説明

比重分離型廃棄物回収装置及び比重分離型廃棄物回収方法

【課題】節水と、省スペースが可能で、且つ簡単で廃棄物のリサイクル費用のコストアップを防止する比重分離型廃棄物回収装置及び比重分離型廃棄物回収方法を提供する。
【解決手段】水槽11の上縁から引き下がった所定の高さまで水を満たし、浮遊物13を水面付近から回収し、沈殿物を底部から除去するための比重分離型廃棄物回収装置10であって、掻き寄せ板16を巴状に設けると共に、円筒状からなり、掻き寄せ板16に貫通孔を設ける透水ドラム15と、掻き寄せ板16の先端部が周動できる湾曲面部19と、水面上に突出する頂部に棚部20と、水中に延設する平坦面部21と、これらに挿通孔を設ける透水受けガイド18と、水槽11の底部に沈殿物搬送スクリューコンベアー22と、これに連接し吐出口が水面より高い沈殿物排出スクリューコンベアー24を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不要となった紙や、プラスチック袋等の比較的比重の軽い廃棄物を資源の再利用の観点から再活用するために、廃棄物に混入する異物を除去して必要とする廃棄物を回収するための比重分離型廃棄物回収装置、及び比重分離型廃棄物回収方法に関し、より詳細には、異物の混入する細片化された水より比重の軽い廃棄物を浮遊物として回収し、水より比重の重い異物を沈殿物として除去するための比重分離型廃棄物回収装置、及び比重分離型廃棄物回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、廃棄物の回収方法には、異物が混入する廃棄物を水中に投入し、水に対する比重差を利用して水に浮く浮遊物と、底部に沈降する沈殿物とに分けて異物が混入する廃棄物の中から必要とする廃棄物の中の浮遊物を水と一緒に掻き出して浮遊物を掬い取って回収する比重分離型の回収方法が知られている。図3に示すように、これを行うための従来の比重分離型廃棄物回収装置50は、水槽51の一方の側部に堰52と、この堰52に近接させて中心軸から複数の水掻き板を放射状に備える水車型等の回転ドラム53を設けている。そして、この比重分離型廃棄物回収装置50は、回転ドラム53を回転させることで水面付近に浮く浮遊物を水と一緒に堰52を越えさせるようにして水槽51外に掻き出し、水槽51外で浮遊物と水を分離させて浮遊物が回収されるようになっている。
【0003】
従来の比重分離型廃棄物回収装置には、包装袋やフィルム等の薄物をも含むプラスチックの廃棄物を、比重の違いを利用して効果的に分別回収し、再利用可能とする資源を回収する廃プラスチックの選別装置が開示されている。この廃プラスチックの選別装置は、水槽の一方の側部に水槽内に水をオーバーフローさせる貯水槽と、水槽の他方の側部にオーバーフローする水を回収する排水パイプを設けて排水パイプ側への水の流れを作ると共に、排水パイプ側の水面付近の水中から水槽外に設けるベルトコンベアーと、このベルトコンベアーより下方の水中から水槽外に設けるもう一つのベルトコンベアーで水中の比較的水面に浮遊する廃プラスチックと、水槽の中間層あたりに浮遊する廃プラスチックに分別して回収している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の比重分離型廃棄物回収装置及び比重分離型廃棄物回収方法には、主として水より低比重で水に浮遊するポリオレフィン系プラスチックを純度よく回収するプラスチック廃棄物の分別装置及び分別方法が開示されている。このプラスチック廃棄物の分別装置及び分別方法は、所定の高さまで水を満たす水槽と、この水槽の水中に開口する投入口を有するプラスチック廃棄物の破砕片の投入装置と、投入口から水中に投入された破砕片に含まれる浮上成分が水面に浮上する位置に設けられた浮上成分の捕集装置と水槽の上部に設けた浮遊成分の取出口と、水槽の底部に設けた沈降成分の排出口とを備え、この装置で浮上成分を水と一緒に外部に取り出すようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
更に、従来の比重分離型廃棄物回収装置及び比重分離型廃棄物回収方法には、フィルム状の粉砕物を捩りながら脱水することで、このフィルム状の粉砕物を短時間に脱水し、純度の高いプラスチック原料に再生する廃棄物の粉砕洗浄処理装置及び粉砕洗浄処理方法が開示されている。この廃棄物の粉砕洗浄処理装置及び粉砕洗浄処理方法では、廃棄物を所定の形状及び大きさに粉砕する粉砕工程と、廃棄物の粉砕物の汚れを除去する水洗浄工程と、粉砕物を分離水槽において浮遊するフィルム状の粉砕物と水底に沈降するプラスチック類や金属類等の粉砕物とに比重差で分離する比重分離工程と、フィルム状の粉砕物についてその表面に付着した水分を滴下させ且つフィルム内に付着している水分を搾るように除去する第一脱水工程と、更にフィルム状の粉砕物に付着している水分を粉砕物を捩りながら回転遠心脱水する第二脱水工程とからなる粉砕洗浄処理装置を用いて洗浄粉砕処理が行われている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特許第3662167号公報
【特許文献2】特開2003−126727号公報
【特許文献3】特許第3665758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述したような従来の比重分離型廃棄物回収装置は、次のような問題がある。
(1)従来の比重分離型廃棄物回収装置や比重分離型廃棄物回収方法、特許第3662167号公報で開示される比重分離型廃棄物回収装置、特開2003−126727号公報で開示されるような比重分離型廃棄物回収装置及び比重分離型廃棄物回収方法では、水槽の長手方向の一方の側部側から水槽内に廃棄物を投入し、水面付近や、水中に浮遊する比較的比重の軽い浮遊物を、水槽の長手方向の他方の側部側に設ける中心軸から複数の水掻き板を放射状に備える回転ドラムや、水中から水槽の長手方向の他方の側部側の外部に突出させたベルトコンベアー等で水槽から水をオーバーフローさせながら水槽外に排出して回収しているので、大量の補給水を必要とし、廃棄物のリサイクル費用のコストアップとなっている。また、これらの比重分離型廃棄物回収装置や、比重分離型廃棄物回収方法では、通常、回転ドラム等の回転で浮遊物が逆流するのを防止するために、回転ドラムへ向けての水流ができるようにし、水槽から水をオーバーフローさせながら水槽外に排出して回収するので、更に大量の水が水槽外に排出され、廃棄物のリサイクル費用のコストアップとなっている。更に、これらの比重分離型廃棄物回収装置及び比重分離型廃棄物回収方法で排出される水には、様々な異物や、微細化された廃棄物が含まれるので、処理が必要となるが大量の水を処理するための大型の水処理設備が必要となり、廃棄物のリサイクル費用のコストアップとなっている。
(2)特許第3665758号公報で開示されるような比重分離型廃棄物回収装置及び比重分離型廃棄物回収方法は、浮遊物を水槽から水をオーバーフローさせながら水と一緒に水槽外に排出して回収しているので、大量の補給水を必要とし、廃棄物のリサイクル費用のコストアップとなっている。また、この比重分離型廃棄物回収装置及び比重分離型廃棄物回収方法のフィルム状の粉砕物の脱水方法では、装置が複雑となって高価な装置となり、廃棄物のリサイクル費用のコストアップとなっている。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、節水と、省スペースでの設置が可能で、且つ簡単な装置及び方法で廃棄物のリサイクル費用のコストアップを防止する比重分離型廃棄物回収装置及び比重分離型廃棄物回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的に沿う本発明に係る比重分離型廃棄物回収装置は、透水ドラムと透水受けガイドを備える。
【0010】
前記目的に沿う本発明に係る比重分離型廃棄物回収装置は、平面視して長方形状で、長手方向を断面視して底部が狭幅となるホッパー形状からなる水槽の上縁から引き下がった位置の所定の高さまで水を満たし、水槽の長手方向の一方の側部側から廃棄物を入れ、廃棄物の中の水との比重差で水面付近に浮遊する浮遊物を水槽の長手方向の他方の側部側の水面付近から回収すると共に、廃棄物の中の水との比重差で水槽の底部に沈降する沈殿物を除去するための比重分離型廃棄物回収装置であって、浮遊物を引き寄せながら抱え込むための複数枚の掻き寄せ板を、中心軸から離れた円周上の等間隔の位置から回転方向の後側に延設し、且つ回転方向に対して凸状の湾曲面とする断面視して巴状に設けると共に、水槽の幅長さの中に両端が近接して収まる長さの円筒状からなり、水槽の長手方向の他方の側部側の水面より上の位置に回転のための中心軸を設け、しかも、掻き寄せ板に複数の貫通孔を設けてなる透水ドラムと、透水ドラムの円筒長さと略同等の幅方向長さを有する板体の水槽の上縁側方向である上部側に水面付近、及び水面上で透水ドラムの掻き寄せ板の先端部を周動させることができる凹状の湾曲面部と、水面付近から水面上に突出する頂部に水面と略平行からなる棚部を設けると共に、板体の下部側に湾曲面部から連接して水中に延設する平坦面部を設け、しかも、板体の湾曲面部、棚部、及び平坦面部に板体を貫通する複数の挿通孔を設けてなる透水受けガイドと、水槽の底部長手方向に略水平に設けてなる沈殿物搬送スクリューコンベアー、及び沈殿物搬送スクリューコンベアーの出口側と連接させ水槽の水面より高い位置に吐出口を延設させてなる沈殿物排出スクリューコンベアーを有する。
【0011】
ここで、上記の比重分離型廃棄物回収装置は、透水ドラムの中心軸の取り付け位置を移動自在にし、透水ドラムと透水受けガイドとのクリアランス調整を自在とするのがよい。
【0012】
また、上記の比重分離型廃棄物回収装置は、透水ドラムの掻き寄せ板の先端部に湾曲面部の凹状より小さい曲率半径からなる屈曲する出っ張り部を有するのがよい。
【0013】
更に、上記の比重分離型廃棄物回収装置は、透水ドラムの前方に掻き寄せ板に浮遊物を搬送させて送り込むための透水ドラムと略同等の長さの円筒状からなる1又は複数の搬送ドラムを有するのがよい。
【0014】
前記目的に沿う本発明に係る比重分離型廃棄物回収方法は、平面視して長方形状で、長手方向を断面視して底部が狭幅となるホッパー形状からなり、上縁から引き下がった位置の所定の高さまで水を満たした水槽の長手方向の一方の側部側から廃棄物を入れ、廃棄物の中の水との比重差で水面付近に浮遊する浮遊物を水槽の長手方向の他方の側部側の水面付近から回収すると共に、廃棄物の中の水との比重差で水槽の底部に沈降する沈殿物を除去する比重分離型廃棄物回収方法であって、浮遊物を引き寄せながら抱え込むための複数枚の掻き寄せ板を、中心軸から離れた円周上の等間隔の位置から回転方向の後側に延設し、且つ回転方向に対して凸状の湾曲面とする断面視して巴状に設けると共に、水槽の幅長さの中に両端が近接して収まる長さの円筒状からなり、水槽の長手方向の他方の側部側の水面より上の位置に回転のための中心軸を設け、しかも、掻き寄せ板に複数の貫通孔を設けてなる透水ドラムを水槽の短手方向の両側部に中心軸を跨がせるようにして取り付けて掻き寄せ板の先端部を水面付近から水面上に水槽の長手方向の他方の側部側に対向させて回転させ貫通孔から水を除去しながら浮遊物を掻き寄せ板で掻き揚げる工程と、透水ドラムの円筒長さと略同等の幅方向長さを有する板体の水槽の上縁側方向である上部側に水面付近、及び水面上で透水ドラムの掻き寄せ板の先端部を周動させることができる凹状の湾曲面部と、水面付近から水面上に突出する頂部に水面と略平行からなる棚部を設けると共に、板体の下部側に湾曲面部から連接して水中に延設する平坦面部を設け、しかも、板体の湾曲面部、棚部、及び平坦面部に板体を貫通する複数の挿通孔を設けてなる透水受けガイドを水槽の長手方向の他方の側部側の上縁部に取り付けて透水ドラムの回転で掻き寄せ板で掻き揚げられる浮遊物を透水受けガイドに押しつけるようにして浮遊物に付着する水を挿通孔から除去しながら浮遊物を棚部の上に堆積させて順次水槽の外部に取り出す工程と、水槽の底部長手方向に沈殿物搬送スクリューコンベアーを略水平に設けると共に、沈殿物搬送スクリューコンベアーの出口側と連接させて設ける沈殿物排出スクリューコンベアーの吐出口を水槽の水面より高い位置に延設させて水槽の底部に沈降した沈殿物を沈殿物搬送スクリューコンベアーと、沈殿物排出スクリューコンベアーを連動して回転させて沈殿物に含まれる水を搾るようにして水槽内に残しながら順次水槽の外部に排出する工程を有する。
【0015】
ここで、上記の比重分離型廃棄物回収方法は、透水ドラムの中心軸の取り付け位置を移動自在とし、透水ドラムと透水受けガイドとのクリアランス調整を可能として浮遊物の形状による透水ドラムと透水受けガイドとの間の咬み込みを回避して掻き揚げさせるのがよい。
【0016】
また、上記の比重分離型廃棄物回収方法は、透水ドラムの掻き寄せ板の先端部に湾曲面部の凹状より小さい曲率半径からなる屈曲する出っ張り部を設け、出っ張り部で浮遊物の脱落を回避して掻き揚げさせるのがよい。
【0017】
更に、上記の比重分離型廃棄物回収方法は、透水ドラムの前方に掻き寄せ板に浮遊物を搬送させて送り込むための透水ドラムと略同等の長さの円筒状からなる1又は複数の搬送ドラムを設け、搬送ドラムの中心軸を水面上に設けて中心軸から放射状に延設する複数枚の羽根を透水ドラムの回転方向と同じ方向に回転させながら羽根の先端部で浮遊物を掻き寄せ板に順次搬送させるのがよい。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の比重分離型廃棄物回収装置は、透水ドラムと透水受けガイドを備えるので、水槽中に投入された異物が混入する廃棄物の中の水面付近に浮遊する再利用可能な浮遊物を水槽内の水を殆ど水槽外に持ち出すことなく回収できる比較的簡単な節水型の装置で、大型の脱水装置を別に配置することなく省スペースの設置エリアで済むリサイクル費用のコストアップを防止する比重分離型廃棄物回収装置を提供することができる。
【0019】
請求項2又はこれに従属する請求項3〜5のいずれか一項記載の比重分離型廃棄物回収装置は、平面視して長方形状で、長手方向を断面視して底部が狭幅となるホッパー形状からなる水槽の上縁から引き下がった位置の所定の高さまで水を満たし、水槽の長手方向の一方の側部側から廃棄物を入れ、廃棄物の中の水との比重差で水面付近に浮遊する浮遊物を水槽の長手方向の他方の側部側の水面付近から回収すると共に、廃棄物の中の水との比重差で水槽の底部に沈降する沈殿物を除去するための比重分離型廃棄物回収装置であって、浮遊物を引き寄せながら抱え込むための複数枚の掻き寄せ板を、中心軸から離れた円周上の等間隔の位置から回転方向の後側に延設し、且つ回転方向に対して凸状の湾曲面とする断面視して巴状に設けると共に、水槽の幅長さの中に両端が近接して収まる長さの円筒状からなり、水槽の長手方向の他方の側部側の水面より上の位置に回転のための中心軸を設け、しかも、掻き寄せ板に複数の貫通孔を設けてなる透水ドラムと、透水ドラムの円筒長さと略同等の幅方向長さを有する板体の水槽の上縁側方向である上部側に水面付近、及び水面上で透水ドラムの掻き寄せ板の先端部を周動させることができる凹状の湾曲面部と、水面付近から水面上に突出する頂部に水面と略平行からなる棚部を設けると共に、板体の下部側に湾曲面部から連接して水中に延設する平坦面部を設け、しかも、板体の湾曲面部、棚部、及び平坦面部に板体を貫通する複数の挿通孔を設けてなる透水受けガイドと、水槽の底部長手方向に略水平に設けてなる沈殿物搬送スクリューコンベアー、及び沈殿物搬送スクリューコンベアーの出口側と連接させ水槽の水面より高い位置に吐出口を延設させてなる沈殿物排出スクリューコンベアーを有するので、水槽中に投入された異物が混入する廃棄物の中の水面付近に浮遊する再利用可能な浮遊物を水槽内の水を殆ど水槽外に持ち出すことなく回収できると共に、廃棄物の中の水槽底部に沈降する異物等の沈殿物を水槽内の水を殆ど水槽外に持ち出すことなく除去でき、比較的簡単な装置で、省スペースの設置エリアで済む、節水型のリサイクル費用のコストアップを防止する比重分離型廃棄物回収装置を提供することができる。
【0020】
特に、請求項3記載の比重分離型廃棄物回収装置は、透水ドラムの中心軸の取り付け位置を移動自在にし、透水ドラムと透水受けガイドとのクリアランス調整を自在とするので、透水ドラムと、透水受けガイドとの間に浮遊物が咬み込むのを防止でき、効率的に浮遊物を回収できる比重分離型廃棄物回収装置を提供することができる。
【0021】
また、特に、請求項4記載の比重分離型廃棄物回収装置は、透水ドラムの掻き寄せ板の先端部に湾曲面部の凹状より小さい曲率半径からなる屈曲する出っ張り部を有するので、透水ドラムの回転で浮遊物が掻き寄せ板から滑り落ちるのを防止しながら水面付近から掻き揚げることができると共に、浮遊物の回転途中での落下や、掻き寄せ板と透水受けガイドの間への浮遊物の咬み込みを防止しながら透水受けガイドの棚部の上に堆積できる比重分離型廃棄物回収装置を提供することができる。
【0022】
更に、特に、請求項5記載の比重分離型廃棄物回収装置は、透水ドラムの前方に掻き寄せ板に浮遊物を搬送させて送り込むための透水ドラムと略同等の長さの円筒状からなる1又は複数の搬送ドラムを有するので、浮遊物を透水ドラムの掻き寄せ板に効率的に送り込んで、浮遊物を水槽から効率的に回収できる比重分離型廃棄物回収装置を提供することができる。
【0023】
請求項6又はこれに従属する請求項7〜9のいずれか一項記載の比重分離型廃棄物回収方法は、平面視して長方形状で、長手方向を断面視して底部が狭幅となるホッパー形状からなり、上縁から引き下がった位置の所定の高さまで水を満たした水槽の長手方向の一方の側部側から廃棄物を入れ、廃棄物の中の水との比重差で水面付近に浮遊する浮遊物を水槽の長手方向の他方の側部側の水面付近から回収すると共に、廃棄物の中の水との比重差で水槽の底部に沈降する沈殿物を除去する比重分離型廃棄物回収方法であって、浮遊物を引き寄せながら抱え込むための複数枚の掻き寄せ板を、中心軸から離れた円周上の等間隔の位置から回転方向の後側に延設し、且つ回転方向に対して凸状の湾曲面とする断面視して巴状に設けると共に、水槽の幅長さの中に両端が近接して収まる長さの円筒状からなり、水槽の長手方向の他方の側部側の水面より上の位置に回転のための中心軸を設け、しかも、掻き寄せ板に複数の貫通孔を設けてなる透水ドラムを水槽の短手方向の両側部に中心軸を跨がせるようにして取り付けて掻き寄せ板の先端部を水面付近から水面上に水槽の長手方向の他方の側部側に対向させて回転させ貫通孔から水を除去しながら浮遊物を掻き寄せ板で掻き揚げる工程と、透水ドラムの円筒長さと略同等の幅方向長さを有する板体の水槽の上縁側方向である上部側に水面付近、及び水面上で透水ドラムの掻き寄せ板の先端部を周動させることができる凹状の湾曲面部と、水面付近から水面上に突出する頂部に水面と略平行からなる棚部を設けると共に、板体の下部側に湾曲面部から連接して水中に延設する平坦面部を設け、しかも、板体の湾曲面部、棚部、及び平坦面部に板体を貫通する複数の挿通孔を設けてなる透水受けガイドを水槽の長手方向の他方の側部側の上縁部に取り付けて透水ドラムの回転で掻き寄せ板で掻き揚げられる浮遊物を透水受けガイドに押しつけるようにして浮遊物に付着する水を挿通孔から除去しながら浮遊物を棚部の上に堆積させて順次水槽の外部に取り出す工程と、水槽の底部長手方向に沈殿物搬送スクリューコンベアーを略水平に設けると共に、沈殿物搬送スクリューコンベアーの出口側と連接させて設ける沈殿物排出スクリューコンベアーの吐出口を水槽の水面より高い位置に延設させて水槽の底部に沈降した沈殿物を沈殿物搬送スクリューコンベアーと、沈殿物排出スクリューコンベアーを連動して回転させて沈殿物に含まれる水を搾るようにして水槽内に残しながら順次水槽の外部に排出する工程を有するので、水槽中に異物が混入する廃棄物を投入して水面付近に浮遊する再利用可能な浮遊物を水槽内の水を殆ど水槽外に持ち出すことなく回収すると共に、廃棄物の中の水槽底部に沈降する異物等の沈殿物を水槽内の水を殆ど水槽外に持ち出すことなく除去して、水を節約できると共に、大がかりな脱水装置を必要としない省スペースの設置エリアで済む比較的簡単な装置を用いてリサイクル費用のコストアップを防止する比重分離型廃棄物回収方法を提供することができる。
【0024】
特に、請求項7記載の比重分離型廃棄物回収方法は、透水ドラムの中心軸の取り付け位置を移動自在とし、透水ドラムと透水受けガイドとのクリアランス調整を可能として浮遊物の形状による透水ドラムと透水受けガイドとの間の咬み込みを回避して掻き揚げさせるので、浮遊物を効率的に回収できる比重分離型廃棄物回収方法を提供することができる。
【0025】
また、特に、請求項8記載の比重分離型廃棄物回収方法は、透水ドラムの掻き寄せ板の先端部に湾曲面部の凹状より小さい曲率半径からなる屈曲する出っ張り部を設け、出っ張り部で浮遊物の脱落を回避して掻き揚げさせるので、浮遊物を効率的に透水受けガイドの棚部の上に堆積できる比重分離型廃棄物回収方法を提供することができる。
【0026】
更に、特に、請求項9記載の比重分離型廃棄物回収方法は、透水ドラムの前方に掻き寄せ板に浮遊物を搬送させて送り込むための透水ドラムと略同等の長さの円筒状からなる1又は複数の搬送ドラムを設け、搬送ドラムの中心軸を水面上に設けて中心軸から放射状に延設する複数枚の羽根を透水ドラムの回転方向と同じ方向に回転させながら羽根の先端部で浮遊物を掻き寄せ板に順次搬送させるので、浮遊物を水槽から効率的に回収できる比重分離型廃棄物回収方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1(A)〜(C)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る比重分離型廃棄物回収装置の要部概略平面図、正面図、側面図、図2は同比重分離型廃棄物回収装置の透水ドラムと透水受けガイドの要部拡大説明図である。
【0028】
本発明の一実施の形態に係る比重分離型廃棄物回収装置は、資源のリサイクルのために、無用な異物が混入する廃棄物からプラスチック袋や、プラスチック材や、木片等のような資源リサイクルが可能な有用な物質を回収するための装置である。この比重分離型廃棄物回収装置は、異物が混入する廃棄物を液体中に投入し、液体との比重差を利用して液体の比重より重い異物を沈降させて沈殿物として除去し、液体の比重より軽い資源リサイクルが可能な有用な物質を液面付近に浮遊させて浮遊物として回収できるものである。この比重分離型廃棄物回収装置は、透水ドラムと、透水受けガイドを備えており、例えば、液体に水を使用して水面付近に浮遊する浮遊物から水を透水させて除去しながら回収できるようになっている。この比重分離型廃棄物回収装置は、透水ドラムと、透水受けガイドが水を透水できるので、水を無駄に排出させることなく、節水して浮遊物を回収することができる。
【0029】
次に、図1(A)〜(C)、図2を参照しながら本発明の一実施の形態に係る比重分離型廃棄物回収装置を詳細に説明する。図1(A)〜(C)、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る比重分離型廃棄物回収装置10は、資源のリサイクルのために、不要となったプラスチック袋や、プラスチック材や、木片等のような水よりも比重の軽い廃棄物を、例えば、大きさ2〜3cm角以下、厚さ2〜3cm以下程度に細片化したものを水槽11の中に投入して、混入している水より比重の重い金属片や、鉱物片等の異物を除去し、必要とする廃棄物を取り出すことができるようになっている。なお、上記の比重分離型廃棄物回収装置10には、水槽11に水を入れているが、特に水に限定されるものではなく、廃棄物の種類によって比重の異なる液体を用いることができる。
【0030】
この比重分離型廃棄物回収装置10は、水槽11の形状が平面視して長方形状で、長方形状の長手方向を断面視して中心線の底部が狭幅となるホッパー形状からなっている。そして、この比重分離型廃棄物回収装置10の水槽11の中には、水槽11の周囲の全ての上縁から水がオーバーフローしないような引き下がった位置のところの高さまで水が満たされるようになっている。更に、この比重分離型廃棄物回収装置10は、水槽11の長手方向の一方の側部側から投入スクリューコンベアー12で異物の混入する廃棄物を投入するようになっている。水槽11の中に投入された異物の混入する廃棄物は、水との比重差で水より軽く(比重が1以下)水面付近に浮遊する再利用するために必要とする再利用原料である廃棄物を浮遊物13として水槽11から取り出して回収し、水との比重差で水より重く(比重が1を超える)水槽11の底部に沈降する沈殿物として再利用が不可能な異物を除去して分別するようになっている。
【0031】
上記の比重分離型廃棄物回収装置10は、水槽11の短手方向の両側部に回転させるための中心軸14を跨がせるようにして取り付けられている透水ドラム15を有している。この透水ドラム15は、水槽11の水面付近に浮遊する水の比重より以下の比重の浮遊物13を引き寄せながら抱え込むためのステンレス等の金属板を所望の形状に曲げ加工して作製した掻き寄せ板16の複数枚をそれぞれの隣接間が等間隔になるようにして中心軸14の周りに組み合わせた形態からなっている。この掻き寄せ板16は、透水ドラム15を回転させるための中心軸14から少し離れた円周上の位置から回転方向の後方外周側に延設し、且つ、回転方向に対向する面を凸状の湾曲面とし、中心軸14方向を断面視して巴状にして設けられている。これと共に、透水ドラム15は、水槽11の短手方向である幅方向の長さの中に両端が近接して収まる長さの円筒状からなっている。そして、この透水ドラム15は、水槽11の長手方向の他方の側部側の水面より上の位置に回転のための支点となる中心軸14がくるようにし、掻き寄せ板13の水面付近の水中に潜ることができるように設けている。しかも、この透水ドラム15の掻き寄せ板16には、水槽11中の水や、浮遊物13に付着する水を通すための複数個のパンチング加工等で穿孔された貫通孔が設けられている。
【0032】
上記のように構成された比重分離型廃棄物回収装置10は、透水ドラム15を水槽11の外側に設ける減速機を備えた駆動機17を作動させ、透水ドラム15の中心軸14を支点として、掻き寄せ板16を水槽11の水面付近から水面上に水槽11の長手方向の他方の側部側に対向させるようにして所望する速度で回転させている。そして、この比重分離型廃棄物回収装置10は、掻き寄せ板16の回転と共に、掻き寄せ板16に設ける貫通孔から水を除去しながら凸状の湾曲面側で浮遊物13を掻き揚げることができるようになっている。
【0033】
また、比重分離型廃棄物回収装置10は、水槽11の長手方向の他方の側部側の上縁部に取り付けられている透水受けガイド18を有している。この透水受けガイド18は、上記の透水ドラム15の円筒長さと略同等の幅方向長さを有するステンレス等の金属板の板体からなっている。この透水受けガイド18は、板体の水槽11の上縁側方向である上部側に、水面付近から水面上にかけて透水ドラム15が回転するときの掻き寄せ板16の先端部を周動させることができる水槽11の長手方向の中央部水面付近に対向して凹状の湾曲面部19を設けている。また、この透水受けガイド18の上部側の水面付近から水面上に突出する頂部には、水面と略平行平面からなる棚部20を設けている。更に、この透水受けガイド18は、板体の水中側方向である下部側に、水面付近の湾曲面部19から連接して水中に延設する平坦面部21を設けている。しかも、この透水受けガイド18の板体には、湾曲面部19、棚部20、及び平坦面部21に板体を貫通する複数のパンチング加工等で穿孔された挿通孔を設けている。
【0034】
透水ドラム15と、透水受けガイド18が設けられた比重分離型廃棄物回収装置10は、透水ドラム15の回転で掻き寄せ板16で掻き揚げられる浮遊物13を透水受けガイド18に押しつけるようにして浮遊物13に付着する水を透水受けガイド18に設ける挿通孔から除去しながら浮遊物13を透水受けガイド18の棚部20の上に堆積させて、順次水槽11の外部に取り出して回収することができるようになっている。なお、透水受けガイド18の棚部20の上面は、水面と略平行平面からなるが、若干水槽11側に傾斜するテーパ状とすることで、浮遊物13に付着して棚部20まで持ち上げられた水を水槽11の中に効果的に戻すことができる。
【0035】
更に、比重分離型廃棄物回収装置10は、水槽11の底部に沈降して堆積する異物等の沈殿物を水槽11の外部に取り出して除去するためのスクリューコンベアーを有している。このスクリューコンベアーは、水槽11の底部長手方向に略水平に設ける沈殿物搬送スクリューコンベアー22と、沈殿物搬送スクリューコンベアー22の水槽11の外側に突出した出口側に連接させて沈殿物排出スクリューコンベアー23を設けている。また、この沈殿物排出スクリューコンベアー23は、吐出口を水槽11の底部から水槽11の水面より高い位置に延設させて設けている。そして、水槽11の底部に沈降した沈殿物は、沈殿物搬送スクリューコンベアー22と、沈殿物排出スクリューコンベアー23のスクリューを連動させながら回転させることで水槽11の外部に排出することができるようになっている。上記の2つの沈殿物搬送スクリューコンベアー22と、沈殿物排出スクリューコンベアー23の組み合わせは、水槽11の底部長手方向に略水平に設ける沈殿物搬送スクリューコンベアー22で水槽11の底部に沈降して堆積する異物等の沈殿物を余すことなく集積することができると共に、吐出口を水槽11の底部から水槽11の水面より高い位置に延設する沈殿物排出スクリューコンベアー23で水槽11内の水を水槽11外に持ち出すのを少なくして沈殿物を除去させることができる。
【0036】
上記の比重分離型廃棄物回収装置10においては、透水ドラム15の中心軸14の水槽11への取り付け位置を変えることができる移動自在にして設け、透水ドラム15と、透水受けガイド18の近接部のクリアランス調整を自在とすることができるようにするのがよい。これによって、透水ドラム15と、透水受けガイド18との間は、ここに入り込む浮遊物13の咬み込みでの装置の停止等を防止でき、効率的に浮遊物13を回収することができる。
【0037】
また、上記の比重分離型廃棄物回収装置10においては、透水ドラム15の掻き寄せ板16の先端部に湾曲面部19の凹状より小さい曲率半径からなる屈曲する出っ張り部を凹状側に飛び出るように、あるいは、逆に凹状側の反対側にへこむように設けるのがよい。これにより、浮遊物13は、透水ドラム15の回転で掻き寄せ板16から滑り出るのを出っ張り部によって防止しながら水面付近から掻き揚げることができ、効率的に水面付近から引き上げることができる。また、浮遊物13は、透水ドラム15の回転途中での掻き寄せ板16からの落下や、掻き寄せ板16と透水受けガイド18との間に入り込んでの咬み込みを出っ張り部によって防止しながら透水受けガイド18の棚部20の上に堆積させることができ、効率的に回収することができる。
【0038】
更に、上記の比重分離型廃棄物回収装置10においては、透水ドラム15の前方に透水ドラム15の回転と同じ方向に回転する1又は複数の搬送ドラム24を設けるのがよい。この搬送ドラム24は、透水ドラム15と略同じ長さの円筒状からなり、回転させるための中心軸14aを透水ドラム15の中心軸14と同じように水面上に設け、水槽11の外側に設ける減速機を備えた駆動機17aで中心軸14aを回転させるようになっている。また、搬送ドラム24には、中心軸14aから放射状に延設する複数枚の羽根25が設けられている。この羽根25によって、搬送ドラム24は、中心軸14aの回転と共に、透水ドラム15の回転方向と同じ方向に回転して透水ドラム15の掻き寄せ板16の湾曲面部19に、水面付近に浮遊する浮遊物13を逆流させることなく搬送させて送り込むことができ、浮遊物13を効率的に回収できるようにしている。
【0039】
なお、上記のような異物が混入する廃棄物から再利用のための必要とする廃棄物を回収するためには、様々な工程を経る必要があるが、上記の比重分離型廃棄物回収装置10は、異物の混入する廃棄物を細片化した後、水との比重差を利用して廃棄物に混入する比較的大きい異物を比重差を利用して概略除去するための前洗浄工程での装置として適用させることができる。あるいは、上記の比重分離型廃棄物回収装置10は、更に工程が進んで、まだ異物が付着したりして混入する廃棄物を回転式の洗浄機で本洗浄を行った後の、比較的細かい異物を比重差を利用して除去するための比重分離工程での装置としても適用させることもできる。
【0040】
次に、本発明の一実施の形態に係る比重分離型廃棄物回収方法を説明する。本発明の一実施の形態に係る比重分離型廃棄物回収方法では、平面視して長方形状で、長手方向を断面視して中心線の底部が狭幅となるホッパー形状からなる水槽11の上縁から引き下がった位置の所定の高さまで水をオーバーフローしないように満たしている。そして、この水槽11には、長手方向の一方の側部側から投入スクリューコンベアー12で異物の混入する廃棄物を投入している。水槽11の中に投入された異物の混入する廃棄物は、水との比重差で水面付近に浮遊する浮遊物13を水槽11の長手方向の他方の側部側の水面付近から透水ドラム15と、これに組み合わされる透水受けガイド18を用いて回収している。また、水槽11の中に投入された異物の混入する廃棄物は、水との比重差で水槽11の底部に沈降する沈殿物を沈殿物搬送スクリューコンベアー22と、これに延設させる沈殿物排出スクリューコンベアー23を用いて除去している。
【0041】
上記の透水ドラム15は、浮遊物13を引き寄せながら抱え込むための複数枚の掻き寄せ板16を、中心軸14から離れた円周上の等間隔の位置から回転方向の後側に延設させると共に、回転方向に対向して凸状の湾曲面とする断面視して巴状に設けている。また、透水ドラム15は、水槽11の幅長さの中に両端が近接して収まる長さの円筒状からなり、水槽11の長手方向の他方の側部側の水面より上の位置に回転のための支点となる中心軸14を設けている。しかも、透水ドラム15は、掻き寄せ板16に複数の貫通孔を設けている。そして、この比重分離型廃棄物回収方法では、上記の透水ドラム15を水槽11の短手方向の両側部に中心軸14を跨がせるようにして取り付けて、掻き寄せ板16の先端部を水面付近から水面上に水槽11の長手方向の他方の側部側に対向させるようにして回転させ貫通孔から水を除去しながら浮遊物13を掻き寄せ板16で掻き揚げている。
【0042】
一方、上記の透水ドラム15に組み合わされる透水受けガイド18は、透水ドラム15の円筒長さと略同等の幅方向長さを有する板体の水槽11の上縁側方向である上部側に、水面付近、及び水面上で透水ドラム15の掻き寄せ板16の先端部を周動させることができる凹状の湾曲面部19を設けている。また、透水受けガイド18は、水面付近から水面上に突出する頂部に水面と略平行からなる棚部20を設けると共に、板体の下部側に湾曲面部19から連接して水中に延設する平坦面部21を設けている。しかも、透水受けガイド18は、板体の湾曲面部19、棚部20、及び平坦面部21に板体を貫通する複数の挿通孔を設けている。そして、この比重分離型廃棄物回収方法では、上記の透水受けガイド18を水槽11の長手方向の他方の側部側の上縁部に取り付けて、透水ドラム15の回転で掻き寄せ板16で掻き揚げられる浮遊物13を透水受けガイド18に押しつけるようにして、浮遊物13に付着する水を挿通孔から除去しながら浮遊物13を棚部20の上に堆積させて順次水槽11の外部に取り出している。
【0043】
また、上記の沈殿物搬送スクリューコンベアー22は、水槽11の底部長手方向に略水平に設けている。この沈殿物搬送スクリューコンベアー22に延設させる沈殿物排出スクリューコンベアー23は、沈殿物搬送スクリューコンベアー22の出口側と連接させ、吐出口を水槽11の水面より高い位置に延設させて設けている。そして、この比重分離型廃棄物回収方法では、水槽11の底部に沈降した沈殿物を沈殿物搬送スクリューコンベアー22と、沈殿物排出スクリューコンベアー23を連動して回転させ、沈殿物に含まれる水を搾るようにして水槽11内に残しながら順次水槽11の外部に排出させている。
【0044】
上記の比重分離型廃棄物回収方法においては、透水ドラム15の中心軸14の水槽11への取り付け位置を移動自在としている。そして、この比重分離型廃棄物回収方法では、透水ドラム15と、透水受けガイド18とのクリアランス調整を可能として浮遊物13の形状による透水ドラム15と、透水受けガイド18との間の咬み込みを回避して掻き揚げるようにするのがよい。
【0045】
また、上記の比重分離型廃棄物回収方法においては、透水ドラム15の掻き寄せ板16の先端部に湾曲面部19の凹状より小さい曲率半径からなる屈曲する出っ張り部を凹状側に飛び出るように、あるいは、逆に凹状側の反対側にへこむように設けている。そして、この比重分離型廃棄物回収方法では、この出っ張り部で浮遊物13の脱落を回避して掻き揚げるようにするのがよい。
【0046】
更に、上記の比重分離型廃棄物回収方法においては、透水ドラム15の前方に掻き寄せ板16に浮遊物13を搬送させて送り込むための透水ドラム15と略同等の長さの円筒状からなる1又は複数の搬送ドラム24を設けている。そして、この比重分離型廃棄物回収方法では、この搬送ドラム24の中心軸14aを水面上に設けて中心軸14aから放射状に延設する複数枚の羽根25を透水ドラム15の回転方向と同じ方向に回転させながら羽根25の先端部で浮遊物13を掻き寄せ板16に順次搬送させるようにするのがよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の比重分離型廃棄物回収装置及び比重分離型廃棄物回収方法は、比重が水より重い異物が混入する廃棄物の中から再利用可能な水より比重が軽い廃棄物、例えば、不要となった紙や、プラスチック等を回収するための回収装置、及び回収方法として活用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(A)〜(C)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る比重分離型廃棄物回収装置の要部概略平面図、正面図、側面図である。
【図2】同比重分離型廃棄物回収装置の透水ドラムと透水受けガイドの要部拡大説明図である。
【図3】従来の比重分離型廃棄物回収装置の説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10:比重分離型廃棄物回収装置、11:水槽、12:投入スクリューコンベアー、13:浮遊物、14、14a:中心軸、15:透水ドラム、16:掻き寄せ板、17、17a:駆動機、18:透水受けガイド、19:湾曲面部、20:棚部、21:平坦面部、22:沈殿物搬送スクリューコンベアー、23:沈殿物排出スクリューコンベアー、24:搬送ドラム、25:羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水ドラムと透水受けガイドを備えることを特徴とする比重分離型廃棄物回収装置。
【請求項2】
平面視して長方形状で、長手方向を断面視して底部が狭幅となるホッパー形状からなる水槽の上縁から引き下がった位置の所定の高さまで水を満たし、前記水槽の長手方向の一方の側部側から廃棄物を入れ、該廃棄物の中の前記水との比重差で水面付近に浮遊する浮遊物を前記水槽の長手方向の他方の側部側の前記水面付近から回収すると共に、前記廃棄物の中の前記水との比重差で前記水槽の底部に沈降する沈殿物を除去するための比重分離型廃棄物回収装置であって、
前記浮遊物を引き寄せながら抱え込むための複数枚の掻き寄せ板を、中心軸から離れた円周上の等間隔の位置から回転方向の後側に延設し、且つ前記回転方向に対して凸状の湾曲面とする断面視して巴状に設けると共に、前記水槽の幅長さの中に両端が近接して収まる長さの円筒状からなり、前記水槽の長手方向の他方の側部側の水面より上の位置に回転のための前記中心軸を設け、しかも、前記掻き寄せ板に複数の貫通孔を設けてなる透水ドラムと、
前記透水ドラムの円筒長さと略同等の幅方向長さを有する板体の前記水槽の上縁側方向である上部側に前記水面付近、及び水面上で前記透水ドラムの前記掻き寄せ板の先端部を周動させることができる凹状の湾曲面部と、前記水面付近から水面上に突出する頂部に水面と略平行からなる棚部を設けると共に、前記板体の下部側に前記湾曲面部から連接して水中に延設する平坦面部を設け、しかも、前記板体の前記湾曲面部、前記棚部、及び前記平坦面部に前記板体を貫通する複数の挿通孔を設けてなる透水受けガイドと、
前記水槽の底部長手方向に略水平に設けてなる沈殿物搬送スクリューコンベアー、及び該沈殿物搬送スクリューコンベアーの出口側と連接させ前記水槽の水面より高い位置に吐出口を延設させてなる沈殿物排出スクリューコンベアーを有することを特徴とする比重分離型廃棄物回収装置。
【請求項3】
請求項2記載の比重分離型廃棄物回収装置において、前記透水ドラムの前記中心軸の取り付け位置を移動自在にし、前記透水ドラムと前記透水受けガイドとのクリアランス調整を自在とすることを特徴とする比重分離型廃棄物回収装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の比重分離型廃棄物回収装置において、前記透水ドラムの前記掻き寄せ板の先端部に前記湾曲面部の凹状より小さい曲率半径からなる屈曲する出っ張り部を有することを特徴とする比重分離型廃棄物回収装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項記載の比重分離型廃棄物回収装置において、前記透水ドラムの前方に前記掻き寄せ板に前記浮遊物を搬送させて送り込むための前記透水ドラムと略同等の長さの円筒状からなる1又は複数の搬送ドラムを有することを特徴とする比重分離型廃棄物回収装置。
【請求項6】
平面視して長方形状で、長手方向を断面視して底部が狭幅となるホッパー形状からなり、上縁から引き下がった位置の所定の高さまで水を満たした水槽の長手方向の一方の側部側から廃棄物を入れ、該廃棄物の中の前記水との比重差で水面付近に浮遊する浮遊物を前記水槽の長手方向の他方の側部側の前記水面付近から回収すると共に、前記廃棄物の中の前記水との比重差で前記水槽の底部に沈降する沈殿物を除去する比重分離型廃棄物回収方法であって、
前記浮遊物を引き寄せながら抱え込むための複数枚の掻き寄せ板を、中心軸から離れた円周上の等間隔の位置から回転方向の後側に延設し、且つ前記回転方向に対して凸状の湾曲面とする断面視して巴状に設けると共に、前記水槽の幅長さの中に両端が近接して収まる長さの円筒状からなり、前記水槽の長手方向の他方の側部側の水面より上の位置に回転のための前記中心軸を設け、しかも、前記掻き寄せ板に複数の貫通孔を設けてなる透水ドラムを前記水槽の短手方向の両側部に前記中心軸を跨がせるようにして取り付けて前記掻き寄せ板の先端部を前記水面付近から水面上に前記水槽の長手方向の他方の側部側に対向させて回転させ前記貫通孔から前記水を除去しながら前記浮遊物を前記掻き寄せ板で掻き揚げる工程と、
前記透水ドラムの円筒長さと略同等の幅方向長さを有する板体の前記水槽の上縁側方向である上部側に前記水面付近、及び水面上で前記透水ドラムの前記掻き寄せ板の先端部を周動させることができる凹状の湾曲面部と、前記水面付近から水面上に突出する頂部に水面と略平行からなる棚部を設けると共に、前記板体の下部側に前記湾曲面部から連接して水中に延設する平坦面部を設け、しかも、前記板体の前記湾曲面部、前記棚部、及び前記平坦面部に前記板体を貫通する複数の挿通孔を設けてなる透水受けガイドを前記水槽の長手方向の他方の側部側の上縁部に取り付けて前記透水ドラムの回転で前記掻き寄せ板で掻き揚げられる前記浮遊物を前記透水受けガイドに押しつけるようにして前記浮遊物に付着する前記水を前記挿通孔から除去しながら前記浮遊物を前記棚部の上に堆積させて順次前記水槽の外部に取り出す工程と、
前記水槽の底部長手方向に沈殿物搬送スクリューコンベアーを略水平に設けると共に、該沈殿物搬送スクリューコンベアーの出口側と連接させて設ける沈殿物排出スクリューコンベアーの吐出口を前記水槽の水面より高い位置に延設させて前記水槽の底部に沈降した前記沈殿物を前記沈殿物搬送スクリューコンベアーと、前記沈殿物排出スクリューコンベアーを連動して回転させて前記沈殿物に含まれる前記水を搾るようにして前記水槽内に残しながら順次前記水槽の外部に排出する工程を有することを特徴とする比重分離型廃棄物回収方法。
【請求項7】
請求項6記載の比重分離型廃棄物回収方法において、前記透水ドラムの前記中心軸の取り付け位置を移動自在とし、前記透水ドラムと前記透水受けガイドとのクリアランス調整を可能として前記浮遊物の形状による前記透水ドラムと前記透水受けガイドとの間の咬み込みを回避して掻き揚げさせることを特徴とする比重分離型廃棄物回収方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載の比重分離型廃棄物回収方法において、前記透水ドラムの前記掻き寄せ板の先端部に前記湾曲面部の凹状より小さい曲率半径からなる屈曲する出っ張り部を設け、該出っ張り部で前記浮遊物の脱落を回避して掻き揚げさせることを特徴とする比重分離型廃棄物回収方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項記載の比重分離型廃棄物回収方法において、前記透水ドラムの前方に前記掻き寄せ板に前記浮遊物を搬送させて送り込むための前記透水ドラムと略同等の長さの円筒状からなる1又は複数の搬送ドラムを設け、該搬送ドラムの中心軸を水面上に設けて該中心軸から放射状に延設する複数枚の羽根を前記透水ドラムの回転方向と同じ方向に回転させながら前記羽根の先端部で前記浮遊物を前記掻き寄せ板に順次搬送させることを特徴とする比重分離型廃棄物回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−12528(P2008−12528A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138390(P2007−138390)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(306017047)株式会社サンテック (2)
【Fターム(参考)】