説明

毛髪化粧料

【課題】仕上がりに色ムラが生じず、特に新生部と既染部の色の段差を解消するのに有用で、毛髪に塗布しやすく、かつコンディショニング効果の高い泡状の2剤式毛髪脱色剤又は2剤式染毛剤の提供。
【解決手段】アルカリ剤を含有する第1剤、過酸化水素を含有する第2剤及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するためのフォーマー容器からなる2剤式毛髪化粧料であって、混合液中に次の成分(A)及び(B):
(A) 非イオン界面活性剤 0.1〜10重量%
(B) カチオン界面活性剤 0.1〜5重量%
を含有し、成分(A)の成分(B)に対する重量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)が1〜100である2剤式毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2剤式毛髪脱色剤又は2剤式染毛剤の混合液が泡状に吐出され、毛髪にムラなく、簡単に塗布できる2剤式毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪脱色剤、染毛剤といった毛髪化粧料としては、液状又はクリーム状のものが普及しているが、これらを毛髪にムラなく塗布するのは難しい。特に、毛髪の根元部分や後頭部の塗布にはブロッキング、合わせ鏡等のスキルが必要とされ、多くの時間も要する。
【0003】
そこで、剤を泡状に吐出することで、染毛操作を簡便化することが提案されており、例えば、2剤式エアゾールタイプのものや1剤式ノンエアゾールタイプのものが知られている。しかし、2剤式エアゾールタイプには、脱色ムラや染色ムラが生じやすい、金属製の耐圧容器等が過酸化水素により酸化され腐食する、過酸化水素の分解によって耐圧容器の内圧が過度に上昇するといった問題があり、また1剤式ノンエアゾールタイプには、一度の施術で得られる効果に乏しいため、塗布後に長時間放置したり、施術を繰り返したりすることが必要で煩雑であるという問題がある。
【0004】
これに対し、2剤式毛髪脱色剤又は2剤式染毛剤をノンエアゾールタイプのフォーマー容器から泡状に吐出させるものが提案されている(特許文献1参照)。これは、第1剤と第2剤の混合液をフォーマー容器から泡状に吐出することにより、毛髪にムラなく適用でき、仕上がりに色ムラが生じず、特に新生部と既染部の色の段差を解消するのに有用なものである。
【0005】
【特許文献1】特開2004-339216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特許文献1における特長を生かしたまま、更に毛髪に塗布しやすく、かつコンディショニング効果の高い泡状の2剤式毛髪脱色剤又は2剤式染毛剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、2剤式ノンエアゾールタイプの毛髪化粧料における第1剤と第2剤の混合液中に、非イオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を一定比率で含有させることにより上記の目的を達成できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤、過酸化水素を含有する第2剤及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するためのフォーマー容器からなる2剤式毛髪化粧料であって、混合液中に次の成分(A)及び(B):
(A) 非イオン界面活性剤 0.1〜10重量%
(B) カチオン界面活性剤 0.1〜5重量%
を含有し、成分(A)の成分(B)に対する重量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)が1〜100である2剤式毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2剤式毛髪脱色剤又は2剤式染毛剤の混合液が泡状に吐出され、毛髪にムラなく、かつ簡単に塗布でき、高いコンディショニング効果を発揮する。また、吐出される混合液の泡は、毛髪へ適用した後に液垂れを起こすこともない。更に、頭皮への刺激や剤の飛び散りを生じさせることがなく、十分な脱色力あるいは染色力を有する。従って、本発明の毛髪化粧料は、均一でムラの少ない脱色仕上がり又は染毛仕上がりを簡便かつ快適に実現することができる。
【0010】
また、フォーマー容器を用いて気液混合により泡状に吐出された混合液は、毛髪の根元まで容易に到達するが、そこで液だまり等が生じることはなく、適度に薄く毛髪全体にいきわたる。従って、従来の液状やクリーム状のように根元部分が極端に明るくなったり、混合液の付着量のムラによる脱色ムラや染色ムラが生じたりすることがない。よって、本発明の毛髪化粧料を、分け目、フェースライン等の新生部付近の毛髪に適用することにより、新生部と既染部との色の段差を解消し、自然な仕上がりを得ることもできる。また、混合液を毛髪に適度に薄く塗布することができるので、毛髪に対するダメージを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔アルカリ剤〕
第1剤が含有するアルカリ剤としては、例えば、アンモニア、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。また、適宜、緩衝剤として、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩や、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩などを添加することができる。
【0012】
本発明の2剤式毛髪化粧料における第1剤と第2剤の混合液のpHは、8〜11、特に9〜11が好ましく、アルカリ剤の使用量は、混合液のpHが上記となるように適宜調整される。
【0013】
〔過酸化水素〕
第2剤中の過酸化水素の含有量は、1〜9重量%、特に3〜6重量%が好ましく、第1剤と第2剤の混合液中における過酸化水素の含有量は、1〜6重量%、特に2〜5重量%が好ましい。また、第2剤のpHは、過酸化水素の分解抑制のため、2〜6、特にpH2.5〜4とすることが好ましい。
【0014】
〔(A):非イオン界面活性剤〕
成分(A)の非イオン界面活性剤としては、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。アルキルポリグルコシドとしては、アルキル基の炭素数が8〜18、更には8〜14、特に9〜11であるものが好ましく、またこのアルキル基が直鎖であるものが好ましい。グルコシドの平均重合度は1〜5、特に1〜2が好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が10〜22、特に12〜18であるものが好ましく、またこのアルキル基が直鎖であるものが好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましく、なかでもオキシエチレン基の平均付加モル数が1〜40、特に4〜30であるものが好ましい。アルキルグリセリルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が8〜18、特に8〜12であるものが好ましく、またこのアルキル基が分岐鎖であるものが好ましい。
【0015】
成分(A)は二種以上を併用することもでき、第1剤と第2剤の混合液中における含有量は、0.1〜10重量%であり、好ましくは0.5〜7重量%、特に1〜5重量%である。
【0016】
〔(B):カチオン界面活性剤〕
成分(B)のカチオン界面活性剤としては、ヘアリンスや柔軟剤に用いられているものを使用でき、例えば、次の一般式(1)で表されるものを用いることができる。
【0017】
【化1】

【0018】
〔式中、R1、R2、R3及びR4は、独立に置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R1とR2のうち少なくとも1つは炭素数8〜36であって、かつ残余が炭素数1〜7であるか、又はR3とR4とが共同して隣接する窒素原子と共に、炭素数1〜4のアルキル基が置換してもよく、当該窒素原子以外に異項原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい5〜7員環を形成してもよい。A-はアニオンを示す。〕
【0019】
ここで炭化水素基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、エポキシ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、トリアルキルアンモニウム基、脂肪酸アミド基、脂肪酸エステル基等が挙げられる。また、R3とR4とが共同して隣接する窒素原子と共に形成する環としては、モルホリン環、イミダゾリン環、ピペラジン環、ピペリジン環、ピロリジン環等が挙げられる。
【0020】
アニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、乳酸イオン、サッカリンイオン等が挙げられる。
【0021】
成分(B)の具体例としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化イソステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ココイルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化γ-グルコンアミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ジ(ポリオキシエチレン(2))オレイルメチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルエチルアンモニウム、塩化オクチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン(5))ステアリルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム、塩化ベヘン酸アミドプロピル-N,N-ジメチル-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アンモニウム、タロウジメチルアンモニオプロピルトリメチルアンモニウムジクロライド、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。
【0022】
成分(B)としては、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩及びジアルキルジメチルアンモニウム塩、すなわち、R1が、又はR1とR2が、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜30、更には10〜24、特に12〜18のアルキル基であり、残余がメチル基であるものが好ましく、なかでもモノアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。
【0023】
成分(B)は二種以上を併用することもでき、第1剤と第2剤の混合液中における含有量は、0.1〜5重量%であり、好ましくは0.2〜3重量%、特に0.3〜1重量%である。
【0024】
また、きめ細かい泡立ち性と高いコンディショニング効果を得るため、混合液における成分(A)の成分(B)に対する重量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)は1〜100であり、好ましくは2〜75、更には3〜50、特に5〜25である。
【0025】
本発明の2剤式毛髪化粧料が染毛剤である場合には、第1剤に酸化染料又は直接染料を含有する。これらの染料の可溶化のために第1剤に含有させる界面活性剤としては、第1剤が含有するアンモニアや炭酸塩によるその高いイオン強度に鑑み、主として成分(A)の非イオン界面活性剤を使用することが好ましい。
【0026】
〔(C):高級アルコール〕
本発明の2剤式毛髪化粧料には、泡もちを良くし、毛髪に塗布した後、放置している間の液だれを抑制する効果を高めるため、更に成分(C)として、高級アルコールを含有させることができる。高級アルコールとしては、炭素数が10〜30、更には12〜24、特に14〜22のアルキル基又はアルケニル基を有するものが好ましく、なかでもアルキル基、特に直鎖アルキル基を有するものが好ましい。成分(C)の高級アルコールとしては、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらは、二種以上を併用することができる。
【0027】
成分(C)は、二種以上を併用することもでき、第1剤又は第2剤のいずれか一方又は両方に含有させることができる。第1剤と第2剤の混合液中における成分(C)の含有量は、液温が低い時の起泡性を阻害せず、放置している間の液だれを抑制する効果を高める点から、0.01〜0.8重量%が好ましく、更には0.1〜0.7重量%、特に0.2〜0.6重量%が好ましい。
【0028】
〔(D):塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体〕
本発明の2剤式毛髪化粧料には、液垂れ防止効果の向上のため、更に成分(D)として、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(INCI名ポリクオタニウム-7)を含有させることができる。成分(D)としては、例えばマーコート550(ONDEO Nalco社)等の市販品を使用することができる。
【0029】
第1剤と第2剤の混合液中における成分(D)の含有量は、液温が低い時でも常温に近い時でも毛髪に塗布しやすい良好な泡立ちを実現するとともに、混合液が髪に適用されてから洗い流すまでの間に垂れ落ちることを防止する効果を得るため、0.01〜3重量%、更には0.1〜1重量%、特に0.2〜0.5重量%が好ましい。
【0030】
〔(E):塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体〕
本発明の2剤式毛髪化粧料には、髪に塗布した後の消泡性を制御し、適度な泡残りを保ち、塗布した場所を確認しやすくするために、更に成分(E)として塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(INCI名ポリクオタニウム-22)を含有させることができる。成分(E)としては、例えばマーコート280、マーコート295(以上、ONDEO Nalco社)等の市販品を使用することができる。
【0031】
第1剤と第2剤の混合液中における成分(E)の含有量は、液温が低い時の起泡性を阻害せず、上記の効果を得るために、0.01〜0.5重量%、特に0.1〜0.2重量%が好ましい。
【0032】
〔(F):不揮発性親水性溶剤〕
更に、第1剤又は第2剤中に不揮発性親水性溶剤を含有することが好ましい。これにより、本発明の2剤式毛髪化粧料を毛髪に塗布した後、放置している間に、毛髪化粧料から水分が蒸発して過酸化水素等の刺激性の成分が濃縮されることによる頭皮に対する刺激を軽減することができる。不揮発性親水性溶剤としては、ポリオール類やその低級(炭素数1〜4)アルキルエーテル類などの消泡作用のないものが好ましい。ポリオール類としては、炭素数2〜6のものが好ましく、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール等が挙げられる。ポリオールの低級アルキルエーテル類としては、前掲のポリオールのモノ低級アルキルエーテルやポリ低級アルキルエーテル(例えば、ジ低級アルキルエーテル)などが挙げられる。なかでもポリオールのモノメチルエーテル又はモノエチルエーテルが好ましく、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。これらは、二種以上を併用することができる。
【0033】
第1剤と第2剤の混合液中における不揮発性親水性溶剤の含有量は、頭皮刺激を低減する効果と液温が低い時でも泡質を良好なものとする点から、0.01〜5重量%が好ましく、更には0.1〜4重量%、特に0.2〜3重量%が好ましい。
【0034】
〔染料〕
本発明の2剤式毛髪化粧料は、第1剤と第2剤の混合液に染料を含有させない場合には毛髪の脱色に用いることができ、酸化染料又は直接染料を含有させることにより染毛に用いることができる。染毛に用いる場合、第1剤は酸化染料又は直接染料を含有する。この酸化染料としては、パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、トルエン-2,5-ジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、4-アミノ-3-メチルフェノール、6-アミノ-3-メチルフェノール、オルトアミノフェノール、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾール等の染料前駆体、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、メタアミノフェノール、パラアミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、1-ナフトール等のカップラーが挙げられる。直接染料としては、パラニトロオルトフェニレンジアミン、パラニトロメタフェニレンジアミン、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31、ベーシックレッド12、ベーシックレッド51、ベーシックブルー99、アシッドオレンジ7等を挙げることができる。
【0035】
〔シリコーン類〕
本発明の2剤式毛髪化粧料には、更にシリコーン類を含有させることができる。シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーンエラストマー等、及びこれらを界面活性剤により水中に分散させたエマルションが挙げられる。これらのうち、増粘剤を用いることなく安定に水中に分散可能な点から、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン及びこれらのエマルションが好ましい。
【0036】
ポリエーテル変性シリコーンには、末端変性及び側鎖変性のもの、例えばペンダント型(櫛型)、両末端変性型、片末端変性型のものなどが含まれる。このような変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体等が挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンとしては、HLB10以上、特にHLB10〜18のものが、水との相溶性の点から好ましい。ここで、HLBは、曇数(曇数:HLBと相関のある指標でエーテル型非イオン界面活性剤に適用される)から求めた値によるものである。
【0037】
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有しているものであればよいが、アモジメチコーンが好ましい。
【0038】
第1剤と第2剤の混合液中におけるシリコーン類の含有量は、泡を毛髪に滑らかになじませるため、また毛髪に高いコンディショニング効果を付与するため、0.01〜10重量%が好ましく、更には0.1〜5重量%、特に0.5〜3重量%が好ましい。
【0039】
〔その他の成分〕
その他、第1剤及び第2剤は、目的に応じて、香料、紫外線吸収剤、エデト酸等の金属封鎖剤、殺菌剤、パラオキシ安息香酸メチル等の防腐剤、フェナセチン、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、硫酸オキシキノリン等の安定化剤、エタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の有機溶剤、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子化合物、保湿剤等を含有することができる。また、第1剤及び第2剤の混合液は、水を主たる媒体とすることが好ましい。
【0040】
なお、更に脱色効果を高めるため、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を第3剤として混合液中に含有させることもできる。
【0041】
〔粘度〕
第1剤と第2剤の混合液の粘度は、0.1〜30mPa・s、更には0.5〜20mPa・s、特に1〜10mPa・sが好ましい。なお、ここでの粘度は、25℃、B型回転粘度計で、ローターNo.1を用い、30rpmで1分間回転させた後の値とする。
【0042】
第1剤と第2剤の混合液の粘度が上記範囲となるように調整することにより、塗布しやすい泡体積を実現することができ、かつ混合液が毛髪に塗布された後の垂れ落ちを抑制することができると共に、スクイズフォーマーなどで泡を吐出する際にスクイズしやすくなる。混合液の粘度を前述の範囲に調整するためには、エタノール等の水溶性溶剤を添加したり、あるいは界面活性剤、ポリオール類、高級アルコール等の含有量や種類を適宜調整すればよい。
【0043】
第1剤及び第2剤は液状であることが好ましいが、第1剤と第2剤との混合液の粘度が、前記の範囲内となるのであれば、第1剤、第2剤の一方が粉末、顆粒、ペースト等の形状であってもよい。
【0044】
〔気液混合比〕
フォーマー容器の泡吐出手段による空気と混合液との気液混合比は、剤の髪への馴染み易さ及び塗り易さの点から、7〜40mL/gが好ましく、15〜30mL/gがより好ましい。なお、ここでの気液混合比は次のようにして測定した値である。
【0045】
まず、25℃で吐出した泡の重量と体積を測定することにより気液混合比を求める。スクイズフォーマー容器(大和製罐社、容積150mL、メッシュの粗さ(目開き)は混合室200メッシュ(1インチ(25.4mm)あたり200の桝目)、先端255メッシュ)に混合液を100g入れ、残量が80gの時点から、20gの泡を1000mLのメスシリンダーに吐出し、吐出開始から1分後に泡の体積を測定する。この吐出された泡の容積(mL)を重量20gで割ることにより気液混合比(mL/g)が得られる。
【0046】
〔フォーマー容器〕
本発明において、フォーマー容器は、ノンエアゾールタイプの容器であって、第1剤と第2剤の混合液を、噴射剤を使用することなく空気と混合して泡状に吐出させるために使用する。フォーマー容器の使用により、吐出させた剤の飛び散りを防止できるという効果も得られる。特に、ノンエアゾールタイプの容器は、エアゾールタイプの容器に比べて、製品を安価に製造可能であり、高圧ガスの噴射剤が不要であるため、製品を流通においてより安全に取り扱うことができる。
【0047】
フォーマー容器としては、泡吐出手段を有する公知のポンプフォーマー容器、スクイズフォーマー容器、電動式泡立て器、蓄圧式ポンプフォーマー容器等を使用することができる。より具体的には、例えば、食品と容器(vol.35, No.10, p588〜593(1994); vol.35, No.11, p624〜627(1994); vol.36, No.3, p154〜158(1995))に記載のポンプフォーマーE3タイプ、同F2タイプ(以上、大和製罐社)、スクイズフォーマー(大和製罐社)、電動泡立て器(松下電工社)、エアスプレーフォーマー(エアスプレーインターナショナル社)等が挙げられる。本発明の2剤式毛髪化粧料に用いるフォーマー容器としては、安価で使い勝手が良いことから、ポンプフォーマー容器及びスクイズフォーマー容器が好ましい。
【0048】
ポンプフォーマー容器又はスクイズフォーマー容器は、ネット等の泡生成部分を有するものであり、1剤と2剤との混合液が乾燥固化して目詰まりを起こした場合に、次回の吐出時に泡の流れによって、直ちに固化物を溶解して目詰まりを解消できるという点から薄肉のネットを有することが好ましい。この場合、ネットのメッシュとしては、50〜500メッシュ、特に150〜400メッシュが好ましい。この範囲のメッシュのネットを使用することにより、クリーミーな泡を生成することができる。また、このようなメッシュの材質としては、ナイロン、ポリエステル等を好ましく例示することができる。
【0049】
本発明の2剤式毛髪化粧料において使用するフォーマー容器には、このようなネットを少なくとも一枚、好ましくは複数枚配設し、特に経済性、泡の安定性等の点から2枚配設することが好ましい。
【0050】
フォーマー容器において、内容物に接触する部分(容器内壁,泡吐出手段内壁等)は、アルカリ及び過酸化水素により腐食せず、また、過酸化水素の分解により発生した酸素が透過する材質で構成することが好ましい。
【0051】
第1剤、第2剤及びフォーマー容器からなる本発明の2剤式毛髪化粧料の製品形態としては、第1剤又は第2剤をそれぞれフォーマー容器と別個の容器に充填し、使用時に双方の剤をフォーマー容器に移し入れ、混合するようにしてもよいが、一方の剤をフォーマー容器に充填し、他方の剤を別個の容器に充填し、使用時に、他方の剤をフォーマー容器内に移し入れるようにしてもよい。この場合、第2剤は、過酸化水素の分解によって生じる酸素のために容器内の圧力が上昇することを防止するため、ガス透過性のある容器、特に酸素透過性のある材質(例えば、ポリエチレン)から成るフォーマー容器に充填することが好ましい。一方、第1剤は、酸化染料の酸化を防止するため、酸素が透過し難い容器を用いる必要がある。
【0052】
〔使用方法〕
本発明の2剤式毛髪化粧料を使用して毛髪を染色又は脱色するには、フォーマー容器内で第1剤と第2剤を混合し、その容器から吐出される泡状の剤を、直接毛髪に塗布してもよく、手又はブラシなどの道具を使って毛髪に塗布してもよい。塗布後は3〜60分程度、好ましくは5〜45分程度放置し、洗い流す。その後、適宜シャンプーやリンスをした後水洗して、髪を乾燥させる。
【実施例】
【0053】
実施例1〜5及び比較例1:染毛用2剤式毛髪化粧料
表1及び2に示す配合組成(重量%)の第1剤と第2剤を調製し、得られた第1剤と第2剤を混合比(重量比)1:1.5で、スクイズフォーマー(大和製罐社、容積150mL、メッシュの粗さは混合室200メッシュ、先端255メッシュ)に入れて混合し、泡状に吐出させた。吐出させた泡80gを被験者の毛髪全体に塗布し、30分間放置した後、軽く水洗、シャンプーすることにより毛髪の染色を行った。
「髪の感触」、「塗布しやすさ」及び「泡もち」について、専門パネラー5名による官能評価で実施例1〜5と比較例1との比較評価を行った。下記のように点数を定め、評価の合計点を表1及び2の配合組成の下欄に示した。
【0054】
実施例が比較例よりも良い: +2点
実施例が比較例よりもやや良い:+1点
実施例と比較例は同等である: 0点
比較例が実施例よりもやや良い:−1点
比較例が実施例よりも良い: −2点
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤、過酸化水素を含有する第2剤及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するためのフォーマー容器からなる2剤式毛髪化粧料であって、混合液中に次の成分(A)及び(B):
(A) 非イオン界面活性剤 0.1〜10重量%
(B) カチオン界面活性剤 0.1〜5重量%
を含有し、成分(A)の成分(B)に対する重量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)が1〜100である2剤式毛髪化粧料。
【請求項2】
更に成分(C)として、高級アルコールを第1剤と第2剤の混合液中に0.01〜0.8重量%含有する請求項1記載の2剤式毛髪化粧料。
【請求項3】
更に成分(D)として、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体を第1剤と第2剤の混合液中に0.01〜3重量%含有する請求項1又は2記載の2剤式毛髪化粧料。
【請求項4】
更に成分(F)として、不揮発性親水性溶剤を第1剤と第2剤の混合液中に0.01〜5重量%含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の2剤式毛髪化粧料。

【公開番号】特開2007−291016(P2007−291016A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121136(P2006−121136)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】