説明

毛髪化粧料

【課題】毛髪に対して十分なしなやかさと潤いを与える手段を確立して、これを提供すること。
【解決手段】下記の成分(1)〜(3)を含有する毛髪化粧料を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。
(1)ヒドロキシアルキル尿素
(2)下記式のアルキレンオキシド誘導体
O−[(AO)m(EO)n]−R
[式中、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素原子数1〜4の炭化水素基又は水素原子であり、AOは炭素原子数3〜4のオキシアルキレン基であり、EOはオキシエチレン基であり、m及びnは、それぞれ、前記オキシアルキレン基及びオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦m≦70、1≦n≦70、である。]
(3)親水性のポリエーテル変性シリコーン

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料、特に、毛髪にしなやかさと潤いを提供することが可能な毛髪化粧料に関する発明である。本発明の毛髪化粧料は、ミストとして毛髪に提供されることに適している。
【背景技術】
【0002】
大気汚染や太陽光の紫外線の曝露、パーマネントや染毛の習慣の定着、さらに個々人が置かれている職場からのストレス等、近年、毛髪が傷む要因が漸増し、それと共に、毛髪を健康に保ちたいという要望が、増大しつつあると考えられる。特に、毛髪に対し、しなやかさや潤いを付与する技術は、直接的に、このような毛髪の健康に対する要望を満たすものであり、日々、様々な手段が提供されている。
【0003】
例えば、特開2005−1790941号公報(特許文献1)には、ヒドロキシアルキル尿素を含有する組成物が、優れた保湿効果を発揮することが開示されており、特開2006−96725号公報(特許文献2)には、ヒドロキシアルキル尿素を含有する毛髪化粧料が、保湿性と水に対する安定性に優れ、ブラッシング等による毛髪の傷みを軽減できる旨が開示されている。また、特開2005−343833号公報(特許文献3)には、アルキレンオキシド誘導体、低級アルコール及びポリエーテル変性シリコーンを含有する毛髪化粧料において、くせ毛の補正効果と毛髪損傷改善効果が認められる旨が開示されている。
【特許文献1】特開2005−1790941号公報
【特許文献2】特開2006−96725号公報
【特許文献3】特開2005−343833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1〜3の毛髪化粧料により提供され得る、毛髪におけるしなやかさと潤いは、使用者にとって十分とは言い難く未だ改善の余地が十分に存在する。よって、本発明が解決すべき課題は、毛髪に対して十分なしなやかさと潤いを与える手段を確立して、これを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、この毛髪分野における課題に関し検討を行った結果、下記の成分(1)〜(3)を含有する毛髪化粧料(以下、本発明の毛髪化粧料ともいう)を提供することにより、より充実したしなやかさと潤いを使用者の毛髪に付与することが可能であることを見いだし、本発明を完成した。
【0006】
(1)ヒドロキシアルキル尿素
(2)アルキレンオキシド誘導体
(3)親水性のポリエーテル変性シリコーン
【0007】
本発明の毛髪化粧料は、上記(1)〜(3)の成分が必須の成分として配合され、ヒトの毛髪に対して使用することにより、当該毛髪にしなやかさと潤いを付与することが可能である。
【0008】
本発明の毛髪化粧料は、ミスト、ジェル、ヘアワックス等として使用される。特に、ミスト形態の使用は、本発明の毛髪化粧料の効果を十分に発揮することが可能であり、好適である。なお、「ミスト」とは、噴霧されることにより生成する微小水滴であり、上記構成の本発明の毛髪化粧料が、霧状に噴霧される形態を意味するものである。このようなミストとして発生された本発明の毛髪化粧料を、毛髪に接触させることが可能である限り、その噴霧手段は特に限定されない。代表的には、霧吹き機能付きの容器による噴霧(ヘアミスト)、スプレー容器による噴霧(ヘアスプレー)等が例示される。ヘアミストとして用いることは、特に、仕上がり後の効果を実感しやすいという理由で好適である。本発明の毛髪化粧料をミスト製剤として毛髪に使用することにより、寝ぐせの矯正や洗髪後の整髪を、油性感を伴わずに手軽に行うことができる。すなわち、ミスト製剤として本発明の毛髪化粧料を使用した場合の毛髪には、手軽な操作にかかわらず、しなやかさと潤いが付与されており、使用者は著しい有用性を感じるものと考えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、毛髪にしなやかさと潤いを付与することが可能な毛髪化粧料が提供される。当該毛髪化粧料は、ミストとして用いることが好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[必須配合成分]
(1)ヒドロキシアルキル尿素
本発明において用いるヒドロキシアルキル尿素は、尿素が有する水素原子の少なくとも一つがヒドロキシアルキル基で置換された下記式(a)にて示される尿素誘導体である。
【0011】
N−CO−NR (a)
【0012】
式(a)中、R、R、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数2〜6のヒドロキシアルキル基であり、かつ、少なくとも一つが当該ヒドロキシアルキル基である。
【0013】
ヒドロキシアルキル基として、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ジヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等を例示可能であり、特に、ヒドロキシエチル基が好適である。
【0014】
従って、本発明の毛髪化粧料に配合され得るヒドロキシアルキル尿素としては、N−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N−(3−ヒドロキシプロピル)尿素、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)尿素、N−(2−ヒドロキシブチル)尿素、N−(3−ヒドロキシブチル)尿素、N−(4−ヒドロキシブチル)尿素、N−(2,3−ジヒドロキシブチル)尿素、N−(2,4−ジヒドロキシブチル)尿素、N−(3,4−ジヒドロキシブチル)尿素、N−エチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N’−プロピル尿素、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N’−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N−tert−ブチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N’,N’−ジメチル尿素、N,N,N’,N’−テトラキス−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)尿素等が挙げられる。これらのヒドロキシアルキル尿素の中でも、モノヒドロキシアルキル尿素が好適であり、ヒドロキシエチル尿素であることが最も好適である。
【0015】
たとえば市販品としてはNational Starch and ChemicalのHYDROVANCE(N−(2−ヒドロキシエチル)尿素)等がある。
【0016】
本発明の毛髪化粧料におけるヒドロキシアルキル尿素の配合量は、全体に対して0.01〜5.0質量%の範囲であり、0.1〜1.5質量%が好適であり、0.5〜1.0質量%が最も好適である。ヒドロキシアルキル尿素の配合量が、全体に対して5.0質量%を超えると毛髪の潤いに欠け、仕上がりが重くなる傾向が認められ、0.01質量%未満であると、しなやかさと潤いを十分に毛髪に付与することが困難になる。
【0017】
(2)アルキレンオキシド誘導体
本発明において用いるアルキレンオキシド誘導体は、下記式(b)にて表される化合物である。
【0018】
O−[(AO)m(EO)n]−R (b)
【0019】
式(b)中、AOは炭素原子数3〜4のオキシアルキレン基であり、具体的には、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基等であり、好適には、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。EOはオキシエチレン基である。m及びnは、それぞれ、前記オキシアルキレン基及びオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦m≦70、好適には2≦m≦50であり、1≦n≦70、好適には5≦n≦55である。
【0020】
前記のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は20〜80質量%の範囲であることが好適である。また、前記オキシアルキレン基とオキシエチレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよいが、ランダム状の付加であることが好適である。なお、ブロック状の付加には、2段ブロック状付加のみならず、3段以上のブロック状付加も含まれる。
【0021】
及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素原子数1〜4の炭化水素基又は水素原子である。当該炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基であることが好適である。また、当該炭化水素基数に対する水素原子数は0.15以下であり、好適には0.06以下である。
【0022】
従って、本発明の毛髪化粧料に配合され得るアルキレンオキシド誘導体としては、POE(9)POP(2)ジメチルエーテル[以下同様で、POEはポリオキシエチレンの略記であり、POPはポリオキシプロピレンの略記である。]、POE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジメチルエーテル、POE(6)POP(14)ジメチルエーテル、POE(15)POP(5)ジメチルエーテル、POE(25)POP(25)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテル、POE(55)POP(30)ジメチルエーテル、POE(30)POP(34)ジメチルエーテル、POE(25)POP(30)ジメチルエーテル、POE(27)POP(14)ジメチルエーテル、POE(55)POP(28)ジメチルエーテル、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(17)POP(4)ジメチルエーテル、POE(9)POP(2)ジメチルエーテル、POE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジエチルエーテル、POE(10)POP(10)ジプロピルエーテル、POE(10)POP(10)ジブチルエーテル等が挙げられる。
【0023】
上記のアルキレンオキシド誘導体は、常法にて製造することが可能である。例えば、水酸基を有している化合物にエチレンオキシド及び炭素原子数3〜4のアルキレンオキシドを付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下にエーテル反応させることによって得ることができる。
【0024】
たとえば市販品としては日本油脂(株)からマクビオブライトE−575(POE(9)POP(2)ジメチルエーテル)、マクビオブライトE−1060(POE(14)POP(7)ジメチルエーテル)、マクビオブライトE−4060(POE(55)POP(28)ジメチルエーテル)、マクビオブライトE−4040(POE(36)POP(41)ジメチルエーテル)、マクビオブライトE−1075(POE(17)POP(4)ジメチルエーテル)等が挙げられる。
【0025】
本発明の毛髪化粧料における上記アルキレンオキシド誘導体の配合量は、全体に対して0.01〜10.0質量%の範囲であり、0.1〜2.0質量%が好適であり、0.2〜1.0質量%が最も好適である。上記アルキレンオキシド誘導体の配合量が、全体に対して10.0質量%を超えると毛髪のしなやかさに欠け、仕上がりが重くなる傾向が認められ、0.01質量%未満であると、しなやかさと潤いを十分に毛髪に付与することが困難になる。
【0026】
(3)親水性のポリエーテル変性シリコーン
本発明において用いる親水性のポリエーテル変性シリコーンは、好適にはHLB12以上の、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドにより変性されたジメチルポリシロキサン、ポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシドブロックポリマーにより部分変性されたジメチルポリシロキサン、あるいは、下記式(c)〜(e)にて示されるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0027】
【化1】

【0028】
[式(c)〜(e)において、複数のR同士は、同一分子内で又は異なる分子同士で同一であっても異なってもよく、メチル基又はフェニル基である。さらに、複数のR同士は、同一分子内で又は異なる分子同士で同一であっても異なってもよく、水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基である。pは1〜5、qは2〜3の数であり、x、j、kは平均数で、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンが分子中にポリオキシアルキレン基を2〜90質量%含有し、かつ、当該ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンの粘度が25℃において5〜5000mPa・sになる数値である。]
【0029】
上記のポリエーテル変性シリコーンのエチレンオキシドやプロピレンオキシド等の変性オキシドによる変性率は、ポリエーテル変性シリコーンにおいて60質量%以上であることが、「親水性」である上で好適であり、当該ポリエーテル変性シリコーンのHLB値は、概ね12以上である。このような好適条件のポリエーテル変変性シリコーンの市販品としては、例えば、シリコーンKF6011(ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体:信越化学工業社製)、SILWET−10E(ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体)とSILWET−10P(共に東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0030】
本発明の毛髪化粧料における上記ポリエーテル変性シリコーンの配合量は、全体に対して0.01〜10.0質量%の範囲であり、0.1〜2.0質量%が好適であり、0.2〜1.0質量%が最も好適である。上記アルキレンオキシド誘導体の配合量が、全体に対して10.0質量%を超えると毛髪のしなやかさに欠け、仕上がりが重くなる傾向が認められ、0.01質量%未満であると、しなやかさと潤いを十分に毛髪に付与することが困難になる。
【0031】
[選択的な配合成分]
上述した必須の配合成分(1)〜(3)を用いることにより、本発明の毛髪化粧料の製造を行うことが可能であるが、必要に応じて、他の成分も選択的に配合することが可能である。当該選択的成分は、製造する本発明の毛髪化粧料において特に付加するべき効果や選択される剤形や形態に応じて用いることが可能である。
【0032】
例えば、毛髪にさらさらした感触を付加するために、カチオン界面活性剤を配合することができる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。本発明の毛髪化粧料においてカチオン界面活性剤を配合する場合の配合量は、全体に対して0.01〜5.0質量%の範囲が好適である。カチオン界面活性剤が、全体に対して0.01質量%未満の配合量であれば、さらさらした感触が毛髪に付加されていることが実感され難く、5.0質量%を超えると、特に毛髪のしなやかさと仕上がりの軽さが損なわれる傾向が強くなる。
【0033】
また、例えば、本発明の毛髪化粧料の形態が、ミストやジェル等の含水組成物である場合等には、水を含有させることが必要である。水は、精製水、イオン交換水、水道水等を選択して用いることができる。水の配合量は、具体的な状況に応じた当業者の立場から自由に選択することが可能であり、特に限定されない。さらに、一般的には含水組成物とは認められない形態においても、必要に応じて水を配合することも可能である。
【0034】
また、製剤に適度な粘性を付与し、毛髪に対する付着性を向上させる等の目的から水溶性高分子を配合することができる。当該水溶性高分子は、天然、半合成、合成に大別される。天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルローズ、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0035】
本発明の毛髪化粧料において、上記のような水溶性高分子を配合する場合の配合量は、選択される剤形や形態、さらには、個々の水溶性高分子の具体的な性質に応じて適宜用いられるものであり、具体的な状況に応じた当業者の立場から自由に選択することができる。
【0036】
さらに、保湿効果の付与や、微小な粘度の付与等の目的から、多価アルコール(糖類を含む)を本発明の毛髪化粧料に配合することができる。これらを配合する場合の配合量は、本発明の毛髪化粧料において選択される剤形や形態、さらには、個々の多価アルコールの具体的な性質に応じて適宜用いられるものであり、具体的な状況に応じた当業者の立場から自由に選択することができる。
【0037】
上記多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価のアルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価のアルコール(例えば、キシリトール等);6価のアルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0038】
また、保湿効果の付与等の目的から、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミンを本発明の毛髪化粧料に配合することができる。これらの成分の配合量は、本発明の毛髪化粧料において選択される剤形や形態、さらには、個々の成分の具体的な性質に応じて適宜用いられるものであり、具体的な状況に応じた当業者の立場から自由に選択することができる。
【0039】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等);酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0040】
さらに、製剤の安定化の目的から、金属イオン封鎖剤や酸化防止助剤を本発明の毛髪化粧料に配合することができる。金属イオン封鎖剤や酸化防止助剤の配合量は、本発明の毛髪化粧料において選択される剤形や形態、さらには、個々の成分の具体的な性質に応じて適宜用いられるものであり、具体的な状況に応じた当業者の立場から自由に選択することができる。
【0041】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。酸化防止助剤としては、例えば、アスコルビン酸、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ビタミンE、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
【0042】
その他の配合可能成分としては、例えば、両性界面活性剤(イミダゾリン系、ベタイン系等);防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、バーチ、セージ、ビワ、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、チンピ、トウキ、ボタン、海藻等)、賦活剤(例えば、パンテニールエチルエーテル、ニコチン酸アミド、ビオチン、パントテン酸、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0043】
上述した必須配合成分と必要に応じて配合される選択的配合成分を、製造すべき剤形又は形態に応じて処方を行い、常法に従うことにより、所望する剤形又は形態の本発明の毛髪化粧料を得ることができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を開示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本実施例において、配合量は質量%である。
【0045】
[試験方法]以下、本実施例において用いた、本発明の効果を検証するための試験方法を開示する。
(1)毛髪のしなやかさの評価
毛髪におけるしなやかさの有無を、専門パネラー10名により実使用試験を実施した。すなわち、試験品を自己の毛髪に用い、ドライヤーで乾燥を行った当該専門パネラーが、試験品使用後の自己の毛髪のしなやかさが認められるか否かを評価した。評価基準は以下のとおりである。
【0046】
◎:専門パネラー8〜10名が、毛髪にしなやかさがあると認めた。
○:専門パネラー6〜7名が、毛髪にしなやかさがあると認めた。
△:専門パネラー3〜5名が、毛髪にしなやかさがあると認めた。
×:専門パネラー0〜2名のみが、毛髪にしなやかさがあると認めた。
【0047】
(2)毛髪の潤いの評価
毛髪における潤いの有無を専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下のとおりである。
【0048】
毛髪における潤いの有無を、専門パネラー10名により実使用試験を実施した。すなわち、試験品を自己の毛髪に用い、ドライヤーで乾燥を行った当該専門パネラーが、試験品使用後の自己の毛髪の潤いが認められるか否かを評価した。評価基準は以下のとおりである。
【0049】
◎:専門パネラー8〜10名が、毛髪に潤いがあると認めた。
○:専門パネラー6〜7名が、毛髪に潤いがあると認めた。
△:専門パネラー3〜5名が、毛髪に潤いがあると認めた。
×:専門パネラー0〜2名のみが、毛髪に潤いがあると認めた。
【0050】
(3):仕上がりの軽さの評価
毛髪の仕上がりの軽さを、専門パネラー10名により実使用試験を実施した。すなわち、試験品を自己の毛髪に用い、ドライヤーで乾燥を行った当該専門パネラーが、試験品使用後の自己の毛髪の仕上がりに軽さが認められるか否かを評価した。評価基準は以下のとおりである。
【0051】
◎:専門パネラー8〜10名が、毛髪の仕上がりが軽いと認めた。
○:専門パネラー6〜7名が、毛髪の仕上がりが軽いと認めた。
△:専門パネラー3〜5名が、毛髪の仕上がりが軽いと認めた。
×:専門パネラー0〜2名のみが、毛髪の仕上がりが軽いと認めた。
【0052】
[試験例] 以下の表に示す各々の処方の水性組成物を、精製水中に他の成分を溶解させ、常法に従い調製した。これを、同一の霧吹き機能付きの容器に封入し、洗髪後の専門パネラーの毛髪に噴霧し、次いで、ドライヤーで乾燥して、各項目の実使用試験を行った。なお、下記の各処方において、親水性のポリエーテル変性シリコーンは、SILWET10−E(東レ・ダウコーニング社製)を使用した。
【0053】
(A)アルキレンオキシド誘導体に関する検討
【0054】
【表1】

【0055】
表1の結果により、アルキレンオキシド誘導体を配合しない試験例A1は、潤いに決定的に欠けるが、これを配合した他の試験例A2〜A4は、しなやかさと潤い、さらには仕上がりの軽さにおいても優れていた。特に、最適量範囲内にてアルキレンオキシド誘導体を配合した試験例A3は、全ての項目について著しく優れた結果が得られた。
【0056】
(B)ポリエーテル変性シリコーンに関する検討
【0057】
【表2】

【0058】
表2の結果により、親水性ポリエーテル変性シリコーンを配合しない試験例B1は、毛髪のしなやかさと仕上がりの軽さに著しく欠けることが明らかになった。これを配合した他の試験例B2〜B4は、しなやかさと潤い、さらには仕上がりの軽さにおいても優れていた。特に、最適配合量範囲である0.5質量%にてアルキレンオキシド誘導体を配合した試験例B3は、全ての項目について著しく優れた結果が得られた。
【0059】
(C)ヒドロキシアルキル尿素に関する検討
【0060】
【表3】

【0061】
表3の結果により、ヒドロキシアルキル尿素(ヒドロキシエチル尿素)を配合しない試験例C1は、毛髪のしなやかさに欠けることが明らかになった。これを配合した他の試験例C2〜C4は、しなやかさと潤い、さらには仕上がりの軽さにおいても優れていた。特に、最適配合量範囲である0.7質量%にてアルキレンオキシド誘導体を配合した試験例C3は、全ての項目について著しく優れた結果が得られた。
【0062】
下記に本発明の毛髪化粧料の処方例を実施例として記載する。下記の実施例は、常法により製造可能であり、毛髪に十分なしなやかさと潤いを付与することが可能であり、仕上がりも軽かった。
【0063】
[実施例1] ヘアジェル
配合成分 配合量(質量%)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体 3.0
(「PVP/VA・S−630」;ISP社製)
ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート
ジエチル硫酸塩共重合体(水/エタノール=3/1の混合溶液) 2.0
(「HCポリマー5」;大阪有機化学工業(株)製)
ヒドロキシエチル尿素 2.0
リン酸 0.3
リン酸ナトリウム 0.08
アクリル酸アルキル/メタクリル酸アルキル/POE(20)ステアリル
エーテル共重合体エマルション(「アキュリン22」;ISP社製)5.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
トリエタノールアミン 適量
エチルアルコール 15.0
CHO[(EO)14/(PO)]CH 0.1
親水性ポリエーテル変性シリコーン
(SILWET−10E;東レ・ダウコーニング社製) 0.5
イオン交換水 残余
香料 0.2
【0064】
[実施例2] ヘアミスト
配合成分 配合量(質量%)
乳酸ナトリウム液(50%水溶液) 1.0
ヒドロキシエチル尿素 4.0
プロピレングリコール 0.5
エタノール 5.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(25%水溶液) 0.9
フェノキシエタノール 0.2
CH3O[(EO)14/(PO)]CH 0.3
親水性ポリエーテル変性シリコーン 5.0
(シリコーンSC1014M;信越化学)
香料 0.07
精製水 残余
【0065】
[実施例3] ヘアミスト
配合成分 配合量(質量%)
乳酸ナトリウム液(50%水溶液) 1.0
ヒドロキシエチル尿素 0.5
プロピレングリコール 0.5
エタノール 5.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(25%水溶液) 0.9
フェノキシエタノール 0.2
CHO[(EO)14/(PO)]CH 4.0
親水性ポリエーテル変性シリコーン 0.2
(シリコーンSC1014M;信越化学)
香料 0.07
精製水 残余
【0066】
[実施例4] ヘアミスト
配合成分 配合量(質量%)
乳酸ナトリウム液(50%水溶液) 1.0
ヒドロキシエチル尿素 1.2
プロピレングリコール 0.5
エタノール 5.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(25%水溶液) 0.9
フェノキシエタノール 0.2
CHO[(EO)14/(PO)]CH 0.1
親水性ポリエーテル変性シリコーン 2.0
(シリコーンSC1014M;信越化学)
香料 0.07
精製水 残余
【0067】
〔実施例5〕 ヘアスプレー
配合成分 配合量(質量%)
アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシ
プロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体 10.0
(「アンフォマー28−4910」;日本NSC(株)製)
ヒドロキシエチル尿素 1.0
リン酸 0.3
リン酸ナトリウム 0.08
エチルアルコール 残余
イオン交換水 15.0
オクチルメトキシシンナメート 0.1
香料 0.1
CHO[(EO)14/(PO)]CH 0.5
親水性ポリエーテル変性シリコーン 0.5
(SILWET−10E;東レ・ダウコーニング社製)
アミノメチルプロパノール 適量


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(1)〜(3)を含有する毛髪化粧料。
(1)ヒドロキシアルキル尿素
(2)下記式(b)のアルキレンオキシド誘導体
O−[(AO)m(EO)n]−R (b)
[式中、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素原子数1〜4の炭化水素基又は水素原子であり、AOは炭素原子数3〜4のオキシアルキレン基であり、EOはオキシエチレン基であり、m及びnは、それぞれ、前記オキシアルキレン基及びオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦m≦70、1≦n≦70、である。]
(3)親水性のポリエーテル変性シリコーン
【請求項2】
前記の毛髪化粧料において、ヒドロキシアルキル尿素が、ヒドロキシエチル尿素である、請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
前記の毛髪化粧料が、ミストとして毛髪に接触する形態の化粧料である、請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2009−234985(P2009−234985A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83081(P2008−83081)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】