説明

段ボールシート製造装置

【課題】測定誤差を補正するための補正データに従って段ボールのオーダ変更位置を変化させ、オーダ変更位置で切断された先行する段ボールから、所定シート長さの段ボールシートを不良品なく順次製造する。
【解決手段】オーダ1の1枚目シート部分後端が切断されたと判断されれば(S10)、データメモリ130に記憶された多数の補正データの中から、オーダ1の搬送速度、段ボールの紙質、フルートの種類という運転条件に合った補正データが読み込まれ(S11)、補正データに従って測定誤差が算出される(S12)。補正データは測定搬送長さLXに対する測定誤差の比率αであるから、測定誤差は搬送長さLXと比率αとを掛けた値となる。後端追跡長さがロータリーシャ制御装置141に指令される(S13)。後端追跡長さは、位置P1と100枚目シート部分後端との距離と測定誤差とを合計した長さである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続した段ボールを所定のシート長さに切断して段ボールシートを製造する段ボールシート製造装置に関し、詳細には、複数の異なるオーダを連続して実行するために、オーダ変更時点で、連続した段ボールを幅方向に切断してリーダとトレーラとをギャップを設けて形成し、そのギャップがスリッタスコアラやカットオフ装置などの加工装置の配置位置を通過する間に加工装置の加工位置を切り替える段ボールシート製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の異なるオーダを連続して実行する場合、スリッタスコアラなどの加工装置は、各オーダに応じて幅方向の切断位置や罫線位置などの加工位置を切り替える必要がある。この加工位置の切り替えが、段ボールが搬送されている間に行われると、加工位置の切り替えの間に搬送された段ボールは、不良品となり、廃棄される。この不良な段ボールの発生量は、オーダ変更が頻繁に行われる多種少量生産において、顕著となり、生産効率を低下させる原因となる。
【0003】
この従来の問題点を解決するために、特許文献1には、不良な段ボールの発生を抑えることができる切断機械が開示されている。この切断機械において、オーダ変更位置に対応する段ボール上の位置に金属テープのターゲットが配置され、このターゲットが感知手段により検出された時に、ロータリーシャにより段ボールが幅方向に切断され、前方の段ボールであるリーダと後方の段ボールであるトレーラとに分離される。その後に、リーダの搬送速度が増速され、リーダとトレーラとの間にギャップが設けられる。合わせマークが、各オーダに応じた所定のシート長さに対応する間隔で段ボールに付けられ、光学的センサにより検出される。合わせマークが検出されると、段ボールは、切断ナイフにより所定のシート長さに切断される。ギャップが切断ナイフの配置位置を通過している間に、切断ナイフがトレーラ上に位置するターゲットと同期させられる。すなわち、ギャップが通過する間に、段ボールのスクラップが生じることなく、各オーダに応じて切断ナイフの加工位置が調整される。
【0004】
特許文献1に記載の切断機械においては、オーダ変更位置を表すターゲットと、各オーダに応じたシート長さを表す合わせマークとを段ボールに予め付しておく必要がある。このため、段ボールシートの製造工程において、ターゲットおよび合わせマークを段ボールに付す工程と、ターゲットおよび合わせマークを常時検出する工程とが必要となり、生産効率を高める上で、問題となる。
【0005】
そこで、ターゲットおよび合わせマークを段ボールに付す代わりに、段ボールの搬送速度を常時測定する流長検出用パスル発生器などの測定手段を設けたドライエンド機構が特許文献2に開示されている。この特許文献2に開示されたドライエンド機構においては、測定手段からの測定値を基に、段ボール上でのオーダ変更位置が推定されてロータリーシャにより段ボールが幅方向に切断される。また、測定手段からの測定値を基に、各オーダに応じたシート長さを毎回補正して各シートの切断位置が推定されてカットオフ装置により段ボールが段ボールシートに切断される。この場合、ロータリーシャは、段ボールの搬送路に沿って、カットオフ装置より所定の距離だけ上流側に配置されていることから、まず、ロータリーシャがオーダ変更位置において段ボールをリーダとトレーラとに切断する。カットオフ装置は、その切断された前方の段ボールであるリーダ上の所定位置においてリーダを段ボールシートに順次切断していく。
【特許文献1】特開昭57−173497号公報
【特許文献2】特開昭63−169288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2に開示されたドライエンド機構は、段ボールシートの生産効率を高める上では有効なものであるが、段ボールがロータリーシャにより切断される前における測定手段の測定状況と、切断された後における測定手段の測定状況とが大きく変化することから、測定手段からの測定値を基に、カットオフ装置がリーダを切断して段ボールシートを製造しても、その段ボールシートのシート長さが所定の許容長さ範囲から外れることがあり、許容範囲を外れた段ボールシートは不良品となり、生産効率を確実に高める上で、問題が残されていた。すなわち、段ボールがロータリーシャにより切断される前において、段ボールは一定のテンションを付与されて搬送される。段ボールは糊の塗布量に応じて変形するが、この段ボールの変形は、搬送中のテンションの作用により、ある程度矯正される。このように矯正された段ボールが一定の速度で搬送されている状態において、測定手段は段ボールの搬送速度を測定することができる。これに対し、段ボールがロータリーシャにより切断された後において、切断されたリーダの後端部は、テンションから解放され、変形し易くなる。そして、リーダは、トレーラとの間でギャップを形成するために加速されて搬送されることから、測定手段は、上記の変形の発生やリーダとの間のすべりなどに起因して、リーダの搬送速度およびその速度に基づく搬送長さを正確に測定することができなくなる。ロータリーシャによる段ボールの切断後において、測定手段の測定値に比較的大きな誤差が生ずることから、カットオフ装置により切断された段ボールシートのシート長さがばらつき、特に最後に切断された段ボールシートのシート長さが所定のシート長さと大きく異なり、不良品が発生するのである。
【0007】
本件出願の発明者は、ロータリーシャにより段ボールが切断された後における測定手段の測定値の誤差が、主にフルートの種類、リーダの加速状況および紙質に応じて変化することを発見し、測定値の誤差と、フルートの種類、リーダの加速状況および紙質との関係を、実験を通して確認した。そして、発明者は、測定手段の測定値を補正するためにフルートの種類、リーダの加速状況および紙質に応じて予め決められた補正値に基づいて、段ボール上でのオーダ変更位置を変化させることを思い付いた。
【0008】
本発明は、上記の発見を基になされたものであり、測定部の測定誤差を補正するために予め記憶された補正データに従って、段ボール上でのオーダ変更位置を変化させ、このオーダ変更位置での切断により形成された先行する段ボールから、所定のシート長さの段ボールシートを不良品なく順次製造することが可能な段ボールシート製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明態様は、段ボール生産ラインから搬送方向に搬送された連続する段ボールに対して、各オーダに応じた加工を行うと共に所定のシート長さに切断して段ボールシートを製造する段ボールシート製造装置において、オーダが変更されるときに前記搬送方向と直交する幅方向に段ボールを切断する第1の切断部と、前記搬送方向において前記第1の切断部より下流側に配置され、各オーダに応じたスリットおよび罫線の加工を段ボールに施す加工部と、前記搬送方向において前記加工部より下流側に配置され、各オーダに応じた所定のシート長さに段ボールを前記幅方向に切断する第2の切断部と、連続する段ボールから前記第1の切断部により切断され前記搬送方向において先行する段ボールを搬送する第1の駆動部と、後続の段ボールを搬送する第2の駆動部とを有する搬送部と、前記第1の切断部により切断される前の連続する段ボールが搬送された搬送長さを測定すると共に、前記第1の切断部により切断された後の前記先行する段ボールが搬送された搬送長さを測定する測定部と、前記測定部により測定された搬送長さに基づいて、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を決定して前記第1の切断部を作動させる第1の機能と、前記第1の切断部の作動後に、前記先行する段ボールと前記後続の段ボールとの間に所定のギャップが生じるように前記第1および第2の駆動部の搬送速度を制御する第2の機能と、前記測定部により測定された搬送長さに基づいて、各オーダに応じた所定のシート長さに前記先行する段ボールを切断するために前記第2の切断部を作動させる第3の機能とを有する制御部と、前記先行する段ボールが前記第1の駆動部により搬送された実際の搬送長さと、前記先行する段ボールがその実際の搬送長さだけ搬送される間に前記測定部により測定された搬送長さとの誤差に関する補正データを予め記憶する記憶部と、前記制御部の第1の機能を実行する際に、前記記憶部に記憶された補正データに従って、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を変化させる位置補正部と、を備える構成である。
【0010】
発明態様の測定部は、第1の切断部による段ボールの切断前および切断後において、段ボールの搬送長さを測定するものであれば、いかなる構成でもよく、一般には、段ボールの搬送速度を測定する速度計と、その速度計からの測定信号を処理して搬送長さを求める信号処理手段とを含む構成である。たとえば、搬送速度を測定するために、第1の切断部の上流側と第2の切断部の上流側とに2つの速度計を設ける構成でもよいし、または第2の切断部の上流側のみに1つの速度計を設ける構成でもよい。また、測定部は、搬送されている段ボールに接触して搬送速度を測定する接触型の速度計を有していてもよいし、または搬送されている段ボールに向かって光を照射しその反射光の周波数に応じて搬送速度を測定する非接触型の速度計を有していてもよい。
【0011】
発明態様の制御部の第2の機能は、先行する段ボールと後続の段ボールとの間に生じるギャップが一定の間隔となるように第1および第2の駆動部の搬送速度を制御する構成でもよいし、または、そのギャップが第2の駆動部の搬送速度に応じて変化するように両駆動部の搬送速度を制御する構成でもよい。ここで、発明態様の所定のギャップとは、そのギャップが加工部または第2の切断部の配置領域を通過する間に、加工部または第2の切断部がオーダ変更に応じて加工位置などを切り替えるのに充分な間隔である。
【0012】
発明態様の記憶部が記憶する補正データは、測定器の搬送誤差を知ることができるデータであれば、如何なる形式のデータであってもよい。たとえば、所定の搬送長さが指令されたときに実際に搬送された実際搬送長さLAと、その実際搬送長さだけ搬送される間に測定器により測定された測定搬送長さLXとの比率(LA/LX)であってもよく、または、測定搬送長さLXに対する両者の差の比率[(LA−LX)/LX]であってもよい。また、発明態様の記憶部が記憶する補正データは、過去に実行された搬送動作を通して得られた誤差に基づいて予め作成される。たとえば、先行する段ボールが第1の駆動部により所定の条件で搬送されたときに、実際の搬送長さと測定された搬送長さとの誤差を求め、この誤差に基づいて、補正データは予め作成される。所定の条件の決定要因としては、段ボールの搬送速度、段ボールの紙質、フルートの種類、管理制御装置により指令された搬送長さなどが挙げられる。指令された搬送長さが大きければ、誤差も大きくなることから、発明態様では、決定要因をどのように設定するかなどを含め補正データの作成方法については何ら限定されない。
【0013】
発明態様の位置補正部がオーダ変更位置を変化させる時期は、第1の切断部を作動させる前であれば、何ら限定されない。たとえば、オーダ変更位置を変化させる時期は、オーダに応じた生産計画枚数より所定枚数少ない枚数分の段ボールが搬送されたことが測定部により測定されたときであっても、またはオーダの実行開始から所定時間経過時であってもよい。
【0014】
発明態様の位置補正部は、実際の搬送長さと測定された搬送長さとの誤差に関する補正データに従ってオーダ変更位置を変化させる構成である。位置補正部は、このオーダ変更位置の変化量を前記誤差に関する補正データのみによって決定する構成に限定されず、オーダ変更位置の変化量を前記誤差と共に先行する段ボールの伸びなどの他の要素を加味して決定する構成でも良い。また、発明態様の位置補正部は、搬送方向において上流側にオーダ変更位置を変化させる場合も、または下流側にオーダ変更位置を変化させる場合もある。たとえば、実際の搬送長さが測定部により測定された搬送長さより長い場合には、位置補正部は、搬送方向において上流側にオーダ変更位置を変化させる。一方、先行する段ボールの伸びが比較的に大きく、その伸びが前記誤差より大きい場合には、位置補正部は、搬送方向において下流側にオーダ変更位置を変化させる。具体的には、測定部として接触型の測定部を使用する場合には、測定部が段ボールに対して滑ることから、実際の搬送長さが測定部により測定された搬送長さより長くなる場合があり、位置補正部は、オーダ変更位置を上流側に変化させる。反対に、第1の切断部により段ボールが切断された後に搬送速度が大きく加速されたときに、第1の切断部と第2の切断部との配置位置の間に存在する特定の段ボールが伸びることがある。この伸びた特定の段ボールの実際の長さと、この実際の長さが測定部により測定されたときの測定長さとの誤差が、特定の段ボールの伸びの大きさより小さい場合、位置補正部は、搬送方向においてオーダ変更位置を下流側に変化させる。
【0015】
請求項2に係る具体的態様は、前記記憶部が、段ボールの搬送速度と段ボールの紙質とフルートの種類との中の少なくとも1つの決定要因に応じて予め決められた補正データを複数記憶し、前記位置補正部が、前記先行する段ボールを使用するオーダにおいて決められた前記少なくとも1つの決定要因に応じた補正データを、前記記憶部に記憶された複数の補正データの中から選択し、その選択された補正データに従って前記オーダ変更位置を補正する構成である。
【0016】
具体的態様の位置補正部は、管理制御装置により指令された決定要因の内容に従って自動的に補正データを選択する構成でも、ユーザにより入力設定された決定要因の内容に従って補正データを選択する構成でも良い。
【0017】
請求項3に係る具体的態様は、前記測定部が、搬送されている段ボールに接触して搬送長さを測定し、前記位置補正部が、前記先行する段ボールの後端が前記第1の切断部の配置位置から前記第2の切断部の配置位置まで前記第1の駆動部により搬送された実際の搬送長さと、前記先行する段ボールがその実際の搬送長さだけ搬送される間に前記測定部により測定された搬送長さとの誤差を前記補正データに従って算出し、その算出された誤差だけ、前記オーダ変更位置を前記搬送方向において上流側に変化させる構成である。
【0018】
具体的態様における実際の搬送長さは、第1の切断部により段ボールが切断される第1の切断部の配置位置から、その切断された先行する段ボールの後端の搬送長さが測定部により測定されることが可能な第2の切断部の近傍位置まで、第1の駆動部により段ボールが搬送された長さである。第2の切断部の配置位置近傍では、段ボールの搬送長さを測定部により測定することが不可能な領域が存在することから、実際の搬送長さとしては、段ボールが第2の切断部により切断される位置までの長さでなくても、第2の切断部の配置位置の近傍までの長さでも良い。
【0019】
請求項4に係る具体的態様は、前記制御部の第2の機能が、前記先行する段ボールの後端が前記加工部の配置位置に到達したときに、前記第2の駆動部の搬送速度に関係なく、前記ギャップが一定の間隔となるように前記第1の駆動部の搬送速度を制御する構成である。
【0020】
具体的態様では、前記先行する段ボールの後端が前記加工部の配置位置に到達したときに一定の間隔のギャップが生じるのであれば、第2の駆動部の搬送速度を一定速度に維持して第1の駆動部の搬送速度のみを加速させるように制御することでも、または第1および第2の駆動部の両搬送速度を可変速度で制御することでもよい。また、先行する段ボールの後端が加工部の配置位置に到達した後においても、ギャップが一定の間隔に維持されても、その間隔から大きくなるように第1の駆動部の搬送速度を制御してもよい。
【0021】
請求項5に係る具体的態様は、前記制御部の第2の機能が、前記第1の切断部により連続する段ボールが切断されてから前記先行する段ボールの後端が前記加工部の配置位置に到達するまでの間、前記第1および第2の駆動部の少なくとも一方の搬送速度を可変速度で制御し、前記先行する段ボールの後端が前記加工部の配置位置に到達してから前記先行する段ボールの後端が前記第2の切断部の配置位置に到達するまでの間、前記第1および第2の駆動部の両搬送速度を一定の速度で制御する構成である。
【0022】
具体的態様では、第1および第2の駆動部の少なくとも一方の搬送速度を可変速度で制御する構成は、第1の駆動部の搬送速度を加速し第2の駆動部の搬送速度を一定速度に制御することも、第1の駆動部の搬送速度を一定速度とし第2の駆動部の搬送速度を減速することも、または両駆動部の搬送速度を共に可変速度で制御することでもよい。
【0023】
請求項6に係る具体的態様は、前記制御部の第2の機能が、前記第1の切断部により連続する段ボールが切断されてから前記先行する段ボールの後端が前記加工部の配置位置に到達するまでの間、前記第1の駆動部の搬送速度を所定の基準速度から加速し、前記先行する段ボールの後端が前記加工部の配置位置に到達してから前記先行する段ボールの後端が前記第2の切断部の配置位置に到達するまでの間、前記第1の駆動部の搬送速度を前記所定の基準速度より高い一定の高速度で制御し、前記先行する段ボールの後端が前記第2の切断部の配置位置を通過した後に、前記第1の駆動部の搬送速度を前記一定の高速度から前記所定の基準速度に減速し、また、前記制御部の第2の機能は、前記第2の駆動部の搬送速度を前記所定の基準速度に保持する構成である。
【0024】
請求項7に係る具体的態様は、前記搬送部が、前記第1の切断部から前記加工部を介して前記第2の切断部まで搬送される段ボールを吸引して搬送する構成である。
【0025】
具体的態様の搬送部は、第1の切断部により切断された先行する段ボールが、切断前に付与されていた張力から解放されて変形したり、または蛇行したりすることを防止できるような吸引力で吸引する構成であれば、如何なる吸引作用を有する構成でも良い。
【0026】
請求項8に係る具体的態様は、前記測定部が、前記搬送方向において前記第1の切断部の上流側に配置され、前記第1の切断部により切断される前の連続する段ボールが搬送された搬送長さを測定するための第1の測定器と、前記搬送方向において前記加工部より下流側で前記第2の切断部より上流側に配置され、前記先行する段ボールが搬送された搬送長さを測定するための第2の測定器とを有し、前記制御部の第1の機能が、前記第1の測定器により測定された測定結果に基づいて、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を決定して前記第1の切断部を作動させ、前記制御部の第3の機能が、前記第2の測定器により測定された測定結果に基づいて、各オーダに応じた所定のシート長さに前記先行する段ボールを切断するために前記第2の切断部を作動させる構成である。
【0027】
具体的態様の第1および第2の測定器は、段ボールの搬送長さを測定するために使用されるものであれば、如何なる構成のものでも良い。たとえば、測定器単体で搬送長さを測定する構成でも、段ボールの搬送速度を表す速度信号を発生する速度計と、その速度信号を積分して搬送長さを算出する処理手段との組み合わせでもよい。また、第2の測定器は、先行する段ボールの搬送長さを測定するための機能を少なくとも有すれば良く、第1の切断部が作動される前の所定期間だけ、連続する段ボールの搬送長さを測定するために使用されても良い。
【0028】
請求項9に係る具体的態様は、前記測定部が、現在実行されているオーダに応じた生産計画枚数より所定の枚数少ない枚数分の段ボールシートの長さに相当する基準搬送長さだけ、連続する段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過した否かを判断する基準長判断部と、前記基準搬送長さの段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過しないと前記基準長判断部により判断されている間、前記第1の測定器の測定結果を有効にし、前記基準搬送長さの段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過したと前記基準長判断部により判断されたとき、前記第1の測定器の測定結果を無効にして前記第2の測定器の測定結果を有効にする測定切替部とを備え、前記制御部の第1の機能が、前記第1の測定器の測定結果が有効である間、その測定結果に基づいて、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を決定して前記第1の切断部を作動させると共に、各オーダに応じた所定のシート長さに、連続する段ボールを切断するために前記第2の切断部を作動させ、前記制御部の第3の機能が、前記第2の測定器の測定結果が有効である間、その測定結果に基づいて、各オーダに応じた所定のシート長さに前記先行する段ボールを切断するために前記第2の切断部を作動させる構成である。
【0029】
請求項10に係る具体的態様は、前記基準長判断部が、前記生産計画枚数より1枚だけ少ない枚数分の段ボールシートの長さに相当する基準搬送長さだけ、連続する段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過したか否かを判断する構成である。
【0030】
請求項11に係る具体的態様は、前記位置補正部が、各オーダに応じた生産計画枚数より所定の枚数少ない枚数分の段ボールシートの長さだけ、連続する段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過した時点における前記第1の切断部の配置位置とオーダ変更すべき新たなオーダ変更位置との間の追加の長さを、前記補正データに従って設定する設定部を備え、前記制御部の第1の機能が、前記設定された追加の長さが前記測定部により測定されたか否かを判断する追加長判断部を備え、前記測定部により前記追加の長さが測定されたと前記追加長判断部により判断されたとき、前記第1の切断部を作動させる構成である。
【0031】
請求項12に係る具体的態様は、前記測定部が、前記搬送方向において前記第1の切断部の上流側に配置され、連続する段ボールが搬送された搬送長さを測定するために、前記第1の測定器とは別個に設けられた第3の測定器を備え、前記位置補正部が、各オーダに応じた生産計画枚数より所定の枚数少ない枚数分の段ボールシートの長さだけ、連続する段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過した時点における前記第1の切断部の配置位置とオーダ変更すべき新たなオーダ変更位置との間の追加の長さを、前記補正データに従って設定する設定部を備え、前記制御部の第1の機能が、前記第3の測定器により測定された測定結果に基づいて、前記測定部により前記追加の長さが測定されたか否かを判断する追加長判断部を備え、前記測定部により前記追加の長さが測定されたと前記追加長判断部により判断されたとき、前記第1の切断部を作動させる構成である。
【0032】
請求項13に係る具体的態様は、前記制御部の第3の機能が、前記搬送方向において前記第2の切断部より上流側に配置され、段ボールの有無を検出する検出部と、現在実行されているオーダに応じた生産計画枚数より1枚少ない枚数分の段ボールシートが前記第2の切断部により切断されたか否かを判断する第3の判断部とを備え、前記検出部により段ボールがあることが検出されている間、前記第2の切断部の切断作動を許容し、前記第3の判断部により前記生産計画枚数より1枚少ない枚数分の段ボールシートが切断されたと判断された場合、前記検出部により段ボールがあることが検出されているときでも、前記第2の切断部の作動を禁止する構成である。
【発明の効果】
【0033】
請求項1に係る発明態様は、先行する段ボールが第1の駆動部により搬送された実際の搬送長さと、先行する段ボールがその実際の搬送長さだけ搬送される間に測定部により測定された搬送長さとの誤差に関する補正データを予め記憶する記憶部と、制御部の第1の機能を実行する際に、記憶部に記憶された補正データに従って、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を変化させる位置補正部とを備えている。この結果、補正データに従って変化されたオーダ変更位置は、測定部の測定誤差を見込んで決められたことから、先行する段ボールが第2の切断部により所定のシート長さに順次切断されても、最後に切断されたシートが所定のシート長さより測定誤差だけ大幅に短くなることはなく、不良長さのシートの発生を防止することができる。
【0034】
請求項2に係る具体的態様では、位置補正部が、先行する段ボールを使用するオーダにおいて決められた少なくとも1つの決定要因に応じた補正データを、記憶部に記憶された複数の補正データの中から選択する。この結果、測定誤差の決定要因に応じた最適な補正データを自動的に選択して、オーダ変更位置を精度良く変化させることができ、測定誤差の補正を一層確実に行うことができる。
【0035】
請求項3に係る具体的態様では、測定部が接触型の測定部であり、段ボールと接触する測定部の部分は、段ボールとの間ですべりを生ずるため、実際に搬送された長さは、測定された搬送長さより測定誤差分だけ長くなる。このため、位置補正部は、先行する段ボールの後端が第1の切断部の配置位置から第2の切断部の配置位置まで第1の駆動部により搬送された実際の搬送長さと、先行する段ボールがその実際の搬送長さだけ搬送される間に測定部により測定された搬送長さとの誤差を補正データに従って算出し、その算出された誤差だけ、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を搬送方向において上流側に変化させる。この結果、接触型の測定部を使用する場合でも、オーダ変更位置を上流側に変化させることで最後に切断されたシートが測定誤差だけ大幅に短くなることを確実に防止することができる。
【0036】
請求項4に係る具体的態様では、先行する段ボールの後端が加工部の配置位置に到達したときに、第2の駆動部の搬送速度に関係なく、ギャップが一定の間隔となるように第1の駆動部の搬送速度が制御される。この結果、第2の駆動部の搬送速度に応じてギャップの大きさを変化させる構成に比べ、第1および第2の駆動部の制御処理が簡単になり、制御処理の負担が軽減される。
【0037】
請求項5に係る具体的態様では、先行する段ボールの後端が加工部の配置位置に到達してから先行する段ボールの後端が第2の切断部の配置位置に到達するまでの間、第1および第2の駆動部の両搬送速度が一定の速度で制御される。この結果、搬送速度が一定であることから、加工部および第2の切断部の加工位置を新たなオーダに応じて切り替える時間を第1および第2の搬送速度に応じて変化させる必要がなくなり、切り替え制御が簡単になり、切り替え動作を確実に実行することが可能となる。
【0038】
請求項6に係る具体的態様では、先行する段ボールの後端が加工部の配置位置に到達してから先行する段ボールの後端が第2の切断部の配置位置に到達するまでの間、第1の駆動部の搬送速度が所定の基準速度より高い一定の高速度で制御され、先行する段ボールの後端が第2の切断部の配置位置を通過した後に、第1の駆動部の搬送速度が一定の高速度から所定の基準速度に減速され、また、第2の駆動部の搬送速度が所定の基準速度に保持される。この結果、第2の駆動部の搬送速度を変化させずに第1の駆動部の搬送速度のみを主に制御することにより、加工部および第2の切断部の加工位置を切り替える時間として所定の時間を確保することが容易にでき、切り替え制御が一層簡単になり、切り替え動作を確実に実行することが可能となる。
【0039】
請求項7に係る具体的態様では、第1の切断部から加工部を介して第2の切断部まで搬送される段ボールが吸引されて搬送される。この結果、先行する段ボールの後端は、第1の切断部により切断された後に所定の張力から解放され、変形や蛇行のおそれがあるが、吸引されながら搬送されることで、その変形や蛇行が抑制され、また測定部による搬送長さの測定も正確に行うことが可能になる。
【0040】
請求項8に係る具体的態様では、第1の切断部の上流側および第2の切断部の上流側に第1のおよび第2の測定器がそれぞれ配置され、第1の測定器により測定された測定結果に基づいて、オーダ変更位置が決定されて第1の切断部が作動し、第2の測定器により測定された測定結果に基づいて、各オーダに応じた所定のシート長さに、先行する段ボールを切断するために第2の切断部が作動する。この結果、第1の測定器は、第2の切断部の切断作動により発生する振動の影響を受けないように第2の切断部から離れた上流側の位置に配置されていることから、連続する段ボールの搬送長さを正確に測定することができ、オーダ変更位置の決定を正確に行う上で有効となる。また、第2の測定器は、第2の切断部からの振動の影響を受けるものの、第2の切断部により切断される直前の段ボールの搬送長さをも測定することができ、所定のシート長さの切断を可能な限り正確に行う上で有効となる。
【0041】
請求項9に係る具体的態様では、連続する段ボールが基準搬送長さだけ搬送されるまでは、第1の測定器の測定結果が有効とされ、基準搬送長さだけ搬送された後は、第2の測定器の測定結果が有効とされる。この結果、第1の測定器は、第2の切断部の切断作動による振動の影響を受けずに、連続する段ボールの搬送長さを基準搬送長さに達するまで正確に測定することが可能となる。また、第2の測定器は、第2の切断部により切断される直前まで、先行する段ボールの搬送長さを測定することができる。この2つの測定器を切り替えて使用することにより、搬送長さの正確な測定と、切断直前までの搬送長さの測定とを両立させることができる。
【0042】
請求項10に係る具体的態様では、基準搬送長さが生産計画枚数より1枚だけ少ない枚数分の段ボールシートの長さに相当する長さに定められている。この結果、第1の測定器は、各オーダの残り1枚のシートまで第2の切断部からの振動の影響を受けずに、連続する段ボールの搬送長さを正確に測定することができる。
【0043】
請求項11に係る具体的態様では、各オーダに応じた生産計画枚数より所定の枚数少ない枚数分の段ボールシートの長さだけ、連続する段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過した時点における前記第1の切断部の配置位置とオーダ変更すべき新たなオーダ変更位置との間の追加の長さが、前記補正データに従って設定される。測定部により追加の長さが測定されたと追加長判断部により判断されたとき、第1の切断部が作動する。この結果、比較的短い追加の長さの搬送を測定することにより、段ボール上のオーダ変更位置を第1の切断部の配置位置まで正確に搬送することができ、測定誤差を加味したオーダ変更位置にて段ボールを正確に切断することが可能となる。
【0044】
請求項12に係る具体的態様では、第3の測定器が、搬送方向において第1の切断部の上流側に配置され、連続する段ボールが搬送された搬送長さを測定するために、前記第1の測定器とは別個に設けられ、第3の測定器により測定された測定結果に基づいて、測定部により追加の長さが測定されたか否かが判断される。第1の切断部により段ボールがオーダ変更位置で切断される寸前まで、第1の測定器が段ボールの搬送長さを測定することは、第1の切断部と第1の測定器との配置関係から不可能である。このため、第1の切断部が作動する前に、第1の測定器から第2の測定器へ切り替えられ、段ボールの搬送長さが第2の測定器により測定される。しかし、第2の測定器は、第2の切断部の切断動作による振動の影響を受けることから、本具体的態様では、第3の測定器が追加の長さの搬送を測定することにより、第2の切断部からの振動の影響を受けることなく、段ボール上のオーダ変更位置が第1の切断部の配置位置まで搬送されたことを正確に測定することができる。
【0045】
請求項13に係る具体的態様では、現在実行されているオーダに応じた生産計画枚数より1枚少ない枚数分の段ボールシートが第2の切断部により切断されたか否かを判断する切断判断部が備えられる。検出部により段ボールがあることが検出されている間、第2の切断部の切断作動が許容され、切断判断部により生産計画枚数より1枚少ない枚数分の段ボールシートが切断されたと判断された場合、検出部により段ボールがあることが検出されているときでも、第2の切断部の作動が禁止される。先行する段ボールの後端は第1の切断部により切断されており、各オーダの最後のシートの後端となるが、この最後のシートの後端が第2の切断部により重複して切断されたとすると、最後のシートの後端が不規則な切口となり、不良品となることがある。本具体的態様は、第2の切断部が最後のシートの後端を重複して切断することを禁止することで、最後のシートが不良品となることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
[実施形態]
本発明の段ボールシート製造装置をコルゲートマシンに適用した一実施形態について、添付図面を参照して以下に説明する。一般に、コルゲートマシンは、連続する両面段ボールを生産する生産エンドと、両面段ボールを加工する加工エンドとを備えている。生産エンドは、ミルロールスタンド、シングルフェーサおよびダブルフェーサなどの多数の生産装置のラインから構成され、加工エンドは、ロータリーシャ、スリッタスコアラ、カットオフ装置およびスタッカ装置などの多数の加工装置のラインから構成されている。コルゲートマシンの構成は、特開2007−152691号公報などにより公知であるので、その詳細な説明は省略する。本実施形態のコルゲートマシン1については、段ボールの搬送方向FDにおいて、ダブルフェーサ10より下流側に配置された加工エンドのみを図1に示して説明する。本明細書および図面において、上下方向および左右方向は図1に矢印で示す方向を示し、搬送方向FDは、図1において、右側から左側に搬送される方向を表す。
【0047】
《全体的構成》
図1は、本実施形態のコルゲートマシン1における多数の加工装置の全体的構成を示す正面図である。図1において、コルゲートマシン1の加工エンドは、ダブルフェーサ10の出口から下流側に延びる搬送路に沿って、ロータリーシャ20、スリッタスコアラ30、カットオフ装置40、およびスタッカ装置50を備えている。ダブルフェーサ10は、シングルフェーサにより生産された片面段ボールに表ライナを貼り合わせて両面段ボールを形成するものである。ダブルフェーサ10は、上部ベルト11および下部ベルト12を備え、両ベルトにより両面段ボールを上下から挟持して搬送するものである。上部ベルト11および下部ベルト12は、駆動モータ13に連結された上部プーリ14および下部プーリ15によりそれぞれ駆動される。本実施形態の両ベルト11、12、両プーリ14、15および駆動モータ13は、本発明の第2の駆動部の一例であり、搬送部の一部に相当するものである。
【0048】
〈加工エンドの構成〉
ロータリーシャ20は、ダブルフェーサ10の下流側に配置されており、オーダ変更時に、両面段ボールを搬送方向FDと直交する幅方向に全幅切断するものである。ロータリーシャ20は、上下に対向配置されたナイフシリンダ21とアンビルシリンダ22と備えている。ナイフシリンダ21の周面には、幅方向に延びるナイフが設けられている。アンビルシリンダ22は、ナイフシリンダ21のナイフと係合する受部を有している。両シリンダ21、22が回転すると、ナイフと受部とが係合して両面段ボールが幅方向に切断される。本実施形態のロータリーシャ20は、本発明の第1の切断部の一例である。
【0049】
スリッタスコアラ30は、所定の幅を持つように両面段ボールを搬送方向FDに切断すると共に、搬送方向FDに延びる罫線を施すものである。スリッタスコアラ30は、搬送方向FDに沿って配列された第1のユニット30Aと第2のユニット30Bとから構成されている。第1および第2のユニット30A、30Bは、一方が稼動中に、他方は、オーダ変更のために幅方向の加工位置の切り替えなどの準備作業を行なうように構成されている。
【0050】
第1のユニット30Aは、搬送方向FDに沿って配列された罫線ロール対31Aおよび罫線ロール対32Aを備えている。各罫線ロール対は、上下に対向配置された上罫線ロールと下罫線ロールとの組を幅方向に多数組有している。上罫線ロールおよび下罫線ロールはそれぞれ幅方向および上下方向に移動可能に構成されている。
【0051】
罫線ロール対32Aの下流側には、スリッタナイフ対33Aが配置されている。スリッタナイフ対33Aは、上下に対向配置された上スリッタナイフと下スリッタナイフとの組を幅方向に多数組有している。上スリッタナイフおよび下スリッタナイフはそれぞれ幅方向および上下方向に移動可能に構成されている。
【0052】
各オーダに従う所定幅に両面段ボールを切断するために多数組のスリッタナイフ対の中の複数組のスリッタナイフ対が選択的に作動され、幅方向において位置決めされる。また、各オーダに従う幅方向の間隔で罫線を加工するために多数の罫線ロール対の中の複数の罫線ロール対が選択的に作動され、幅方向において位置決めされる。各罫線ロール対は、各オーダ通りの深さの罫線を加工するために上下方向においても位置決めされる。罫線ロール対31A、32Aおよびスリッタナイフ対33Aが回転すると、各オーダに応じて位置決めされた幅方向の所定位置に、切断および罫線の加工が両面段ボールに施される。
【0053】
第2のユニット30Bも、第1のユニット30Aと同様に構成され、2組の罫線ロール対31B、32Bと、スリッタナイフ対33Bとを備えている。図1では、第2のユニット30Bが準備状態にあり、上下の罫線ロールおよび上下のスリッタナイフが互いに離間している。本実施形態のスリッタスコアラ30は、本発明の加工部の一例である。
【0054】
カットオフ装置40は、スリッタスコアラ30によって搬送方向FDに切断された両面段ボールを幅方向に切断し、板状の段ボールシートを形成するものである。カットオフ装置40は、上下に対向配置された上ナイフシリンダ41および下ナイフシリンダ42を有している。両ナイフシリンダ41、42が回転してナイフが噛合うことにより、両面段ボールが幅方向に切断される。カットオフ装置40は、供給側コンベア43および送出側コンベア44を有している。供給側コンベア43は、連続する両面段ボールを両ナイフシリンダ41、42に供給するものであり、送出側コンベア44は両ナイフシリンダのナイフにより切断された段ボールシートを送出するものである。両コンベア43、44の搬送速度は、両ナイフシリンダ41、42の回転速度と同期している。本実施形態のカットオフ装置40は、本発明の第2の切断部の一例である。
【0055】
スタッカ装置50は、送出側コンベア44から搬送コンベア51により搬送された段ボールシートを積み上げ、製品として機外に排出するものである。スタッカ装置50は、各オーダに従うサイズの段ボールシートを積載するために最適なパレットを自動的に選択するように構成されている。また、スタッカ装置50は、積載される段ボールシートの積載位置を規制するフロントストッパを、各オーダに従う段ボールシートのサイズに応じて自動的に位置決めするように構成されている。
【0056】
〈サクションコンベアの構成〉
ロータリーシャ20からカットオフ装置40までの間において、連続する両面段ボールを搬送するためにサクションコンベア群60が配置されている。サクションコンベア群60は、第1ないし第3のサクションコンベア61、62、63からなる。第1のサクションコンベア61は、ロータリーシャ20とスリッタスコアラ30の第1のユニット30Aとの間に配置され、第2のサクションコンベア62は、スリッタスコアラ30の第1および第2のユニット30A、30Bの間に配置され、第3のサクションコンベア63は、第2のユニット30Bとカットオフ装置40の供給側コンベア43との間に配置されている。第1のサクションコンベア61は、コンベアユニット61Aと、ブロアユニット61Bとを有している。コンベアユニット61Aは、連続する両面段ボールを搬送方向FDに搬送する構成であり、ブロアユニット61Bは、コンベアユニット61Aにより搬送される両面段ボールを下方に吸引して両面段ボールをコンベアユニット61Aの搬送表面に吸着させる作用を有する。この吸着作用により、両面段ボールの湾曲や蛇行を抑制することができる。第2および第3のサクションコンベア62、63も、第1のサクションコンベア61と同様に構成され、コンベアユニット62A、63Aと、ブロアユニット62B、63Bとを有している。コンベアユニット61A、62A、63Aは、駆動モータ64にそれぞれ連結され、駆動モータ64の回転により、同期した搬送速度で両面段ボールを搬送するように構成されている。本実施形態のサクションコンベア群60および駆動モータ64は、本発明の第1の駆動部の一例であり、搬送部の一部に相当する。
【0057】
〈測定器および検出器の構成〉
両面段ボールが搬送方向FDに搬送された長さを測定するために第1ないし第3の測定器70、71、72が、両面段ボールの搬送路に配置されている。第1および第3の測定器70、72は、ロータリーシャ20の上流側であって、両面段ボールが供給されるロータリーシャ20の供給口に近接して配置されている。第2の測定器71は、カットオフ装置40の上流側であって、両面段ボールが供給されるカットオフ装置40の供給口に近接して配置されている。第1の測定器70は、接触型の測定器であり、両面段ボールの表面に接触可能な測定ロールと、その測定ロールの回転速度に比例した周波数の速度信号を発生する信号発生部とを有している。信号発生部からの速度信号が制御装置により積分されることにより、両面段ボールの搬送長さが測定される。本実施形態の第1ないし第3の測定器70〜72は、本発明の測定部の一例であり、第1および第2の測定器70、71は、本発明の第1および第2の測定器の一例である。
【0058】
両面段ボールの有無を検出するために検出器73が、第2の測定器71と第3のサクションコンベア63のコンベアユニット63Aとの間に配置されている。検出器73は、作動子を有するマイクロスイッチから構成されている。マイクロスイッチの作動子は、カットオフ装置40の供給側コンベア43に向かって突出しており、両面段ボールが供給側コンベア43上に存在するときに、作動子が作動して両面段ボールの存在を表す検出信号が発生される。本実施形態の検出器73は、本発明の検出部の一例である。
【0059】
〈加工エンドにおける各装置の配置関係〉
図2は、コルゲートマシン1の加工エンドに配置された各装置および検出器などの配置関係を説明するための説明図である。位置P1は、ロータリーシャ20のナイフシリンダ21およびアンビルシリンダ22が両面段ボールを切断する切断位置を示している。位置2は、スリッタスコアラ30の第1のユニット30Bに両面段ボールが供給される供給口の位置を示している。位置P3は、スリッタスコアラ30の第2のユニット30Bから両面段ボールが送出される送出口の位置を示している。位置P4は、検出器73の配置位置を示している。位置P5は、第2の測定器71の配置位置を示している。位置P6は、カットオフ装置40の上ナイフシリンダ41および下ナイフシリンダ42が両面段ボールを切断する切断位置を示している。これらの位置P1〜P6は、加工エンドの構成から予め決められており、位置P1と位置P2との間の距離L1、位置P1と位置P3との間の距離L2、位置P1と位置P5との間の距離L3、位置P1と位置P6との間の距離L4、および位置P4と位置P6との間の距離L5も予め決められている。
【0060】
《電気的構成》
本実施形態のコルゲートマシン1の電気的構成について、添付図面を参照して以下に説明する。図3は、コルゲートマシン1の電気的構成を示すブロック図である。図3において、管理装置100は、両面段ボールシートを生産するために、生産エンドおよび加工エンドの各装置の動作全般を監視して、連続する複数のオーダについて両面段ボールシートの生産数量を管理する装置である。生産エンドの各装置の制御動作は、すでに公知であり、本発明と関係しないことから、生産エンドの各装置を制御する制御装置の構成について、その説明を省略し、図3には示されていない。
【0061】
〈メモリの構成〉
プログラムメモリ110は、管理装置100がコルゲートマシン1を制御するために図5および図6に示す主制御ルーチンプログラムおよび所定の設定値などを固定記憶するメモリである。たとえば、所定の設定値は、コルゲートマシン1の構成などから定まる固有の設定値であり、加工エンドの各装置などの配置関係に関する図2に示す位置P1〜P6および距離L1〜L5である。作業メモリ120は、管理装置100が主制御ルーチンプログラムを実行する際に処理した演算処理結果を一時記憶するメモリである。データメモリ130は、連続する複数のオーダの生産管理計画を書き換え可能に固定記憶するメモリであり、ハードディスクから構成されている。管理装置100は、プログラムメモリ110および作業メモリ120などの記憶手段と共にコンピュータを構成している。本実施形態における管理装置100および記憶手段からなるコンピュータは、本発明の制御部の一部に相当する。
【0062】
データメモリ130は、第1ないし第3の測定器70〜72の測定結果から測定された搬送長さと実際に搬送された搬送長さとの差である測定誤差を補正するための補正データも記憶している。本件出願の発明者の実験によれば、段ボールの搬送速度、段ボールの紙質、およびフルートの種類が、測定誤差の大きさを決定する主要な決定要因であることが分かった。測定器の種類が同一であれば、補正データが表す補正値は、主要な決定要因が異なれば異なることから、主要な決定要因の種類および設定値に応じて複数の補正データが予め定められ、データメモリ130に記憶されている。本実施形態のデータメモリ130は、本発明の記憶部の一例である。
【0063】
(補正データの内容)
図4は、補正データがデータメモリ130に記憶されている記憶状態を説明するための説明図である。図4において、補正データDA11〜DC8Nの各々は、ダブルフェーサ10の搬送速度V1〜V8と、フルートの種類AF〜CFと、両面段ボールを構成するライナおよび中芯の紙質とにより、予め決定される。ダブルフェーサ10の搬送速度は、各オーダに応じて設定され、本実施形態では、8段階の搬送速度V1〜V8のいずれかに設定可能である。フルートの種類AF〜CFは、一般的に使用されるAフルート、BフルートおよびCフルートの3種類のフルートを表している。両面段ボールは、表ライナ、中芯および裏ライナから構成されることから、両面段ボールの紙質は、表ライナ、中芯および裏ライナの組み合わせにより定められる。一般に、段ボールの紙質は、段ボールの原紙(品種)と、段ボールの強度(品質)とにより決定される。表ライナおよび裏ライナの原紙として、クラフトパルプを主原料とするクラフトライナと、表層がクラフトライナで、中層および裏層が古紙を原料とするジュートライナとの2種類があり、クラフトライナはアルファベット文字「K」で表わされ、ジュートライナはアルファベット文字「C」で表わされる。中芯の原紙として、セミケミカルパルプを主原料とするパルプ芯と、セミケミカルパルプおよび古紙を混合して製造された特芯との2種類があり、パルプ芯に薬品を使用して強度を上げた強化芯はアルファベット文字「P」で表わされ、特芯はアルファベット文字「S」で表わされる。段ボールの強度は、1平方メートル当たりの重さ(坪量)で表わされ、たとえば、ライナについて「K280」は、クラフトパルプで1平方メートル当たり280グラムであることを表している。本実施形態では、両面段ボールを例にして説明したが、段ボールの種類として、片面段ボール、複両面段ボールおよび複々両面段ボールを使用した場合でも、各ライナおよび中芯の紙質により、補正データを予め決定することができる。
【0064】
本実施形態においては、両面段ボールの紙質として、種別番号1〜NのN種類が存在し、種別番号1は、表ライナ、中芯、および裏ライナが、「K280」、「P180」、および「K280」の紙質の組み合わせであり、種別番号Nは、表ライナ、中芯、および裏ライナが、「C180」、「S120」、および「C180」の紙質の組み合わせである。たとえば、段ボールの紙質が種別番号1で、ダブルフェーサ10の搬送速度が速度V1で、フルートの種類がAフルートである場合、補正データはデータDA11である。また、段ボールの紙質が種別番号Nで、ダブルフェーサ10の搬送速度が速度V8で、フルートの種類がCフルートである場合、補正データはデータDC8Nである。
【0065】
図4に示す各補正データは、特定の運転条件の下で、両面段ボールを実際に搬送した場合に生ずる測定誤差に基づいて定められる。すなわち、各種別番号の段ボールの紙質で、各種類のフルートの両面段ボールを使用し、ダブルフェーサ10の搬送速度を8段階の速度V1〜V8の各速度に設定した特定の運転条件の下で、両面段ボールが、図2において、ロータリーシャ20により切断された位置P1から、カットオフ装置40の近傍である第2の測定器71の配置位置P5までの距離L3だけ実際に搬送された場合に、その実際に搬送された実際搬送長さLAである距離L3と、その実際搬送長さLAだけ搬送される間に第2の測定器71の測定結果から測定される搬送長さLXとの差である測定誤差(LA−LX)が求められ、測定される搬送長さLXに対する測定誤差(LA−LX)の比率α[(LA−LX)/LX]が、各特定の運転条件に関する補正データの補正値に定められる。
【0066】
両面段ボールは、ロータリーシャ20により切断された後は、後続の両面段ボールとの間でギャップを形成するためにダブルフェーサ10の搬送速度より速い速度で搬送される。しかし、この切断された両面段ボールの搬送速度は、ダブルフェーサ10の搬送速度が設定されれば、後述する速度指令装置160により、その設定された搬送速度を基準として、予め定められた可変速度パターンに従って決定されることから、測定誤差(LA−LX)の決定要因として、ダブルフェーサ10の搬送速度を用いることは、切断された両面段ボールの搬送速度を決定要因として用いることと同じことになる。
【0067】
〈制御装置および駆動装置の構成〉
ダブルフェーサ10、ロータリーシャ20、スリッタスコアラ30、カットオフ装置40、スタッカ装置50、およびサクションコンベア群60を駆動または停止すると共に、その駆動速度を個別に制御するために、ダブルフェーサ制御装置140、ロータリーシャ制御装置141、スリッタスコアラ制御装置142、カットオフ制御装置143、スタッカ制御装置144、およびコンベア制御装置145が備えられている。これらの制御装置140〜145は、管理装置100からの指令に従って制御動作を行うと共に、現在の制御状態を管理装置100に通知するために管理装置100にそれぞれ接続されている。ダブルフェーサ駆動装置150、ロータリーシャ駆動装置151、スリッタスコアラ駆動装置152、カットオフ駆動装置153、スタッカ駆動装置154、およびコンベア駆動装置155は、制御装置140〜145からの制御命令に従って、ダブルフェーサ10、ロータリーシャ20、スリッタスコアラ30、カットオフ装置40、スタッカ装置50、およびサクションコンベア群60をそれぞれ駆動するもので、駆動モータおよび位置決めサーボモータを備えている。ダブルフェーサ駆動装置150は、上部プーリ14および下部プーリ15を駆動する駆動モータ13を有している。コンベア駆動装置155は、コンベアユニット61A、62A、63Aを駆動する駆動モータ64を有している。本実施形態のダブルフェーサ駆動装置150は、本発明の第2の駆動部の一部に相当し、コンベア駆動装置155は、本発明の第1の駆動部の一部に相当する。
【0068】
ロータリーシャ制御装置141は、管理装置100からの追跡指令に従って両面段ボール上のオーダ変更位置を追跡するために、第1の測定器70および第3の測定器72とそれぞれ接続されている。カットオフ制御装置143は、管理装置100からの追跡指令に従って、各オーダに応じたシート長さの搬送を追跡すると共に、ロータリーシャ20により切断された両面段ボールの搬送を追跡するために、第1の測定器70および第2の測定器71とそれぞれ接続されている。
【0069】
〈速度指令装置の構成〉
ダブルフェーサ10の搬送速度および加工エンド全体の搬送速度を指令するために、速度指令装置160が備えられている。速度指令装置160は、管理装置100と接続され、管理装置100から各オーダに応じた設定速度指令を受け取ると共に、加工エンドの各装置の加減速指令を管理装置100から受け取るように構成されている。速度指令装置160の主な機能は、両面段ボールがロータリーシャ20により切断された後に、先行する両面段ボールと後続の両面段ボールとの間に所定のギャップが形成されるようにダブルフェーサ10の搬送速度および加工エンド全体の搬送速度を指令することである。
【0070】
図7は、速度指令装置160により指令される可変速度パターンを示したものである。縦軸は、搬送速度Vを表し、横軸は、時間Tを表している。基準速度VRは、管理装置100から各オーダに応じて指令された設定搬送速度であり、ダブルフェーサ10の搬送速度として予め決められた8段階の搬送速度V1〜V8の中から、各オーダに応じて設定された搬送速度である。高速搬送速度VHは、基準速度VRより一定の速度分だけ高い速度である。時間T1は、連続する両面段ボールが図2に示す位置P1においてロータリーシャ20により切断された時点を表している。時間T2は、ロータリーシャ20により切断された先行する両面段ボールの後端が、図2に示す位置P2におけるスリッタスコアラ30の第1のユニット30Aの供給口に到達した時点を表している。時間T3は、先行する両面段ボールの後端が、図2に示す位置P3おけるスリッタスコアラ30の第2のユニット30Bの送出口を通過した時点を表している。
【0071】
図7において、速度VF1は、ダブルフェーサ10の搬送速度を表し、時間の経過に関係なく、基準速度VRに維持される。一方、速度VF2は、加工エンド全体の搬送速度を表し、時間の経過に伴い変化する。すなわち、速度VF2は、各オーダの実行が開始されてから時間T1までの間は、基準速度VRに設定され、時間T1から時間T2までの間は、基準速度VRから高速搬送速度VHまで加速され、時間T2から時間T3までの間は、高速搬送速度VHに維持され、時間T3の経過後は、高速搬送速度VHから基準速度VRまで減速される。本実施形態において、速度VF2が速度VF1(基準速度VR)に対して変化する可変速度パターンは、基準速度VRが搬送速度V1〜V8のいずれに設定された場合でも、同一のパターンとなるように決められている。
【0072】
速度VF1(基準速度VR)に対する速度VF2の可変速度パターンは、時間T2において一定のギャップが形成されるように決定されている。すなわち、基準速度VRが8段階の搬送速度V1〜V8の中で最も高い搬送速度V8に設定された場合でも、スリッタスコアラ30がオーダ変更のために加工位置の切り替えを確実に行うことができる充分に大きなギャップが時間T2において形成されるように、可変速度パターンが予め決められている。速度指令装置160は、速度VF1に対する速度VF2の可変速度パターンを内部の記憶部に記憶している。速度指令装置160は、管理装置100から各オーダの設定速度指令を受けると、その設定速度指令に従って基準速度VRを設定し、速度VF1を基準速度VRに設定して速度VF1を指令する速度指令SC1を発生する。この速度指令SC1は、ダブルフェーサ制御装置140およびロータリーシャ制御装置141にそれぞれ供給される。また、速度指令装置160は、内部に記憶された可変速度パターンと設定された基準速度VRとに基づいて、時間の経過とともに変化する速度VF2を算出し、その算出された速度VF2を指令する速度指令SC2を発生する。この速度指令SC2は、スリッタスコアラ制御装置142、カットオフ制御装置143、スタッカ制御装置144、およびコンベア制御装置145にそれぞれ供給される。本実施形態では、可変速度パターンが、ダブルフェーサ10の搬送速度(基準速度VR)に関係なく同一のパターンであることから、基準速度VRに応じてギャップの大きさを変化させるために複数の可変速度パターンを使用する場合に比べ、速度指令装置160が行う速度VF2の算出処理などの処理負担が軽減される。本実施形態の速度指令装置160は、本発明の制御部の一部に相当する。
【0073】
検出器73は、管理装置100と接続され、両面段ボールの有無に関する検出信号を管理装置100に供給する。検出信号が、両面段ボールの無いことを表す信号状態から、両面段ボールの有ることを表す信号状態へ変化したときに、管理装置100は、両面段ボールの先端が検出器73を通過したと認識する。
【0074】
《動作および作用》
本実施形態のコルゲートマシン1の動作および作用について、図5ないし図8を参照して以下に説明する。図5および図6は、コルゲートマシン1における管理装置100の主制御ルーチンの制御動作を示すフローチャートである。先ず、管理装置100を含めて、コルゲートマシン1の電源が投入されると、管理装置100は、プログラムメモリ110から主制御ルーチンプログラムを読み出し、主制御ルーチンの実行を開始する。なお、図5および図6に示す各ステップの動作は、管理装置100により実行される。
【0075】
初期設定が実行され、作業メモリ120の記憶内容がクリアされる(S1)。最初に実行されるオーダ1の生産計画に関するデータが、データメモリ130から読み込まれ、作業メモリ120の内部に記憶される(S2)。生産計画に関するデータは、オーダ1における段ボールシートの生産計画枚数、ダブルフェーサ10の設定搬送速度、段ボールの紙質、フルートの種類、段ボールシートのシート長さなどに関するデータである。
【0076】
ダブルフェーサ10の設定搬送速度に従って、速度指令を発生するための指示が速度指令装置160に供給される(S3)。速度指令装置160は、管理装置100からの指示に従って基準速度VRを設定し、その基準速度VRを表す速度指令SC1、SC2を制御装置140〜145にそれぞれ供給する。ダブルフェーサ制御装置140は、速度指令SC1に従って駆動モータ13を駆動し、ダブルフェーサ10の搬送速度が基準速度VRになるように制御する。また、コンベア制御装置145は、速度指令SC2に従って駆動モータ64を駆動し、サクションコンベア群60の搬送速度が基準速度VRになるように制御する。他の制御装置141〜144は、供給された速度指令SC1、SC2に従って、各装置が基準速度VRに同期した動作速度で動作できるように動作状態を設定する。たとえば、カットオフ制御装置143は、カットオフ装置40が基準速度VRに同期した速度で両面段ボールを切断することができるように切断速度パターンを設定する。
【0077】
オーダ1に応じた段ボールシートのシート長さSS1および生産計画枚数が、カットオフ制御装置143に指令される(S4)。カットオフ制御装置143は、指令に従ってシート長さSS1および生産計画枚数を内部に記憶する。
【0078】
先端追跡長さが、カットオフ制御装置143に指令される(S5)。先端追跡長さは、図8において、位置P6と位置P4との間の距離L5と、各オーダのシート長さとを合計した長さであり、オーダ1については、距離L5とシート長さSS1とを合計した長さとなる。この先端追跡長さ(L5+SS1)が、カットオフ制御装置143に指令され、制御装置143の内部に記憶される。
【0079】
両面段ボールの先端が、検出器73により検出されたか否かが判断される(S6)。両面段ボールの先端が検出されない場合(S6:NO)、ステップS6の判断が繰り返される。図8において、両面段ボールの搬送状態SF1は、両面段ボールの先端、すなわちオーダ1の1枚目のシート部分の先端が、検出器73の配置位置P4に到達した状態を示している。この搬送状態SF1において、両面段ボールの先端が検出されたと判断され(S6:YES)、次のステップS7が実行される。
【0080】
カットオフの許可が、カットオフ制御装置143に供給される(S7)。カットオフ制御装置143は、カットオフの許可を受けた後は、カットオフ装置40を作動させる切断指令をカットオフ駆動装置153に供給することが許可される。
【0081】
測定器の設定が、ロータリーシャ制御装置141およびカットオフ制御装置143にそれぞれ指令される(S8)。ロータリーシャ制御装置141は、設定の指令に従って、第1の測定器70からの測定結果に基づく追跡動作を行うように設定される。カットオフ制御装置143も、設定の指令に従って、第1の測定器70からの測定結果に基づく追跡動作を行うように設定される。
【0082】
先端追跡が、カットオフ制御装置143に指令される(S9)。カットオフ制御装置143は、先端追跡指令に従って、第1の測定器70からの測定結果に基づいてオーダ1の1枚目シート部分の先端を追跡する。カットオフ制御装置143が、第1の測定器70からの測定結果に基づいて、1枚目シート部分の先端が先端追跡長さ(L5+SS1)だけ搬送されたことを判断すると、カットオフ装置4を作動させる切断指令をカットオフ駆動装置153に供給する。また、カットオフ制御装置143は、切断指令の発生を管理装置100に通知する。図8において、両面段ボールの搬送状態SF2は、1枚目シート部分の先端が先端追跡長さだけ搬送され、1枚目シート部分の後端が位置P6に到達した状態を示している。
【0083】
オーダ1の1枚目シート部分の後端がカットオフ装置40により切断されたか否かが判断される(S10)。切断されていないと判断されれば(S10:NO)、切断されたと判断されるまでステップS10の判断が繰り返される。1枚目シート部分の後端を切断する切断指令が発生されたことがカットオフ制御装置143から通知されると、1枚目が切断されたと判断され(S10:YES)、次のステップS11が実行される。カットオフ制御装置143は、切断枚数をカウントする内部カウンタを有しており、1枚目シート部分の切断指令を発生したとき、その内部カウンタの内容を「1」だけ増加させる。カットオフ制御装置143は、1枚目シート部分の後端を切断するための切断指令を発生した後は、第1の測定器70からの測定結果に基づいて、内部に記憶されたシート長さSS1だけ両面段ボールが搬送されたと判断する度に、切断指令を発生してカットオフ駆動装置153を駆動し、カットオフ装置40に切断動作をさせる。これと同時に、カットオフ制御装置143は、切断指令を発生する度に、内部カウンタの内容を「1」ずつ増加させる。本実施形態のステップS5〜S10と管理装置100とカットオフ制御装置143とが、本発明の制御部の第3の機能の一例である。
【0084】
補正データが、データメモリ130から読み込まれ、作業メモリ120の内部に記憶される(S11)。管理装置100は、ステップS2において、オーダ1の生産計画に関するデータとして、ダブルフェーサ10の搬送速度、段ボールの紙質、およびフルートの種類に関するデータを作業メモリ120の内部に記憶していることから、これらのデータに基づいてデータメモリ130から1つの補正データを読み込む。たとえば、オーダ1の生産計画として、ダブルフェーサ10の搬送速度が速度V8で、フルートの種類がAフルートで、段ボールの紙質が図4に示す種別番号2に相当する紙質である場合、補正データDA82がデータメモリ130から読み出される。すなわち、データメモリ130に記憶された多数の補正データの中から、オーダ1の生産計画に関する搬送速度、段ボールの紙質、およびフルートの種類という特定の運転条件に合致した1つの補正データが選択される。
【0085】
読み込まれた補正データに従って、測定誤差が算出される(S12)。この場合、算出されるべき測定誤差は、ロータリーシャ20により切断された両面段ボールの後端が距離L4だけ搬送されたとして第2の測定器71が距離L4を測定したと仮定した場合に、その距離L4を測定する間に両面段ボールの後端が実際に搬送されると予想される実際搬送長さLAと、測定される搬送長さLXである距離L4との差である。補正データは、測定される搬送長さLXに対する測定誤差(LA−LX)の比率αであることから、算出されるべき測定誤差は、測定される搬送長さLXである距離L3と、補正データの比率αとを乗算した値(α×L3)となる。この算出された測定誤差は、作業メモリ120の内部に記憶される。本実施形態のステップS11〜S13と管理装置100とが、本発明の位置補正部の一例である。
【0086】
後端追跡長さが、ロータリーシャ制御装置141に指令される(S13)。ロータリーシャ制御装置141は、指令に従って、後端追跡長さを内部に記憶する。後端追跡長さは、半端長さと、算出された測定誤差とを合計した長さである。半端長さは、カットオフ装置40がオーダ1の特定のシート部分の後端を切断したときにオーダ1の最後のシート部分が位置P1に位置していたと仮定した場合、最後のシート部分の後端と位置P1との間の距離であり、各オーダに応じて予め定められる。たとえば、図8に示す両面段ボールの搬送状態SF3において、オーダ1の89枚目シート部分の後端がカットオフ装置40により切断されたときに、オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分が位置P1に位置している場合、半端長さは、位置P1と、100枚目シート部分の後端との間の距離SE1である。100枚目シート部分の後端は、オーダ変更位置PCに相当する。本実施形態のステップS13と管理装置100とが、本発明の追加長さの設定部の一例である。
【0087】
オーダの残り1枚が、位置P1に位置しているか否かが判断される(S14)。オーダの残り1枚、すなわち最後のシート部分が位置P1に位置していなければ(S14:NO)、ステップS14の判断が繰り返される。最後のシート部分が位置P1に位置していれば(S14:YES)、次のステップS15が実行される。図8に示す両面段ボールの搬送状態SF3は、オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分が、位置P1に位置している状態を表している。本実施形態のステップS14と管理装置100とが、本発明の基準長判断部の一例である。
【0088】
測定器の切り替えが、ロータリーシャ制御装置141およびカットオフ制御装置143にそれぞれ指令される(S15)。ロータリーシャ制御装置141は、切り替え指令に従って、第1の測定器70から第3の測定器72に切り替えて追跡動作が可能となるように設定される。カットオフ制御装置143は、切り替え指令に従って、第1の測定器70から第2の測定器71に切り替えて追跡動作が可能なように設定される。カットオフ制御装置143は、測定器の切り替え後は、第1の測定器70に代えて第2の測定器71からの測定結果に基づいて、内部に記憶されたシート長さSS1だけ両面段ボールが搬送されたと判断する度に、切断指令を発生してカットオフ駆動装置153を駆動し、カットオフ装置40に切断動作をさせる。これと同時に、カットオフ制御装置143は、切断指令を発生する度に、内部カウンタの内容を「1」ずつ増加させる。本実施形態のステップS15と管理装置100とが、本発明の測定切替部の一例である。
【0089】
後端追跡が、ロータリーシャ制御装置141に指令される(S16)。ロータリーシャ制御装置141は、第1の測定器70に代えて第3の測定器72からの測定結果に基づいて、内部に記憶された後端追跡長さだけ両面段ボールが搬送されたか否かを追跡する動作を開始する。
【0090】
オーダ1の最後のシート部分の後端がロータリーシャ20により切断されたか否かが判断される(S17)。最後のシート部分の後端が切断されていなければ(S17:NO)、切断されたと判断されるまでステップS17の判断が繰り返される。最後のシート部分の後端が切断されたと判断されれば(S17:YES)、次のステップS18が実行される。たとえば、図8に示す両面段ボールの搬送状態SF4において、オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分の後端、すなわちオーダ変更位置PCが、後端追跡長さだけ搬送された結果として、位置P1に到達したとき、ロータリーシャ制御装置141は先端追跡長さだけ両面段ボールが搬送されたと判断し、切断指令を発生してロータリシャ駆動装置151を駆動し、ロータリーシャ20に切断動作をさせる。本実施形態のステップS16、S17と管理装置100とロータリーシャ制御装置141とが、本発明の制御部の第1の機能の一例であり、追加長判断部の一例である。
【0091】
加工エンドの各装置の加速が、速度指令装置160に指令される(S18)。図7において、速度指令装置160は、連続する両面段ボールが位置P1においてロータリーシャ20により切断される前は、基準速度VRを表す速度指令SC1、SC2を発生していた。ロータリーシャ20により最後のシート部分の後端が切断された時点である時間T1において、速度指令装置160は、管理装置100からの加速指令に従って、速度指令SC1を基準速度VRに維持する一方で、基準速度VRから高速搬送速度VHに向けて加速する指令に速度指定SC2を変える。速度指令装置160は、速度指令SC1、SC2を制御装置140〜145にそれぞれ供給する。加速指令を表す速度指令SC2が供給された制御装置142〜145は、速度指令SC2に適する可変動作速度パターンを決定して、各装置の動作速度を制御する。たとえば、コンベア制御装置145は、速度指令SC2に従って、駆動モータ64の回転速度を加速し、ロータリーシャ20により切断された先行する両面段ボール、すなわちオーダ1の両面段ボールの搬送速度を加速する。また、スリッタスコアラ制御装置142およびカットオフ制御装置143は、加速された搬送速度と同期する動作速度で、スリッタスコアラ30およびカットオフ装置40を動作させる。速度指令SC1が供給されたダブルフェーサ制御装置140は、駆動モータ13の回転速度を制御し、ダブルフェーサ10の搬送速度が基準速度VRになるように制御する。オーダ2の両面段ボールはダブルフェーサ10により搬送されることから、オーダ1の搬送速度の加速に拘わらず基準速度VRで搬送される。
【0092】
ダブルフェーサ20の加減速の禁止が、ダブルフェーサ制御装置140に指令される(S19)。速度指令装置160が基準速度VRを維持する速度指令SC1をダブルフェーサ制御装置140に供給している状態であることから、コルゲートマシン1のオペレータが手動でダブルフェーサ10の搬送速度を変化させることが禁止される。
【0093】
オーダ1の最後のシート部分の後端が位置P2に到達したか否かが判断される(S20)。最後のシート部分の後端が位置P2に到達していなければ(S20:NO)、到達したと判断されるまでステップS20の判断が繰り返される。最後のシート部分の後端が位置P2に到達したと判断されれば(S20:YES)、次のステップS21が実行される。ステップS20の判断を行うために、管理装置100は、プログラムメモリ110に設定値として記憶された位置P1と位置P2との間の距離L1を読み出し、カットオフ制御装置143が第2の測定器71からの測定結果に基づいて追跡している最後のシート部分の後端の搬送長さをカットオフ制御装置143から受け取る。そして、管理装置100は、最後のシート部分の搬送長さが距離L1に達したか否かを判断し、両者が一致すれば、最後のシート部分の後端が位置P2に到達したと判断する。図8に示す両面段ボールの搬送状態SF5は、オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分の後端が位置P2に到達し、オーダ2の1枚目シート部分の先端との間で一定のギャップGPが形成されている状態を示している。一定のギャップGPは、ダブルフェーサ10の搬送速度が最高の速度V8に設定された場合でも、スリッタスコアラ30およびカットオフ装置40がオーダ変更のために加工位置を正確に位置決めすることができる充分な間隔である。
【0094】
加工エンドの各装置の等速が、速度指令装置160に指令される(S21)。図7において、速度指令装置160は、最後のシート部分の後端が位置P2に到達するまでは、高速搬送速度VHに向けて加速する速度指定SC2を発生していた。最後のシート部分が第1のユニット30Aの供給口の位置P2に到達した時間T2において、速度指令装置160は、等速指令に従って、速度指令SC1を基準速度VRに維持するとともに、速度指令SC2を高速搬送速度VHに維持し、制御装置140〜145に供給する。速度指令SC2が一定の速度に維持されることから、スリッタスコアラ制御装置142は、オーダ変更のための加工位置の位置決め動作とともに、搬送速度の加減速に応じた動作速度の加減速制御を行うことが必要なくなり、その制御処理負担が軽減される。
【0095】
オーダ1の最後のシート部分の後端が位置P3を通過したか否かが判断される(S22)。最後のシート部分の後端が位置P3を通過していなければ(S22:NO)、通過したと判断されるまでステップS22の判断が繰り返される。最後のシート部分の後端が位置P3を通過したと判断されれば(S22:YES)、次のステップS23が実行される。ステップS22の判断を行うために、管理装置100は、プログラムメモリ110に設定値として記憶された位置P1と位置P3との間の距離L2を読み出し、カットオフ制御装置143が第2の測定器71からの測定結果に基づいて追跡している最後のシート部分の後端の搬送長さをカットオフ制御装置143から受け取る。そして、管理装置100は、最後のシート部分の搬送長さが距離L2に達したか否かを判断し、両者が一致すれば、最後のシート部分の後端が位置P3を通過したと判断する。図8に示す両面段ボールの搬送状態SF6は、オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分の後端が位置P3に到達した状態を示している。
【0096】
オーダ1の残り2枚目のシート部分の後端が、カットオフ装置40により切断されたか否かが判断される(S23)。切断されていないと判断されれば(S23:NO)、切断されたと判断されるまでステップS23の判断が繰り返される。残り2枚目が切断されたと判断されれば(S23:YES)、次のステップS24が実行される。カットオフ制御装置143は、切断枚数を内部カウンタによりカウントしていることから、管理装置100は、カットオフ制御装置143から切断指令発生の通知を受けたときに内部カウンタの内容を監視することにより、ステップS23の判断を実行する。すなわち、内部カウンタの内容が残り2枚目に相当する切断枚数を表す「99」になったか否かが判断されることにより、ステップS23の判断が実行される。図8に示す両面段ボールの搬送状態SF7は、オーダ1の99枚目シート部分の後端が、カットオフ装置40により切断された状態を示している。本実施形態のステップS23と管理装置100とが、本発明の切断判断部の一例である。
【0097】
加工エンドの各装置の減速が、速度指令装置160に指令される(S24)。図7において、速度指令装置160は、最後のシート部分の後端が位置P3に到達するまでは、高速搬送速度VHに維持する速度指令SC2を発生していた。最後のシート部分の後端が第2のユニット30Bの送出口の位置P3に到達した時間T3において、速度指令装置160は、減速指令に従って、高速搬送速度VHから基準速度VRに向けて減速するSC2を発生し、その速度指令SC2と基準速度VRを表す速度指令SC1とを制御装置140〜145にそれぞれ供給する。減速指令を表す速度指令SC2が供給された制御装置142〜145は、速度指令SC2に適する可変動作速度パターンを決定して、各装置の動作速度を制御する。たとえば、コンベア制御装置145は、速度指令SC2に従って、駆動モータ64の回転速度を減速し、ロータリーシャ20により切断された先行するオーダ1の両面段ボールの搬送速度を減速する。また、スリッタスコアラ制御装置142およびカットオフ制御装置143は、減速された搬送速度と同期する動作速度で、スリッタスコアラ30およびカットオフ装置40を動作させる。速度指令SC1が供給されたダブルフェーサ制御装置140は、駆動モータ13の回転速度を制御し、ダブルフェーサ10の搬送速度が基準速度VRになるように制御する。オーダ2の両面段ボールはダブルフェーサ10により搬送されることから、オーダ1の搬送速度の減速に拘わらず基準速度VRで搬送される。本実施形態のステップS18〜S22、S24と管理装置100と速度指令装置160とが、本発明の制御部の第2の機能の一例である。
【0098】
ダブルフェーサ10の加減速禁止の解除が、ダブルフェーサ制御装置140に指令される(S25)。これにより、コルゲートマシン1のオペレータが手動でダブルフェーサ10の搬送速度を変化させることが許可される。
【0099】
カットオフの禁止が、カットオフ制御装置143に供給される(S26)。カットオフ制御装置143は、カットオフの禁止を受けた後は、カットオフ装置40の作動を禁止する。オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分の後端は、ロータリーシャ20によりすでに切断されていることから、カットオフ装置40が100枚目シート部分の後端を再度切断すると、シート部分の後端が損傷され、最後のシート部分が不良な段ボールシートになることがある。この問題を解消するために、カットオフ装置40の作動が禁止される。なお、本実施形態では、ロータリーシャ20による切断切り口と、カットオフ装置40による切断切り口とが同じになるように、両者の切断刃は共にノッチ刃とされている。本実施形態のステップS26と管理装置100とは、本発明の第3の機能の一部に相当する。
【0100】
ステップS26が実行された後は、制御処理はステップS2に戻り、ステップS2〜S25の制御処理がオーダ2について実行される。本実施形態では、管理装置100は、多数の連続するオーダを順次実行することから、各オーダ変更において、ロータリーシャ20による切断、両面段ボールの搬送速度の加減速制御、この加減速制御によるギャップの形成が実行される。
【0101】
[変形例]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で当業者であれば種々の変形を加えることができる。
【0102】
(1)本実施形態では、生産ラインにより生産される段ボールとして、両面段ボールを例にして説明したが、片面段ボールでも複両面段ボールであってもよい。この場合、段ボールの種類が変更されると、データメモリ130に記憶される補正データの値も変更される。
【0103】
(2)本実施形態では、スリッタスコアラ30は第1および第2のユニット30A、30Bを備える構成であったが、1台のユニットのみを備えるスリッタスコアラを使用しても良い。この場合、ギャップの大きさは、段ボールの後端が1台のユニットを通過してから、そのユニットがオーダ変更のために加工位置の切り替えを完了するのに充分な間隔である。
【0104】
(3)本実施形態では、補正データは、ダブルフェーサ10の搬送速度、段ボールの紙質、およびフルートの種類を主要な決定要因として予め決定されたが、この3つの主要な決定要因の外に、温度や湿度などの運転時の環境状態を決定要因に追加しても良い。反対に、3つの主要な決定要因の中で、測定誤差への影響が強い1つまたは2つの決定要因に制限してもよい。たとえば、ダブルフェーサ10の搬送速度のみを決定要因として補正データが予め決められてもよい。
【0105】
(4)本実施形態では、補正データは、実際に搬送される実際搬送長さLAと、その実際搬送長さLAだけ搬送される間に測定器により測定される搬送長さLXとの測定誤差(LA−LX)の搬送長さLXに対する比率α[(LA−LX)/LX]であるが、測定される搬送長さLXに対する実際搬送長さLAの比率(LA/LX)を補正データとしてもよい。この場合でも、測定される搬送長さLXは、実際搬送長さLAとの関係において測定誤差に関係する値であることから、比率(LA/LX)もまた、本発明の補正データの一例である。
【0106】
(5)本実施形態では、後端追跡長さだけ両面段ボールが搬送されたか否かを追跡するために第3の測定器72が使用されているが、図6に示すステップS15において測定器の切り替えが行われた後は、第2の測定器71を使用して後端追跡長さの搬送を追跡してもよい。
【0107】
(6)本実施形態では、補正データは、試験運転の結果から測定された搬送長さLXと実際搬送長さLAとに基づいて作成され、データメモリ130に予め記憶されている。これに代えて、段ボールの先端または後端を検出する検出器を設けることで、段ボール加工の本格的な運転中に、段ボールが実際に搬送された実際搬送長さLAを検出するとともに、測定器により搬送長さLXを測定し、この両長さLA、LXから補正データを算出してデータメモリに逐次記憶していくことでもよい。この変形例の構成では、本格的な運転中に多数の連続するオーダが実行されている場合、先のオーダにおいて追加的に記憶された補正データが、後続のオーダにおいて使用されることになる。
【0108】
(7)本実施形態では、ロータリーシャ20の配置位置P1とカットオフ装置40の配置位置P6との間に存在する両面段ボールが、時間T1と時間T2との間で搬送速度が加速されたときにも伸びない、またはその伸びは微少であるとして、オーダ変更位置を変化させる動作が説明された。しかし、両面段ボールの伸びが比較的に大きい場合には、その伸びを加味してオーダ変更位置を変化される構成が採用されても良い。この構成において、両面段ボールの伸びが、比較的に大きく、第2の測定器71により生ずる測定誤差より大きい場合には、オーダ変更位置が搬送方向FDにおいて下流側に変化される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の一実施形態に係るコルゲートマシン1の加工エンドの全体的構成を示す正面図である。
【図2】本実施形態に係る加工エンドの各装置、測定器および検出器の配置関係を説明するための説明図である。
【図3】本実施形態に係るコルゲートマシン1の加工エンドに関係する電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係るデータメモリ130において補正データの記憶状態を説明するための説明図である。
【図5】本実施形態に係る管理装置100の主制御ルーチンの前半部分を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る管理装置100の主制御ルーチンの後半部分を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る速度指令装置160が指令する搬送速度Vと時間Tとの関係を説明するための説明図である。
【図8】本実施形態に係る両面段ボールの搬送状態の変化を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0110】
1 コルゲートマシン
10 ダブルフェーサ
13 駆動モータ
20 ロータリーシャ
30 スリッタスコアラ
40 カットオフ装置
60 サクションコンベア群
64 駆動モータ
70 第1の測定器
71 第2の測定器
72 第3の測定器
73 検出器
100 管理装置
130 データメモリ
140 ダブルフェーサ制御装置
141 ロータリーシャ制御装置
143 カットオフ制御装置
145 コンベア制御装置
160 速度指令装置
DA11〜DC8N 補正データ
GP ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール生産ラインから搬送方向に搬送された連続する段ボールに対して、各オーダに応じた加工を行うと共に所定のシート長さに切断して段ボールシートを製造する段ボールシート製造装置において、
オーダが変更されるときに前記搬送方向と直交する幅方向に段ボールを切断する第1の切断部と、
前記搬送方向において前記第1の切断部より下流側に配置され、各オーダに応じたスリットおよび罫線の加工を段ボールに施す加工部と、
前記搬送方向において前記加工部より下流側に配置され、各オーダに応じた所定のシート長さに段ボールを前記幅方向に切断する第2の切断部と、
連続する段ボールから前記第1の切断部により切断され前記搬送方向において先行する段ボールを搬送する第1の駆動部と、後続の段ボールを搬送する第2の駆動部とを有する搬送部と、
前記第1の切断部により切断される前の連続する段ボールが搬送された搬送長さを測定すると共に、前記第1の切断部により切断された後の前記先行する段ボールが搬送された搬送長さを測定する測定部と、
前記測定部により測定された搬送長さに基づいて、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を決定して前記第1の切断部を作動させる第1の機能と、前記第1の切断部の作動後に、前記先行する段ボールと前記後続の段ボールとの間に所定のギャップが生じるように前記第1および第2の駆動部の搬送速度を制御する第2の機能と、前記測定部により測定された搬送長さに基づいて、各オーダに応じた所定のシート長さに前記先行する段ボールを切断するために前記第2の切断部を作動させる第3の機能とを有する制御部と、
前記先行する段ボールが前記第1の駆動部により搬送された実際の搬送長さと、前記先行する段ボールがその実際の搬送長さだけ搬送される間に前記測定部により測定された搬送長さとの誤差に関する補正データを予め記憶する記憶部と、
前記制御部の第1の機能を実行する際に、前記記憶部に記憶された補正データに従って、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を変化させる位置補正部と、
を備えた段ボールシート製造装置。
【請求項2】
前記記憶部は、段ボールの搬送速度と段ボールの紙質とフルートの種類との中の少なくとも1つの決定要因に応じて予め決められた補正データを複数記憶し、
前記位置補正部は、前記先行する段ボールを使用するオーダにおいて決められた前記少なくとも1つの決定要因に応じた補正データを、前記記憶部に記憶された複数の補正データの中から選択し、その選択された補正データに従って前記オーダ変更位置を変化させることを特徴とする請求項1に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項3】
前記測定部は、搬送されている段ボールに接触して搬送長さを測定し、
前記位置補正部は、前記先行する段ボールの後端が前記第1の切断部の配置位置から前記第2の切断部の配置位置まで前記第1の駆動部により搬送された実際の搬送長さと、前記先行する段ボールがその実際の搬送長さだけ搬送される間に前記測定部により測定された搬送長さとの誤差を前記補正データに従って算出し、その算出された誤差だけ、前記オーダ変更位置を前記搬送方向において上流側に変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項4】
前記制御部の第2の機能は、前記先行する段ボールの後端が前記加工部の配置位置に到達したときに、前記第2の駆動部の搬送速度に関係なく、前記ギャップが一定の間隔となるように前記第1の駆動部の搬送速度を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の段ボールシート製造装置。
【請求項5】
前記制御部の第2の機能は、前記第1の切断部により連続する段ボールが切断されてから前記先行する段ボールの後端が前記加工部の配置位置に到達するまでの間、前記第1および第2の駆動部の少なくとも一方の搬送速度を可変速度で制御し、前記先行する段ボールの後端が前記加工部の配置位置に到達してから前記先行する段ボールの後端が前記第2の切断部の配置位置に到達するまでの間、前記第1および第2の駆動部の両搬送速度を一定の速度で制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の段ボールシート製造装置。
【請求項6】
前記制御部の第2の機能は、前記第1の切断部により連続する段ボールが切断されてから前記先行する段ボールの後端が前記加工部の配置位置に到達するまでの間、前記第1の駆動部の搬送速度を所定の基準速度から加速し、前記先行する段ボールの後端が前記加工部の配置位置に到達してから前記先行する段ボールの後端が前記第2の切断部の配置位置に到達するまでの間、前記第1の駆動部の搬送速度を前記所定の基準速度より高い一定の高速度で制御し、前記先行する段ボールの後端が前記第2の切断部の配置位置を通過した後に、前記第1の駆動部の搬送速度を前記一定の高速度から前記所定の基準速度に減速し、
また、前記制御部の第2の機能は、前記第2の駆動部の搬送速度を前記所定の基準速度に保持することを特徴とする請求項5に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項7】
前記搬送部は、前記第1の切断部から前記加工部を介して前記第2の切断部まで搬送される段ボールを吸引して搬送することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の段ボールシート製造装置。
【請求項8】
前記測定部は、前記搬送方向において前記第1の切断部の上流側に配置され、連続する段ボールが搬送された搬送長さを測定するための第1の測定器と、前記搬送方向において前記加工部より下流側で前記第2の切断部より上流側に配置され、前記先行する段ボールが搬送された搬送長さを測定するための第2の測定器とを有し、
前記制御部の第1の機能は、前記第1の測定器により測定された測定結果基づいて、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を決定して前記第1の切断部を作動させ、
前記制御部の第3の機能は、前記第2の測定器により測定された測定結果に基づいて、各オーダに応じた所定のシート長さに前記先行する段ボールを切断するために前記第2の切断部を作動させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の段ボールシート製造装置。
【請求項9】
前記測定部は、
現在実行されているオーダに応じた生産計画枚数より所定の枚数少ない枚数分の段ボールシートの長さに相当する基準搬送長さだけ、連続する段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過した否かを判断する基準長判断部と、
前記基準搬送長さの段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過しないと前記基準長判断部により判断されている間、前記第1の測定器の測定結果を有効にし、前記基準搬送長さの段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過したと前記基準長判断部により判断されたとき、前記第1の測定器の測定結果を無効にして前記第2の測定器の測定結果を有効にする測定切替部とを備え、
前記制御部の第1の機能は、前記第1の測定器の測定結果が有効である間、その測定結果に基づいて、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を決定して前記第1の切断部を作動させると共に、各オーダに応じた所定のシート長さに、連続する段ボールを切断するために前記第2の切断部を作動させ、
前記制御部の第3の機能は、前記第2の測定器の測定結果が有効である間、その測定結果に基づいて、各オーダに応じた所定のシート長さに前記先行する段ボールを切断するために前記第2の切断部を作動させることを特徴とする請求項8に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項10】
前記基準長判断部は、前記生産計画枚数より1枚だけ少ない枚数分の段ボールシートの長さに相当する基準搬送長さだけ、連続する段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過したか否かを判断することを特徴とする請求項9に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項11】
前記位置補正部は、
各オーダに応じた生産計画枚数より所定の枚数少ない枚数分の段ボールシートの長さだけ、連続する段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過した時点における前記第1の切断部の配置位置とオーダ変更すべき新たなオーダ変更位置との間の追加の長さを、前記補正データに従って設定する設定部を備え、
前記制御部の第1の機能は、
前記設定された追加の長さが前記測定部により測定されたか否かを判断する追加長判断部を備え、
前記測定部により前記追加の長さが測定されたと前記追加長判断部により判断されたとき、前記第1の切断部を作動させることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の段ボールシート製造装置。
【請求項12】
前記測定部は、
前記搬送方向において前記第1の切断部の上流側に配置され、連続する段ボールが搬送された搬送長さを測定するために、前記第1の測定器とは別個に設けられた第3の測定器を備え、
前記位置補正部は、
各オーダに応じた生産計画枚数より所定の枚数少ない枚数分の段ボールシートの長さだけ、連続する段ボールが前記第1の切断部の配置位置を通過した時点における前記第1の切断部の配置位置とオーダ変更すべき新たなオーダ変更位置との間の追加の長さを、前記補正データに従って設定する設定部を備え、
前記制御部の第1の機能は、
前記第3の測定器により測定された測定結果に基づいて、前記測定部により前記追加の長さが測定されたか否かを判断する追加長判断部を備え、
前記測定部により前記追加の長さが測定されたと前記追加長判断部により判断されたとき、前記第1の切断部を作動させることを特徴とする請求項9または10に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項13】
前記制御部の第3の機能は、
前記搬送方向において前記第2の切断部より上流側に配置され、段ボールの有無を検出する検出部と、
現在実行されているオーダに応じた生産計画枚数より1枚少ない枚数分の段ボールシートが前記第2の切断部により切断されたか否かを判断する切断判断部とを備え、
前記検出部により段ボールがあることが検出されている間、前記第2の切断部の切断作動を許容し、前記切断判断部により前記生産計画枚数より1枚少ない枚数分の段ボールシートが切断されたと判断された場合、前記検出部により段ボールがあることが検出されているときでも、前記第2の切断部の作動を禁止することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の段ボールシート製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−76250(P2010−76250A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246987(P2008−246987)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000139931)株式会社ISOWA (39)
【Fターム(参考)】