説明

毛細管現象に基づき液体試料を操作する装置及び方法

本発明は、自動液体操作装置のディスペンス用ヘッドにおける単一体としての毛細管の代わりとなる、着脱可能な毛細管先端挿入器具を備える。いくつかの実施例においては、毛細管先端挿入器具は、毛細管を受け入れるに際して、当該器具から毛細管が突き出る長さをある一定の長さに保ちつつ、様々な長さの毛細管を受け入れることができるように、設計されている。ひとつの好適な実施例においては、本発明に係る着脱可能な毛細管先端挿入器具は、挿入用の道具を受け入れるのに適しディスペンス用ヘッドに据え付けられるよう先細になっている頭部と、毛細管先端挿入器具をディスペンス用ヘッドにネジ込めるようにするためにネジ山のついたえり状になっている外部ネジ山を備えた軸部と、頭部と軸部の内部を端から端まで貫くことにより毛細管先端挿入器具内部に中空部分をもたらし毛細管が設置できるようにしてある管腔と、ユーザが選択した液体容量の毛細管と、を備えている。限定なしに、ひとつの実施例は、毛細管に密着したプラスチック製の部品を備えている。別の実施例は、毛細管先端挿入器具を様々な態様で配したディスペンス用ヘッドと、それを用いた自動液体ディスペンシングのための方法と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2003年7月11日に出願された米国仮出願番号60/486479に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、液体試料の自動操作に関する。
【0003】
ゲノム学、プロテオミックス、工業化学、化合物情報管理の発展は、ますます高速で正確な高効率液体試料操作法の必要性を高めてきた。情報蓄積の大規模化に伴い、ますます小さい体積の、ときにはナノリットルオーダーにまで及ぶ微少体積の試料の自動操作及び自動スクリーニングの実施を可能とする必要性も高くなってきた。バイオ薬学企業、化学企業、大学、その他の研究機関の研究者達はしばしば、生産性を大幅に高め新薬発見過程のような他の過程を進歩させるような自動化された研究システムを求めている。ゆえに、費用対効果の大きい、小型化されたスクリーニングの試行や、関連する試料管理が、いっそう重要性を帯びてきた。
【0004】
小体積ディスペンシングや小体積輸送を可能にする技術は、現在いくつか存在する。かかる技術には、”接触”ディスペンシング法、”非接触”ディスペンシング法、その他の方法、が含まれる。接触ディスペンシングは、ディスペンスされた液滴を受容基層に接触させることにより生じる表面張力を用いて、ディスペンス装置から液滴を切り離す。
【0005】
非接触ディスペンシングは、ディスペンス装置から液滴を排出するにあたって、流体や空気圧といった力または圧力を用いることにより、受容基層と接する必要をなくしたものである。ディスペンシングはウエルの上から行うことができるため、プレートプロセッシングに要する時間は、液滴が連続的に”休む間もなく”ディスペンスされれば、大幅に短縮される。これらの技術はしばしば、標準的な96ウェル基層、384ウェル基層、1536ウェル基層、そしてますます密なマイクロタイタープレートや他の基層を含む、液体ディスペンシング又は操作用途に応用されている。
【0006】
高効率スクリーニング(”HTS”)市場での現在のトレンドは、費用を減少させるために、アッセイの体積を減少させることである。かかる減少は主に、384ウェル形式、1536ウェル形式、3456ウェル形式のような、小体積高密度マイクロタイタープレートにより達成されている。HTS用途には、1536ウェル以上の大プレートが、ますます広く使用されるようになってきた。そこで、化合物移動とアッセイ配列の両方に役立つ、実用的な自動液体操作方法が必要とされている。
【0007】
限定されることなく、あくまでも応用の一例として、何百万という潜在的な薬物化合物を蓄積するために、化合物収納庫が開発されているところである。科学者が自分達の化合物を保存することができるにとどまらず、あるひとつの化合物を素早く取り出し標本とすることができるようにしなければならない。ゆえに、高速かつ正確な化合物サンプリングが要求される。
【0008】
化合物収納庫の管理には、しばしば、化合物の再配置が必要となる。再配置とは、液体化合物収納庫の試料の一部を、”マザー”プレートから、”ドーター”プレートという別のマイクロタイタープレートに移動することである。ユーザは、”ドーター”プレートにおいて、所望の試験やアッセイを行う。試験がますます小さなスケールにて行われるようになったため、試料プレートの密度を高める必要がある。ゆえに、再配置過程は、同じプレート密度の”マザー”プレートと”ドーター”プレートの間で生じることもあるだろうし、異なるプレート密度のプレート間で生じることもあるだろう。異なるプレート密度のプレート間で生じるというのは、低密度プレートから試料を取り出して高密度プレートに重ねる場合である。ほんの一例として、96ウェルプレートを384ウェルプレートあるいは1536ウェルプレートに複合させることや、その他もろもろの変更が挙げられる。
【0009】
その上、主な薬物スクリーニングにおいては、科学者は、何千もの潜在的な薬物候補の中から、目標に対し生物学的な活性を示すものを見つける必要がある。かつては数枚の96ウェルプレートにより年間数百の相互作用を調べていたが、スクリーニング技術は、今日ではHTSにまで進歩した。研究者が複雑で大体積の実験を伝統的な技術よりも低いコストと短い時間で行うことを可能にする技術は、より速くより安価な薬物探索を促す。
【0010】
多くの場合、これらの過程は、培養器、遠心分離器、吸引及びディスペンスを行うロボットを、あるひとつのプラットフォーム上で組み合わせて自動化されており、統合ロボットとして知られている。かかるロボットの各寄与部分は、効率的に、正確に、そして簡易な統合のもとで動作する必要がある。ゆえに、HTSロボットは、統合ステーションに1536ウェルマイクロタイタープレートを有することが期待され、全てのウェルを満たしプレートを除去するのに、数秒とまでいかないまでも、数分で済むことが期待される。
【0011】
さらに、人ゲノム配列解読プロジェクトはゲノム学とプロテオミックスという分野を生み出した。ゲノム学は生物の遺伝子の包括的な研究であり、プロテオミックスはタンパク質のコンプリメンツの包括的な研究である。構造ゲノム学という関連分野も出現した。構造ゲノム学においては、何千ものタンパク質の構造を解析するために、中心的プラットフォームとして高効率タンパク質結晶解析が用いられている。
【0012】
以前は、タンパク質結晶解析は、労力を要する低効率な過程であった。しかし、高効率タンパク質結晶解析はHTSから多くの自動化概念を取り入れている。タンパク質結晶解析における液体操作に要求されることは、試料が小体積であること、(例えば、マザー溶液の蒸発を避けるために)ディスペンスが速いこと、ディスペンスされる体積が正確であることであり、HTSにおいて要求されることと似ている。
【0013】
かかる用途において、自動液体操作装置は中心的な役割を果たす。これらのロボットは、高速で正確な試料操作を提供することにより、研究室の様々な作業を行う。作業の例として、96ウェル、384ウェル、1536ウェル、あるいは他のマイクロプレートから、プレート圧縮又はプレート拡張することが挙げられる。また、プレート複製、プレート再配置、試薬追加、希釈なども挙げられる。
【0014】
試料の非接触移動の必要性に応じて自動液体試料操作を行うために、現在、いくつかの技術が利用可能である。かかる技術のひとつは、ハミングバード(商標)ディスペンシングシステム(カリフォルニア州アーバイン、ジェノミックソリューションズインコーポレイテッド、カルテシアン部門)である。ハミングバードテクノロジーは、化合物を移動しHTS用のアッセイプレートを作り出すための頑強な高度並列処理法であり、小体積の液体の移動も可能である。この技術においては、化合物を、たいへん小さいナノリットルオーダーの体積で望みのままに移動するために、毛細管の配列が利用されている。
【0015】
ハミングバード非接触技術においては、細い穴が通っているガラス製の毛細管に生じる毛細管現象を利用して、源となるプレートや他の基層から試料を吸い出した後、空気圧でディスペンスする。取付台に取り付けられた毛細管の配列を、源となるプレートに浸して、毛細管現象により毛細管を満たし、行先プレート又は他の基層に、毛細管の後ろ側から圧力を加えてディスペンスする。移動される体積は、毛細管の体積により決定される。
【0016】
取付台は現在、細い穴が掘り抜かれている毛細管の配列と、それらが接着されたプラスチック製の板とから構成されている。これにより、プレート複製、プレート繰り返し、プレート再配置、試料希釈、試薬追加が可能となる。ハミングバードは、スタンドアローンモードで操作することも、アクティヴXインタフェースを介して操作することも可能である。そして、96ウェルプレート又は384ウェルプレートを操る自動プレート操作器を備えている。
【0017】
かかる技術は、正確で高速な非接触の小体積吸い出し及びディスペンスシステムを実現し、試料追加、配列プリンティング、化合物移動、アッセイ構築を可能にした。しかし、取付台の毛細管が損傷を受けたり詰まったりするかもしれず、不稼働期間をもたらし得る。その上、毛細管が取付台に接着されているか、または密着して固定されているために、毛細管を修理したり交換したりするのは困難である。加えて、毛細管が固定されているため、あるひとつのマイクロタイタープレート内で試料の大きさを変動させたることが要求される用途には、毛細管が接着されるか密着されるかしている現在の取付台を適応させるのは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ゆえに、かかる欠点を克服するための、より進歩した装置及び方法が、今なお必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明はかかる欠点や他の欠点を克服する必要性に鑑み、なされたものである。本発明は、自動液体操作装置のディスペンス用のヘッドにおいて個々の毛細管の交換を可能とする、着脱可能な毛細管先端挿入器具を備えている。ある実施例においては、毛細管先端挿入器具は、様々な長さの毛細管を受け入れることができるように、しかも、毛細管が毛細管先端挿入器具から突き出る長さを一定に保つことができるように設計されている。ある好適な実施例においては、本発明に係る着脱可能な毛細管先端挿入器具は、挿入ツールを受け入れるのに適合した頭部であって、ディスペンス用のヘッドにおいて取付台の中に設置するために先細にした頭部を備えている。当該器具はさらに、外部にネジ山を備えた軸部を備えている。当該ネジ山は、取付台にネジで取り付けることができるように、ネジ山を刻まれたえり状になっている。当該器具はさらに、頭部の先端部から軸部の末端部にかけて内部を貫く管腔を備えている。当該管腔は当該器具の中で空洞をなしており、当該器具の中に毛細管が存在できるようになっている。当該器具はさらに、ユーザが選んだ液体容量を有する毛細管を備えている。限定することなくあくまでもひとつの実施例として、毛細管に密着したプラスチック製の部品を備えているものを挙げることができる。他の実施例は、様々な態様の毛細管先端挿入器具を有する取付台を備えていたり、これまで述べてきた装置を使用して自動液体ディスペンシングをするための方法を備えていたりしている。
【0020】
当業者が以下の図面と詳細な説明を読めば、本発明の他の面を理解するのは容易であろう。
【0021】
ここで、本発明について、例示により、対応する図面について言及しつつ、記述する。
【0022】
本発明は、小液体体積用の自動液体ディスペンサ装置に用いる毛細管先端挿入器具10を備える。本発明はまた、当該器具を使用する方法を備える。毛細管先端挿入器具10は、頭部14と、軸部18と、を備える。毛細管先端挿入器具10には、所望の液体容量を有する毛細管22が取り付けられる。使用の際には、毛細管先端挿入器具10の毛細管22は、毛細管現象により試料で満たされ、その後、試料は空気圧でディスペンスされる。本発明は、操作性と保守性を向上させるために改良された取付台40をも備える。
【0023】
ディスペンス用のヘッドにおける毛細管を個別に取り替えられるようにするために、取付台40に取り付けられるような着脱可能な毛細管先端挿入器具10が設計された。毛細管先端挿入器具10には、毛細管22の少なくとも一部が差し込めるように、内部が空洞になっている。限定する意図はないが本発明のいくつかの実施例においては、毛細管先端挿入器具10は、当該器具の軸部18の末端から毛細管22が一定の長さだけ突き出るようにしつつ、様々な長さの毛細管22を受け入れることができるように設計されている。ネジ山が設けられたえり状の部分19が設けられているので、毛細管先端挿入器具10は取付台40にしっかりとネジ込んで固定できるようになっている。
【0024】
図1(A)及び(B)に示すように、限定することなしに、ひとつの好適な実施例においては、本発明は毛細管先端挿入器具10を備えている。毛細管先端挿入器具10は、頭部14、軸部18、毛細管22を含む、様々な領域から成っている。毛細管22は、軸部18の、頭部側ではない末端に挿入され固定されている。一般に、毛細管先端挿入器具10は、長さ方向の軸について円筒形をなしている。内部管腔21が、毛細管先端挿入器具10の頭部側の端から軸部側の端までを貫いている。管腔21は、毛細管先端挿入器具10の軸に沿ってみていくと、直径が一定であることもあるし、直径が変化していくこともある。当該直径が一定であるか変化するかは、先端をどのように設計したいかによって異なる。毛細管先端挿入器具10の頭部側の端において、頭部14は一般に直径1乃至4mmの円筒形をなしている。当該直径は、好適な実施例においては、2.5mmである。毛細管先端挿入器具10をアレンレンチ等の道具で回して取付台40の所定の場所に固定するために、アレンレンチ等の道具の受け口として機能するように、頭部14の内部領域は、六角形形状15のような形状になっている(図1(B)参照。)。
【0025】
頭部14は、上から末端の方向に向かって、軸部18の直径と一致するまで先細になっている。この結果、円錐部16が形成される。毛細管先端挿入器具10が取付台40の所定の位置に配置され道具で固定されるとき、円錐部16が封としてはたらく。当該円錐の先細りの程度はユーザが選択してよいが、60°程度が好適である。
【0026】
毛細管先端挿入器具10の軸部18は円筒形をしており、頭部側の端に外部らせんネジ山19と、頭部側ではない末端に先細部20と、を備える。先細部20の先細りの程度はユーザが選択してよいが、約33°が好適である。取付台40に挿入する際、軸部18の頭部側の端にある外部らせんネジ山19は取付板に接し、適切に回されることにより、毛細管先端挿入器具10が取付台40に固定され封じられる。
【0027】
ユーザが選択した液体容量を有する毛細管22は、軸部18の頭部側ではない端に接続される。一つの好適な実施例においては、毛細管22の少なくとも一部を、軸部18の頭部側ではない端が密着してくるむような態様で、毛細管22は、軸部18に接続される。限定されるものではないが他の実施例においては、毛細管22は、軸部18の頭部側ではない端の所定の位置に差し込まれ、接着される。接着には、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に知られている接着剤を用いる。接着剤として、限定することなくほんの一例として、硫化ジメチルコンパチブル接着剤が挙げられる。限定することのない好適な実施例においては、毛細管の液体容量は1乃至10,000ナノリットルの範囲から選択されるだろう。毛細管22の液体容量体積は、特定の用途に合わせて、ユーザが好きなように選択すればよいであろう。いくつかの実施例においては、毛細管22の液体容量は、毛細管の内径と長さの両方または一方を調整することにより、変えることができる。毛細管22は、当業者に知られている方法により作製され、毛細管22により採取される液体体積容量は工業上許容できる基準内で予想可能である。
【0028】
ある好適な実施例においては、以下に限定されないが、毛細管先端挿入器具10の頭部14及び軸部18は、ポリプロピレン、ポリスチレン、あるいは、他の適切な、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に知られている材料でできている。同様に、発明関する毛細管22は、ガラス、ポリエチルエチルケトン(PEEK)、あるいは、他の適切な、当業者に知られている材料でできている。
【0029】
発明の実施例は、限定することなしに、モールディング、アセンブリ、ストレートモールディング、又はこれらの組み合わせにより作製された毛細管先端挿入器具の配列を含んでもよい。毛細管先端挿入器具は、それらが個々のものであってもモールドされたものであっても、内部に毛細管を備えることができる。いくつかの好適な実施例においては、限定することなしに、毛細管先端挿入器具10の頭部14及び軸部18は、ブローモールドにより、中に毛細管22を固定するように一体成形してしてもよい。あるいは、毛細管先端挿入器具は、頭部部品と、軸部部品と、毛細管部品と、を備え、かかる部品を組み立てて作製されるものであってもよい。後者の一例においては(図2参照)、頭部30は鋳造されたプラスチックであって、軸部34はステンレス鉄である。さらに、軸部の頭部側ではない端において、毛細管36と軸34との間でコネクタかつ台座として機能する、鋳造されたプラスチック製コネクタ35が存在する。
【0030】
本発明を構成する毛細管先端挿入器具10の全長は、試料プレートの密度や試料源の深さをいかほどにしたいかといった要因に応じて、ユーザが選択し変化させることができるようにしてよい。ここで、試料源の深さとは、例えばウェルの深さや、他の容器の深さのことである。好適な実施例においては、毛細管先端挿入器具10の全長は22乃至32mmであり、なかでも最も好適な実施例においては、全長は約27mmである。頭部14と軸部18の相対的な長さは、上記と同様にユーザが選択し変化させてよいが、好適な実施例においては、頭部14の長さは3乃至7mm、軸部18の長さは17乃至25mmである。毛細管は、軸部の頭部側ではない端から概ね1乃至3mm突き出ている。約2mm突き出すのが最も好適である。
【0031】
本発明を構成する毛細管先端挿入器具10の最大直径も、上記と同様に、ユーザが選択し変化させてよい。当該最大直径の決定に際し、ユーザは、試料源の密度や、取付台40において利用することができる空間といった基準を考慮することになる。ここで、試料源としては、ほんの例として、マイクロタイタープレートウェルや、他の容器が挙げられる。好適な実施例においては、頭部14の最大直径は、1.5乃至5mmであり、約4mmが最も好適である。好適な実施例においては、軸部18の、ネジ山を除いた部分の最大直径は、0.5乃至2.0mmであり、約1.5mmが最も好適である。
【0032】
本発明においては、いくつかの実施例において、個々の毛細管先端挿入器具10毎に、毛細管22として、様々な長さ及び容量のものを選択することができる。その際、軸部18の頭部側ではない端から毛細管22の末端が突き出す長さは一定に維持される(図3(A)及び(B)参照)。ゆえに、いくつかの実施例においては、発明に係る取付板は、取付板の底部から毛細管先端挿入器具10の末端までの距離を一定に保ちつつ、異なる液体容量を有する複数の毛細管先端挿入器具を収納してもよい。
【0033】
いくつかの実施例においては、本発明は、毛細管先端挿入器具10の集合体を取り付けて据え付ける取付台40を備える(図5及び6)。当該取付台は金属、プラスチック、その他当業者に知られている適切な材料でできていてよい。当該取付台は、毛細管先端挿入器具10を受け入れるように設計された機械化開口部(図には詳細には現されていない)の集合体を備えていてもよい。機械化開口部は、毛細管先端挿入器具10が差し込まれ差し込み用の道具でトルクをかけられることにより固定されるときに、封が作られ毛細管先端挿入器具10が所定の位置にしっかりと固定されるように、毛細管先端挿入器具10のネジ山と円錐状側面に対応して機械化されている。ゆえに、いくつかの実施例においては、取付台40の、毛細管先端挿入器具10用の台座は、いったん毛細管先端挿入器具10が台40の穴にネジ込まれたら頭部14の円錐状の部分としっかり重なるように形成されたネジ山つきの穴を備えている。
【0034】
取付台40は、ユーザの要望に応じて、毛細管先端挿入器具10の集合体を備えていてもよい。取付台40に設けられた穴のうち、ユーザが毛細管先端挿入器具を設置することを望まない穴には、ネジ山が設けられた固体のキャップ(図には表されていない)を差し込んでもよい。取付台40は、ここでは例示にとどめるが、例えば96ウェル形式、384ウェル形式、1536ウェル形式にて、先端部の集合体を含んでいてもよい。
【0035】
いくつかの実施例においては、取付部40は、取付部40の自動液体ディスペンサ装置への取り付けを容易にする1又は2以上の留め金45を、さらに備えている。ある実施例においては、限定するものではないが、当該留め金はあるキャップされたボルトから構成されている。当該キャップされたボルトは、回転する部材に取り付けられて、取付板40に付着されており、取付台40の上面に対して垂直の位置から少なくとも水平の位置まで動かせるようになっている(図5参照)。取付台40がディスペンサ装置に固定されたとき、留め金45は垂直の位置に動かされ、ディスペンサ装置(図には現されていない)に設けられた歯止めへの掛け金となる。その際、取付台40とディスペンサ装置の間にしっかりとした封がなされる。当業者であれば、同じ目的を達成するためには、他にも留め金をかける方法があることを認識するであろう。
【0036】
いくつかの実施例においては、取付台40の上面には、毛細管先端挿入器具10から液体試料を取り上げたりディスペンスしたりするために空気圧を加えられるように、1又は2以上の開口部46が備えられている(図6参照)。いくつかの好適な実施例においては、限定することなく、開口部46は、毛細管22から液体試料を放出するための毛細管先端挿入器具10の集合体に、まとめて空気圧を加えることができるものであってもよい。他の実施例においては、穴は、試料を特定の試料容器あるいは特定のウェルに個別の先端から散布すべく、1又は2以上の選択された毛細管先端挿入器具10に空気圧を与えるよう設計されていてもよい。
【0037】
いくつかの実施例においては、ユーザが取付台40の異なる領域からの試料の散布を選択したり監視したりできるように、毛細管先端挿入器具10が異なる色でコード化されている。さらに、いくつかの実施例においては、限定することなしに、取付台40は、ユーザが選択した基準にしたがって、試料容器毎に、異なる体積の液体が分配されるように、異なる液体容量を有する毛細管先端挿入器具10を備えていてもよい。ここで、試料容器のほんの一例として、マイクロタイタープレートが挙げられる。ゆえに、本発明に係る実施例は、限定することなしに、様々な長さを有し色でコード化された又はされていない再配置可能な毛細管と、毛細管先端挿入器具と、を備えており、さらに、ディスペンスする体積が複数あるような毛細管を備えることがある。
【0038】
使用に際しては、取付台40は、自動液体ディスペンサ装置50のディスペンス用のヘッド52に取り付けられ留め金をかけられる(図7及び8参照)。ここで、自動液体ディスペンス装置50のほんの一例として、ハミングバードのディスペンス機械(カリフォルニア州アーバイン、ジェノミックソリューションズインコーポレイテッド)が挙げられる。ハミングバード技術においては、細い穴が掘り抜かれたガラス製毛細管22を用いて試料源プレート54から試料を吸い上げた後、空気圧によりディスペンスする。移動は、毛細管現象を利用して試料を吸い上げた後、空気圧によりディスペンスすることにより生じる。これにより、プレート複製、プレート繰り返し、プレート再配置、その他ユーザに役立つディスペンス作業が可能になる。
【0039】
ディスペンス用のヘッド52は、ユーザの要求通りに試料を取り上げたり吸い出したりするために、試料トレーの間を周回する。限定するのではなく使用法のほんの一例として、ディスペンス用のヘッド52は試料源プレート54に周回されて毛細管先端挿入器具10における毛細管現象により試料を引き出し、試料行先プレート56に周回されて試料を空気圧により散布する。ディスペンス用のヘッド52は、周期的に、毛細管先端挿入器具10を望みどおりにゆすぐ洗浄ステーション58に周回される。
【0040】
本発明に係る毛細管先端挿入器具10は、従来の技術に比べ、いくつかの利点を有している。毛細管先端挿入器具10は、毛細管長及び毛細管内径を許容範囲内にしたまま、毛細管22を深いウェルプレートの底まで到達せしめることができる(つまり、深いウェルプレートに届かせるために毛細管だけを使用しようとすると、内径を無茶に小さくする必要があるであろう。)。取付台40を製造する際には毛細管先端挿入器具10は別個の部品とすることができ、毛細管先端挿入器具10はテストされ、不良な毛細管先端挿入器具10は容易に交換することができる。同様に、毛細管22が詰まったり壊れたりしたら、ユーザーは、毛細管先端挿入器具10を交換することができる。毛細管先端挿入器具10は、その長さゆえに、広い範囲の毛細管22の使用を可能とし、このことは、移動体積の範囲を広げる結果となる。従来の取付ヘッドは、試料溶液に浸すのに十分な長さの毛細管を有している必要があった。毛細管先端挿入器具10と共にとても短い毛細管22を使用することにより、様々な移動体積を実現することができる。
【0041】
本発明については、ここまでに述べてきたとおり、好適な実施例と代替的な実施例に言及することにより、特定のものとして示し説明した。しかし、当業者は、請求項により定義された発明の思想と範囲から逸脱することなしに発明を実施するにあたり、ここに記述された発明の実施例の代わりとなるような様々な手段を採用することができるであろうことを、理解すべきである。請求項は発明の範囲を定義するよう意図されており、請求項の範囲内の方法及び装置並びにそれらと等価値の方法及び装置はそれにより包含されるよう意図されている。本発明についてのここでの記述は、ここに記載された要素のあらゆる新規で自明でない組み合わせをも包含すると理解されるべきである。そして、請求項は、当該要素のあらゆる新規で自明でない組み合わせについてのここでの又は後の応用に対応すべく、存在している。前記の実施例は説明的なものであり、単一の特質又は単一の要素が、ここでの応用や後の応用において主張されるであろうあらゆる可能な組み合わせに対し、本質的なものであることはない。請求項が等価な要素について”ひとつの”又は”第1の”要素を列挙している場合、かかる請求項は、1又は2以上のそのような要素の編入を含むと理解されるべきであり、また、2以上のそのような要素を必須としているわけでも排除しているわけでもないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1(A)乃至(D)は、それぞれ、本発明を構成する毛細管先端挿入器具の側面図、上面図、側面図、透視図である。
【図2】図2は、毛細管先端挿入器具の、限定されないひとつの実施例の透視図である。
【図3】図3(A)及び(B)は、異なる毛細管容量を有する毛細管先端挿入器具の透視図である。毛細管容量が異なっても、毛細管が毛細管先端挿入器具の軸部の末端から突き出る長さは一定である。
【図4】図4は、毛細管先端挿入器具を複数備えた取付台の側面透視図である。
【図5】図5は、本発明に係る取付台を下から見たところを示す。
【図6】図6は、本発明に係る取付台を上から見たところを示す。
【図7】図7は、本発明を含む、自動液体試料操作装置の前面図である。
【図8】図8は、本発明を含む、自動液体試料操作装置を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動液体ディスペンサ装置用の着脱可能な毛細管先端挿入器具であって、
頭部と、
外部にネジ山を備えた軸部と、
前記頭部及び軸部の両者に渡り貫かれている管腔と、
前記軸部の末端のうち頭部側ではない末端に接続された毛細管とを備える、
ことを特徴とする器具。
【請求項2】
前記毛細管は、前記毛細管の一部の周囲に前記軸部が密着するように、前記軸部の末端のうち頭部側ではない末端に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記頭部は、取付台への挿入用の器具に適合する、
ことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記頭部は、前記頭部の少なくともある部分が先細になっていることにより、前記頭部の直径が均一ではない、
ことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記毛細管の液体容量は、1ナノリットルと10,000ナノリットルの間の量である、
ことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記挿入器具の前記頭部及び前記軸部は、ポリスチレンから構成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の器具。
【請求項7】
前記挿入器具の前記頭部及び前記軸部は、ポリプロピレンから構成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の器具。
【請求項8】
自動液体ディスペンサ装置用の取付台であって、
1又は2以上の請求項1に記載の器具と、
該器具の形状及び外部のネジ山に合うように設計された複数の穴を備えた表面と、
1又は2以上の該器具に空気圧を与えるための1又は2以上の開口部とを備える、
ことを特徴とする取付台。
【請求項9】
請求項1に記載の器具の集合体であって、前記集合体が2以上の色を備える前記集合体をさらに備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の取付台。
【請求項10】
器具の該集合体が色でコード化されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の取付台。
【請求項11】
請求項1に記載の器具の集合体であって、前記集合体が異なる液体容量を有する2以上の毛細管を備える前記集合体を備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の取付台。
【請求項12】
請求項8に記載の取付台を供給する工程と、
1又は2以上の液体試料を収容する出発基層を供給する工程と、
1又は2以上の液体試料の行先基層を供給する工程と、
自動液体ディスペンサ装置であって、
ディスペンス用のヘッドと、
出発基層と行先基層の間を周回する手段と、
1又は2以上の請求項1に記載の器具に選択的に空気圧を与える手段とを備える、
ことを特徴とする装置を供給する工程と、
前記ディスペンス用ヘッドを取付台に固定する工程と、
取付台を前記出発基層と前記行先基層の間で周回させる工程と、
を備える、ことを特徴とする液体試料の自動ディスペンス方法であって、
取付台に取り付けられた1又は2以上の器具により毛細管現象により前記出発基層から1又は2以上の試料の一部を取り出し、請求項1に記載の器具に選択的に空気圧を加えることにより前記試料の一部を行先基層にディスペンスするようにする、
ことを特徴とする液体試料の自動ディスペンス方法。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−524077(P2007−524077A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520262(P2006−520262)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/022385
【国際公開番号】WO2005/007289
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(506011489)ジェノミック ソリューションズ、インク (1)
【Fターム(参考)】