説明

毛髪処理剤

【課題】毛髪処理剤に配合するメチルポリシロキサンの分散性、及び毛先までのすべりを感じる指通りを向上させる技術の提供。
【解決手段】毛髪に塗布し、洗い流される毛髪処理剤において、1.0質量%以上の分枝状低級脂肪酸と分枝状低級アルコールのエステル(I)、及び1.0質量%以上のメチルポリシロキサンを配合し、エステル(I)の配合量をメチルポリシロキサンの配合量よりも多くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗い流されるリンス、トリートメント、コンディショナー等として用いられる毛髪処理剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪処理剤の使用目的に応じて、シリコーン及びエステル油を毛髪処理剤に配合することがある。エステル油の中でもイソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル等はシリコーンとの相溶性が高いことが、特許文献1に示されている。また、特許文献1には、メチルポリシロキサン(ジメチコン)0.2%、ネオペンタン酸イソデシル0.5%、及びイソノナン酸イソノニル0.5%を配合したトリートメントの開示と併せて、イソノナン酸イソノニルによる皮膚刺激性及びネオペンタン酸イソデシルの臭気に関する指摘がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−290787号公報
【0004】
ところで、毛髪処理剤に望まれる機能や効果には様々なものがある。その一つとしては、毛髪処理剤を製造容易とするために、メチルポリシロキサンの分散性を高めることが望まれる。また、他の一つとしては、毛先までのすべりを感じる指通りに優れた毛髪にできることが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、毛髪処理剤に配合するメチルポリシロキサンの分散性、及び毛先までのすべりを感じる指通りを向上させる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、特定のエステルをメチルポリシロキサンと共に配合することとし、その特定エステルとメチルポリシロキサンの配合量と量関係を適切にすれば、メチルポリシロキサンの分散性及び毛先までのすべりを感じる指通りが向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係る毛髪処理剤は、毛髪に塗布し、洗い流されるものであって、配合濃度1.0質量%以上の分枝状低級脂肪酸と分枝状低級アルコールのエステル(I)、及び配合濃度1.0質量%以上のメチルポリシロキサンが配合され、前記エステル(I)の配合量が前記メチルポリシロキサンの配合量よりも多いことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る毛髪処理剤における前記エステル(I)の配合濃度は、3.0質量%以上15質量%以下であると良い。また、(前記メチルポリシロキサンの配合量/前記エステル(I)の配合量)の比が0.10以上0.70以下であれば、毛髪のすべり感のある指通り、毛先のおさまり、毛先までの油性感、及び毛髪の柔らかさの全てのバランスを整えやすくなる。
【0009】
本発明に係る毛髪処理剤が更にイソプロパノール、エタノール、及びベンジルアルコールから選ばれた一種又は二種以上が配されたものであれば、毛髪の柔らかさが向上する。
【0010】
また、本発明に係る毛髪処理剤が更にミリスチン酸イソプロピル及び/又はアジピン酸ジブチルが配合されたものであれば、毛髪のすべり感のある指通りが向上するか、毛先のおさまりが向上する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定のエステルとメチルポリシロキサンを所定量とし、特定のエステルをメチルポリシロキサンよりも多量配合するので、メチルポリシロキサンの分散性が向上した毛髪処理剤を実現できる上に、毛先までのすべりを感じる指通りを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の毛髪処理剤に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態の毛髪処理剤は、水と共に、所定のエステル(エステル(I))、及びメチルポリシロキサンが配合されたものである(毛髪処理剤における水の配合濃度は、例えば70質量%以上95質量%以下。)。また、この毛髪処理剤には、任意原料として公知の毛髪処理剤原料が適宜配合される。
【0013】
(エステル(I))
本実施形態の毛髪処理剤に配合されるエステル(I)は、分枝状の低級脂肪酸と分枝状の低級アルコールとのエステルである。
【0014】
エステル(I)を構成するための分枝状低級脂肪酸は、モノカルボン酸であり、炭素数5以上10以下の飽和のものであると良い。この分枝状低級脂肪酸としては、例えば、ネオペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸が挙げられる。
【0015】
また、エステル(I)を構成するための分枝状低級アルコールは、一価アルコールであり、炭素数6以上10以下の飽和のものであると良い。この分枝状低級アルコールとしては、例えば、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、イソデシルアルコールが挙げられる。
【0016】
エステル(I)としては、例えば、ネオペンタン酸2−エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、2−エチルヘキサン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸イソノニル、2−エチルヘキサン酸イソデシル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシルが挙げられる。
【0017】
本実施形態の毛髪処理剤におけるエステル(I)の配合濃度は、1.0質量%以上であり、3.0質量%以上が通常であり、5.0質量%以上が良い。毛髪の柔らかさに着目したエステル(I)の配合濃度は、15質量%以下であり、10質量%以下が良く、8.5質量%以下が好ましく、8.0質量%以下がより好ましい。
【0018】
また、(メチルポリシロキサンの配合量/エステル(I)の配合量)の比が小さい程、メチルポリシロキサンの分散性が向上する。毛髪のすべり感のある指通り、毛先のおさまり、毛先までの油性感、及び毛髪の柔らかさの全てのバランスを整えるには、前記の比が0.10以上0.70以下が良く、0.25以上0.50以下が好ましく、0.30以上0.40以下がより好ましい。
【0019】
(メチルポリシロキサン)
本実施形態の毛髪処理剤に配合するメチルポリシロキサンは、平均重合度が3以上650未満のものである。このメチルポリシロキサンは、化粧品原料基準一般試験法第一法により確認される25℃の動粘度が10mm/s以上100mm/s以下のものが良く、15mm/s以上70mm/s以下のものが好ましい。
【0020】
本実施形態の毛髪処理剤におけるメチルポリシロキサンの配合濃度は、1.0質量%以上であり、1.0質量%以上5.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上4.0質量%以下がより好ましく、2.0質量%以上3.0質量%以下が更に好ましい。
【0021】
(任意原料)
エステル(I)、及びメチルポリシロキサン以外の任意原料として本実施形態の毛髪処理剤に配合されるものは、公知の毛髪処理剤原料から適宜選択される。その任意原料は、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール、糖類、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤等である。
【0022】
イソプロパノール、エタノール、及びベンジルアルコールから選ばれた一種又は二種以上を配合すれば、毛髪の柔らかさが向上する。イソプロパノールについては、毛先のおさまりも向上する。本実施形態の毛髪処理剤におけるイソプロパノール、エタノール、及びベンジルアルコールから選定したものの総配合濃度は、例えば0.1質量%以上3.0質量%以下であり、通常0.3質量%以上1.0質量%以下である。
【0023】
ミリスチン酸イソプロピル及び/又はアジピン酸ジブチルを配合すれば、毛先までのすべり感のある指通りが向上するか、毛先までのおさまりが向上する。本実施形態の毛髪処理剤におけるミリスチン酸イソプロピル及びアジピン酸ジブチルの総配合濃度は、例えば0.5質量%以上5.0質量%以下であり、通常1.0質量%以上4.0質量%以下である。(ミリスチン酸イソプロピル及びアジピン酸ジブチルの配合量/エステル(I)の配合量)の比が0.4未満であれば、毛先のおさまり向上に有利であり、前記の比が0.4以上であれば、すべり感のある指通りの向上に有利である。
【0024】
ノニオン界面活性剤は、安定したエマルションを形成させたいときに汎用性がある。ノニオン活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。一種又は二種以上のノニオン界面活性剤を本実施形態の毛髪処理剤に配合すると良く、ノニオン界面活性剤の配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば0.1質量%以上5.0質量%以下である。
【0025】
また、多価アルコールを配合する場合、この多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリンが挙げられる。一種又は二種以上の多価アルコールを本実施形態の毛髪処理剤に配合すると良く、多価アルコールの配合濃度は、例えば0.01質量%以上1.0質量%以下である。
【0026】
(剤型、pH、粘度)
本実施形態の毛髪処理剤はO/Wエマルションであると良く、このエマルションは市販のポンプ型容器から吐出可能なクリーム状のものであると良い。このようなクリーム状である毛髪処理剤の粘度は、例えば、B型粘度計を使用して25℃、ローターNo.4、12rpmで計測した60秒後の値が6000mPa・s以上13000mPa・s以下である。
【0027】
また、本実施形態の毛髪処理剤におけるpHは、酸性乃至中性であると良い。25℃におけるそのpHは、例えば5.0以上7.5以下である。
【0028】
(使用方法)
本実施形態の毛髪処理剤は、アニオン界面活性剤等が配合されたシャンプーで洗浄した後の濡れた毛髪に対して適用されるものであり、その毛髪に本実施形態の毛髪処理剤を塗布し、当該塗布後の毛髪を水洗することにより用いられる。また、必要に応じて、本実施形態の毛髪処理剤の前に毛髪に適用する前処理剤、及び/又は、本実施形態の毛髪処理剤の後に毛髪に適用する後処理剤と組合せて本実施形態の毛髪処理剤を用いても良い。前処理剤を用いる場合には、前処理剤を塗布した毛髪を水洗し又は水洗しないで、上記本実施形態の毛髪処理剤を塗布すると良い。また、後処理剤を用いる場合には、上記本実施形態の毛髪処理剤を塗布した毛髪を水洗し又は水洗しないで、後処理剤を毛髪に塗布すると良い。
【0029】
(前処理剤)
上記前処理剤は、水と共に、公知の毛髪処理剤原料を配合したものである(前処理剤における水の配合濃度は、例えば60質量%以上90質量%以下。)。この毛髪処理剤原料は、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、エステル油、シリコーン、低級アルコール、多価アルコール、高級アルコール、糖類、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤等である。
【0030】
前処理剤に配合される公知の毛髪処理剤原料の組合せ例としては、4級アンモニウム塩、高級アルコール、低級アルコール、及びシリコーンである。
【0031】
前処理剤に配合する4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジココイルジメチルアンモニウムクロリド等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;が挙げられる。一種又は二種以上の4級アンモニウム塩を前処理剤に配合すると良く、4級アンモニウム塩の配合濃度は、例えば1.0質量%以上7.0質量%以下である。
【0032】
前処理剤に配合する高級アルコールとしては、例えば、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の高級アルコールを前処理剤に配合すると良く、高級アルコールの配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば3.0質量%以上12.0質量%以下である。
【0033】
前処理剤に配合する低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の低級アルコールを前処理剤に配合すると良く、低級アルコールの配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば0.5質量%以上3.0質量%以下である。
【0034】
また、前処理剤に配合するシリコーンとしては、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシクロメチコン;ジメチコノール;メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のジメチコン;アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアモジメチコン;が挙げられる。一種又は二種以上のシリコーンを前処理剤に配合すると良く、その配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば1.0質量%以上10.0質量%以下である。
【0035】
O/Wエマルションの前処理剤が良く、このエマルションは市販のポンプ型容器から吐出可能なクリーム状のものであると良い。このようなクリーム状である前処理剤の粘度は、例えば、B型粘度計を使用して25℃、ローターNo.4、12rpmで計測した60秒後の値が6000mPa・s以上13000mPa・s以下である。
【0036】
また、前処理剤におけるpHをアルカリ性にすれば、毛髪が膨潤し易くなって、本実施形態の毛髪処理剤における成分の毛髪内部への浸透性が高まる。25℃におけるそのpHとしては、例えば8.0以上11.0以下であり、通常9.0以上10.0以下である。なお、第1剤のpHをアルカリ性に調整するためには、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いると良い。
【0037】
(後処理剤)
本実施形態における後処理剤は、水と共に、公知の毛髪処理剤原料を配合したものである(後処理剤における水の配合濃度は、例えば65質量%以上90質量%以下。)。この毛髪処理剤原料は、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、エステル油、シリコーン、低級アルコール、多価アルコール、高級アルコール、糖類、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤等である。
【0038】
水に配合する後処理剤の原料の組合せとしては、例えば、4級アンモニウム塩、高級アルコール、低級アルコール、及びシリコーンである。
【0039】
後処理剤に4級アンモニウム塩を配合する場合、この4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジココイルジメチルアンモニウムクロリド等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;が挙げられる。一種又は二種以上の4級アンモニウム塩を後処理剤に配合すると良く、4級アンモニウム塩の配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば0.1質量%以上7.0質量%以下である。
【0040】
高級アルコールを後処理剤に配合する場合、この高級アルコールとしては、例えば、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の高級アルコールを後処理剤に配合すると良く、高級アルコールの配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば3.0質量%以上10.0質量%以下である。
【0041】
低級アルコールを後処理剤に配合する場合、この低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の低級アルコールを後処理剤に配合すると良く、低級アルコールの配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば0.5質量%以上3.0質量%以下である。
【0042】
また、シリコーンを後処理剤に配合する場合、このシリコーンとしては、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシクロメチコン;ジメチコノール;メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のジメチコン;アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアモジメチコン;が挙げられる。一種又は二種以上のシリコーンを後処理剤に配合すると良く、その配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば1.0質量%以上10.0質量%以下である。
【0043】
上記後処理剤は、O/Wエマルションであると良く、このエマルションは市販のポンプ型容器から吐出可能なクリーム状のものであると良い。このようなクリーム状である第2剤の粘度は、例えば、B型粘度計を使用して25℃、ローターNo.4、12rpmで計測した60秒後の値が10000mPa・s以上25000mPa・s以下である。
【0044】
また、本実施形態の第2剤におけるpHは、酸性であると良い。25℃におけるそのpHは、例えば4.5以上6.5以下である。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱することがない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
前処理剤:
前処理剤として、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド2.5質量%、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド0.2質量%、ジココイルジメチルアンモニウムクロリド0.3質量%、セタノール3.0質量%、イソプロピルアルコール1.1質量%、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体4.0質量%、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体0.4質量%、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール0.4質量%、アルギニン0.01質量%を配合したアルカリ性のクリーム状O/Wエマルションを調製した。
【0047】
実施例1〜15及び比較例1〜2の毛髪処理剤:
下記表1、2、3、4、又は5に示す原料を水に配合することにより、酸性のクリーム状O/Wエマルションである実施例1〜15及び比較例1〜2の毛髪処理剤を調製した。なお、表3における「追加配合」とは、毛髪処理剤の原料配合において最終段階で配合したことを意味する。
【0048】
後処理剤:
後処理として、セチルトリメチルアンモニウムブロミド2.1質量%、セタノール3.5質量%、ステアリルアルコール1.5質量%、エタノール0.9質量%、ポリ(トリペプチド−6)0.0001質量%、メチルポリシロキサン2.0質量%、デカメチルシクロペンタシロキサン3.4質量%、高重合メチルポリシロキサン(1)0.6質量%、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体0.5質量%を配合した酸性のクリーム状O/Wエマルションを調製した。
【0049】
(毛髪処理)
カラーリング処理履歴のある頭髪をシャンプーで洗髪した後、適量の上記前処理剤を頭髪に塗布し、揉み込んだ。次に、前処理剤が塗布された頭髪に、適量の上記実施例1〜15及び比較例1〜2の毛髪処理剤のいずれかを塗布し(頭髪の左半分に塗布した毛髪処理剤と右半分に塗布した毛髪処理剤は、異なるものとした。)、揉み込んだ。その後、温水で濯いだ頭髪に、適量の上記後処理剤を塗布・揉み込み、温水で洗い流し、頭髪をドライヤーで乾燥させた。
【0050】
(評価)
「製造直後の分離」、「すべり感のある指通り」、「毛先のおさまり」、「毛先までの油性感」、「柔らかさ」について、以下の基準で評価した。
【0051】
製造直後の分離
調製後の実施例1〜15及び比較例1〜2の毛髪処理剤を目視確認し、油相分離の有無により評価した。評価基準は次の通りとした。
無し:油相の分離が認められなかった。
有り:油相の分離が認められた。
【0052】
すべり感のある指通り
表1の実施例等では比較例1を基準とし、表2の実施例では実施例4を基準とし、表3の実施例では実施例5を基準とし、表4の実施例では実施例8を基準とし、表5の実施例では実施例13を基準として、毛髪処理後の頭髪の毛先までの指通りと当該指通りがすべる感じがするかを相対比較することで評価した。評価は5名の評価者の多数決で決し、評価基準は次の通りとした。
○:毛先までの指通りが良く、基準よりすべる感じの指通りであった。
―:基準と同等であった。
△:毛先までの指通りは良かったが、基準よりすべる感じの指通りがやや悪かった。
×:毛先までの指通り、指通りがすべる感じ共に基準より悪かった。
【0053】
毛先のおさまり
上記「すべり感のある指通り」の評価と同様に比較例1等を基準として、毛髪処理後の頭髪を外観視して、毛先のおさまりを相対比較することで評価した。評価は5名の評価者の多数決で決し、評価基準は次の通りとした。
○:基準よりもおさまりが良かった。
―:基準と同等であった。
△:基準よりもややおさまりが悪かった。
×:基準よりもおさまりが悪かった。
【0054】
毛先までの油性感
上記「すべり感のある指通り」の評価と同様に比較例1等を基準として、毛髪処理後の頭髪を触ったときに感じる毛先までの油性感を相対比較することで評価した。ここで、「油性感」とは、毛髪表面が油分で薄くコーティングされているような感触を意味する。評価は5名の評価者の多数決で決し、評価基準は次の通りとした。
○:基準よりも毛先までの油性感が均一であった。
―:基準と同等であった。
△:基準よりも毛先の油性感がやや悪かった。
×:基準よりも毛先の油性感が悪かった。
【0055】
柔らかさ
上記「すべり感のある指通り」の評価と同様に比較例1等を基準として、毛髪処理後の頭髪を触ったときに感じる毛髪の柔らかさを相対比較することで評価した。評価は5名の評価者の多数決で決し、評価基準は次の通りとした。
○:基準よりも柔らかさを感じた。
―:基準と同等であった。
△:基準よりもやや柔らかくないと感じた。
×:基準よりも柔らかくないと感じた。
【0056】
下記表1に、実施例1〜2及び比較例1〜2の毛髪処理剤に配合した原料及び配合濃度、並びに評価結果を示す。
【表1】

【0057】
上記表1において、次の(A)〜(B)を確認できる。(A)エステル(I)であるイソノナン酸2−エチルヘキシルが1.0質量%以上、メチルポリシロキサンが1.0質量%以上、かつ、エステル(I)の配合量がメチルポリシロキサンよりも多い実施例1〜2は、製造直後の分離がなくてメチルポリシロキサンの分散性が良く、すべり感のある指通りが悪くなかったこと。(B)メチルポリシロキサン配合量/エステル(I)配合量(メチルポリシロキサン配合量/イソノナン酸2−エチルヘキシル配合量)の比が0.10以上0.70以下である実施例1〜2は、全ての評価のバランスが比較例2よりも良かったこと。
【0058】
下記表2に、実施例3〜4の毛髪処理剤に配合した原料及び配合濃度、並びに評価結果を示す。
【表2】

【0059】
上記表1における結果と併せて上記表2における結果を確認すると、全ての評価のバランスは、メチルポリシロキサン配合量/エステル(I)配合量(メチルポリシロキサン配合量/イソノナン酸2−エチルヘキシル配合量)の比が0.10以上0.70以下が良く、0.25以上0.50以下が好ましく、0.30以上0.40以下がより好ましいことが分かる。
【0060】
下記表3に、実施例5〜7の毛髪処理剤に配合した原料及び配合濃度、並びに評価結果を示す。
【表3】

【0061】
下記表4に、実施例8〜12の毛髪処理剤に配合した原料及び配合濃度、並びに評価結果を示す。
【表4】

【0062】
上記表4を確認すると、エタノール、ベンジルアルコール、又はイソプロパノールを配合すれば、柔らかさの評価が良くなり、イソプロパノールに関しては毛髪のおさまりの評価も良くなることが分かる。
【0063】
下記表5に、実施例13〜15の毛髪処理剤に配合した原料及び配合濃度、並びに評価結果を示す。
【表5】

【0064】
上記表5を確認すると、ミリスチン酸イソプロピルを配合する場合、ミリスチン酸イソプロピル配合量/イソノナン酸2−エチルヘキシル配合量の比(ミリスチン酸イソプロピル配合量/エステル(I)配合量の比)が0.4未満であれば、毛先のおさまり向上に有利であり、同比が0.4以上であれば、すべり感のある指通りの向上に有利であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪に塗布し、洗い流される毛髪処理剤であって、
配合濃度1.0質量%以上の分枝状低級脂肪酸と分枝状低級アルコールのエステル(I)、及び配合濃度1.0質量%以上のメチルポリシロキサンが配合され、
前記エステル(I)の配合量が前記メチルポリシロキサンの配合量よりも多いことを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
前記エステル(I)の配合濃度が、3.0質量%以上15質量%以下である請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
(前記メチルポリシロキサンの配合量/前記エステル(I)の配合量)の比が、0.10以上0.70以下である請求項1又は2に記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
イソプロパノール、エタノール、及びベンジルアルコールから選ばれた一種又は二種以上が配合された請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪処理剤。
【請求項5】
ミリスチン酸イソプロピル及び/又はアジピン酸ジブチルが配合された請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪処理剤。

【公開番号】特開2012−87074(P2012−87074A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233185(P2010−233185)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】