説明

毛髪化粧料

【課題】日常のスタイリングなどの単回のヘアケア行動で、毛髪表面を天然由来のメラニン重合物で覆うことで、簡単に白髪を目立たなくすることができ、数回の継続使用で染毛できる毛髪化粧料の提供。
【解決手段】成分(A)〜(E)を含有しpH7〜11である毛髪化粧料。
(A)マメ科植物由来のDOPAを酸化酵素で処理して得られた化合物(1)の2種以上0.01〜5%


〔破線はπ結合の存在又は不存在、R1はOH又はアセトキシ基、R2はH、−COOR(RはH、CH3又はC25)又は−COO-+(X+は陽イオン)、R3はH、アセチル基、CH3又はC25
(B)一般式(1)で表される化合物の1種又は2種以上から酸化重合により生成した分子量1000以上100万以下のメラニン0.01〜50%
(C)非イオン界面活性剤0.01〜10%
(D)アルカリ剤0.01〜10%
(E)酸化防止剤0.01〜10%

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日常のヘアケア行動により毛髪表面をメラニンで覆うことで簡単に白髪を目立たなくすることができる毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
白髪を染めるには、ヘアカラー、ヘアマニキュア等の染毛剤を使用するのが一般的であるが、これら染毛剤を使用した染毛処理は、洗髪などの必要や周辺の汚れなどへの配慮から場所が限定されるとともに、処理方法が複雑で、また毛髪の色の急激な変化による染毛直後の不自然さや伸びてきた白髪との色の段差などの問題があった。
【0003】
また、本発明者らは、酵素とメラニン前駆体を用いた毛髪化粧料を提案している(特許文献1参照)。酵素を用いる利点は、メラニン前駆体の酸化速度を高め、塗布後短時間で容易に毛髪表面でメラニンが生成する点にある。しかし、酵素を用いた場合の欠点として、酵素の調製やその安定性を検討する必要があるなど、必ずしも十分なものとはいえなかった。また、メラニン前駆体の酵素による重合物は、色味のコントロールができず、色調も単調なものであった。
【0004】
更に、本発明者らは、酵素を用いたメラニン前駆体製造方法を提案している(特許文献2参照)。しかし、そのメラニン前駆体の原料として用いられるDOPA(3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)が有機合成による化合物では、副反応による不純物の除去等が必要となることから、化粧料として最適な原料が求められていた。
【0005】
【特許文献1】特開2002-47144号公報
【特許文献2】特開2002-291496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、日常のスタイリングなどの単回のヘアケア行動で、毛髪表面を天然由来の原料から導かれるメラニン重合物で覆うことで、使用場所や使用方法における煩わしさを無くし、簡単に白髪を目立たなくすることができ、数回の継続使用で髪を染めることができる毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、マメ科植物由来のDOPAから調製したメラニン前駆体2種以上及びメラニン、非イオン界面活性剤、アルカリ剤、並びに酸化防止剤を併用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
本発明は、次の成分(A)〜(E)を含有し、pHが7〜11である毛髪化粧料を提供するものである。
【0009】
(A)マメ科植物から抽出したDOPA又はDOPAを含有するエキスを酸化酵素で処理することによって調製した一般式(1)で表される化合物の2種以上の混合物0.01〜5重量%
【0010】
【化1】

【0011】
〔式中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、R1は水酸基又はアセトキシ基を示し、R2は水素原子、−COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)又は−COO-+(X+は陽イオン)を示し、R3は水素原子、アセチル基、メチル又はエチル基を示す。〕
【0012】
(B) 一般式(1)で表される化合物の1種又は2種以上から酸化重合により生成した分子量1000以上100万以下のメラニン0.01〜50重量%
(C) 非イオン界面活性剤0.01〜10重量%
(D) アルカリ剤0.01〜10重量%
(E) 酸化防止剤0.01〜10重量%
【発明の効果】
【0013】
本発明の毛髪化粧料は、植物原料を使用することで、有機合成の不純物等の心配もなく、例えばリーブオンタイプとして、日常のスタイリングによって簡単に白髪を染めることができ、使用場所、使用方法における煩わしさが無く、簡単に徐々に白髪を目立たなくすることができる。特に、酵素を用いることなくメラニンを生成させることで、安定性や安全性に優れた毛髪化粧料を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
成分(A)である一般式(1)で表される化合物は、酸化されることによってメラニン色素に変換するインドール誘導体又はインドリン誘導体(メラニン前駆体)であり、本発明においてこれを調製するに当たっては、マメ科植物由来のDOPAを用いる。マメ科植物としては、ムクナ属(別名トビカズラ属)が好ましく、特にムクナ(英名:velvet beans,学名:mucuna pruriens,和名:ビロード豆)、ハッショウ(八升)豆(学名:Stizolobium hassjoo)、猫豆(学名:Mucuna cochinchinensis)、トビカズラ(学名:Mucuna japonica)が好ましい。これらの中で、入手のしやすさ、DOPA含量の安定性から、猫豆が最も好ましい。
【0015】
これらのマメ科植物から、DOPAを含有するエキスを抽出するには、マメ科植物の葉、茎、カルス培養により得られる組織などを、そのまま、又は乾燥、粉砕等して、溶剤抽出することにより行うことができ、適宜適当な分離手段、例えばゲル濾過、クロマトグラフィー、精密蒸留等によって含有量を高め、エキス(液体又は粉末あるいはペースト状)として、又はDOPAとして精製して用いることができる。コスト面からは、精製することなく、エキスとして酵素処理に用いるのが好ましいが、DOPAとして80重量%以上、特に95重量%以上の純度のものを使用することが好ましい。抽出に用いる溶剤としては、通常植物成分の抽出に用いられるもの、例えば水、石油エーテル、n-ヘキサン、トルエン、ジクロロエタン、クロロホルム、エーテル、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられ、2種以上を組み合わせて使用してもよいが、特に水、又は水と他の有機溶剤の混合溶媒を用いることが好ましい。また、抽出溶剤は弱酸性〜酸性とすることが好ましく、pH2〜7、特にpH3〜6に調整することが好ましい。pHの調整には、有機酸又は無機酸が用いられる。また抽出条件も通常の条件を適用でき、例えば上記植物を3〜100℃で数時間〜数週間浸漬又は加熱還流すればよい。
【0016】
また市販品のムクナエキス等を利用することもでき、市販品としてHerbal Powers社のムクナエキス(低純度〜高純度品)、中国、成都市、成都超人社のLEVODOPA(高純度品、98重量%以上)などが挙げられる。中国産の猫豆由来のLEVODOPA(高純度品98重量%以上)が、経済性、入手のしやすさから好ましい。
【0017】
次に、これらDOPA又はDOPAを含有するエキスを、酵素による酸化処理に付し、一般式(1)で表されるメラニン誘導体を製造する。酸化酵素としては、チロシナーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼが利用でき、チロシナーゼ又はラッカーゼを利用するのが好ましい。
【0018】
本酸化処理工程は、メラニン前駆体を製造するのが目的であるため、酸素の供給をコントロールして、反応が完結せず、DOPAの一部がメラニンとなってもよいが、完全にはメラニンにならないようにする必要がある。使用する酵素量は、反応のスケール、DOPAの濃度に応じて適宜決められるが、濃度として、0.001〜1重量%程度が経済的に好ましい。
【0019】
本発明においては、濃縮や酵素の除去等の操作は行ってもよいが、天然物由来の植物由来のDOPAを用いるため、酸化処理によって生成した各種メラニン前駆体を特段の精製操作をする必要なく、そのまま毛髪化粧料に用いることができる。
【0020】
酸化処理によって生成する一般式(1)で表されるメラニン前駆体としては、5,6-ジヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、5,6-ジヒドロキシインドリン、5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸が挙げられ、これらの2種以上を組み合わせることにより、染め上がりの色を調整することができる。特に、髪を自然な色合いに染める観点から、5,6-ジヒドロキシインドールを用いた組み合わせが好ましく、5,6-ジヒドロキシインドールと5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸との組み合わせが最も好ましい。この両者を併用する場合の重量比は、10/90〜999/1が好ましく、更には50/50〜99/1が好ましく、特に80/20〜99/1が好ましい。
【0021】
成分(A)のメラニン前駆体(混合物として)の含有量は、白髪の隠蔽性や色移り、使用性の点から、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜10重量%が好ましく、更には0.02〜5重量%、特に0.05〜2重量%が好ましい。
【0022】
成分(B)のメラニンは、一般式(1)で表される化合物の1種又は2種以上から酸化重合により生成したものであるが、5,6-ジヒドロキシインドール及び5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸の少なくとも一方からなる酸化重合物が好ましく、安定性及び使用性の点から、分子量1000以上100万以下(島津製MALDI-TOF-MSで測定可能)のものが使用され、好ましくは分子量2000以上1万以下のものが使用される。上記酸化酵素でDOPAから形成したメラニンが使用できる以外に、毛髪や動物の毛、黒かびから抽出した天然のメラニン、過酸化水素などの酸化剤によるDOPAの酸化重合物も使用できる。これらは混合物、精製した単一分子量のもののいずれでもよい。このメラニンを本発明の毛髪化粧料に含有させるには、メラニン前駆体(1)からあらかじめ重合物を調製した後、本発明の毛髪化粧料に配合しても、またメラニン前駆体(1)を配合し毛髪化粧料を調製する際に空気に触れることでメラニンを生成させてもよい。このメラニン生成物は、黒〜茶色の固形物として、白髪を隠蔽する効果を有するので、本発明の毛髪化粧料の一時染めとしての機能を補完することができる。そのため、その含有量は、本発明の毛髪化粧料の0.01〜50重量%が好ましく、更には0.1〜30重量%、特に0.5〜20重量%が好ましい。
【0023】
成分(C)の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、アルキルグリセリルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノエタノールアミド又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられ、なかでも、一般式(2)で表される第2級アルコールのポリエトキシレートが好ましい。
【0024】
【化2】

【0025】
〔式中、m及びnは合計7〜25となる数を示し、xは重量平均で6〜16の数を示す。〕
【0026】
第2級アルコールのポリエトキシレートとしては、一般式(2)中のmとnの和が7〜20、特に9〜11であるものが好ましく、また一般式(2)中のxが重量平均で6〜12、特に8〜10であるものが好ましい。なかでも、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(日本触媒社:ソフタノール90,一般式(2)においてm+n=9〜11、x=9)が好ましい。
【0027】
成分(C)の非イオン界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(C)の含有量は、塗布性や発泡性の点から、毛髪用化粧料組成物中の0.1〜10重量%、特に0.5〜3重量%が好ましい。
【0028】
成分(D)のアルカリ剤としては、リジン、アルギニンなどのアミノ酸類、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン類、炭酸グアニジン等のグアニジン塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の無機塩類、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等の有機酸塩などが好ましい。アンモニア(水)は、臭いの点で好ましくない。これらの中で、メラニンの生成速度の点で、アルカノールアミン類、グアニジン塩類が好ましく、特にモノエタノールアミン、炭酸グアニジンが好ましく、炭酸グアニジンが重合速度の点で最も好ましい。
【0029】
成分(D)のアルカリ剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、その含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜10重量%が好ましく、更には0.02〜8重量%、特に0.05〜5重量%が好ましい。
【0030】
成分(E)の酸化防止剤としては、通常の染毛剤に使用される酸化防止剤を使用することができ、例えば、亜硫酸、アスコルビン酸、チオグリコール酸、L-システイン、N-アセチル-L-システイン及びそれらの塩が好ましいものとして挙げられ、特にアスコルビン酸、亜硫酸及びそれらの塩は、成分(A)の安定化に寄与するだけでなく、染色力をも向上させるため、特に好ましい。
【0031】
成分(E)の酸化防止剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、その含有量は、東洋人の白髪を隠蔽するのに好適な赤みのない黒色に染色する点から、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜2重量%、特に0.05〜1重量%が好ましい。
【0032】
成分(A)のメラニン前駆体は、塩基性条件で空気中の酸素により酸化されメラニン色素に変換する。このため、本発明の毛髪化粧料のpHは、7〜11、好ましくは8〜11の範囲に調整する。
【0033】
本発明品は、天然由来のメラニン及びメラニン前駆体を用いるので、洗い流さないタイプの毛髪化粧料として適しており、その例としては、ヘアスタイリング剤、ヘアコンディショニング剤等の形態とするのが好ましく、ポンプスプレー、ポンプフォーム等の容器に充填した形態で使用するのが簡便であるが、より好ましくは、エアゾールスプレー、エアゾールフォーム等の加圧容器に封入された形態で使用するのがよい。エアゾールの噴射剤としては、例えば、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、これらの混合物等を使用するのが好ましく、特に、LPG、DME、又はLPGとDMEの混合ガスを使用するのが好ましい。噴射剤は、毛髪化粧料/噴射剤の混合重量比率が、(99.5〜40)/(0.5〜60)、特に(95〜80)/(5〜20)となる範囲で使用するのが好ましい。また毛髪化粧料/噴射剤が(5〜70)/(95〜30)、特に(20〜60)/(80〜40)の比率で噴射剤を多量に含有するヘアスプレーとして使用してもよい。
【0034】
洗い流さないタイプの毛髪化粧料としては、化粧料に含有されるメラニンを付着させる目的で(F)造膜性ポリマーを加えることができる。
【0035】
成分(F)の造膜性ポリマーとしては、ノニオンポリマー、カチオンポリマー、アニオンポリマー及び両性ポリマーが挙げられ、2種以上を併用してもよい。
【0036】
ノニオンポリマーとしては、例えばルビスコールK12、17、30、60、80、90(以上、BASF社)、PVP K15、30、60、90(以上、GAF社)等のポリビニルピロリドン;ルビスコールVA28、37、55、64、73、VA37E(以上、BASF社)、PVP/VA E-735、E-635、E-535、E-335、S-630、W-735(以上、GAF社)等のポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体;ルビスコールVAP343(BASF社)等のポリビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル三元共重合体;Dowtex(ダウ・ケミカル社)等の酢酸ビニル/N-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン共重合体等が挙げられる。
【0037】
カチオンポリマーとしては、例えばルビカットFC370、FC550、FC905、HM552、MonoCP(以上、BASF社)等のビニルイミダゾリウムクロライド/ビニルピロリドン共重合体;セルカットH-100(粘度1000cps)、L-200(粘度100cps)(以上、ナショナル・スターチ社)等のヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド;ガフカット734、755N、755(以上、GAF社)等のビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体;ルビフレックス(BASF社)、コポリマー845、937、958(以上、GAF社)等のポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体;コポリマーVC-713(GAF社)等のポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体;ガフカットHS-100(ISP社)等のビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体;特開平2-180911号公報に記載の水溶性高分子化合物等のアルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、N-プロピオニルポリエチレンイミン/メチルポリシロキサン共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸/アルキルメタクリル酸/メトキシポリエチレングリコール共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0038】
アニオンポリマーとしては、例えばガントレッツES-225、ES-425、SP-215(以上、GAF社)等のメチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体;レジン28-1310(ナショナル・スターチ社)、ルビセットCA(BASF社)等の酢酸ビニル/クロトン酸共重合体;レジン28-2930(ナショナル・スターチ社)等の酢酸ビルニ/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体;ルビセットCAP(BASF社)等の酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体;ADVANTAGECP(ISP社)等の酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソポロニルアクリレート共重合体;プラスサイズL53P、L-75CB、L-9540B(互応化学社)、ダイヤホールド(三菱化学社)等の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体;ウルトラホールド8、ウルトラホールド・ストロング(以上、BASF社)、アンフォーマーV-42(ナショナル・スターチ社)等のアクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体;ルビフレックスVBM35(BASF社)等のポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0039】
両性ポリマーとしては、例えばユカフォーマーM-75、SM(三菱化学社)等のN-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体;ユカフォーマーAM-75、AM75S/SM(以上、三菱化学社)等のジアルキルアミノエチルメタクリレート/メタクリル酸アルキルエステル共重合体のモノクロル酢酸両性化物;アンフォーマー28-4910、LV-71(以上、ナショナル・スターチ社)等のアクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体等が挙げられる。
【0040】
これらの造膜性ポリマーのうち、(メタ)アクリル系ポリマーが好ましく、なかでもN-メタクリロイル-N,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(例えば、三菱化学社、ユカフォーマーSM)が好ましい。
【0041】
成分(F)の造膜性ポリマーの含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜40重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。
【0042】
また、本発明の毛髪化粧料には、更に通常染毛剤に使用されている直接染料を含有させてもよい。
【0043】
直接染料としては、酸性染料、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料、特開2003-342139号公報記載の直接染料等が挙げられる。酸性染料としては、青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、酸性橙3等が挙げられ、ニトロ染料としては、2-ニトロパラフェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロオルトフェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC赤3、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロパラフェニレンジアミン等が挙げられ、分散染料としては、分散紫1、分散青1、分散黒9等が挙げられ、塩基性染料としては、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤76、塩基性赤51、塩基性黄57、塩基性黄87、塩基性橙31等が挙げられる。
【0044】
本発明の毛髪化粧料に直接染料を含有させる場合、その含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.001〜5重量%、特に0.01〜3重量%が好ましい。
【0045】
また、本発明の毛髪化粧料には、更に顔料を含有させてもよい。顔料としては、赤色221号、赤色226号、青色404号、黄色401号等の有機顔料;及び二酸化チタン、褐色酸化鉄、ベンガラ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等の無機顔料を使用することができる。
【0046】
本発明の毛髪化粧料には、使用時の塗布性をなめらかにするため、また上記顔料を分散させるため、更に成分(C)以外の界面活性剤を含有させることができる。そのような界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等のアニオン界面活性剤;イミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系又はアミドスルホベタイン系両性界面活性剤等の両性界面活性剤;イミダゾリン開環型第四級アンモニウム塩、モノ長鎖アルキル第四級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル第四級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)を挙げることができる。またカチオン性残基の対イオンとしては、塩素、臭素、沃素等のハロゲンイオン及びメトサルフェート、サッカリネートイオンを挙げることができる。
【0047】
これら成分(C)以外の界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、またその含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.1〜15重量%、特に0.5〜8重量%が好ましい。
【0048】
更に、本発明の毛髪化粧料には、コンディショニング剤として、油剤を含有させることができる。油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油等のグリセリド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル類;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸類;ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール類;その他ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、高級アルコール類が好ましく、特にミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。これら油剤は、2種以上を併用することもでき、その含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.2〜2重量%が好ましく、更には0.3〜1.8重量%、特に0.5〜1.5重量%が好ましい。
【0049】
また、本発明の毛髪化粧料には、増粘剤を含有させることもできる。増粘剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化セルロース等の有機系増粘剤や、無機系のベントナイト系増粘剤、ベーマイト等の含水酸化物等が使用できる。
【0050】
本発明の毛髪化粧料には、その他、通常の染毛剤や毛髪化粧料に用いられる成分、例えば保湿剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、安定化剤、緩衝剤、香料、感触向上剤、キレート剤、可溶化剤、防腐剤等を、目的に応じ、適宜配合することができる。本発明の毛髪化粧料は、以上の成分を水性媒体中に溶解して製造されるが、水性媒体としては水のほか、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類が挙げられる。
【実施例】
【0051】
実施例1及び2
表1に示す組成に従ってエアゾール型毛髪化粧料の原液を調製し、この原液をエアゾール用相溶性ビン(東京高分子社)に詰めてクリンチした後、原液:ガス比=90:10(重量比)となるように噴射剤として0.3MPaのジメチルエーテルを充填し、エアゾール型毛髪化粧料を得た。
得られた毛髪化粧料につき、以下に示す評価を行った。結果を表1に併記する。
【0052】
・白髪隠蔽性:
中国人白髪トレス5gに毛髪化粧料1gを塗布し、15分放置後、洗い流さずに、白髪の隠れ具合を評価した。評価は、○:良好、△:普通、×:不良の三段階とした。
【0053】
・染色性:
白髪隠蔽性の評価に用いたトレスをシャンプー、水洗、風乾した。この操作を5回繰り返した後(塗布、放置、シャンプー、水洗、風乾の5回繰り返した後)、染色性を評価した。評価は、○:良好、△:普通、×:不良の三段階とした。
【0054】
・保存安定性:
各エアゾール型毛髪化粧料をエアゾール容器に充填し、45℃にて2週間保存後の組成物の外観、吐出性能及び染毛性を製造直後のものと比較、評価した。評価は、○:良好、△:普通、×:不良の三段階とした。
【0055】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E)を含有し、pHが7〜11である毛髪化粧料。
(A)マメ科植物から抽出したDOPAを酸化酵素で処理することによって調製した一般式(1)で表される化合物の2種以上の混合物0.01〜5重量%
【化1】

〔式中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、R1は水酸基又はアセトキシ基を示し、R2は水素原子、−COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)又は−COO-+(X+は陽イオン)を示し、R3は水素原子、アセチル基、メチル又はエチル基を示す。〕
(B) 一般式(1)で表される化合物の1種又は2種以上から酸化重合により生成した分子量1000以上100万以下のメラニン0.01〜50重量%
(C) 非イオン界面活性剤0.01〜10重量%
(D) アルカリ剤0.01〜10重量%
(E) 酸化防止剤0.01〜10重量%
【請求項2】
マメ科植物がムクナ属(別名トビカズラ属)に属するものである請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
マメ科植物が、ムクナ(英名:velvet beans,学名:mucuna pruriens,和名:ビロード豆)、ハッショウ(八升)豆(学名:Stizolobium hassjoo)、猫豆(学名:Mucuna cochinchinensis)及びトビカズラ(学名:Mucuna japonica)から選ばれるものである請求項1又は2記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
マメ科植物から抽出したDOPAを含有するエキスが、ムクナエキスである請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
酸化酵素が、チロシナーゼ、ラッカーゼ及びペルオキシダーゼから選ばれるものである請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
成分(A)が、5,6-ジヒドロキシインドール及び5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸の組み合わせである請求項1〜5記載の毛髪化粧料。
【請求項7】
加圧容器に封入された形態である請求項1〜6のいずれかに記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2007−326813(P2007−326813A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159155(P2006−159155)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】