説明

毛髪処理剤

【課題】 染毛した毛髪に使用しても色落ちが少ない毛髪用処理剤を提供する。
【課題を解決するための手段】 下記一般式(1)で示される界面活性剤(A)を含有する毛髪処理剤である。
【化3】


式中、R1は炭素数6〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜36のβ−ヒドロキシアルキルもしくはβ−ヒドロキシメチルアルキル基、またはR7−C(=O)−N(−R8)−であり、R7は炭素数6〜36の脂肪族炭化水素基、R8は水素原子または炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基;R2は炭素数1〜6のアルキレン基;R3〜R6は水素原子または炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基;Aは炭素数2〜6のアルキレン基;pは0または1〜100の整数;k、l、mおよびnは0または1〜200の整数であり;R3〜R6のいずれもが水素原子の場合は、k、l、mおよびnはいずれもが1または少なくとも1つは2〜100であり;R3〜R6のいずれか1つ以上が炭化水素基の場合は、k、l、mおよびnのうち少なくとも1つは1〜100であり;複数個のAはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪処理剤に関し、詳しくは毛髪洗浄剤、セット剤、リンス剤、トリートメント剤およびコンディショニング剤などに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、全人口の約6割、女性の約8割が髪の毛を染める状況である。しかし、この人々のほとんどが、洗髪、リンス、乾燥等の毛髪処理をすると、染めた毛髪の色が落ちてしまい、再度の染毛をするまでの期間が短いという悩みを抱えており、色落ちしない毛髪処理剤が求められている。
特に、毛髪洗浄剤は毛髪の洗浄操作を伴うため、色落ちを抑制し難いという問題点を抱えている。これを解決する手段として、例えばアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびカチオン性高分子の配合により色落ちを防止する毛髪処理剤などが提案されている(特許文献−1および2参照)。
【特許文献−1】特開2003−95885
【特許文献−2】特開平8−325597
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来から提案されている毛髪処理剤であっても、色落ち抑制の程度は十分ではなかった。本発明が解決しようとする課題は、染めた毛髪に使用しても色落ちが少ない毛髪用処理剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、特定のエーテルカルボン酸塩を用いることにより、染めた毛髪の色落ちを抑制する毛髪処理剤を見出し本発明に至った。 すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示される界面活性剤(A)を含有する毛髪処理剤である。
【0005】
【化2】

【0006】
式中、R1は炭素数6〜36の炭化水素基またはR7−C(=O)−N(−R8)−であり、R7は炭素数6〜36の炭化水素基、R8は水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基;R2は炭素数1〜6のアルキレン基;R2〜R6は水素原子または炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基;Aは炭素数2〜6のアルキレン基;pは0または1〜100の整数;k、l、mおよびnは0または1〜50の整数であり;R3〜R6のいずれもが水素原子の場合は(k+l+m+n)は4以上であり;複数個のAはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の毛髪処理剤は、洗髪等の処理をしても染毛の色落ちが少ない。
従って、再度の染毛をするまでの間隔が従来の毛髪処理剤を使用した場合よりも長期間になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の界面活性剤(A)を表す一般式(1)において、R1が脂肪族炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数が6〜36の脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基など)および脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、多環炭化水素基など)が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、直鎖状と分岐状など2種類以上の基の混合物であってもよい。炭素数6未満では洗浄剤として使用した場合の十分な起泡力および洗浄力が得られず、炭素数が36を超えると起泡力および洗浄力が劣り、好ましくない。
アルキル基としてはヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ラウリル、トリデシル、ミリチル、セチル、ステアリル、ノナデシル、2−エチルヘキシル、2−エチルオクチル基など;アルケニル基としては、オクテニル、デセニル、ドデセニル、トリデセニル、ペンタデセニル、オレイル、ガドレイル基など;アルカジエニル基としては、リノレイル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としてはエチルシクロヘキシル、プロピルシクロへキシル、オクチルシクロへキシル、ノニルシクロへキシル基など;多環炭化水素基としては、アダマンチル基などが挙げられる。
これらの脂肪族炭化水素基のうち好ましいのは炭素数8〜24のもの、さらに好ましいのは脂肪族鎖状炭化水素基であり、特に好ましいのは炭素数10〜18のアルキル基、とりわけ炭素数12〜14のアルキル基、最も好ましいのは炭素数12の直鎖アルキル基である。
【0009】
1が炭素数6〜36のβ−ヒドロキシアルキルもしくはβ−ヒドロキシメチルアルキル基である場合の、β−ヒドロキシアルキル基としてはβ−ヒドロキシデシル基、β−ヒドロキシドデシル基およびβ−ヒドロキシオクタデシル基など、β−ヒドロキシメチルアルキル基としてはβ−ヒドロキシメチルノニル基、β−ヒドロキシメチルウンデシル基およびβ−ヒドロキシメチルヘプタデシル基などが挙げられる。
β−ヒドロキシアルキルおよびβ−ヒドロキシメチルアルキル基のうち好ましいのはβ−ヒドロキシデシル基、β−ヒドロキシメチルウンデシル基およびこれらの併用である。
【0010】
1がR7−C(=O)−N(−R8)−である場合、R7は炭素数6〜36の脂肪族炭化水素基であり、前述の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。R8は水素原子または炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基(例えば、後述のR3〜R6として挙げられている脂肪族炭化水素基のうちの炭素数1〜12のもの)であり、好ましいのは水素原子である。
【0011】
一般式(1)におけるR2は、炭素数1〜6、好ましくは1または2、特に1のアルキレン基である。R2としては、メチレン、エチレン、プロピレンおよびブチレン基などが挙げられる。
【0012】
一般式(1)において、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、例えばエチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレンおよび1,6−へキシレン基などが挙げられ、好ましいのはエチレン基、1,2−プロピレン基およびこれらの併用であり、特にエチレン基である。
(AO)の部分は、炭素数2〜6のAOの付加により形成される。AOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−または2,3−ブチレンオキサイドおよびテトラヒドロフランなどが挙げられる。好ましいのはEO、POおよびこれらの併用である。
一般式(1)において、pはAOの付加モル数に相当し、0または1〜100の整数であり、好ましくは1〜12である。pが100を超えると、洗浄剤として使用した場合の十分な起泡力および洗浄力が得られず好ましくない。
【0013】
一般式(1)におけるアニオン性部分の具体例としては、エーテルカルボン酸アニオン、ヒドロキシエーテルカルボン酸アニオンおよびアミドエーテルカルボン酸アニオンが挙げられる。
エーテルカルボン酸アニオンとしては、ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエーテル酢酸アニオン、ポリオキシエチレン(4〜5モル)ラウリルエーテル酢酸アニオンおよびポリオキシエチレン(3モル)トリデシルエーテル酢酸アニオンなどが挙げられる。
ヒドロキシエーテルカルボン酸アニオンとしては、β−ヒドロキシドデシルエーテル酢酸アニオンおよびβ−ヒドロキシメチルウンデシルエーテル酢酸アニオンなどが挙げられる。
アミドエーテルカルボン酸アニオンとしては、ラウリン酸アミド(ポリ)オキシプロピレン(1〜3モル)エーテル酢酸アニオンなどが挙げられる。
【0014】
一般式(1)におけるカチオン性対イオン基においてR3〜R6は、水素原子または炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基であり、炭化水素基としては以下の基が挙げられる。
(1)脂肪族飽和鎖状炭化水素基:
直鎖または分岐のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、オクタデシルおよびテトラエイコシル基、
(2)脂肪族不飽和鎖状炭化水素基:
例えば、ビニル、アリル、メタリル、プロペニル、オクテニル、ウンデセニル、ドデセニル、オレイルおよびエイコセニル基、
(3)脂肪族脂環基含有炭化水素基:
例えば、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルブチルおよび4−メチル−シクロヘキシル基など、
炭化水素基のうち好ましいのは脂肪族飽和鎖状炭化水素基および脂肪族不飽和鎖状炭化水素基であり、さらに好ましいのは炭素数1〜18の脂肪族飽和炭化水素基である。
【0015】
カチオン性対イオン基におけるAは、前述のAと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。なお、Aとしてエチレン基を含む併用の場合のカチオン性対イオン基中の全ての(AO)の重量に基づくエチレン基の割合は少なくとも50重量%であることが好ましい。また、併用の場合はランダム結合もしくはブロック結合のいずれでもよい。
【0016】
k、ι、mおよびnは0または1〜200、好ましくは1〜100、さらに好ましくは2〜75の整数を表す。
【0017】
3〜R6のいずれもが水素原子の場合は、k、ι、mおよびnはいずれもが1または少なくとも1つは2〜100、好ましくは2〜50である。
3〜R6のいずれもが水素原子の場合は(k+l+m+n)は好ましくは4〜100である。
3〜R6のいずれもが水素原子の場合のカチオン性対イオン基の具体例としては、テトラヒドロキシエチルアンモニウム、ヒドロキシエチルオキシエチルアンモニウム、モノエタノールアミンのEO10〜30モル付加物のアンモニウム、およびトリエタノールアミンEO10〜30モル付加物のアンモニウムなどが挙げられる。
【0018】
また、R3〜R6のうちのいずれか1つ以上が脂肪族炭化水素基の場合は、k、ι、mおよびnのうち少なくとも1つは1〜100、好ましくは1〜50である。
3〜R6のいずれか1つ以上が脂肪族炭化水素基の場合は(k+l+m+n)は好ましくは3〜100である。
3〜R6のうちのいずれか1つ以上が脂肪族炭化水素基の場合の具体例としては、モノアルキル(炭素数8〜24)アミンEO1〜50モル付加物のアンモニウム、およびジアルキル(炭素数6〜24)アミンEO1〜500モル付加物のアンモニウムなどが挙げられる。
【0019】
カチオン性対イオン基のうち、とりわけ好ましいのは、モノアルキル(炭素数8〜24)アミンEO2〜500モル付加物のアンモニウムである。
【0020】
本発明の界面活性剤(A)の製造法としては、特には限定されないが、種々の方法が挙げられる。
例えば、一般式(1)のうちのアニオン性部分を構成するカルボン酸の酸価と、カチオン性対イオンを構成する成分の全アミン価に基づいて、当量になるような量の比率で中和・混合する方法などが挙げられる。中和・混合の工程で粘度が高くなり混合しにくい場合などには、水および/または有機溶媒(例えば、後述のアルコール類、ケトン類およびエステル類エーテル類)を加えて希釈してもよい。
【0021】
本発明の毛髪処理剤は、さらに、必要により、本発明の効果を妨げない量のアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる1種または2種以上の界面活性剤を含有することができる。
【0022】
アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0023】
非イオン界面活性剤としては、1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリルジメチルアミンオキシド、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=1〜100)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=1〜100)、モノラウリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ソルビタン、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ジオレイン酸メチルグルコシド、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)牛脂アルキルヒドロキシミリスチレンエーテル、モノステアリン酸エチレングリコール等が挙げられる。
【0024】
カチオン界面活性剤としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドの乳酸塩などが挙げられる。
【0025】
両性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0026】
また、本発明の毛髪処理剤には、本発明の効果を妨げない量の乳化安定剤、保湿剤、シリコーン、キレート剤、増粘剤、香料、着色料、防腐剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含有することができる。
乳化安定剤として、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の炭素数6〜22の高級アルコール;保湿剤としてグリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等;増粘剤として、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、タンパク誘導体等;シリコーンとしてジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に各種の有機基を導入した変性シリコン、環状ジメチルシロキサン等;キレート剤として、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸ナトリウム等があげられる。
【0027】
本発明の毛髪処理剤は、(A)そのもの、(A)と他の界面活性剤および/または添加剤、並びに、これらを水および/または有機溶剤で稀釈した溶液もしくは分散液、
のいずれかである。
【0028】
本発明の毛髪処理剤において、毛髪処理剤の質量に基づく(A)の含有量は、通常0.01質量%以上であり、溶液もしくは分散液の場合は、好ましくは0.01〜40質量%(以下において、特に限定しない限り%は質量%を表す)、さらに好ましくは0.1〜30%、特に0.1〜20%である。
本発明の毛髪処理剤中の(A)の含有量が0.01%以上であれば、洗浄剤として使用した場合に洗髪時の染毛の色落ちを防止し易く、溶液もしくは分散液の場合に40%以下であれば流動性があるという点で好ましい。
【0029】
他の界面活性剤を併用する場合の、毛髪処理剤の質量に基づく他の界面活性剤の含有量は、通常50%以下であり、溶液もしくは分散液の場合は、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、特に0.05〜10%である。
また、(A)の質量に基づく他の界面活性剤の割合は、好ましくは500%以下、さらに好ましくは300%以下である。
【0030】
添加剤を含有する場合の、毛髪処理剤の質量に基づく添加剤の合計含有量は、通常50%以下であり、溶液もしくは分散液の場合は、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、特に0.05〜10%である。
また、(A)の質量に基づく添加剤の合計の割合は、好ましくは500%以下、さらに好ましくは300%以下である。
【0031】
本発明の毛髪処理剤の形態は、溶液状、分散体状または固体状など特に限定されないが、溶液状または分散体状が使いやすく好ましい。溶液状または分散体状にするための希釈剤は有機溶剤及び/又は水である。
有機溶剤としては、炭素数1〜10の溶剤が使用出来、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールおよびジプロピレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンおよびジエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルおよびプロピオン酸メチルなどのエステル類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブおよびブチルセルソルブなどのエーテル類、石油エーテル、ヘキサンおよびシクロヘキサン等の炭化水素類等が挙げられる。好ましいのはアルコール類であり、特に好ましいのはエタノールである。
水/有機溶剤の混合溶剤の場合の水100質量部に対する有機溶剤の比率は、好ましくは99.9質量部以下、さらに好ましくは90質量部以下である。
【0032】
本発明の毛髪処理剤は毛髪洗浄剤(シャンプーなど)、セット剤(ムース、ミスト、ジェル)、リンス剤、トリートメント剤、コンディショニング剤等に使用できる。
これらのうち、特に洗浄剤として使用すると、染毛剤で染毛された毛髪の洗浄用に使用しても、従来の洗浄剤に比較して色落ちの程度が少ない。
【0033】
本発明の毛髪処理剤をシャンプーとして使用する場合の代表的な液状シャンプーの成分組成を以下に示す。
界面活性剤(A):5〜50%、
他の界面活性剤:0〜20%、
乳化安定剤:0〜15%、
保湿剤、シリコーン、キレート剤、増粘剤、香料、着色料、防腐剤、紫外線吸収剤など:
各々0〜5%、これらの合計が0〜30%
水:35〜95%。
なお、シャンプーのpHは特に限定されないが、人体に対する安全性の面から中性〜弱酸性(例えば、pH4〜9)が好ましい。
【0034】
本発明の毛髪処理剤の使用方法は、用途によって異なる。例えば、ムース、ミスト、ジェル等のセット剤として使用する場合は上記毛髪処理剤の適量を毛髪へ付けた後、毛髪の形を整え、乾燥させる。シャンプー、リンス等として使用する場合は毛髪へ付けた後、最後に水又は湯で洗い流す方法が例示される。
【0035】
以下実施例および製造例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は質量部を示す。
【0036】
[実施例]
製造例1
攪拌機および温度計を装着した2Lのガラス製コルベンにポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(オキシエチレン基の平均付加モル数4.5モルとなる混合物)158.1部、ステアリルアミンEO4モル付加物127.5部および水700部を仕込み、水浴中で80℃で2時間撹拌して、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩の30%水溶液を得た。
【0037】
比較製造例1
攪拌機および温度計を装着した2Lのガラス製コルベンにポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(オキシエチレン基の平均付加モル数4.5モルとなる混合物)500部、水酸化ナトリウム45.24部および水1254.76部を仕込み、水浴中で50℃で2時間撹拌して、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩の30%水溶液を得た。
【0038】
製造例1および比較製造例1で得られた水溶液をそのまま毛髪処理剤とした。これらの毛髪処理剤を、染色した毛髪用の毛髪洗浄剤(シャンプー)として使用する場合の色落ち試験を行った。試験法は次の通りであり、試験結果を表1に示した。
【0039】
<染色した毛髪の調製>
人毛白毛束(重さ約1g、長さ10cm、株式会社ビューラックス製)を酸化染料にて30℃、30分間、振とう式染色機(辻井染機工業株式会社)で染めた後、ぬるま湯で1分間すすいだ。洗浄後の毛髪をタオルドライした後、ドライヤーで十分乾燥したものを色落ち試験に使用した。
【0040】
<色落ち試験>
上述の各毛髪処理剤(30%水溶液)を水で6倍に稀釈し、毛髪処理剤稀釈液を作製した。ラウンドオメーター(辻井染機工業株式会社)を使用して、染色した毛髪1束を稀釈液60gに浸漬し、洗浄条件を30℃、5分間として洗浄した。洗浄後の毛髪を流水で1分間すすぎ、タオルドライした後、ドライヤーで十分乾燥したものを測色した。なお、水のみで洗浄したものをブランクとした。
【0041】
<測色>
人毛の測色は測色計(多光源分光測色計、スガ試験機株式会社)により測定した。光源はD65−10°、値はL*、a*、b*値を測定して染色後未洗浄の毛髪と洗浄後の毛髪との色差(△E)を求めた。色差が小さいほど色落ちが少ないことを示す。
【0042】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の毛髪処理剤は、家庭用および業務用の毛髪洗浄剤(シャンプーなど)、セット剤(ムース、ミスト、ジェル)、リンス剤、トリートメント剤、コンディショニング剤等に使用でき、特に、染毛した毛髪用に使用しても色落ちが少ないので、染毛毛髪用として好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される界面活性剤(A)を含有する毛髪処理剤。
【化1】

[式中、R1は炭素数6〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜36のβ−ヒドロキシアルキルもしくはβ−ヒドロキシメチルアルキル基、またはR7−C(=O)−N(−R8)−であり、R7は炭素数6〜36の脂肪族炭化水素基、R8は水素原子または炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基;R2は炭素数1〜6のアルキレン基;R3〜R6は水素原子または炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基;Aは炭素数2〜6のアルキレン基;pは0または1〜100の整数;k、l、mおよびnは0または1〜200の整数であり;R3〜R6のいずれもが水素原子の場合は、k、l、mおよびnはいずれもが1または少なくとも1つは2〜100であり;R3〜R6のいずれか1つ以上が炭化水素基の場合は、k、l、mおよびnのうち少なくとも1つは1〜100であり;複数個のAはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【請求項2】
3〜R6のいずれもが水素原子の場合は(k+l+m+n)が4〜100であり、R3〜R6のいずれか1つ以上が炭化水素基の場合は(k+l+m+n)が3〜100である請求項1記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
1が炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基である請求項1または2記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
さらに両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤および非イオン界面活性剤かならなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜3のいずれか記載の毛髪処理剤。
【請求項5】
さらに乳化安定剤、保湿剤、シリコーン、キレート剤、増粘剤、香料、着色料、防腐剤および紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜4のいずれか記載の毛髪処理剤。
【請求項6】
毛髪の洗浄用に使用される請求項1〜5のいずれか記載の毛髪処理剤。
【請求項7】
毛髪が、染毛された毛髪であることを特徴とする請求項6記載の毛髪処理剤。

【公開番号】特開2006−1905(P2006−1905A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182169(P2004−182169)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】