説明

毛髪化粧料組成物

【課題】振とうによる発泡を通じて、毛髪への塗布に際して飛び散り難く、且つ、毛髪へ馴染みが良好であり、毛髪から垂れ難い剤型を得ることの容易な毛髪化粧料組成物を提供する。
【解決手段】毛髪化粧料組成物は、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される。毛髪化粧料組成物は、両性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを含有する。アニオン性界面活性剤に対する両性界面活性剤の質量比は、0.8〜8.0の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成される毛髪化粧料組成物において、剤型を泡状にして用いるものが知られている。こうした毛髪化粧料組成物には、例えば両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤が含有されている(特許文献1〜3参照)。特許文献1及び2には、両性界面活性剤としてラウリン酸アミドプロピルベタイン、及びラウリルヒドロキシスルホベタイン、並びにアニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含有する実施例が開示されている。特許文献1及び2の毛髪化粧料組成物は、ポンプフォーマーやスクイズフォーマー等のフォーマー容器を使用して剤型を泡状にされる。特許文献3には、両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を含有する染毛用第1剤組成物が開示されている。こうした染毛用第1剤組成物は、泡状等の各種形態として用いることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−314523号公報
【特許文献2】特開2004−339216号公報
【特許文献3】特開2009−161492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、泡状の剤型として毛髪に適用される毛髪化粧料組成物では、振とうにより発泡させることで、例えば複雑な容器を用いずに泡状の剤型にすることができるという利点がある。こうした毛髪化粧料組成物において、両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤は、上記の発泡操作で剤型を泡状にする成分として有効である。
【0005】
ここで、従来のフォーマー容器を用いた発泡においては、例えば特許文献1の実施例3〜10として開示されるように、アニオン性界面活性剤に対する両性界面活性剤の質量比は0.5以下の範囲とされている。この点、フォーマー容器を用いた発泡では、両性界面活性剤に対してアニオン性界面活性剤を比較的多量に含有させる組成物が、例えば良好な発泡性を得る点において適していると考えられる。ところが、振とうにより発泡させることで泡状の剤型とされる毛髪化粧料組成物では、例えば特許文献1のような質量比で両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を含有させた場合、毛髪への塗布に際して飛び散り易い状態の組成物が形成されてしまう。
【0006】
本発明は、振とうによる発泡を通じて、毛髪への塗布に際して飛び散り難い剤型にすることができ、しかも、その剤型が、毛髪へ馴染み易く、且つ、毛髪から垂れ難くなっていることを見出すことでなされたものである。本発明の目的は、振とうによる発泡を通じて、毛髪への塗布に際して飛び散り難く、且つ、毛髪へ馴染みが良好であり、毛髪から垂れ難い剤型を得ることの容易な毛髪化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の毛髪化粧料組成物は、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、両性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを含有し、前記アニオン性界面活性剤に対する両性界面活性剤の質量比が0.8〜8.0の範囲であることを要旨とする。
【0008】
なお、振とうにより発泡させるときの操作の具体例は、毛髪化粧料組成物を振り混ぜる操作、毛髪化粧料組成物に振動を加える操作、及び毛髪化粧料組成物に回転を加える操作を含む。振とうにより発泡させるときの操作は、前記具体例の一種を使用してもよいし、前記具体例のうち、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の毛髪化粧料組成物において、カチオン性界面活性剤を含有しないことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の毛髪化粧料組成物において、カチオン性界面活性剤を1質量%以下含有し、そのカチオン性界面活性剤に対する前記アニオン性界面活性剤の質量比が1.2以上であることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物において、染毛剤として構成されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、振とうによる発泡を通じて、毛髪への塗布に際して飛び散り難く、且つ、毛髪へ馴染みが良好であり、毛髪から垂れ難い剤型を得ることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)〜(d)は、実施形態における毛髪化粧料組成物の使用方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を酸化染毛剤として構成される毛髪化粧料組成物に具体化した実施形態について詳細に説明する。
酸化染毛剤は、(A)両性界面活性剤と(B)アニオン性界面活性剤とを含有する。(B)アニオン性界面活性剤に対する(A)両性界面活性剤の質量比(質量比=(A)両性界面活性剤の質量/(B)アニオン性界面活性剤の質量)は、0.8〜8.0の範囲である。この酸化染毛剤は、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される。
【0014】
本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染料、アルカリ剤、及び酸化剤を含有する主剤と、水を含有する副剤とから構成される。なお、主剤は固体状の剤型であるとともに、副剤は液状の剤型である。
【0015】
酸化染料は、酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料は、少なくとも染料中間体を含んでいる。
染料中間体の具体例は、例えば、フェニレンジアミン類(但し、メタフェニレンジアミンを除く。)、アミノフェノール類(但し、メタアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール及びパラメチルアミノフェノールを除く。)、トルイレンジアミン類(但し、トルエン−3,4−ジアミン及びトルエン−2,4−ジアミンを除く。)、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、N−フェニルフェニレンジアミン類、ジアミノピリジン類(但し、2,6−ジアミノピリジンを除く。)、及びそれらの塩類を含む。塩類の具体例は、例えば、塩酸塩、硫酸塩、及び酢酸塩を含む。使用される染料中間体は一種類のみであってもよいし、二種類以上の染料中間体を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する化合物であって、必要に応じて主剤に含有される。カプラーの具体例は、例えば、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール及びそれらの塩を含む。使用されるカプラーは一種類のみであってもよいし、二種類以上のカプラーを組み合わせて使用してもよい。
【0017】
酸化染毛剤中における染料中間体の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。染料中間体の含有量が0.01質量%未満の場合、毛髪を十分に染色できないおそれがある。染料中間体の含有量が10質量%を超える場合には経済的ではない。
【0018】
主剤は、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されている酸化染料をさらに含有してもよいし、あるいは直接染料をさらに含有してもよい。
【0019】
アルカリ剤は、毛髪を膨潤させて毛髪への染料の浸透性を向上させることにより、染色性を向上させる。本実施形態では、25℃(常温)で固体状のアルカリ剤が使用される。アルカリ剤の具体例は、例えば、ケイ酸塩、炭酸塩(炭酸水素塩を含む)、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、及びリン酸塩を含む。ケイ酸塩の具体例は、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、及びケイ酸マグネシウムを含む。炭酸塩の具体例は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素アンモニウムを含む。メタケイ酸塩の具体例は、例えば、メタケイ酸ナトリウム、及びメタケイ酸カリウムを含む。硫酸塩の具体例は、例えば、硫酸アンモニウムを含む。塩化物の具体例は、例えば、塩化アンモニウムを含む。リン酸塩の具体例は、例えば、リン酸第1アンモニウム、及びリン酸第2アンモニウムを含む。
【0020】
使用されるアルカリ剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上のアルカリ剤を組み合わせて使用してもよい。
アルカリ剤の含有量は、好ましくは酸化染毛剤においてpHが7〜12の範囲となる量である。
【0021】
酸化剤は、酸化染料を酸化重合させて発色する。本実施形態では、25℃(常温)で固体状の酸化剤が使用される。酸化剤の具体例は、例えば、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物を含む。
【0022】
使用される酸化剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上の酸化剤を組み合わせて使用してもよい。
酸化剤の含有量は、酸化染毛剤中において0.01〜20質量%であることが好ましい。
【0023】
(A)両性界面活性剤は、酸化染毛剤を発泡させる働きを有する。両性界面活性剤の具体例は、例えば、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩、N−アシルアミノエチル−N−カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩、及びヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシンを含む。
【0024】
脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインの具体例は、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン、又はヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインと呼ばれることもある。)、パーム油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウラミドプロピルベタイン、又はラウリン酸アミドプロピルベタインと呼ばれることもある。)、及びリシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインを含む。脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインは、その塩として配合してもよい。塩の具体例は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。
【0025】
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインの具体例は、例えば、デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ベヘニルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインを含む。アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインは、その塩として配合してもよい。塩の具体例は、例えばナトリウム塩、カリウム塩、及びトリエタノールアミン塩を含む。
【0026】
N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩の具体例は、例えば、ココアンホ酢酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンであり、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインと呼ばれることもある。)、ココアンホプロピオン酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ラウロアンホ酢酸Na(N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、オリーブアンホ酢酸Na、カカオ脂アンホ酢酸Na、ゴマアンホ酢酸Na、スイートアーモンドアンホ酢酸Na、ステアロアンホ酢酸塩、パームアンホ酢酸Na、ピーナッツアンホ酢酸Na、ヒマワリ種子アンホ酢酸Na、及び綿実アンホ酢酸Naを含む。
【0027】
N−アシルアミノエチル−N−カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩の具体例は、例えば、ココアンホジ酢酸Na、ココアンホジプロピオン酸Na、及びラウロアンホジ酢酸Naを含む。
【0028】
使用される両性界面活性剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上の両性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。両性界面活性剤の上記した具体例の中でも、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインから選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0029】
酸化染毛剤中における両性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1.25〜7.0質量%、さらに好ましくは1.8〜5.5質量%である。
(B)アニオン性界面活性剤は、酸化染毛剤を発泡させる働きを有する。また、アニオン性界面活性剤は、地肌に付着した染料を落とし易くする働きにより、地肌が染料で汚れることを抑制する。
【0030】
アニオン性界面活性剤の具体例は、例えば、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸塩、及びスルホコハク酸エステルを含む。界面活性剤のアニオン基の対イオンは、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンのいずれであってもよい。例えばアルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩を使用することができる。例えばアルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム、及びセチル硫酸ナトリウムを使用することができる。例えばスルホコハク酸エステルとしては、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウムを使用することができる。
【0031】
使用されるアニオン性界面活性剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上のアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
酸化染毛剤中におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.3〜5.0質量%、さらに好ましくは0.2〜2.0質量%である。
【0032】
(B)アニオン性界面活性剤に対する(A)両性界面活性剤の質量比(質量比=(A)両性界面活性剤の質量/(B)アニオン性界面活性剤の質量)が0.8〜8.0の範囲であることで、毛髪への塗布に際して飛び散り難く、且つ、毛髪へ馴染み易い剤型にすることが容易となる。アニオン性界面活性剤に対する両性界面活性剤の質量比は、より好ましくは0.85〜7.0、さらに好ましくは1.0〜5.5の範囲である。
【0033】
酸化染毛剤中における両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の合計の含有量は、好ましくは0.6〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
水は、剤型を泡状とするための基材である。酸化染毛剤中における水の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。
【0034】
酸化染毛剤には、毛髪への塗布に際して、さらに飛び散り難くするという観点から、カチオン性界面活性剤が含有されないことが好ましい。
例えば、毛髪の感触を高めるために、カチオン性界面活性剤を含有させる場合には、酸化染毛剤中におけるカチオン性界面活性剤の含有量を1質量%以下の範囲とし、(C)カチオン性界面活性剤に対する(B)アニオン性界面活性剤の質量比(質量比=(B)アニオン性界面活性剤の質量/(C)カチオン性界面活性剤の質量)を1.2以上として含有させることが好ましい。これにより、カチオン性界面活性剤を含有させた場合であっても、毛髪への塗布に際して飛び散り難い剤型を得ることができるようになる。
【0035】
カチオン性界面活性剤の具体例は、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアリルトリモニウムクロリド)、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアルミニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド)、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、及びクオタニウム−91を含む。
【0036】
使用されるカチオン性界面活性剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上のカチオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。カチオン性界面活性剤は、主剤に含有されてもよいし、副剤に含有されてもよい。
【0037】
酸化染毛剤は、必要に応じて、例えば油性成分、非イオン性界面活性剤、水溶性高分子化合物、キレート剤、無機塩、及び分散剤のいずれかをさらに含有してもよい。
油性成分の具体例は、例えば、油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンを含む。
【0038】
油脂の具体例は、例えば、ラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油を含む。ロウの具体例は、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンを含む。高級アルコールの具体例は、例えば、セチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールを含む。
【0039】
炭化水素の具体例は、例えば、パラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンを含む。
【0040】
高級脂肪酸の具体例は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸を含む。アルキルグリセリルエーテルの具体例は、例えば、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルを含む。
【0041】
エステルの具体例は、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルを含む。
【0042】
シリコーンの具体例は、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10,000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンを含む。
【0043】
多価アルコールの具体例は、例えば、グリコール、及びグリセリンを含む。グリコールの具体例は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールを含む。グリセリンの具体例は、例えば、グリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンを含む。
【0044】
非イオン性界面活性剤の具体例は、例えば、エーテル型非イオン性界面活性剤、及びエステル型非イオン性界面活性剤が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、及びPOEセチルステアリルジエーテルを含む。
【0045】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例は、例えば、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、及びショ糖脂肪酸エステルを含む。
【0046】
水溶性高分子化合物の具体例は、例えば、カルボキシメチルセルロースを含む。キレート剤の具体例は、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA、エデト酸)、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸及びその塩類、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩類を含む。無機塩の具体例は、例えば、塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムを含む。分散剤の具体例は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、酸化チタン、及びデンプンを含む。
【0047】
酸化染毛剤は、例えば、糖類、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種をさらに含有してもよい。
【0048】
主剤における固体状の剤型の具体例は、例えば、粉末状、及び粒状を含む。副剤における液状の剤型の具体例は、例えば、水溶液状、分散液状、及び乳化液状を含む。上述した両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤は、少なくとも副剤に含有させることが好ましい。この場合、それら界面活性剤を水系溶液の態様で予め含有させることができるため、それら界面活性剤の効果を十分に発揮させることが容易となる。
【0049】
以上のように構成された主剤と副剤は、個別に包装された包装体として使用時まで保管される。なお、各剤の包装形態としては、特に限定されず、例えばボトル包装、ピロー包装、及びチューブ包装のいずれであってもよい。こうした主剤及び副剤は、振とうによる発泡を行うための発泡用具を備える染毛用品として提供されることが好ましい。
【0050】
次に、発泡用具について説明する。
本実施形態の発泡用具は、酸化染毛剤を液密に閉塞可能とする閉塞可能容器である。図1(a)に示されるように、閉塞可能容器20は、有底筒状の容器本体21と、容器本体21の開口部を閉塞する蓋体22とを備えている。
【0051】
蓋体22の周縁部にはフランジ状の嵌合部が形成されており、この嵌合部が容器本体21の開口部に嵌合されるようになっている。なお、本実施形態の閉塞可能容器20では、嵌合部を容器本体21の開口部に嵌合させて蓋体22を回転させることで蓋体22が液密に装着されるようになっているが、容器本体21を閉塞させる構造は特に限定されない。例えば、蓋体に凹条を形成するとともにその凹条を容器本体の開口部周縁に形成した凸条に圧入させる構造により閉塞可能としてもよい。
【0052】
閉塞可能容器20は、主剤の包装体11及び副剤の包装体12が収容可能に形成されている。閉塞可能容器20では、それを酸化染毛剤10の外装容器として、各剤をまとめて保管することができる。なお、本実施形態の閉塞可能容器20には、染毛処理時に用いられる手袋、説明書等の付属品も収容されるように形成されている。こうした閉塞可能容器は、軽量化の観点から、樹脂材料、又は、耐水性を付与した紙材料から形成されることが好ましい。また、容器本体21の外面には、例えばシュリンクフィルムを用いた印刷を付与することもできる。
【0053】
染毛用品を用いて染毛処理を施すには、まず、主剤の包装体11、及び副剤の包装体12を容器本体21から取り出し、各包装体11,12を開封した後、図1(b)に示されるように各剤を容器本体21に投入する。続いて、図1(c)に示されるように容器本体21に蓋体22を装着し、閉塞可能容器20を上下に振る操作を行う。このとき、閉塞可能容器20内では、各剤が混合されるとともに各剤の混合物である酸化染毛剤が上下に振とうされることで酸化染毛剤に空気が混入される。このように酸化染毛剤に空気を振り混ぜる操作により、酸化染毛剤の発泡が開始される。そして、閉塞可能容器20を所定の回数振ることで、発泡操作を完了する。この発泡操作により、図1(b)に示される発泡前の酸化染毛剤13から、図1(d)に示される泡状の酸化染毛剤14が調製される。続いて、泡状の酸化染毛剤14を例えば手で取り出して毛髪に塗布する。このとき、酸化染毛剤は泡状をなしているため、毛髪に容易に馴染ませることができる。こうして酸化染毛剤が塗布された毛髪を所定時間放置することで、毛髪が染色される。続いて、毛髪上の酸化染毛剤を水又は温水で洗い流すことで、染毛処理が完了される。
【0054】
ここで、容器本体21はその底壁よりも開口部が拡径された有底筒状をなすことで、例えば手により酸化染毛剤を容易に取り出せるように構成されている。また、容器本体21の内面は曲面状をなすことで、例えば手により酸化染毛剤を取り出す際に、酸化染毛剤が容器本体21の内面に残留し難くなっている。
【0055】
酸化染毛剤の質量(g)に対する閉塞可能容器20の内容量(mL)の比率(mL/g)は、2〜15の範囲であることが好ましい。前記比率(mL/g)が2以上の場合、上記振とう操作を行った際に、閉塞可能容器20内における酸化染毛剤の移動量が確保され易くなるため、酸化染毛剤への空気の混入が促進されるようになる。この結果、酸化染毛剤を十分に発泡させるまでの振とう回数を削減することができる。一方、前記比率(mL/g)が15を超える場合、酸化染毛剤の発泡操作完了後において、閉塞可能容器20内に余剰となる空間が増すことで、発泡後の酸化染毛剤14を取り出し難くなるおそれがある。
【0056】
上記発泡においては、酸化染毛剤1g当たり2〜13mLの範囲となるように発泡させることが好ましく、3〜10mLの範囲となるように発泡させることがより好ましい。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
【0057】
(1)本実施形態の酸化染毛剤は、両性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを含有し、アニオン性界面活性剤に対する両性界面活性剤の質量比が0.8〜8.0の範囲である。これにより、振とうによる発泡を通じて、毛髪への塗布に際して飛び散り難く、且つ、毛髪へ馴染みが良好であり、毛髪から垂れ難い剤型を得ることが容易となる。その結果、酸化染毛剤の塗布段階から、毛髪に塗布した酸化染毛剤を所定時間放置する段階にわたって、取り扱い易い酸化染毛剤を提供することができるようになる。
【0058】
(2)酸化染毛剤には、カチオン性界面活性剤が含有されないことにより、毛髪への塗布に際して、さらに飛び散り難くすることができる。また、例えば、毛髪の感触を高めるためにカチオン性界面活性剤を含有させる場合には、酸化染毛剤中におけるカチオン性界面活性剤の含有量を1質量%以下の範囲とし、カチオン性界面活性剤に対するアニオン性界面活性剤の質量比を1.2以上として含有させることが好ましい。これにより、カチオン性界面活性剤を含有させた場合であっても、毛髪への塗布に際して飛び散り難い剤型を得ることができるようになる。
【0059】
(3)酸化染毛剤においては、地肌に付着した染料を落とし易くするために、アニオン性界面活性剤は有効である。この点、酸化染毛剤中にアニオン性界面活性剤を例えば0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上含有させることで、その効果を顕著に得ることができるようになる。このようにアニオン性界面活性剤を含有する酸化染毛剤において、アニオン性界面活性剤に対する両性界面活性剤の質量比を0.8〜8.0の範囲とする構成は、地肌の染料による汚れを抑制するとともに上記(1)で述べた剤型を得ることができるため、極めて有利となる。
【0060】
(4)前記実施形態では、酸化染毛剤に空気を振り混ぜる操作により酸化染毛剤を発泡させている。こうした発泡操作は、熟練を要しない分かりやすい操作であるため、簡便に発泡させることができるとともに、そうした発泡操作を楽しむことができる。また、フォーマー容器のような複雑な構造の容器を用いずに、例えば閉塞可能容器により発泡させることができるようになる。このため、容器本体と蓋体といった極めてシンプルな発泡用具で発泡操作を行うことができる点において有利である。
【0061】
(5)本実施形態の染毛用品は、上記の酸化染毛剤と、閉塞可能容器とを備えている。こうした染毛用品によれば、酸化染毛剤に空気を振り混ぜる操作により、泡状の剤型とするという発泡操作を簡単に実施することができるようになる。従って、使用者は簡便に泡状の剤型の酸化染毛剤を調製することができる。
【0062】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・前記実施形態の毛髪化粧料組成物は、酸化染毛剤として構成されているが、常法に従って、染毛剤としての酸性染毛料として構成してもよいし、毛髪脱色・脱染剤として構成してもよい。この場合であっても、上記(1)、(2)、(4)、及び(5)の各欄で述べた効果を得ることができる。
【0063】
また、酸性染毛料として構成した場合には、上記(3)欄で述べた効果を得ることができる。
以下、特に断りのない限り、毛髪化粧料組成物は、染毛剤及び毛髪脱色・脱染剤を含むことを意味する。毛髪脱色・脱染剤として構成する場合は、毛髪を染色するための染料を含有しないこと以外は、酸化染毛剤と同様に変更することもできる。
【0064】
・前記酸化染毛剤に含有される水の少なくとも一部は、使用時に主剤及び副剤に対して別途混合されるように構成してもよい。但し、前記発泡操作により速やかに発泡させるという観点から、少なくとも両性界面活性剤については水を含む溶媒に溶解した状態とされていることが好ましい。
【0065】
・前記酸化染毛剤は、主剤及び副剤から構成されているが、常法に従って、染料及びアルカリ剤を含有する第1剤、及び酸化剤を含有する第2剤から構成される酸化染毛剤に変更してもよい。この場合、第1剤は、固体状に限定されず、例えば水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、及びクリーム状であってもよい。第1剤に含有されるアルカリ剤としては、前記具体例の他に、例えばアンモニア、及びアルカノールアミンを用いることができる。第2剤に含有される酸化剤としては、例えば過酸化水素水を用いることができる。
【0066】
・前記酸化染毛剤は、主剤及び副剤から構成されているが、少なくとも一方の剤を、複数の剤に分割して構成するとともに、それら複数の剤を使用時に混合するように構成してもよい。酸性染毛料の場合は、一剤の構成とすることもできる。
【0067】
・前記発泡操作を次のように変更することができる。すなわち、毛髪化粧料組成物に振動を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作、又は毛髪化粧料組成物に回転を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作に変更することもできる。つまり、毛髪化粧料組成物の振とうにより発泡させる発泡操作とは、毛髪化粧料組成物を振り混ぜる操作、毛髪化粧料組成物に振動を加える操作、及び毛髪化粧料組成物に回転を加える操作の少なくとも一種の操作により発泡させることを意味する。
【0068】
こうした発泡操作の種類に応じて、毛髪化粧料組成物を発泡させるための発泡用具を変更することもできる。例えば、主として振動を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば加振機、及び手動式泡立て器が好適である。また例えば、主として回転を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば撹拌棒、撹拌子、及び電動式泡立て器が好適である。こうした発泡操作は、毛髪化粧料組成物を例えば上端に開口を有する容器に投入して、その容器内で行われる。
【0069】
・前記実施形態のように閉塞可能容器を上下に振る操作により、毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜてもよいし、例えば閉塞可能容器を把持して手首を捻るようにして閉塞可能容器を振る操作により、毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜてもよい。
【0070】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成されてなり、使用時に泡状の剤型とされ、その泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物の使用方法であって、前記毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜる発泡操作を実施することで前記泡状の剤型とする毛髪化粧料組成物の使用方法。
【0071】
(ロ)前記発泡操作は、閉塞可能容器内で行われる毛髪化粧料組成物の使用方法。
【実施例】
【0072】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。以下の各表において、成分の含有量を示す数値の単位は、質量%である。
(実施例1〜5、比較例1〜5)
各例では、表1に示される各成分を混合することにより、主剤及び副剤からなる酸化染毛剤を調製した。主剤の剤型は粉末状であり、副剤の剤型は液状である。
【0073】
次に、閉塞可能容器を用いて、各例の酸化染毛剤の発泡操作を行った。閉塞可能容器の容量は770mLであり、高さは17cmであり、内径は7cm〜8cmである。その閉塞可能容器内に、主剤及び副剤の混合物として150gとなるように各剤を投入して、閉塞可能容器を上下に20回振った。こうした発泡操作を行うことで、泡状の剤型とした。
【0074】
<評価>
各例の酸化染毛剤について、パネラー20名がポリエチレン製の手袋を装着した手で採取した後に、毛髪に塗布する操作を行った。パネラー20名が、各例の酸化染毛剤について、飛び散りを抑制する効果、毛髪への馴染み易さの効果、及び垂れ難さの効果について判断した。
【0075】
飛び散りを抑制する効果については、まず、パネラー20名が泡状の酸化染毛剤を毛髪に塗布する作業中に周囲に泡が飛び散る度合いを目視で確認した。その結果、飛び散りがないものを優れる(5点)、飛び散りが非常に少ないものを良好(4点)、飛び散りが少ないものを可(3点)、飛び散りがやや多いものをやや不良(2点)、及び、飛び散りが多いものを不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果の平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」及び1点以上1.6点未満を「不良:1」とする判定基準によって、飛び散りを抑制する効果の評価を下した。
【0076】
毛髪への馴染み易さの効果については、まず、パネラー20名が泡状の酸化染毛剤を毛髪に塗布する作業中に泡状の酸化染毛剤が毛髪の間に浸透する状態を目視で確認した。その結果、非常に浸透が速いものを優れる(5点)、浸透が速いものを良好(4点)、浸透し易いものを可(3点)、浸透が遅いものをやや不良(2点)、及び、浸透し難く毛髪上で留まるものを不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果の平均値を算出し、その平均値に基づいた上記判定基準によって、毛髪への馴染み易さの効果の評価を下した。
【0077】
垂れ難さの効果については、まず、パネラー20名が泡状の酸化染毛剤を毛髪に塗布してから30分間の泡の動きを目視で確認した。その結果、泡が動かないものを優れる(5点)、泡の動きが僅かであるものを良好(4点)、泡が少し動くものを可(3点)、泡の動きがやや大きいものをやや不良(2点)、及び、泡の動きが大きいものを不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、その平均値に基づいた上記判定基準によって、垂れ難さの効果の評価を下した。
【0078】
各例の酸化染毛剤を用いて、頭皮に酸化染毛剤が付着するようにパネラー20名の頭髪に塗布した後、室温(25℃)にて30分間放置した。そして、頭髪に付着した酸化染毛剤を水で洗い流し、頭髪にシャンプーを2回、及びリンスを1回施した。続いて、頭髪を温風で乾燥した後、一日間放置することにより、染毛処理された頭髪を得た。染毛処理後の頭皮について、パネラー20名が標準光源下で目視にて皮膚の汚れ具合を評価することにより、地肌汚れの防止効果が高いか否かを判断した。
【0079】
パネラー20人中「高い」と答えた人が17人以上であった場合には“5”、パネラー20人中「高い」と答えた人が13〜16人の場合には“4”、パネラー20人中「高い」と答えた人が9〜12人の場合には“3”、パネラー20人中「高い」と答えた人が5〜8人の場合には“2”、パネラー20人中「高い」と答えた人が2〜4人の場合には“1”、パネラー20人中「高い」と答えた人が0〜1人の場合には“0”と評価を下した。
【0080】
これらの評価の結果を表1の“飛び散り抑制効果”欄、“馴染み易さの効果”欄、“垂れ難さの効果”欄、及び“地肌汚れ防止効果”欄に示す。
【0081】
【表1】

表1に示されるように、各実施例では、飛び散り抑制効果、馴染み易さの効果、及び垂れ難さの効果のいずれについても評価“3”以上の結果が得られた。
【0082】
比較例1及び2では、両性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤が含有されていない。比較例3〜5では、アニオン性界面活性剤に対する両性界面活性剤の質量比が上記範囲外である。こうした比較例1〜5では、飛び散り抑制効果、馴染み易さの効果、及び垂れ難さの効果のいずれかについて、各実施例よりも劣っていた。
【0083】
さらに、各実施例では、“地肌汚れ防止効果”についても評価“3”以上の結果が得られた。
(実施例6)
実施例6においては、表2に示される配合に変更した以外は、上記実施例1と同様に酸化染毛剤を調製した。実施例6は、染料及びアルカリ剤を含有する固体状の第1剤、及び酸化剤を含有する液状の第2剤からなる酸化染毛剤である。実施例6について、上記<評価>欄に記載した評価を行った。それら評価結果を表1と同様に表2の各欄に示している。
【0084】
【表2】

(実施例7〜12)
実施例7〜12においては、副剤のみを表3に示されるように変更した以外は、実施例1と同様に酸化染毛剤を調製した。具体的には、各実施例では、両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の合計含有量を変更している。なお、表3では、主剤の組成を省略している。各実施例について、上記<評価>欄に記載した評価を行った。それら評価結果を表1と同様に表3の各欄に示している。
【0085】
【表3】

(実施例13〜19)
実施例13〜19においては、副剤のみを表4に示されるように変更した以外は、実施例1と同様に酸化染毛剤を調製した。具体的には、実施例13に対して実施例14〜19では、両性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤の種類を変更している。なお、表4では、主剤の組成を省略している。各実施例について、上記<評価>欄に記載した評価を行った。それら評価結果を表1と同様に表4の各欄に示している。
【0086】
【表4】

(実施例20〜23)
実施例20〜23においては、副剤のみを表5に示されるように変更した以外は、実施例1と同様に酸化染毛剤を調製した。具体的には、副剤にカチオン性界面活性剤をさらに含有させている。なお、表5では、主剤の組成を省略している。各実施例について、上記<評価>欄に記載した評価を行った。それら評価結果を表1と同様に表5の各欄に示している。
【0087】
【表5】

表5に示されるように、カチオン性界面活性剤を含有させた場合であっても、良好な結果が得られることが分かる。
【符号の説明】
【0088】
10…酸化染毛剤、11…主剤の包装体、12…副剤の包装体、13…発泡前の酸化染毛剤、14…発泡後の酸化染毛剤、20…閉塞可能容器、21…容器本体、22…蓋体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、
両性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを含有し、前記アニオン性界面活性剤に対する両性界面活性剤の質量比が0.8〜8.0の範囲であることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
カチオン性界面活性剤を含有しないことを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
カチオン性界面活性剤を1質量%以下含有し、そのカチオン性界面活性剤に対する前記アニオン性界面活性剤の質量比が1.2以上であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項4】
染毛剤として構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−31111(P2012−31111A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172985(P2010−172985)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】