説明

殺菌用加熱・冷却装置

【課題】
加熱器と冷却器において熱あるいは冷熱を利用した後の水に残留する熱や周囲の空気中の熱を熱源として加熱用高温水を生成することにより、排熱を有効に利用して省エネルギー化に資することができ、しかも構造がシンプルで装置コストの上昇を抑えることもできる殺菌用加熱・冷却装置を提供する。
【解決手段】
被処理液体を殺菌用加熱器1と冷却器2に対してこの順に流過させる被処理液体流路と、前記加熱器1に加熱用高温水を供給する高温水供給路と、前記冷却器2に冷却用冷水を供給する冷水供給路を備え、高温水供給路における加熱器1からの戻り水と冷水供給路における冷却器からの戻り水の排熱を回収して冷却用冷水を生成するとともに、回収した排熱により加熱用高温水または蒸気を生成するヒートポンプ装置6を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状や乳状の飲料、加工食品あるいは薬品等の被処理液体を一旦加熱殺菌してから冷却する殺菌用加熱・冷却装置に関し、より詳しくはヒートポンプ装置を利用して加熱または冷却に利用した後の戻り水の排熱を殺菌加熱用の熱源として利用する殺菌用加熱・冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工食品、飲料等の被処理液体(液状のものや乳状のもの、あるいは流動体状のものを含む)には、製造ラインにおける容器への充填前に加熱殺菌と、この加熱後の冷却を行う殺菌用加熱・冷却装置が用いられる。
【0003】
従来の装置は、例えば図10に示されるように、高温水が供給される加熱器51と、冷水が供給される冷却器52を備え、加熱器51にて所要の殺菌温度まで昇温させた被処理液体を冷却器52に導入して冷却するように構成されていて、高温水供給路53と、冷水供給路54は独立して設けられる。
【0004】
前記高温水供給路53においては、タンク55からの水がポンプ56の駆動によって加熱手段57に送られ、この加熱手段において例えば外部からの蒸気によって所要の高温に加熱された高温水が加熱器51に供給され、その後前記タンク55に戻されるようになっており、加熱手段57には上述した蒸気の熱を利用するものや、電熱ヒータを利用するものなどが一般的である。
【0005】
また、前記冷水供給路54においては、水道水等の水が冷却器52に送られ、この冷却器にて温度が上昇した水はそのままでは外部に排出できないので、冷却塔58等の放熱手段によって排出可能な温度にまで冷却してから外部に排出するようになっている。
【0006】
上述した従来の装置では、加熱に利用する熱の全てを加熱手段から供給する一方、冷却に利用して昇温した水の熱は全て廃棄しており、エネルギーの効率的利用の観点からは極めて無駄が多く、省エネルギー化に反した構成となっている。
【0007】
また、熱の有効利用を目的として、複数段の冷却器を直列に設け、高温側の冷却器で回収した熱を、低温側の冷却器へ供給する冷熱の生成に利用するようにした冷却システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
しかしながら、加熱器への熱の供給経路と冷却器への冷熱の供給経路は完全に独立して構成されており、加熱手段は前述した従来の装置と同様の構成を依然必要としているため、冷却側の排熱を十分に利用しているとはいえず、また冷却器側の構成が複雑で装置コストやメンテナンスコストが嵩むという問題もある。
【0009】
【特許文献1】特開平10−122696号公報(第1〜4頁、図1、2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、加熱器と冷却器において熱あるいは冷熱を利用した後の水に残留する熱や周囲の空気中の熱を熱源として加熱用高温水を生成することにより、排熱を有効に利用して省エネルギー化に資することができ、しかも構造がシンプルで装置コストの上昇を抑えることもできる殺菌用加熱・冷却装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る装置は、被処理液体を殺菌用加熱器と冷却器とに対してこの順に流過させる被処理液体流路と、前記加熱器に加熱用高温水を供給する高温水供給路と、前記冷却器に冷却用冷水を供給する冷水供給路を備え、高温水供給路における加熱器からの戻り水と冷水供給路における冷却器からの戻り水の排熱を回収して冷却用冷水を生成するとともに、回収した排熱により加熱用高温水または蒸気を生成するヒートポンプ装置を備える構成のものとしてある。
【0012】
また前記ヒートポンプ装置は、圧縮機、第1熱交換器、膨張弁および第2熱交換器がこの順に接続された冷媒回路を備え、前記高温水供給路における加熱器からの戻り水と冷水供給路における冷却器からの戻り水とを前記第2熱交換器に流通せしめ、この第2熱交換器を流過した水の一部を第1熱交換器に流通せしめるように構成したものとしてある。
【0013】
さらに運転開始直後の初期運転時において、前記高温水供給路と冷水供給路との間における水の流れを遮断するバイパス手段と、前記冷水供給路に外部から水を供給するとともに冷却器からの戻り水を外部に排出する給排水手段と、前記高温水供給路において高温水を生成する加熱手段を備える構成のものとしてある。
【0014】
また、前記圧縮機と第1熱交換器との間にさらに第3熱交換器を備え、この第3熱交換器において圧縮機からの高温冷媒ガスによって第1熱交換器から供給される高温水をさらに加熱して蒸気を生成し、この蒸気を前記加熱手段に加熱用熱源として供給するようにした構成のものとしてある。
【0015】
あるいは、運転開始直後の初期運転時において、前記冷水供給路に外部から水を供給するとともに冷却器からの戻り水を外部に排出する給排水手段と、前記ヒートポンプ装置における第2熱交換器と並列に空気熱交換器を設けて第1熱交換器からの冷媒を第2熱交換器に供給せずに空気熱交換器に供給して、空気中の熱を回収して高温水の生成熱源とするようにした構成のものとしてある。
【0016】
また通常運転時において、前記高温水供給路における加熱器からの戻り水と冷水供給路における冷却器からの戻り水の排熱が所要量に達しない場合、前記第1熱交換器からの冷媒を第2熱交換器と空気熱交換器の両方に供給して、空気中の熱も回収して高温水の生成熱源に加えるようにした構成のものとしてある。
【0017】
さらに、前記空気熱交換器に空気を強制的に流通せしめるファンを、必要とする空気中からの熱回収量に応じてインバータ制御するようにした構成のものとしてある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ヒートポンプ装置によって、加熱器と冷却器において熱あるいは冷熱を利用した後の水に残留する熱を奪って再び冷却器に送られる冷水を生成するとともに奪った排熱を加熱用高温水の熱源とし、したがって排熱を無駄に外部に排出することなく有効に利用して省エネルギー化に資することができる。
【0019】
また従来の装置が必要としていた冷却塔および冷却塔への配管が不要であるとともに、基本的には従来の装置から冷却塔を除去し、加熱用高温水を供給する高温水供給路と、前記冷却器に冷却用冷水を供給する冷水供給路との間にヒートポンプ装置を介在させるだけの極めてシンプルな構成で事が足り、装置コストやメンテナンスコストの上昇を抑えることもできる。
【0020】
さらに、前記冷水供給路に外部から水を供給するとともに冷却器からの戻り水を外部に排出する給排水手段と、前記高温水供給路と冷水供給路との間における水の流れを遮断するバイパス手段および前記高温水供給路において高温水を生成する加熱手段、またはヒートポンプ装置に空気中の熱を回収して高温水の生成熱源とする空気熱交換器を備えるものでは、ヒートポンプによる熱の回収を十分に行うことができない運転開始直後の初期運転時においても通常運転時とほぼ同等の安定した加熱・冷却を行うことができ、しかも排熱の回収を十分に行うことができる通常運転へ速やかに、かつ安定して移ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る装置の実施例を添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
殺菌用加熱器1(以下、単に加熱器と称する)と冷却器2の各1次側には、被処理液体がこの順に流通するように構成されていて、具体的には被処理液体送り管3が加熱器1の1次側入口に接続され、同出口に一端が接続された中継管4の他端が冷却器2の1次側入口に接続され、同出口に被処理液体戻し管5の一端が接続されており、これら被処理液体送り管3、加熱器1の1次側、中継管4、冷却器2の1次側および戻し管5で被処理液体流路を構成してある。
【0022】
上述した加熱器1の2次側入口には、後述するヒートポンプ装置6の高温水ライン6a出口に一端が接続された高温水供給管7の他端が、タンク8、ポンプ9および加熱手段10を介して接続され、また加熱器の2次側出口に一端が接続された高温水戻り管11の他端が、前記ヒートポンプ装置6の冷水ライン6bの入口に接続されており、これらにより高温水供給路を構成している。
【0023】
また、前記冷却器2の2次側入口には、前記ヒートポンプ装置6の冷水ライン6bの出口に一端が接続された冷水供給管12の他端がポンプ33を介して接続され、さらに冷却器の2次側出口に一端が接続された冷水戻り管13の他端が前記ヒートポンプ装置6の冷水ライン6bの入口に接続されており、これらにより冷水供給路を構成している。
【0024】
さらに、前記冷水戻り管13の途中に一端が接続された送液管14の他端を前記ヒートポンプ装置の高温水ライン6a入口に接続してあって、ヒートポンプ装置6の冷水ライン6bを経た水の一部を高温水ライン6aに供給するようになっている。
【0025】
そして、前記冷水供給管12の途中には給排水手段15を設けてあり、この給排水手段は外部から水道水等の水(20℃程度の冷水)を供給する給水管16と冷水供給路から外部に水を排出する排水管17が冷水供給管12に接続され、給水管と排水管の途中にはそれぞれ後述する初期運転時には開かれるが、通常運転時には閉ざされる開閉弁V1、V2を設けてあり、かつ冷水供給管12における給水管16と排水管17との接続部間には、初期運転時には閉ざされるが、通常運転時には開かれる開閉弁V3を設けてある。
【0026】
また、前記高温水供給管7と同戻り管11との間には、初期運転時において高温水供給路の水を前記ヒートポンプ装置6に流通させないようにするためのバイパス手段18を設けてある。
【0027】
上記バイパス手段18は、前記高温水供給管7と同戻り管11の途中にそれぞれ初期運転時には閉ざされるが、通常運転時には開かれる開閉弁V4、V5を備え、高温水供給間7における開閉弁V4の下流側と高温水戻り管11における開閉弁V5の上流側との間にバイパス管19が接続され、このバイパス管19の途中に初期運転時は開かれるが、通常運転時は閉ざされる開閉弁V6を備えている。
なお、上述した各開閉弁の開閉操作については図2の表に示したが、同表中○印は弁が開かれることを、×印は弁が閉ざされることをそれぞれ示している。
【0028】
上述した弁の開閉操作は、初期運転時の状態から通常運転時の状態へ瞬時に切替えられるのものではなく、各部の温度変化や予め設定された時間をカウントするタイマ等の情報に基づいて、初期運転時の弁の開閉状態から通常運転時の弁の開閉状態へ徐々に開度が調節されるように構成されている。
【0029】
次に、前記ヒートポンプ装置6の具体的構成につき、図3に基づいて説明する。
ヒートポンプ装置6は、例えば圧縮機20、第1熱交換器21、膨張弁22、第2熱交換器23およびアキュムレータ24をこの順に備える冷媒回路で構成されていて、圧縮機20から吐出された高温ガス冷媒が第1熱交換器21において凝縮し、この凝縮潜熱により高温水ライン6aを流過する水を加熱し、膨張弁22にて減圧されて第2熱交換器23内にて蒸発し、この蒸発潜熱によって冷水ライン6bを流過する水を冷却する。
【0030】
上述のように構成した本発明の装置の作用について以下に説明する。
本発明の装置は、通常運転時においてヒートポンプ装置6によって回収した排熱を高温水の生成に利用するので、通常運転の構成だけでは初期運転時においては熱源となる排熱の回収が十分に行われず、速やかな運転開始ができない可能性があり、したがって本発明の装置では、初期運転時に通常運転への迅速な移行を可能ならしめるべく、通常運転とは異なる初期運転を行う構成としてある。
【0031】
しかして、初期運転時には加熱手段10にて蒸気等の熱によって昇温せしめた水を加熱器1に供給し、加熱器1からの戻り水はバイパス手段19によってヒートポンプ装置6に送ることなくタンク8に戻すようになっている。
なお、前記蒸気の熱は加熱手段において単に熱交換する場合もあれば、蒸気を加熱器1に送られる水に直接混入させる場合もある。
【0032】
また、初期運転時には給排水手段15によって冷水供給管12に外部から水道水等の冷水を供給して冷却器2に送り、冷却器からの戻り水はヒートポンプ装置6を通過させて同ヒートポンプ装置6の第2熱交換器23にて排熱を回収し、その後排水管17により外部に排出するようになっている。
【0033】
そして排熱の回収が十分に行われるようになりつつあることが各部の温度やタイマの設定時間の経過によって確認されると徐々に通常運転時の状態となるように弁の開度が調節され、図2に示されるように初期運転時において開成されていた給排水手段15の開閉弁V1、V2が徐々に閉ざされるとともに、初期運転時において閉ざされていた開閉弁V3が徐々に開かれ、また、初期運転時において閉ざされていたバイパス手段18の開閉弁V4、V5が徐々に開かれるとともに、初期運転時において開かれていた開閉弁6が徐々に閉ざされる。
さらに、加熱手段10への蒸気等の熱の供給も停止する。
【0034】
この通常運転時においては、ヒートポンプ装置6にて加熱器1と冷却器2からの戻り水から排熱を回収して高温水の加熱が行われ、加熱された高温水は加熱器1に送られて被処理液体を適宜の殺菌温度まで加熱し、ヒートポンプ装置に戻される。
【0035】
また、ヒートポンプ装置6にて排熱を奪われた水は一部が高温水用として高温水ライン6aに送られ、その他は冷水供給管12により冷却器2に送られて加熱殺菌後の被処理液体を冷却し、ヒートポンプ装置6に戻される。
【0036】
したがって、被処理液体は加熱器1にて殺菌用の高温まで昇温された後、冷却器2にて所要の温度まで降温される。
なお、図1中の各所に付した温度は被処理液体がウーロン茶である場合の一具体例を参考用に示したものである。
【0037】
上述した第1実施例の装置においては、初期運転時において加熱器1に供給する水の加熱を外部からの蒸気によって行う構成としてあるが、ヒートポンプ装置6において蒸気を生成し、加熱装置に供給するように構成する場合もあり、その具体例について図4、5に基づいて説明する。
【0038】
この第2実施例の装置においては、ヒートポンプ装置6における圧縮機20と第1熱交換器21との間に第3熱交換器30を備え、この第3熱交換器30に第1熱交換器21からの給水管31を弁V7を介して接続し、第1熱交換器で生成した高温水を第3熱交換器30にてさらに加熱して蒸気を生成し、蒸気管32を介して加熱手段10に送る構成となっている。
【0039】
なお、蒸気管32から供給される蒸気の温度は運転の経過にともなって徐々に上昇するので、外部から供給される高温蒸気とヒートポンプ装置6から供給される蒸気との供給割合を弁V7およびV8で適宜制御する。
【0040】
上述した第1実施例および第2実施例の装置においては、初期運転時に加熱手段10すなわち外部から供給される熱や、ヒートポンプ装置から供給される蒸気の熱を利用して高温水を生成する構成としてあるが、図6、7に示されるように加熱手段10を設けずに、ヒートポンプ装置6により周囲空気の熱を回収して初期運転時における高温水の生成熱源とする場合もある。
【0041】
すなわち、第1、第2実施例の装置において加熱手段10とバイパス手段18を設けるのに代えて、第3実施例の装置ではヒートポンプ装置6に空気熱交換器ユニット25を設け、この空気熱交換器ユニットにて周囲空気の熱を回収する。
【0042】
具体的には、ヒートポンプ装置6における冷媒回路の第1熱交換器21と膨張弁22との間に設けた三方切替弁V9に一端を接続した副冷媒管26の他端を、膨張弁27と空気熱交換器28を介して冷媒回路の第2熱交換器23の下流側に接続し、上記三方切替弁V9の操作により第1熱交換器21からの冷媒を第2熱交換器23または空気熱交換器28のいずれか一方に選択的に供給することができるように構成してある。
【0043】
そして、三方切替弁V9は夜間等の殺菌冷却装置の運転停止時または初期運転時においては冷媒を空気熱交換器28側に供給する方向に切り替えられ、前記膨張弁27にて減圧された冷媒が空気熱交換器28にて蒸発し、この蒸発潜熱により、ファンFの駆動によって空気熱交換器の表面を強制的に流通させられる空気から熱を奪い、奪った熱を第1熱交換器21における高温水生成の熱源に利用する。
なお、前記ファンFは図示を省略したインバータ装置によって送風量が制御され、装置が必要とする熱量に応じて回転数がインバータ制御されるように構成してある。
【0044】
上述の構成によって高温水を生成する場合、蒸気等の外部熱源を利用した加熱手段に比して水に供給する単位時間あたりの熱量が小であるため、ヒートポンプ装置6とポンプ9間に断熱壁を備える蓄熱槽29を設け、この蓄熱槽内に温水を貯めてから加熱器1に供給する。
なお、初期運転時における給排水手段15の作用は前述した第1、第2実施例のものと同じである。
【0045】
そして、通常運転時には三方切替弁V9が第2熱交換器23側に開とされるとともに前記ファンFの駆動が停止され、前述の第1実施例のものと同様の作用により加熱器1における殺菌、冷却器2における冷却が行われる。
【0046】
また、この通常運転時において前記高温水供給路における加熱器1からの戻り水と冷水供給路における冷却器2からの戻り水の回収排熱量が十分でない場合、前記三方切替弁V9の開度を制御することにより前記第1熱交換器からの冷媒を第2熱交換器と空気熱交換器の両方に供給し、空気中の熱も回収して高温水の生成熱源に加えるように構成してある。
【0047】
次に、上述した各実施例の装置における給排水手段15の構成および、第1、第2実施例の装置におけるバイパス手段18の他の例についてそれぞれ図8、9に基づいて説明する。
【0048】
図8において、図1、4、6の開閉弁V1とV3に相当する弁の構成を三方弁V10で構成し、三方弁V10の開度と開閉弁V2の開度は連動して制御される構成となっている。
【0049】
具体的には、初期運転時においては三方弁V10が給水管16から冷水供給管12の下流側に開成するとともに開閉弁V2が開成され、三方弁V10においては運転の経過とともに徐々に給水管側の開度が小、冷水供給管12の上流側の開度が大となり、この三方弁の開度にともなって、開閉弁V2の開度も徐々に小となり、初期運転が完了して通常運転に移行すると、三方弁V10は冷水供給管12の上流と下流側に100%開成し、開閉弁V2は閉止される。
【0050】
またバイパス手段18においては、図9に示されるように、図1、4の開閉弁V5とV6に相当する弁の構成を三方弁V11で構成し、三方弁V11の開度と開閉弁V4の開度は連動して制御される構成となっている。
【0051】
具体的には、初期運転時においては三方弁V11が高温水戻り管11からバイパス管19側に開成するとともに開閉弁V4が開止され、三方弁V11においては運転の経過とともに徐々にバイパス管側の開度が小、ヒートポンプ装置側への開度が大となり、この三方弁の開度にともなって、開閉弁V4の開度も徐々に大となり、初期運転が完了して通常運転に移行すると、三方弁V11は高温水戻り管11の上流と下流側に100%開成し、開閉弁V4は全開にされる。
【0052】
なお、図8、9において破線矢印は初期運転時の水の流れを、実線矢印は通常運転時の水の流れをそれぞれ示している。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る装置の第1実施例を示す構成図。
【図2】弁の開閉制御の具体例を示す表。
【図3】第1実施例におけるヒートポンプ装置の具体例を示す構成図。
【図4】本発明に係る装置の第2実施例を示す構成図。
【図5】第2実施例におけるヒートポンプ装置の具体例を示す構成図。
【図6】本発明に係る装置の第3実施例を示す構成図。
【図7】第3実施例におけるヒートポンプ装置の具体例を示す構成図。
【図8】給排水手段の他の例を示す構成図。
【図9】バイパス手段の他の例を示す構成図。
【図10】従来の装置の一例を示す構成図。
【符号の説明】
【0054】
1 殺菌加熱器
2 冷却器
3 被処理液体送り管
4 中継管
5 被処理液体戻し管
6 ヒートポンプ装置
7 高温水供給管
8 タンク
9 ポンプ
10 加熱手段
11 高温水戻り管
12 冷水供給管
13 冷水戻り管
14 送液管
15 給排水手段
16 給水管
17 排水管
18 バイパス手段
19 バイパス管
20 圧縮機
21 第1熱交換器
22 膨張弁
23 第2熱交換器
24 アキュムレータ
25 空気熱交換器ユニット
26 副冷媒管
27 膨張弁
28 空気熱交換器
29 蓄熱槽
30 第3熱交換器
31 給水管
32 蒸気管
33 ポンプ
F ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液体を殺菌用加熱器と冷却器とに対してこの順に流過させる被処理液体流路と、前記加熱器に加熱用高温水を供給する高温水供給路と、前記冷却器に冷却用冷水を供給する冷水供給路を備え、高温水供給路における加熱器からの戻り水と冷水供給路における冷却器からの戻り水の排熱を回収して冷却用冷水を生成するとともに、回収した排熱により加熱用高温水または蒸気を生成するヒートポンプ装置を備える殺菌用加熱・冷却装置。
【請求項2】
前記ヒートポンプ装置は、圧縮機、第1熱交換器、膨張弁および第2熱交換器がこの順に接続された冷媒回路を備え、前記高温水供給路における加熱器からの戻り水と冷水供給路における冷却器からの戻り水とを前記第2熱交換器に流通せしめ、この第2熱交換器を流過した水の一部を第1熱交換器に流通せしめるように構成してなる請求項1に記載の殺菌用加熱・冷却装置。
【請求項3】
運転開始直後の初期運転時において、前記高温水供給路と冷水供給路との間における水の流れを遮断するバイパス手段と、前記冷水供給路に外部から水を供給するとともに冷却器からの戻り水を外部に排出する給排水手段と、前記高温水供給路において高温水を生成する加熱手段を備える請求項1または2に記載の殺菌用加熱・冷却装置。
【請求項4】
前記圧縮機と第1熱交換器との間にさらに第3熱交換器を備え、この第3熱交換器において圧縮機からの高温冷媒ガスによって第1熱交換器から供給される高温水をさらに加熱して蒸気を生成し、この蒸気を前記加熱手段に加熱用熱源として供給するように構成してなる請求項3に記載の殺菌用加熱・冷却装置。
【請求項5】
運転開始直後の初期運転時において、前記冷水供給路に外部から水を供給するとともに冷却器からの戻り水を外部に排出する給排水手段と、前記ヒートポンプ装置における第2熱交換器と並列に空気熱交換器を設けて第1熱交換器からの冷媒を第2熱交換器に供給せずに空気熱交換器に供給して、空気中の熱を回収して高温水の生成熱源とするように構成してなる請求項2に記載の殺菌用加熱・冷却装置。
【請求項6】
通常運転時において、前記高温水供給路における加熱器からの戻り水と冷水供給路における冷却器からの戻り水の排熱が所要量に達しない場合、前記第1熱交換器からの冷媒を第2熱交換器と空気熱交換器の両方に供給して、空気中の熱も回収して高温水の生成熱源に加えるように構成してなる請求項2に記載の殺菌用加熱・冷却装置。
【請求項7】
前記空気熱交換器に空気を強制的に流通せしめるファンを、必要とする空気中からの熱回収量に応じてインバータ制御するように構成してなる請求項5または6に記載の殺菌用加熱・冷却装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−202446(P2007−202446A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23686(P2006−23686)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(390026974)株式会社東洋製作所 (132)
【Fターム(参考)】