説明

毛髪化粧料

【課題】毛髪のパサつきを抑えてしっとりさせ、毛髪にすべり性、柔軟性、ツヤを与えることが可能な毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】(A)ヒオウギエキス、(B)コメヌカエキス、(C)ツバキエキスおよび(D)有機酸を含有し、(A)、(B)および(C)の合計配合量が毛髪化粧料組成物全体に対して乾燥固形分として0.001〜5.0質量%である毛髪化粧料によって達成する。そして、この毛髪化粧料には、さらに(E)植物油を含有することが好ましく、この(E)の配合量が毛髪化粧料組成物全体に対して0.01〜5.0質量%であることがより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪のパサつきを抑えてしっとりさせ、毛髪にすべり性、柔軟性、ツヤを与えることが可能な毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、パーマネントウェーブやブリーチ・ヘアカラー、紫外線、ドライヤーの熱など化学的または物理的刺激により損傷を受け、枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下などが生じる。これらは、化学的、物理的刺激により、毛髪内部、及び、外部、表層部の構造が変化してしまうことによるものである。毛髪の内部からはシャンプーなどの洗浄行為によって脂質やたんぱく質の流出が生じてしまう。また、毛髪表面では疎水膜の欠落によって親水化が生じてしまうことや、キューティクルの剥がれ、脱落が生じてしまうことがある。このような損傷状態を治癒する手法として、可溶性シルクペプチド、コラーゲン、ケラチン又はコンキオリンなどのタンパク質や、アミノ酸、植物抽出物、第4級アンモニウム塩、3級アミン、カチオン性ポリマー、セラミド、両親媒性アミド、シリコーンなどを配合した毛髪化粧料が提案されており、例えば、不揮発性シリコーン類及び植物抽出物を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献1参照。)、カチオン化蛋白誘導体及び中性アミノ酸を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献2参照。)、可溶性シルクペプチド、糖アルコール及び中性アミノ酸を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献3参照。)、両親媒性アミド脂質及び三級アミンを配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献4参照。)などが開示されている。しかしながらこれら単独の使用では、指どおりや櫛どおり、ツヤの改善、うるおい感、まとまり感の付与などすべてを兼ね備えているものはなく、それぞれを組み合わせた場合でも、期待する相乗効果を発揮しない、もしくはお互いの効果を打ち消しあったりするなどの問題点があった。
【0003】
【特許文献1】特開平8−231348号公報
【特許文献2】特開平10−175824号公報
【特許文献3】特開2000−191446号公報
【特許文献4】特開2004−217643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記背景技術において、上記問題点を解消する技術が求められていた。即ち、本発明の目的とするところは、毛髪のパサつきを抑えてしっとりさせ、毛髪にすべり性、柔軟性、ツヤを与えることが可能な毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題に鑑み、鋭意研究した結果、特定の植物成分と有機酸を含有する毛髪化粧料が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は、(A)ヒオウギエキス、(B)コメヌカエキス、(C)ツバキエキスおよび(D)有機酸を含有し、(A)、(B)および(C)の合計配合量が毛髪化粧料組成物全体に対して乾燥固形分として0.001〜5.0質量%である。そして、この毛髪化粧料には、さらに(E)植物油を含有することが好ましく、この(E)の配合量が毛髪化粧料組成物全体に対して0.01〜5.0質量%であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、毛髪のパサつきを抑えてしっとりさせ、毛髪にすべり性、柔軟性、ツヤを与えることが可能な毛髪化粧料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の毛髪化粧料に用いる(A)成分であるヒオウギエキスは、ヒオウギの根茎を水、1.3−ブチレングリコール、および無水エタノールの混液で抽出して得られるエキスである。市販品としては、一丸ファルコス社製の「ファルコレックス ヒオウギ 1.17%溶液」が挙げられる。
【0008】
本発明の毛髪化粧料に用いる(B)成分であるコメヌカエキスは、コメヌカを、水、または1.3−ブチレングリコール、あるいは、両者の混液で抽出して得られるエキスである。市販品としては、香栄興業社製の「米ぬか抽出液 1%溶液」が挙げられる。
【0009】
本発明の毛髪化粧料に用いる(C)ツバキエキスは、ツバキの種子の脱脂物から水にて抽出して得られるエキスである。市販品としては、丸善製薬社製の「ツバキ種子抽出物 100%粉」が挙げられる。
【0010】
本発明の毛髪化粧料に用いる成分(A)、(B)および(C)の配合量は、それぞれの配合量は特に限定されないが、3成分あわせて、毛髪化粧料組成物全体に対して、乾燥固形分として0.001〜5.0質量%(以下、単に%と記す。)であり、好ましくは0.003〜3.0%である。0.001%以下であると、充分な効果が得られず、5.0%以上であると、原料臭が強く好ましくない。
【0011】
本発明の毛髪化粧料に用いる(D)成分である有機酸は特に限定されるものではないが、例えば乳酸、クエン酸、酒石酸、グルタミン酸等が挙げられる。これら有機酸を適宜選択し、1種または2種以上を用いることができる。これら有機酸の配合量は特に限定されるものではないが、毛髪化粧料組成物全体に対して、0.1〜3.0%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.0%である。0.1%以上であれば充分な柔軟性を与えることができ、また、3.0%以下であれば製剤上好ましくなる。
【0012】
本発明の毛髪化粧料に好適に用いられる(E)成分である植物油としては、特に限定されるものではないが、例えばコメヌカ油、コメ胚芽油、コムギ胚芽油、ツバキ油、クルミ種子油、ホホバ油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマワリ油、サザンカ油等が挙げられる。これら植物油を適宜選択し、1種または2種以上を用いることができる。これら植物油の配合量は特に限定されるものではないが、毛髪化粧料組成物全体に対して、0.001〜10.0%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜5.0%である。0.001%以上であれば充分なツヤが得られ、また、10.0%以下であるとべたつきが強くでることはなく好ましい。
【0013】
本発明の毛髪用化粧料には、上述した成分の他にも、目的に応じて毛髪用化粧料に通常使用されている成分を本発明の目的を達成する範囲内で、適宜配合することができる。これらの成分としては、例えば、アニオン活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、保湿剤、シリコーン誘導体、油分、植物抽出エキス、粘度調整剤、パール化剤、薬剤、防腐剤、キレート剤、酸化防止剤、PH調整剤、色素、香料等が挙げられる。
【0014】
本発明の毛髪用化粧料は、特に対象、剤型にとらわれず、ヘアシャンプー、ヘアリンスヘアトリートメント、ヘアローション、ヘアリクイド、ヘアフォーム等に使用することができる。これらは常法により、本発明の毛髪化粧料を配合して製造することができる。
【0015】
なお、上記成分(E)の植物油を本発明の毛髪化粧料に配合することは、ツヤを得るのに効果的であるが、ヘアシャンプー等の洗浄用の毛髪化粧料の場合は、泡立ちの低下などを招く虞もあるため、必ずしも配合することが好ましいとは限らない。もちろん泡立ちの
低下などを招かない範囲内で、ツヤを得るために配合することは好ましい。
【実施例】
【0016】
本発明を、実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。なお、配合組成の各配合量は、特に断りのない限り、質量%である。
【0017】
<使用感の試験法・評価法>
10名のパネルが各実施例の試料(以下、単に「試料」という)で洗髪し、洗髪乾燥後の髪のしっとり感、柔軟性の有無、香り等の使用感について「良い」、「普通」、「悪い」の3段階で判定し、判定結果を「良い」と回答した人数により判断した。
【0018】
判断基準は以下の通りである。
◎:大変優れている 「良い」と答えた試験対象者の数が8名以上
○:優れている 「良い」と答えた試験対象者の数が6名以上、8名未満
△:劣っている 「良い」と答えた試験対象者の数が4名以上、6名未満
×:大変劣っている 「良い」と答えた試験対象者の数が4名未満
【0019】
<毛髪調製方法>
本実施例において、毛髪化粧料は各実施例の組成物が有効成分濃度2%になるように水溶液を調整した。この調製した水溶液を毛髪に塗布し、以下の評価を行った。
【0020】
<すべり性の評価>
動摩擦係数計(NRF型:エルクエスト社製)を使用して、毛髪表面の動摩擦係数を測定し、以下の式(1)に従い動摩擦係数比を算出した。この動摩擦係数比が1以上のとき損傷毛の改善効果が見られることになる。
[式1]
毛髪化粧料未処理の毛髪の動摩擦係数(μk) …(1)
毛髪化粧料処理した毛髪の動摩擦係数(μk)
【0021】
<ツヤの評価>
ゴニオフォトメーター(GP−200型:村上色彩研究所社製)を使用して、毛髪表面のツヤ値を算出、以下の式(2)に従いツヤ比を算出した。このツヤ比が1以上のとき損傷毛の改善効果が見られることになる。
[式2]
毛髪化粧料処理した毛髪のツヤ値 …(2)
毛髪化粧料未処理の毛髪のツヤ値
【0022】
実施例1〜6及び比較例1〜6(ヘアトリートメント)
表1に記載の配合組成によるヘアトリートメントを常法により調整し、洗髪乾燥後の香り、しっとり感、および柔軟性などの使用感、動摩擦係数比によるすべり性、ツヤ比によるツヤについて調べ、その結果を表1に併せて示した。
【0023】
【表1】

【0024】
表1から明らかなように、本発明による毛髪化粧料は比較例の組成物に比べて、優れた性能を見出した。
【0025】
実施例7 シャンプー
N−ラウロイルサルコシントリエタノールアミン 12.0
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン 4.0
ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 3.5
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 1.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベダイン 6.0
カチオン化セルロース誘導体 0.3
(商品名:カチナールHC−200[東邦化学工業社製])
塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)
プロピル]グアーガム 0.1
ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸イソプロパノールアミド 3.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
ムクロジエキス 0.5
(商品名:ムクロジ抽出液K 0.4%溶液〔丸善製薬社製〕)
ヒオウギエキス 0.5
(商品名:ヒオウギ抽出液 1.17%溶液〔一丸ファルコス社製〕)
ツバキエキス 0.001
(商品名:ツバキ種子抽出物 100%粉〔丸善製薬社製〕)
コメヌカエキス 0.5
(商品名:米ぬか抽出液 1%溶液〔香栄興業社製〕)
クエン酸 0.3
安息香酸ナトリウム 0.5
EDTA 0.1
塩化ナトリウム 0.5
カラメル 0.2
香料 0.5
精製水 バランス
【0026】
常法により上記組成のシャンプーを調整し、洗髪乾燥後のしっとり感、すべり性、ツヤを評価したところ、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。
【0027】
実施例8 ヘアリンス
セテアリルアルコール 5.0
ベヘナミドプロピルジメチルアミン 2.5
パラフィン 0.5
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
グリコシルトレハロース 1.0
グリセリン 4.0
シリコンエマルジョン 2.0
(商品名:シリコンBY22−079〔東レ・ダウコーニング社製〕)
ジメチコン 1.0
乳酸 0.6
ヒオウギエキス 0.5
(商品名:ヒオウギ抽出液 1.17%溶液〔一丸ファルコス社製〕)
ツバキエキス 0.001
(商品名:ツバキ種子抽出物 100%粉〔丸善製薬社製〕)
コメヌカエキス 0.5
(商品名:米ぬか抽出液 1%溶液〔香栄興業社製〕)
コメ胚芽油(商品名:オリザオイル〔一丸ファルコス社製〕) 0.5
クルミ種子油(商品名:クルミ種子油〔サミット製油社製〕) 0.5
カラメル 0.05
メチルクロロイソチアゾリンオン・メチルイソチアゾリンオン 0.05
(1.5%水溶液) (商品名:ケーソンCG〔ローム・アンド・ハース社製〕)
香料 0.5
精製水 バランス
【0028】
常法により上記組成のヘアリンスを調整し、しっとり感、柔軟性、すべり性、ツヤを評価したところ、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。
【0029】
実施例9 洗い流さないヘアトリートメント
セタノール 1.0
ステアリルアルコール 2.0
ベへトリモニウムクロライド 0.5
イソステアリン酸 1.0
ミリスチン酸オクチルドデシル 5.0
スクワラン 1.0
グリセリン 1.0
ジメチコン 0.5
(商品名:シリコンKF−96A(6CS 〔信越化学社製〕)
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
ヒオウギエキス 0.5
(商品名:ヒオウギ抽出液 1.17%溶液〔一丸ファルコス社製〕)
ツバキエキス 0.001
(商品名:ツバキ種子抽出物 100%粉〔丸善製薬社製〕)
コメヌカエキス 0.1
(商品名:米ぬか抽出液 1%溶液〔香栄興業社製〕)
コメ胚芽油(商品名:オリザオイル〔一丸ファルコス社製〕) 0.5
クルミ種子油(商品名:クルミ種子油〔サミット製油社製〕) 0.5
サザンカ油(商品名:精製山茶花油〔横関油脂工業社製〕) 0.5
フェノキシエタノール 0.1
グルタミン酸 0.1
香料 0.5
精製水 バランス
【0030】
常法により上記組成の洗い流さないヘアトリートメントを調整し、しっとり感、柔軟性、すべり性、ツヤを評価したところ、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明により、毛髪のパサつきを抑えてしっとりさせ、毛髪にすべり性、柔軟性、ツヤを与えることが可能な毛髪化粧料を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ヒオウギエキス、(B)コメヌカエキス、(C)ツバキエキスおよび(D)有機酸を含有し、(A)、(B)および(C)の合計配合量が毛髪化粧料組成物全体に対して乾燥固形分として0.001〜5.0質量%であることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
さらに、(E)植物油を含有する請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
(E)の配合量が毛髪化粧料組成物全体に対して0.01〜5.0質量%である請求項2に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2008−81493(P2008−81493A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187929(P2007−187929)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】