説明

殺菌消臭剤

【課題】人体の殺菌消臭や、経口のおそれのある物品の殺菌消臭を低コストで、かつ安全で確実に行える殺菌消臭剤を提供する。
【解決手段】海洋から取水して脱塩処理した水と、植物抽出物とを含有した殺菌消臭剤であって、前記水は、水深200m以下の深層水であって、脱塩処理によりpH5以下の酸性とし、前記植物抽出物は、穀類、豆類、果実類、茶葉類、海藻類から得られた抽出物の少なくともいずれか1つとする。前記植物抽出物の配合量は0.00005〜0.7重量%とし、残りを精製水で希釈した前記水とし、しかも、前記希釈は50倍希釈以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌消臭剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、殺菌消臭剤としては、強力な酸化作用を有する薬剤と、芳香剤とを配合したものが使用され、酸化作用によって殺菌するとともに、芳香剤によって不快なにおいをマスキングしている。具体的には、酸化作用を有する薬剤としては塩素剤やカチオン系界面活性剤が用いられることが多く、芳香剤としては合成香料が用いられている。
【0003】
また、消臭作用を有するものとして植物抽出物を用いることも提案されており、例えば、植物抽出物を含有し、pH3〜10に調整した消臭剤も提案されている。この消臭剤は、冷蔵庫、室内、トイレ、下駄箱等の家庭から発生する悪臭を消臭可能としている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−245332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人体の消臭を行う場合や、経口のおそれのある物品に対して消臭を行う場合には、安全性の高い消臭剤が用いられる必要があり、高コスト化することが多く、低コストでより安全で確実な殺菌消臭効果が得られる殺菌消臭剤が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明では、海洋から取水して脱塩処理した水と、植物抽出物とを含有した殺菌消臭剤であって、前記水は、水深200m以下の深層水であって、脱塩処理によりpH5以下の酸性とし、前記植物抽出物は、穀類、豆類、果実類、茶葉類、海藻類から得られた抽出物の少なくともいずれか1つとした。
【0006】
さらに、前記植物抽出物の配合量を0.00005〜0.7重量%とし、残りを精製水で希釈した前記水とし、しかも、前記希釈は50倍希釈以上とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、いわゆる海洋深層水から生成した酸性の水と、植物抽出物から成る殺菌消臭剤としているので、従来の殺菌消臭剤よりも人体にとって安全であり、かつ殺菌効果及び消臭効果の高い殺菌消臭剤を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の殺菌消臭剤は、海洋から取水して脱塩処理した水と、植物抽出物とを含有した殺菌消臭剤であって、特に、水は水深200m以下の深層水からなるいわゆる海洋深層水であって、脱塩処理により脱塩するとともにpH5以下の酸性とし、一方、植物抽出物は、穀類、豆類、果実類、茶葉類、海藻類から得られた抽出物の少なくともいずれか1つとしているものである。
【0009】
しかも、海洋深層水は、グリーンランドで沈降し、海底に沿って太平洋にまで流れる海底流である氷山深層水が界面に向けて上昇する海域で取水したものであり、水深300m付近で取水している。
【0010】
取水された海洋深層水(氷山深層水)は、生成した後に脱塩処理を施すことによりpH0.5〜5.0の酸性水としている。特に、脱塩処理は、イオン交換による脱塩ではなく、たとえば特許第1831918号の脱塩方法などで脱塩することが望ましい。
【0011】
後述するように希釈して使用する場合において、希釈倍率が高い場合には、海洋深層水(氷山深層水)のpHはできるだけ低い方が望ましく、希釈倍率が低い場合には、海洋深層水(氷山深層水)はpH4〜5程度であってもよい。
【0012】
穀類、豆類、果実類、茶葉類、海藻類から抽出した植物抽出物は、具体的には、以下のものである。すなわち、穀類抽出物または豆類抽出物としては、プロントシアシジニンや、ポリフェノール含有物であり、果実抽出物としては、リモネン、α−ピネン、β−ピネン、アルカロイド含有物であり、茶葉抽出物としては、カテキン、タンニン含有物であり、海藻抽出物としては、硫酸アミノ多糖類、ヨウ素含有物である。
【0013】
これらはいずれも消臭作用を有しており、殺菌消臭剤では、穀類、豆類、果実類、茶葉類、海藻類から得られた植物抽出物の少なくともいずれか1つの植物抽出物を用いることが望ましい。なお、これらの植物抽出物に限定されるものではなく、穀類、豆類、果実類、茶葉類、海藻類の植物抽出物と同様の効果が期待できる植物抽出物であれば何を用いてもよい。
【0014】
植物抽出物は、配合量を0.00005〜0.7重量%として使用することが望ましく、このとき、海洋深層水(氷山深層水)は精製水で適宜希釈されている。なお、通常は、所定の配合量とした海洋深層水(氷山深層水)と植物抽出物とで原液を生成し、この原液を精製水で希釈して植物抽出物の配合量を0.00005〜0.7重量%としている。
【0015】
本発明の殺菌消臭剤は、単体で用いてもよいし、他の薬剤に配合して殺菌消臭作用を付加してもよく、他の薬剤に配合する場合でも、他の薬剤を排除した状態での植物抽出物の配合量が0.00005〜0.7重量%となるようにしていることが望ましい。
【0016】
殺菌消臭剤は、原液状態では、植物抽出物を0.3〜35重量%とし、残りを海洋深層水(氷山深層水)とすることが望ましい。
【0017】
この原液を希釈する際には、食品及び食品素材の除菌消臭目的では100〜5,000倍希釈が望ましく、食品工場や厨房などの除菌消臭目的では50〜3,000倍希釈が望ましく、生活環境の除菌消臭目的では100〜7,000倍希釈が望ましく、浴場の除菌消臭目的では100〜6,000倍希釈が望ましく、事務所や病院などの除菌消臭目的では50〜5,000倍希釈が望ましい。
【実施例1】
【0018】
本発明の殺菌消臭剤の抗菌力を試験した。対象菌は黄色ブドウ球菌とした。本実施例では、植物抽出物としてナッツ種皮エキスを用いた。以下において脱塩処理されるとともにpH5以下となった海洋深層水(氷山深層水)を単に深層水と呼ぶことにする。
【0019】
検体は、以下の5検体とした。また、対照検体として、精製水を用いた。
第1検体:ナッツ種皮エキス35重量%を配合した精製水。
第2検体:100重量%深層水。
第3検体:ナッツ種皮エキス0.3重量%を配合した深層水。
第4検体:ナッツ種皮エキス20重量%を配合した深層水。
第5検体:ナッツ種皮エキス35重量%を配合した深層水。
【0020】
まず、黄色ブドウ球菌を前培養し、次いで、各検体をそれぞれ9mlずつ滅菌試験管に分抽して、各滅菌試験管に前培養された菌液1mlをそれぞれ接種し、振とう培養を開始した。その後、所定時間ごとに各滅菌試験管から菌液を採取し、生菌数を希釈培養法により測定した。測定結果を図1のグラフに示す。
【0021】
図1に示すように、深層水及びナッツ種皮エキス単体でも若干の殺菌作用があるが、深層水にナッツ種皮エキスを配合することにより殺菌力が極めて増大したことは明らかであり、ナッツ種皮エキス単体の配合量が多ければ多いほど望ましいことがわかる。
【実施例2】
【0022】
本発明の殺菌消臭剤の消臭力を試験した。対照となる臭気源はアンモニアとした。本実施例でも、植物抽出物としてナッツ種皮エキスを用いた。
【0023】
検体は、実施例1の場合と同様に、以下の5検体とした。また、対照検体として、精製水を用いた。
第1検体:ナッツ種皮エキス35重量%を配合した精製水。
第2検体:100重量%深層水。
第3検体:ナッツ種皮エキス0.3重量%を配合した深層水。
第4検体:ナッツ種皮エキス20重量%を配合した深層水。
第5検体:ナッツ種皮エキス35重量%を配合した深層水。
【0024】
まず、底部に濾紙を載置し、アンモニア水を滴下した3リットル容量のフラスコを必要数準備し、各フラスコに各検体をそれぞれ2ml噴霧して密閉した後、一定温度(35℃)に保持して所定時間ごとに各フラスコのアンモニア臭気濃度をガス検知管で測定した。測定結果を図2のグラフに示す。
【0025】
図2に示すように、深層水及びナッツ種皮エキス単体でも若干の脱臭作用があるが、深層水にナッツ種皮エキスを配合することにより脱臭力が極めて増大したことは明らかであり、ナッツ種皮エキス単体の配合量が多ければ多いほど望ましいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る殺菌脱臭剤の殺菌作用に関して行った試験結果を示すグラフである。
【図2】本発明に係る殺菌脱臭剤の消臭作用に関して行った試験結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋から取水して脱塩処理した水と、植物抽出物とを含有した殺菌消臭剤であって、
前記水は、水深200m以下の深層水であって、脱塩処理によりpH5以下の酸性とし、
前記植物抽出物は、穀類、豆類、果実類、茶葉類、海藻類から得られた抽出物の少なくともいずれか1つ
である殺菌消臭剤。
【請求項2】
前記植物抽出物の配合量を0.00005〜0.7重量%とし、残りを精製水で希釈した前記水としたことを特徴とする請求項1記載の殺菌消臭剤。
【請求項3】
前記希釈は、50倍希釈以上であることを特徴とする請求項2記載の殺菌消臭剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−277162(P2007−277162A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105705(P2006−105705)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(506116876)
【出願人】(303031262)
【Fターム(参考)】