感とを両立させるため鋭意研究した結果、デキストラナーゼにコンドロイチン硫酸ナトリウムとヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインとを組み合わせて適当量配合することによって、後述の実施例から明らかなように、これらの成分が相乗的に作用して、長期保存してもデキストラナーゼの酵素活性がほとんど失活することなく満足に残存し、歯磨製剤中にデキストラナーゼを格段に安定配合でき、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤が配合されていても安定配合できる上、界面活性剤由来の異味や苦味がほとんど感じられず良好な使用感であると共に、歯磨き後の口腔内のサッパリ感も高くなるという、格別の作用効果を達成できた。このような本発明の作用効果は、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインのデキストラナーゼ安定化効果とコンドロイチン硫酸ナトリウムの有する水分保持効果に由来するものと考えられ、いずれかの成分を欠く場合は達成できず、ヤシ油脂肪酸以外を原料としたアミドプロピルベタインをコンドロイチン硫酸ナトリウムと併用してもなし得ない。
【0014】
なお、出願人は、コンドロイチン硫酸ナトリウムをデキストラナーゼと併用し、更にエチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ひまし油及び/又はアルキル鎖の炭素鎖長が16〜18で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルを選択的に特定割合で組み合わせて配合した技術を特願2007−216139号に提案したが、これはデキストラナーゼを配合した液体口腔用組成物において、上記併用成分の相乗効果により、デキストラナーゼ由来の歯垢形成抑制効果が高まり、かつ、使用者に、使用後に歯牙表面のツルツル感を効果的に実感させることができ、経時でのオリの発生を抑制し良好な外観安定性を保持したものであり、本発明とは構成も技術的思想も異なる。
【0015】
従って、本発明は、下記の歯磨剤組成物を提供する。
請求項1; (A)デキストラナーゼ、(B)コンドロイチン硫酸ナトリウム、及び(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを含有し、(B)コンドロイチン硫酸ナトリウムの配合量が0.1〜3.0質量%、(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインの配合量が0.1〜1.0質量%であることを特徴とする歯磨剤組成物。
請求項2; (C)成分/(B)成分の質量比が0.1〜3.0であることを特徴とする請求項1記載の歯磨剤組成物。
【発明の効果】
【0016】
本発明の歯磨剤組成物は、デキストラナーゼの酵素活性が長期間に亘って安定化配合され、泡立ちに優れると共に、異味が少なく、苦みを抑えることで使用後のサッパリ感が高く、使用性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の歯磨剤組成物は、ペースト状、液状等に調製され、練歯磨、液状歯磨等の歯磨剤、特にペースト状の練歯磨として好適に調製されるもので、(A)デキストラナーゼ、(B)コンドロイチン硫酸ナトリウム、(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを含有してなるものである。
【0018】
(A)デキストラナーゼとしては、ケトミウム属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、スピカリア属、ラクトバチルス属、セルビブリオ属等に属する公知のデキストラナーゼ生産菌より公知の方法により得られるデキストラナーゼを好適に使用できるが、他の微生物より生産されたデキストラナーゼも使用することができ、市販品としては第一三共プロファーマ(株)製のものなどを用いることができる。
【0019】
デキストラナーゼの配合量は、組成中2〜200単位/g(U/g)、特に10〜50単位/gであることが好ましい。2単位/g未満であると、十分な歯垢除去効果が得られず、歯磨き後の清掃実感に劣る場合があり、200単位/gを超えると、安定性が十分でなくなる場合がある。ここで、デキストラナーゼ1単位とは、デキストランを基質として反応を行った場合に、1分間あたりにグルコース1μmolに相当する遊離還元糖を生じるデキストラナーゼの量である。通常、13000単位/gのものを使用すると、デキストラナーゼの配合量は、組成物全体の0.0154〜1.54%(質量%、以下同様。)が好適である。
【0020】
(B)コンドロイチン硫酸ナトリウムとしては、市販品を使用でき、例えば和光純薬工業(株)、東京化成工業(株)などの試薬メーカーから入手可能な市販品を使用できる。
【0021】
コンドロイチン硫酸ナトリウムの配合量は、組成物全体の0.1〜3.0%であり、特に0.3〜2.0%が好ましい。配合量が0.1%未満では十分なサッパリ感が得られず、3.0%を超えるとえぐ味が生じるなど味が悪くなる。
【0022】
(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸といった飽和脂肪酸を含むヤシ油脂肪酸を原料としたアミドプロピルベタインであり、例えばデグッサ社製のTEGO Betain CK OK(30%水溶液)、花王(株)製アンヒトール55AB(30%水溶液)などの市販品が挙げられる。ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインの代わりに、ヤシ油脂肪酸以外を原料としたアミドプロピルベタイン、例えばラウリル酸アミドプロピルベタイン等を用いたのでは、苦味が生じて味が悪くなることがあり、また、十分なサッパリ感が得られず、本発明の目的を達成できない。
【0023】
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインの配合量は、純分換算で、組成物全体の0.1〜1.0%であり、特に0.2〜0.8%が好ましい。配合量が0.1%未満では泡立ちが悪くなり十分なサッパリ感が得られず、またデキストラナーゼ安定性が劣り、1.0%を超えると苦味が生じるなど味が悪くなる。
【0024】
(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインと(B)コンドロイチン硫酸ナトリウムの質量比((C)/(B))は、0.1〜3.0、特に0.3〜2.0であることが、デキストラナーゼ安定性や使用後のサッパリ感、味の良さの点から好ましい。(C)/(B)が0.1未満では泡立ちが悪くなりサッパリ感が劣る場合があり、3.0を超えると味が悪くなる場合がある。
【0025】
本発明の歯磨剤組成物は、上記必須成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で任意成分としてその他の添加剤を剤型に応じて配合できる。例えば練歯磨に調製する場合は、研磨剤、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、更には必要により甘味剤、防腐剤、有効成分、着色剤(色素)、香料等を配合でき、これら成分と水とを混合し、常法により製造できる。
【0026】
研磨剤としては、例えば第2リン酸カルシウム2水和物、第2リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、2酸化チタン、結晶性ジルコニウムシリケート、ポリメチルメタアクリレート、不溶性メタリン酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト、第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケートなどが挙げられる。これら研磨剤の配合量は、組成物全体の5〜50%が好適である。
【0027】
粘稠剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、平均分子量200〜6000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、還元でんぷん糖化物等の多価アルコール等の少なくとも1種が使用できる。通常、これらの粘稠剤の配合量は、組成物全体の10〜40%である。
【0028】
粘結剤としては、コンドロイチン硫酸ナトリウムに加えて、本発明の効果を妨げない範囲で他の粘結剤を添加することができる。例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、カラゲナン、キサンタンガム、カーボポール、グアガム、ゼラチン、結晶セルロース等の有機粘結剤や、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト等の無機粘結剤等が挙げられる。通常、これら他の粘結剤の配合量は組成物全体の0.5〜3%である。
【0029】
界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインに加えて、本発明の効果を妨げない範囲で他の界面活性剤を添加することができる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、ラウロイルサルコシン塩、ミリスチルサルコシン塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、N−ラウロイルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えばアルキル基の炭素数が8〜16であるアルキルグリコシド、ショ糖モノ又はジラウレート等の脂肪酸基の炭素数が12〜18であるショ糖脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ステアリン酸モノグリセライド等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウロイルジエタノールアミド等のアルキロイルエタノールアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ラウリン酸デカグリセリル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0030】
これら任意成分としての他の界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて配合することができ、配合量は通常、組成物全量に対して0.1〜5%で、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインと上記した他の界面活性剤との合計配合量が組成物全体の0.2〜6%となる範囲が好ましい。
【0031】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、キシリトール、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等、防腐剤としては、ブチルパラベン、エチルパラベン等のパラベン類、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、トリクロサン等の非イオン性抗菌剤、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム等のカチオン性抗菌剤、精油成分等が配合可能である。
【0032】
各種有効成分としては、必須成分である(A)デキストラナーゼ以外にも他の有効成分を添加することができる。例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、酢酸dl−トコフェロール、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、グリチルレチン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェートなどのキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、ゼオライト、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、塩化ベンゼトニウム、塩化ナトリウム、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物などが挙げられる。なお、これらの有効成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
【0033】
香料は、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及びこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料や、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、歯磨剤組成物に用いられる公知の香料素材を使用することができ、実施例の香料に限定されない。
【0034】
香料の配合量も特に限定されないが、上記の香料素材は、製剤組成中に0.000001〜1%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、製剤組成中に0.1〜2.0%使用するのが好ましい。
【0035】
着色剤としては赤色2号、赤色3号、赤色225号、赤色226号、黄色4号、黄色5号、黄色205号、青色1号、青色2号、青色201号、青色204号、緑色3号が例示される。
【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において配合量はいずれも質量%である。表中のヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリル酸アミドプロピルベタインの配合量は純分換算した配合量を示した。
【0037】
〔実施例、比較例〕
表1,2に示す組成の練歯磨剤組成物を下記方法で調製し、最内層が直鎖状低密度ポリエチレンからなる直径26mmのラミネートチューブ(LDPE55/PET12/LDPE20/白LDPE60/EMAA20/AL10/EMAA30/LDPE20/LLDPE30,厚み257μm(大日本印刷(株)製))に50g充填した。デキストラナーゼ安定化効果、泡立ち、異味のなさ、使用後のサッパリ感を下記方法により評価した。結果を表1,2に示す。
【0038】
(1)試験歯磨剤組成物の調製
歯磨剤組成物の調製は、精製水にコンドロイチン硫酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、ソルビット等の水溶性物質を溶解させた後、アルギン酸ナトリウムなどの粘結剤を分散させたプロピレングリコール液を加え、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油を添加して撹拌した。その後、香料、研磨剤、デキストラナーゼ、ラウリル硫酸ナトリウムの順に加え、更に減圧下(40mmHg)で撹拌し、歯磨剤組成物を得た。なお、製造にはユニミキサー(FM−SR−25、POWEREX CORPORATION社)を用いた。
【0039】
これらの歯磨剤組成物の調製には、デキストラナーゼ(13000U/g品、第一三共プロファーマ(株)製)、コンドロイチン硫酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(デグッサ社製、TEGO Betain CK OK、30%水溶液)、ラウリル酸アミドプロピルベタイン(花王(株)製、アンヒトール20AB、30%水溶液)を用いた。その他、フッ化ナトリウム、サッカリンナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、無水ケイ酸、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、水は医薬部外品原料規格品を用いた。ポリアクリル酸ナトリウムは、レオジック250H(日本純薬(株)製)を用いた。ソルビットについては、70%水溶液品を用いて歯磨剤組成物を調製しており、表中には70%水溶液の配合量を示した。
【0040】
使用したラミネートチューブの層構成における略号と名称は以下の通りであり、略号に続く数字は各層の厚み(μm)を示したものである。
LDPE :低密度ポリエチレン
白LDPE:白色低密度ポリエチレン
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン
AL :アルミニウム
EAA :エチレン・アクリル酸の共重合体樹脂
PET :ポリエチレンテレフタレート
EMAA :エチレン・メタクリル酸の共重合体樹脂
SiOx−PET:ガラス蒸着ポリエチレンテレフタレート
【0041】
(2)デキストラナーゼ安定化効果の評価
歯磨剤組成物を上記ラミネートチューブに50g充填し、40℃で1ヶ月間保存した後、歯磨剤組成物0.6gを0.1Mリン酸緩衝液15mLで懸濁し、その遠心上清を被検液とした。この被検液1mLを1%デキストラン溶液2mLに加え、40℃の恒温槽で正確に10分間反応させ、生じた還元糖量を、ソモギーネルソン法を用いて測定した。デキストラナーゼ1単位は、1分間あたりにグルコース1μmolに相当する遊離還元糖を生じるデキストラナーゼの量とし、繰り返し3回のデキストラナーゼ残存率の平均値を求め、以下の基準で評価した。
【0042】
評点基準
◎:残存率95%以上
○:残存率85%以上95%未満
△:残存率75%以上85%未満
×:残存率75%未満
【0043】
(3)泡立ちの評価
専門家パネラー10人を用いた官能試験により評価し、歯磨剤組成物約1gを市販品歯ブラシに載せ、通常歯を磨く方法で使用した。使用中の口腔内での歯磨剤組成物の泡立ちについて、対照品(比較例3)との比較で下記の4段階で評価した。10名の平均点を求め、次の基準に従って判定した。
【0044】
泡立ちのよさ(対照品:比較例3)
4:泡立ち量が非常に多く、使用感に優れる
3:泡立ち量がかなり多く、使用感が満足できる
2:泡立ち量がやや多く、使用感がやや良い
1:泡立ち量が同等もしくはそれ以下で、使用感が悪い
泡立ちの判定基準
◎:3.0点以上4.0点以下
○:2.0点以上3.0点未満
△:1.5点以上2.0点未満
×:1.5点未満
【0045】
(4)異味のなさの評価
専門家パネラー10人を用いた官能試験により評価した。歯磨剤組成物約1gを市販品歯ブラシに載せ、3分間ブラッシングを行い、使用後に感じた異味について対照品(比較例2)との比較で下記の4段階で評価した。10名の平均点を求め、下記の基準に従い判定した。
【0046】
異味のなさ(対照品:比較例2)
4:異味が全くない
3:異味がほとんどなく問題ない
2:対照品と同等の異味がある
1:異味がある
異味のなさの判定基準
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
【0047】
(5)使用後のサッパリ感の評価
専門家パネラー10人を用いた官能試験により評価した。歯磨剤組成物約1gを市販品歯ブラシに載せ、3分間ブラッシングを行い、使用後に感じた口腔内のサッパリ感(口腔内で製剤がべたつくことがなく、すすぎが速やかにでき、使用者がサッパリしたと感じる程度)について対照品(比較例2)との比較で下記の4段階で評価した。10名の平均点を求め、次の基準に従い判定した。
【0048】
使用後のサッパリ感(対照品:比較例2)
4:サッパリ感が非常に高い
3:サッパリ感がかなり高い
2:サッパリ感がやや高い
1:対照品と同等もしくは対象品よりサッパリ感に劣る
サッパリ感の判定基準
◎:3.0点以上4.0点以下
○:2.0点以上3.0点未満
△:1.5点以上2.0点未満
×:1.5点未満
【0049】
表1,2の結果から、本発明の歯磨剤組成物は、デキストラナーゼの経時保存安定化効果が高く、しかも泡立ちに優れ、異味がほとんどなく、口腔内がサッパリした感覚が満足に得られることを確認した。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)デキストラナーゼ、(B)コンドロイチン硫酸ナトリウム、及び(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを含有し、(B)コンドロイチン硫酸ナトリウムの配合量が0.1〜3.0質量%、(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインの配合量が0.1〜1.0質量%であることを特徴とする歯磨剤組成物。
【請求項2】
(C)成分/(B)成分の質量比が0.1〜3.0であることを特徴とする請求項1記載の歯磨剤組成物。

【公開番号】特開2010−143842(P2010−143842A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321767(P2008−321767)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】